(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エポキシ樹脂、シアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、及びベンゾオキサジン化合物から選択される群のうち、いずれか1種以上の化合物(F)を更に含有する、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で、適宜に変形して実施できる。なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」の両方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」の両方を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」の両方を意味する。また、本実施形態において、「樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、溶剤及び充填材(D)を除いた成分をいい、「樹脂固形分100質量部」とは、樹脂組成物における溶剤及び充填材(D)を除いた成分の合計が100質量部であることをいうものとする。
【0031】
本実施形態の樹脂組成物は、特定のエポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)と、特定のホスフィンオキシド化合物(B)を含有する。
【0032】
<エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)>
本実施形態で使用するエポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)は、活性エネルギー線硬化性(光硬化性)樹脂であり、下記式(1)で表されるものであり、1種単独で用いてもよく、構造異性体及び立体異性体等の異性体を含んでいてもよく、互いに構造が異なる化合物を2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
【0034】
ここで、式(1)中、複数のR
1は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、その中でも、光硬化反応の反応性を向上させる観点から水素原子を含むことが好ましく、より好ましくはR
1の全てが水素原子である。
【0035】
複数のR
2は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、その中でも、硬化物の耐熱性を向上させる観点からメチル基を含むことが好ましく、より好ましくはR
2の全てがメチル基である。
【0036】
複数のR
3は、各々独立に、下記式(2)で表される置換基、下記式(3)で表される置換基又はヒドロキシ基を示し、その中でも、耐熱性を向上させる観点から、ヒドロキシル基を含むことが好ましい。また、本実施形形態では、複数のR
3のうち、式(2)で表される置換基を含むエポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)を用いることも、現像性を向上させる観点から、好ましい。本実施形形態では、複数のR
3のうち、式(3)で表される置換基を含むエポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)を用いることも、耐熱性を向上させる観点から、好ましい。また、式(3)中、R
4は、水素原子又はメチル基を示し、その中でも、光硬化反応の反応性を向上させる観点から、水素原子であることが好ましい。
【0037】
また、複数のR
3は、現像性を向上させる観点から、全てのR
3の置換基のうち、式(2)で表される置換基の比率が20%以上85%以下、式(3)で表される置換基の比率が5%以上70%以下、ヒドロキシ基の比率が10%以上75%以下であることが好ましい。
【0040】
エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)としては、以下の化合物(A1)〜(A5)のいずれか一種以上を含むことが、光硬化反応の反応性、硬化物の耐熱性及び現像性を向上させることができるため好ましく、少なくとも化合物(A1)を含むことがより好ましく、化合物(A1)〜(A5)のいずれか2種以上を含むこともより好ましく、化合物(A1)及び化合物(A2)〜(A5)のいずれか1種以上を含むことが更に好ましい。エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)としては、少なくとも化合物(A2)及び(A3)を含むことも好ましい。
【0046】
このようなエポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)は、市販品を利用することもでき、例えばKAYARAD(登録商標)ZCR−6001H、KAYARAD(登録商標)ZCR−6002H、KAYARAD(登録商標)ZCR−6006H、KAYARAD(登録商標)ZCR−6007H(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
【0047】
エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)の含有量は、特に限定されず、樹脂組成物を活性エネルギー線で硬化させるという観点から、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは2質量部以上であり、更に好ましくは3質量部以上である。また、活性エネルギー線で十分に硬化させ、耐熱性を向上させるという観点から、樹脂固形分100質量部に対し、好ましくは99質量部以下であり、より好ましくは98質量部以下であり、更に好ましくは97質量部以下である。
【0048】
また、エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)の酸価は、特に限定されず、現像性を向上させる観点から好ましくは30mgKOH/g以上であり、より好ましくは50mgKOH/g以上である。また、活性エネルギー線で硬化させた後に現像液による溶解を防止する観点から、好ましくは120mgKOH/g以下であり、より好ましくは110mgKOH/g以下である。なお、本実施形態における「酸価」は、JISK 0070:1992に準じた方法で測定される値を示す。
【0049】
<ホスフィンオキシド化合物(B)>
本実施形態で使用するホスフィンオキシド化合物(B)は、エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)の光硬化性を向上させるための活性エネルギー線重合開始剤(光硬化開始剤)であり、下記式(4)で表されるものである。
【0051】
ここで、式(4)中、R
5〜R
10は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R
11は、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示す。
【0052】
このようなホスフィンオキシド化合物(B)は、市販品を使用してもよく、常法により合成してもよい。かかる市販品としては、下記式(5)で表される化合物(フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド:BASFジャパン(株)製のIrgacure(登録商標)819)等が挙げられる。これらのホスフィンオキシド化合物(B)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
ホスフィンオキシド化合物(B)の含有量は、特に制限されず、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜30質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜25質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜20質量部である。ホスフィンオキシド化合物(B)の含有量が上記範囲内であることにより、感光性樹脂組成物としての塗膜性及び現像性に優れ、かつ、得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)及びめっき密着性が更に一層向上する傾向にある。
【0055】
<マレイミド化合物(C)>
本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物(C)を更に含有していてもよい。マレイミド化合物(C)としては、分子中に一個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、フェニルメタンマレイミド、o−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、o−フェニレンビスシトラコンイミド、m−フェニレンビスシトラコンイミド、p−フェニレンビスシトラコンイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、4,4−ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、2,2−ビス[4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ノボラック型マレイミド化合物、ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、下記式(10)で表されるマレイミド化合物、下記式(11)で表されるマレイミド化合物、及びこれらマレイミド化合物のプレポリマー、又はマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマー等が挙げられる。
【0057】
式(10)中、複数のR
5は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。n
1は、1以上の整数を表し、好ましくは1〜10の整数を表し、より好ましくは1〜5の整数を表す。
【0059】
式(10)中、複数のR
6は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。n
2は、1以上の整数を表し、好ましくは1〜5の整数を表す。
【0060】
これらのマレイミド化合は1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。この中でも、耐熱性に優れるという観点から、前記式(10)で表されるマレイミド化合物、及び前記式(11)で表される化合物が好ましく、前記式(10)で表されるマレイミド化合物がより好ましい。前記式(10)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもでき、例えば、BMI−2300(大和化成工業(株)社製)が挙げられる。前記式(11)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもでき、例えば、MIR−3000(日本化薬(株)社製)が挙げられる。
【0061】
マレイミド化合物(C)の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.02質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.03質量部〜20質量部であり、更により好ましくは0.1質量部〜10質量部であり、より更により好ましくは1質量部〜7質量部である。マレイミド化合物(C)の含有量が上記範囲内であることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向にある。
【0062】
<充填材(D)>
本実施形態の樹脂組成物は、充填材(D)を更に含有していてもよい。充填材(D)としては、絶縁性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカ等のシリカ類、ホワイトカーボン、チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の酸化物、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物、酸化モリブデンやモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、E−ガラス、A−ガラス、NE−ガラス、C−ガラス、L−ガラス、D−ガラス、S−ガラス、M−ガラスG20、ガラス短繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等のガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラス等の無機系の充填材の他、シリコーンパウダー、フッ素樹脂系充填材、ウレタン樹脂系充填材、アクリル樹脂系充填材、ポリエチレン系充填材、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム等の有機系の充填材が挙げられる。これらのなかでも、シリカ、ベーマイト、硫酸バリウム、シリコーンパウダー、フッ素樹脂系充填材、ウレタン樹脂系充填材、アクリル樹脂系充填材、ポリエチレン系充填材、スチレン・ブタジエンゴム、及びシリコーンゴムからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0063】
また、無機系の充填材のなかでは、特に、硬化物の耐熱性が更に向上する観点から、シリカが好ましく、溶融シリカが殊に好ましい。シリカの具体例としては、デンカ(株)製のSFP−130MC等、(株)アドマテックス製のSC2050―MB、SC2050―MNU、SC1050−MLE、YA010C−MFN、YA050C−MJA等が挙げられる。
【0064】
さらに、有機系の充填材のなかでは、フッ素樹脂系充填材が好ましく、特に、配線埋め込み性及び配線埋め込み後の吸湿耐熱性を良好にすることができる観点から、シリカを表面に付着させたフッ素樹脂系充填材が殊に好ましい。フッ素樹脂系充填材に用いられるフッ素樹脂粒子としては、特に限定されず、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(PCTFE)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。これらのなかでも、電気特性に優れる観点から、PTFEが殊に好ましい。
【0065】
充填材(D)の含有量は、特に制限されず、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは5質量部〜400質量部であり、より好ましくは10質量部〜350質量部であり、更に好ましくは15質量部〜300質量部である。充填材(D)の含有量が上記範囲内であることにより、硬化物の熱膨張係数がより低下し、かつ、耐熱性がより向上する傾向にある。
【0066】
<エチレン性不飽和基を有する化合物(E)>
本実施形態の樹脂組成物は、活性エネルギー線による硬化性(例えば紫外線による光硬化性等)を高めるために、上記エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(E)を更に含有していてもよい。かかるエチレン性不飽和基を有する化合物(E)は、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(但し、上記エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)を除く)であれば、特に限定されず、好ましい具体例としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び/又はビニル基を有する化合物等が挙げられる。
【0067】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、フェニルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ) アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アジピン酸エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールエチレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペングリコールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0068】
この他にも、(メタ)アクリロイル基とウレタン結合を同一分子内に併せ持つウレタン(メタ)アクリレート類、同様に(メタ)アクリロイル基とエステル結合を同一分子内に併せ持つポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂から誘導され、(メタ)アクリロイル基を併せ持つエポキシ(メタ)アクリレート類、これらの結合が複合的に用いられている反応性オリゴマー等も挙げられる。
【0069】
上記ウレタン(メタ)アクリレート類とは、水酸基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネート、必要に応じて用いられるその他アルコール類との反応物である。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等のグリセリン(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の糖アルコール(メタ)アクリレート類と、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキサンメチレンジイソシアネート、及びそれらのイソシアヌレート、ビュレット反応物等のポリイソシアネート等を反応させ、ウレタン(メタ)アクリレート類となる。
【0070】
上記エポキシ(メタ)アクリレート類とは、エポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのカルボキシレート化合物である。例えば、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格含有エポキシ(メタ)アクリレート、グリオキサール型エポキシ(メタ)アクリレート、複素環式エポキシ(メタ)アクリレート、及びこれらの酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0071】
ビニル基を有する化合物としては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル類が挙げられる。スチレン類としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。その他ビニル化合物としてはトリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、ビスアリルナジイミド等が挙げられる。
【0072】
これらのエチレン性不飽和基を有する化合物(E)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのなかでも、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格含有エポキシ(メタ)アクリレート、ビスアリルナジイミドからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。このような種類のエチレン性不飽和基を有する化合物(E)を含むことにより、得られる硬化物の耐熱性がより向上する傾向にある。
【0073】
<その他の成分としての化合物(F)>
本実施形態の樹脂組成物は、上記各成分の他、必要に応じて、更なる他の成分としての化合物(F)を含有していてもよい。かかる化合物(F)としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、シアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、及びベンゾオキサジン化合物から選択される群のうち、いずれか1種以上が挙げられる。
【0074】
〔エポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されず、具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、ブタジエン等の二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物、及びこれらのハロゲン化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのなかでも、硬化物の難燃性及び耐熱性がより向上する観点から、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0075】
エポキシ樹脂の含有量は、特に制限されず、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜40質量部である。エポキシ樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、硬化物の耐熱性と耐薬品性がより向上する傾向にある。
【0076】
〔シアン酸エステル化合物〕
シアン酸エステル化合物としては、シアナト基(シアン酸エステル基)が少なくとも1個置換された芳香族部分を分子内に有する樹脂であれば特に限定されない。
【0077】
かかるシアン酸エステル化合物としては、例えば式(6)で表されるものが挙げられる。
【0079】
ここで、式(6)中、Ar
1は、ベンゼン環、ナフタレン環又は2つのベンゼン環が単結合したものを表す。複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。Raは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜12のアリール基とが結合された基を示す。Raにおける芳香環は置換基を有していてもよく、Ar
1及びRaにおける置換基は任意の位置を選択できる。pはAr
1に結合するシアナト基の数を示し、各々独立に1〜3の整数である。qはAr
1に結合するRaの数を示し、Ar
1がベンゼン環の時は4−p、ナフタレン環の時は6−p、2つのベンゼン環が単結合したものの時は8−pである。tは平均繰り返し数を示し、0〜50の整数であり、他のシアン酸エステル化合物(C)は、tが異なる化合物の混合物であってもよい。Xは、複数ある場合は各々独立に、単結合、炭素数1〜50の2価の有機基(水素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。)、窒素数1〜10の2価の有機基(例えば−N−R−N−(ここでRは有機基を示す。))、カルボニル基(−CO−)、カルボキシ基(−C(=O)O−)、カルボニルジオキサイド基(−OC(=O)O−)、スルホニル基(−SO
2−)、2価の硫黄原子又は2価の酸素原子のいずれかを示す。
【0080】
式(6)のRaにおけるアルキル基は、直鎖又は分枝の鎖状構造、及び、環状構造(例えばシクロアルキル基等)いずれを有していてもよい。
【0081】
また、式(6)におけるアルキル基及びRaにおけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、又はシアノ基等で置換されていてもよい。
【0082】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、及びトリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0083】
アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、及びo−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。更にアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、及びtert−ブトキシ基等が挙げられる。
【0084】
式(6)のXにおける炭素数1〜50の2価の有機基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘキシレン基、ビフェニルイルメチレン基、ジメチルメチレン−フェニレン−ジメチルメチレン基、フルオレンジイル基、及びフタリドジイル基等が挙げられる。該2価の有機基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0085】
式(6)のXにおける窒素数1〜10の2価の有機基としては、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
【0086】
また、式(6)中のXの有機基として、例えば、下記式(7)又は下記式(8)で表される構造であるものが挙げられる。
【0088】
ここで、式(7)中、Ar
2はベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基又はビフェニルテトライル基を示し、uが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rb、Rc、Rf、及びRgは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、トリフルオロメチル基、又はフェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有するアリール基を示す。Rd及び、Reは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシル基、又はヒドロキシ基のいずれか1種から選択される。uは0〜5の整数を示す。
【0090】
ここで、式(8)中、Ar
3はベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基又はビフェニルテトライル基を示し、vが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。Ri、及びRjは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ベンジル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、又はシアナト基が少なくとも1個置換されたアリール基を示す。vは0〜5の整数を示すが、vが異なる化合物の混合物であってもよい。
【0091】
さらに、式(6)中のXとしては、下記式で表される2価の基が挙げられる。
【0093】
ここで、式中、zは4〜7の整数を示す。Rkは各々独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0094】
式(7)のAr
2及び式(8)のAr
3の具体例としては、式(7)に示す2個の炭素原子、又は式(8)に示す2個の酸素原子が、1,4位又は1,3位に結合するベンゼンテトライル基、上記2個の炭素原子又は2個の酸素原子が4,4’位、2,4’位、2,2’位、2,3’位、3,3’位、又は3,4’位に結合するビフェニルテトライル基、及び、上記2個の炭素原子又は2個の酸素原子が、2,6位、1,5位、1,6位、1,8位、1,3位、1,4位、又は2,7位に結合するナフタレンテトライル基が挙げられる。
【0095】
式(7)のRb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、並びに式(8)のRi、Rjにおけるアルキル基及びアリール基は、上記式(6)におけるものと同義である。
【0096】
上記式(6)で表されるシアナト置換芳香族化合物の具体例としては、シアナトベンゼン、1−シアナト−2−,1−シアナト−3−,又は1−シアナト−4−メチルベンゼン、1−シアナト−2−,1−シアナト−3−,又は1−シアナト−4−メトキシベンゼン、1−シアナト−2,3−,1−シアナト−2,4−,1−シアナト−2,5−,1−シアナト−2,6−,1−シアナト−3,4−又は1−シアナト−3,5−ジメチルベンゼン、シアナトエチルベンゼン、シアナトブチルベンゼン、シアナトオクチルベンゼン、シアナトノニルベンゼン、2−(4−シアナフェニル)−2−フェニルプロパン(4−α−クミルフェノールのシアネート)、1−シアナト−4−シクロヘキシルベンゼン、1−シアナト−4−ビニルベンゼン、1−シアナト−2−又は1−シアナト−3−クロロベンゼン、1−シアナト−2,6−ジクロロベンゼン、1−シアナト−2−メチル−3−クロロベンゼン、シアナトニトロベンゼン、1−シアナト−4−ニトロ−2−エチルベンゼン、1−シアナト−2−メトキシ−4−アリルベンゼン(オイゲノールのシアネート)、メチル(4−シアナトフェニル)スルフィド、1−シアナト−3−トリフルオロメチルベンゼン、4−シアナトビフェニル、1−シアナト−2−又は1−シアナト−4−アセチルベンゼン、4−シアナトベンズアルデヒド、4−シアナト安息香酸メチルエステル、4−シアナト安息香酸フェニルエステル、1−シアナト−4−アセトアミノベンゼン、4−シアナトベンゾフェノン、1−シアナト−2,6−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,2−ジシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナト−2−tert−ブチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,4−ジメチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−5−メチルベンゼン、1−シアナト又は2−シアナトナフタレン、1−シアナト4−メトキシナフタレン、2−シアナト−6−メチルナフタレン、2−シアナト−7−メトキシナフタレン、2,2’−ジシアナト−1,1’−ビナフチル、1,3−,1,4−,1,5−,1,6−,1,7−,2,3−,2,6−又は2,7−ジシアナトシナフタレン、2,2’−又は4,4’−ジシアナトビフェニル、4,4’−ジシアナトオクタフルオロビフェニル、2,4’−又は4,4’−ジシアナトジフェニルメタン、ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルプロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3−ジメチルブタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)オクタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルペンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルペンタン、4,4−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,4−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2,4−トリメチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−シアナトフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−シアナトフェニル)ビフェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−シアナト−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−シアナトフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジクロロエチレン、1,3−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4−[ビス(4−シアナトフェニル)メチル]ビフェニル、4,4−ジシアナトベンゾフェノン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−プロペン−1−オン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルフィド、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、4−シアナト安息香酸−4−シアナトフェニルエステル(4−シアナトフェニル−4−シアナトベンゾエート)、ビス−(4−シアナトフェニル)カーボネート、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(フェノールフタレインのシアネート)、3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(o−クレゾールフタレインのシアネート)、9,9’−ビス(4−シアナトフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)フルオレン、トリス(4−シアナトフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1,3−トリス(4−シアナトフェニル)プロパン、α,α,α’−トリス(4−シアナトフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、1,1,2,2−テトラキス(4−シアナトフェニル)エタン、テトラキス(4−シアナトフェニル)メタン、2,4,6−トリス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−6−(N−メチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−3−シアナト−4−メチルフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナトフェニル)−4,4’−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタルイミド、トリス(3,5−ジメチル−4−シアナトベンジル)イソシアヌレート、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−(4−メチルフェニル)−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フタルイミジン、1−メチル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オン、及び、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オンが挙げられる。
【0097】
また、上記式(6)で表される化合物の別の具体例としては、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂(公知の方法により、フェノール、アルキル置換フェノール又はハロゲン置換フェノールと、ホルマリンやパラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド化合物とを、酸性溶液中で反応させたもの)、トリスフェノールノボラック樹脂(ヒドロキシベンズアルデヒドとフェノールとを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フルオレンノボラック樹脂(フルオレノン化合物と9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類を酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂及びビフェニルアラルキル樹脂(公知の方法により、Ar
4−(CH
2Y)
2(Ar
4はフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示す。以下、この段落において同様。)で表されるようなビスハロゲノメチル化合物とフェノール化合物とを酸性触媒若しくは無触媒で反応させたもの、Ar
4−(CH
2OR)
2で表されるようなビス(アルコキシメチル)化合物とフェノール化合物とを酸性触媒の存在下に反応させたもの、又は、Ar
4−(CH
2OH)
2で表されるようなビス(ヒドロキシメチル)化合物とフェノール化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの、あるいは、芳香族アルデヒド化合物とアラルキル化合物とフェノール化合物とを重縮合させたもの)、フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、キシレンホルムアルデヒド樹脂とフェノール化合物とを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、変性ナフタレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、ナフタレンホルムアルデヒド樹脂とヒドロキシ置換芳香族化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フェノール変性ジシクロペンタジエン樹脂、ポリナフチレンエーテル構造を有するフェノール樹脂(公知の方法により、フェノール性ヒドロキシ基を1分子中に2つ以上有する多価ヒドロキシナフタレン化合物を、塩基性触媒の存在下に脱水縮合させたもの)等のフェノール樹脂を、上述と同様の方法によりシアネート化したもの等、並びにこれらのプレポリマー等が挙げられる。これらは、特に制限されるものではない。これらの他のシアン酸エステル化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
これらのなかでも、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフチレンエーテル型シアン酸エステル化合物、キシレン樹脂型シアン酸エステル化合物、アダマンタン骨格型シアン酸エステル化合物が好ましく、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物が特に好ましい。
【0099】
これらのシアン酸エステル化合物を用いた樹脂硬化物は、ガラス転移温度(Tg)、低熱膨張性、めっき密着性等に優れた特性を有する。
【0100】
これらのシアン酸エステル化合物の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。かかる製法の例としては、所望の骨格を有するヒドロキシ基含有化合物を入手又は合成し、当該ヒドロキシ基を公知の手法により修飾してシアネート化する方法が挙げられる。ヒドロキシ基をシアネート化する手法としては、例えば、Ian Hamerton,“Chemistry and Technology of Cyanate Ester Resins,”Blackie Academic & Professionalに記載の手法が挙げられる。
【0101】
シアン酸エステル化合物の含有量は、特に制限されず、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜40質量部である。シアン酸エステル化合物の含有量が上記範囲内であることにより、硬化物の耐熱性と耐薬品性がより向上する傾向にある。
【0102】
〔フェノール樹脂〕
フェノール樹脂としては、分子中に2個以上のヒドロキシル基を有するフェノール樹脂であれば、特に限定されず、具体例としては、例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、重合性不飽和炭化水素基含有フェノール樹脂及び水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられる。これらのフェノール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、硬化物の難燃性がより向上する観点から、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、水酸基含有シリコーン樹脂がより好ましい。
【0103】
フェノール樹脂の含有量は、特に制限されず、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜40質量部である。フェノール樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、硬化物の耐熱性と耐薬品性がより向上する傾向にある。
【0104】
〔オキセタン樹脂〕
オキセタン樹脂としては、一般に公知のものを使用でき、具体例としては、例えば、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT−101(東亞合成製商品名)、OXT−121(東亞合成製商品名)等が挙げられる。これらのオキセタン樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0105】
オキセタン樹脂の含有量は、特に制限されず、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜40質量部である。オキセタン樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、硬化物の耐熱性と耐薬品性がより向上する傾向にある。
【0106】
〔ベンゾオキサジン化合物〕
ベンゾオキサジン化合物としては、分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、特に限定されず、具体例としては、例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA−BXZ(小西化学製商品名)、ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF−BXZ(小西化学製商品名)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS−BXZ(小西化学製商品名)、フェノールフタレイン型ベンゾオキサジン等が挙げられる。これらのベンゾオキサジン化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0107】
ベンゾオキサジン化合物の含有量は、特に制限されず、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜50質量部であり、より好ましくは0.2質量部〜45質量部であり、更に好ましくは0.3質量部〜40質量部である。ベンゾオキサジン化合物の含有量が上記範囲内であることにより、硬化物の耐熱性と耐薬品性がより向上する傾向にある。
【0108】
<熱硬化促進剤(G)>
本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化促進剤(G)を更に含んでもよい。熱硬化促進剤(G)としては、特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチル−ジ−パーフタレート等で例示される有機過酸化物;アゾビスニトリル等のアゾ化合物;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジメチルピリジン、2−N−エチルアニリノエタノール、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N−メチルピペリジン等のアミン化合物;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール等のフェノール類;ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫マレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトン鉄等の有機金属塩;これら有機金属塩をフェノール、ビスフェノール等の水酸基含有化合物に溶解してなるもの;塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウム等の無機金属塩;ジオクチル錫オキサイド、その他のアルキル錫、アルキル錫オキサイド等の有機錫化合物;1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられる。これらの熱硬化促進剤(G)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0109】
<シランカップリング剤及び湿潤分散剤>
本実施形態の樹脂組成物は、充填材(D)の分散性、樹脂と充填材(D)の接着強度等を向上させる観点から、シランカップリング剤や湿潤分散剤を更に含有していてもよい。
【0110】
シランカップリング剤としては、一般に充填材の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されず、具体例としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系;γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン系;N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等のカチオニックシラン系;フェニルシラン系のシランカップリング剤等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0111】
湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されず、具体例としては、例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK−110、111、118、180、161、BYK−W996、W9010、W903等の湿潤分散剤が挙げられる。これらの湿潤分散剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0112】
<難燃剤>
本実施形態の樹脂組成物は、硬化物の難燃性、耐熱性、熱膨張特性等を更に向上させる観点から、難燃剤を更に含有していてもよい。難燃剤としては、絶縁性を有するものであれば、特に限定されず、具体例としては、例えば、デカブロモジフェニルエタン、4,4−ジブロモビフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド等の臭素化有機化合物が挙げられる。これらの難燃剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0113】
<溶剤>
本実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物の調製時における粘度を所望に調整し易くすることができる観点から、溶剤を更に含有していてもよい。溶剤としては、樹脂組成物中の樹脂の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されず、具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテート等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0114】
<その他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、これまでに挙げられていない熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類等の種々の高分子化合物;これまでに挙げられていない難燃性の化合物;添加剤等を更に含有していてもよい。かかるその他の成分としては、一般に使用されているものであれば、特に限定されず、例えば、難燃性の化合物としては、メラミンやベンゾグアナミン等の窒素含有化合物、オキサジン環含有化合物、及びリン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等が挙げられる。また、添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、表面調整剤、光沢剤、重合禁止剤等が挙げられる。これらの他の成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0115】
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述した各成分を順次溶剤に配合し、十分に攪拌する方法が挙げられる。この際、各成分を均一に溶解又は分散させるため、攪拌、混合、混練処理等の公知の処理を行うことができる。具体的には、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことにより、樹脂組成物に対する充填材(D)の分散性を向上させることができる。上記の攪拌、混合、混練処理は、例えば、超音波ホモジナイザー等の分散を目的とした攪拌装置、三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置等の公知の装置を用いて適宜行うことができる。また、本実施形態の樹脂組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂を溶解可能なものであれば、特に限定されず、その具体例は、上述したとおりである。
【0116】
<用途>
本実施形態の樹脂組成物は、絶縁性の樹脂組成物が必要とされる用途に使用することができ、その用途は特に限定されず、具体例としては、例えば、樹脂シート、プリント配線板、半導体装置等に好適に使用することができる。
【0117】
<樹脂シート>
本実施形態の樹脂シートは、本実施形態の樹脂組成物を含有する。ここで、樹脂シートとは、薄葉化の1つの手段として用いられるもので、例えば、樹脂組成物をシート状に成形してなるものを含む。樹脂シートとしては、支持体と、該支持体上に配された上記樹脂組成物とを有する樹脂シート(積層樹脂シート)や、上記支持体等を使用することなくシート状に成形された樹脂シート(単層樹脂シート)を含む。樹脂シートの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。
【0118】
例えば、上記積層樹脂シートは、金属箔やフィルム等の支持体に、直接、本実施形態の樹脂組成物を塗布及び乾燥することにより得ることができる。塗布方法としては、例えば、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。
【0119】
ここで用いる支持体としては、特に限定されず、各種プリント配線板材料に用いられている公知の物を使用することができ、例えば、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリカーボネートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、及びこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム等の有機系のフィルム基材、アルミニウム箔、銅箔、金箔等の導体箔、ガラス板、SUS板、FPR等の板状の無機系フィルムが挙げられる。これらのなかでも、圧延銅箔や電解銅箔等の銅箔、及びPETフィルムが好ましい。
【0120】
積層樹脂シートは、上記樹脂組成物を支持体に塗布後、半硬化(Bステージ化)させたものであることが好ましい。具体的には、例えば、上記樹脂組成物を銅箔等の支持体に塗布した後、20℃〜200℃の乾燥機中で、1分間〜90分間加熱する方法等により半硬化させ、積層樹脂シートを製造する方法等が挙げられる。支持体に対する樹脂組成物の付着量は、積層樹脂シートの樹脂厚で、例えば0.1μm〜500μmの範囲が好ましい。
【0121】
上記単層樹脂シートは、本実施形態の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形することで、支持体を用いることなく得ることができる。また、単層樹脂シートは、上記積層樹脂シートから、支持体を剥離又はエッチングすることにより得ることもできる。
【0122】
さらに、本実施形態における樹脂シートにおいて、樹脂組成物層は、保護フィルムで保護されていてもよい。樹脂組成物層側を保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムとしては上記の樹脂フィルムと同様の材料により構成されたフィルムを用いることができる。
【0123】
<プリント配線板>
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の樹脂組成物を含有する。具体的には、例えば、絶縁層と、該絶縁層の表面に形成された導体層とを含むプリント配線板であって、絶縁層が、本実施形態の樹脂組成物を含有する。かかるプリント配線板は、常法にしたがって製造することができ、その製造方法は特に限定されない。以下、本実施形態の樹脂シートを用いたプリント配線板の製造方法における手順の一例について説明する。本実施形態の樹脂シートは、プリント配線板の層間絶縁層として好適に使用することができ、本実施形態の樹脂シートを1枚以上重ねて硬化して得ることができる。
【0124】
(成形工程)
具体的には、まず、本実施形態の樹脂シートの樹脂組成物層側を回路基板の片面又は両面に成形する。成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板及び多層板の手法が適用でき、真空ラミネートにより成形することもできる。回路基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、セラミック基板、シリコン基板、半導体封止樹脂基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された基板をいう。また、導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっている基板も、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。
【0125】
(ラミネート工程)
次に、成形工程において、樹脂シートが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを剥離除去した後、必要に応じて樹脂シート及び回路基板をプレヒートし、樹脂組成物層を加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本実施形態の樹脂シートにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。
【0126】
ラミネート条件としては、特に限定されず、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは50℃〜140℃とし、圧着圧力を好ましくは1kgf/cm
2〜15kgf/cm
2、圧着時間を好ましくは5秒間〜300秒間とし、空気圧を20mmHg以下とする減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネート工程は、バッチ式であってもロールを用いる連続式であってもよい。真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター等を挙げることができる。
【0127】
(露光工程)
ラミネート工程により、回路基板上に樹脂シートが設けられた後、樹脂組成物層の所定部分に活性エネルギー線を照射し、照射部の樹脂組成物層を硬化させる露光工程を行う。活性エネルギー線の照射は、マスクパターンを通してもよいし、活性エネルギー線を直接照射する直接描画法を用いてもよい。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量は概ね10mJ/cm
2〜1000mJ/cm
2である。マスクパターンを通す露光方法には、マスクパターンをプリント配線板に密着させて行う接触露光法と、密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法とがあり、いずれの露光法を用いてもかまわない。また、樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体上から露光してもよいし、支持体を剥離後に露光してもよい。
【0128】
(現像工程)
露光工程後、樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、その支持体を除去した後、ウェット現像により、光硬化されていない部分(未露光部)を除去して現像することにより、絶縁層のパターンを形成することができる。
【0129】
上記ウェット現像の場合、現像液としては、未露光部分を選択的に溶出するものであれば、特に限定されず、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液が用いられる。本実施形態においては、特にアルカリ性水溶液を用いることが好ましい。これらの現像液は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、現像方法も特に限定されず、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法で行うことができる。
【0130】
現像液として使用されるアルカリ水溶液としては、特に限定されず、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、4−ホウ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
【0131】
上記アルカリ水溶液の濃度は、現像液全量に対して0.1質量%〜60質量%であることが好ましい。また、アルカリ水溶液の温度は、現像性にあわせて調節することができる。さらに、これらのアルカリ水溶液は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0132】
本実施形態のパターン形成においては、必要に応じて、上述した2種類以上の現像方法を併用してもよい。現像の方式には、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、高圧スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには好適である。スプレー方式を採用する場合のスプレー圧としては、0.02MPa〜0.5MPaが好ましい。
【0133】
(ポストベーク工程)
上記現像工程終了後、ポストベーク工程を行い、絶縁層(硬化物)を形成する。ポストベーク工程としては、高圧水銀ランプによる紫外線照射工程やクリーンオーブンを用いた加熱工程等が挙げられ、これらを併用することも可能である。紫外線を照射させる場合には、必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.05J/cm
2〜10J/cm
2程度の照射量で照射を行うことができる。また、加熱の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量等に応じて適宜選択することができ、好ましくは150℃〜220℃で20分間〜180分間の範囲、より好ましくは160℃〜200℃で30分間〜150分間の範囲で選択される。
【0134】
絶縁層表面に導体層がある場合、穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、さらに、外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成することにより、プリント配線板が製造される。
【0135】
絶縁層表面に導体層がない場合、次に、乾式めっき又は湿式めっきによりや絶縁層表面に導体層を形成する。乾式めっきとしては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法を使用することができる。蒸着法(真空蒸着法)は、例えば、支持体を真空容器内に入れ、金属を加熱蒸発させることにより絶縁層上に金属膜形成を行うことができる。スパッタリング法も、例えば、支持体を真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により絶縁層上に金属膜形成を行うことができる。
【0136】
湿式めっきの場合は、形成された絶縁層の表面に対して、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行うことによって絶縁層表面を粗化する。膨潤液による膨潤処理は、絶縁層を50℃〜80℃で1分間〜20分間膨潤液に浸漬させることで行われる。膨潤液としては、アルカリ溶液が挙げられ、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられる。市販されている膨潤液としては、例えば、上村工業(株)製のアップデスMDS−37等を挙げることができる。
【0137】
酸化剤による粗化処理は、絶縁層を60℃〜80℃で5分間〜30分間酸化剤溶液に浸漬させることで行われる。酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等を挙げることができる。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%とするのが好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、上村工業(株)製アップデスMDE−40、アップデスELC−SH等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。中和液による中和処理は、30℃〜50℃で1分間〜10分間中和液に浸漬させることで行われる。中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、上村工業(株)製のアップデスMDN−62が挙げられる。
【0138】
次いで、無電解めっきと電解めっきとを組み合わせて導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解めっきのみで導体層を形成することもできる。その後のパターン形成の方法として、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法等を用いることができる。
【0139】
<半導体装置>
本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物を含有する層間絶縁層を備え、具体的には、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、本実施形態の多層プリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより半導体装置を製造することができる。ここで、導通箇所とは、多層プリント配線板における電気信号を伝える箇所のことであって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
【0140】
本実施形態の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されず、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法等が挙げられる。
【0141】
また、本実施形態の樹脂シートを半導体チップにラミネートすることによっても、半導体装置を製造することができる。ラミネート後は前述の多層プリント配線板と同様の方法を用いて製造することができる。
【実施例】
【0142】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0143】
〔合成例1〕ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(SNCN)の合成
1−ナフトールアラルキル樹脂(新日鉄住金化学株式会社製)300g(OH基換算1.28mol)及びトリエチルアミン194.6g(1.92mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.5mol)をジクロロメタン1800gに溶解させ、これを溶液1とした。
【0144】
一方、塩化シアン125.9g(2.05mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.6mol)、ジクロロメタン293.8g、36%塩酸194.5g(1.92mol)(ヒドロキシ基1molに対して1.5mol)、水1205.9gを、混合し、溶液2とした。溶液2を撹拌下、液温−2〜−0.5℃に保ちながら、溶液2に対して溶液1を30分かけて注下した。溶液1注下終了後、同温度にて30分撹拌した後、トリエチルアミン65g(0.64mol)(ヒドロキシ基1molに対して0.5mol)をジクロロメタン65gに溶解させた溶液(溶液3)を10分かけて溶液2に対して注下した。溶液3注下終了後、同温度にて30分撹拌して反応を完結させた。
【0145】
その後、反応液を静置して有機相と水相を分離した。得られた有機相を水1300gで5回洗浄した。水洗5回目の廃水の電気伝導度は5μS/cmであり、水による洗浄により、除けるイオン性化合物は十分に除けられたことを確認した。
【0146】
水洗後の有機相を減圧下で濃縮し、最終的に90℃で1時間濃縮乾固させて、目的とするナフトールアラルキル型のシアン酸エステル化合物(SNCN)(橙色粘性物)を331g得た。得られたSNCNの質量平均分子量Mwは600であった。また、SNCNのIRスペクトルは2250cm
-1(シアン酸エステル基)の吸収を示し、かつ、ヒドロキシ基の吸収は示さなかった。
【0147】
(実施例1)
エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)として、上記式(1)で表されるTrisP−PA型エポキシアクリレート化合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(KAYARAD(登録商標)ZCR−6007H、不揮発分65質量%、酸価:70mgKOH/g、日本化薬(株)製)を50.4質量部、光硬化開始剤であるホスフィンオキシド化合物(B)として、上記式(5)で表されるフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)819、BASFジャパン(株)製)6.5質量部、マレイミド化合物(C)として、マレイミド化合物(BMI−2300、大和化成工業(株)製、マレイミド当量:186g/eq.)3.3質量部、充填材(D)として、エポキシシラン処理シリカのMEKスラリー(SC2050MB、メジアン径0.5μm、不揮発分70質量%、(株)アドマテックス製)50質量部、エチレン性不飽和基を有する化合物(E)として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)17.4質量部、及び、化合物(F)であるエポキシ樹脂として、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂(XD−1000、日本化薬(株)製、エポキシ当量:240g/eq.〜260g/eq.)22.4質量部を配合し、超音波ホモジナイザーで攪拌してワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。なお、KAYARAD(登録商標)ZCR−6007Hは、上記化合物(A1)及び上記化合物(A2)〜(A5)のいずれか一種以上を含む混合物である。
【0148】
(実施例2)
化合物(F)であるエポキシ樹脂として、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂(XD−1000、日本化薬(株)製、エポキシ当量:240g/eq.〜260g/eq.)に代えて、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000L、日本化薬(株)製、エポキシ当量:260g/eq.〜290g/eq.)22.4質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてワニスを得た。
【0149】
(実施例3)
化合物(F)であるエポキシ樹脂としてのジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂(XD−1000、日本化薬(株)製、エポキシ当量:240g/eq.〜260g/eq.)を21.9質量部とし、化合物(F)であるシアン酸エステル化合物として、合成例1のナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物(SNCN、シアネート当量:261g/eq.)0.5質量部を更に配合したこと以外は、実施例1と同様にしてワニスを得た。
【0150】
(比較例1)
光硬化開始剤であるホスフィンオキシド化合物(B)としての上記式(5)で表されるフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)819、BASFジャパン(株)製)に代えて、光硬化開始剤として、下記式(9)で表される2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure(登録商標)369、BASFジャパン(株)製)6.5質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にしてワニスを得た。
【0151】
【化22】
【0152】
(比較例2)
光硬化開始剤であるホスフィンオキシド化合物(B)としての上記式(5)で表されるフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)819、BASFジャパン(株)製)に代えて、光硬化開始剤として、上記式(9)で表される2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(Irgacure(登録商標)369、BASFジャパン(株)製)6.5質量部を配合したこと以外は、実施例2と同様にしてワニスを得た。
【0153】
(比較例3)
エポキシ(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)としての上記式(1)で表されるTrisP−PA型エポキシアクリレート化合物のPGMEA溶液(KAYARAD(登録商標)ZCR−6007H、不揮発分65質量%、酸価:70mgKOH/g、日本化薬(株)製)に代えて、エチレン性不飽和基を有する化合物(E)として、酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート化合物のPGMEA溶液(KAYARAD(登録商標)ZFR−1553H、不揮発分68質量%、酸価:70mgKOH/g、日本化薬(株)製)50.4質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にしてワニスを得た。
【0154】
(樹脂シートの作製)
実施例1〜3及び比較例1〜3で得たワニスを、それぞれ、厚さ38μmのPETフィルム(ユニピールTR1−38、ユニチカ(株)製、商品名)上に塗布し、80℃で7分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂組成物層の厚さが40μmである樹脂シートを得た。
【0155】
(内層回路基板の作製)
内層回路を形成したガラス布基材BT樹脂両面銅張積層板(銅箔厚さ18μm、厚み0.2mm、三菱ガス化学(株)製CCL−HL832NS)の両面をメック(株)製CZ8100にて銅表面の粗化処理を行い、内層回路基板を得た。
【0156】
(評価用積層体の作製)
上記樹脂シートの樹脂面を内層回路基板上に配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、30秒間の真空引き(5.0MPa以下)を行った後、圧力10kgf/cm
2、温度70℃で30秒間の積層成形を行った。さらに、圧力10kgf/cm
2、温度70℃で60秒間の積層成形を行うことで内層回路基板と樹脂組成物層と支持体が積層された積層体を得た。得られた積層体に200mJ/cm
2の紫外線を照射する露光工程を施し、支持体を剥離して、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で現像し、さらに、1000mJ/cm
2の紫外線を照射する露光工程を施し、180℃、120分間加熱処理するポストベーク工程を施したものを評価用積層体とした。
【0157】
(評価用硬化物の作製)
上記樹脂シートに200mJ/cm
2の紫外線を照射し、さらに、1000mJ/cm
2の紫外線を照射する露光工程を施し、180℃、120分間加熱処理するポストベーク工程を施した後、支持体を剥離して、評価用硬化物とした。
【0158】
〔特性測定評価〕
実施例1〜3及び比較例1〜3で得たワニスを用いて作製した上記の各樹脂シート、各評価用積層体及び各評価用硬化物の諸特性を、以下の方法により測定評価した。結果をまとめて表1に示す。
【0159】
<塗膜性>
各樹脂シートの樹脂表面に測定者の指を軽く押し付け、指に対する張り付き程度を以下の基準で評価した。
○:指に対する張り付きがほとんど認められない。
×:指に対する張り付きが認められる。
【0160】
<現像性>
各評価用積層体の現像面を目視で観察した後、SEMにて観察(倍率1000倍)し、残渣の有無を以下の基準で評価した。
○:30mm角の範囲に現像残渣はなく、現像性が優れている。
×:30mm角の範囲に現像残渣があり、現像性が劣っている。
【0161】
<耐熱性(ガラス転移温度(Tg))>
各評価用硬化物をDMA装置(TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置DMAQ800)を用いて10℃/分で昇温し、LossModulusのピーク位置をガラス転移温度(Tg)とした。
【0162】
<めっき密着性>
各評価用硬化物に対し、以下の湿式粗化処理及び導体層めっき処理を行い、めっき密着性評価用試料を作製した。すなわち、まず、各評価用硬化物に、上村工業製の無電解銅めっきプロセス(使用薬液名:MCD−PL、MDP−2、MAT−SP、MAB−4−C、MEL−3−APEA ver.2)を用いて、約0.8μmの無電解銅めっきを施し、130℃で1時間の乾燥を行った。続いて、電解銅めっきをめっき銅の厚みが18μmになるように施し、180℃で1時間の乾燥を行った。こうして、絶縁層上に厚さ18μmの導体層(めっき銅)が形成されためっき密着性評価用試料を得た。次いで、各めっき密着性評価用試料について、めっき銅の接着力(銅箔引きはがし強さ)を、JIS C6481に準じて3回測定し、それらの平均値を求めた。なお、電解銅めっき後の乾燥において膨れためっき密着性評価用試料については、膨れていない部分を用いて測定を行った。
【0163】
【表1】
【0164】
表1から明らかなとおり、実施例1〜3は、十分な塗膜性及び現像性を有し、かつ、耐熱性及びめっき密着性にも優れている。これに対し、比較例1〜3は、いずれも実施例1〜3に比して耐熱性に劣っており、さらに、比較例3は、めっき密着性が不十分であることが判明した。従って、本発明によれば、十分な塗膜性及び現像性を有しつつ、耐熱性及びめっき密着性を改善することができる樹脂組成物、それを用いた樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置を得ることができる。