(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却源および前記加熱源は、それぞれ流体を用いて前記冷却面を冷却および前記加熱面を加熱するように構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の温調システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の温調システムについて、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の温調システムの第1実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の温調システムの第1実施形態を模式的に示す側面図、
図2は、
図1に示す温調システムが備える冷却源(または加熱源)を模式的に示す側面図、
図3は、ZrO
2+CaO皮膜の放射特性を示すグラフ(a)と、Al
2O
3+TiO
2皮膜の放射特性を示すグラフ(b)である。
なお、実施形態に示す部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではなく、単なる一例に過ぎない。
【0021】
図1示す温調システム1は、被搬送物10を搬送するベルトコンベア2と、ベルトコンベア2の上方に配置された冷却源3と、ベルトコンベア2の下方に配置された加熱源4とを備えている。
ここで、被搬送物10は、冷却を要する物であり、例えば、食肉類、魚介類、野菜類、乳製品のような食品、ジュースのような飲料、医薬品、医薬部外品等が挙げられる。
【0022】
ベルトコンベア2は、加工場の床面に立設された架台(図示せず)に支持されている。このベルトコンベア2は、帯状またはメッシュ状のエンドレスベルト21と、エンドレスベルト21の両端に設けられた駆動ローラ22および従動ローラ23とを備えている。
これらの駆動ローラ22および従動ローラ23が架台に回転可能に支持されている。
【0023】
駆動ローラ22の回転軸221には、ベルト24を介してモータ25の回転軸251が連結されている。これにより、モータ25の駆動力(回転力)を駆動ローラ22に付与することができる。
エンドレスベルト21の被搬送物10を搭載する搭載面211が遠赤外線を放射する第1の物質(第1の赤外線放射物質)を含む材料で構成されている。
【0024】
ここで、第1の物質および後述する第2の物質としては、それぞれ、例えば天然または人工鉱物、金属または半金属の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、水酸化物、炭酸塩のような塩またはそれらの複合物(複塩)、炭等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、第1の物質および第2の物質には、それぞれ、貝殻などの天然素材、有機物や有機物由来の物質等を用いることもできる。
【0025】
エンドレスベルト21は、例えば、基部の表面に、例えば熔射、蒸着のような物理的気相成膜法(PVD法)、化学的気相成膜法(CVD法)により、第1の物質を供給して皮膜を形成することで構成することができる。なお、基部は、例えば、ステンレス鋼、鉄、銅またはこれらを含む合金のような金属材料で構成することができる。
その他、エンドレスベルト21は、第1の物質の粒子を含む樹脂材料で構成することもできる。
【0026】
ベルトコンベア2の上方には、冷却源3が配置されている。この冷却源3には、
図1に示すように、冷却装置300が接続されている。
この冷却装置300は、冷却源3に接続された流路301と、流路301を通過する流体と熱交換する流体が通過する流路302とを有している。なお、流体(冷媒)には、液体および気体(ガス)のいずれを用いてもよい。
【0027】
このような構成において、冷却装置300で冷却された流体(冷却流体)が流路301を介して冷却源3に供給されることにより、冷却源3が冷却されるように構成されている。
また、冷却装置300の冷却機構は、一般的な空調装置や冷蔵庫に利用されるのと同様の冷却機構で構成することができる。
なお、冷却装置300から排出される温風や、熱交換後に温度が上昇した流路302を流れる流体を、後述する加熱装置400に誘導して、加熱源4に供給する流体の加熱に補助的に利用してもよい。これにより、熱の有効利用を図ることができる。
【0028】
冷却源3は、
図2に示すように、支持板31と、支持板31と一体的に形成され、鉛直下方に向かって突出する複数のフィン32とで構成されている。冷却装置300から流路301を介して供給された冷却流体は、支持板31およびフィン32を通過した後、流路301を介して冷却装置300に返還される。
冷却源3は、例えば、ステンレス鋼、鉄、銅またはこれらを含む合金のような金属材料で構成することができる。
【0029】
また、支持板31の下面およびフィン32の表面には、遠赤外線吸収層33が形成されている。この遠赤外線吸収層33は、第1の物質を気相成膜法により供給することにより形成することができる他、第1の物質の粒子を含む樹脂材料を用いて形成することもできる。
この遠赤外線吸収層33の支持板31およびフィン32と反対側の面が冷却面331を構成している。
【0030】
冷却装置300を動作させて流体を冷却し、冷却された流体を流路301を介して循環させることにより、冷却源3の冷却面331を冷却する。冷却面331が冷却されると、エンドレスベルト21の載置面211よりも低温となり、冷却面331が1次的な冷放射源となる。
このとき、熱平衡状態のバランスの崩れが大きくなり、遠赤外線が載置面211から冷却面331に向かって放射される。載置面211および冷却面331の双方が第1の物質を含むため、載置面211から放射された遠赤外線の多くは、冷却面331の第1の物質に高い効率で共鳴吸収される。
【0031】
載置面211は、冷却面331に遠赤外線という形で熱気を吸収されることにより、温度が低下する。その結果、載置面211が2次的な冷放射源となる。
以上のようなことから、ベルトコンベア2と冷却源3との間の領域の温度が低下する。
被搬送物10が予め冷却されている場合には、被搬送物10の冷却状態を維持することができ、被搬送物10が常温の場合には、被搬送物10を冷却することができる。
【0032】
ベルトコンベア2と冷却源3との離間距離は、載置面211の効率のよい冷却を考慮するとできる限り小さいことが好ましいが、被搬送物10を加工または処理する際の作業性も考慮して適宜設定される。ベルトコンベア2(載置面211)と冷却源3との離間距離の具体的な値は、特に限定されないが、10〜110cm程度であることが好ましく、20〜80cm程度であることがより好ましい。
ここで、冷却装置300で冷却された流体の温度は、特に限定されないが、−25〜10℃程度であることが好ましく、−15〜5℃程度であることがより好ましい。
【0033】
第1の物質は、遠赤外線の放射率が0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。
ここで、遠赤外線とは、波長が3〜1000μm程度の電磁波を意味する。物質の放射率は、同一条件における理想的な黒体の遠赤外線の放射エネルギーをW0とし、当該物質の遠赤外線の放射エネルギーをWとした場合に、W/W0によって定義される。
なお、第1の物質の遠赤外線の放射率の値は、温調システム1の実際の使用温度に近い室温(例えば25℃)における値が好ましい。
【0034】
粒子状の第1の物質を用いる場合、粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、5〜100μm程度であることが好ましく、10〜75μm程度であることがより好ましい。
なお、エンドレスベルト21の載置面211および冷却源3の冷却面331に含まれる粒子状の第1の物質の粒子径や形状は、同一であっても異なっていてもよい。
【0035】
また、載置面211の構成材料および冷却面331の構成材料中に含まれる第1の物質の量も、特に限定されないが、1重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましい。
なお、載置面211の構成材料および冷却面331の構成材料中に含まれる第1の物質の量も、同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
ベルトコンベア2の下方(作業者の膝付近)には、加熱源4が配置されている。この加熱源4には、
図1に示すように、加熱装置400が接続されている。
この加熱装置400は、加熱源4に接続された流路401と、流路401を通過する流体と熱交換する流体が通過する流路402とを有している。なお、流体(冷媒)には、液体および気体(ガス)のいずれを用いてもよい。
【0037】
このような構成において、加熱装置400で加熱された流体が流路401を介して加熱源4に供給されることにより、加熱源4が加熱されるように構成されている。
加熱装置400には、冷却装置300と同様の機構を採用することができる。
【0038】
また、加熱源4は、冷却源3と同様に構成することができる。具体的には、加熱源4も、
図2に示すように、支持板41と、支持板41と一体的に形成され、鉛直下方に向かって突出する複数のフィン42とで構成されている。加熱装置400から流路401を介して供給された加熱流体は、支持板41およびフィン42を通過した後、流路401を介して加熱装置400に返還される。
【0039】
支持板41の下面およびフィン42の表面には、遠赤外線吸収層43が形成されている。この遠赤外線吸収層43は、第2の物質を気相成膜法により供給することにより形成することができる他、第2の物質の粒子を含む樹脂材料を用いて形成することもできる。
この遠赤外線吸収層43の支持板41およびフィン42と反対側の面が加熱面431を構成している。
【0040】
加熱装置400を動作させて流体を加熱し、加熱された流体を流路401を介して循環させることにより、加熱源4の加熱面431を加熱する。加熱された加熱面431は、遠赤外線を室内に向かって放射する。加熱された加熱面431および放射される遠赤外線の作用により、作業者の下半身(ベルトコンベア2より下側の領域)を加温することができる。
【0041】
これにより、低温状態の被搬送物10を加工または処理する作業者の下半身が冷え過ぎることを防止して、長時間の作業が作業者にとって苦痛となることもない。
なお、加熱装置400から排出される冷風や、熱交換後に温度が低下した流路402を流れる流体を、冷却装置300に誘導して、冷却源3に供給する流体の冷却に補助的に利用してもよい。これにより、熱の有効利用を図ることができる。
特に、本発明では、第2の物質として、第1の物質が放射する遠赤外線の放射特性と異なる放射特性を有する遠赤外線を放射する物質が使用される。
ここで、「放射特性が異なる」とは、遠赤外線放射物質の遠赤外線(電磁波)の波長に対する放射率の変化パターンが異なることを意味する。
【0042】
図3には、ZrO
2+CaOおよびAl
2O
3+TiO
2の熔射皮膜(厚さ400μm)を同一の温度に加熱した場合における放射特性を示している。なお、ZrO
2とCaOとの成分比およびAl
2O
3とTiO
2との成分比は、それぞれ1:1(重量比)である。
図3(a)と
図3(b)には、ZrO
2+CaO皮膜とAl
2O
3+TiO
2皮膜とで、遠赤外線の波長に対する放射率の変化パターンが異なることが示されている。これは、遠赤外線放射物質の組成が異なれば(すなわち、分子種が異なれば)、遠赤外線の波長に対する放射率の変化パターンが異なることを示している。
【0043】
ここで、両皮膜間に温度差を与え、ZrO
2+CaO皮膜を相対的に高温、Al
2O
3+TiO
2皮膜を相対的に低温とし、ZrO
2+CaO皮膜から放射される遠赤外線をAl
2O
3+TiO
2皮膜に吸収させる場合を考える。
キルヒホッフの法則より、放射率は、その物質の吸収率と同じあるから、理想的な条件を考えた場合、放射率が一致する波長において、ZrO
2+CaO皮膜から放射され、Al
2O
3+TiO
2皮膜に向かう遠赤外線は、Al
2O
3+TiO
2皮膜に100%吸収される。換言すれば、エネルギーの輸送効率という観点で見ると、損失がない放射エネルギーのやり取りが行われる。
【0044】
一方、ZrO
2+CaO皮膜の放射率がAl
2O
3+TiO
2皮膜の放射率よりも大きな値となる波長では、この放射率(吸収率)の差に起因して、ZrO
2+CaO皮膜から放射された遠赤外線の一部は、Al
2O
3+TiO
2皮膜に吸収されない。
これは、放射率=吸収率であるから、その波長において(物質Aの放射率>物質Bの放射率=物質Bの吸収率)であれば、物質Aから放射された放射エネルギーの一部が物質Bに吸収されないからである。
【0045】
例えば、ある波長において、物質Aの放射率が0.9であり、物質Bの放射率が0.1である場合、物質Aから放射された当該波長の遠赤外線は、物質Bで僅かしか吸収されず、そのほとんどは反射される。
これは、エネルギーの輸送効率という観点で見ると、損失を伴う放射エネルギーのやり取りであるといえる。
【0046】
また、温度差の関係を逆とし、ZrO
2+CaO皮膜に、Al
2O
3+TiO
2皮膜から放射される遠赤外線を吸収させる場合を考えると、同様な理屈により、放射率が一致する波長において、ZrO
2+CaO皮膜に向かって、Al
2O
3+TiO
2皮膜から放射される遠赤外線は、ZrO
2+CaOに100%吸収される(理想的な条件の場合)。
しかしながら、ZrO
2+CaOの放射率がAl
2O
3+TiO
2の放射率よりも小さい波長では、Al
2O
3+TiO
2から放射された当該波長の遠赤外線の一部は、ZrO
2+CaOに吸収されず、損失が発生する。
【0047】
このように、波長に対する放射率の変化パターンが異なる物質間(すなわち、異なる分子種間)では、理想的な状況であっても、熱放射のやり取りにおいて損失が発生する。
一方、波長に対する放射率の変化パターンが同じ物質間(すなわち、同一の分子種間)では、理想的な状況において、熱放射のやり取りにおいて損失が発生しない。
本発明は、同一の分子種間における熱放射を介した熱交換効率が高い一方、異なる分子種間における熱放射を介した熱交換効率が低いことを利用した温調システムである。
【0048】
前述したように、本発明では、冷却系の第1の物質と加熱系の第2の物質とにおいて、異なる遠赤外線の放射特性を有する物質を用いる。これにより、加熱源4の加熱面431の第2の物質から放射される遠赤外線が、冷却源3の冷却面331やエンドレスベルト21の載置面211の第1の物質により共鳴吸収されることがないか、共鳴吸収されても極
めて少量である。
したがって、ベルトコンベア2を搬送される被搬送物10を冷温に確実に維持しつつ、ベルトコンベア2より下側の領域を加温することができる。
【0049】
第2の物質も、遠赤外線の放射率が0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。
なお、第2の物質の遠赤外線の放射率も、第1の物質の遠赤外線の放射率と同様に定義される。
第1の物質と第2の物質との組み合わせとしては、ZrO
2+CaOとAl
2O
3+TiO
2とのような関係を満足する組み合わせが選択される。
【0050】
本実施形態では、冷却源3の冷却面331、エンドレスベルト21の載置面211および加熱源4の加熱面431は、いずれもベルトコンベア2を収納する空間(作業空間)に露出しているが、これらのうちの少なくとも一方は、厚さ1mm以下の保護層で被覆されていてもよい。
さらに、駆動ローラ22および従動ローラ23の表面を、それぞれ第1の物質を含む材料で構成するようにしてもよい。
【0051】
なお、冷却源3および加熱源4の構成は、図示の構成に限定されるものではない。冷却源3および加熱源4は、それぞれ冷却流体および加熱流体が通過可能なパイプ状の基部と、この基部から外方に向かって突出する複数のフィンとで構成するようにしてもよい。
また、冷却源3および/または加熱源4は、ベルトコンベア2を支持する架台に固定されてもよいし、別途設けられる架台(支持部)に固定されてもよい。
【0052】
<第2実施形態>
次に、本発明の温調システムの第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0053】
第2実施形態の温調システム1では、さらに、ベルトコンベア2の下方に配置され、第2の物質を含む材料で構成された追加の物品を備えること以外は、前記第1実施形態の温調システム1と同様である。
図4は、本発明の温調システムの第2実施形態を模式的に示す側面図である。
本実施形態では、
図4に示すように、追加の物品として、作業者が下半身に装着する装着品である靴下5を備えている。
【0054】
加熱装置400を動作させ、加熱源4の加熱面431を加熱すると、加熱面431が1次的な熱放射源となる。このとき、遠赤外線が加熱面431から作業者が装着した靴下5に向かって放射される。加熱面431および靴下5の双方が第2の物質を含むため、加熱面431から放射された遠赤外線の多くは、靴下5の第2の物質に高い効率で共鳴吸収される。
靴下5は、加熱面431から遠赤外線という形で熱気を吸収することにより、温度が上昇する。その結果、靴下5が2次的な熱放射源となる。かかる構成によれば、作業者の足元を加温する効率をより高めることができる。
【0055】
このような靴下5は、第2の物質の粒子を含む繊維を用いて作製することができる。この場合、粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、5〜100μm程度であることが好ましく、10〜75μm程度であることがより好ましい。
また、靴下5の構成材料中に含まれる第2の物質の量も、特に限定されないが、1重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、20重量%以
上であることがさらに好ましい。
【0056】
このような構成の第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
なお、作業者が装着する装着品は、靴下の他、例えば、靴、作業ズボン、ひざ掛け、手袋、作業上着、帽子等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0057】
さらに、作業者が装着する装着品に代えて、第2の物質を含む材料で構成された物品を、ベルトコンベア20の周囲に配置することによっても、本実施形態と同様の作用・効果が発揮される。
かかる物品としては、例えば、足元パネル、足置き台等が挙げられる。
【0058】
<第3実施形態>
次に、本発明の温調システムの第3実施形態について説明する。
以下、第3実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0059】
第3実施形態の温調システム1では、さらに、ベルトコンベア2と冷却源3との間の空間を取り囲むように配置された膜部材34を備えること以外は、前記第1実施形態の温調システム1と同様である。
図5は、本発明の温調システムの第3実施形態を模式的に示す側面図である。
【0060】
膜部材34は、ベルトコンベア2と冷却源3(冷却面331)との間の空間内の冷気が散逸するのを阻止する機能を発揮する。膜部材34を設けることにより、被搬送物10の冷却状態をより確実に維持することができる。
また、膜部材34も、第1の物質を含む材料(樹脂材料)で構成されていることが好ましい。これにより、膜部材34も冷却されて、2次的な冷放射源となり得るため、被搬送物10の冷却状態を維持する効果をより高めることができる。
【0061】
このような構成の第3実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0062】
<第4実施形態>
次に、本発明の温調システムの第4実施形態について説明する。
以下、第4実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0063】
第4実施形態の温調システム1では、ベルトコンベア2と加熱源4との間に配置された追加の構成を有すること以外は、前記第1実施形態の温調システム1と同様である。
図6は、温調システムの第4実施形態を模式的示す側面図である。
本実施形態では、
図6に示すように、追加の構成として、架台に固定された金属板6を備えている。
【0064】
金属板6を設けることにより、金属板6の上面および下面において遠赤外線を反射することができる。すなわち、金属板6を遠赤外線を反射する反射板として機能させることができる。
かかる構成によれば、ベルトコンベア2上下での遠赤外線を介した熱の移動を阻止することができる。その結果、ベルトコンベア2を搬送される被搬送物10の冷却と、ベルトコンベア2より下側の空間の加温とをより確実に行うことができる。
【0065】
このような構成の第5実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
なお、金属板6は、平板状をなしていてもよく、下方に向かって凸となるような湾曲状(正面視においてドーム形状)をなしていてもよい。後者の場合、加熱源4の加熱面431から放射される遠赤外線を作業者の足元に反射させることができる。
【0066】
<第5実施形態>
次に、本発明の温調システムの第5実施形態について説明する。
以下、第5実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0067】
第5実施形態の温調システム1では、冷却源3または加熱源4の構成が異なること以外は、前記第1実施形態の温調システム1と同様である。
図7は、本発明の温調システムの第6実施形態における冷却源または加熱源の構成を模式的に示す断面図である。
【0068】
図7に示す冷却源3または加熱源4は、支持板31または41と、支持板31または41と一体的に形成され、鉛直下方に向かって突出する複数のリブ35または45とで構成されている。
また、リブ35または35を覆うように、遠赤外線吸収層33または43が設けられている。
【0069】
このような構成の第5実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
なお、リブ34または44に代えて、散在する複数の凸部または散在する複数の凹部を設けるようにしてもよい。また、冷却源3または加熱源4は、リブ34または44を省略して、平板状の支持板31または41のみで構成するようにしてもよい。
【0070】
<第6実施形態>
次に、本発明の温調システムの第6実施形態について説明する。
以下、第6実施形態について、前記第1および第5実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0071】
第6実施形態の温調システム1では、冷却源3の構成が異なること以外は、前記第5実施形態の温調システム1と同様である。
図8は、本発明の温調システムの第6実施形態における冷却源の構成およびベルトコンベアとの位置関係を示す正面図である。
【0072】
図8(a)に示す構成では、冷却源3は、幅方向において湾曲した形状(正面視においてドーム形状)をなす板材で構成されている。
遠赤外線は、エンドレスベルト21の載置面211の全面から放射状に放射される。このため、冷却面331の端部同士の離間距離を、エンドレスベルト21の幅より若干大きく設定することが好ましい。これにより、冷却面331の面積を十分に確保することができ、載置面211から放射される遠赤外線をより効率よく共鳴吸収して、載置面211を冷却することができる。
【0073】
図8(b)に示す構成では、冷却源3は、幅方向の途中で2回屈曲したような形状(正面視において傘形状)をなす板材で構成されている。この場合も、前記と同様の理由から、エンドレスベルト21の幅より若干大きく設定することが好ましい。
また、
図8(c)に示す構成では、2つの冷却源3が設けられている。これらの冷却源
3は、互いに冷却面331を内側にして、ハの字状に配置されている。これにより、2つの冷却面331がエンドレスベルト21の載置面211に対して傾斜する。
この場合、前記と同様の理由から、2つの冷却面331の外端同士の離間距離を、エンドレスベルト21の幅より若干大きく設定することが好ましい。
【0074】
このような構成の第6実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
なお、載置面211から放射される遠赤外線の吸収効率を向上させるためには、冷却面331の表面積を大きくすることが好ましい。このため、冷却面331に凹凸を形成する粗面化処理を施すようにしてもよい。かかる粗面化処理としては、サンドブラスト処理のようなドライエッチング、溶剤処理のようなウェットエッチング等が挙げられる。
【0075】
なお、3つの冷却源3を配置し、両側2つの冷却源3を
図8(c)に示すようなハの字状に配置し、中央の冷却源3をエンドレスベルト21とほぼ平行に配置してもよい。例えば、3つの冷却源3が全体として
図8(b)に示すような配置となるようにしてもよい。この場合、2つの冷却面331がエンドレスベルト21の載置面211に対して傾斜し、1つの冷却面331がエンドレスベルト21の載置面211に対してほぼ平行となる。
【0076】
<第7実施形態>
次に、本発明の温調システムの第7実施形態について説明する。
以下、第7実施形態について、前記第1および第5実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0077】
第7実施形態の温調システム1では、
図9に示す加熱源4を備えること以外は、前記第1実施形態の温調システム1と同様である。
図9(a)〜(c)は、作業者がベルトコンベア2の左側(一方の側)にのみ位置して作業する場合を、
図9(d)は、作業者がベルトコンベア2の両側(双方の側)に位置して作業する場合を示す。
【0078】
また、
図9(a)に示す例では、加熱面431が作業者に向くように、加熱源4が床面に対してほぼ垂直に配置されている。これにより、作業者の下半身を効率よく加温すること、特に、作業者が第2の物質を含む装着品(例えば、靴下、作業ズボン等)を装着する場合、加温効果を向上することができる。
図9(b)に示す例では、加熱面431が斜め下を向くように、加熱源4が傾斜して配置されている。これにより、
図9(a)よりも優先的に下半身を加温することができる。
【0079】
図9(c)に示す例では、加熱面431が斜め上を向くように、加熱源4が傾斜して配置されている。これにより、作業者の下半身の他、作業者が第2の物質を含む装着品(例えば、手袋、作業上着、帽子等)を装着する場合、作業者の上半身も加温することができる。
図9(d)に示す例では、ベルトコンベア2の両側に位置する作業者の下半身を効率よく加温することができる。
このような構成の第7実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0080】
以上、本発明の温調システムについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の温調システムは、前記第1〜第7実施形態のうちの任意の構成を組み合わせて構成することができる。また、本発明の温調システムは、他の任意の構成を有していてもよいし、同様の機能を発揮する構成と置換されていてよい。