【実施例1】
【0013】
図1(a)は実施例1の漏水検出装置の使用状態を示す水道管縦断面図で、(b)はこの装置の部品構成を示す斜視図、(c)はこの装置の主要部側面図である。
図1(a)に示すように、この装置は、水道管12の中にシェル16を挿入して水道管12の水漏れ箇所40を検出する。シェル16はケーブル14の先端に取り付けられている。
【0014】
ケーブル14はドラム26に巻き付けられており、測長器28を介して水道管12の中に繰り出される。水道管12にはあらかじめケーブル14を挿入するための孔が開けられている。ここに貫通式の導入機構30が取り付けられている。この貫通式の導入機構30は、水道管12から水道水が溢れ出ないような状態で、ケーブル14を送り込むことができる構造になっている。これは既知のもので、
図2で例示する。
【0015】
図1(b)に示すように、シェル16の中にはカメラ18と照明20とが収容されている。
図1(c)に示すように、シェル16の中のカメラ18は、例えば、広角レンズにより図の破線に示すような範囲のものが撮影できるように取り付けられている。そして、シェル16の、このカメラ18の撮影可能な範囲に浮遊体38が取り付けられ支持されている。
【0016】
この浮遊体38は、水道水の中で浮き上がり、水の流れにより変形したり向きを変えるような柔軟な紐やリボン等の線条体により構成されている。浮遊体38全体が水に浮く素材でなくてもよい。浮遊体38の一部が水中で水の流れに任せて浮遊する性質の材料であってもよい。
【0017】
照明20は、浮遊体38を照らして、カメラ18による浮遊体38の状態の撮影を可能にするためのものである。このシェル16を水道管12の内部に投入すると、浮遊体38が水道水の流れに応じて様々な動きをする。これをカメラ18で撮影して、ケーブル14を通じて信号を取り出して、モニタ22にです表示して監視できるように構成されている。
【0018】
図1(a)に示したように、ケーブル14を巻き付けたドラム26の横に、モニタ22と電源24とを配置している。浮遊体38の特徴的な動きから水漏れ箇所を検出する。ケーブル14は測長器28を経由して送り出される。これによって、水道管12中のシェル16の位置を計測することができる。
【0019】
即ち、浮遊体38は、水道管12の中で水道水の流れによって揺れ動き向きを変える。もし水道管12に水漏れ箇所があれば、浮遊体38はその方向に向きを変える。あるいは特徴的な変形をする。これをモニタ22で監視して、水漏れ箇所40の位置を特定することができる。
【0020】
図2には
図1に示した貫通式の導入機構30の具体例断面図を示す。
この構造は既知のものである。導入機構30はこの図に示すように、水道管12に固定するクランプ36とバルブ32と導入管34とから構成されている。バルブ32はこれを閉栓したとき水道管12に開けた孔を塞ぐように取り付けられる。バルブ32の上には、導入管34か取り付けらる。
【0021】
図2(a)の状態では、バルブ32は水道水が水道管12から外部に噴出しないように流れを塞いでいる。ここで、バルブ32を開いて、シェル16とケーブル14を導入管34を通じて水道管12に押し込む。導入管34は、ケーブル14の周囲をパッキングで包むようにして貫通させて、水漏れを抑えている。
【0022】
これで、水道管12中の水道水の流れを止めないでシェル16とケーブル14を水道管12中に投入できる。なお、このほかにも、例えば消火栓や水道管の分岐部分など様々な場所からこの要領でシェル16とケーブル14を水道管12中に投入できる。
【0023】
図3は、上記のシェル16が水道管12の中を移動する状態を示す水道管の縦断面図である。
この図の例では、水道水は水道管12の左から右方向に流れているものとする。シェル16はケーブル14によって水道管12内に押し込まれ、左から右の方向に進行するものとする。
【0024】
ここでシェル16の頭部に取り付けられた浮遊体38は、水道水の流れによって前方になびき、この状態で水道管12の中を移動していく。シェル16の内部に設けられたカメラ18は浮遊体38の状態を撮影する。これを地上でモニタ22で監視する。
【0025】
ここで、
図3(b)に示すように、水道管12に水漏れ箇所40が存在したとする。このとき水道水の一部が図中の矢印のほうに漏れ出している。シェル16が水漏れ箇所40に近づくにつれて、浮遊体38は漏れている水の流れによって水漏れ箇所40の方向に曲がる。
【0026】
図3(c)に示すようにシェル16が水漏れ箇所40のすぐ近くに達すると、浮遊体38はその先端を水漏れ箇所40の方向に向けて立ち上がるような状態になる。これをカメラ18で監視すれば、地上で浮遊体38の向いた方向に水漏れ箇所40が存在するということを認識できる。
【0027】
水漏れ箇所40を検出したときのケーブル14の繰り出し長さを、測長器28を確認して記録しておけば、その後水漏れ箇所の補修場所を高い精度で特定できる。さらにカメラ18で撮影した画像を保存しておけば、修復作業の作業計画に利用することができる。
【0028】
図4はシェル16の進行方向と水道水の流れの方向が逆の場合の例を示す水道管の縦断面図である。
図4(a)に示すように、シェル16がケーブル14によって押し込まれて左から右に進行すると、この進行方向と水道水の流れの方向が逆の場合には、浮遊体38は水道水の流れの方向に弓なりに折れ曲がる。
【0029】
カメラ18の広角レンズによって浮遊体38全体が常に視野に入っていれば、この状態を監視できる。ここでシェル16をさらに図の右の方向に進行させる。
図4(b)に示すように、水道管12に水漏れ箇所40が存在したとすると、浮遊体38は水漏れ箇所40の方向にその先端を湾曲させる。このように、シェル16を水道水の流れの方向と逆方向に移動させたとしても、浮遊体38の状態を監視していれば、特徴的な形状になり、水漏れ箇所40を容易に検出することができる。
【0030】
図
4(c)は、シェル16の下側に水漏れ箇所40が存在する場合の水道管の縦断面図である。この図に示すように、シェル16の下側に水漏れ箇所40が存在すると、シェル16中のカメラ18の視界を外れるおそれがある。しかしながら、図のように、シェル16の頭部に取り付けられた浮遊体38が、シェル16が水漏れ箇所40を通過する前に特徴的に折れ曲がるからそれを検出できる。
【実施例2】
【0031】
図
5は、実施例2の水漏れ検出装置の動作例を示す水道管の縦断面図である。
この実施例の場合には、シェル16の頭部に支持体42を介して浮遊体38を支持している。支持体42は棒状のものでよい。できるだけシェル16の前方で水道管12の中心軸付近に先端が位置するような形状のものが好ましい。
【0032】
そして、支持体42の先端近傍には、短い柔軟な紐やリボンによる浮遊体38を取り付ける。例えば、風向や風力を調べる吹き流しのような構造のものでもよい。このような構造を採用すると、カメラ18をシェル16の前方に向けて、常時浮遊体38全体を撮影して監視することができる。即ち、シェルの一方にある支持体の先端近傍だけをカメラで撮影すればよい。
【0033】
図
5(a)に示すのは、水道水の流れの方向がシェル16の進行方向と同じ場合である。支持体42の先端の浮遊体38はシェル16の進行方向になびいている。一方、図
5(b)に示すのは、水道水の流れの方向がシェル16の進行方向の反対方向の場合である。支持体42の先端の浮遊体38はシェル16の進行方向と逆方向になびいている。
【0034】
ここで、水道管12に水漏れ箇所40が存在すると、水漏れ箇所40がどの部分にあっても、支持体42の先端に取り付けられた浮遊体38は、図
5(c)に示すように水漏れ箇所40の方向に向く。シェル16の前方にある支持体42をカメラ18で撮影できれば、破線のような視角の範囲で、浮遊体38の動きを間違いなく監視して、水漏れ箇所を検出できる。
【0035】
本発明の水漏れ検出装置によれば、水道管の内部に、簡単な機構のカメラと付属物を投入するだけで、微少な水漏れ箇所等の存在を発見しその位置検出をすることができる。流速計や集音マイク等の様々な機器を不要とし、カメラの撮影した映像を監視するだけで、水漏れの有無だけでなく、浮遊体の変形の仕方から漏れの程度も推測できる。
【0036】
なお、カメラ18と照明20とは別体のものを例示したが両者が一体化されたものでも構わない。また、上記の例では、比較的剛性の高いケーブル14でシェル16を押し出すようにしたが、シェル16をケーブル14で引き取るようにして移動させても構わない。また、測長器28による測長データはカメラ18で撮影した画像とともにモニタ22にディスプレイ表示される。従って、これらの画像を合成してカメラ18あるいはモニタ22に内蔵された記憶装置に記憶させておくとよい。これにより自動処理も可能になる。