特許第6857454号(P6857454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857454
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/00 20060101AFI20210405BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20210405BHJP
   B61B 1/02 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   B61L23/00 Z
   G08B21/02
   B61B1/02
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-114501(P2016-114501)
(22)【出願日】2016年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-218040(P2017-218040A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 博一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 栄嗣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦
【審査官】 西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−130404(JP,A)
【文献】 特開2015−055493(JP,A)
【文献】 特開平05−124513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 23/00
B61B 1/02
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォームの車両に対向する対向面において、上下方向に配置された人体を検知するための複数のセンサを有し、前記複数のセンサが体を検する順番に基づいて当該人体の状態を検知する
検知装置。
【請求項2】
前記複数のセンサは、前記対向面において複数行複数列で配置されている請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記複数のセンサは、前記対向面の、前記プラットフォームに前記車両が停止したときの前記車両のドアに対向する位置に配置されている請求項1又は請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記複数のセンサのうち同列にある上側のセンサから順に前記車両と前記プラットフォームとの間の体を検した後、前記同列にある全てのセンサが当該人体を検している時間が予め定められた時間を越えた場合、前記車両と前記プラットフォーム間に当該人体があると判断する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項5】
前記複数のセンサのうち同列にある上側のセンサから順に前記車両と前記プラットフォーム間の体を検した後、上側のセンサから順に前記車両と前記プラットフォーム間の体を検しなくなった場合、当該人体が転落したと状態と判断する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項6】
前記センサは静電容量式であり、前記センサの共振周波数の変化に基づいて体を検する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項7】
前記センサにおいて予め定められた温度変化が生じた場合、体を検していないときの前記センサの共振周波数を特定し、前記センサの共振周波数と特定した共振周波数との差が予め定められた閾値以上となった場合、前記センサが体を検したと判断する請求項6に記載の検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を検知する検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客がプラットフォームから転落したことを検知する発明として例えば特許文献1に開示された転落検知マットがある。この転落検知マットは、プラットフォームと軌道との間に設置され、導体のテープスイッチを有する。転落検知マットに乗客が落下すると、テープスイッチが導通状態となり、テープスイッチの導通に応じて警報器が鳴動し、駅係員や列車乗務員に転落を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−73179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の転落検知マットの場合、軌道の傍に転落検知マットが設置されるため、小動物が乗った場合にもテープスイッチが導通して警報器が動作してしまう。
【0005】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、小動物などの誤検知を抑えることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は、プラットフォームの車両に対向する車両対向面において、上下方向に配置された人体を検知するための複数のセンサを有し、前記複数のセンサが体を検する順番に基づいて当該人体の状態を検知する検知装置を、第1の態様として提供する。
【0007】
第1の態様の検知装置によれば、小動物などの誤検知を抑えることができる。
【0008】
第1の態様の検知装置において、前記複数のセンサは、前記対向面において複数行複数列で配置されているという構成を第2の態様として採用してもよい。
【0009】
第2の態様の検知装置によれば、複数の場所で車両とプラットフォームとの間に体があることを検することができる。
【0010】
第1又は第2の態様の検知装置において、前記複数のセンサは、前記対向面の、前記プラットフォームに前記車両が停止したときの前記車両のドアに対向する位置に配置されているという構成を第3の態様として採用してもよい。
【0011】
第3の態様の検知装置によれば、ドアの位置において車両とプラットフォームとの間に体があることを検することができる。
【0012】
第1から第3の態様のいずれかの検知装置において、前記複数のセンサのうち同列にある上側のセンサから順に前記車両と前記プラットフォームとの間の体を検した後、前記同列にある全てのセンサが当該人体を検している時間が予め定められた時間を越えた場合、前記車両と前記プラットフォーム間に当該人体があると判断するという構成を第4の態様として採用してもよい。
【0013】
第4の態様の検知装置によれば、車両とプラットフォームとの間に体が挟まっている状態を検知することができる。
【0014】
第1から第3の態様のいずれかの検知装置において、前記複数のセンサのうち同列にある上側のセンサから順に前記車両と前記プラットフォーム間の体を検した後、上側のセンサから順に前記車両と前記プラットフォーム間の体を検しなくなった場合、当該人体が転落したと状態と判断するという構成を第5の態様として採用してもよい。
【0015】
第5の態様の検知装置によれば、車両とプラットフォームとの間から体が転落した状態を検知することができる。
【0016】
第1から第5の態様のいずれかの検知装置において、前記センサは静電容量式であり、前記センサの共振周波数の変化に基づいて体を検するという構成を第6の態様として採用してもよい。
【0017】
第6の態様の検知装置によれば、非接触で体を検することができる。
【0018】
第6の態様の検知装置において、前記センサにおいて予め定められた温度変化が生じた場合、体を検していないときの前記センサの共振周波数を特定し、前記センサの共振周波数と特定した共振周波数との差が予め定められた閾値以上となった場合、前記センサが体を検したと判断するという構成を第7の態様として採用してもよい。
【0019】
第7の態様の検知装置によれば、温度変化が生じても体を検することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】検知装置1の構成を示した図。
図2】センサユニット10の配置位置の一例を示した模式図。
図3】センサユニット10の構成を示した図。
図4】制御器30の構成を示した図。
図5】センサユニット10で人体の有無を検知する処理の流れを示したフローチャート。
図6】車両3とプラットフォーム2との間への人体の挟まりや転落を判断する処理の流れを示したフローチャート。
図7】人体の有無とステータスとの関係を示した図。
図8】変形例に係るセンサユニット10の構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施形態]
以下に本発明の一実施形態に係る検知装置1を説明する。図1は、検知装置1の構成を示した図である。検知装置1は、プラットフォーム2に停止している車両とプラットフォーム2との間にある人体や、プラットフォーム2と車両との間から転落した人体を検知する装置である。検知装置1は、センサユニット10−1〜10−m、中継器20−1〜20−m、制御器30、通信線40、電力線50を備える。
【0022】
m個のセンサユニット10−1〜10−mは、それぞれ同じ構成であるため、以下各々を区別する必要がない場合はセンサユニット10と称する。センサユニット10は、静電容量式の近接センサであり、センサユニット10に近づいた人体を検知する。センサユニット10は、図2に示すように、プラットフォーム2が備える笠石4の下方であり、プラットフォーム2において車両3に対向する面に配置されている。センサユニット10−1〜10−mは、プラットフォーム2の長手方向に沿って配置されており、その配置位置は、プラットフォーム2に停車した車両3のドアの下方の位置となっている。
【0023】
図3は、センサユニット10の構成を示したブロック図である。センサユニット10は、第1電極群111、第2電極群112、第1制御部100A及び第2制御部100Bを備える。第1電極群111は、第1電極部111A、第2電極部111B、第3電極部111Cを有し、第2電極群112は、第1電極部112A、第2電極部112B、第3電極部112Cを備える。第1電極部111A、第2電極部111B、第3電極部111C、第1電極部112A、第2電極部112B、第3電極部112Cは、それぞれ人体を検知するための一対の電極を有する。
【0024】
第1電極部111Aと第1電極部112Aは上下方向に並んで位置しており、第1電極部111Aの下方に第1電極部112Aが位置している。また、第2電極部111Bと第2電極部112Bは上下方向に並んで位置しており、第2電極部111Bの下方に第2電極部112Bが位置している。また、第3電極部111Cと第3電極部112Cは上下方向に並んで位置しており、第3電極部111Cの下方に第3電極部112Cが位置している。本実施形態においては、センサユニット10が人体を検知する範囲は、第1電極群111の各電極及び第2電極群112の各電極の表面から車両方向へ100mm程度の範囲となっているが、これ以上の距離又はこれ以下の距離であってもよい。また、各電極部の電極の面積は、車両3がプラットフォームに停止して人体が近接していない状態と、車両3がプラットフォームに停止して人体が近接している状態とを区別できる面積とする。
【0025】
第1制御部100Aは、測定部101A、記憶部102、判断部103及び通信部104を有する。測定部101Aは、第1電極部111A、第2電極部111B、第3電極部111Cに接続されている。測定部101Aは、第1電極部111Aを回路の一部とする発信回路、第2電極部111Bを回路の一部とする発信回路及び第3電極部111Cを回路の一部とする発信回路を備えている。これらの電極部と発信回路の組は、一つのセンサとして機能する。また、測定部101Aは、温度を測定する温度センサ1001を備えている。測定部101Aは、温度や発信回路の共振周波数を予め定められた周期で予め定められた期間測定する。記憶部102は、測定部101Aで測定された温度と共振周波数を記録する。
【0026】
判断部103は、測定部101Aが測定した共振周波数と、記憶部102に記憶された共振周波数及び温度を用いて、人体が第1電極群111の電極部に近接しているか否かを判断する。また、判断部103は、測定部101Bが測定した共振周波数と、記憶部102に記憶された共振周波数及び温度を用いて、人体が第2電極群112の電極部に近接しているか否かを判断する。
【0027】
通信部104は、センサユニット10に対応した中継器に接続されており、判断部103の判断結果を表す情報を制御器30へ送信する。また、通信部104は、制御器30から送信された情報を取得する。
【0028】
第2制御部100Bは、測定部101Bを有する。測定部101Bは、第1電極部112A、第2電極部112B、第3電極部112Cに接続されている。測定部101Bは、第1電極部112Aを回路の一部とする発信回路、第2電極部112Bを回路の一部とする発信回路及び第3電極部112Cを回路の一部とする発信回路を備えている。これらの電極部と発信回路の組は、一つのセンサとして機能する。測定部101Bが測定した共振周波数は、第1制御部100Aの通信部104へ送られ、第1制御部100Aの記憶部102に記憶される。
【0029】
m個の中継器20−1〜20mは、同じ構成であるため、以下各々を区別する必要がない場合は中継器20と称する。中継器20は、センサユニット10−1〜10−mのそれぞれに対応して設けられており、同じ枝番のセンサユニット10や通信線40、電力線50に接続されている。中継器20は、センサユニット10と制御器30の間で行われる情報の授受を通信線40を用いて中継する。また、中継器20は、電力線50から供給される電力をセンサユニット10へ供給する。
【0030】
制御器30は、センサユニット10と情報の授受を行うための通信線40と、センサユニット10へ電力を供給する電力線50が接続されている。制御器30は、通信線40及び中継器20を介してセンサユニット10と情報の授受を行い、電力線50及び中継器20を介してセンサユニット10へ電力を供給する。制御器30は、車両3とプラットフォーム2との間に人体が挟まったことや、人体が車両3とプラットフォーム2との隙間から軌道に転落したことを、センサユニット10から取得した情報に応じて表示部32及び警報灯31により報知する。
【0031】
図4は、制御器30の構成を示したブロック図である。制御部300は、通信線40に接続されている。表示部32は、m個の発光ダイオードD1〜Dmを有する。発光ダイオードD1〜Dmは、センサユニット10−1〜10−mに対応している。発光ダイオードD1〜Dmは、対応するセンサユニット10が車両3とプラットフォーム2との間に人体が挟まったことや、車両3とプラットフォーム2との隙間から人体が転落したことを検知した場合に点灯し、人体を検知していないときには消灯する。発光ダイオードD1〜Dmの点灯と消灯は制御部300により制御される。警報灯31は、車両3とプラットフォーム2との間に人体が挟まったことや、車両3とプラットフォーム2との隙間から人体が転落したことを報知するものである。警報灯31の点灯と消灯は制御部300により制御される。
【0032】
次に実施形態の動作について説明する。図5は、センサユニット10で人体の有無を検知する処理の流れを示したフローチャートである。まず、測定部101A及び測定部101Bは、共振周波数の測定に使用する電極部を選択する(ステップSA1)。ここで、測定部101A及び測定部101Bは、隣り合う電極部同士が同時に共振周波数の測定に使用されると、互いに干渉して共振周波数を正確に測定できなくなるため、隣り合う電極部が同時に共振周波数の測定に使用されないように電極部を選択する。具体的には、測定部101A及び測定部101Bは、同列の電極部を選択しないように電極部を選択する。例えば、測定部101Aが第1電極部111Aを選択しているときには、測定部101Bは第1電極部112Aではなく、第2電極部112B又は第3電極部112Cを選択する。また、測定部101Aが第2電極部111Bを選択しているときには、測定部101Bは第1電極部112A又は第3電極部112Cを選択し、測定部101Aが第3電極部111Cを選択しているときには、測定部101Bは第1電極部112A又は第2電極部112Bを選択する。
【0033】
次に測定部101A及び測定部101Bは、選択した電極部を回路の一部とする発信回路の共振周波数を測定する(ステップSA2)測定部101A及び測定部101Bが測定した共振周波数は、記憶部102に記録される(ステップSA3)。
【0034】
次に測定部101A及び測定部101Bは、記憶部102に記録された複数の共振周波数から、共振回路で測定した共振周波数の平均値を算出する(ステップSA4)。例えば、測定部101Aが第1電極部111Aを選択している場合、第1電極部111Aを含む発信回路で測定した過去n回分の測定結果から共振周波数の平均値を算出する。また、測定部101Bが第2電極部112Bを選択している場合、第2電極部112Bを含む発信回路で測定した過去n回分の測定結果から共振周波数の平均値を算出する。測定部101A及び測定部101Bは、ステップSA4の処理を終えると、温度センサ1001で温度を測定する(ステップSA5)。
【0035】
次に判断部103は、人体を検知中であるか判断する(ステップSA6)。例えば、車両3がプラットフォーム2に停止していない場合には人体を検知していないと判断する(ステップSA6でNO)。判断部103は、車両3がプラットフォーム2に停止しているか否かについて、制御器30からセンサユニット10へ送信される情報により特定するようにしてもよい。
【0036】
判断部103は、ステップSA6でNOと判断した場合、ステップSA5で測定した温度と、記憶部102に記録されている基準温度との差が予め定められた閾値以上であるか判断する(ステップSA7)。判断部103は、この差が閾値未満である場合(ステップSA7でNO)、処理の流れをステップSA1へ戻す。
【0037】
一方、判断部103は、ステップSA5で測定した温度と、記憶部102に記録されている基準温度との差が予め定められた閾値以上である場合(ステップSA7でYES)、記憶部102に記憶されている基準温度をステップSA5で測定した温度で更新する(ステップSA8)。そして、記憶部102に記憶されている基準共振周波数をステップSA4で算出した平均値で更新する(ステップSA9)。例えば、測定部101AがステップSA1で第1電極部111Aを選択し、測定部101BがステップSA1で第2電極部112Bを選択していた場合、判断部103は、第1電極部111Aを含む共振回路の基準共振周波数をステップSA9で更新し、第2電極部112Bを含む共振回路の基準共振周波数をステップSA9で更新する。
【0038】
次に人体を検知中である場合(ステップSA6でYES)の処理について説明する。電極部に人体が近づくと電極部の静電容量は人体が近づいていない場合より増加するため、電極部に人体が近づいた場合、共振回路で測定される共振周波数は、人体が近づいていない場合より低くなる。これを利用し、判断部103は、車両3がプラットフォーム2に停止していないときの共振周波数(基準共振周波数)との比較により、人体が車両3とプラットフォーム2との間にあるか否か判断する。
【0039】
具体的には、判断部103は、ステップSA6でYESと判断した場合、記憶部102に記憶されている基準共振周波数と、ステップSA2で測定した共振周波数との差が予め定められた閾値以上であるか判断する(ステップSA10)。判断部103は、記憶部102に記憶されている基準共振周波数と、ステップSA2で測定した共振周波数との差が予め定められた閾値以上である場合(ステップSA10でYES)、ステップSA1で選択された電極部と車両3との間に人体があると判断し、判断結果を記憶部102に記録する(ステップSA11)。また、判断部103は、記憶部102に記憶されている基準共振周波数と、ステップSA2で測定した共振周波数との差が予め定められた閾値未満である場合(ステップSA10でNO)、ステップSA1で選択された電極部と車両3との間に人体が無いと判断し、判断結果を記憶部102に記録する(ステップSA12)。例えば、ステップSA1で測定部101Aが第1電極部111Aを選択した場合、ステップSA10でYESと判断すると、第1電極部111Aと車両3との間に人体有りと記録する。
【0040】
次に判断部103は、人体の有無の判定をリセットする指示が制御器30からあったか否かを判断する(ステップSA13)。判断部103は、人体の有無の判定をリセットする指示が制御器30からあった場合(ステップSA13でYES)、人体の有無の判定結果を人体無しにリセットして記憶部102に記録する(ステップSA14)。一方、判断部103は、人体の有無の判定をリセットする指示が制御器30からない場合(ステップSA13でNO)、処理の流れをステップSA1へ戻す。
【0041】
次に、車両3とプラットフォーム2との間への人体の挟まりや、車両3とプラットフォーム2との間からの人体の転落を判断する処理の流れについて図6、7を用いて説明する。まず判断部103は、車両3とプラットフォーム2との間に人体が挟まっておらず、且つ、車両3とプラットフォーム2との間から人体が転落していない状態においては、ステータスを通常状態としている。
【0042】
判断部103は、ステータスが通常状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りへ変化したか判断する(ステップSB1)。判断部103は、ステータスが通常状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りへ変化した場合(ステップSB1でYES)、ステータスについて、図7に示したように、第1電極群111の電極と車両3との間に人体が有り、第2電極群112の電極と車両3との間に人体が無い第1状態とし(ステップSB2)、処理の流れをステップSB5へ移す。
【0043】
判断部103は、ステップSB1の判断結果がNOである場合、ステータスが第1状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しに変化したか判断する(ステップSB3)。判断部103は、ステータスが第1状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しに変化した場合(ステップSB3でYES)、ステータスを通常状態にする(ステップSB4)。判断部103は、ステップSB3でNOと判断した場合、処理の流れをステップSB5へ移す。
【0044】
判断部103は、ステップSB5において、ステータスが第1状態のときに、第2電極群112の電極による人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しに変化したか判断する。判断部103は、ステータスが第1状態のときに、第2電極群112の電極による人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りへ変化した場合(ステップSB5でYES)、ステータスについて、図7に示したように、第1電極群111の電極と車両3との間に人体が有り、且つ第2電極群112の電極と車両3との間に人体が有る第2状態とする(ステップSB6)。例えば、第1状態であって第1電極群の第1電極部111Aで人体有りの状態のときに、第1電極部112Aによる人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りになった場合、第2状態とする。即ち、第1状態のときに同列にある電極部による人体の有無の検知結果が2つとも人体有りになると、第2状態とする。
【0045】
判断部103は、ステータスを第2状態とすると、人体が挟まれている状態であることを表す情報を、通信部104を介して制御器30へ送信し、処理の流れをステップSB9へ移す。制御部300は、センサユニット10から送られた情報を取得すると、取得した情報を送信したセンサユニット10に対応した発光ダイオードが点灯するように表示部32を制御する。例えば、制御部300は、センサユニット10−1から人体が挟まれている状態であることを表す情報を取得した場合、発光ダイオードD1を点灯させる。また、制御部300は、人体が挟まれている状態であることを表す情報を取得した場合、警報灯31を点滅させる。
【0046】
判断部103は、ステップSB5の判断結果がNOである場合、ステータスが第2状態のときに、第2電極群112の電極による人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しに変化したか判断する(ステップSB7)。判断部103は、ステータスが第2状態のときに、第2電極群112の電極による人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しに変化した場合(ステップSB7でYES)、ステータスを第1状態にする(ステップSB8)。例えば、第2状態で第1電極群の第1電極部111Aで人体有り、且つ第2電極群の第1電極部112Aで人体有りの状態のときに、第1電極部112Aによる人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しになった場合、第1状態とする。判断部103は、ステップSB7でNOと判断した場合、処理の流れをステップSB9へ移す。
【0047】
判断部103は、ステップSB9において、ステータスが第2状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しに変化したか判断する。判断部103は、ステータスが第2状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しに変化した場合(ステップSB9でYES)、ステータスについて、図7に示したように、第1電極群111の電極と車両3との間に人体が無く、且つ第2電極群112の電極と車両3との間に人体が有る第3状態とし(ステップSB10)、処理の流れをステップSB13へ移す。例えば、第2状態で第1電極部111Aと第1電極部112Aとで人体有りの状態のときに、第1電極部111Aによる人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しになった場合、第3状態とする。
【0048】
判断部103は、ステップSB9の判断結果がNOである場合、ステータスが第3状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りに変化したか判断する(ステップSB11)。判断部103は、ステータスが第3状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りに変化した場合(ステップSB11でYES)、ステータスを第2状態にする(ステップSB12)。例えば、第3状態であって第1電極群の第1電極部111Aで人体無しの状態のときに、第1電極部111Aによる人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りになった場合、第2状態とする。
【0049】
判断部103は、ステータスを第2状態とすると、人体が挟まれていることを表す情報を、通信部104を介して制御器30へ送信し、処理の流れをステップSB13へ移す。制御部300は、センサユニット10から送られた情報を取得すると、取得した情報を送信したセンサユニット10に対応した発光ダイオードが点灯するように表示部32を制御する。例えば、制御部300は、センサユニット10−1から人体が挟まれている状態であることを表す情報を取得した場合、発光ダイオードD1を点灯させる。また、制御部300は、人体が挟まれている状態であることを表す情報を取得した場合、警報灯31を点滅させる。判断部103は、ステップSB11でNOと判断した場合、処理の流れをステップSB13へ移す。
【0050】
判断部103は、ステップSB13において、ステータスが第3状態のときに、第2電極群112の電極による人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しに変化したか判断する。判断部103は、ステータスが第3状態のときに、第2電極群112の電極による人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しに変化した場合(ステップSB13でYES)、ステータスについて、図7に示したように、第1電極群111の電極と車両3との間から人体が転落した転落状態とする(ステップSB14)。例えば、第3状態であって第1電極群の第1電極部111Aで人体無し、第2電極群の第1電極部112Aで人体有りの状態のときに、第1電極部112Aによる人体の有無の判断結果が人体有りから人体無しになった場合、転落状態とする。
【0051】
判断部103は、ステータスを転落状態とすると、転落状態であることを表す情報を、通信部104を介して制御器30へ送信し、処理の流れをステップSB1へ移す。制御部300は、センサユニット10から送られた情報を取得すると、取得した情報を送信したセンサユニット10に対応した発光ダイオードが点灯するように表示部32を制御する。例えば、制御部300は、センサユニット10−1から転落状態であることを表す情報を取得した場合、発光ダイオードD1を点灯させる。また、制御部300は、転落状態であることを表す情報を取得した場合、警報灯31を点滅させる。
【0052】
判断部103は、ステップSB13の判断結果がNOである場合、ステータスが転落状態のときに、第2電極群112の電極による人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りに変化したか判断する(ステップSB15)。判断部103は、ステータスが転落状態のときに、第2電極群112の電極による人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りに変化した場合(ステップSB15でYES)、ステータスを第3状態にし(ステップSB16)、処理の流れをステップSB17へ移す。例えば、転落状態であって第2電極群の第1電極部112Aで人体無しの状態のときに、第1電極部112Aによる人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りになった場合、第3状態とする。判断部103は、ステップSB15でNOと判断した場合、処理の流れをステップSB17へ移す。
【0053】
判断部103は、ステップSB17において、ステータスが第3状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りに変化したか判断する。判断部103は、ステータスが第3状態のときに、第1電極群111の電極による人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りに変化した場合(ステップSB17でYES)、ステータスを第2状態とする(ステップSB18)。例えば、第3状態であって第1電極部112Aで人体有り、且つ第1電極部111Aで人体無しの状態のときに、第1電極部111Aによる人体の有無の判断結果が人体無しから人体有りになった場合、第2状態とする。
【0054】
判断部103は、ステータスを第2状態とすると、人体が挟まれている状態であることを表す情報を、通信部104を介して制御器30へ送信し、処理の流れをステップSB1へ移す。制御部300は、センサユニット10から送られた情報を取得すると、取得した情報を送信したセンサユニット10に対応した発光ダイオードが点灯するように表示部32を制御する。例えば、制御部300は、センサユニット10−1から人体が挟まれている状態であることを表す情報を取得した場合、発光ダイオードD1を点灯させる。また、制御部300は、第2状態であることを表す情報を取得した場合、警報灯31を点滅させる。また、判断部103は、ステップSB17でNOと判断した場合、処理の流れをステップSB1へ戻す。
【0055】
本実施形態によれば、人体を検知するためのセンサユニット10がプラットフォーム2において車両3に対向する面に設けられているため、軌道軌道の近くを歩く小動物を検知することがなく、動物による誤検知を防ぐことができる。
また、人体を検知するためのセンサユニット10がプラットフォーム2において車両3に対向する面に設けられているため、転落検知マットのように軌道の傍らに設置するものと比較すると、線路の保守作業の妨げとなることがない。また、転落検知マットの場合、接点が劣化して誤検知が発生する場合があるが、本実施形態では、静電容量式のセンサを使用して非接触で人体を検知するため、長期間に渡って誤検知を防ぐことができる。
【0056】
[変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0057】
上述した実施形態においては、第2制御部100Bも温度センサ1001を備え、電極群毎に基準温度を記録し、電極群毎に基準温度との差が閾値以上であるか判断し、電極群毎に基準温度を設定するようにしてもよい。
【0058】
上述した実施形態においては、第1電極群111で人体有り且つ第2電極群112で人体有りの状態が予め定められた時間以上続いた場合、ステータスを第2状態としてもよい。
【0059】
上述した実施形態においては、第2電極群112の下方にさらに電極群を備える構成としてもよい。図8は、変形例に係るセンサユニット10の構成を示した図である。本変形例においては、センサユニット10は、第3電極群113と第3制御部100Cを備える。第3電極群113は、第1電極部113A、第2電極部113B及び第3電極部113Cを備える。第1電極部113A、第2電極部113B、第3電極部113Cは、それぞれ人体を検知するための一対の電極を有する。また、第3制御部100Cは、測定部101Cを備える。第1電極部113Aは、第1電極部112Aより上下方向で下方に位置し、第2電極部113Bは、第2電極部112Bより上下方向で下方に位置し、第3電極部113Cは、第3電極部112Cより上下方向で下方に位置している。
【0060】
第3電極群113を備える構成においては、第1電極群111、第2電極群112及び第3電極群の全てで人体有りを検知している状態の場合、車両3とプラットフォーム2との間に人体が挟まっている状態と判断し、人体が挟まれていることを表す情報を送信する。また、判断部103は、第1電極群111、第2電極群112及び第3電極群の全てで人体有りを検知している状態から第1電極群111で人体無しを検知し、次に第2電極群112で人体無しを検知し、その次に第3電極群113で人体無しを検知した場合、転落状態と判断し、転落状態であることを表す情報を、制御器30へ送信する。制御器30は、センサユニット10から送られた情報に応じて警報灯31と表示部32を制御し、人体が車両3とプラットフォーム2との間に挟まっていることや人体が車両3とプラットフォーム2との隙間から転落したことを報知する。
【0061】
上述した実施形態においては、ステップSA2で測定した共振周波数が基準共振周波数より閾値以上大きくなった場合には、電極部が故障したと判断し、電極部の故障を制御器30で報知するようにしてもよい。
【0062】
上述した実施形態においては、静電容量式のセンサで人体の有無を検知しているが、人体の有無を検知する構成は、静電容量式のセンサを使用する構成に限定されるものではない。例えば、第1電極群111の各電極及び第2電極群112の各電極に替えて赤外線型の近接センサを配置し、各センサで人体の有無を検知してもよい。また、第1電極群111の各電極及び第2電極群112の各電極に替えて撮像素子を配置し、各撮像素子で撮影した映像から人体の有無を検知してもよい。
【0063】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ及び配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…検知装置、2…プラットフォーム、3…車両、10、10−1〜10−m…センサユニット、20、20−1〜20−m…中継器、30…制御器、31…警報灯、32…表示部、40…通信線、50…電力線、100A…第1制御部、100B…第2制御部、101A、101B…測定部、102…記憶部、103…判断部、104…通信部、111…第1電極群、112…第2電極群、111A、112A…第1電極部、111B、112B…第2電極部、111C、112C…第3電極部、300…制御部、1001…温度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8