(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬入した前記箱体のうち前記箱体分類処理部により分類された前記作業者用箱体を作業者用領域へ、前記機械用箱体を機械用領域へそれぞれ分岐して搬送する分岐搬入路と、
前記作業者用領域と前記機械用領域の間に配置され、前記作業者用箱体と前記機械用箱体が積み付けられた前記収納容器を搬出する搬出路と、
を有することを特徴とする請求項1記載の積み付けシステム。
前記収納容器の前記長手方向内寸と前記幅方向内寸は、前記収納容器の内壁における前記長手方向の実内寸及び前記幅方向の実内寸からそれぞれ所定のマージンを差し引いた寸法であることを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項に記載の積み付けシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<1.積み付けシステムの全体構成>
まず、
図1を参照しつつ、本実施形態に係る積み付けシステムの構成の一例について説明する。
図1は本実施形態に係る積み付けシステムの全体構成の一例を示している。図示する本実施形態の例では、所定の物品を梱包した箱体を流通させる工程において、その箱体を複数個まとめて収納容器の内部に積み付ける作業を移送ロボットと作業者で協働して行う場合について説明する。
【0014】
図1において、積み付けシステム100は、分岐搬入装置1と、上位コントローラ2と、仕分け装置3と、ロボットコントローラ4と、移送ロボット5と、表示装置6と、搬出装置7とを有している。
【0015】
分岐搬入装置1(分岐搬入路)は、特に図示しない集積所から多数の箱体30を一列に並べて搬入し、その搬送路の途中の分岐点で分岐して作業者8が作業する作業者用領域1aと後述の移送ロボット5が作業する機械用領域1bのいずれかへ箱体30を個別に搬送する装置である。なお、箱体30を搬送する具体的な手段としては、ベルトコンベアを用いてもよいし、自律的に回転駆動する搬送ローラを用いてもよいし、高低差を利用して箱体30が自重で滑り落ちるようにしたガイドレールを用いてもよい(図示省略)。
【0016】
上位コントローラ2は、CPUやROM、RAMなどのメモリなどを備えたコンピュータ(
図7参照)、またはPLC(Programmable Logic Controller)等で構成され、後述の仕分け装置3やロボットコントローラ4へそれぞれ出力する制御指令情報や、後述の表示装置6に表示させる指示情報などを生成する制御装置である。この上位コントローラ2は、箱体分類処理部21と、手順指示部22とを有している。
【0017】
箱体分類処理部21は、上記分岐搬入装置1により搬入される多数の箱体30をそれぞれ個別に移送ロボット5によって積み付けるロボット用箱体31(機械用箱体)と、作業者8によって積み付ける作業者用箱体32のいずれに分類するかの箱体分類処理を行う。なお、この箱体分類処理の詳細については後述する。
【0018】
手順指示部22は、上記箱体分類処理部21により分類されたロボット用箱体31と作業者用箱体32をどの収納容器50に対してどのように積み付けるかの作業内容についての制御指令情報や指示情報を個別に生成し、移送ロボット5と後述の表示装置6のそれぞれに対して出力する。なお、この積み付け作業内容の詳細については後述する。
【0019】
仕分け装置3は、上記の上位コントローラ2から入力された制御指令情報に基づき、上記分岐搬入装置1の分岐点に到達した箱体30を作業者用領域1aと機械用領域1bのいずれかに個別に振り分ける装置である。
【0020】
ロボットコントローラ4は、CPUやROM、RAMなどのメモリなどを備えたコンピュータ(
図7参照)、またはPLC(Programmable Logic Controller)やサーボアンプ等で構成され、上記の上位コントローラ2から入力された制御指令情報に基づき、後述の移送ロボット5に駆動電力を給電してその積み付け作業を制御する移送機械制御装置である。
【0021】
移送ロボット5は、この例では箱体31を吸着支持可能なエンドエフェクタ(後述の
図6、
図7参照)を備えた6軸の垂直多軸型ロボットであり、上記ロボットコントローラ4から給電された駆動電力によって上記機械用領域1bに到達した箱体31を後述の搬出装置7上に配置された収納容器50内に積み込む作業を行う移送機械である。
【0022】
表示装置6は、上記の上位コントローラ2から入力された指示情報に基づいて、上記作業者用領域1aに到達した箱体30の収納容器50への積み込み作業に関する指示を作業者8に対して表示する装置である。作業者8は、この表示装置6に表示された指示情報に従って、作業者用領域1aに到達した箱体30を後述の搬出装置7上に配置された収納容器50内に積み込む作業を行う。
【0023】
搬出装置7(搬出路)は、上記分岐搬入装置1の作業者用領域1aと機械用領域1bの間に配置されており、作業者8と移送ロボット5が協働して箱体30を積み付けられた収納容器50を特に図示しない出荷場へ搬送する装置である。なお、具体的な搬送手段としては、上記分岐搬入装置1と同等のものを用いればよい。また、積み付け作業の開始時には搬出装置7上に何も収納されていない空の状態の収納容器50が載置されるが、この収納容器50の載置は作業者8が手作業で行ってもよいし、特に図示しない別途の搬送装置や搬送ロボットを用いて行ってもよい。
【0024】
なお、上述した上位コントローラ2、ロボットコントローラ4等における分類処理等は、これらの処理の分担の例に限定されるものではなく、例えば、更に少ない数の制御装置で処理されてもよく、また、更に分化された制御装置により処理されてもよい。また、上位コントローラ2の処理は、後述するCPU901(演算装置;
図8参照)が実行するプログラムにより実装されてもよいし、その一部又は全部がASICやFPGA等の専用集積回路、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0025】
<2.本実施形態の特徴>
例えば物品を梱包した段ボール箱などの箱体30を多数流通させる際には、さらに複数の箱体30を収納容器50にまとめて収納して運搬する場合が多い。この際に箱体30を収納容器50へ収納する積み付け作業においては、上記移送ロボット5等の移送機械が比較的大きな箱体30などを積み付け、人の作業者8が収納容器50内で箱体30を手作業で片寄せ移動させるといった分担で移送ロボット5と作業者8が協働して行う場合が多い。
【0026】
そして積み付け対象となるいずれの箱体30も全体が直方体形状であって、それらの外寸(長さ、幅、高さ)が多様である複数の箱体30を収納容器50内の所定の収納容積にまとめて積み付けたい場合がある。この際にはできるだけ高い収納効率で積み付けて収納容器50の使用数を減らすことが望まれるが、そのような収納効率を向上させる観点でどのように移送ロボット5と作業者8とが協働して積み付け作業を行うべきかの具体的な検討がこれまでなかった。
【0027】
これに対して本実施形態では、収納容器50の内寸と箱体30の外寸とに基づいて、移送ロボット5が積み付け作業を行う対象のロボット用箱体31と、作業者8が積み付け作業を行う対象の作業者用箱体32とを分類する箱体分類処理部21を有している。
【0028】
高い収納効率を実現するためには、収納容器50内で積み付けた箱体30どうしの間の空間や箱体30と内壁面との間の空間に長手寸法や厚さ寸法が比較的小さい箱体30を選んで挿入するなどの作業が必要であり、このような積み付け作業は繊細な動作が要求されるため移送ロボット5では難しく人間の作業者8にしかできない。そこで、このような繊細な積み付け作業に利用できる箱体30は、その外寸が収納容器50の内寸と特定の関係にあることから、それら外寸と内寸に基づいて収納効率を向上させる観点から移送ロボット5が積み付け作業を行う対象のロボット用箱体31と、作業者8が積み付け作業を行う対象の作業者用箱体32との分類が可能となる。これにより、移送ロボット5によるロボット用箱体31を自動で積み付けた後に作業者6が片寄せして収納容器50に新たな空間を形成し、当該空間に作業者8が作業者用箱体32を挿入するなどで積み付けることで高密度で収納効率の高い積み付け作業を実現できる。以下、このような箱体30の積み付けに必要な分類処理についての具体的な手法を順に説明する。
【0029】
<3.箱体と収納容器の基本仕様について>
まず、本実施形態において積み付け作業を行う対象の箱体30と収納する収納容器50のそれぞれの基本仕様について説明する。
【0030】
箱体30は、その上下方向が固定されない天地無用設定を前提とし、最も長い辺に沿った長辺方向の外寸(以下、長辺方向外寸Lcという)と、2番目に長い辺に沿った中辺方向の外寸(以下、中辺方向外寸Mcという)と、最も短い辺に沿った短辺方向の外寸(以下、短辺方向外寸Scという)とが互いに直交する配置関係にある略直方体の全体形状とする(特に図示せず)。
【0031】
収納容器50は、
図2の斜視図に示すように全体が凹形状の容器体であり、その開口部50aは別途の蓋部54で覆うことで閉止可能となっている(後述の
図6、7参照)。この収納容器は、上記開口部50aが常に上方に位置するように上下方向が固定された天地設定を前提とし、その凹形状内部における上下方向の内寸が深さ方向の実内寸(以下、深さ方向実内寸Haという)となり、その水平断面が長手方向の実内寸(以下、長手方向実内寸Laという)と幅方向の実内寸(以下、幅方向実内寸Waという)で長方形を形成するような略直方体の全体形状とする。
【0032】
ここで、このような凹形状の容器体である収納容器50の内部に対し作業者8が実際に箱体30を積み付ける(収納する)際には、箱体30どうしの間や、箱体30と収納容器50の側壁との間に作業者8の指などを差し入れる隙間が必要となる。また、移送ロボット5による実際の積み付け作業においては、個々の箱体30の形状誤差、収納容器50の搬出装置7上における配置誤差や寸法誤差、又は移送ロボット5自体の位置決め誤差等により収納容器50に対して箱体30が接触干渉することを回避するためにも余裕のある寸法設定が必要となる。したがって本実施形態においては、収納容器50の内部空間で上記箱体30を収納できる実効的な収納容積53として、収納容器50の内壁における長手方向実内寸La及び幅方向実内寸Waからそれぞれ適宜のマージン寸法Lm、Wm(所定のマージン)を差し引いた長手方向内寸L及び幅方向内寸Wでの直方体空間(各図中の網掛け部分参照)とする。なお、深さ方向実内寸Haに関しては、上記蓋部54の内壁が平坦であることを前提としてマージン寸法を差し引かずにそのまま収納容積53の深さ方向内寸Hとする。
【0033】
そして本実施形態での積み付け作業においては、箱体30についてはその長辺方向外寸Lc、中辺方向外寸Mc、及び短辺方向外寸Scが多様に異なる複数の箱体30が用意され、収納容器50についてはその収納容積53の長手方向内寸L、幅方向内寸W及び深さ方向内寸Hが一律に同じ複数の収納容器50が用意され、各収納容器50の収納容積53内に複数の箱体30を積み付ける作業となる。
【0034】
以上により本実施形態では、収納容器50内部に箱体30を積み付けるための前提条件として、密着して積み付けられた状態の複数の箱体30の全体容積が上記収納容積53内に収まるように積み付けることが必要条件となる(後述の
図4参照)。
【0035】
<4.箱体の姿勢関係分類について>
次に、収納容器50内部へ積み付ける際の姿勢関係の観点による箱体30の分類について説明する。上述したように本実施形態では、箱体30がその上下方向を固定されない天地無用設定を前提とした直方体形状であるため、収納容器50内での積み付け時の姿勢としては6面あるうちのいずれの面を底面とした姿勢でも積み付けることができる。そして後述するように、箱体30の長辺方向を収納容積53の各方向のいずれに対して平行な姿勢関係で積み付けるかによって当該箱体30の扱い方(積み付け方)が相違する。
【0036】
このため、箱体30についての姿勢関係の分類としては、
図3に示すように、収納容積53の長手方向に対して箱体30の長辺方向が平行な姿勢関係で積み付けられる長手方向長辺箱体33と、収納容積53の深さ方向に対して箱体30の長辺方向が平行な姿勢関係で積み付けられる深さ方向長辺箱体34と、収納容積53の幅方向に対して箱体30の長辺方向が平行な姿勢関係で積み付けられる幅方向長辺箱体35と、に分類できる(同図中の深さ方向短辺箱体36の分類については後述)。
【0037】
しかし、各姿勢関係の分類において、箱体30の長辺方向外寸Lcが収納容積53の対応する各方向の内寸L、W、H以下でなければ実際にその姿勢で収納容積53内に収納することができない。このため、これら3種の姿勢関係に分類するための条件としては、それぞれ箱体30の長辺方向外寸Lcが収納容積53の対応する内寸L、W、H以下であることが条件となる。つまり、長手方向長辺箱体33の分類条件はLc≦L(条件1)となり、深さ方向長辺箱体34の分類条件はLc≦H(条件2)となり、幅方向長辺箱体35の分類条件はLc≦W(条件3)となる。
【0038】
<5.箱体の用途分類について>
上述したように、箱体30の姿勢関係分類は、収納容積53内における当該箱体30の積み付け方や扱い方、つまり用途を決める要素となる。例えば本実施形態では、
図4に示すように、同じ収納容積53に対して基本的に2種類の積み付け構成で箱体30を積み付ける。
【0039】
図4(a)の積み付け構成では、上記幅方向長辺箱体35を標準品箱体37として、主にこの標準品箱体37を多く積み付ける積み付け構成となる。以下、この積み付け構成で積み付けられた収納容器50を標準品用収納容器51(第1の収納容器)という。この標準品用収納容器51では、収納容積53の底面に標準品箱体37が収納容積53の長手方向に複数並べられ、さらにそれらの上方にも標準品箱体37が複数段積み上げるように積み付けられる。
【0040】
図4(b)の積み付け構成では、上記長手方向長辺箱体33を長尺品箱体38として、主にこの長尺品箱体38を多く積み付ける積み付け構成となる。以下、このように積み付けられた収納容器50を長尺品用収納容器52(第2の収納容器)という。この長尺品用収納容器52では、収納容積53の底面から上方に長尺品箱体38が複数段積み上げるように積み付けられる。
【0041】
そしていずれの積み付け構成においても共通して、全ての標準品箱体37又は長尺品箱体38を収納容積53の長手方向一方側(図中の右側)に片寄せして密着した状態で、長手方向逆側(図中の左側)にできる隙間に上記深さ方向長辺箱体34がスペーサ箱体39として挿入されている。
【0042】
また特に長尺品用収納容器52では、積み上げられた長尺品箱体38のさらに上方で収納容積53の上面(収納容器50の開口部50aを閉止した蓋部54の底面に相当)との間の隙間に薄型箱体40が乗せられている。なお、この薄型箱体40については、上記
図3に示すように、その厚み寸法が比較的薄い、つまり短辺方向外寸Scが所定の閾値T(所定寸法)以下であるものが優先的に分類される。つまり、薄型箱体40(深さ方向短辺箱体36)の分類条件はSc≦T(条件4)となる。また、特に図示しないが、この薄型箱体40は作業者8によりその姿勢を変えることで、標準品用収納容器51及び長尺品用収納容器52の長手方向(又は幅方向)の隙間に挿入するスペーサ箱体39として使用することもできる。
【0043】
以上のように、収納容積53内における箱体30の積み付け方や扱い方に相当する用途別の分類としては、標準品箱体37(幅方向長辺箱体35)、長尺品箱体38(長手方向長辺箱体33)、スペーサ箱体39(深さ方向長辺箱体34)、及び薄型箱体40(深さ方向短辺箱体36)の4種類となる。本実施形態では、これら用途分類で4種類ある箱体30を組み合わせた積み付け構成で収納容積53内に積み付けることで高い収納効率を実現する。
【0044】
<6.箱体の作業分担分類について>
以上説明した各用途分類の箱体30では、それぞれ積み付け作業の容易さの違いから移送ロボット5と作業者8のいずれで積み付けるかの作業分担の観点でも分類できる。
【0045】
すなわち、標準品箱体37の場合は、標準品用収納容器51で積み付け作業初期の空の状態にある比較的広い空間に単純に積み付けるだけでよいため、移送ロボット5が積み付けるロボット用箱体31に分類できる。
【0046】
また、長尺品箱体38の場合も同様に、長尺品用収納容器52で積み付け作業初期の空の状態にある比較的広い空間に単純に積み付けるだけでよいため、移送ロボット5が積み付けるロボット用箱体31に分類できる。
【0047】
また、スペーサ箱体39の場合は、標準品用収納容器51と長尺品用収納容器52のいずれに対しても、比較的狭い隙間に挿入するといった微妙な積み付け作業が必要となるため、作業者8が積み付ける作業者用箱体32に分類する。
【0048】
また、薄型箱体40の場合は、長尺品用収納容器52における上方の比較的狭い空間に微妙なバランスで積み付ける作業が必要となるため、作業者8が積み付ける作業者用箱体32に分類する。
【0049】
<7.具体的な分類処理について>
以上の分類関係をまとめると、まず初めに収納容器50(収納容積53)の内寸に対する箱体30の外寸の寸法条件に基づいて当該箱体30を姿勢関係分類で分類でき、さらにその姿勢関係分類に基づいて当該箱体30を用途分類で分類でき、さらにその用途分類に基づいて当該箱体30を作業分担分類で分類できる。本実施形態の積み付けシステム100においては、このような分類処理を上記の上位コントローラ2が備える箱体分類処理部21が実行する。
【0050】
図5は、箱体分類処理部21による分類処理の実行結果として作成された箱体分類データベースの一例を示している。このデータベースでは、大きく分けて出荷リストデータ、長短辺外寸、寸法条件、及び分類の大項目が設定されている。また、積み付けに使用する収納容器50の収納容積53の内寸もあらかじめ設定されている。
【0051】
出荷リストデータの項目は、積み付け対象として用意された多数の箱体30についてそれぞれ梱包している物品の品名別に、箱体30の縦、横、高さの外寸、及び個数が記録される。この出荷リストデータの内容は、あらかじめ各箱体30に対して別途の計測装置で実測した外寸や、別途の管理データベースに登録されている管理データから取得すればよい。
【0052】
長短辺外寸の項目では、上記出荷リストデータの各品名別に縦、横、高さの外寸から長辺方向と短辺方向に対応する外寸を抽出して記録される。
【0053】
寸法条件の項目では、各品名別に上記長短辺外寸が条件1〜4の各寸法条件を満たすか否か(〇か×か)を判定して記録される。
【0054】
分類の項目では、各品名別に上記寸法条件の各条件1〜4のいずれを満たしているかに基づいて標準品箱体37、長尺品箱体38、スペーサ箱体39、薄型箱体40の用途分類(図中では「標準」、「長尺」、「スペーサ」、「薄型」と略記)、及びロボット用箱体31、作業者用箱体32の作業分担分類(図中では「ロボット用」、「作業者用」と略記)のいずれに分類されるかが記録される。
【0055】
図示する例では、収納容器50の収納容積53の長手方向内寸L=600mm、幅方向内寸W=355mm、深さ方向内寸H=450mm、及び厚み寸法閾値T=140mmが設定されており、これに対して例えば図示する品名Aの場合には、長辺方向外寸Lc=331mm、短辺方向外寸Sc=137mmであることから、Lc≦Lの寸法条件1と、Lc≦Hの寸法条件2と、Lc≦Wの寸法条件3と、Sc≦Tの寸法条件4のいずれの条件も満たしている。この場合、最も優先される寸法条件4を満たしていることから、当該品名Aの箱体30は深さ方向短辺箱体36としての薄型箱体40の用途分類で分類され、また作業者用箱体32(第2の作業者用箱体)の作業分担分類で分類される。
【0056】
また例えば図示する品名Bの場合には、長辺方向外寸Lc=358mm、短辺方向外寸Sc=145mmであることから、Lc≦Lの寸法条件1と、Lc≦Hの寸法条件2を満たすものの、Lc≦Wの寸法条件3と、Sc≦Tの寸法条件4は満たさない。この場合、寸法条件2を優先して当該品名Bの箱体30は深さ方向長辺箱体34としてのスペーサ箱体39の用途分類で分類され、また作業者用箱体32(第1の作業者用箱体)の作業分担分類で分類される。
【0057】
また例えば図示する品名Dの場合には、長辺方向外寸Lc=326mm、短辺方向外寸Sc=162mmであることから、Lc≦Lの寸法条件1と、Lc≦Hの寸法条件2と、Lc≦Wの寸法条件3を満たすものの、Sc≦Tの寸法条件4は満たさない。この場合、寸法条件3を優先して当該品名Dの箱体30は幅方向長辺箱体35としての標準品箱体37の用途分類で分類され、またロボット用箱体31(第1の機械用箱体)の作業分担分類で分類される。
【0058】
また例えば図示する品名Iの場合には、長辺方向外寸Lc=510mm、短辺方向外寸Sc=162mmであることから、Lc≦Lの寸法条件1を満たすものの、Lc≦Hの寸法条件2と、Lc≦Wの寸法条件3と、Sc≦Tの寸法条件4は満たさない。この場合、寸法条件1を優先して当該品名Iの箱体30は長手方向長辺箱体33としての長尺品箱体38の用途分類で分類され、またロボット用箱体31(第2の機械用箱体)の作業分担分類で分類される。
【0059】
以上の分類処理によって、出荷リストデータに登録されている全ての箱体30がそれぞれいずれか1つの用途分類(またはいずれか1つの作業分担分類)に分類される。なお、特に図示しないが、最低限でも寸法条件1を満たさない場合、つまり箱体30の長辺方向外寸Lcが収納容積53の長手方向内寸Lより大きい場合には、たとえ寸法条件4を満たしていても当該箱体30は収納容積53内に収納できないとして積み込み作業の対象から除外される。
【0060】
上位コントローラ2の箱体分類処理部21は、出荷リストデータに登録されている多数の箱体30についてそれぞれあらかじめ上記の分類処理によって用途分類と作業分担分類(及び積み付け対象から除外するかの分類)で分類する。そして、その分類内容に基づいて、分岐搬入装置1上で逐次搬入される各箱体30に対して個別に作業者用領域1aと機械用領域1bのいずれに仕分けるかの制御指令情報を仕分け装置3に出力する。また、上位コントローラ2の手順指示部22は、分類内容に対応した制御指令情報をロボットコントローラ4に出力し、その制御指令情報に基づいて移送ロボット5が機械用領域1bにあるロボット用箱体31としての標準品箱体37と長尺品箱体38をそれぞれ異なる収納容器50に積み付けるよう作業する。また、手順指示部22は、分類内容に対応した指示情報を各表示装置6に出力し、その表示を参照して作業者8が作業者用領域1aにある各作業者用箱体32に対して個別に側方スペーサ箱体39と薄型箱体40のいずれかの用途で積み付け作業を行う。
【0061】
<8.具体的な積み付け工程について>
以下、本実施形態における具体的な積み付け作業の工程について説明する。積み付け作業の詳細な工程は、標準品用収納容器51と長尺品用収納容器52とで相違するため個別に説明する。
【0062】
<8−1.標準品用収納容器における積み付け工程について>
図6は、標準品用収納容器51における積み付け工程を示している。まず最初に何も積み付けられていない標準品用収納容器51の収納容積53に対して、移送ロボット5が標準品箱体37を積み付ける(図中のI参照)。このとき標準品箱体37は幅方向長辺箱体35であるため、箱体30の長辺方向が収納容積53の幅方向と平行となる姿勢で長手方向に複数並べるよう積み付け、さらにそれらの上方にも標準品箱体37が複数段積み上げるように積み付ける。積み上げる高さは収納容積53の深さ方向内寸Hを超えずに、かつ、できるだけ近づけるように標準品箱体37を組み合わせて積み付ける。
【0063】
次に、収納容積53内に積み付けられた全ての標準品箱体37に対して作業者8が手作業で長手方向一方側に片寄せ移動させる(図中のII参照)。これにより、標準品箱体37どうしが密着して長手方向逆側に新たに隙間が形成される。
【0064】
次に、上記の新たな隙間に対して作業者8が手作業でスペーサ箱体39を挿入するように積み付ける(図中のIII参照)。なお、隙間に余裕があればスペーサ箱体39を幅方向または長手方向に複数挿入してもよい(図示省略)。また、移送ロボット5により全ての標準品箱体37を積み付けた状態ですでに十分な隙間が形成されていた場合は、上記の片寄せ移動を省略してすぐにスペーサ箱体39を挿入してもよい。
【0065】
以上の工程により標準品用収納容器51内において複数の箱体30が密集して積み付けられた状態となり、開口部50aに蓋部54を閉止して搬出できる(図中のIV参照)。
【0066】
<8−2.長尺品用収納容器における積み付け工程について>
図7は、長尺品用収納容器52における積み付け工程を示している。まず最初に何も積み付けられていない長尺品用収納容器52の収納容積53に対して、移送ロボット5が長尺品箱体38を積み付ける(図中のI参照)。このとき長尺品箱体38は長手方向長辺箱体33であるため、箱体30の長辺方向が収納容積53の長手方向と平行となる姿勢で積み付け、さらにその上方に長尺品箱体38を複数段積み上げるように積み付ける。積み上げる高さは収納容積53の深さ方向内寸Hを超えずに、かつ、できるだけ近づけるように長尺品箱体38を組み合わせて積み付ける。
【0067】
次に、収納容積53内に積み付けられた全ての長尺品箱体38に対して作業者8が手作業で長手方向一方側に片寄せ移動させる(図中のII参照)。これにより、長手方向逆側に新たに隙間が形成される。
【0068】
次に、上記の新たな隙間に対して作業者8が手作業でスペーサ箱体39を挿入するように積み付ける(図中のIII参照)。なお、隙間に余裕があればスペーサ箱体39を幅方向または長手方向に複数挿入してもよい(図示省略)。また、移送ロボット5により全ての長尺品箱体38を積み付けた状態ですでに十分な隙間が形成されていた場合は、上記の片寄せ移動を省略してすぐにスペーサ箱体39を挿入してもよい。
【0069】
次に、積み上げた長尺品箱体38の全体の高さが深さ方向内寸Hと一致せず、上方に閾値Tより大きい間隔の隙間が形成されている場合、その隙間に対して作業者8が手作業で薄型箱体40を乗せるよう積み付ける(図中のIV参照)。なお、隙間に余裕があれば薄型箱体40を幅方向、長手方向、深さ方向に複数挿入してもよい(図示省略)。また、隙間が十分に形成されていない場合、薄型箱体40の積み付けを省略する。
【0070】
以上の工程により長尺品用収納容器52内において複数の箱体30が密集して積み付けられた状態となり、開口部50aに蓋部54を閉止して搬出できる(図中のV参照)。
【0071】
<9.本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の積み付けシステム100によれば、収納容器50の内寸と箱体30の外寸とに基づいて、移送ロボット5が積み付け作業を行う対象のロボット用箱体31(標準品箱体37、長尺品箱体38)と、作業者8が積み付け作業を行う対象の作業者用箱体32(スペーサ箱体39、薄型箱体40)とを分類する箱体分類処理部21を有している。
【0072】
高い収納効率を実現するためには、収納容器50内で積み付けた箱体30どうしの間や内壁面との間の空間に厚み寸法が比較的小さい箱体30を選んで挿入するなどの作業が必要であり、このように繊細な積み付け作業は移送ロボット5では難しく作業者8にしかできない。そこで、このような繊細な積み付け作業に利用できる箱体30は、その外寸が収納容器50の内寸と特定の関係にあることから、それら外寸と内寸に基づいて収納効率を向上させる観点から移送ロボット5が積み付け作業を行う対象のロボット用箱体31と、作業者8が積み付け作業を行う対象の作業者用箱体32との分類が可能となる。これにより、移送ロボット5によるロボット用箱体31を自動で積み付けた後に作業者8が片寄せして収納容器50に新たな空間を形成し、当該空間に作業者8が作業者用箱体32を挿入するなどで積み付けることで高密度で収納効率の高い積み付け作業を実現できる。この結果、移送ロボット5と作業者8との協働による積み付け作業での収納効率を向上できる。
【0073】
また、本実施形態では特に、搬入した箱体30のうち箱体分類処理部21により分類された作業者用箱体32を作業者用領域1aへ、ロボット用箱体31を機械用領域1bへそれぞれ分岐して搬送する分岐搬入装置1と、作業者用領域1aと機械用領域1bの間に配置され、作業者用箱体32とロボット用箱体31が積み付けられた収納容器50を搬出する搬出装置7と、を有している。
【0074】
これにより、作業者8は作業者用領域1aと搬出装置7との間に位置し、移送ロボット5は機械用領域1bと搬出装置7との間に位置して、搬出装置7上に置かれた共通の収納容器50に対して移動させることなく協働して作業者用箱体32とロボット用箱体31の積み付け作業を行い、その完了後にそのまま収納容器50を搬出できる。このように作業者用領域1a、機械用領域1b、作業者8、移送ロボット5、及び搬出装置7を機能的に配置できることで、当該積み付けシステム100全体の設置面積を縮小できる。
【0075】
また、本実施形態では特に、箱体分類処理部21が、収納容器50の幅方向に対して箱体30の長辺方向が平行な姿勢関係で積み付けられる幅方向長辺箱体35と、収納容器50の長手方向に対して箱体30の長辺方向が平行な姿勢関係で積み付けられる長手方向長辺箱体33と、収納容器50の深さ方向に対して箱体30の長辺方向が平行な姿勢関係で積み付けられる深さ方向長辺箱体34と、に分類する。
【0076】
積み付ける対象の箱体30についてその長辺方向を収納容器50の各方向のいずれに対して平行な姿勢関係で積み付けるかによって当該箱体30の扱い方や積み付け方である用途が相違する。このため、箱体30について幅方向長辺箱体35、長手方向長辺箱体33、又は深さ方向長辺箱体34に分類することで、上述した収納容器50の内寸と箱体30の外寸との関係性に基づく分類と併せ、より機能的なロボット用箱体31と作業者用箱体32の分類が可能となる。
【0077】
また、本実施形態では特に、箱体分類処理部21が、幅方向長辺箱体35について、箱体30の長辺方向外寸Lcが、収納容積53の幅方向内寸W以下であることを条件として分類し、長手方向長辺箱体33について、箱体30の長辺方向外寸Lcが、収納容積53の幅方向内寸W及び深さ方向内寸Hより大きく、かつ、長手方向内寸L以下であることを条件として分類し、深さ方向長辺箱体34について、箱体30の長辺方向外寸Lcが、収納容積53の深さ方向内寸H以下であることを条件として分類する。このような寸法条件に基づいて箱体30の姿勢関係を分類することで、収納容器50への実際的な積み付け可否に基づく機能的な姿勢関係での分類が可能となる。
【0078】
また、本実施形態では特に、箱体分類処理部21が、幅方向長辺箱体35を、移送ロボット5が標準品用収納容器51に積み付ける標準品箱体37(ロボット用箱体31)として分類し、長手方向長辺箱体33を、移送ロボット5が長尺品用収納容器52に積み付ける長尺品箱体38(ロボット用箱体31)として分類し、深さ方向長辺箱体34を、作業者8が標準品用収納容器51又は長尺品用収納容器52のうちの長手方向又は幅方向の隙間に挿入するスペーサ箱体39(作業者用箱体32)として分類し、幅方向長辺箱体35、長手方向長辺箱体33、及び深さ方向長辺箱体34のいずれの箱体30においてもその短辺方向外寸Scが所定の閾値T以下であることを条件として、作業者8が長尺品用収納容器52のうちの長尺品箱体38の上方において収納容器50の深さ方向に対して箱体30の短辺方向が平行な姿勢関係で積み付ける薄型箱体40(作業者用箱体32)として分類する。
【0079】
収納容器50内における複数の箱体30の片寄せ移動は、主に収納容器50の長手方向に向けて行うことが効率的である。このため、標準品用収納容器51内に積み付けて片寄せ移動させる対象の箱体30は、その長手方向に沿って複数並べて配置できる幅方向長辺箱体35が望ましい。そこで、比較的広い空間に単純に積み付けるだけでよい幅方向長辺箱体35をロボット用箱体31である標準品箱体37として分類できる。
【0080】
また、長手方向長辺箱体33は、上記標準品用収納容器51とは異なる専用の長尺品用収納容器52内で上下方向に積層するよう積み付けることしかできない。この場合にも、比較的広い空間に単純に積み付けるだけでよいため、長手方向長辺箱体33をロボット用箱体31である長尺品箱体38として分類できる。
【0081】
また、標準品用収納容器51及び長尺品用収納容器52のいずれにおいても、収納容器50の内壁と箱体30との間の空間に挿入するスペーサ箱体39は深さ方向長辺箱体34が適切である。そして挿入するように積み付けるという微妙な作業は作業者8しかできないため、深さ方向長辺箱体34は作業者用箱体32に分類する。
【0082】
そして、幅方向長辺箱体35、長手方向長辺箱体33、及び深さ方向長辺箱体34のいずれにおいても、その短辺方向外寸Scが所定の閾値T以下にある比較的厚み寸法の小さい(薄い)箱体30は、長尺品用収納容器52における最後の積み付け作業で最も上方にその短辺方向を長尺品用収納容器52の深さ方向に対して平行な姿勢関係で積み付ける薄型箱体40として利用できる。また、この厚み寸法の小さい箱体30は、標準品用収納容器51及び長尺品用収納容器52のいずれにおいても、収納容器50の内壁と箱体30との間の空間に挿入するスペーサ箱体の用途としても利用できる。そしてこのような厚み寸法の小さい箱体30を微妙なバランスで積み付ける作業、又は挿入するよう積み付ける作業は作業者8にしかできないため、このような厚み寸法の小さい箱体30は作業者用箱体32に分類する。そして用途分類の観点でこの厚み寸法の小さい箱体30を他の箱体30と区別する基準の指標となる前記閾値Tを任意の値に設定変更できるようにすることで、ロボット用箱体31と作業者用箱体32の比率を適切に調整することができ、より作業効率を向上させることができる。なお、この厚み寸法の小さい箱体30(作業者用箱体32)は、特に幅方向長辺箱体35(標準品箱体37)に限定してその中から短辺方向外寸Scが上記閾値T以下にあるもので分類してもよく、その場合にはより機能的な分類が可能となる。
【0083】
以上のように積み付け作業における箱体30の扱い方の違いに基づいて、収納効率を向上させるためのロボット用箱体31と作業者用箱体32の分類を機能的に行える。
【0084】
また、本実施形態では特に、箱体分類処理部21による分類に基づいて、移送ロボット5が、標準品用収納容器51に標準品箱体37を積み付けること、及び、長尺用収納容器に長尺品箱体38を積み付けることの少なくとも一方を行うことと、作業者8が、標準品用収納容器51又は長尺品用収納容器52にスペーサ箱体39を挿入するよう積み付けることと、の手順を順に指示する手順指示部22と、をさらに有する。
【0085】
これにより、移送ロボット5が、主に幅方向長辺箱体35である標準品箱体37を収納する標準品用収納容器51と、主に長手方向長辺箱体33である長尺品箱体38を収納する長尺品用収納容器52とに振り分けて積み付けることができる。そして作業者8が、標準品用収納容器51と長尺品用収納容器52のそれぞれにおいて収納容器50の内壁と箱体30との間の空間に深さ方向長辺箱体34をスペーサ箱体39として挿入するように積み付けることで、いずれの収納容器50においても高密度で収納効率の高い積み付け作業を実現できる。
【0086】
また、本実施形態では特に、手順指示部22は、移送ロボット5による標準品箱体37又は長尺品箱体38の積み付け後で作業者8によるスペーサ箱体39の挿入前に、作業者8が、標準品用収納容器51における標準品箱体37、または長尺品用収納容器52における長尺品箱体38を、長手方向に片寄せすること、の手順を指示する。
【0087】
これにより、移送ロボット5による箱体30の積み付けで収納容器50の略中央に箱体30を位置させた場合でも、作業者8が箱体30を片寄せ移動して収納容器50の内壁との間にスペーサ箱体39を挿入できる可能性のある空間を形成できる。
【0088】
また、本実施形態では特に、手順指示部22は、作業者8の積み付け後に、作業者8が、長尺品用収納容器52で長尺品箱体38の上方及び側方に薄型箱体40を積み付けること、の手順を指示する。
【0089】
これにより、収納容器50の上方開口部50aを蓋部54で覆う場合でも、内部に積み付けられた長尺品箱体38と蓋部54との間の空間に比較的厚み寸法の小さい薄型箱体40を積み付けることができるため、さらなる収納効率の向上が可能となる。また、この薄型箱体40を、スペーサ箱体39と同様に収納容器50の内壁と箱体30との間の側方の空間に挿入するように積み付けてもよく、この場合にも高密度で収納効率の高い積み付け作業を実現できる。
【0090】
また、本実施形態では特に、箱体分類処理部21による分類に基づいて、ロボット用箱体31を移送ロボット5側に配置し、作業者用箱体32を作業者8側に配置するよう仕分けする仕分け装置3と、手順指示部22からの指示に基づいて、作業者8に対し作業者用箱体32の積み付け作業の内容を個別に表示する表示装置6と、手順指示部22からの指示に基づいて、移送ロボット5に対しロボット用箱体31の積み付け作業の内容を個別に制御するロボットコントローラ4と、をさらに有する。
【0091】
これにより、離れた位置で作業する移送ロボット5と作業者8に対して仕分け装置3がそれぞれの積み付け作業対象として分類された箱体30を仕分けて搬送することができる。また、仕分けられた作業者用箱体32については、その分類に対応した積み付け作業の内容を表示装置6が個別に表示して作業者8に指示することができる。また、仕分けられたロボット用箱体31については、その分類に対応した積み付け作業の内容でロボットコントローラ4が移送ロボット5を制御できる。以上のようにして本実施形態の積み付けシステム100では、その全体の作業を統合的に制御できる。
【0092】
また、本実施形態では特に、収納容積53の長手方向内寸Lと幅方向内寸Wは、収納容器50の内壁における長手方向の実内寸La及び幅方向の実内寸Waからそれぞれ所定のマージンLm、Wmを差し引いた寸法である。これにより、移送ロボット5や作業者8による実際の積み付け作業で必要とされる箱体30どうしの間の隙間や箱体30と内壁の間の隙間を必要十分に確保でき、本実施形態による積み付け作業を実現できる。
【0093】
なお、上記の所定のマージンLm、Wmは、収納容器50の個体ごとに任意に設定可能とするとよい。これにより、収納容器50の個体ごとの形状誤差、位置姿勢誤差、箱体30の形状誤差、及び移送機械の作業ごとの位置決め誤差等に起因する干渉を回避して確実な積み付け作業を実現できる。そのために箱体30を積み付ける前の空の状態の収納容器50に対して個体ごとにその形状や搬出装置7上における位置、姿勢をあらかじめ実測するとよい。また積み付け前の各箱体30についても個体ごとにその形状をあらかじめ実測するとよい。その他にも移送ロボット5の動作における位置決め誤差もあらかじめ実測するとよい。
【0094】
<10.コントローラのハードウェア構成例>
次に、
図8を参照しつつ、上記で説明したCPU901が実行するプログラムにより処理を実現する上位コントローラ2のハードウェア構成の一例について説明する。なお、ロボットコントローラ4が同様のハードウェア構成を有してもよい。
【0095】
図8に示すように、上位コントローラ2(ロボットコントローラ4)は、例えば、CPU901と、ROM903と、RAM905と、ASIC又はFPGA等の特定の用途向けに構築された専用集積回路907と、入力装置913と、出力装置915と、記録装置917と、ドライブ919と、接続ポート921と、通信装置923とを有する。これらの構成は、バス909や入出力インターフェース911を介し相互に信号を伝達可能に接続されている。
【0096】
プログラムは、例えば、ROM903やRAM905、記録装置917等に記録しておくことができる。
【0097】
また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスクなどの磁気ディスク、各種のCD・MOディスク・DVD等の光ディスク、半導体メモリ等のリムーバブルな記録媒体925に、一時的又は永続的(非一時的)に記録しておくこともできる。このような記録媒体925は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することもできる。この場合、これらの記録媒体925に記録されたプログラムは、ドライブ919により読み出されて、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0098】
また、プログラムは、例えば、ダウンロードサイト、他のコンピュータ、他の記録装置等(図示せず)に記録しておくこともできる。この場合、プログラムは、LANやインターネット等のネットワークNWを介し転送され、通信装置923がこのプログラムを受信する。そして、通信装置923が受信したプログラムは、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0099】
また、プログラムは、例えば、適宜の外部接続機器927に記録しておくこともできる。この場合、プログラムは、適宜の接続ポート921を介し転送され、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0100】
そして、CPU901が、上記記録装置917に記録されたプログラムに従い各種の処理を実行することにより、上記の上位コントローラ2(またはロボットコントローラ4)による分類処理が実現される。この際、CPU901は、例えば、上記記録装置917からプログラムを直接読み出して実行してもよく、RAM905に一旦ロードした上で実行してもよい。更にCPU901は、例えば、プログラムを通信装置923やドライブ919、接続ポート921を介し受信する場合、受信したプログラムを記録装置917に記録せずに直接実行してもよい。
【0101】
また、CPU901は、必要に応じて、例えばマウス・キーボード・マイク(図示せず)等の入力装置913から入力する信号や情報に基づいて各種の処理を行ってもよい。
【0102】
そして、CPU901は、上記の処理を実行した結果を、例えば表示装置や音声出力装置等の出力装置915から出力する。さらにCPU901は、必要に応じてこの処理結果を通信装置923や接続ポート921を介し送信してもよく、上記記録装置917や記録媒体925に記録させてもよい。
【0103】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0104】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0105】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。