特許第6857345号(P6857345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857345
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】生体情報計測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20210405BHJP
   A61B 5/05 20210101ALI20210405BHJP
【FI】
   A61B6/00 370
   A61B5/05 A
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-192581(P2016-192581)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-51097(P2018-51097A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】川端 茂徳
(72)【発明者】
【氏名】大川 秀一
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/150207(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/175020(WO,A1)
【文献】 特開平08−140967(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/099697(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0295385(US,A1)
【文献】 特許第3950629(JP,B2)
【文献】 特開2006−304851(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/209273(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05、6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の生体磁気を検出可能な磁気センサを有する生体磁気検出部と、
前記生体磁気検出部を支持するとともに、前記被検体が支持面の水平方向からの傾きにより斜位の体勢を取ることが可能な前記支持面を有する支持部と
前記被検体と前記生体磁気検出部との間に配置され、照射された放射線を検出可能な放射線検出部とを備える、生体情報計測装置であって、
前記支持部は、前記被検体の全体を支持するもの又は椅子の背もたれである、生体情報計測装置
【請求項2】
被検体の生体磁気を検出可能な磁気センサを有する生体磁気検出部と、
前記生体磁気検出部を支持するとともに、前記被検体が支持面の水平方向からの傾きにより斜位の体勢を取ることが可能な前記支持面を有する支持部とを備える、生体情報計測装置であって、
前記支持部は、前記被検体の全体を支持するもの又は椅子の背もたれであり、
XYZ直交座標空間において、前記支持部の支持面がXY平面を構成し、前記支持面の法線方向がZ方向であるとき、前記生体磁気検出部の磁気センサの感磁方向は、X方向、Y方向、Z方向の少なくともいずれかと平行である、生体情報計測装置
【請求項3】
被検体の生体磁気を検出可能な磁気センサを有する生体磁気検出部と、
前記生体磁気検出部を支持するとともに、前記被検体が支持面の水平方向からの傾きにより斜位の体勢を取ることが可能な前記支持面を有する支持部とを備える、生体情報計測装置であって、
前記支持部は、前記被検体の全体を支持するもの又は椅子の背もたれであり、
前記支持部は、前記支持面の水平方向からの角度を調整可能な角度調整機構を備える、生体情報計測装置
【請求項4】
前記被検体と前記生体磁気検出部との間に配置され、照射された放射線を検出可能な放射線検出部を備える、請求項2又は3に記載の生体情報計測装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記支持面の水平方向からの角度を調整可能な角度調整機構を備える、請求項1又は2に記載の生体情報計測装置。
【請求項6】
XYZ直交座標空間において、前記支持部の支持面がXY平面を構成し、前記支持面の法線方向がZ方向であるとき、前記生体磁気検出部の磁気センサの感磁方向は、X方向、Y方向、Z方向の少なくともいずれかと平行である、請求項1又は3に記載の生体情報計測装置。
【請求項7】
前記生体磁気検出部は、前記支持部のX方向及び/又はY方向に対して可動である、請求項2又は6に記載の生体情報計測装置。
【請求項8】
前記被検体に放射線を照射する放射線照射部をさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載の生体情報計測装置。
【請求項9】
前記放射線照射部は、前記支持部に対して固定されている、請求項に記載の生体情報計測装置。
【請求項10】
前記放射線照射部は、前記支持部に対して可動である、請求項8又は9に記載の生体情報計測装置。
【請求項11】
前記生体磁気検出部は、複数の磁気センサを備える、請求項1から10のいずれかに記載の生体情報計測装置。
【請求項12】
前記生体磁気検出部は、着脱可能な磁気センサを備える、請求項1から11のいずれかに記載の生体情報計測装置。
【請求項13】
生体磁気計測と画像診断とを同時に行う、請求項1から12のいずれかに記載の生体情報計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の心機能の検査を行う際、心臓等から発生する微弱な生体磁気を計測する生体磁気計測装置は、これら器官を構成する細胞の興奮に伴う微弱電流によって生じる磁気を検出する機能を有しており、心臓病や神経疾患等の診断にとって重要な技術である。
【0003】
そこで、生体情報計測装置とは別の場所でX線照射装置を用いた画像診断装置(例えば、特許文献1に記載されたように、被検体を仰向けに寝かせた状態で使用されるX線照射装置)による形態画像を重ね合わせることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−172175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像診断装置(X線照射装置等)と生体情報計測装置との間を被検体が移動するため計測結果を精度よく合わせられない問題があった。例えば、被験体がX線照射装置と生体磁気計測装置との間を移動するに際し、被験体の体幹(脊椎)が前後方向や左右方向に屈んだり反ったり、被験体の四肢の関節が曲がったり伸びたりすることから、画像診断装置による被験体の位置情報と、生体磁気計測装置での検査時の被験体の位置を精度よく一致させることは、極めて難しい。
【0006】
そこで、本発明者らは、胸部レントゲンの撮影時に、X線フィルムの裏側(被検体とは反対側)に磁気センサを配置することで、心機能の検査を同時に行うことが可能になることを見出した。このように、心臓の形態に対応した心機能を磁気データとして計測することで、肺の検査と同時に心臓の総合検査が可能になる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されるように、撮影時に被検体が臥位の体勢を取る(水平方向に横たわる)と、胸部レントゲンの診断項目である胸水の診断ができないという問題がある。
【0008】
他方、立位計測を用いる場合、被験体がふらついて安定して計測できなかったり、被検体が立位の体勢を取りにくい状況下にあったりする場合があった。
【0009】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、画像診断と生体磁気計測とを同時に安定して行うことが可能であり、かつ胸水の診断が可能な生体磁気測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述のとおり、胸部レントゲンの撮影時に、X線照射装置の裏側に磁気センサを配置することで、画像診断と生体磁気計測を同時に行うことが可能になることを見出した。さらに、本発明者らは、画像診断と生体磁気計測を同時に行う際に、被験体が斜位の体勢を取ることで、胸水の診断測定が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供することを目的とする。
【0011】
(1)被検体の生体磁気を検出可能な磁気センサを有する生体磁気検出部と、
前記生体磁気検出部を支持するとともに、前記被検体が斜位の体勢を取ることが可能な支持面を有する支持部とを備える、生体情報計測装置。
【0012】
(2)前記被検体と前記生体磁気検出部との間に配置され、照射された放射線を検出可能な放射線検出部を備える、(1)に記載の生体情報計測装置。
【0013】
(3)前記被検体に放射線を照射する放射線照射部をさらに備える、(1)又は(2)に記載の生体情報計測装置。
【0014】
(4)前記支持部は、前記支持面の水平方向からの角度を調整可能な角度調整機構を備える、(1)から(3)のいずれかに記載の生体情報計測装置。
【0015】
(5)XYZ直交座標空間において、前記支持部の支持面がXY平面を構成し、前記支持面の法線方向がZ方向であるとき、前記生体磁気検出部の磁気センサの感磁方向は、X方向、Y方向、Z方向の少なくともいずれかと平行である、(1)から(4)のいずれかに記載の生体情報計測装置。
【0016】
(6)前記生体磁気検出部は、前記支持部のX方向及び/又はY方向に対して可動である、(5)に記載の生体情報計測装置。
【0017】
(7)前記放射線照射部は、前記支持部に対して固定されている、(3)から(5)のいずれかに記載の生体情報計測装置。
【0018】
(8)前記放射線照射部は、前記支持部に対して可動である、(3)から(5)に記載の生体情報計測装置。
【0019】
(9)前記生体磁気検出部は、複数の磁気センサを備える、請求項1から8のいずれかに記載の生体情報計測装置。
【0020】
(10)前記生体磁気検出部は、着脱可能な磁気センサを備える、請求項1から9のいずれかに記載の生体情報計測装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像診断と生体磁気計測とを同時に安定して行うことが可能であり、かつ胸水の診断が可能な生体磁気測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る生体情報計測装置の構成を示す構成図である。
図2】生体磁気検出部の構成を示す断面模式図である。
図3】生体磁気計測結果とX線画像とを重ね合わせた計測結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0024】
<生体情報計測装置>
図1は、本実施形態に係る生体情報計測装置1の構成を示す構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る生体情報計測装置1は、被検体Sの生体磁気を検出可能な磁気センサを有する生体磁気検出部2と、生体磁気検出部2を支持するとともに、被検体Sが斜位の体勢を取ることが可能な支持面3aを有する支持部3とを備える。本発明において「斜位の体勢」とは、立位の体勢でもなく、臥位(伏臥位・仰臥位)の体勢でもないことをいう。また、「支持部3」は、被検体Sの全体を支持する態様と、被検体Sの一部(計測領域)を支持する態様とを含む。また、「支持部3」は、支持面3aの水平方向からの角度が任意の角度に固定された態様と、支持面3aの水平方向からの角度が任意の角度に変位可能な態様とを含む。
【0025】
また、生体情報計測装置1は、被検体Sと生体磁気検出部2との間に配置され、照射された放射線を検出可能な放射線検出部4を備える。
【0026】
また、生体情報計測装置1は、被検体Sに放射線を照射する放射線照射部5をさらに備える。
【0027】
以下、生体磁気検出部2、支持部3、放射線検出部4、放射線照射部5についてそれぞれ説明する。
【0028】
[生体磁気検出部]
生体磁気検出部2は、生体磁気を検出する複数の磁気センサ2aと、磁気センサ2aを保持する保持部2bとから構成される。保持部2bは、被検体の所定の計測領域に対応する大きさで形成され、被検体に対向する平面に、複数の磁気センサ2aがアレイ状(例えば5×8)に配列されている。複数の磁気センサ2aを有することにより、多くの生体磁気情報を得ることができ、より詳細な生体情報を得ることが可能である。生体磁気検出部2が備える磁気センサ2aの配列方向や数は、特に制限されず、被検体Sの計測領域や分解能に応じて適宜設定すればよい。
【0029】
なお、保持部2bは、非磁性材料で構成されることが好ましい。保持部2が非磁性材料で構成されることにより、保持部2bが振動しても、環境磁気の変動による影響が磁気センサ2aに及ぶことを抑制することができる。非磁性材料としては、アクリル樹脂等のプラスチック材料、銅・真鍮等の非鉄金属等が挙げられる。
【0030】
生体磁気検出部2は、被検体Sの計測領域に応じた箇所に設置されるべく、支持部3に固定されていてもよいし、支持部3に対して図1中、支持部3の短手方向となるX方向、及び/又は長手方向となるY方向にスライド可能に構成されてもよい。生体磁気検出部2が支持部3に対してX方向及び/又はY方向にスライド可能に構成されることにより、生体磁気検出部2が被検体Sの計測領域に応じた箇所に移動可能となり、利便性が向上する。また、生体磁気検出部2が支持部3に対してスライド可能に構成されることにより、生体磁気検出部2の小型化、低コスト化も可能である。生体磁気検出部2の移動は、手動で行っても自動で行ってもよい。
【0031】
(磁気センサ)
磁気センサ2aは、被験体から生じる生体磁気を検知する。具体的には、磁気センサ2aとしては、巨大磁気抵抗センサ(GMRセンサ)、トンネル磁気抵抗センサ(TMRセンサ)、異方的磁気抵抗センサ(AMRセンサ)、磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)、フラックスゲートセンサ等が挙げられる。本実施形態で使用する磁気センサ2aは、10−4T(テスラ)〜10−15T(テスラ)程度の磁界を検出することができれば、いずれの磁気センサであってもよい。本実施形態で使用する磁気センサ2aは、SQUIDセンサと同程度の情報を得ることができ、かつ、SQUIDセンサのように冷却容器等の温度調整機構を設置する必要がなく取り扱いが簡便で、生体に近づけやすい。
【0032】
磁気センサ2aの感磁方向は、XYZ直交座標空間において、支持部3の支持面3aがXY平面を構成し、支持面3aの法線方向がZ方向であるとき、生体磁気検出部2の磁気センサ2aの感磁方向は、X方向、Y方向、Z方向の少なくともいずれかと平行であることが好ましい。磁気センサ2aの感磁方向を、X、Y、Z方向の少なくともいずれかと平行にすることにより、計測データからの磁場源及び/又は電流源推定を精度よく行うことが可能である。また、生体磁気検出部2は、XYZ直交座標空間において少なくとも2方向以上の感磁方向から得られる生体磁気情報を得ることにより、より正確な生体磁気情報を生成し得る。なお、複数の磁気センサ2aの感磁方向は、同一であっても、異なっていてもよい。また、ひとつの磁気センサ2aが複数の感磁方向を有する構成であってもよい。
【0033】
上記磁気センサ2aで検出された検出信号は、図示しない演算部に送られる。演算部では、磁気センサ2aで検出された信号から生体磁気情報を生成し、画像情報化して表示装置に表示出力する。
【0034】
上記磁気センサ2aは、保持部2bに対して固定されていても、着脱可能に構成されてもよい。被検体Sの計測領域の形状、大きさ(例えば、子供、大人、ヒト以外の動物等)に応じて磁気センサ2aの数や配置を調整することが可能である。また、被検体Sの計測箇所によって求められる空間分解能が異なる場合もある。そのような場合であっても、磁気センサ2aが保持部2bに対して着脱可能であることにより、高空間分解能が必要である箇所(例えば、心臓等)には磁気センサ2aを密に配置し、高空間分解能が必要でない箇所には磁気センサ2aを疎に配置することが可能である。さらに、磁気センサ2aが保持部2bに対して着脱可能であることにより、不要な磁気センサ2aを設置する必要がなくなり、不要な磁気センサ2aとの信号の授受や電力供給も行われず、省電力化及び低コスト化が可能となる。
【0035】
また、磁気センサ2aは、信号の授受や電力供給のための配線を有していてもよいし、有していなくてもよい。ただし、図2に示すように、生体磁気計測装置1においては、複数の磁気センサ2aが配置されることから、混線を避けるためには、配線を有していることが好ましい。
【0036】
図2は、生体磁気検出部の構成を示す断面模式図である。例えば、生体磁気検出部2の保持部2bには、図2に示すように、磁気センサ2aを挿入可能な複数の挿入孔2cと、磁気センサ2aの検出面を所定位置に固定可能な複数の枠2d(必要に応じて固定具を用いてもよい)が形成されている。これにより、磁気センサ2aは、所望の箇所で、保持部2bに対して着脱自在に構成される。また、磁気センサ2aは、配線2eを有していてもよい。
【0037】
[支持部]
支持部3は、被検体Sが斜位の体勢を取ることが可能な支持面3aを有する。具体的に、支持部3の支持面3aの角度は、水平方向から30°〜60°程度であることが好ましい。
【0038】
被検体Sは、計測時、支持部3上で斜位の体勢であることから、位置が安定し、支持面3aの一部に配置される生体磁気検出部2の検出面に重力の作用により密着した状態となる。よって、生体磁気検出部2は、被検体Sからの検出できる生体磁気の強度が上がる。また、被検体Sが斜位の体勢であることから、肺に胸水がたまっている場合であっても後述する放射線検出部4によりこれを検出しやすく、胸水の診断が可能となる。支持部3の支持面3aが水平方向である場合には、被検体Sは位置が安定し、生体磁気検出部2と密着することができるものの、胸水の診断が難しくなる。
【0039】
なお、支持部3は、支持面3aの傾きが予め任意の角度に固定された構成であってもよいが、支持面の傾きを任意の角度に調整可能な角度調整機構を備えていてもよい。
【0040】
例えば、図1に示す支持部3は、台座6aと、台座6aに回転可能に支持される半円状の回転軸支持フレーム6bとを備える角度調整機構6によって、支持面3aの傾きを任意の角度に調整してもよい。この角度調整機構6によれば、回転軸支持フレーム6bが図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転することにより、支持部3が回転軸支持フレーム6bを中心に図中反時計回り方向に回転し、支持面3aの水平方向からの傾きが大きくなる。一方、回転軸支持フレーム6bが図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転することにより、支持部3が回転軸支持フレーム6bを中心に図中時計回り方向に回転し、支持面3aの水平方向からの傾きが小さくなる。
[放射線検出部]
放射線検出部4は、被検体Sと生体磁気検出部2との間に配置される。支持面3aから突出すると、被検体Sに違和感を与えるため、放射線検出部4は、被検体Sと対向する面が支持面3aと同一平面上にあることが好ましい。
【0041】
また、放射線検出部4は、非磁性であることが好ましい。放射線検出部4が磁性を有すると、放射線検出部4が発する磁気が生体磁気検出部2の検出精度に悪影響を及ぼし得るため好ましくない。
【0042】
放射線検出部4としては、例えば、放射線フィルム、イメージングプレート、フラット・パネル・ディテクター(以下、FPDという。)等が挙げられる。イメージングプレートは、放射線の照射によって得られる画像(アナログ画像データ)をデジタル画像データとして変換可能な感光体である。放射線フィルムとは異なり、イメージングプレートは、再利用可能であるため、近年汎用されている。FPDは、放射線をデジタル画像データである形態画像として取得可能であり、アナログ画像データをデジタル画像に変換するという工程がいらないことから、効率的である。FPDで検出された信号は、図示しない演算部に送られる。演算部では、FPDで検出された信号から形態画像を生成し、画像情報化して表示装置に表示出力する。
【0043】
ところで、被検体Sが発する磁気は微弱であることから、磁性を帯びた放射線検出部4を生体磁気検出部2と被検体Sとの間に配置すると、生体磁気検出部2での検出結果に大きな影響を与える。そこで、放射線検出部4は、生体磁気検出部2の検出精度に大きな影響を与えない構成部品から構成する。
【0044】
例えば、放射線検出部4が放射線フィルム又はイメージングプレートである場合には、金属からなるカセッテに収容されるのが一般的であるが、カセッテの磁性が生体磁気検出部2の検出結果に悪影響を与えてしまう。よって、カセッテを非磁性材料とするか、金属からなるカセッテに収容されていないものを用いるとよい。
【0045】
生体磁気検出部2での検出結果と、放射線検出部4での検出結果(形態画像)とを精度よく重ね合わせわせるため、放射線検出部4に、所定の磁場を発生する磁気マーカーを配置してもよい。ここで、磁気マーカーは、放射線検出部4の画像情報取得の障害にならず、かつ、生体磁気検出部2による検出範囲内(例えば、保持部2bの辺縁部分等)に配置する。なお、放射線検出部4をカセッテに収納している場合には、磁気マーカーは、カセッテの表面に配置してもよい。
【0046】
磁気マーカーには、従来公知のものを使用することができ、例えば、マーカーコイルと呼ばれる小さなコイルのシールが挙げられる。マーカーコイルに通電し、微弱な磁場を発生させ、マーカーコイルによって発生された磁場を生体磁気検出部2に検出させる。そして、生体磁気検出部2の位置演算部(図示せず)において、マーカーコイルによる磁場の発生位置を演算させることで、生体磁気検出部2での検出結果と放射線検出部4での検出結果(形態画像)とを重ね合わせる際の指標とすることができる。
【0047】
磁気マーカーの数は、複数であれば特に限定されるものでない。測定対象の形状を把握できる精度を高めるためには、磁気マーカーの数は、多い方が好ましく、磁気マーカーによるノイズを小さく抑え、被検体Sからの磁気を生体磁気検出部で正確に検知できるためには、磁気マーカーの数は、少ない方が好ましい。両者を考慮すると、磁気マーカーの数は、2個以上6個以下であることが好ましく、2個以上4個以下であることがより好ましい。
【0048】
また、放射線検出部4には、フラット・パネル・ディテクター(以下、FPDという。)が好ましい。
【0049】
FPDには、照射された放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接変換方式や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接方式がある。一般に、FPDには、これらの工程を行う種々の部品が、カセッテ等の筐体内に内臓されている。しかし、上述したように、放射線検出部4が磁性を帯びていると好ましくないことから、本発明の放射線検出部4で使用されるFPDは、これらの種々の部品のうち、外部に配置可能な、磁性体を複数有する回路基板、制御基板、バッテリ等の種々の部品を、放射線検出部4から取り除き、外部に配置する。また、従来より、金属等で構成されているカセッテ等の部品は、非磁性材料より構成するか、用いずに構成する。このように、FPDの構成部品の分解、又は構成部品材料の変更等により、放射線検出部4が生体磁気検出部2の検出精度に大きな影響を与えないようにすることが好ましい。また、被検体Sと生体磁気検出部2とはできるだけ近接していることが好ましいことから、放射線検出部4から外部に配置可能な部品を取り除き、その厚み(被検体Sに直交する方向)をできるだけ薄くするとよい。例えば、FPDの厚みは、10mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましい。
【0050】
また、放射線検出部4(FPD)が生体磁気検出部2の検出精度に与える影響を小さくする点から、放射線検出部4(FPD)は、生体磁気検出部2が生体磁気を検出している間、放射線検出部4(FPD)に電源供給を行わないように制御可能な制御部を備えていることが好ましい。放射線検出部4(FPD)に電源供給を行うと、放射線検出部4(FPD)内で電荷が発生して磁気が発生し、この磁気を生体磁気検出部2が検出してしまうからである。よって、制御部により、放射線検出部4(FPD)への電源供給の制御を行うことにより、放射線検出部4(FPD)による影響を最小限に小さくすることが可能である。
【0051】
また、放射線検出部4(FPD)は、生体磁気検出部2に保持されることが好ましい。具体的には、放射線検出部4(FPD)は、保持部2bの被検体Sに対向する対向面上に保持されることが好ましい。放射線検出部4(FPD)が生体磁気検出部2の対向面に保持されることにより、互いの位置情報を特定する手段(例えば、磁気マーカー等)を設けることなく、生体磁気検出部2から得られる生体磁気検出結果と、放射線検出部4から得られる形態画像とを精度よく重ね合わせることができる。
【0052】
なお、放射線検出部4は、生体磁気検出部2に対して、固定されていても、着脱可能に保持されていてもよい。放射線検出部4が着脱可能であることにより、装置のメンテナンスがしやすくなる。また、生体磁気検出部2の検出結果のみが必要である場合には、放射線検出部4を外してもよい。
【0053】
[放射線照射部]
本発明において、「放射線」とは、一般的に用いられるX線に限るものでなく、放射性崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線等のほか、これらと同程度以上のエネルギーを有するビーム、例えば、粒子線や宇宙線等も含む包括概念である。汎用性の高さを考慮すると、放射線として、X線を用いることが好ましい。
【0054】
放射線照射部5は、生体に放射可能な放射線を照射可能であれば、従来公知のものを使用することができる。本発明において、放射線照射部5は、支持部3に固定されていてもよく、支持部3に対して可動であってもよい。放射線照射部5が支持部3に固定されていることにより、支持部3上の被検体Sに向けて常に一定方向から放射線を照射することができる。また、放射線照射部5が支持部3に対して可動であれば、放射線検出部4が支持部3に対して相対移動可能であることが好ましい。
【0055】
[計測手順]
例えば、図1に示すように、被検体(ヒト)の胸部のX線撮影と生体磁気計測を同時に行う検査では、被検体(ヒト)Sは、支持面3aが水平方向となっている支持部3の伏臥位(うつぶせ)又は仰臥位(あおむけ)になり所定の位置に待機する。検査者は、図示しない操作部から、角度調整機構6を操作し、所定の角度に支持部3(支持面3a)を傾ける。そして、検査者は、放射線照射部5から放射線を被検体Sに向けて放射し、放射線検出部4(FPD)からの検出結果であるX線画像を得る。その後、制御部により放射線検出部4(FPD)への電源供給が行われない状態で、生体磁気検出部2への電力供給を行って、生体磁気検出部2からの検出結果である心磁図を得る。
【0056】
または、検査者は、制御部により放射線検出部4(FPD)への電源供給が行われない状態で、生体磁気検出部2への電力供給を行って、生体磁気検出部2からの検出結果である心磁図を得た後、放射線照射部5から放射線を被検体Sに向けて放射し、放射線検出部4(FPD)からの検出結果であるX線画像を得てもよい。生体磁気検出後又はX線画像撮影後、検査者は角度調整機構6を操作して支持部3を水平方向に戻し、被検体Sが支持部3から降りやすい状態にした後、一連の検査を終了する。
【0057】
以下、上述した生体情報計測装置1により、ヒトの胸部を計測した結果を図3に示す。なお、図3には、生体磁気検出部の磁気センサの配置Mを合わせて示している。図3からもわかるように、一度の計測で、胸部のX線撮影像と心磁図とを重ね合わせた生体情報を得ることができる。
【0058】
また、被検体Sの胸部のX線画像と心磁図とを得る態様は、集団検診の際に顕著な効果を奏し得る。これまで、心電図検査では、複数の電極を対象者の肌に直接取り付ける必要があり、女性の検診受診者に精神的な負担を与え得たとともに、心電図検査のために検査者を配置する必要があった。一方で、心磁図検査は、Tシャツ等を着衣した状態で行うことも可能であるため、女性の検診受診者に与える負担を大きく軽減できる。加えて、放射線画像の取得と、心磁図検査とを同じ場所で行うことができ、検査者を省力できるという効果も奏する。
【0059】
なお、本実施形態においては、計測部位が胸部である場合について説明したが、脳や脊髄等の他の部位や器官であってもよいことは言うまでもない。また、本実施形態においては、角度調整機構6を備えた支持部3について説明したが、角度調整機構6を備えず、支持面が予め傾斜している支持部であってもよい。また、本実施形態においては、支持部3が寝台である場合について説明したが、支持部3は、椅子の背もたれであってもよい。椅子の背もたれに、生体磁気検出部2及び放射線検出部4を備える構成である場合には、背もたれが任意の角度で傾斜した状態で固定されていてもよく、背もたれの角度を任意の角度に調整可能な角度調整機構を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 生体情報計測装置
2 生体磁気検出部
2a 磁気センサ
2b 保持部
3 支持部
4 放射線検出部
5 放射線照射部
6 角度調整機構
S 被検体
図1
図2
図3