特許第6857501号(P6857501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6857501荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法、および荷電粒子ビーム装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857501
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法、および荷電粒子ビーム装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/21 20060101AFI20210405BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   H01J37/21 A
   H01J37/22 502H
   H01J37/21 B
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-3175(P2017-3175)
(22)【出願日】2017年1月12日
(65)【公開番号】特開2018-113171(P2018-113171A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久原 健一
(72)【発明者】
【氏名】廣木 靖
(72)【発明者】
【氏名】前川 大智
(72)【発明者】
【氏名】小林 利治
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−172489(JP,A)
【文献】 実開昭58−113957(JP,U)
【文献】 特公昭54−024261(JP,B1)
【文献】 特開2000−123769(JP,A)
【文献】 特開2000−331637(JP,A)
【文献】 特開2004−006219(JP,A)
【文献】 特開昭57−189443(JP,A)
【文献】 米国特許第06570156(US,B1)
【文献】 特開2016−180804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/21
H01J 37/22
H01J 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを試料の観察領域に照射し観察領域の画像データを取得し表示手段に画像を表示する荷電粒子ビーム装置であって、入力手段から入力されるフォーカス調整量に基づいて焦点調整手段を制御して前記画像のフォーカス調整を行う荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法において、前記入力手段の操作に伴って順次得られる画像データに基づきフォーカス評価計算を行ってフォーカス評価値を順次取得し、取得した一連のフォーカス評価値に基づいて画像のフォーカス状態の時系列的な変化を表示するようにし、前記入力手段による操作の終了を判定すると共に、終了と判定された場合に画像のフォーカス状態の時系列的な変化の表示を終了するようにしたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法。
【請求項2】
前記画像のフォーカス状態の時系列的な変化の表示は、時間軸とフォーカス評価値の二軸表示またはフォーカス調整量軸とフォーカス評価値の二軸表示にて行われることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法。
【請求項3】
荷電粒子ビームを試料の観察領域に照射し観察領域の画像データを取得し表示手段に画像を表示すると共に、入力手段から入力されるフォーカス調整量に基づいて焦点調整手段を制御して前記画像のフォーカス調整を行う荷電粒子ビーム装置であって、
前記入力手段の操作に伴って得られる画像データに基づきフォーカス評価演算を行いフォーカス評価値を算出するフォーカス評価値算出部と、
前記入力手段の操作に伴い前記フォーカス評価値算出部で算出された一連のフォーカス評価値に基づいて画像のフォーカス状態の時系列的な変化を表示するフォーカス評価値表示部と
を備え、前記入力手段による操作の終了を判定する判定手段を設け、前記判定手段により終了と判定された場合に、前記フォーカス評価値表示部による画像のフォーカス状態の時系列的な変化の表示を終了するようにしたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
前記フォーカス評価値表示部は、時間軸とフォーカス評価値の二軸表示またはフォーカス調整量軸とフォーカス評価値の二軸表示により画像のフォーカス状態の時系列的な変化を表示することを特徴とする請求項記載の荷電粒子ビーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法、および荷電粒子ビーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は荷電粒子ビーム装置の一つである一般的な透過型電子顕微鏡の構成を示している。図10中の透過型電子顕微鏡鏡筒1内の電子線源2から放出された電子線EBは照射系レンズ群3により電流量が調整され、対物レンズ5を介して試料4上に照射される。対物レンズ5が形成する磁場の中に配置された試料4を透過した透過電子線は対物レンズ5、結像系レンズ群6により像を拡大結像され、蛍光板7上に投射される。蛍光板7に投影された像はCCDカメラ8により映像信号に変換され、制御装置9内の画像形成処理部10に送られる。この映像信号は画像形成処理部10によりノイズが除去されデジタル画像データに変換された後、試料情報を持つ透過電子像として表示装置11の画面上に表示される。なお、上述した照射系レンズ群3、対物レンズ5および結像系レンズ群6は制御装置9内の電顕本体制御部12によって制御される。
【0003】
上述した表示装置11の画面上には、図11に示すような観察像表示画面14や操作画面15が表示されており、観察像表示画面14には透過電子像(以下、「観察像」と称す。)が表示され、操作画面15には図示してはいないが制御すべき対象のボタン等が表示され、図10の制御装置9に接続された入力装置13により制御すべき対象を選択することができるようになっている。この入力装置13はボタンや摘み等を備えた例えば操作パネル、マウス、キーボード等である。
【0004】
このような構成の透過型電子顕微鏡において、鮮明な透過電子の像を蛍光板7上に投影させるためのフォーカス調整は、制御装置9内の電顕本体制御部12により対物レンズ5に供給される電流量(励磁電流量)を調整することで、試料4を透過した透過電子の焦点位置を調整して行う。
【0005】
手動でフォーカス調整する場合、入力装置13は、例えば図12に示す操作パネル13´上に設置されたフォーカスボタン16を押してからダイヤル式の対物レンズ電流量可変摘み17(以降、「摘み17」と称す。)を時計回りまたは反時計回りに回す(回動)ことで入力値を変え、制御装置9内の電顕本体制御部12を介して、直接、対物レンズ5に供給される電流量(励磁電流)を連続的に変えることができるので、これにより対物レンズ5の焦点位置が調整され、表示装置11の観察像表示画面14上に表示される観察像を最適なフォーカス(ジャストフォーカス)に合わせることができる。
【0006】
また、自動でフォーカス調整する場合、電顕本体制御部12内に組み込まれている自動フォーカス調整機能(図示せず)を起動させることで、自動的に対物レンズ5の焦点位置が調整され、観察像を最適なフォーカス(ジャストフォーカス)に合わせることができる。このようなフォーカス調整方法を用いて透過型電子顕微鏡の試料観察を行うのである。
【0007】
以下に、透過型電子顕微鏡の試料観察時のフォーカス調整の操作手順について図10から図13を用いて説明する。なお、図13は従来のフォーカス調整の手順を示すフローチャートである。
【0008】
図13中のステップS1において、まず、ユーザーは自動フォーカス調整を行うか否かを決める。自動フォーカス調整を行う場合(ステップS1:Yes)、ステップS2に進み、ユーザーは、例えば図12に示す操作パネル13´上の自動フォーカス調整ボタン18を押す。すると、制御装置9は電顕本体制御部12内の自動フォーカス調整機能(図示せず)を起動させ、自動フォーカス調整を実行させ、表示装置11の観察像表示画面14上に自動フォーカス調整後の観察像を表示させる。
【0009】
次にステップS3において、ユーザーは表示装置11の観察像表示画面14に表示された観察像(TEM像)を確認し、観察像が最適なフォーカス(ジャストフォーカス)になっているか否かを目視判断する。観察像が最適なフォーカス(ジャストフォーカス)の場合(ステップS3:Yes)、本フォーカス調整は終了するが、最適なフォーカスでない場合(ステップS3:No)、ステップS4に進む。
【0010】
ステップS4において、ユーザーは表示装置11の観察像表示画面14で観察像のぼけ具合を確認して、図12に示す入力手段の操作パネル13´上のフォーカスボタン16を押してから、摘み17を時計回りまたは反時計回りに回して、観察像のフォーカス量を調整する。
【0011】
次に、手動フォーカス調整後、ステップS3で観察像が最適なフォーカス(ジャストフォーカス)であると目視判断されると(ステップS3:Yes)、フォーカス調整は終了する。
【0012】
なお、上述した自動フォーカス調整の技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許5373463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
さて、透過型電子顕微鏡でフォーカス調整を行う場合、操作パネルの操作方法の理解度、最適なフォーカス調整方法など、ユーザーの経験が、結果を大きく左右し、ジャストフォーカスと言われる画像であってもユーザーによる目視判断が必要である。特に最適なフォーカスポイントがわかりづらい例えばTEM像のフォーカス調整においては、観察する人の経験や習熟度によることが大きい。
【0015】
また、上述したようにフォーカス調整の良否の判断は画像の目視判断なので、目視判断によるバラツキを抑えるために自動フォーカス調整機能があるが、この自動フォーカス調整機能はどのような画像に対しても有効に働くような万能なアルゴニズムを備えたものではなく、演算時間も長いので、自動フォーカス調整を何度も働かせるとユーザービリティーを下げる一因になっていた。例えば電子線によるダメージを受けやすい試料の場合、何度も自動フォーカス調整を実行させると、自動フォーカス調整にかかる時間が長くなり、その分、試料ダメージが大きくなってしまう問題もあった。
【0016】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、入力手段の操作に伴って順次得られる画像データからフォーカス評価値を演算し、得られた画像のフォーカス評価値の変化をリアルタイムに表示させる荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法及び荷電粒子ビーム装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明に基づく荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法は、荷電粒子ビームを試料の観察領域に照射し観察領域の画像データを取得し表示手段に画像を表示する荷電粒子ビーム装置であって、入力手段から入力されるフォーカス調整量に基づいて焦点調整手段を制御して前記画像のフォーカス調整を行う荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法において、前記入力手段の操作に伴って順次得られる画像データに基づきフォーカス評価計算を行ってフォーカス評価値を順次取得し、取得した一連のフォーカス評価値に基づいて画像のフォーカス状態の時系列的な変化を表示するようにし、前記入力手段による操作の終了を判定すると共に、終了と判定された場合に画像のフォーカス状態の時系列的な変化の表示を終了するようにしたことを特徴としている。
【0018】
また、本発明に基づく荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子ビームを試料の観察領域に照射し観察領域の画像データを取得し表示手段に画像を表示すると共に、入力手段から入力されるフォーカス調整量に基づいて焦点調整手段を制御して前記画像のフォーカス調整を行う荷電粒子ビーム装置であって、前記入力手段の操作に伴って得られる画像データに基づきフォーカス評価演算を行いフォーカス評価値を算出するフォーカス評価値算出部と、前記入力手段の操作に伴い前記フォーカス評価値算出部で算出された一連のフォーカス評価値を画像のフォーカス状態の時系列的な変化を表示するフォーカス評価値表示部とを備え、前記入力手段による操作の終了を判定する判定手段を設け、前記判定手段により終了と判定された場合に、前記フォーカス評価値表示部による画像のフォーカス状態の時系列的な変化の表示を終了するようにしたことを特徴としている。


【発明の効果】
【0019】
本発明の荷電粒子ビーム装置のフォーカス調整方法によれば、フォーカス調整の操作を自動的に検知することにより、取得した観察像からフォーカス状態を表すフォーカス評価値の数値変化を表示させることができるので、最適なフォーカスポイントが解りづらい例えばTEM像の場合においても、ユーザーはフォーカス評価値の変化を見て、現在のフォーカス調整が適切に行われていることを視覚的に確認することができる。
【0020】
また、本発明の一形態によれば、ユーザーの作業の邪魔とならず、必要としたときに自動的に画像のフォーカス評価値の変化がリアルタイムに表示されるので、ユーザーによる手動によるフォーカス調整作業を向上させることができる。
【0021】
また、本発明の一形態によれば、自動フォーカス機能が有効に働かなく、且つ電子線の影響を受け易い試料においても、短時間にフォーカス調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る透過型電子顕微鏡の構成の一例を示す図である。
図2】本発明の形態に係る手動フォーカス調整補助制御部の構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態の操作手順を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の実施例を説明するための表示装置の画面上に表示される画面である。
図5】本発明の手動フォーカス調整用のグラフIを示す図である。
図6】本発明の手動フォーカス調整用のグラフIを説明する図である。
図7】本発明の手動フォーカス調整用のグラフIIを示す図である。
図8】本発明の手動フォーカス調整用のグラフIIを説明する図である。
図9】本発明の手動フォーカス調整用のグラフIIを説明する図である。
図10】従来の実施形態に係る透過型電子顕微鏡の構成の一例を示す図である。
図11】従来の表示装置の画面の一例を説明する図である。
図12】従来の入力装置に係る操作パネルの一例を説明する図である。
図13】従来のフォーカス調整の操作手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。
【0024】
図1に本発明の実施形態に係る透過型電子顕微鏡の構成の一例を示す。なお、図1中、図10で使用した記号と同一記号を付したものは同一の構成要素を示す。
【0025】
図1において、19は制御装置9内に備えられ、手動によるフォーカス調整を補助する機能を制御する手動フォーカス調整補助制御部で、図2に示すように入力装置13のフォーカス調整の操作を監視する入力操作監視部20と、取得した観察像からフォーカス状態を表す数値(フォーカス評価値)を算出するフォーカス評価値算出部21と、観察像のフォーカス評価値の変化を表示させるフォーカス評価値表示部22から構成されている。
【0026】
この入力操作監視部20は、操作検知部20aと操作停止検知部20bから構成されている。操作検知部20aには、予め設定された閾値である設定操作時間t1が設定されており、ユーザーによりフォーカス調整の操作が行われると、入力装置13で操作している時間を計測し、計測された時間が設定操作時間t1を超えると、検知信号を出力する。操作停止検知部20bには、予め設定された閾値である設定操作停止時間t2が設定されており、ユーザーがフォーカス調整操作を止めると、入力装置13の操作が停止している時間を計測し、この操作停止時間が設定操作停止時間t2を超えると、停止信号を出力する。
【0027】
上述したフォーカス評価値算出部21は、演算用画像取得部21aと演算処理部21b から構成されている。演算用画像取得部21aは、蛍光板7に投影された顕微鏡像をCCDカメラ8で撮影して得た映像信号を画像データに形成する画像形成処理部10から観察中の観察像のデータを取得するものである。演算処理部21bは、演算用画像取得部21aから送られて来た観察像の画像データを演算処理してフォーカス評価値を求め、その結果を数値化して出力する。
【0028】
上述したフォーカス評価値表示部22は、フォーカス評価値算出部21から出力された数値をグラフ化し、表示装置11へ出力する。
【0029】
このように構成された透過型電子顕微鏡において、本発明の手動フォーカス調整補助機能を適用させたフォーカス調整(焦点合わせ)の操作手順を図1から図4および図12を用いて説明する。なお、図3は本発明の実施形態のフォーカス調整の操作手順を示す一例のフローチャートである。
【0030】
先ず、制御装置9が起動すると、同時に電顕本体制御部12、画像形成処理部10および手動フォーカス調整補助制御部19も起動する。この手動フォーカス調整補助制御部19が立ち上がると、手動フォーカス調整補助制御部19内の入力操作監視部20の操作検知部20aおよび操作停止検知部20bにより操作パネル13´上の摘み17の操作(ユーザーによる試料像のフォーカス状態を調整(焦点合わせ)する操作)の監視が始まる。
【0031】
図3中のステップS20において、ユーザーは自動フォーカス調整を行うか否かを決める。自動フォーカス調整を実行する場合(ステップS20:Yes)、ステップ30に進み、ユーザーが図12の操作パネル13´上の自動フォーカス調整ボタン18を押す。すると、制御装置9は電顕本体制御部12内の自動フォーカス調整機能(図示せず)を起動させ、自動フォーカス調整を実行させ、表示装置11の画面上に自動フォーカス調整後の観察像を表示させる。
【0032】
次にステップS40において、ユーザーは表示装置11の観察像表示画面14上に表示された観察像を見て、この観察像が最適なフォーカスになっているか否かを目視判断する。観察像が最適なフォーカス(ジャストフォーカス)の場合(ステップS40:Yes)、フォーカス調整は終了するが、観察像が最適なフォーカスでない場合(ステップS40:No)、再びステップS20に戻り、自動フォーカス調整を行わず(ステップS20:No)にステップS50とステップS60に進む。
【0033】
先ず、ステップS50において、ユーザーは表示装置11の観察像表示画面14上に表示された観察像のフォーカスを合せる調整を実行するために操作パネル13´上のフォーカスボタン16を押し、摘み17を回す。すると、ステップS60において、入力操作監視部20の操作検知部20aは、操作パネル13´上の摘み17の操作(フォーカス調整時、ユーザーによる摘み17の回動状況)を常に監視しているので、操作パネル13´上の摘み17を操作している時間を計測し、この計測された操作時間と予め設定された閾値である設定操作時間t1とを比較し、この操作時間が設定操作時間t1内であるときには、操作を継続し、反対に計測された操作時間が設定操作時間t1を超えたときには、直ちに検出信号をフォーカス評価値算出部21とフォーカス評価値表示部22へ出力すると共に計測時間をゼロにリセットする。
【0034】
次にステップS70において、上述した入力操作監視部20から出力された検出信号がフォーカス評価値算出部21に入力すると、フォーカス評価値算出部21内の演算用画像取得部21aは、画像形成処理部10から、操作パネル13´上の摘み17の操作に伴って入力されるフォーカス調整量に基づいて焦点調整された観察中の観察像の画像データを取得し、直ちに演算処理部21bに送る。これ以降、演算用画像取得部21aは、停止信号(以降で説明する)を受けるまで、観察中の最新の観察像の画像データを画像形成処理部10から一定の時間間隔(△T)で順次取得し、直ちに演算処理部21bに送る処理を繰り返す。
【0035】
次にステップS80において、フォーカス評価値算出部21の演算処理部21bは、演算用画像取得部21aから順次得られた観察像の画像データを直ちに演算処理し、演算処理した結果の数値をフォーカス評価値としてフォーカス評価値表示部22に出力する。フォーカス評価値表示部22は、フォーカス評価値算出部21から順次に取得した一連のフォーカス評価値を表示装置11の画面上に手動フォーカス調整補助画面23上にリアルタイムにプロットし、画像のフォーカス状態の時系列的な変化をグラフ表示させる。
【0036】
なお、上述したフォーカス評価値算出部21の演算処理部21bでは、例えば演算用画像取得部21aから送られて来たデジタル化された一観察像を、一観察像の各画素信号は近接した一方向の画素信号の強度値を乗算した後、全ての乗算値を全て加算して一つの数値として算出し、算出された数値をフォーカス評価値として出力する処理が行われる。
上述した手動フォーカス調整補助画面23上には、取得した観察像から求められたフォーカス状態を表すフォーカス評価値がリアルタイムにプロットされて行くので、ユーザーは手動フォーカス調整補助画面23上のグラフを見ながら、操作パネル13´の摘み17を回して入力値を変えることにより対物レンズ5に供給される電流量を調整し、観察像表示画面14上の観察像を最適なフォーカス(ジャストフォーカス)に合わせるのである。
【0037】
ところで、ステップS90の入力操作監視部20内の操作停止検知部20bでは、操作パネル13´上の摘み17の操作が停止している操作停止時間(ユーザーが操作しない時間(摘み17が回動しない時間))を計測しているので、計測された操作停止時間と予め設定された閾値である閾値の設定操作停止時間t2とを比較し、操作停止時間が設定操作停止時間t2内であるとき(ステップS90:No)には、再びステップS70に戻り、ステップS70を実行した後、ステップS80を実行する。この工程で算出されたフォーカス評価値は手動フォーカス調整補助画面23上にプロットされる。
【0038】
一方、この操作停止時間が設定操作停止時間t2を超えると(ステップS90:Yes)、入力操作監視部20の操作停止検知部20bはフォーカス評価値算出部21とフォーカス評価値表示部22へ停止信号を出力し、ステップS100に進み、停止信号を受けたフォーカス評価値算出部21の演算用画像取得部21aは画像形成処理部10から観察像の画像データの取得を止め、停止信号を受けたフォーカス評価値表示部22は、図4に示す表示装置11の画面上から手動フォーカス調整補助画面23の表示を終わせる。つまり、ユーザーが操作パネル13´によるフォーカス調整(焦点合わせ)の操作から一定の時間以上離れると、入力操作監視部20は操作パネル13´上の摘み17による操作が終了したと判定され、この判定に基づいてフォーカス評価値表示部22は表示装置11の画面上から手動フォーカス調整補助画面23を消すので、このことにより手動フォーカス調整補助画面23の表示が他の調整作業の邪魔になることはない。
続いて、ステップS50において、フォーカス調整の操作が完了すると、ステップS101に進み、ユーザーは表示装置11の観察像表示画面14を見ながら観察像が最適なフォーカスか否かを目視判断する。観察像が最適なフォーカス状態でない場合(ステップS101:No)には、再びステップS50とステップS60に戻り、ユーザーは手動フォーカス調整補助画面23上のグラフを見ながら、操作パネル13´の摘み17を回して入力値を変えることにより対物レンズ5に供給される電流量を調整し、観察像表示画面14上の観察像を最適なフォーカス(ジャストフォーカス)に合わせ、観察像が最適なフォーカス(ジャストフォーカス)になったら(ステップS101:Yes)、フォーカス調整は終了する。
【0039】
次に上述した手動フォーカス調整補助画面23上に表示される手動フォーカス調整用のグラフについて説明する。
【0040】
先ず、画像のフォーカス状態を時系列的な変化として表示するグラフについて説明する。このグラフを生成させるには、制御装置9内の手動フォーカス調整補助制御部19において、フォーカス評価値算出部21内の演算用画像取得部21bは、入力操作監視部20内の操作検知部20aから検出信号を受けると画像形成処理部10からCCDカメラ8で撮影された観察中の最新の観察像の画像データを一定の時間間隔(△T)で順次取得し、直ちに演算処理部21b に送り、演算処理部21b は演算用画像取得部21a から送られて来た観察像の画像データを演算処理し演算処理の結果であるフォーカス評価値を算出し、フォーカス評価値表示部22に送り、フォーカス評価値表示部22は順次取得したフォーカス評価値を表示装置11の手動フォーカス調整補助画面23上に一定の時間間隔(△T)で時系列的にプロットし、画像のフォーカス状態の変化をグラフ化する処理を行う。
【0041】
このような処理を実行することにより表示装置11の手動フォーカス調整補助画面23上には、例えば図5のような時間軸とフォーカス評価値とからなる二軸表示のグラフIが表示される。図中のグラフIIでは、最新のフォーカス評価値は常に左端部にプロットされ、一定の時間間隔(△T)で最新のフォーカス評価値がプロットされると、既にプロットされたフォーカス評価値は右矢印の方向へ移動するようなスクロール表示になっている。
【0042】
図5中のR1の領域では操作パネル13´上の摘み17を一方向に回し、続いて、R2の領域では操作パネル13´上の摘み17を反対の方向に戻したときのフォーカス評価値の変化を示している。図中のようにフォーカス評価値が最大の値を示せば、この最大値で最適なフォーカス(ジャストフォーカス)になる。ユーザーは手動フォーカス調整補助画面23上のグラフIを見ながら、最新のフォーカス評価値が最大値となるように、操作パネル13´上の摘み17を回して調整する。例えば最適なフォーカス(ジャストフォーカス)に合わせたときの手動フォーカス調整補助画面23上のグラフを図6に示す。
【0043】
また、別の表示方法でフォーカス評価値を表示させる例を説明する。このグラフを生成させるには、制御装置9内の手動フォーカス調整補助制御部19において、フォーカス評価値算出部21内の演算用画像取得部21aは、入力操作監視部20内の操作検知部20aから検出信号を受けると画像形成処理部10からCCDカメラ8で撮影された観察中の最新の観察像の画像データを一定の時間間隔(△T)で順次に取得し、同時に電顕本体制御部12から入力装置13からの入力するフォーカス調整量も順次に取得し、取得した観察像の画像データとフォーカス調整量を紐付けした後、直ちに演算処理部21b に送り、演算処理部21b は送られて来たフォーカス調整量が紐付けされた観察像の画像データを演算処理してフォーカス評価値を算出しフォーカス評価値表示部22に送り、フォーカス評価値表示部22は順次に取得したフォーカス評価値を表示装置11の手動フォーカス調整補助画面23上にフォーカス調整量毎にプロットし、画像のフォーカス状態の変化をグラフ化する処理を行う。
【0044】
このような処理を実行することで、表示装置11の手動フォーカス調整補助画面23上には、例えば図7のようなフォーカス調整量軸とフォーカス評価値とからなる二軸表示のグラフIIが表示される。図中のグラフIIは、最新のフォーカス評価値は視覚的に強調された例えば十字状の図形でプロットされ、他のフォーカス評価値は例えば黒丸の点でプロットされるようになっている。なお、図7中のフォーカス評価値にはバラツキが見られるが、これは対物レンズ5の磁気ヒステリシスの影響によるものである。
【0045】
このグラフIIの場合、観察像を最適なフォーカス(ジャストフォーカス)に設定するために例えば以下のような機能を備える。
【0046】
先ず、一例として、手動フォーカス調整補助画面23上に操作パネル13´上の摘み17の回動に連動したフォーカス調整量のスクロールバー24を設ける場合がある。この場合、フォーカス評価値表示部22には操作パネル13´上の摘み17の回動量に応じてスクロールバー24を移動させる機能が備えられる。ユーザーは摘み17を回して、図8に示す手動フォーカス調整補助画面23を見ながらスクロールバー24から縦に伸びた破線をフォーカス評価値の最大値に合わせると、観察像表示画面14上の観察像は最適なフォーカス(ジャストフォーカス)となる。
【0047】
また、他の一例として、手動フォーカス調整補助画面23上にフォーカス評価値の最大値を設定する設定ボタン25を設ける場合がある。この場合、手動フォーカス調整補助制御部19には手動フォーカス調整補助画面23上に設定ボタン25を表示させ、このボタン25をクリックすることにより、グラフの最大値に対応したフォーカス調整量を電顕本体制御部12を介して対物レンズ5に設定する機能が備えられる。図9に示すように最新のフォーカス評価値が最大値から外れた位置にある場合においても、ユーザーが設定ボタン25をクリックすると、手動フォーカス調整補助制御部19でフォーカス評価値の最大値をとるフォーカス調整量が算出され、このフォーカス調整量が電顕本体制御部12を介して対物レンズ5に設定されるので、表示装置11の観察像表示画面14上に表示された観察像は自動的に最適なフォーカス(ジャストフォーカス)となる。
【0048】
以上のように本発明によれば、入力手段の操作に伴って順次得られる画像データからフォーカス評価値を演算し、得られた画像のフォーカス評価値の変化をリアルタイムに表示させ、画像のフォーカス状態の変化を目視確認できるので、操作パネルの操作方法の理解度、最適なフォーカス調整方法など、ユーザーの経験や習熟度が浅い初心者であっても、鮮明な観察像を得ることができる。
【0049】
なお、前記実施例のフォーカス調整量軸とフォーカス評価値とからなる2軸表示するグラフIIにおいて、最新のフォーカス評価値とそのときのフォーカス調整量を常に左端部にプロット表示させ、既にプロット表示されたフォーカス評価値とフォーカス調整量を右側方向へ移動するようなスクロール表示でもよい。
【0050】
また、前記実施例では、入力手段として操作パネル13´上に摘み17(対物レンズ電流量可変摘み)を設置した例を挙げて説明したが、入力手段は表示装置11の操作画面15上に、対物レンズ5の電流量を可変させるために入力値を入力する機能を備えた入力部でもよい。この場合、手動フォーカス調整補助制御部19内の入力操作監視部20は表示装置11の操作画面15上に対物レンズ5の電流量を可変する機能を備えた入力部の操作、例えば数値入力回数やクリック回数等を監視し、予め設定された閾値との比較判断により、表示装置11の画面上に手動フォーカス調整補助画面23を表示させる。
【0051】
また、制御装置9内に備えられている入力装置13との接続部(図示せず)において、フォーカス調整する操作に関わる信号のやり取りを入力操作監視部20が常に監視し、これから入力装置13の摘み17の回動時間と停止時間を計測し、それぞれの計測された計測時間と予め設定された閾値との比較判断により、表示装置11の画面上に手動フォーカス調整補助画面23を表示させるようにしてもよい。
【0052】
また、前記実施例のフォーカス評価値算出部21の演算処理部21b内の演算処理は、本実施例の示す演算処理に限定されるものではなく、入力手段の操作に伴って取得された画像のフォーカス状態を表す数値を得ることができれば如何なる方法の演算処理でも良い。例えば画像の画素信号強度を微分処理し微分値の分散から画像のフォーカス状態を評価する数値を得る演算処理などがある。
【0053】
また、前記実施例では、透過型電子顕微鏡の一例に挙げて説明したが、走査型透過顕微鏡、走査型電子顕微鏡、集束イオンビーム装置等の荷電粒子ビーム装置の制御装置内に本発明の手動フォーカス調整補助制御部19を備えることも可能である。この場合、荷電粒子ビームの照射により試料から発生した電子等(二次電子、反射電子、X線)を検出器で検出した検出信号に基づいて画像形成処理部10で画像形成した観察像の画像データを用いて本発明の手動フォーカス調整補助制御部19を実行させる。
【符号の説明】
【0054】
1…透過型電子顕微鏡鏡筒、2…電子線源、3…照射系レンズ群、4…試料、5…対物レンズ、6…結像系レンズ群、7…蛍光板、8…CCDカメラ、9…制御装置、10…画像形成処理部、11…表示装置、12…電顕本体制御部、13…入力装置、13´…操作パネル、14…観察像表示画面、15…操作画面、16…フォーカスボタン、17…対物レンズ電流量可変摘み、18…自動フォーカス調整ボタン、19…手動フォーカス調整補助制御部、20…入力操作監視部、20a…操作検知部、20b…操作停止検知部、21…フォーカス評価値算出部、21a…演算用画像取得部、21b…演算処理部、22…フォーカス評価値表示部、23…手動フォーカス調整補助画面、24…スクロールバー、25…設定ボタン
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