特許第6857428号(P6857428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アースクリエイトの特許一覧

<>
  • 特許6857428-積層体及び食品用容器包装 図000002
  • 特許6857428-積層体及び食品用容器包装 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6857428
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】積層体及び食品用容器包装
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20210405BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210405BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   B32B27/20 Z
   B32B27/00 H
   B65D65/40 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-21483(P2020-21483)
(22)【出願日】2020年2月12日
【審査請求日】2020年3月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312016595
【氏名又は名称】株式会社アースクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】西宮 祥行
(72)【発明者】
【氏名】梁瀬 泰孝
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−162495(JP,A)
【文献】 特開2016−175704(JP,A)
【文献】 特開2016−198998(JP,A)
【文献】 特開昭62−275748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/20
B32B 27/00
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層と、前記内層の両面に積層される一対の外層とを備える真空成形用、圧空成形用又はマッチドモールド成形用のシート状の積層体であって、
前記内層は、無機充填剤及び熱可塑性樹脂を含有し、
前記外層は、熱可塑性樹脂を含有し、
前記無機充填剤は、炭酸カルシウム粒子を含み、
前記積層体における前記無機充填剤の含有割合は、50.0質量%超であり、
前記外層の厚さの比率は、前記積層体の全体厚さに対して、それぞれ、2.0%以上20.0%以下であり、
前記積層体の全体厚さは、300μm以上450μm以下であり、
前記炭酸カルシウム粒子の最大粒径は、20μm以下である、積層体。
【請求項2】
前記積層体の密度は、1.20g/cm3以上1.70g/cm3以下である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記内層が含有する前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンを含み、
前記外層が含有する前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記内層における前記無機充填剤の含有割合は、53.0質量%以上70.0質量%以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の積層体。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の積層体を真空成形、圧空成形又はマッチドモールド成形することにより形成される食品用容器包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及び食品用容器包装に関する。
【背景技術】
【0002】
各種商品の販売においては、商品を入れる容器、及び商品を覆う包装が使用されている。以下、容器及び包装を総括して容器包装と記載することがある。特に、食品の販売においては、利便性及び衛生面の観点から、食品用容器包装が多用されている。
【0003】
このような容器包装は、例えば、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリスチレン樹脂)を含有するシート状の材料(以下、樹脂シートと記載することがある)を成形することで得られる。樹脂シートは、熱可塑性樹脂に由来する優れた成形性を有するため、容器包装の材料として好適である。
【0004】
近年、樹脂シートに、無機材料を50.0質量%超添加することが提案されている(例えば、特許文献1)。このような無機材料を大量に含有する樹脂シートにより形成された容器包装は、容器包装リサイクル法で定められたプラスチック製容器包装に分類されない。また、無機材料を大量に含有する樹脂シートにより形成された容器包装は、樹脂の含有割合が低いため、焼却時の二酸化炭素排出量が比較的少ない。そのため、無機材料を大量に含有する樹脂シートにより形成された容器包装は、可燃ごみ又は不燃ごみとして廃棄できるため、廃棄コストが低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−207225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の検討により、無機材料を大量に含有する樹脂シート材は、成形性が不十分であることが判明した。
【0007】
また、食品用容器包装には、用途に応じて、電子レンジによる加熱に耐える程度の耐熱性、及び酸性食品(例えば、梅干し及び食酢)に耐える程度の耐酸性が要求される場合がある。本発明者の検討により、無機材料を含有しない樹脂シートにより形成される食品用容器包装、及び無機材料を大量に含有する樹脂シートにより形成される食品用容器包装は、それぞれ、耐酸性又は耐熱性が不十分であることが判明した。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐熱性及び耐酸性に優れると共に廃棄コストが低い容器包装を形成でき、かつ成形性に優れる積層体と、上述の積層体により形成される食品用容器包装とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の積層体は、内層と、前記内層の両面に積層される一対の外層とを備える。前記内層は、無機充填剤及び熱可塑性樹脂を含有する。前記外層は、熱可塑性樹脂を含有する。前記無機充填剤は、炭酸カルシウム粒子を含む。前記積層体における前記無機充填剤の含有割合は、50.0質量%超である。前記外層の厚さの比率は、前記積層体の全体厚さに対して、それぞれ、2.0%以上20.0%以下である。
【0010】
本発明の食品用容器包装は、上述の積層体により形成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の積層体は、耐熱性及び耐酸性に優れると共に廃棄コストが低い容器包装を形成でき、かつ成形性に優れる。本発明の食品用容器包装は、耐熱性及び耐酸性に優れると共に廃棄コストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の積層体の構造の一例を示す断面図である。
図2】実施例において製造した積層体の内層の断面を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、説明する。但し、本発明は、実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内で適宜変更を加えて実施できる。本発明の実施形態において説明する各材料は、特に断りのない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
<第1実施形態:積層体>
本発明の第1実施形態に係る積層体は、内層と、内層の両面に積層される一対の外層とを備える。内層は、無機充填剤及び熱可塑性樹脂を含有する。外層は、熱可塑性樹脂を含有する。無機充填剤は、炭酸カルシウム粒子を含む。本発明の積層体における無機充填剤の含有割合は、50.0質量%超である。外層の厚さの比率は、本発明の積層体の全体厚さに対して、それぞれ、2.0%以上20.0%以下である。本発明の積層体は、耐熱性及び耐酸性に優れると共に廃棄コストが低い容器包装を製造でき、かつ成形性に優れる。
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の積層体の詳細について説明する。図1は、本発明の積層体の一例である積層体1の断面図である。積層体1は、内層2と、内層2の両面に積層される一対の外層3とを備える。外層3の厚さTOの比率は、積層体1の全体厚さTAに対して、それぞれ、2.0%以上20.0%以下である。以上、図面を参照して、本発明の積層体の詳細を説明した。但し、本発明の積層体の構造は、図1に示す積層体1の構造には限定されない。例えば、本発明の積層体は、内層及び一対の外層に加え、他の層を更に備えてもよい。他の層としては、例えば、外層を被覆する保護層が挙げられる。
【0016】
本発明の積層体が上述の効果を有する理由は、以下のように推察される。本発明の積層体は、無機充填剤及び熱可塑性樹脂を含有する。本発明の積層体における無機充填剤の含有割合は、50.0質量%超である。ここで、容器包装リサイクル法では、容器包装について、質量比で最も大きな比率を占める素材で分類している。そして、特定の容器包装(例えば、ガラス製容器、紙製容器包装、PETボトル及びプラスチック製容器包装)は、リサイクル義務が課せられている。これに対して、本発明の積層体により形成される容器包装は、無機充填剤が質量比で最も大きな比率を占めるため、リサイクル義務が課せられている特定の容器包装には該当しない。また、本発明の積層体により形成される容器包装は、熱可塑性樹脂の含有割合が低いため、焼却時の二酸化炭素排出量が比較的少ない。そのため、本発明の積層体により形成される容器包装は、可燃ごみ又は不燃ごみとして廃棄できるため、廃棄コストが低い。
【0017】
また、本発明の積層体は、内層及び一対の外層を備える3層構造を有する。ここで、無機充填剤を大量に含有する樹脂シートは、無機充填剤を含有しない樹脂シートと比較して成形性(特に、延伸性)が低い傾向がある。詳しくは、無機充填剤を大量に含有する樹脂シートは、高倍率(例えば、4倍程度)で延伸しようとすると、十分に延伸されず、穴が形成されてしまうことがある。これに対して、本発明の積層体は、一対の外層によって内層が被覆されている。一対の外層は、内層のように無機充填剤を大量に含有するわけではないため、延伸性に優れる。そのため、本発明の積層体は、高倍率で延伸した際に、仮に内層が十分に延伸されなかったとしても、外層が十分に延伸されるため、積層体を貫通する穴が形成され難い。
【0018】
更に、食品用容器包装には、耐熱性及び耐酸性が要求される場合がある。ここで、無機充填剤を含有する樹脂シートにより形成された容器包装は、無機充填剤がフィラーとして機能するため、無機充填剤を含有しない樹脂シートにより形成された容器包装と比較して耐熱性に優れる傾向がある。一方、無機充填剤を含有する樹脂シートにより形成された容器包装は、無機充填剤が酸と反応する場合があるため、耐酸性が低い傾向がある。これに対して、本発明の積層体は、内層が無機充填剤を含有するため、形成される容器包装に耐熱性を付与できる。また、本発明の積層体は、無機充填剤を含有する内層が外層によって被覆されているため、耐酸性に優れる。このように、本発明の積層体は、一対の外層で内層を被覆することで、内層に由来する優れた耐熱性と、外層に由来する優れた耐酸性とを容器包装に付与することができる。
【0019】
更に、本発明の積層体は、外層の厚さの比率が、積層体の全体厚さに対して、それぞれ、2.0%以上20.0%以下である。このように、本発明の積層体は、外層の厚さを適度に薄くすることで、内層に由来する優れた耐熱性を維持しつつ、外層に由来する優れた成形性を発揮できる。
【0020】
本発明の積層体の密度としては、1.20g/cm3以上1.70g/cm3以下が好ましく、1.30g/cm3以上1.50g/cm3以下がより好ましく、1.35g/cm3以上1.45g/cm3以下が更に好ましい。
【0021】
ここで、本発明の積層体の内層は、炭酸カルシウム粒子及び熱可塑性樹脂という物性の異なる材料を含有するため、一定の空隙が発生する。この空隙が多いほど、本発明の積層体の密度が低下する。以下、本発明の積層体に存在する空隙について、図面を参照して説明する。図2は、後述する実施例で製造した本発明の積層体1の内層2の断面を示す電子顕微鏡写真である。内層2は、熱可塑性樹脂Rと、炭酸カルシウム粒子Pとを含む。図2に示すように、熱可塑性樹脂Rと、炭酸カルシウム粒子Pとの界面には、空隙Gが存在する。この空隙Gは、本発明の積層体1を製造する際に、熱可塑性樹脂R及び炭酸カルシウム粒子Pの熱膨張率の差によって不可避的に生じると判断される。本発明の積層体1を高倍率で延伸すると、空隙Gを起点として内層2に穴が形成される可能性がある。以上、本発明の積層体に存在する空隙について、図面を参照して説明した。本発明の積層体の密度を1.20g/cm3以上とすることで、内層の空隙を減らすことができる。その結果、本発明の積層体の成形性を向上できる。
【0022】
本発明の積層体の密度を増大させる方法としては、後述するように、例えば、炭酸カルシウム粒子の最大粒径を小さくする方法、及び炭酸カルシウムに表面処理を施す方法が挙げられる。
【0023】
本発明の積層体の全体厚さとしては、300μm以上450μm以下が好ましく、370μm以上430μm以下がより好ましい。本発明の積層体の全体厚さを300μm以上とすることで、本発明の積層体により形成される容器包装の強度を向上できる。本発明の積層体の全体厚さを450μm以下とすることで、本発明の積層体により形成される容器包装を軽量化できる。
【0024】
[内層]
内層は、無機充填剤及び熱可塑性樹脂を含有する。内層において、無機充填剤は、熱可塑性樹脂により構成されるマトリックスに分散している。
【0025】
内層の厚さとしては、250μm以上420μm以下が好ましく、350μm以上400μm以下がより好ましい。内層の厚さを250μm以上とすることで、本発明の積層体により形成される容器包装の耐熱性をより向上できる。内層の厚さを420μm以下とすることで、本発明の積層体の成形性をより向上できる。
【0026】
(無機充填剤)
無機充填剤は、炭酸カルシウム粒子を含む。ここで、無機充填剤として使用される炭酸カルシウム粒子は、入手元によって純度が大きく異なる。詳しくは、無機充填剤として使用される炭酸カルシウム粒子の多くは、鉱物資源として得られた炭酸カルシウム鉱石を精製せずにそのまま粒子化したものである。そのため、炭酸カルシウム粒子は、産地によって純度が大きく異なる。例えば、産地によっては、炭酸カルシウムの含有割合が70質量%程度である低純度の炭酸カルシウム粒子が存在する。一方、食品用及び医薬品用の炭酸カルシウム粒子として、化学合成により得られた高純度の炭酸カルシウム粒子も存在する。
【0027】
本発明の積層体は、なるべく高純度の炭酸カルシウム粒子を含有することが好ましい。具体的には、炭酸カルシウム粒子における炭酸カルシウムの含有割合としては、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、97質量%以上が更に好ましい。炭酸カルシウム粒子は、純度が高いほど環境への安全性が高い。炭酸カルシウム粒子における炭酸カルシウムの含有割合を90質量%以上とすることで、環境への影響を低減できる。
【0028】
炭酸カルシウム粒子の最大粒径としては、20μm以下が好ましい。ここで、内層において炭酸カルシウム粒子及び熱可塑性樹脂の界面に存在する空隙は、炭酸カルシウム粒子の粒径が大きいほど形成され易いと判断される。そのため、炭酸カルシウム粒子の最大粒径を20μm以下とすることで、炭酸カルシウム粒子及び熱可塑性樹脂の界面の空隙が発生することを抑制できる。その結果、本発明の積層体の成形性をより向上できる。
【0029】
なお、炭酸カルシウム粒子の最大粒径は、以下の方法で測定することができる。まず、電子顕微鏡を用い、内層の断面から無作為に選択された5箇所(視野:100μm×100μm)において、炭酸カルシウム粒子の粒径(長径)を測定する。そして、測定された炭酸カルシウム粒子の粒径の最大値を、炭酸カルシウム粒子の最大粒径とする。
【0030】
炭酸カルシウム粒子は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シランカップリング剤処理、及び金属石鹸処理(例えば、ステアリン酸カルシウム処理)が挙げられる。炭酸カルシウム粒子に表面処理を施すことで、炭酸カルシウム粒子及び熱可塑性樹脂の界面に空隙が発生することを抑制できる。その結果、本発明の積層体の成形性をより向上できる。
【0031】
内層における無機充填剤の含有割合としては、53.0質量%以上70.0質量%以下が好ましく、55.0質量%以上60.0質量%以下がより好ましい。内層における無機粒子の含有割合を53.0質量%以上とすることで、本発明の積層体により形成される容器包装の耐熱性をより向上できる。内層における炭酸カルシウム粒子の含有割合を70.0質量%以下とすることで、内層の延伸性を向上できる。
【0032】
本発明の積層体における無機充填剤の含有割合としては、50.0質量%超であり、50.0質量%超60.0質量%以下が好ましく、50.0質量%超55.0質量%以下がより好ましい。本発明の積層体における無機充填剤の含有割合を50.0質量%超とすることで、本発明の積層体により形成される容器包装の耐熱性を向上できる。また、本発明の積層体により形成される容器包装が、容器包装リサイクル法により定められるリサイクル義務を課されなくなる。更に、本発明の積層体により形成される容器包装を焼却する際の二酸化炭素排出量を低減できる。更に、一般的に無機充填剤は熱可塑性樹脂よりも安価であるため、無機充填剤を多く用いることで、本発明の積層体の材料コストを低減できる。本発明の積層体における無機充填剤の含有割合を60.0質量%以下とすることで、本発明の積層体の成形性をより向上できる。
【0033】
内層は、炭酸カルシウム粒子以外の他の無機充填剤を含んでいてもよい。他の無機充填剤としては、例えば、硫酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、カオリン粒子、マイカ粒子、酸化亜鉛粒子、ドロマイト粒子、ガラス繊維、中空ガラスミクロビーズ、シリカ粒子、チョーク粒子、タルク、ピグメント粒子、二酸化チタン粒子、二酸化ケイ素粒子、ベントナイト、クレー、珪藻土及びゼオライトが挙げられる。炭酸カルシウム粒子は、他の無機充填剤と比較して、安価であり、かつ安定的に入手できるため、無機充填剤として好適である。
【0034】
無機充填剤における炭酸カルシウム粒子の含有割合としては、90質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
【0035】
(熱可塑性樹脂)
内層が含有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂)が挙げられる。
【0036】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂が挙げられる。ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)が挙げられる。
【0037】
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂を含むポリオレフィン樹脂が好ましい。この場合、ポリオレフィン樹脂におけるポリエチレン樹脂の含有割合としては、50質量%以上が好ましい。内層がポリオレフィン樹脂を含み、かつポリオレフィン樹脂におけるポリエチレン樹脂の含有割合を50質量%以上とすることで、150℃以上200℃以下という幅広い温度領域において、本発明の積層体が良好な成形性を発揮できる。
【0038】
なお、ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂を90質量%以上含むポリオレフィン樹脂も好適である。
【0039】
ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのうち少なくとも一方と、高密度ポリエチレンとを含む混合樹脂が好ましい。この混合樹脂において、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有割合としては、10質量%以上50質量%以下が好ましい。上述の混合樹脂は、強度に優れる高密度ポリエチレンと、成形性に優れる低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンとを併用した樹脂である。そのため、上述の混合樹脂を用いることで、内層の強度及び成形性を向上できる。
【0040】
内層が含有する熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂が好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はポリスチレン樹脂がより好ましい。
【0041】
(他の添加剤)
内層は、無機充填剤以外の他の添加剤を更に含有していてもよい。他の添加剤としては、例えば、カップリング剤、潤滑剤、フィラー分散剤、静電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、及び耐候安定剤が挙げられる。
【0042】
上述の通り、内層は、無機充填剤の含有割合が高い。そのため、内層は、他の添加剤として、フィラー分散剤を含有することが好ましい。内層がフィラー分散剤を含有することで、無機充填剤の分散性を向上できる。フィラー分散剤としては、金属石鹸(例えば、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム)が挙げられる。内層が他の添加剤を含有する場合、内層における他の添加剤の含有割合としては、0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましい。
【0043】
[外層]
外層は、熱可塑性樹脂を含有する層である。外層の厚さの比率としては、本発明の積層体の全体厚さに対して、それぞれ、2.0%以上20.0%以下であり、4.0%以上10.0%以下が好ましい。外層の厚さの比率を2.0%以上とすることで、本発明の積層体の成形性を向上できる。外層の厚さの比率を20.0%以下とすることで、本発明の積層体における無機充填剤の含有割合を50.0質量%超に調整し易くなる。なお、一対の外層の厚さは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0044】
外層の厚さとしては、それぞれ、10μm以上80μm以下が好ましく、15μm以上30μm以下がより好ましい。外層の厚さを10μm以上とすることで、本発明の積層体の成形性をより向上できる。外層の厚さを80μm以下とすることで、本発明の積層体における無機充填剤の含有割合を50.0質量%超に調整し易くなる。
【0045】
外層が含有する熱可塑性樹脂としては、例えば、内層が含有する熱可塑性樹脂として例示したものと同様の樹脂が挙げられる。外層が含有する熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂が好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はポリスチレン樹脂がより好ましい。
【0046】
外層における熱可塑性樹脂の含有割合としては、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
【0047】
外層は、無機充填剤を含有しないことが好ましいが、少量であれば無機充填剤を含有してもよい。外層における無機充填剤の含有割合としては、0質量%以上10質量%以下が好ましく、0質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0048】
[用途]
本発明の積層体は、例えば、容器包装(特に、食品用容器包装)の材料として用いることができる。詳しくは、本発明の積層体を所望の形状に成形することにより、容器包装を形成できる。本発明の積層体を成形する方法としては、例えば、真空成形、圧空成形及びマッチモールド成形が挙げられる。
【0049】
[製造方法]
本発明の積層体は、例えば、公知の多層Tダイ法により製造することができる。詳しくは、まず、内層形成用材料(熱可塑性樹脂及び無機充填剤を含有する材料)と、外層形成用材料(熱可塑性樹脂を含有する材料)とを用意する。そして、内層形成用材料及び外層形成用材料を、複数の押出機から別々に押し出し、Tダイの内部で積層させることにより、本発明の積層体を得ることができる。
【0050】
<第2実施形態:食品用容器包装>
本発明の第2実施形態に係る食品用容器包装は、第1実施形態に係る積層体により形成される。本発明の食品用容器包装の具体例としては、弁当容器、フードパック、冷凍食品容器、食品トレイ、カップ(例えば、ドリンクカップ)及びカップの蓋が挙げられる。本発明の食品用容器包装は、耐熱性及び耐酸性に優れると共に廃棄コストが低い。
【0051】
本発明の食品用容器包装は、第1実施形態に係る積層体と同様の層構造を有する。但し、本発明の食品用容器包装は、第1実施形態に係る積層体と比較し、成形時の延伸によって各層の厚さが変化していてもよい。例えば、本発明の食品用容器包装は、部位毎に厚さが異なっていてもよい。この場合、本発明の食品用容器包装において、最も厚い部分と、最も薄い部分との厚さの比率としては、2.0倍以上4.5倍以下が好ましく、3.5倍以上4.5倍以下がより好ましい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例を示して本発明を更に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0053】
[材料]
以下に示す材料を二軸混練機によって混錬した後にチップ化することにより、内層形成用材料及び外層形成用材料のマスターバッチを得た。
内層形成用材料:ポリプロピレン樹脂43質量部、炭酸カルシウム粒子57質量部
外層形成用材料:ポリプロピレン樹脂100質量部
【0054】
多層Tダイ法により、内層と、内層の両面に積層される一対の外層とを備える積層体を形成した。内層は、上述の内層形成用材料により形成した。一対の外層は、それぞれ、上述の外層形成用材料により形成した。積層体の全体厚さは、420μmであった。内層の厚さは、378μm(積層体の全体厚さに対して90%)であった。一対の外層は、それぞれ、21μm(積層体の全体厚さに対して5%)であった。積層体における無機充填剤の含有割合は、54質量%であった。積層体の密度は、1.38g/cm3であった。これを、実施例の積層体とした。
【0055】
別途、Tダイ法により、単層の樹脂シートを製造した。樹脂シートは、上述の外層形成用材料により形成した。樹脂シートの厚さは、420μmであった。これを、比較例の樹脂シートとした。
【0056】
[成形性]
実施例の積層体及び比較例の樹脂シートを、遠赤外線ヒーターで予熱した後、真空成形機によって底径52mmφ、開口径65mmφ、高さ30mm、フランジ巾8mmのカップ状の容器に成形した。得られた容器を、それぞれ実施例及び比較例の容器とした。実施例及び比較例の容器を目視で観察し、以下の基準にて外観を評価した。
良好:表面状態が良好(変形及び破れが発生していない)
不良:表面状態が不良(変形又は破れが発生していた)
【0057】
その結果、実施例及び比較例の容器は、何れも外観が良好であった。以上から、実施例の容器の形成に用いた実施例の積層体は、成形性に優れると判断される。
【0058】
[耐衝撃性]
実施例及び比較例の容器を、それぞれ5個ずつ用意した。各容器に水を充填し、内部を水で満杯にした。次に、各容器に蓋をした後にシールすることで密閉した。次に、各容器に対して、正立状態で1.0mの高さからコンクリート上に自由落下させるという操作を5回繰り返した。そして、上述の操作で割れた容器の個数(割れ個数)を測定した。
【0059】
その結果、実施例及び比較例の容器は、いずれも、割れ個数が0個であった。以上から、実施例の積層体により形成された容器は、耐衝撃性に優れると判断される。
【0060】
[耐熱性]
実施例及び比較例の各容器に、大豆油を20mL充填した。次に、電子レンジを用い、各容器を800Wで3分間加熱した。そして、加熱後に各容器を目視で観察し、以下の基準で耐熱性を評価した。
良好:容器に変形又は破れが発生しなかった
不良:容器に変形又は破れが発生した
【0061】
その結果、実施例の容器は、耐熱性が良好であった。一方、比較例の容器は、耐熱性が不良であった。以上から、実施例の積層体により製造された実施例の容器は、比較例の樹脂シート(ポリプロピレン樹脂のみを含有)により製造された比較例の容器と比較し、耐熱性に優れることが確認された。
【0062】
[耐酸性]
今回試験は行わなかったが、実施例の容器は、無機充填剤を含有する内層が外層で被覆されているため、当然に耐酸性にも優れると判断される。
【0063】
以上の結果から、本発明の積層体は、耐衝撃性、耐熱性及び耐酸性に優れる容器包装を形成でき、かつ成形性に優れると判断される。また、本発明の食品用容器包装は、耐衝撃性、耐熱性及び耐酸性に優れると判断される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の積層体は、容器包装の材料として利用できる。本発明の食品用容器包装は、食品の販売に用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 積層体
2 内層
3 外層
【要約】
【課題】耐熱性及び耐酸性に優れると共に廃棄コストが低い容器包装を製造でき、かつ成形性に優れる積層体を提供する。
【解決手段】本発明の積層体は、内層と、前記内層の両面に積層される一対の外層とを備える。前記内層は、無機充填剤及び熱可塑性樹脂を含有する。前記外層は、熱可塑性樹脂を含有する。前記無機充填剤は、炭酸カルシウム粒子を含む。前記積層体における前記無機充填剤の含有割合は、50質量%超である。前記外層の厚さの比率は、前記積層体の全体厚さに対して、それぞれ、2.0%以上20.0%以下である。
【選択図】図1
図1
図2