特許第6857401号(P6857401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857401
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】セントル支持装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   E21D11/10 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-93991(P2018-93991)
(22)【出願日】2018年5月15日
(65)【公開番号】特開2019-199725(P2019-199725A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】315014567
【氏名又は名称】有限会社 伊藤
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土田 実
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−166312(JP,A)
【文献】 特開2014−025282(JP,A)
【文献】 特開2005−282096(JP,A)
【文献】 特開2016−023525(JP,A)
【文献】 実開昭50−048428(JP,U)
【文献】 特開平10−184286(JP,A)
【文献】 特開2008−151321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル覆工用セントルを支持するためのセントル支持装置の組立方法において、
前記セントル支持装置の構成部材によって組立補助部材を構成し、その組立補助部材を用いて前記セントル支持装置を組立て、その後、前記組立補助部材を分解して、分解された組立補助部材を用いて前記セントル支持装置の他の部位において連結された状態で組立てを補助するトンネル覆工用のセントル支持装置の組立方法。
【請求項2】
前記組立補助部材はセントル支持装置の本体の両側の脚部間に架設される架設部材であり、分解された架設部材は、セントル支持装置の本体と前記トンネル覆工用セントルとの間に介在される請求項1に記載のトンネル覆工用のセントル支持装置の組立方法。
【請求項3】
前記組立補助部材はセントル支持装置の本体の脚部を載置状態で支えるサポートユニットであり、分解されたサポートユニットは、セントル支持装置の本体と前記トンネル覆工用セントルとの間に介在される請求項1に記載のトンネル覆工用のセントル支持装置の組立方法。
【請求項4】
前記組立補助部材は、セントル支持装置の本体を構成する部材である請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のトンネル覆工用のセントル支持装置の組立方法。
【請求項5】
前記サポートユニットは、ネジの作用によって伸縮可能にしたジャッキと、そのジャッキに対して接続可能にした延長パイプとを備え、前記トンネル覆工用セントルと前記セントル支持装置の本体との間で連結される請求項3に記載のトンネル覆工用のセントル支持装置の組立方法。
【請求項6】
前記ジャッキと延長パイプとを心合わせするための心合わせ手段を備えた請求項に記載のトンネル覆工用のセントル支持装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セントル、すなわちトンネル覆工コンクリートを成形するための成形型の支持装置の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、トンネル覆工コンクリートを成形するためのセントルを支持するようにしたセントル支持装置が開示されている。
この種のセントル支持装置を用いてセントルを構築し、そのセントルによってトンネル覆工コンクリートを成形する場合には、セントル支持装置上に正面ドーム形状のセントルが支持される。そして、セントルの外周面とトンネルの内壁面との間にコンクリートが打設されて、トンネル覆工コンクリートが成形される。
【0003】
ところで、セントル支持装置の従来の一般的な組み付け方法は、例えば、以下の手順で実行されている。
すなわち、図17に示すように、トンネルの内部あるいは外部において、左右一対のレール203上の走行装置29上に脚材204が載置される。そして、脚材204が転倒しないように、脚材204と地面205との間に、パイプ材206が支え棒のようにして立てかけられる。パイプ材206は、クランプ金具を用いて脚材204に連結される。パイプ材206の下部間には別のパイプ材207が掛け渡され、縦横のパイプ材206,207の交差部はクランプ金具やバンドなどの結束材によって結束される。
【0004】
その後、前記脚材204の上端間に梁材208が架設される。このようにして、セントル支持装置の正面門形状の本体209が構築される。その後、前記パイプ材206,207が撤去されるとともに、走行装置29を支持する枕木210などが撤去される。
【0005】
そして、セントル支持装置がトンネル外部にある場合は、セントル支持装置がレール203に沿ってトンネル内に移動される。また、本体209に各種部品や機材が搭載されて、最後に、トンネル内においてセントル支持装置上にセントルが支持される。
【0006】
前述した従来の一般的な組立方法においては、脚材204が地面205に斜めに立てかけられたパイプ材206などによって直立状態に支持される。従って、パイプ材206が地面205上を滑ったり、パイプ材206,207間の結束が外れたりするおそれがあるため、直立状態における脚材204の安定性が乏しく、梁材208の設置などの各種作業を効率よく遂行することには難がある。
【0007】
なお、セントル支持装置の解体は、組み立て時とは逆順に実行されるため、組み立て時と同様に前述した問題点が生じる。
これらの問題点を解消するために、特許文献1に開示されたセントル支持装置の組付方法が提案された。この特許文献1に記載の組付方法は、前記パイプ材206,207を用いることなく、前記本体209の両側の脚材204間にH型鋼などの組立補助部材を架設して、脚材204の転倒を回避できるようにしたものである。このため、梁材の設置などを安定して行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017−166312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術を用いれば、セントル支持装置を安定状態で構築できるが、セントル支持装置以外に、脚材204間に架設される組立補助部材が必要となるため、組立補助部材をセントルやセントル支持装置の構成部材とともにトンネル建設現場に運搬する必要があった。そして、前記組立補助部材は、大型で大重量であるため、その運搬のために、大型トラックを調達する必要がある。建設現場においては、大きく、重い組立補助材の取扱いに手間がかかることになる。
【0010】
本発明は、セントル支持装置の組立てに要する部材を少なくできることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するために、本発明のセントル支持装置の組立方法においては、前記セントル支持装置の構成部材によって組立補助部材を構成し、その組立補助部材を用いて前記セントル支持装置を組立て、その後、前記組立補助部材を分解して、分解された組立補助部材を用いて前記セントル支持装置の他の部位において連結された状態で組立てを補助することを特徴とする。
【0012】
従って、本発明においては、セントル支持装置の組立ての補助において、セントル支持装置の構成部材を流用するため、組立補助部材の数を少なくすることができて、運搬や、管理の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、組立補助部材の数を少なくできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態を示すものであって、(a)はコンクリート覆工用のセントル及びセントル支持装置の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
図2】第1実施形態を示すものであって、(a)はセントル支持装置における走行装置の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
図3】第1実施形態を示すものであって、(a)はセントル支持装置における架設部材及び脚材の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
図4】第1実施形態を示すものであって、(a)はセントル支持装置における連結部材の組付け状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
図5】第1実施形態を示すものであって、(a)はセントル支持装置における梁材の組付け状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
図6】第1実施形態を示すものであって、(a)は架設部材及びセントル支持装置における連結部材を外した状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
図7】連結部材の一部破断側面図。
図8図7の連結部材を別の角度から見た一部破断側面図。
図9】クランプ金具の使用状態を示す断面図。
図10】クランプ金具の展開状態を示す一部破断側面図。
図11】第2実施形態を示すものであって、セントル及びセントル支持装置を示す正面図。
図12】第2実施形態を示すものであって、(a)は梁材及び下部脚材の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
図13】第2実施形態を示すものであって、(a)は上部脚材の仮置き状態を示す側面図、(b)は正面図。
図14】第2実施形態を示すものであって、(a)は上部脚材の設置状態を示す側面図、(b)は正面図。
図15】第2実施形態を示すものであって、(a)は上部脚材上に一部の梁材を設置した状態を示す側面図、(b)は正面図。
図16】第2実施形態を示すものであって、(a)は組付補助部材を撤去した状態を示す側面図、(b)は正面図。
図17】従来方法を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1図11の図面に基づいて説明する。
はじめに、図1(a)及び同図(b)において、コンクリート型枠であるコンクリート覆工用セントル(以下、単にセントルという)11及びセントル支持装置12の構成を説明する。セントル支持装置12は、トンネル201の内壁面に沿って打設されたコンクリート200及びセントル11の荷重を受けるためのものである。
【0018】
すなわち、図1(a)及び同図(b)に示すように、前記セントル11は、天フォーム13と、その天フォーム13の両側に連結された一対のサイドフォーム14と、そのサイドフォーム14の下側に連結された一対のインバートフォーム15とを備えている。これらのフォーム13〜15よりなるフォームユニットがトンネル201の延長方向に列設される。そして、このセントル11とトンネル201の内壁面との間にコンクリート200が充填される。
【0019】
前記セントル支持装置12は、トンネル201の内部と外部との間に敷設されたレール203上に載せられている。このセントル支持装置12は、門形をなす装置本体21と、その装置本体21の上端部における梁材22の上面に搭載された受材ユニット23とを備えている。また、セントル支持装置12は、装置本体21の脚部24に連結された組立補助部材として用いられるサポートユニット25を備えている。そして、前記受材ユニット23が前記天フォーム13の下面に連結されて、その天フォーム13を下方から支えている。また、サポートユニット25が前記インバートフォーム15の内面に連結されて、そのインバートフォーム15を支えている。
【0020】
前記装置本体21の左右一対の脚部24は、前記レール203上を走行する車輪28が設けられた走行装置29と、その走行装置29上に連結され、組立補助部材として用いられる下部脚材30と、その下部脚材30上にボルト及びナットよりなる緊結部材36により連結された上部脚材31とを有している。前記受材ユニット23は、天フォーム13の下面に緊結部材36を介して連結された外縦材32と、その外縦材32の下端に連結された左右一対の外横材33とを有している。さらに、受材ユニット23は、その両外横材33間に緊結部材36により連結され、組立補助部材として用いられる内横材34と、天フォーム13の下面に連結されるとともに、内横材34の上面に載置された内縦材35とを有している。そして、外横材33が天フォーム13の下面に連結されている。天フォーム13からの荷重が外縦材32,外横材33,内横材34及び内縦材35を介して梁材22によって受けられる。
【0021】
組立補助部材としての前記サポートユニット25について説明する。
図7図10に示すように、サポートユニット25は、サポート材102と、心合わせ手段としてのクランプ金具103とにより構成されている。
【0022】
サポート材102は、ネジの作用によって伸縮可能にしたジャッキ104を備え、このジャッキ104は、ネジ筒105の一端部の内周の雌ネジに第1ネジ棒106が螺合されている。ネジ筒105の他端部の内周の雌ネジには第2ネジ棒107が螺合されている。第1ネジ棒106及び第2ネジ棒107の端部に固着した金具には緊結部材36のための取付孔108,109が形成されている。ネジ筒105の外周にはハンドル110が取り付けられている。
【0023】
ネジ筒105にはサポート材102を構成する延長部材としての延長パイプ111が外嵌されて接続されるようになっており、その一端の金具には緊結部材36のための取付孔112が形成されている。ネジ筒105の長さ方向の複数箇所には180度の間隔をおいて透孔113が形成され、この透孔113の内縁にはリング状の座金114が固定されている。延長パイプ111の前記取付孔112の反対側の端部には、周方向において等間隔をおいた3箇所に窓孔115が透設されるとともに、窓孔115間の位置の外周にはリブ片116が固定されている。
【0024】
180度の間隔を隔てて対向する一対の座金114間にはボルト117が挿通されるとともに、そのボルト117は前記第1ネジ棒106の取付孔108を挿通している。そして、ボルト117の先端にナット129を螺合して座金114に締付けることにより、第1ネジ棒106と延長パイプ111との長さ方向の位置関係が規定される。従って、ボルト117が挿通される座金114を選択することにより、サポート材102,すなわちサポートユニット25の長さを調節できる。延長パイプ111内において、ボルト117には心合わせ手段としてのスペーサ130が取付けられ、このスペーサ130によって、第1ネジ棒106の一端部側と延長パイプ111とが心合わせされている。
【0025】
図9及び図10に示すように、サポートユニット25には延長パイプ111の外周に取り付けられて、第1ネジ棒106の前記スペーサ130の反対側の端部と延長パイプ111との間の心合わせを行うための心合わせ手段としてのクランプ金具103が備えられている。このクランプ金具103は、円弧状をなす3個の第1〜第3リンク118〜120を有し、第2リンク119の両端に第1,第3リンク120が軸123により連結されている。各リンク118〜120の中央部には、前記窓孔115を介して前記ネジ筒105の外周面に当接するローラ122がそれぞれ一対ずつ回転可能に支持されている。第1リンク118の先端には、軸123によりネジ124が取り付けられており、ネジ124の外周にナット125が螺合され、ナット125の端面には圧接面126が形成されている。第3リンク120の端部には二叉部127が形成され、その縁部には被圧接部128が形成されている。
【0026】
そして、クランプ金具103が展開状態から閉じられることにより、窓孔115の位置においてローラ122によりネジ筒105の端部の外周がネジ筒105の回転が許容された状態でクランプされて、ネジ筒105と延長パイプ111との心合わせが行われる。このクランプ状態で、ネジ124を二叉部127内に挟入させた状態で、ナット125の圧接面126をネジの作用により二叉部127の被圧接部128に圧接させることにより、クランプ金具103がクランプ状態で保持される。そして、この状態においては、リブ片116が各リンク118〜120間の内コーナ部に位置するため、クランプ金具103の回転が規制される。
【0027】
次に、セントル支持装置12及びセントル11の組立方法について説明する。この組立ては、トンネル201の外部または内部で行われ、トンネル201の外部で組立てられた場合は、セントル支持装置12及びセントル11はレール203上を移動されてトンネル201内に至る。
【0028】
はじめに、図2(a)及び同図(b)に示すように、左右のレール203上のラップ側及び妻側に走行装置29がその車輪28において載置される。従って、走行装置29は合計4基である。これらの走行装置29は、ジャッキ26によって安定状態に維持される。なお、図2(a)の左側をトンネル201のラップ側,右側をトンネル201の妻側とする。
【0029】
次いで、図3(a)及び同図(b)に示すように、各走行装置29上に下部脚材30を載置して緊結部材36により固定する。なお、39は下部脚材30を補助的に支えるためのサポート用のジャッキ、40は下部脚材30に取り付けられ、後述の上部脚材31の下面を受けるための補助受け板である。
【0030】
その後、図3(a)及び同図(b)に示すように、左右の脚部24における下部脚材30の走行装置29間に組立補助部材を構成する架設部材41を介在させる。ひとつの架設部材41は、前記脚部24として不使用状態にあるひとつの下部脚材30と、前記受材ユニット23として不使用状態にある内横材34と、完成状態のセントル支持装置12には用いられないアダプタ42及び調節部材43とを備えている。そして、架設部材41の下部脚材30の一端面が走行装置29上の下部脚材30の側面に緊結部材36により横向きに固定され、その横向きの下部脚材30の他端面にアダプタ42が緊結部材36により固定される。他方の走行装置29上の下部脚材30の側面に調節部材43の一端面が緊結部材36により固定され、調節部材43と前記アダプタ42との間に、前記内横材34が介在されて、緊結部材36によって固定される。なお、左右の脚部24間の間隔に応じて、前記アダプタ42は用いられなかったり、あるいは複数用いられたりする。
【0031】
前記調節部材43は、長孔44の延長方向に接近離間して全体として調節部材43を全体として伸縮させて長さ調節する調節片45,46を備え、所要の長さにおいて調節片45,46が緊結部材36により固定される。架設部材41の長さ方向の中央部と地面205との間には、ジャッキ47が介在される。
【0032】
その後、図4(a)及び同図(b)に示すように、左右の脚部24側にラップ側及び妻側の下部脚材30の上端間にトラス材よりなる上部脚材31が架設されて、下部脚材30に載置されて、緊結部材36により固定される。このようにしてセントル支持装置12の本体21の左右の脚部24が構成される。
【0033】
次に、上部脚材31に固着されたブラケット38と、前記内横材34の上面に固着されたブラケット38との間に、延長パイプ111を有するサポートユニット25が緊結部材36を用いて介在される。このサポートユニット25により脚部24が直立状態においてその姿勢を保持するようにサポートされる。この状態において、ラップ側及び妻側の走行装置29間における左右の上部脚材31の下面に別の下部脚材30が緊結部材36によって固定される。本実施形態においては、ラップ側及び妻側の走行装置29間における左右の上部脚材31の下面の下部脚材30の数は、本来2基であるが、この段階では、左右それぞれ1基だけ固定される。従って、図4(a)に2点鎖線で示すように、左右の上部脚材31には、下部脚材30が組付けられていない未装着部が1箇所ずつ存在する。
【0034】
次に、図5(a)及び同図(b)に示すように、左右の脚部24の両端部において、その上端間に梁材22が相互間隔をおいて載置されて、緊結部材36により固定される。この段階で、セントル支持装置12は、全体として門形を呈して安定状態となる。
【0035】
そして、図6(a)及び同図(b)に示すように、架設部材41が撤去される。その後、架設部材41が分解されて、その架設部材41に用いられていた下部脚材30が前記未装着部に緊結部材36によって組付けられる。そして、走行装置29間における各下部脚材30の下端には、コンクリート200の打設に際して地面205との間に介在されて、荷重を受けるためのジャッキ100が取付けられる。また、図1(b)に示すように、架設部材41を構成した内横材34は梁材22の上面において受材ユニット23の構成部材として用いられる。
【0036】
さらに、脚部24の直立保持に用いられたサポートユニット25は、取外されて、脚部24とインバートフォーム15との間に緊結部材36を用いて介在される。ここで、トンネル201や装置本体21の大きさなどに応じて、脚部24とインバートフォーム15との間の距離が変動する。このため、その変動距離に応じて、サポートユニット25の長さが調節される。この場合、サポートユニット25は、ボルト117が挿通される座金114の選択、ネジ筒105に対する第1,第2ネジ棒106,107のねじ込み量の度合い,ジャッキ26の長さの調節などによって全体長さ調節される。そして、長さが短い場合には、延長パイプ111が外されて、ジャッキ104のみが使用される。
【0037】
その後、セントル支持装置12上に各種の部品や機材が搭載されて、セントル支持装置12の組み立てが終了される。
トンネル覆工用のコンクリート200の硬化後におけるセントル支持装置12の解体は、前述した作業工程と逆順の作業工程において実行される。
【0038】
第1実施形態においては、以下の効果がある。
(1)セントル支持装置12及びセントル11の組立の前工程においては、後工程で必要とされる下部脚材30やサポートユニット25が組立補助部材として流用される。そして、そのための構成は、緊結部材36のボルト挿通のための孔の位置を配慮したり、ブラケット38を設けたりするのみでよい。従って、組立補助のための部材の数と種類とを少なくできる。本実施形態においては、アダプタ42及び調節部材43のみを組立補助のための専用部材として用意すればよい。このため、セントル支持装置12の組立てに使用する部材の運搬や保管の負担を低減できる。
【0039】
(2)装置本体21の脚部24を、従来とは異なり、パイプ材207,207を用いることなく直立状態に保持できるため、脚部24の転倒を適切に回避できて、作業効率を向上できる。
【0040】
(3)サポートユニット25に延長パイプ111を着脱可能に設けたことにより、サポートユニット25の長さの調節幅を十分に確保できる。しかも、延長パイプ111にその長さ方向に沿って複数の座金114用の取付孔112を設けたことにより、ボルト117が通される座金114を選択することによって、長さ調節を小刻みに行うことができる。これにネジの作用を利用したジャッキ104の長さ調節機能を加えれば、広い範囲にわたる無段階調節が可能になる。このため、サポートユニット25の長さをトンネル201の大きさに無理なく適合させることができる。
【0041】
(4)サポートユニット25にジャッキ104と延長パイプ111との軸心を合わせるためのクランプ金具103やスペーサ130を設けたことにより、ジャッキ104と延長パイプ111との間の心ズレや両者間の屈曲を抑えることができる。このため、装置本体21のサポートや脚部24とインバートフォーム15との間の連結を無理なく適切に実行できる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図11図16の図面に基づいて説明する。この第2実施形態においては、図11に示すように、受材ユニット23に外横材33及び内横材34は設けられておらず、脚部24を直立状態に保持するために前記第1実施形態の架設部材41に代えて架台51が構成される。そして、その架台51の構成部材として、梁材22が用いられる。また、第2実施形態においては、走行装置29上に電動ジャッキ48が設けられる。
【0043】
すなわち、図12(a)及び同図(b)に示すように、ラップ側及び妻側の走行装置29間において、左右のレール203上に一対の梁材22を架設して、梁材22とレール203とを固定金具(図示しない)により固定する。次いで、レール203上に架設された梁材22の両端上面に下部脚材30をアダプタ37を介して載置して緊結部材36によって固定するとともに、両下部脚材30の間の位置において梁材22の長さ方向の中間部間に一対の梁材22を載置して、緊結部材36によって固定する。梁材22にはあらかじめブラケット38が固着されている。このようにして、本実施形態の架台51が構成される。
【0044】
次いで、図13(a)及び同図(b)に示すように、下部脚材30と上側の梁材22との間において、下側の梁材22上に上部脚材31が仮置きされて、緊結部材36によって一時的に固定される。
【0045】
そして、図14(a)及び同図(b)に示すように、上部脚材31が走行装置29間の梁材22の上面に移し替えられて、載置され、緊結部材36によって固定される。さらに、上部脚材31と上側の梁材22との間がサポートユニット25によって連結され、上部脚材31が直立状態にサポートされる。このようにして、装置本体21の脚部24が架台51に下から支えられる。
【0046】
次いで、図15(a)及び同図(b)に示すように、また、電動ジャッキ48が上昇されて、その電動ジャッキ48によって上部脚材31の両端が支持される。そして、上部脚材31の上面の両端間に一対の梁材22を架設して、緊結部材36によって固定する。このようにすれば、装置本体21が門形を呈して安定状態となる。
【0047】
従って、図16(a)及び同図(b)に示すように、サポートユニット25を外す。また、架台51を分解して、梁材22を外し、その梁材22を上部脚材31の上部間に架設する。
【0048】
その後の方法は、前記第1実施形態とほぼ同様である。第2実施形態の効果も第1実施形態とほぼ同様である。
(変更例)
本発明は、前記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化してもよい。
【0049】
・組立補助部材として、第1,第2実施形態において用いられた部材以外の部材を使用すること。例えば、外縦材32や内縦材35を用いること。
・架設部材41においてアダプタ42を用いることなく、調節部材43のみを用いること。
【0050】
・第2実施形態において、架台51としてレール203上に架設された梁材22のみとし、その梁材22上の別の梁材22を省略すること。この場合は、レール203上に架設された梁材22にサポートユニット25を連結するためのブラケット38を設ける。
【0051】
(他の技術的思想)
前記第1,第2実施形態及び変更例から把握され、請求項以外の技術的思想は以下の通りである。
【0052】
(A)前記組立補助部材を用いてセントル支持装置を組立て、その後、前記組立補助部材を分解して、分解された組立補助部材を用いて前記セントル支持装置を組立てるとともに、前記トンネル覆工用セントルを組立てる請求項1に記載のトンネル覆工用のセントル支持装置の組立方法。
【0053】
(B)前記組立補助部材は、伸縮可能にしたジャッキを有する請求項5に記載のトンネル覆工用のセントル支持装置の組立方法。
(C)前記組立補助部材は、その長さを延長するための延長部材を着脱可能に設けた前記技術的思想(B)項に記載のトンネル覆工用のセントル支持装置の組立方法。
【符号の説明】
【0054】
11…セントル、12…セントル支持装置、21…装置本体、22…梁材、23…受材ユニット、24…脚部、30…下部脚材、34…内横材、36…緊結部材、101…サポートユニット、104…ジャッキ、13…クランプ金具、111…延長パイプ。
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