(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857437
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】耐熱性チョコレートスプレッドまたはフィリング及び調製の方法
(51)【国際特許分類】
A23G 1/36 20060101AFI20210405BHJP
A23D 9/00 20060101ALN20210405BHJP
【FI】
A23G1/36
!A23D9/00 500
【請求項の数】21
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-516555(P2018-516555)
(86)(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公表番号】特表2018-529355(P2018-529355A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2016071894
(87)【国際公開番号】WO2017055102
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年8月15日
(31)【優先権主張番号】15187465.8
(32)【優先日】2015年9月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510169387
【氏名又は名称】ブンヘ ロデルス クロクラーン ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】ヘルガ マンソン
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナダス バグガン
【審査官】
中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06277433(US,B1)
【文献】
国際公開第2014/037007(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/132206(WO,A1)
【文献】
特開2002−121584(JP,A)
【文献】
特開2016−054675(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2015−0052250(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G
A23D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココアバター、ココアマス、及び/またはココアパウダーと、
ヘーゼルナッツペースト、乳脂肪、粉乳、バニラ、及びレシチンから選択される1つ以上の原料と、
2重量%〜40重量%の脂肪組成物と、
30重量%〜50重量%の砂糖と、
を含む、チョコレートスプレッドまたはフィリング組成物であって、
前記脂肪組成物は、少なくとも40重量%のエステル交換されたシアオレイン及び任意選択で最大60重量%の液体植物油を含み、
前記エステル交換されたシアオレインは、前記エステル交換されたシアオレインに存在する全C12〜C20の脂肪酸に基づいて、
−少なくとも50重量%のオレイン酸含有量、及び
−少なくとも25重量%のステアリン酸含有量、を有し、
−前記エステル交換されたシアオレインは、10℃で少なくとも10%、20℃で少なくとも6%、及び30℃で少なくとも3%の固形脂肪含有量を有する、チョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項2】
前記脂肪組成物は、少なくとも80重量%のエステル交換されたシアオレインを含む、請求項1に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項3】
前記脂肪組成物は、少なくとも90重量%のエステル交換されたシアオレインを含む、請求項2に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項4】
前記脂肪組成物は、少なくとも99重量%のエステル交換されたシアオレイン及び最大1重量%の液体油を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項5】
前記脂肪組成物は、100重量%のエステル交換されたシアオレインを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項6】
前記液体油は、大豆、ヒマワリ、及び/または菜種油を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項7】
前記液体油は、菜種油を含む、請求項6に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項8】
前記液体油は、菜種油からなる、請求項6に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項9】
前記ココアバター、ココアマス、及び/またはココアパウダーの量は、前記組成物の少なくとも10重量%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項10】
前記ココアバター、ココアマス、及び/またはココアパウダーの量は、前記組成物の少なくとも15重量%である、請求項9に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項11】
前記組成物は、ココアバター、ココアマス、及び/またはココアパウダー以外にナッツ成分を本質的に含まない、請求項9に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項12】
前記組成物は、粉乳及びレシチンの組み合わせを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項13】
前記エステル交換されたシアオレインは、10℃で10〜20%、20℃で6〜16%、及び30℃で3〜13%の範囲の固形脂肪含有量を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項14】
前記組成物は、1〜15℃の範囲の温度で乾燥金属製スプーンを使用してすくうことができる、請求項1〜13のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項15】
前記組成物は、4〜12℃の範囲の温度で乾燥金属製スプーンを使用してすくうことができる、請求項14に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項16】
前記組成物は、少なくとも1ヶ月間15℃での保存後に再結晶を示さない、請求項1〜15のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項17】
前記組成物は、少なくとも3ヶ月間15℃での保存後に再結晶を示さない、請求項16に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項18】
前記組成物は、少なくとも1ヶ月間40℃での保存後に油滲出を示さない、請求項1〜17のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項19】
前記組成物は、少なくとも3ヶ月間40℃での保存後に油滲出を示さない、請求項18のいずれか一項に記載のチョコレートスプレッドまたはフィリング組成物。
【請求項20】
チョコレートスプレッドまたはフィリング組成物の調製の方法であって、脂肪組成物をココアバター、ココアマス、及び/またはココアパウダーと、他のチョコレートスプレッドまたはフィリング原料と混合させるステップを含み、
前記脂肪組成物は、少なくとも40重量%のエステル交換されたシアオレイン及び任意選択で最大60重量%の液体植物油を含み、前記エステル交換されたシアオレインは、前記エステル交換されたシアオレインに存在する全C12〜C20の脂肪酸に基づいて、
−少なくとも50重量%のオレイン酸含有量、及び
−少なくとも25重量%のステアリン酸含有量、を有し、
−前記エステル交換されたシアオレインは、10℃で少なくとも10%、20℃で少なくとも6%、及び30℃で少なくとも3%の固形脂肪含有量を有する、方法。
【請求項21】
前記脂肪組成物は、
−ココアバター、ココアマス、及び/またはココアパウダーと、
−ヘーゼルナッツペースト、乳脂肪、粉乳、バニラ、及びレシチンから選択される1つ以上の原料と、
−砂糖と、
−任意選択で他の原料と、混合される、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヘーゼルナッツまたはチョコレートスプレッド等のスプレッドは、パーム脂等の脂肪をヘーゼルナッツペーストまたはチョコレートと混合させて、スプーンやナイフ等の一般的なカトラリーを使用して例えばサンドイッチに簡単に塗ることができる甘いスプレッドを形成することによって調製される。
【0002】
スプレッドに関する問題として、成分の混合物が不安定であり得ることによって混合物からの油の相分離(脱油/油滲出)が引き起こされることが挙げられる。これによって、美味しくなさそうな外観のスプレッドになり、スプレッドを食べるときに感じる味と食感に影響を及ぼし得る。脱油挙動は、経時的に発生し得、スプレッドの保存温度によって影響され得る。
【0003】
スプレッドで発生し得る別の問題として、スプレッド性の耐熱性が限られ得ることが挙げられる。消費者は、適切な温度枠外の温度でスプレッドを塗ることに困難を感じる場合がある。スプレッド性の適切な温度範囲未満の温度では、スプレッドは固体であり、スプレッドを塗るのに過度な力が必要とされる。適切な温度範囲を超える温度では、スプレッドは液体になり、スプレッドを例えばサンドイッチに塗るのに使用するカトラリー(ナイフ等)への付着が不十分になる。
【0004】
スプレッドの別の問題として、冷蔵庫に保存すると、構造が硬くなり過ぎて例えばスプーンまたはナイフで容器から取り出せなくなるため、すぐにスプレッドを食べることができないことが挙げられる。これは、スプレッドのすくい易さと呼ばれる。冷蔵庫は、通常、製品を10℃未満の温度に冷却するように設計される。
【0005】
十分なチョコレートフレーバーを有するチョコレートスプレッドを調製することは特に難しい。少量のチョコレートを添加する場合、チョコレート味の強さは不十分である。しかしながら、より高い割合のチョコレートでは、混合物は不安定になる場合があり、保存の延長後に再結晶挙動を示す。表面での結晶の形成によって、スプレッドの外観は美味しそうではなくなり、味と食感に影響を及ぼし得る。
【0006】
満足できるチョコレートスプレッドが市販されているが、これらのスプレッドは、限られた温度範囲にわたって所望の特性を示すだけである。
【発明の概要】
【0007】
より広い温度範囲にわたって望ましい特性を呈するチョコレートスプレッドを可能にすることが本発明の目的である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ヘーゼルナッツペースト、ココアバター、ココアマス、ココアパウダー、乳脂肪、粉乳、バニラ、及びレシチンから選択される原料のうちの1つ以上と、2重量%〜40重量%の脂肪組成物と、30重量%〜50重量%の砂糖とを含み、脂肪組成物は、少なくとも40重量%のエステル交換された
シアオレイン及び任意選択で最大60重量%の液体植物油を含み、エステル交換された
シアオレインは、エステル交換された
シアオレインに存在する全C12〜C20の脂肪酸に基づいて、少なくとも50重量%のオレイン酸含有量、及び少なくとも25重量%のステアリン酸含有量を有し、エステル交換された
シアオレインは、10℃で少なくとも10%、20℃で少なくとも6%、及び30℃で少なくとも3%の固形脂肪含有量を有する。チョコレートスプレッドは、チョコレートフィリングとしても使用され得る。
【0010】
好ましくは、脂肪組成物は、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%のエステル交換された
シアオレインを含む。より好ましくは、脂肪組成物は、少なくとも99重量%のエステル交換された
シアオレイン及び最大1重量%の液体油を含む。組成物が100重量%のエステル交換された
シアオレインを含むことがさらにより好ましい。
【0011】
好適な実施形態では、液体油は、大豆、ヒマワリ、及び/または菜種油、好ましくは菜種油を含む。好ましくは、液体油は、菜種油からなる。
【0012】
別の好適な実施形態では、スプレッドは、ココアバター、ココアマス、及び/またはココアパウダーを含み、ココアバター、ココアマス、及び/またはココアパウダーの量は、スプレッドの少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%である。
【0013】
チョコレートスプレッド組成物が、ココアバター、ココアマス、及び/またはココアパウダー以外にナッツ成分を本質的に含まないことが有利である。
【0014】
好ましくは、チョコレートスプレッド組成物は、粉乳及びレシチンの組み合わせを含む。
【0015】
好適な実施形態では、エステル交換された
シアオレインは、10℃で10〜20%、20℃で6〜16%、及び30℃で3〜13%の範囲の固形脂肪含有量を有する。本明細書に記述する固形脂肪含有量は、IUPAC2.150a方法に従ってNMR分光法を使用して決定される。
【0016】
組成物が1〜15℃の範囲、好ましくは4〜12℃の範囲の温度で乾燥金属製スプーンを使用して良好なすくい易さを有することが有利である。
【0017】
好ましくは、スプレッドは、少なくとも1ヶ月間、好ましくは3ヶ月後、15℃での保存後に再結晶を示さない。
【0018】
好ましくは、スプレッドは、少なくとも1ヶ月間、好ましくは3ヶ月後、15℃での保存後に油滲出を示さない。
【0019】
本発明は、また脂肪組成物を他のチョコレートスプレッド原料と混合させるステップを含むチョコレートスプレッド組成物の調製の方法に関し、脂肪組成物は、少なくとも60重量%のエステル交換された
シアオレイン及び任意選択で最大40重量%の液体植物油を含み、エステル交換された
シアオレインは、エステル交換された
シアオレインに存在する全C12〜C20の脂肪酸に基づいて、少なくとも50重量%のオレイン酸含有量及び少なくとも25重量%のステアリン酸含有量を有し、エステル交換された
シアオレインは、10℃で少なくとも10%、20℃で少なくとも6%、及び30℃で少なくとも3%の固形脂肪含有量を有する。
【0020】
好ましくは、脂肪組成物は、ヘーゼルナッツペースト、ココアバター、ココアマス、ココアパウダー、乳脂肪、粉乳、バニラ、及びレシチンから選択される原料のうちの1つ以上と、砂糖と、任意選択で他の原料と混合される。
【0021】
本発明は、以下の非限定的な例によってここでさらに解明される。
【実施例】
【0022】
実施例1:脂肪ブレンドの調製
A:エステル交換された
シアオレイン
約5000グラムの
シアオレインを化学的にエステル交換した。油を110℃まで加熱し、約50mbarの圧力で30分間乾燥させた。この乾燥させた油にナトリウムメトキシド(0.10%w/w)を添加し、その混合物を約100mbarで30分間撹拌した。その後、クエン酸を添加することで反応を止め、その後石鹸を本質的に含まなくなるまで水で洗浄した。エステル交換された
シアオレインを、さらなる使用のために標準的な精製手順(漂白及び脱臭)に従ってさらに精製した。分析結果を表1の脂肪ブレンドAの下に示す。エステル交換された
シアオレインA(inShf)を菜種油(RP)とブレンドしてブレンドB及びCを産出した。その分析結果も表1に示す。参照脂肪として、Loders Croklaan BV、the Netherlandsから入手した、市販の完全精製脂肪Durkex102を使用した。この参照脂肪は、パームオレイン画分に基づき、市販のチョコレートスプレッドに使用される。その分析結果も表1に示す。
【0023】
実施例2:脂肪ブレンド分析データ
固形脂肪含有量(SFC)は、IUPAC2.150aに従ってNMR分光法を使用して決定される。x℃の固形脂肪含有量をNxと示す。例えば、20℃の固形脂肪含有量は、N20と表現される。
【0024】
脂肪酸残基組成を、ISO15304に従って脂肪酸メチルエステル分析(FAME)ガスクロマトグラフィーを使用して決定した。Cx:yは、x個の炭素原子及びy個の2重結合を有する脂肪酸を指し、拡張子「c」はシス脂肪酸を指し、「t」はトランス脂肪酸を指す。脂肪酸は、8〜24個の炭素原子及び任意選択で1つ以上の2重結合を有する直鎖カルボン酸である。
【0025】
脂肪酸組成物は、飽和脂肪酸(SAFA)、一価不飽和脂肪酸(MUFA)、及び多価不飽和脂肪酸(PUFA)の含有量で特徴付けられる。SAFAは、パルミチン酸(C16:0)及びオレイン酸(C18:0)等の不飽和結合を含まない脂肪酸である。本明細書に規定するように、SAFAは、C12:0、C14:0、C16:0、C17:0、C18:0、C20:0、C22:0、C24:0の全てである。一価不飽和脂肪酸(MUFA)は、単一の炭素−炭素2重結合を有する脂肪酸であり、これは、シス構成またはトランス構成のどちらでもよい。全トランスは、トランス脂肪酸の総量である。
【0026】
MUFAの群は、パルミトレイン酸(C16:1シス)及びオレイン酸(C18:1シス)を含むがこれらに限定されない。本明細書に規定するように、MUFAは、C16:1c/t、C18:1c/t、C20:1c/t、C22:1c/t、及びC24:1c/tの全てであり、c/tは、その特定数の炭素原子についてシス脂肪酸及びトランス脂肪酸の混合量を示す。多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、2つまたは3つの2重結合等の2つ以上の炭素−炭素2重結合を有する。SAFA値、MUFA値、及びPUFA値は、FAME分析によって決定されるように、それぞれの化合物の量を合計することによって計算される。
【0027】
ISO15304に従って脂肪酸メチルエステル分析(FAME)ガスクロマトグラフィーを使用して決定されるように、ヨウ素価(IV)を、脂肪酸組成物に基づいて、AOCS Cd 1c−85に従って計算した。IVFAMEは、計算されたヨウ素価を指す。
【0028】
トリグリセリド組成物を、ISO23275に従ってガスクロマトグラフィーを使用して決定した。表において、トリグリセリドは、脂肪酸残基に従って3文字のコード化名として識別され、A=アラキドイル−、L=リノレオイル−、M=ミリストイル−、P=パルミトイル、O=オレオイル−、St=ステアロイル−である。例えばStOStは、2−オレオイル−1,3−ジステアロイルグリセリドを意味する。SUMSOSは、全SOS(Sはステアリン酸またはパルミチン酸及びOはオレイン酸)を指す。
【表1-1】
【表1-2】
【0029】
実施例3:チョコレートスプレッド
ボールミルを240rpmで45分間使用して以下の原料を混合させることによって、チョコレートスプレッドを調製した。脂肪ブレンドBを使用した。参照スプレッドに関し、脂肪ブレンドは、標準的なチョコレートスプレッド脂肪、Loders Croklaan BV、Wormerveer、the Netherlandsから入手したDurkex102に置き換えられた。
【表2】
【0030】
実施例4:ヘーゼルナッツペーストを含むチョコレートスプレッド
ボールミルを240rpmで45分間使用して以下の原料を混合させることによって、ヘーゼルナッツペーストを含むチョコレートスプレッドを調製した。
【表3】
【0031】
表Iに従う脂肪ブレンドを使用してチョコレートスプレッドを調製した。参照として、脂肪ブレンドDurkex102を使用した。チョコレートスプレッドを表2にまとめる。
【表4】
【0032】
実施例5:保存トライアル:再結晶
実施例3に従って調製したスプレッドを50℃で容器に堆積させ、少なくとも20分間静的冷却キャビネット(12℃)で冷却した。初期冷却後、さらなる評価のためにスプレッドを異なる温度で保存した。スプレッドを、15℃、20℃、25℃、30℃、及び15℃で12時間と25℃で12時間との間の温度サイクル条件下で保存し、周囲温度(20℃)で一晩、及び1、2、または3週間、及び1、2、または3ヶ月後すぐに評価した。再結晶結果を表3にまとめる。
【0033】
以下の特性:外観(再結晶、油滲出、及び光沢)ならびに感覚評価に関して試料を評価した。
【表5】
【0034】
脂肪ブレンドBに基づくチョコレートスプレッドについて再結晶は発生しなかったが、チョコレート/ヘーゼルナッツスプレッドを含む他のチョコレートスプレッドについて、再結晶が明確に視認できた。実施例2に従うチョコレートスプレッドとして同一の脂肪ブレンドを使用するチョコレート/ヘーゼルナッツスプレッドを含む、再結晶が発生した試料は、表面上に結晶を示した。
【0035】
これらのデータによって、実施例3に従うヘーゼルナッツペーストを添加しない全てのチョコレートスプレッドにおける再結晶を回避する解決策を脂肪ブレンドBが提供することが示される。
【0036】
耐熱性
実施例4に従うスプレッド4〜6を50℃で容器に保存し、静的冷却キャビネット(12℃)で少なくとも20分間冷却した。その後、さらなる評価のために、12時間20℃/12時間40℃のサイクルにより、冷蔵庫の温度(約7℃)、20℃、25℃、40℃の異なる温度で容器を保存した。一晩後、1週間後、及び1ヶ月後最初に試料を評価した。
【0037】
すくい易さ
7℃で1週間または1ヶ月間保存した後、すくい易さについて試料をさらに試験した。周囲温度(20℃)で乾燥金属製スプーンを使用して、容器を冷蔵庫から取り出した直後に容器からスプーン1杯のチョコレートスプレッドをすくうことを試みることによって、試料を定性的に調査した。手の暖かさによる加熱の影響を排除するため、周囲温度の新しいスプーンを試料毎に使用した。参照として、Durkex102に基づくチョコレートスプレッドを使用した。結果を表4a及び表4bに示す。
【表6】
【表7】
以下の表に示すように、1日後、1週間後、及び1ヶ月後に外観を査定した。油滲出、再結晶、光沢、及び収縮に関して、外観を評価した。光沢は、1〜5の範囲の光沢因子によって示され、1はマット(光沢無し)であり、5は非常に光沢がある。脱油/油滲出は、コードOEで示される。粒状食感は、コードGRで示される。結果を表5a、表5b、及び表5cに示す。
【表8】
【表9】
【表10】
【0038】
1ヶ月保存した後、訓練を受けた試験パネルによって試料3〜6を相対感覚評価にさらに供し、その結果を
図1の図に示す。相対的硬度(最初の一口)、溶融、スプレッド性、冷たさ、ろう質、フレーバーリリース時間、フレーバーインパクト、及び効果後のフレーバーに関し、試料を評価した。