特許第6857281号(P6857281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6857281ノナン酸とノネン酸に基づく除草剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857281
(24)【登録日】2021年3月23日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】ノナン酸とノネン酸に基づく除草剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/02 20060101AFI20210405BHJP
   A01N 37/06 20060101ALI20210405BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20210405BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20210405BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   A01N37/02
   A01N37/06
   A01N25/04 101
   A01N25/30
   A01P13/00
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-505244(P2020-505244)
(86)(22)【出願日】2018年7月31日
(65)【公表番号】特表2020-530445(P2020-530445A)
(43)【公表日】2020年10月22日
(86)【国際出願番号】EP2018070769
(87)【国際公開番号】WO2019030060
(87)【国際公開日】20190214
【審査請求日】2020年6月8日
(31)【優先権主張番号】102017000088474
(32)【優先日】2017年8月2日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】592081988
【氏名又は名称】ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】サリアーノ,アンジェラ
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平5−502216(JP,A)
【文献】 特表平5−501254(JP,A)
【文献】 特開2011−153118(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104186562(CN,A)
【文献】 国際公開第2014/006340(WO,A2)
【文献】 特開昭54−2399(JP,A)
【文献】 Tetrahedron Letters,1992年,Vol. 33, No. 38,pp. 5547-5550
【文献】 Journal of the American Oil Chemists' Society,1978年,Vol. 55, No. 10,pp. 718-727
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 37/02
A01N 25/04
A01N 25/30
A01N 37/06
A01P 13/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)次の:
− 飽和ノナン酸、および
− 式(I):
CH3-(CH2)m-CH=CH-(CH2)n-COOH
(式中、(m+ n)の合計は5に等しく、mとnは個別に0または1、2、3、4および5から選択される整数を表す)
を有する少なくとも1つのモノ不飽和ノナン酸
(ここで、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、前記飽和ノナン酸と式(I)を有する前記モノ不飽和ノナン酸との総重量に基づき、0.5%〜15重量%の間の量で存在する)
を含む脂肪族モノカルボン酸の混合物、および
(b)乳化剤
を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、
(a)組成物の総重量に基づいて、10〜85重量%の前記脂肪族モノカルボン酸の混合物、
(b)組成物の総重量に基づいて、5〜40重量%の前記乳化剤、
(c)組成物の総重量に基づいて、0〜50重量%の少なくとも1つの溶媒、および
(d)組成物の総重量に基づいて、0〜30重量%の水
含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、
(a)組成物の総重量に基づいて、60〜85重量%の前記脂肪族モノカルボン酸の混合物、および
(b)組成物の総重量に基づいて、15〜40重量%の前記乳化剤
含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、
(a)組成物の総重量に基づいて、10〜60重量%の前記脂肪族モノカルボン酸の混合物、
(b)組成物の総重量に基づいて、10〜30重量%の前記乳化剤、
(c)組成物の総重量に基づいて、10〜40重量%の少なくとも1つの溶媒、および
(d)組成物の総重量に基づいて、10〜20重量%の水
含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
乳化剤が非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
非イオン性界面活性剤がアルコキシル化アルコール、アルコキシル化トリスチリルフェノール、ポリエトキシル化脂肪酸エステルおよびポリエトキシル化植物油からなる群より選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
− 請求項1〜6のいずれかに記載の組成物、および
− 水相
を含む水性エマルジョン。
【請求項8】
前記水性エマルジョンが、
− 水性エマルジョンの総体積に基づいて、0.1〜10体積%の請求項1〜6のいずれかに記載の組成物、および
− 水性エマルジョンの総体積に基づいて、90〜99.9体積%の水相
を含む、請求項7に記載の水性エマルジョン。
【請求項9】
請求項7または8に記載の水性エマルジョンの除草剤としての使用。
【請求項10】
請求項7または8に記載の水性エマルジョンの植物への適用を含む、植物成長を制御または抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飽和ノナン酸および/または飽和ノナン酸塩、少なくとも1つのモノ不飽和ノナン酸ならびに少なくとも1つの乳化剤を含む組成物、該組成物の製造方法および除草剤適用での該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
殺虫剤は、作物にダメージを与え、土壌生産性と作物の品質を損なう寄生生物(動物または植物)を除去するために農業で使用される化学物質である。
また、植物衛生製品として知られている植物保護製品は、一般的に、1つまたは次の複数の用途:すべての有害生物から植物または植物生成物を保護するかまたは植物生成物への影響を防ぐこと、その成長に影響を与える栄養素以外の物質の場合のように植物の生命プロセスに影響を及ぼすこと、植物生成物を維持すること、雑草植物またはその一部を破壊すること、または不要な植物の成長を制御または回避することを対象とした農薬製品の具体的な種類である。植物保護製品は、雑草植物を制御するために使用される物質である除草剤(herbicides)または除草剤(weedkillers)が含まれる。
【0003】
除草剤は、選択的にまたは全面的に(非選択的)作用してもよい。除草作用の選択性は、実質的に、活性成分の性質によっておよびさらにその濃度によって、除草剤が土壌または植物に適用される方法によって、およびそれを散布するために使用される機械手段によってでも決定される。
群葉に適用される除草剤は、葉組織および芽に有害な作用を有して局所的におよびその物質が一旦吸収され植物の根部分に移行される一般的な機構(浸透性または移行性除草剤)によるの両方で作用し得る。土壌に散布された除草剤は、直接根系を損傷することにより、または種子の発芽を防止することによって作用する。
【0004】
別の分類は、除草剤を、雑草が作物種と競合し得る前にそれらの生長を止めることによる苗の段階で雑草を攻撃する発芽前除草剤と雑草が成長したらその雑草を排除する発芽後除草剤とに分ける。発芽前除草剤は、環境に対して不利となり得る地中に残留物を残す傾向にある。
【0005】
除草剤用途での使用のための脂肪酸に基づく組成物は、文献で知られている。例えば、WO 91/05471、WO 91/054712およびEP 0 868 849特許出願を参照。
特に、ノナン酸は、一年生および多年生雑草、単子葉-および双子葉植物の両方、藻類およびコケ類の広い範囲に対して作用する。その除草作用は、典型的には雑草の発芽後に生じる、すなわち葉との接触により作動する。ノナン酸は、一般に、その製品が適用される雑草植物の地上部との接触により、乾燥剤として作用する。
【0006】
WAASA除草剤ハンドブック(1998年1月1日、55-57頁)に記載されているとおり、「Scythe」の商品名で市販されているノナン酸は、発芽した緑の植物の活発な成長を制御するために使用することができる、接触、非選択的な、広いスペクトルの葉適用除草剤である。
さらに、ノナン酸は残留作用を有していないので、地面を汚染しない。
しかし、除草剤適用でのノナン酸の使用に関連する欠点の中から、雑草植物の制御のその期間が、ほとんどの雑草の再生長のために十分に長くないということを挙げることができる。
【0007】
また、使用前に水で希釈することができ、除草活性が完全に保持されている脂肪酸の濃縮組成物を開発することが一般的に必要である。
得られる水性製剤は、使用の前に都合よく保存することができるように、安定でなければならず、かつ相分離を示してはならない。
特に、米国特許5,035,741には、20〜80%の少なくとも1つの脂肪酸、15〜75%の天然または合成油および2〜10%の乳化剤を含有する除草用組成物から得られる水性エマルジョンが記載されている。しかし、その組成物は、良好な除草活性と組み合わされた低いレベルの毒性を示し、安価である天然または合成油の使用を必ず必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
安定剤および/または補助剤の添加を最小限に抑えながら、容易に製剤化することができる、記載されたものに対する代替の除草剤組成物を見出すことの必要性が依然として存在し、それゆえ、それは、必要な場合に、除草用途におけるその有効性を維持しつつ、安定で、すぐに使用でき、水ベースのエマルジョンを得るために速やかに水で希釈することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、今、驚くべきことに、上記の技術的問題を解決する組成物を発見した。
特に、本出願人は、本発明に係る組成物が、高い安定性を有し、非選択性除草剤として、驚くべきことに非常に効果的である、安定した水ベースのエマルジョンを生じるように、有利に水で希釈することができ、予想外に市販のノナン酸ベースの除草剤と比較して雑草植物の制御のより長い期間を示すことを予想外に見出した。
【0010】
本発明の第一の態様は、
(a)次の:
− 飽和ノナン酸、および
− 式(I):
CH3-(CH2)m-CH=CH-(CH2)n-COOH
(式中、(m + n)の合計は5に等しく、mとnは個別に0または1、2、3、4および5から選択される整数を表す)
を有する少なくとも1つのモノ不飽和ノナン酸
(ここで、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、前記飽和ノナン酸と式(I)を有する前記モノ不飽和ノナン酸との総重量に基づき、0.5%〜15重量%の間、好ましくは0.5%〜10重量%の間、より好ましくは0.5%〜8重量%の間の量で存在する)
を含む脂肪族モノカルボン酸の混合物:および
(b)乳化剤
を含む組成物に関する。
【0011】
本発明に係る組成物は、容易に製剤化することができ、それは、有利に貯蔵および輸送することができるように高い安定性を都合よく有し得る。さらに、本発明に係る組成物は、有利には、非選択性除草剤として驚くほど効果的である。
本発明に係る組成物は、典型的には液相状態にある。
【0012】
本発明に係る組成物は、好ましくは、
(a)次の:
- 飽和ノナン酸、および
- 式(I):
CH3-(CH2)m-CH=CH-(CH2)n-COOH
(式中、(m+ n)の合計は5に等しく、mとnは個別に0または1、2、3、4および5から選択される整数を表す)
を有する少なくとも1つのモノ不飽和ノナン酸
(ここで、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、前記飽和ノナン酸と式(I)を有する前記モノ不飽和ノナン酸との総重量に基づき、0.5%〜15重量%の間、好ましくは0.5%〜10重量%の間、より好ましくは0.5%〜8重量%の間の量で存在する)
を含む脂肪族モノカルボン酸の混合物を、組成物の総重量に基づいて10〜85重量%、
(b)乳化剤を組成物の総重量に基づいて5〜40重量%、
(c)少なくとも1つの溶媒を組成物の総重量に基づいて0〜50重量%、および
(d)水を組成物の総重量に基づいて0〜30重量%
含む。
【0013】
本発明に係る組成物が更に少なくとも1つの溶媒を含む場合、該組成物は、典型的には、少なくとも一つの溶媒を組成物の総重量に基づいて5〜40重量%含む。
本発明に係る組成物が更に水を含む場合、該組成物は、典型的には、水を組成物の総重量に基づいて5〜20重量%含む。
【0014】
本発明の第一の実施形態において、本発明に係る組成物は、好ましくは、
(a)次の:
− 飽和ノナン酸、および
− 式(I):
CH3-(CH2)m-CH=CH-(CH2)n-COOH
(式中、(m+ n)の合計は5に等しく、mとnは個別に0または1、2、3、4および5から選択される整数を表す)
を有する少なくとも1つのモノ不飽和ノナン酸
(ここで、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、前記飽和ノナン酸と式(I)を有する前記モノ不飽和ノナン酸との総重量に基づき、0.5%〜15重量%の間、好ましくは0.5%〜10重量%の間、より好ましくは0.5%〜8重量%の間の量で存在する)
を含む脂肪族モノカルボン酸の混合物を、組成物の総重量に基づいて60〜85重量%、
(b)乳化剤を組成物の総重量に基づいて15〜40重量%
含む。
【0015】
本発明のこの第一の実施形態の組成物は、より好ましくは、
(a)次の:
− 飽和ノナン酸、および
− 式(I):
CH3-(CH2)m-CH=CH-(CH2)n-COOH
(式中、(m+ n)の合計は5に等しく、mとnは個別に0または1、2、3、4および5から選択される整数を表す)
を有する少なくとも1つのモノ不飽和ノナン酸
(ここで、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、前記飽和ノナン酸と式(I)を有する前記モノ不飽和ノナン酸との総重量に基づき、0.5%〜15重量%の間、好ましくは0.5%〜10重量%の間、より好ましくは0.5%〜8重量%の間の量で存在する)
を含む脂肪族モノカルボン酸の混合物を、組成物の総重量に基づいて70〜80重量%、
(b)乳化剤を組成物の総重量に基づいて20〜30重量%
含む。
【0016】
本発明の第二の実施形態において、本発明に係る組成物は、好ましくは、
(a)次の:
− 飽和ノナン酸、および
− 式(I):
CH3-(CH2)m-CH=CH-(CH2)n-COOH
(式中、(m+ n)の合計は5に等しく、mとnは個別に0または1、2、3、4および5から選択される整数を表す)
を有する少なくとも1つのモノ不飽和ノナン酸
(ここで、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、前記飽和ノナン酸と式(I)を有する前記モノ不飽和ノナン酸との総重量に基づき、0.5%〜15重量%の間、好ましくは0.5%〜10重量%の間、より好ましくは0.5%〜8重量%の間の量で存在する)
を含む脂肪族モノカルボン酸の混合物を、組成物の総重量に基づいて10〜60重量%、
(b)乳化剤を組成物の総重量に基づいて10〜30重量%、
(c)少なくとも1つの溶媒を組成物の総重量に基づいて10〜40重量%、および
(d)水を組成物の総重量に基づいて10〜20重量%
含む。
【0017】
本発明のこの実施形態に係る組成物は、より好ましくは、
(a)次の:
− 飽和ノナン酸、および
− 式(I):
CH3-(CH2)m-CH=CH-(CH2)n-COOH
(式中、(m+ n)の合計は5に等しく、mとnは個別に0または1、2、3、4および5から選択される整数を表す)
を有する少なくとも1つのモノ不飽和ノナン酸
(ここで、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、前記飽和ノナン酸と式(I)を有する前記モノ不飽和ノナン酸との総重量に基づき、0.5%〜15重量%の間、好ましくは0.5%〜10重量%の間、より好ましくは0.5%〜8重量%の間の量で存在する)
を含む脂肪族モノカルボン酸の混合物を、組成物の総重量に基づいて10〜40重量%、
(b)乳化剤を組成物の総重量に基づいて10〜30重量%、
(c)少なくとも1つの溶媒を組成物の総重量に基づいて10〜40重量%、および
(d)水を組成物の総重量に基づいて10〜20重量%
含む。
【0018】
本発明の1つの実施形態によれば、飽和ノナン酸は、飽和ノナン酸塩の形態、典型的には、飽和ノナン酸アンモニウム塩の形態で使用することができる。
【0019】
本発明に係る組成物の飽和ノナン酸は、一般に植物油から製造される。本発明に係る組成物に使用するのに適した飽和ノナン酸を製造するのに使用される植物油は、典型的には、ヒマワリ油、アブラナ科、例えばハマナのアビシニカ(abyssinica)、アブラナ属のカリナタ(carinata)、セイヨウアブラナ(ナタネ)からの油、およびアザミ連、例えばチョウセンアザミ(カルドン)からの油からなる群から選択される。本発明に係る組成物の飽和ノナン酸は、好ましくは、ヒマワリ油またはカルドン油から製造される。
【0020】
本発明に係る組成物の飽和ノナン酸は、典型的には、1つ以上の酸化剤、例えば特許EP 2 519 489に記載されているような酸化剤の存在下、植物油、好ましくはヒマワリ油またはカルドン油の酸化開裂プロセスにより有利に製造される。植物油の酸化開裂プロセスは、有利には、オゾンの不在下で行われる。
【0021】
この植物油の酸化開裂プロセスは、飽和脂肪族モノカルボン酸、特に飽和ノナン酸を製造するために当技術分野で一般に知られている方法、例えば、ナタネもしくは獣脂油に対するオゾン分解プロセスまたはオレフィン、特に1-オクテンに対するヒドロホルミル化プロセスのような方法とは一般的に区別される。
本発明に係る組成物の式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、一般的に植物油から製造される。
本発明に係る組成物の脂肪族モノカルボン酸は、典型的にはガスクロマトグラフィー(GC)、好ましくは、質量分析(MS)と組み合わせたガスクロマトグラフィー(GC-MS)による、一般に知られている技術を使用して特徴付けることができる。
【0022】
本発明に係る組成物中の式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、ヨウ素価を測定することによって定量的に決定される。ヨウ素価は、一般的に知られている技術を用いて、典型的には、ASTM法D 1959-97に設定された標準的な手順に従って測定され得る。
式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、典型的には、シスおよびトランス異性体からなる混合物、好ましくは、4-、5-、6-および7-ノネン酸のシスおよびトランス異性体からなる混合物の形態で存在し、一般的に、その中で前記混合物の少なくとも50重量%が5-、6-および7-ノネン酸のトランス異性体を構成する。
【0023】
本発明に係る組成物の脂肪族モノカルボン酸の混合物は、少なくとも1つのさらなるカルボン酸、特に脂肪族カルボン酸を含み得る。本発明に係る組成物の脂肪族モノカルボン酸の混合物は、少なくとも1つの更なる脂肪族カルボン酸を混合物の総重量に基づいて、10重量%まで、好ましくは1〜5重量%含み得る。任意のさらなる脂肪族カルボン酸は、存在する場合、好ましくはカプリル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、10-ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リシノール酸およびそれらの混合物からなる群から選択される飽和脂肪族モノカルボン酸である。
【0024】
本発明に係る組成物の脂肪族モノカルボン酸の混合物は、少なくとも1つのさらなる除草剤を含んでいてもよい。任意のさらなる除草剤は、グリホセート、スルホニル尿素、カルフェントラゾン-エチル、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0025】
特定の非限定的な除草剤の例としては、例えば、以下の活性成分:アクロニフェン(aclonifen)、アミドスルフロン、アミノピラリド、アジムスルフロン、ベンフルラリン、ベンスルフロン-メチル、ビフェノックス、ビスピラック(bispyrac)-ナトリウム、シハロホップ-ブチル、シクロキシジム(cycloxidim)、シプロスルファミド、クレトジム、クロジナホップ(clodinafop)-プロパルギル、クロマゾン、クロピラリド、クロキントセット-メキシル、クロロトルロン、クロルプロファム、クロルスルフロン、ダゾメット、デスメジファム、ジカンバ、ジクロホップ-メチル、ジフルフェニカン、ジメテナミド-P、エトフメセート、エトキシスルフロン、フェンクロリム、フェノキサプロップ-P-エチル、フラザスルフロン、フロラスラム、フルアジホップ(fluazifop)-P-ブチル、フルフェナセット、フルロキシピル、ホラムスルフロン、グリホサート、グリホサートトリメシウム、グリホセートアンモニウム、ハロキシホップ-P、イマザモックス、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン-メチル-ナトリウム、イオキシニル、イソプロツロン、イソキサベン、イソキサフルトール、レナシル、メソスルフロン-メチル、メソトリオン、メタミトロン、メタム-ナトリウム、メタザクロール(methazachlor)、メトブロムロン(metobromuron)、メトスラム、メトリブジン、メトスルフロン-メチル、ニコスルフロン、オルトスルファムロン(orthosulfamuron)、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサスルフロン、オキシフルオルフェン、ペンジメタリン、ペノクススラム、ペトキサマイド(pethoxamid)、ピコリナフェン、ピリデート、プロピザミド、プロスルフロン、ピラフルフェン-エチル、リムスルフロン、S-メトラクロール、スルコトリオン、スルホスルフロン、テンボトリオン、テルブチルアジン、チフェンスルフロン-メチル、トリアレート、トラルコキシジム、トリアスルフロン、トリベヌロン-メチル、トリフルスルフロン-メチルおよびトリトスルフロンを含む。
【0026】
本発明に係る組成物の乳化剤は、典型的には、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む。
本発明の目的のために、「非イオン性界面活性剤」の用語は、電荷を保有せず、親水性部分および親油性部分を含有する界面活性剤を意味することを理解されたい。
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化トリスチリルフェノール、ポリエトキシル化脂肪酸エステルおよびポリエトキシル化植物油からなる群より選択される。
【0027】
アルコキシル化アルコールの例は、例えば、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマーまたはエチレンオキシド-プロピレンオキシドランダムコポリマーのようなエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマーを含む。
【0028】
ポリエトキシル化脂肪酸エステルの例は、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸からなる群から選択される少なくとも1つの脂肪酸とソルビタンの少なくとも部分エステルのポリエトキシル化誘導体、特に、オレイン酸と3,6-ソルビタンモノエステルのポリエトキシル化誘導体を含む。
【0029】
具体的な、オレイン酸と3,6-ソルビタンモノエステルのポリエトキシル化誘導体の非限定的な例は、例えば、20〜50モルの間、より好ましくは25〜40モルの間の量でのオキシエチレン単位を含有するものを含む。
ポリエトキシル化植物油の例としては、例えば、脂肪族カルボン酸トリグリセリド、特に飽和および/または不飽和の脂肪族C14〜C20カルボン酸のポリエトキシル化誘導体を含む。
具体的な、脂肪族カルボン酸トリグリセリドのポリエトキシル化誘導体の非限定的な例は、例えばポリエトキシル化ヒマシ油を含む。
ポリエトキシル化ヒマシ油は、好ましくは20〜50モルの間、より好ましくは25〜40モルの間の量でオキシエチレン単位を含む。
本発明に係る組成物のポリエトキシル化脂肪酸中およびポリエトキシル化植物油中のオキシエチレン単位のモル含有量は、従来技術で一般的に知られている方法のいずれかに従って決定することができる。
【0030】
本発明に係る組成物の乳化剤で使用するのに適した非イオン性界面活性剤は、好ましくは、12以上の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。
親水性-親油性バランス(HLB)は乳化剤の親水性の度合いの大きさである。
本発明に係る組成物の乳化剤に用いられる非イオン性界面活性剤の親水性-親油性バランス(HLB)値は、典型的には、従来技術において一般的に周知の任意の方法に従って測定される。
本発明の目的のために、「両性界面活性剤」の用語は、酸性環境中でカチオン性界面活性剤として、またはアルカリ性環境中でアニオン性界面活性剤として挙動する界面活性剤を意味すると理解されたい。
両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタインからなる群から選択される。
【0031】
本発明に係る組成物はさらに、少なくとも1つの有機溶媒を含んでいてもよい。
本発明に係る組成物中の適切な有機溶媒は、典型的には非水溶性有機溶媒からなる群から選択される。
非水溶性有機溶媒は、典型的には、脂肪族炭化水素、例えばジカルボン酸のジエステルまたはジカルボン酸のエステルアミドのようなカルボン酸エステル、アルコール、グリコール、ポリアルキレングリコール、植物油および植物油のエステルからなる群から選択される。
本発明の第2の態様は、本発明に係る組成物の製造方法に関し、該方法は、
(a)次の:
− 飽和ノナン酸、および
− 式(I):
CH3-(CH2)m-CH=CH-(CH2)n-COOH
(式中、(m+ n)の合計は5に等しく、mとnは個別に0または1、2、3、4および5から選択される整数を表す)
を有する少なくとも1つのモノ不飽和ノナン酸
(ここで、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、前記飽和ノナン酸と式(I)を有する前記モノ不飽和ノナン酸との総重量に基づき、0.5%〜15重量%の間、好ましくは0.5%〜10重量%の間、より好ましくは0.5%〜8重量%の間の量で存在する)
を含む脂肪族モノカルボン酸の混合物、および
(b)乳化剤
を含む組成物を混合する、典型的には撹拌で混合することを含む。
【0032】
均一な組成物が得られるように、当該技術分野における当業者は、プロセス条件を適合させるであろう。
本発明に係る方法で使用される組成物は、上記のように定義される。
【0033】
本発明の第3の態様は、
− 本発明に係る組成物、および
− 水相
を含む水性エマルジョンに関する。
本発明に係る水性エマルジョンは、有利には、水相中に本発明に係る組成物を希釈することによって製造される。
本発明に係る水性エマルジョンは、典型的には、
− 水性エマルジョンの総体積に基づいて、本発明に係る組成物を0.1〜10体積%、および
− 水性エマルジョンの総体積に基づいて、水相を90〜99.9体積%
含む。
【0034】
本発明に係る水性エマルジョンは、好ましくは、
− 水性エマルジョンの総体積に基づいて、本発明に係る組成物を0.1〜8体積%、および
− 水性エマルジョンの総体積に基づいて、水相を92〜99.9体積%
含む。
【0035】
本発明の目的のために、「エマルジョン」の用語は、乳化剤によって安定化された2つの不混和性液相から構成される分散系を意味すると理解されたい。エマルジョンは、典型的には、一般に0.5μm〜100μmの間の平均直径の液滴の形態で、その一方が他方中に分散された2つの不混和性液相を有する。
【0036】
したがって、エマルジョンは、2つの不混和性液相が互いに分離された混合物とは異なる。
本発明に係る水性エマルジョンは、有利には、水中油型エマルジョンである。
その水相は、典型的には、水と任意に有機溶媒を含む。
その水相は、好ましくは、実質的に水からなる。
【0037】
本出願人は、本発明に係る水性エマルジョンが、安定剤および/または補助剤の添加を最小限にして、広い温度範囲にわたって、典型的には4℃〜30℃の間で驚くほど安定であり、有利に保存することができることを驚くべきことに見出した。実際、相分離は、短期間にわたってであろうと長期間にわたってであろうと、本発明に係る水性エマルジョン中で観察されない。
本発明により水性エマルジョンは、優れた除草活性を示す。
特に、本発明に係る水性エマルジョンは、優れた非選択的除草活性を示し、発芽後除草剤として特に有効である。
【0038】
したがって、本発明の第4の態様は、除草剤として水性エマルジョンの使用に関する。
本発明の1つの実施形態によれば、水性エマルジョンは、乾燥剤作用を有する除草剤として使用することができる。
本発明の第5の態様は、植物の成長を制御または抑制するための方法に関し、該方法は、本発明に係る水性エマルジョンの植物への適用を含む。
本発明に係る水性エマルジョンは、典型的には、噴霧によって植物に適用され、該噴霧は、一般的に植物の根元または葉に向けられる。
【実施例】
【0039】
以下の実施例は、非限定的様式で本発明を例示する。
材料
混合物(以下に示される「混合物A」)は、
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、飽和ノナン酸を96.3重量%、および
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸を3.7重量%
を含む。
【0040】
以下に示される「混合物B」の混合物において、混合物Aの飽和ノナン酸は、飽和ノナン酸のアンモニウム塩を生じさせるため塩化された。得られる混合物Bは、
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、飽和ノナン酸を96.3重量%、および
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸を3.7重量%
含む。
【0041】
混合物(以下に示される「混合物C」)は、
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、飽和ノナン酸を98.75重量%、および
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸を1.25重量%
含む。
【0042】
混合物(以下に示される「混合物D」)は、
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、飽和ノナン酸を97.5重量%、および
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸を2.5重量%
含む。
【0043】
混合物(以下に示される「混合物E」)は、
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、飽和ノナン酸を95.0重量%、および
− 飽和ノナン酸と式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸の総重量に基づいて、式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸を5.0重量%
含む。
【0044】
混合物A〜Eの飽和ノナン酸は、ヒマワリ油からの酸化開裂プロセスによって得られた。
混合物A〜Eの式(I)を有するモノ不飽和ノナン酸は、4-、5-、6-および7-ノネン酸のシスおよびトランス異性体からなる混合物の形態であった。
商品名BELOUKHA(登録商標)で市販の除草製剤は、71.96重量%の飽和ノナン酸と100重量%までの乳化剤を含む(26/02/2016のイタリアの行政法令によって承認されたラベル)(以下に示される「除草製剤1」)。
【0045】
商品名FINALSAN(登録商標)Erbicida Professionalで市販の除草製剤は、18.8重量%の飽和ノナン酸と100重量%までの乳化剤を含む(ラベル1−労働衛生および社会政策のイタリア省の18/06/2009の登録番号12461)(以下に示される「除草製剤2」)。
【0046】
ポリエトキシル化ヒマシ油は、36モルのオキシエチレンユニットを含む(HLB:13.2)(以下に示される「乳化剤A」)。
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートは、20モルのオキシエチレンユニットを含む(HLB:15.0)(以下示される「乳化剤B」)。
エチレンオキサイド(EO)-プロピレンオキシド(PO)ブロックコポリマー(EO:PO = 70:30)(以下に示される「乳化剤C」)。
C12-C14アルキルジメチルベタイン(以下に示される「乳化剤D」)。
【0047】
メチル 5-(ジメチルアミノ)-2-メチル-5-オキソペンタノエート(以下に示される「溶媒A」)。
式CH30C(O)-(CH2)X-C(O)OCH3(ここで、xは2、3または4を表す)を有するジカルボン酸ジメチルエステルの混合物(以下に示される「溶媒B」)。
プロピレングリコール(以下に示される「溶媒C」)。
【0048】
実施例1
混合物Aを乳化剤Aと混合することにより組成物を製造した。
得られた組成物は、
− 組成物の総重量に基づいて、72重量%の混合物A、および
− 組成物の総重量に基づいて、28重量%の乳化剤A
を含む。
【0049】
実施例2
乳化剤として乳化剤Bを使用した以外は、実施例1に記載の手順に従って組成物を製造した。
得られた組成物は、
− 組成物の総重量に基づいて、72重量%の混合物A、および
− 組成物の総重量に基づいて、28重量%の乳化剤B
を含む。
【0050】
実施例3
混合物Aを乳化剤C、溶媒Aおよび水と混合することにより組成物を製造した。
得られた組成物は、
− 組成物の総重量に基づいて、20重量%の混合物A、
− 組成物の総重量に基づいて、30重量%の乳化剤C、
− 組成物の総重量に基づいて、30重量%の混合物A、および
− 組成物の総重量に基づいて、20重量%の水
を含む。
【0051】
実施例4
混合物Aを乳化剤C、溶媒BおよびCならびに水と混合することにより組成物を製造した。
得られた組成物は、
− 組成物の総重量に基づいて、20重量%の混合物A、
− 組成物の総重量に基づいて、20重量%の乳化剤C、
− 組成物の総重量に基づいて、20重量%の混合物B、
− 組成物の総重量に基づいて、20重量%の混合物C、および
− 組成物の総重量に基づいて、20重量%の水
を含む。
【0052】
実施例5
混合物Bを乳化剤Dおよび水と混合することにより組成物を製造した。
得られた組成物は、
− 組成物の総重量に基づいて、30重量%の混合物B、
− 組成物の総重量に基づいて、10重量%の乳化剤D、および
− 組成物の総重量に基づいて、60重量%の水
を含む。
【0053】
実施例6
混合物Cを用いた以外は、実施例1に記載の手順に従って組成物を製造した。
【0054】
実施例7
混合物Dを用いた以外は、実施例1に記載の手順に従って組成物を製造した。
【0055】
実施例8
混合物Eを用いた以外は、実施例1に記載の手順に従って組成物を製造した。
【0056】
本発明に係る実施例1〜8の組成物は、高い安定性を有し、安定な、水ベースのエマルジョンを生じるように、有利に水で希釈され得る。
特に、実施例1〜8の組成物は、水性エマルジョンの総体積に基づいて、8体積%の最終濃度を有する安定な水性エマルジョンを得るように、水に希釈された。
【0057】
特に、実施例1および2の水性エマルジョンの安定性は、(下記の条件下、水に希釈から10分、30分、1時間および24時間経過後の)様々な時間間隔でCIPAC標準法MT 36により20℃で試験された。
相分離が観察されない場合、水性エマルジョンは安定であると見なされる。
その結果を表1に示す。
【0058】
比較例1
水性組成物は、水性組成物の総体積に基づいて、8体積%の最終濃度で水に除草製剤1を希釈することによって製造された。
比較例1の水性エマルジョンの安定性は、(下記の条件下、水に希釈から10分、30分、1時間および24時間経過後の)様々な時間間隔でCIPAC標準法MT 36により20℃で試験された。
その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に記載の結果により示されるように、本発明に係る水性エマルジョンは、例えば本発明に係る実施例1および2のそれぞれの組成物から得られる水性エマルジョンによって表されるように、20℃で驚くほど安定で、水に希釈から24時間後さえも相分離が観察されない。
本発明に係る水性エマルジョンは、有利には、使用前に保存され得る。
対照的に、比較例1の水性組成物は、不都合に、水に希釈からわずか10分後に相分離を示す。
【0061】
さらに、本発明に係る実施例1の組成物の除草活性が、エノコログサ(L.)Beauv.のような単子葉植物で試験され、除草製剤1の除草活性と比較された。
最後に、本発明に係る実施例3〜5の組成物の除草活性が、エノコログサ(L.)Beauv.およびケイヌビエ(L.)Beauv.のような単子葉植物およびイヌホウズキL.のような双子葉植物で試験され、除草製剤2の除草活性と比較された。
除草有効性は、植物成長において50%の減少を達成するために必要な除草剤の用量[kg/ha]であるED50に基づいて評価された。
その結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
表2に記載の結果により示されるように、本発明に係る実施例1の組成物は、除草製剤1のそれよりも大きい除草有効性を示す。さらに、本発明に係る実施例3〜5の組成物は、除草剤製剤2のそれよりも大きな除草有効性を示す。
【0064】
比較例2
飽和ノナン酸を乳化剤Aと混合することにより組成物を製造した。
得られる組成物は、
− 組成物の総重量に基づいて、72重量%の飽和ノナン酸、および
− 組成物の総重量に基づいて、28重量%の乳化剤A
を含む。
そのように得られた組成物は、水性エマルジョンの総体積に基づいて、8体積%の最終濃度を有する安定な水性エマルジョンを得るために水に希釈された。
【0065】
本発明に係る実施例6〜8の組成物の除草活性が、オウシュウヨモギL.およびポテンティラ レプタンスL.のような双子葉植物で試験され、モノ不飽和ノナン酸なしの比較例2の組成物の除草活性と比較された。
【0066】
除草有効性は、未処理の乾燥物質に対して、処理後の乾燥物質の重量減少に基づいて、(ヘクタール当たり水300 1で散布された)16 1/haのフィールド量で評価された。
それぞれ20 m2の3つのプロットで表される3回反復を有するスリットプロット実験設計が試験に適用された。組成物の除草有効性を定量化するために、すべての処理は、オープンフィールド条件でのバックパック噴霧器を使用して2〜3葉の成長段階でオウシュウヨモギL.とポテンティラ レプタンスL.の植物に噴霧された。各命題のために、各雑草の地上バイオマスが7と12 DAA(適用後の日数)で採取され、一定重量に達するまで105±1℃でオーブン乾燥され、上記サンプルの乾燥物質(DM)含量および乾燥重量を測定するために秤量された。
7日後、好ましくは12日後、未処理の乾燥物質に対して処理後の乾燥物質の重量減少が高いほど、除草有効性が高い。
その結果を表3に示す。
表3に記載の結果により示されるように、本発明に係る実施例6、7および8のいずれの組成物も、予想外に、比較例2の組成物と比較して、雑草植物の制御のより長い期間を示す。
【0067】
【表3】