特許第6857356号(P6857356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857356
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】スクラバー
(51)【国際特許分類】
   B21B 45/02 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   B21B45/02 330
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-99249(P2017-99249)
(22)【出願日】2017年5月18日
(65)【公開番号】特開2018-192506(P2018-192506A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】591031566
【氏名又は名称】株式会社中園工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中園 安志
【審査官】 中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−020111(JP,A)
【文献】 特開平02−185996(JP,A)
【文献】 特開2013−010980(JP,A)
【文献】 特開2006−291351(JP,A)
【文献】 実開昭63−104365(JP,U)
【文献】 実開平04−118454(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第102935435(CN,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1203615(KR,B1)
【文献】 特開平03−028395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 45/02
C25D 5/00−7/12
C23G 1/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側ロール、下側ロール、前記上側ロールの両端側に設置されている上側ロール支持機構、前記下側ロールの両端側に設置されている下側ロール支持機構、前記上側ロール支持機構を昇降させる上側ロール昇降機構、前記下側ロール支持機構を昇降させる下側ロール昇降機構、前記上側ロールをロール軸周りに回転させる上側ロール回転機構及び前記下側ロールをロール軸周りに回転させる下側ロール回転機構を備えるスクラバーであって、
前記上側ロール支持機構及び前記下側ロール支持機構には、それぞれ2つのスライド部材が設置されるとともに、該スライド部材の下方には前記上側ロール及び前記下側ロールの長手方向に延びる2本のレールが設置されており、
前記上側ロール及び前記下側ロールが退避位置にある時、前記スライド部材が前記レールの上に載り、前記上側ロール及び前記上側ロール支持機構並びに前記下側ロール及び前記下側ロール支持機構を前記レールに沿って引き抜くことができ
前記上側ロール支持機構及び前記下側ロール支持機構の側部には、それぞれロール軸と平行な軸の周りに回動可能なガイドローラが設置されるとともに、各ガイドローラの側方には、それぞれ上下方向に延びるガイド部材が設置されており、
前記上側ロール及び前記下側ロールが近接位置にある時、前記ガイドローラと前記ガイド部材が接触し、前記上側ロール及び前記下側ロールが退避位置にある時、前記ガイドローラと前記ガイド部材が離間するようになっている
ことを特徴とするスクラバー。
【請求項2】
前記2本のレールに接続可能な2本の延長レールを備えている
ことを特徴とする請求項1記載のスクラバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯鋼用圧延設備において、圧延材に付着している異物を除去するために使用されるスクラバーに関する。
【背景技術】
【0002】
スクラバーは、圧延材に付着している異物を除去するため、圧延材と接して回転しているが、スクラバーのロールに植設されているブラシ部分は摩耗により短くなる。
そのため、スクラバーのロールは定期的に点検され、ブラシ部分の長さが所定長以下となっている場合には交換しなければならない。
交換中は圧延装置全体を止める必要があるので、交換に要する時間はできるだけ短い方が良い。
例えば、特許文献1(特公平7−4617号公報)には、スクィージングローラユニットを載置して機枠内の所定位置に対して挿入、引出し可能にする水平ガイド部を設けることにより、安定して安全にスクィージングローラの組替作業が行え、しかも組替作業が短時間で円滑に行え、設備稼動率や生産性の向上が図れる装置が記載されている(特に、発明の効果の項、実施例の項及び第1〜3図を参照)。
また、特許文献2(特開2003−321159号公報)には、条ストリップ材の表面処理装置において、支持軸駆動機構(17)を操作して支持軸(16)を後退させて、ローラ(15)を駆動軸(13)に片持ち支持状態とした後、油圧ロック(30)を操作して開閉扉(11)の固定を解除し、開閉扉(11)を開成し、ローラ(15)をそれぞれ駆動軸(13)に沿って平行に引き抜くことにより、ローラ(15)を簡易迅速に交換できる旨記載されている(特に、段落0026〜0028及び図5〜7を参照)。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の技術では、スクィージングローラユニットを交換するようにしているので、ローラを個別に引き出し交換することができなかった。
また、特許文献2に記載の技術では、ローラ(15)を個別に引き抜くことはできるが、引き抜く際にローラ(15)を支持する機構を有していないため、駆動軸(13)から引き抜いた後にローラ(15)を運搬する労力が大きく、ローラ(15)の落下事故発生のおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−4617号公報
【特許文献2】特開2003−321159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決し、スクラバーのロールを個別に交換することができるとともに、交換時にロールを容易かつ安全に運搬することのできるスクラバーを得ることを第1の課題としている。
また、ロールを支持する機構の前後方向(圧延材の流れ方向)における振動を抑止することが、本発明の第2の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、上側ロール、下側ロール、前記上側ロールの両端側に設置されている上側ロール支持機構、前記下側ロールの両端側に設置されている下側ロール支持機構、前記上側ロール支持機構を昇降させる上側ロール昇降機構、前記下側ロール支持機構を昇降させる下側ロール昇降機構、前記上側ロールをロール軸周りに回転させる上側ロール回転機構及び前記下側ロールをロール軸周りに回転させる下側ロール回転機構を備えるスクラバーであって、
前記上側ロール支持機構及び前記下側ロール支持機構には、それぞれ2つのスライド部材が設置されるとともに、該スライド部材の下方には前記上側ロール及び前記下側ロールの長手方向に延びる2本のレールが設置されており、
前記上側ロール及び前記下側ロールが退避位置にある時、前記スライド部材が前記レールの上に載り、前記上側ロール及び前記上側ロール支持機構並びに前記下側ロール及び前記下側ロール支持機構を前記レールに沿って引き抜くことができ
前記上側ロール支持機構及び前記下側ロール支持機構の側部には、それぞれロール軸と平行な軸の周りに回動可能なガイドローラが設置されるとともに、各ガイドローラの側方には、それぞれ上下方向に延びるガイド部材が設置されており、
前記上側ロール及び前記下側ロールが近接位置にある時、前記ガイドローラと前記ガイド部材が接触し、前記上側ロール及び前記下側ロールが退避位置にある時、前記ガイドローラと前記ガイド部材が離間するようになっていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のスクラバーにおいて、前記2本のレールに接続可能な2本の延長レールを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明のスクラバーは、上側ロール及び下側ロールが退避位置にある時、スライド部材がレールの上に載り上側ロール及び上側ロール支持機構並びに下側ロール及び下側ロール支持機構をレールに沿って引き抜くことができるので、スクラバーのロールを個別に交換することができるとともに、交換時にロール及びロール支持機構を容易かつ安全に運搬することができる。
また、上側ロール及び下側ロールが近接位置にある時ガイドローラとガイド部材が接触し、上側ロール及び下側ロールが退避位置にある時ガイドローラとガイド部材が離間するようになっているので、スクラバー使用時にはロールに発生する水平方向の振動を抑止することができ、上側ロール又は下側ロールの交換時にはガイド部材がロール及びロール支持機構の引き抜きを妨害することがない。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明による効果に加えて、2本のレールに接続可能な2本の延長レールを備えているので、ロール及びロール支持機構をより容易に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例に係るスクラバーの正面図。
図2】実施例に係るスクラバーの左側面図(上側及び下側ロールの退避位置)。
図3】実施例に係るスクラバーの左側面図(上側及び下側ロールの近接位置)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例】
【0014】
図1は実施例に係るスクラバーの正面図である。
図1に示すとおり、実施例に係るスクラバーは、上側ロール1、下側ロール2、上側ロールの両端側に設置されている上側ロール支持機構3−1,3−2、下側ロールの両端側に設置されている下側ロール支持機構4−1,4−2、上側ロール支持機構3−1,3−2を昇降させる上側ロール昇降機構5−1,5−2、下側ロール支持機構4−1,4−2を昇降させる下側ロール昇降機構6−1,6−2、上側ロール1をロール軸周りに回転させる上側ロール回転機構7並びに下側ロール2をロール軸周りに回転させる下側ロール回転機構8を備えている。
そして、これらの機構等は、基台9の上面に据え付けた機枠10の上に、それぞれ設置されている。
なお、図1には上側ロール1と下側ロール2等からなる1組のスクラバーのみを示してあるが、実際には前後方向(圧延材の流れ方向)に複数組のスクラバーを配置している。
【0015】
図2、3は実施例に係るスクラバーの左側面図である。
なお、図2は上側ロール1及び下側ロール2が退避位置にある時の左側面図、図3は上側ロール1及び下側ロール2が近接位置にある時の左側面図である。
以下では、図1〜3を用いて本発明に係るスクラバーの各機構を詳細に説明する。
(1)上側ロール支持機構3−1,3−2
下部に上側ロール1を回転可能に支持する上側ロール支持部11と補助車輪12を備え、側部に上側ガイドローラ13を備え、上部に2つの上側車輪14を備える上側チョック15からなっている。
(2)下側ロール支持機構4−1,4−2
上部に下側ロール2を回転可能に支持する下側ロール支持部16を備え、側部に下側ガイドローラ17を備え、下部に2つの下側車輪18と下側ロッド挿入部19を備える下側チョック20からなっている。
【0016】
(3)上側ロール昇降機構5−1,5−2
下端にフランジ部21を有する上側ロッド22、フランジ部21の上に設置されるリング状のスプリング23、上側ロール1の両側にあるスプリング23の上に掛け渡される2本の上側レール24を備え、上側ロッド22、スプリング23及び2本の上側レール24は、上側チョック15の上部にある開口部内に、上側レール24の上面が上側車輪14に接触するとともに、上側ロッド22の下端面がスプリング23のバネ力によって上側チョック15に接触する状態となるように配置されている。
また、上側ロッド22の上端には上側アクチュエータ25の下端が接続され、上側アクチュエータ25の上端は上側ジャッキ26の下面に接続されている。
そして、上側アクチュエータ25は、上側昇降モータ27の作動又は上側昇降ハンドル28の操作によって内圧が制御され、その内圧に応じて伸縮し上側ロッド22の上下位置を調整できるようになっている。
さらに、上側アクチュエータ25の両側の上側ロール支持機構3−1,3−2の真上にはストッパ29が設置されており、上側チョック15には、ストッパ29の真下に当たる位置に突片30が設けてある。
なお、少なくとも上側アクチュエータ25が最も縮んだ状態においては、突片30がストッパ29とぶつかり、上側ロッド22がそこからさらに2、3mm上方に移動して、上側チョック15との接触状態が解除されるようになっており、最も伸びた状態においては、上側ロール1と下側ロール2が接するようになっている。
【0017】
(4)下側ロール昇降機構6−1,6−2
上端にフランジ部31を有する下側ロッド32、下側ロッド32の下端に接続される下側アクチュエータ33、下側アクチュエータ33の下端に接続される下側ジャッキ34を備えている。
そして、下側アクチュエータ33は、下側昇降モータ35の作動又は下側昇降ハンドル36の操作によって内圧が制御され、その内圧に応じて伸縮して下側ロッド32の上下位置を調整できるようになっている。
なお、少なくとも下側アクチュエータ33が最も縮んだ状態においては、2つの下側車輪18が、それぞれ2本の下側レール37の上に載置されるようになっており、最も伸びた状態においては、上側ロール1と下側ロール2が接するようになっている。
(5)上側ロール回転機構7及び下側ロール回転機構8
図1に示すとおり、上側ロール回転機構7は、上側ロール1の一端(図1では右端)に嵌合可能な上側回転体38、上側回転体38の一端にジョイント部を介して接続される上側回転伝達体39及び上側回転伝達体39の一端にジョイント部を介して接続される上側ロール駆動モータ40を備えている。
また、下側ロール回転機構8も、上側ロール回転機構7と同様に、下側ロール2の一端(図1では右端)に嵌合可能な下側回転体41、下側回転体41の一端にジョイント部を介して接続される下側回転伝達体42及び下側回転伝達体42の一端にジョイント部を介して接続される下側ロール駆動モータ43を備えている。
このような構成となっているため、上側ロール駆動モータ40や下側ロール駆動モータ43を移動させることなく、上側ロール1及び下側ロール2を上側ロール昇降機構5−1,5−2及び下側ロール昇降機構6−1,6−2により自由に昇降させることができる。
【0018】
次に、図2、3のみに示されている本発明の第2の課題である上側ロール支持機構3−1,3−2並びに下側ロール支持機構4−1,4−2の前後方向(圧延材の流れ方向)における振動の抑止に関係する構成について詳細に説明する。
(6)上側ロール支持機構の振動抑制装置
図2、3中、上側ガイドローラ13の側方(図1では右側)に記載されている部分が、上側ロール支持機構の振動抑制装置であり、スクラバーの上流側(図2、3では右側)にある機枠10から、上側ロール支持機構3−1,3−2に向かってほぼ垂直に延びる上側固定片44と、上側固定片44に回動自在に固定され上側が狭く下側が太く形成されるとともに、下側の左端に折り曲げ部を有する上側ガイド部材45と、下側の折り曲げ部を上側バネ46によって上側ガイドローラ13の方向へ付勢する上側付勢部材47とからなっている。
【0019】
(7)下側ロール支持機構の振動抑制装置
図2、3中、下側ガイドローラ17の側方(図1では右側)に記載されている部分が、下側ロール支持機構の振動抑制装置であり、スクラバーの上流側(図2、3では右側)にある機枠10から、下側ロール支持機構4−1,4−2に向かってほぼ垂直に延びる下側固定片48と、下側固定片48に回動自在に固定され下側が狭く上側が太く形成されるとともに、上側の左端に折り曲げ部を有する下側ガイド部材49と、上側の折り曲げ部を下側バネ50によって下側ガイドローラ17の方向へ付勢する下側付勢部材51とからなっている。
これらの振動抑制装置は、このような構成となっているため、上側ロール1と下側ロール2が近接している状態(図3:圧延材に付着している異物を除去する作業が実施可能な状態)においては、上側ガイドローラ13と上側ガイド部材44並びに下側ガイドローラ17と下側ガイド部材48が接触し、作業実施時に発生する振動を抑制することができる。
また、上側ロール1と下側ロール2が退避している状態(図2:上側ロール1又は下側ロール2を交換する作業が実施可能な状態)においては、上側ガイドローラ13と上側ガイド部材44並びに下側ガイドローラ17と下側ガイド部材48が離間し、上側ロール1等又は下側ロール2等を引き抜くに際して、上側ガイドローラ13や下側ガイドローラ17が上側ガイド部材44や下側ガイド部材48に引っ掛かってしまうことがない。
【0020】
最後に、上側ロール1及び下側ロール2を交換する際の作業手順について説明する。
(手順1)図3の状態において、上側昇降モータ27及び下側昇降モータ35を作動させ、上側ロール支持機構3−1,3−2を上昇、下側ロール支持機構4−1,4−2を下降させて、上側ロール1及び下側ロール2を退避させる。
(手順2)上側昇降ハンドル28を操作して上側ロッド22を上昇させ、上側ロッド22の下端を上側チョック15の上面から2mmほど離間させる。
また、下側昇降ハンドル36を操作して下側ロッド32を上昇させ、下側ロッド32のフランジ部31と下側ロッド挿入部19との間に、上側で2mmほど、下側で3mmほどの隙間ができるように調整し、図2の状態とする。
(手順3)上側レール24及び下側レール37の前方(図1では左側)に、それぞれ延長レール(図示せず)を接続する(延長レールを載せた台車を横付けして接続する)。
【0021】
(手順4)上側チョック15及び下側チョック20を前方に引くと、上側ロール1の一端と上側回転体38との嵌合状態及び下側ロール2の一端と下側回転体41の嵌合状態は解除され、上側車輪14及び下側車輪18が、それぞれ上側レール24及び下側レール37の上面をころがる。
そして、(手順2)で説明したとおり、上側ロッド22と上側チョック15との間並びに下側ロッド32のフランジ部31と下側ロッド挿入部19との間には、それぞれ隙間ができるように調整してあり、上側ロッド22や下側ロッド32は邪魔になることがないので、上側ロール1と上側ロール支持機構3−1,3−2及び下側ロール2と下側ロール支持機構4−1,4−2を、スクラバー本体から容易に引き抜くことができる。
(手順5)上側チョック15及び下側チョック20をさらに引き、上側車輪14及び下側車輪18は上側レール24及び下側レール37から、それぞれに接続した延長レールへ移動させ、全ての上側車輪14及び下側車輪18が延長レール上面に載るまで移動させる。
そうすると、上側レール24と延長レールとの接続及び下側レール37と延長レールとの接続を外せば、上側ロール1と上側ロール支持機構3−1,3−2及び下側ロール2と下側ロール支持機構4−1,4−2を、台車に載せて自由に移動できるようになる。
【0022】
(手順6)一方の上側ロール支持機構(例えば3−1)を上側ロール1から外し、さらに他方の上側ロール支持機構(例えば3−2)から上側ロール1を外す。その作業に当たっては、他方の上側ロール支持機構は台車に仮止めしておいた方が作業し易い。
同様に、一方の下側ロール支持機構(例えば4−1)を下側ロール2から外し、さらに他方の下側ロール支持機構(例えば4−2)から下側ロール2を外す。
(手順7)新しいロールを新たな上側ロール1として、台車に仮止めしてある他方の上側ロール支持機構に取り付ける。そして、一方の上側ロール支持機構の車輪14を上側レール24の延長レール上に載置し、スライドさせて新たな上側ロール1に取り付ける。
同様に、新しいロールを新たな下側ロール2として、台車に仮止めしてある他方の下側ロール支持機構に取り付け、一方の下側ロール支持機構の車輪18を下側レール37の延長レール上に載置し、スライドさせて新たな下側ロール2に取り付ける。
【0023】
(手順8)台車をスクラバー本体に隣接させ、上側レール24と延長レール及び下側レール37と延長レールとを接続した後、仮止めを外す。
そして、上側ロール1と上側ロール支持機構3−1,3−2を、延長レールから上側レール24へと押し込んでスクラバー本体にセットし、同様に下側ロール2と下側ロール支持機構4−1,4−2を、延長レールから下側レール37へと押し込んでスクラバー本体にセットする。
(手順9)上側昇降モータ27及び下側昇降モータ35を作動させ、上側ロール支持機構3−1,3−2を下降、下側ロール支持機構4−1,4−2を上昇させて、上側ロール1及び下側ロール2を図3の状態となるまで近接させる。
以上が上側ロール1及び下側ロール2を交換する際における作業手順の説明であるが、いずれか一方のロール(例えば上側ロール)のみの交換でよければ、各手順で交換する側(上側)に対する作業のみを行い、交換しない側(下側)に対する作業は省略すれば良い。
【0024】
実施例に係るスクラバーの変形例を説明する。
(1)実施例においては、上側ロール支持機構3−1,3−2の上部に上側車輪14を設け、下側ロール支持機構4−1,4−2の下部に下側車輪18を設けたが、車輪は各支持機構の退避位置においてレール上に載置できる位置であれば何処に設けても良い。
また、車輪に代えてフッ素樹脂等よりなる低摩擦部材を各支持機構に設け、低摩擦部材がレールに接した後には、各支持機構がレール上で容易に動かせるようにしても良い。
そこで、本明細書では、車輪及び低摩擦部材を総称してスライド部材と呼ぶこととする。
(2)実施例の説明では、上側車輪14を用いて上側ロール支持機構3−1,3−2を上側レール24に沿って引き抜くものとしたが、補助車輪12を用いて上側ロール支持機構3−1,3−2を下側レール37に沿って引き抜くこともできる。
すなわち、下側ロール2及び下側ロール支持機構4−1,4−2が引き抜かれた後に、上側ロール支持機構3−1,3−2を補助車輪12が下側レール37に載置されるまで下げ、上側ロール1及び上側ロール支持機構3−1,3−2を下側レール37に沿って引き抜けば良い。
そして、上側車輪14を用いて上側ロール支持機構3−1,3−2を引き抜くだけで良ければ補助車輪12は不要であり、補助車輪12を用いて上側ロール支持機構3−1,3−2を引き抜くだけで良ければ、上側車輪14、上側レール24、スプリング23等は不要となり、代わりに下側ロッド挿入部19と同様の形状の上側ロッド挿入部を設けるとともに、上側ロール支持機構3−1,3−2を昇降させる上側ロール昇降機構5−1,5−2の昇降範囲を大きくする。
【0025】
(3)実施例の作業手順についての説明では、延長レールを載せた台車をスクラバーに横付けして、上側レール24及び下側レール37に延長レールを接続したが、上側レール24や下側レール37と連続する面を設けたり、上側ロール支持機構3−1や下側ロール支持機構4−1を保持可能にしたりすれば、上側車輪14が上側レール24から出てきた時又は下側車輪18が下側レール37から出てきた時に、上側ロール支持機構3−1や下側ロール支持機構4−1が落下することはなくなるので、延長レールはなくても良い。
また、延長レールを載せた台車を用いずに、スクラバーの機枠10に着脱自在又は折り畳み自在に設置しても良く、上側レール24及び下側レール37自体を前方に延ばせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 上側ロール 2 下側ロール 3−1,3−2 上側ロール支持機構
4−1,4−2 下側ロール支持機構 5−1,5−2 上側ロール昇降機構
6−1,6−2 下側ロール昇降機構 7 上側ロール回転機構
8 下側ロール回転機構 9 基台 10 機枠
11 上側ロール支持部 12 補助車輪 13 上側ガイドローラ
14 上側車輪 15 上側チョック 16 下側ロール支持部
17 下側ガイドローラ 18 下側車輪 19 下側ロッド挿入部
20 下側チョック 21 フランジ部 22 上側ロッド
23 スプリング 24 上側レール 25 上側アクチュエータ
26 上側ジャッキ 27 上側昇降モータ 28 上側昇降ハンドル
29 ストッパ 30 突片 31 フランジ部 32 下側ロッド
33 下側アクチュエータ 34 下側ジャッキ 35 下側昇降モータ
36 下側昇降ハンドル 37 下側レール 38 上側回転体
39 上側回転伝達体 40 上側ロール駆動モータ 41 下側回転体
42 下側回転伝達体 43 下側ロール駆動モータ 44 上側固定片
45 上側ガイド部材 46 上側バネ 47 上側付勢部材
48 下側固定片 49 下側ガイド部材 50 下側バネ
51 下側付勢部材
図1
図2
図3