特許第6857439号(P6857439)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857439
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】巻寿司連続製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20210405BHJP
【FI】
   A23L7/10 G
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-224990(P2016-224990)
(22)【出願日】2016年11月18日
(65)【公開番号】特開2018-78858(P2018-78858A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】篠葉 基弘
(72)【発明者】
【氏名】柳生 悦宏
(72)【発明者】
【氏名】沢田 泰功
(72)【発明者】
【氏名】杉▲崎▼ 健
(72)【発明者】
【氏名】林 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】中沢 和樹
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 自生
(72)【発明者】
【氏名】並木 勝矢
【審査官】 田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−103233(JP,A)
【文献】 特開昭54−055773(JP,A)
【文献】 特開2000−312563(JP,A)
【文献】 特開2007−104922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00−7/104
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベアと、
前記搬送コンベアに巻材シートを供給する巻材供給手段と、
前記搬送コンベアに米飯シートを供給する米飯供給手段と、
前記搬送コンベアにおいて前記巻材シートと前記米飯シートとの積層物上に具材を供給する具材供給部と、
前記搬送コンベア上において前記具材供給部の搬送下流に設置され、前記巻材シート、前記米飯シートおよび前記具材を含む巻寿司材料を前記搬送コンベアのベルトを介して巻き締めながら巻寿司を成形する成形手段と、
前記成形手段の搬送下流に設置され、前記成形手段によって成形された巻寿司を予め決められた長さに切断する切断手段と、
を備え、
前記成形手段は、
前記ベルトに巻かれた前記巻寿司材料を挟み込むようにして支える一対の支持体と、
前記一対の支持体の隣接間に一部をはみ出した状態で、前記一対の支持体の一方に回転可能な状態で設けられ、前記巻寿司材料の搬送方向に沿って回転しながら前記ベルトを介して前記巻寿司材料を押圧するように回転可能となった回転体と、
前記回転体の外周において径方向外方に突出して設けられ、前記巻寿司材料に対して強弱を付けて圧力を加える1または複数の突出部と、
を備える、
ことを特徴とする巻寿司連続製造装置。
【請求項2】
前記回転体は、前記回転軸が前記一対の支持体の隣接間中央に向かって傾斜した状態で設置されていることを特徴とする請求項1記載の巻寿司連続製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻寿司連続製造装置に関し、例えば、巻寿司等の巻成形技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海苔巻き等のような巻寿司の需要増大に伴い、当該巻寿司を連続的に自動製造する巻寿司連続製造装置の開発が進められている。巻寿司連続製造装置は、海苔供給ボビンに巻回された長尺状の海苔シートを搬送コンベアで搬送させる途中で、その海苔シート上に米飯供給装置から供給された板状のシャリシートを載せ、そのシャリシート上に、例えば、卵、蒲鉾、納豆、胡瓜等のような具材を載せた後、搬送コンベアのベルトを徐々に円筒状に巻き込みながら、海苔シート、シャリシートおよび具材を含む巻寿司材料を略円柱状に成形し、さらに所定の長さで切断することで海苔巻き等のような巻寿司を連続的に自動製造する装置である。なお、巻寿司製造技術については、例えば、特許文献1〜3に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54−23179号公報
【特許文献2】特開平8−103233号公報
【特許文献3】特開2007−104922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、巻寿司連続製造装置の一次巻成形部においては、回転中のガイドローラによってベルトの外側から巻寿司材料(海苔シート、シャリシートおよび具材)に対して一定の圧力を加えることで巻寿司を成形する構成になっている。しかし、巻寿司材料に対して一定の圧力を加えて巻寿司を成形する場合、巻寿司材料のシャリと具材とを充分に馴染ませることができない場合がある、という問題がある。
【0005】
本発明は、巻寿司連続製造装置の成形手段において巻寿司の成形性を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の巻寿司連続製造装置は、搬送コンベアと、前記搬送コンベアに巻材シートを供給する巻材供給手段と、前記搬送コンベアに米飯シートを供給する米飯供給手段と、前記搬送コンベアにおいて前記巻材シートと前記米飯シートとの積層物上に具材を供給する具材供給部と、前記搬送コンベア上において前記具材供給部の搬送下流に設置され、前記巻材シート、前記米飯シートおよび前記具材を含む巻寿司材料を前記搬送コンベアのベルトを介して巻き締めながら巻寿司を成形する成形手段と、前記成形手段の搬送下流に設置され、前記成形手段によって成形された巻寿司を予め決められた長さに切断する切断手段と、を備え、前記成形手段は、前記ベルトに巻かれた前記巻寿司材料を挟み込むようにして支える一対の支持体と、前記一対の支持体の隣接間に一部をはみ出した状態で、前記一対の支持体の一方に回転可能な状態で設けられ、前記巻寿司材料の搬送方向に沿って回転しながら前記ベルトを介して前記巻寿司材料を押圧するように回転可能となった回転体と、前記回転体の外周において径方向外方に突出して設けられ、前記巻寿司材料に対して強弱を付けて圧力を加える1または複数の突出部と、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1記載の巻寿司連続製造装置において、前記回転体は、前記回転軸が前記一対の支持体の隣接間中央に向かって傾斜した状態で設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転体による巻寿司の成形時に巻寿司材料に対して強弱を付けて圧力を加えることにより、巻寿司材料を人手で押し込みながら成形している状態に近づけることができ、巻寿司材料のシャリと具材とを良好に馴染ませることができるので、巻寿司の成形性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る連続海苔巻き成形機の一例の全体側面図である。
図2図1の連続海苔巻き成形機の平面図である。
図3図2の連続海苔巻き成形機の巻成形部の一次巻成形部の拡大平面図である。
図4図3の下側から見た一次巻成形部の側面図である。
図5図4の右側から見た一次巻成形部を拡大側面図である。
図6】(a)〜(c)は一次巻成形部のガイドローラの斜視図である。
図7】(a)は図6のガイドローラを裏面側から見た平面図、(b)は図6のガイドローラの回転軸に交差する断面図である。
図8】(a),(b)は一次巻成形部を構成するガイドローラによる海苔巻き材料の成形状態を模式的に示した説明図である。
図9】(a),(b)はガイドローラの変形例を裏面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
まず、本実施の形態の連続海苔巻き成形機M1の全体的な構造例について図1および図2を参照して説明する。図1は本実施の形態に係る連続海苔巻き成形機の一例の全体側面図、図2図1の連続海苔巻き成形機の平面図である。
【0013】
本実施の形態の連続海苔巻き成形機M1は、例えば、複数本の海苔巻き(巻寿司)を連続的に自動製造することが可能な巻寿司連続製造装置であり、米飯供給部(米飯供給手段)1と、海苔供給部(巻材供給手段)2と、搬送コンベア3と、巻成形部(成形手段)4と、カッター部(切断手段)5と、操作パネル6とを備えている。
【0014】
なお、特に限定されるものではないが、連続海苔巻き成形機M1は、例えば、2本の搬送ラインを備えており、連巻き時:4000本/時(両ライン稼働時、海苔巻き長さが180mm)、一本巻き時:2800本/時(両ライン稼働時)の高速生産能力を備えている。また、連続海苔巻き成形機M1は、例えば、細巻、中巻、太巻、裏巻、角型または丸型の巻成形が可能な上、サイズや形状の変更に柔軟に対応することが可能になっている。
【0015】
連続海苔巻き成形機M1の米飯供給部1は、例えば、炊き上がった温かい状態の米飯(酢飯)から設定重量値を目標としたシャリシート(米飯シート)を生成して搬送コンベア3に供給する装置であり、ライスリフター部1aと、供給ホッパー部1bと、縦計量部1cとを備えている。
【0016】
ライスリフター部1aは、炊き上がった温かい状態の米飯(酢飯)を米飯供給部1の上部の供給ホッパー部1bまで運び投入する昇降機構部である。供給ホッパー部1bは、ライスリフター部1aから投入された米飯を、供給ホッパー部1b内の解し羽根(図示せず)によって解しながら縦計量部1cに供給する供給部である。
【0017】
縦計量部1cは、供給ホッパー部1bから供給された米飯から設定重量値を目標としたシャリシートを生成する機構部であり、シャリシートを送り出す方向(斜め下方)に沿って上中下の3段のローラ対(全部で6個のローラ)を備えている。縦計量部1cの各ローラ対は、独立して駆動制御することが可能になっており、ローラ対間を通過する米飯に対して適正な圧縮を行い均一でふっくらとしたシャリシートを連続して供給(排出)することが可能になっている。
【0018】
連続海苔巻き成形機M1の海苔供給部2(図1参照)は、海苔供給部2のボビン2aに巻回された長尺帯状の海苔シート(巻材シート)を搬送コンベア3に供給する装置である。
【0019】
連続海苔巻き成形機M1の搬送コンベア3は、海苔シートおよびシャリシートの積層物を搬送するコンベアであり、海苔巻き材料(海苔シートおよびシャリシート等)の搬送方向に沿って順に、計量コンベア3aと、トッピングコンベア(具材供給部)3bと、巻成形コンベア(成形手段)3cとを備えている。
【0020】
なお、矢印Acは海苔シートおよびシャリシートの搬送方向(搬送コンベア3のベルト移動方向)を示している。
【0021】
搬送コンベア3の初段の計量コンベア3aは、縦計量部1cから供給されたシャリシート等の重量を計るとともに、海苔シートとシャリシートとの積層物をトッピングコンベア3bに搬送する無端ベルト状のコンベアである。計量コンベア3aは、縦計量部1cの下方に設置されており、縦計量部1cから供給されたシャリシートは計量コンベア3aのベルト(図1および図2には図示せず)上に直接供給される。この計量コンベア3aには、シャリシートの重量を計るべくロードセル等のような計量器が備えられている。
【0022】
搬送コンベア3の中段のトッピングコンベア3bは、計量コンベア3aから搬送された海苔シートとシャリシートとの積層物上に、例えば、卵、蒲鉾、納豆、胡瓜等のような具材を載せる具材供給部であるとともに、その具材を載せた積層物を巻成形コンベア3cに搬送する無端ベルト状のコンベアである。具材の供給は、例えば、トッピングコンベア3bに沿って並んだ複数の作業者によって手作業で実施される。なお、トッピングコンベア3bのベルトB2(図1参照)の上方に具材供給装置を設置し、手作業とともに、または手作業に代えて、具材を供給しても良い。
【0023】
搬送コンベア3の後段の巻成形コンベア3cは、トッピングコンベア3bから搬送された海苔シート、シャリシートおよび具材で構成される海苔巻き材料(巻寿司材料)を、巻成形部4の前段で徐々に巻き込まれたベルトB3によって巻き締めながら巻成形部4の後段に搬送するとともに、さらに巻成形部4で成形された略円柱形の連続状の海苔巻きをカッター部5に搬送する無端ベルト状のコンベアである。
【0024】
連続海苔巻き成形機M1の巻成形部4は、海苔シート、シャリシートおよび具材で構成される海苔巻き材料をベルトB3で巻き締めるときに、海苔巻き材料に対して外側から圧力を加えることで連続状の海苔巻きを成形する装置であり、例えば、海苔巻き材料の搬送方向に沿って順に一次巻成形部4Aと二次巻成形部4Bとを備えている。なお、上記した巻成形コンベア3cは、巻成形部4の一部を構成している。また、一次巻成形部4Aおよび二次巻成形部4Bには、それぞれの成形処理部を覆うように安全カバーC1,C2が開閉可能な状態で設置されている。
【0025】
連続海苔巻き成形機M1のカッター部5は、巻成形部4で成形された連続状の海苔巻きを回転カッター刃によって予め決められた長さに正確に素早く美しく切断する装置である。
【0026】
連続海苔巻き成形機M1の操作パネル6は、連続海苔巻き成形機M1の運転を操作するための入力装置である。操作パネル6は、例えば、タッチ式の液晶画面を備えており、連続海苔巻き成形機M1の電源を投入すると操作パネル6の液晶画面が点灯してメニュー画面が表示されるようになっている。
【0027】
次に、本実施の形態の連続海苔巻き成形機M1を構成する巻成形部4の一次巻成形部4Aの構成例について図3図7を参照して説明する。図3図2の連続海苔巻き成形機の巻成形部の一次巻成形部の拡大平面図、図4図3の下側から見た一次巻成形部の側面図、図5図4の右側から見た一次巻成形部を拡大側面図、図6(a)〜(c)は一次巻成形部のガイドローラの斜視図、図7(a)は図6のガイドローラを裏面側から見た平面図、図7(b)は図6のガイドローラの回転軸に交差する断面図である。なお、図3図5の符号Xはガイドローラの回転軸を示し、図5の符号SRはトッピングコンベア3bから一次巻成形部4Aに送られた海苔巻き材料を示している。
【0028】
図3図5に示すように、巻成形部4を構成する一次巻成形部4Aは、一対の支持板(支持体)10a,10bと、一対の支持板10a,10bのうちの一方の支持板10aに設置された押圧用のガイドローラ(回転体)11とを備えている。
【0029】
一対の支持板10a,10bは、一対の支持板10a,10bの隣接間に搬送された海苔巻き材料SRを挟み込むようにして支える部材である。この一対の支持板10a,10bは、搬送方向Acに沿って長い板状に形成されており、海苔巻き材料SRの搬送路を挟んで両側に予め決められた距離を隔てて互いに対向した状態で設置されている。なお、一対の支持板10a,10bの隣接間隔は、海苔巻き材料SRの径等に応じて変えることが可能になっている。
【0030】
ガイドローラ11は、図3図5に示すように、回転軸Xを中心に回転しながらベルトB3を介して海苔巻き材料SRに圧力を加える押圧部材であり、回転方向Arに回転可能な状態で一方の支持板10aにおいて搬送方向Acのほぼ中央に設置されている。ガイドローラ11は、巻成形コンベア3cのベルトB3の移動に連れ回りするようになっている。これにより、連続海苔巻き成形機M1の構成を簡単化することができ、コストを下げることができる。ただし、ガイドローラ11を回転モータによって回転させることもできる。
【0031】
このガイドローラ11は、図5に示すように、その回転軸Xが一対の支持板10a,10bの隣接間中央(海苔巻き材料SRの径方向中心)に向かって傾斜した状態で設置されている。このため、ガイドローラ11の側面部は、海苔巻き材料SRの外周の斜め上方側を覆う状態で一対の支持板10a,10bの隣接間にはみ出している。
【0032】
また、ガイドローラ11は、その外形が、図5図7に示すように、例えば、略鼓形状に形成されている。すなわち、ガイドローラ11は、その軸方向に交差する断面が円形状に形成されているが、その直径が軸方向の両端から中央に向かって次第に小径になるように形成されている。
【0033】
このようなガイドローラ11を設けたことにより、ガイドローラ11のガイドによってベルトB3の幅方向(搬送方向Acに交差する方向)の一端を他端側に重ねて海苔巻き材料SRの幅方向(搬送方向Acに交差する方向)の一端側を他端側に重ねることができるとともに、ガイドローラ11によって海苔巻き材料SRをその斜め上方側から押圧することができるようになっている。
【0034】
ここで、ガイドローラの軸方向に交差する断面の形状が単純な円形状の場合、ガイドローラが海苔巻き材料SRを一定の圧力で押圧することになるので、海苔巻き材料SRのシャリと具材とを充分に馴染ませることができない場合が生じる、という問題がある。
【0035】
そこで、本実施の形態においては、ガイドローラ11の外周に、海苔巻き材料SRに対して強弱を付けて圧力を加える構成部として、ガイドローラ11の径方向外方に突出する突出部11pを、ガイドローラ11の外周に沿って4箇所に均等に分散させた状態で一体的に設けた。なお、各突出部11pの高さ(ガイドローラ11の径方向の突出長)は、例えば、同じである。
【0036】
このようにガイドローラ11の側面(海苔巻き材料SRを押圧する押圧面)に突出部11pを設けたことにより、ガイドローラ11による海苔巻き材料SRの成形時に海苔巻き材料SRに対して強弱を付けて圧力を加えることができる。これにより、海苔巻き材料SRを人手で押し込みながら成形している状態に近づけることができるので、海苔巻き材料SRのシャリと具材とを良好に馴染ませることができる。したがって、海苔巻きの成形性を向上させることができる。
【0037】
ただし、ガイドローラ11の突出部11pの数は4箇所に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、1〜3箇所でも良い。また、複数の突出部11pの配置位置は均等で無くても良い。また、複数の突出部11pの高さも同じでなくても良い。
【0038】
次に、本実施の形態の連続海苔巻き成形機M1における海苔巻き製造方法の一例について図1図2および図8等を参照して説明する。図8(a),(b)は一次巻成形部を構成するガイドローラによる海苔巻き材料の成形状態を模式的に示した説明図である。
【0039】
まず、図1および図2に示した連続海苔巻き成形機M1の電源を投入すると、操作パネル6の液晶画面が点灯してメニュー画面が表示されるので、作業者は、操作パネル6を通じて海苔シートの幅(太巻、中巻または細巻等)、海苔巻きのカット寸法、スピードおよび各種モード等の情報を入力する。
【0040】
続いて、操作パネル6の表示画面中の動作開始ボタンをタッチして連続海苔巻き成形機M1の動作を開始すると、米飯供給部1、海苔供給部2、搬送コンベア3、巻成形部4およびカッター部5が駆動を開始する。
【0041】
すなわち、米飯供給部1においては、炊き上がった温かい状態の米飯(酢飯)がライスリフター部1aによって連続海苔巻き成形機M1の上部の供給ホッパー部1bに運ばれ投入される。供給ホッパー部1bに投入された米飯は、供給ホッパー部1b内の解し羽根によって解されてから下方の縦計量部1cに送られ、縦計量部1c内の3段のローラ対間を通過することで板状のシャリシートに成形されて計量コンベア3a上の海苔シート上に載せられる。また、海苔供給部2のボビン2aは、ボビン2aに巻かれたロール状の海苔シートが搬送コンベア3のベルト搬送によるシャリシートの移動に引かれることで連れ回りするようになっている。なお、ボビン2aを回転モータによって回転させることもできる。
【0042】
続いて、上記海苔シートとシャリシートとの積層物は、計量コンベア3aからトッピングコンベア3bに送られ、作業者の手作業によりシャリシートの幅方向中央に、例えば、卵、蒲鉾、納豆、胡瓜等のような各種の具材が載せられる。
【0043】
続いて、海苔シートとシャリシートとの積層物上に具材が載せられた海苔巻き材料SRは、巻成形コンベア3cのベルトB3に載せられて巻成形部4の一次巻成形部4Aの一対の支持板10a,10b間に送られる。すると、巻成形コンベア3cのベルトB3の幅方向一端側がガイドローラ11にガイドされて向かい側(ベルトB3の幅方向他端側)に重ねられ、ベルトB3が徐々に円筒形状に巻かれることで、海苔巻き材料SRの幅方向の一端側が他端側に重ねられる。
【0044】
これと同時に、図8(a),(b)に示すように、海苔巻き材料SRは、その斜め上方側から径方向中央に向かってベルトB3を介して回転中のガイドローラ11によって押圧される。このようにして海苔巻き材料SRは巻き締められる。なお、ここでは、例えば、ベルトB3で巻き締められた海苔巻き材料SRは、径方向中心の具材の周りにシャリシートが巻かれ、さらにその外周に海苔シートが巻かれた状態になる。
【0045】
ここで、一次巻成形部4Aにおいては、図8(a),(b)に示すように、ベルトB3に巻かれた状態の海苔巻き材料SRが一対の支持板10a,10b間を通過する途中において、ベルトB3の移動によって搬送方向Acに沿う回転方向Arに向かって連れ回りしているガイドローラ11によってベルトB3の外側から海苔巻き材料SRに対して圧力が加えられることで成形が行われる。なお、上記したようにガイドローラ11を回転モータで回転させることもできる。
【0046】
このようなガイドローラ11による成形の際に、本実施の形態においては,ガイドローラ11の外周に複数の突出部11pを配置したことにより、ガイドローラ11の回転により海苔巻き材料SRに対して強弱を付けて圧力を加えることができる。すなわち、図8(a)に示すように、ガイドローラ11において突出部11pが無い部分で海苔巻き材料SRが押圧される場合に比べて、図8(b)に示すように、ガイドローラ11の突出部11pで海苔巻き材料SRが押圧される場合の方が、海苔巻き材料SRの径が小さくなり、海苔巻き材料SRに対する押圧力が強くなる。これにより、海苔巻き材料SRを人手で押し込みながら成形している状態に近づけることができるので、海苔巻き材料SRのシャリと具材とを良好に馴染ませることができる。したがって、海苔巻きの成形性を向上させることができる。
【0047】
続いて、一次巻成形部4Aを通過した海苔巻き材料SRは、ベルトB3に包まれた状態で二次巻成形部4Bに搬送される。二次巻成形部4Bにおいては、海苔巻き材料SRが、その上方に配置された巻締ガイド(図示せず)によってベルトB3を介して圧縮されることで連続状の海苔巻きが成形される。
【0048】
その後、巻成形部4で成形された連続状の海苔巻きは、巻成形コンベア3cでカッター部5に搬送され、カッター部5の回転カッター刃によって予め決められた長さに切断される。このようにして、海苔巻きが自動製造される。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0050】
前記実施の形態においては、縦計量部1cから供給されたシャリシートが計量コンベア3a上に供給される構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、計量コンベア3aの上流に通常の搬送コンベアを隣接させて配置し、その通常の搬送コンベア上に縦計量部1cから供給されたシャリシートが供給してから計量コンベア3aおよびトッピングコンベア3bに順に送られるようにしても良い。
【0051】
また、一次巻成形部のガイドローラの形状は上記したものに限定されるものではく種々変更可能であり、例えば、図9(a)に示すように、ガイドローラ11の軸方向に交差する断面形状を破線で示すように正方形または菱形形にしても良い。また、図9(b)に示すように、ガイドローラ11の軸方向に交差する断面形状を破線で示すように星形にしても良い。これら図9(a),(b)の場合は、ガイドローラ11の外周の角部が突出部11pに相当する。
【0052】
また、前記実施の形態においては、一次巻成形部において押圧用のガイドローラを1箇所に配置した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、一次巻成形部において押圧用のガイドローラを、海苔巻き材料の搬送方向に沿って2箇所またはそれ以上並べて配置しても良い。この場合、ガイドローラ11を回転モータで回転させるときは、2以上のガイドローラをギア等で機械的に接続し、回転モータを共有させて同時に回転させるようにすることで連続海苔巻き成形機M1の構造を簡単化することができる。また、海苔巻き材料の搬送方向に沿って配置された複数のガイドローラ毎に突出部の数や配置等を変えることにより、複数のガイドローラ毎に海苔巻き材料に加える圧力の状態を変えるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上の説明では、本発明の巻寿司連続製造装置を連続海苔巻き成形機に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく種々適用することができ、例えば、具材を巻き込む種々の食品の製造に適用することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1 米飯供給部
2 海苔供給部
2a ボビン
3 搬送コンベア
3a 計量コンベア
3b トッピングコンベア
3c 巻成形コンベア
4 巻成形部
4A 一次巻成形部
4B 二次巻成形部
5 カッター部
6 操作パネル
10a,10b 支持板
11 ガイドローラ
11p 突出部
M1 連続海苔巻き成形機
SR 海苔巻き材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9