特許第6857511号(P6857511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857511
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】走査電子顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/244 20060101AFI20210405BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   H01J37/244
   H01J37/28 B
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-32554(P2017-32554)
(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-137180(P2018-137180A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】倉本 建
(72)【発明者】
【氏名】大堀 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 芳典
(72)【発明者】
【氏名】青島 慎
【審査官】 大門 清
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0199740(US,A1)
【文献】 特開2014−238962(JP,A)
【文献】 米国特許第06545277(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0200463(US,A1)
【文献】 特開2013−058314(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0361167(US,A1)
【文献】 特開2014−225354(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0014527(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00 −37/02
H01J 37/05
H01J 37/09 −37/18
H01J 37/21
H01J 37/24 −37/244
H01J 37/252−37/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記導電部材の厚さは、前記導電層の厚さよりも大きい、走査電子顕微鏡。
【請求項2】
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記導電部材と前記導電層とは、離間している、走査電子顕微鏡。
【請求項3】
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記導電部材の前記ライナーチューブとの間の距離が最も小さい箇所と、前記導電部材の外部端子と、の間の抵抗は、前記導電層の前記ライナーチューブとの間の距離が最も小さい箇所と、前記導電層の外部端子と、の間の抵抗よりも小さい、走査電子顕微鏡。
【請求項4】
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記シンチレータは、前記感受面とは反対側の光射出面から光を射出し、
前記導電部材は、前記光射出面に設けられ、
前記光射出面に設けられている前記導電部材は、前記ライトガイドの光入射面から見て、前記ライナーチューブの後方に位置している、走査電子顕微鏡。
【請求項5】
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記シンチレータと前記ライトガイドとは一体に設けられ、
前記導電部材は、前記シンチレータの感受面とは反対側の面の全面を覆っている、走査電子顕微鏡。
【請求項6】
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記導電部材は、前記ライナーチューブを囲む円筒面を有している、走査電子顕微鏡。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記導電部材は、前記貫通孔の内面に設けられている、走査電子顕微鏡。
【請求項8】
請求項1、3ないし7のいずれか1項において、
前記導電部材と前記導電層とは、接している、走査電子顕微鏡。
【請求項9】
請求項において、
前記光射出面から射出された光を前記ライトガイドに向けて反射するミラーを含む、走査電子顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査電子顕微鏡に用いられる電子検出器として、シンチレータと、光電子増倍管と、シンチレータと光電子増倍管とを接続するライトガイドと、を備えた検出器が知られている。電子検出器は、試料に電子線を照射することにより発生した電子(二次電子または反射電子)を検出する。
【0003】
例えば特許文献1には、シンチレータに貫通孔を設けて、その貫通孔を一次ビーム(試料を照射するための電子線)が通過するように構成された電子検出器が開示されている。シンチレータに設けられた貫通孔にはライナーチューブが挿入されており、一次ビームはライナーチューブの中を通過する。
【0004】
電子検出器では、シンチレータに入射する際に電子が高いエネルギーを持っていればシンチレータにおいて検出に十分な発光が起こる。しかしながら、シンチレータに入射する際に電子が持つエネルギーが低い場合には、十分な発光が起こらないため、検出が困難になる。例えば、特許文献2には、電子がシンチレータに入射する際のエネルギーが5keV未満の場合には、十分な発光が起こらないため、検出が困難になると記載されている。
【0005】
このような問題に対して、特許文献2では、シンチレータの表面を導電層(導電体)で均一に被覆し、この導電層に5keV以上の正電圧を印加している。これにより、電子のエネルギーが5keV未満であっても、電子がシンチレータの感受面に到達するまでに加速されて十分な発光が起こるため、検出が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6545277号明細書
【特許文献2】特開2013−58314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12は、シンチレータの表面に導電層を形成しない状態におけるシンチレータの表面の電位分布を示すグラフである。なお、図12では、横軸に光軸からの径方向の距離を示し、縦軸にシンチレータの表面における電圧を示している。図12では、シンチレータの円周部に電圧を印加している。
【0008】
図12に示す結果からわかるように、上述した特許文献1に示すようなシンチレータに設けられた貫通孔にライナーチューブが挿入された検出器において、シンチレータの表面に導電層を形成しない場合、ライナーチューブ近傍(r<4程度)では電圧が低いため、電子の検出効率が著しく低下する。
【0009】
しかしながら、シンチレータに設けられた貫通孔にライナーチューブが挿入された検出器において、シンチレータの表面に導電層を形成した場合、導電層とライナーチューブとの間に電位差が生じるため、導電層とライナーチューブとの間の放電が問題となる。
【0010】
シンチレータの表面に形成される導電層は、電子を通過(透過)させなければならない
ため、非常に薄く形成される。そのため、導電層は抵抗が大きい。したがって、シンチレータとライナーチューブとの間に放電が生じた場合、シンチレータの表面の導電層が放電時の抵抗加熱により剥離してしまうおそれがある。
【0011】
シンチレータとライナーチューブとの間の距離を大きくすれば、放電する可能性を十分に小さくすることができるが、これはシンチレータの感受面の面積を小さくすることを意味する。
【0012】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、シンチレータに形成される導電層が放電により剥離することを防ぐことができる走査電子顕微鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明に係る走査電子顕微鏡は、
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記導電部材の厚さは、前記導電層の厚さよりも大きい
【0014】
このような走査電子顕微鏡では、ライナーチューブと導電部材との間の最短距離が、ライナーチューブと導電層との間の最短距離よりも小さいため、ライナーチューブと導電層との間よりも、ライナーチューブと導電部材との間のほうが、放電が起こりやすい。したがって、このような走査電子顕微鏡では、放電による導電層の剥離を防ぐことができる。また、このような走査電子顕微鏡では、放電による電流が導電部材を通る経路の抵抗を、放電による電流が導電層を通る経路の抵抗よりも小さくすることができる。したがって、このような走査電子顕微鏡では、放電による導電層の剥離を防ぐことができる。
【0015】
(2)本発明に係る走査電子顕微鏡は、
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記導電部材と前記導電層とは、離間している。
【0016】
このような走査電子顕微鏡では、ライナーチューブと導電部材との間の最短距離が、ライナーチューブと導電層との間の最短距離よりも小さいため、ライナーチューブと導電層との間よりも、ライナーチューブと導電部材との間のほうが、放電が起こりやすい。したがって、このような走査電子顕微鏡では、放電による導電層の剥離を防ぐことができる。また、このような走査電子顕微鏡では、例えば導電部材と導電層とが接している場合と比べて、放電による電流が導電層を流れにくくすることができ、放電による導電層の剥離を防ぐことができる。
【0017】
(3)本発明に係る走査電子顕微鏡は、
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記導電部材の前記ライナーチューブとの間の距離が最も小さい箇所と、前記導電部材の外部端子と、の間の抵抗は、前記導電層の前記ライナーチューブとの間の距離が最も小さい箇所と、前記導電層の外部端子と、の間の抵抗よりも小さい
【0018】
このような走査電子顕微鏡では、ライナーチューブと導電部材との間の最短距離が、ライナーチューブと導電層との間の最短距離よりも小さいため、ライナーチューブと導電層
との間よりも、ライナーチューブと導電部材との間のほうが、放電が起こりやすい。したがって、このような走査電子顕微鏡では、放電による導電層の剥離を防ぐことができる。また、このような走査電子顕微鏡では、放電による電流は導電層に比べて導電部材を流れやすいため、放電による導電層の剥離を低減することができる。
【0019】
(4)本発明に係る走査電子顕微鏡は、
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記シンチレータは、前記感受面とは反対側の光射出面から光を射出し、
前記導電部材は、前記光射出面に設けられ、
前記光射出面に設けられている前記導電部材は、前記ライトガイドの光入射面から見て、前記ライナーチューブの後方に位置している
【0020】
このような走査電子顕微鏡では、ライナーチューブと導電部材との間の最短距離が、ライナーチューブと導電層との間の最短距離よりも小さいため、ライナーチューブと導電層との間よりも、ライナーチューブと導電部材との間のほうが、放電が起こりやすい。したがって、このような走査電子顕微鏡では、放電による導電層の剥離を防ぐことができる。また、このような走査電子顕微鏡では、導電部材がシンチレータの光射出面から射出されてライトガイドに入射する光を妨げない。
【0021】
(5)本発明に係る走査電子顕微鏡は、
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記シンチレータと前記ライトガイドとは一体に設けられ、
前記導電部材は、前記シンチレータの感受面とは反対側の面の全面を覆っている
【0022】
このような走査電子顕微鏡では、ライナーチューブと導電部材との間の最短距離が、ライナーチューブと導電層との間の最短距離よりも小さいため、ライナーチューブと導電層との間よりも、ライナーチューブと導電部材との間のほうが、放電が起こりやすい。したがって、このような走査電子顕微鏡では、放電による導電層の剥離を防ぐことができる。また、このような走査電子顕微鏡では、シンチレータから射出された光をライトガイドに導くための光学素子を用いなくてもよいため、装置を簡素化することができる。また、このような走査電子顕微鏡では、放電による電流が導電部材を通る経路の抵抗をより小さくすることができる。
【0023】
(6)本発明に係る走査電子顕微鏡は、
電子線を通過させるライナーチューブと、
前記ライナーチューブが挿入されている貫通孔を有するシンチレータと、
前記シンチレータで発生した光を導くライトガイドと、
前記シンチレータの感受面に設けられた導電層と、
前記シンチレータに設けられた導電部材と、
を含み、
前記ライナーチューブと前記導電部材との間の最短距離は、前記ライナーチューブと前記導電層との間の最短距離よりも小さく、
前記導電層には、電子を加速させるための電圧が印加され、
前記導電層と前記導電部材とは、同電位であり、
前記導電部材は、前記ライナーチューブを囲む円筒面を有している
【0024】
このような走査電子顕微鏡では、ライナーチューブと導電部材との間の最短距離が、ライナーチューブと導電層との間の最短距離よりも小さいため、ライナーチューブと導電層との間よりも、ライナーチューブと導電部材との間のほうが、放電が起こりやすい。したがって、このような走査電子顕微鏡では、放電による導電層の剥離を防ぐことができる。また、このような走査電子顕微鏡では、放電が起こる可能性を低減できる。
【0025】
(7)本発明に係る走査電子顕微鏡において、
前記導電部材は、前記貫通孔の内面に設けられていてもよい。
【0026】
このような走査電子顕微鏡では、ライナーチューブと導電部材との間の最短距離をライナーチューブと導電層との間の最短距離よりも小さくすることができる。
【0027】
(8)本発明に係る走査電子顕微鏡において、
前記導電部材と前記導電層とは、接していてもよい。
【0028】
このような走査電子顕微鏡では、導電層を形成する際に、導電部材と導電層とを離間するためのマスクを形成しなくてもよいため、導電層を容易に形成することができる。
【0029】
(9)本発明に係る走査電子顕微鏡において、
前記光射出面から射出された光を前記ライトガイドに向けて反射するミラーを含んでいてもよい。
【0030】
このような走査電子顕微鏡では、シンチレータの光射出面から射出された光を効率よくライトガイドに導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態に係る走査電子顕微鏡を模式的に示す図。
図2】第1実施形態に係る走査電子顕微鏡の電子検出器を模式的に示す断面図。
図3】シンチレータの第1面を模式的に示す平面図。
図4】シンチレータの第2面を模式的に示す平面図。
図5】電子検出器において放電による電流が流れる経路を説明するための図。
図6】第1実施形態の変形例に係る走査電子顕微鏡の電子検出器を模式的に示す断面図。
図7】第1実施形態の変形例に係る走査電子顕微鏡のシンチレータの第1面を模式的に示す平面図。
図8】第1実施形態の変形例に係る走査電子顕微鏡の電子検出器において放電による電流が流れる経路を説明するための図。
図9】第2実施形態に係る走査電子顕微鏡の電子検出器を模式的に示す断面図。
図10】第2実施形態に係る走査電子顕微鏡の電子検出器の第2面を模式的に示す平面図。
図11】第3実施形態に係る走査電子顕微鏡の電子検出器を模式的に示す断面図。
図12】シンチレータの表面に導電層を形成しない状態におけるシンチレータの表面の電位分布を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0038】
1. 第1実施形態
1.1. 走査電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る走査電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る走査電子顕微鏡100を模式的に示す図である。
【0039】
走査電子顕微鏡100では、電子プローブで試料Sの表面を走査したときに電子プローブの照射点から放出される電子(二次電子や反射電子)を検出して画像化することができる。この結果、走査電子顕微鏡100では、走査電子顕微鏡像(二次電子像や反射電子像)を取得することができる。
【0040】
走査電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子源2と、コンデンサーレンズ4と、偏向器5と、対物レンズ6と、ライナーチューブ8と、電子検出器10と、を含む。
【0041】
電子源2は、電子線を放出する。電子源2は、例えば、公知の電子銃である。電子線は、光軸Lに沿って進行する。
【0042】
コンデンサーレンズ4は、電子源2から放出された電子線を集束させる。図示の例では、コンデンサーレンズ4は、光軸Lに沿って2段に配置されている。
【0043】
偏向器5は、コンデンサーレンズ4および対物レンズ6で集束された電子線(電子プローブ)を偏向させる。偏向器5は、電子プローブで試料S上を走査するために用いられる。
【0044】
対物レンズ6は、試料Sの直前に配置された最終段の電子プローブ形成レンズである。
【0045】
ライナーチューブ8は、電子源2から放出された電子線の通路に設けられた筒である。
ライナーチューブ8は、コンデンサーレンズ4や、偏向器5、対物レンズ6などのガス放出の多い部品を真空外に置くための真空隔壁として機能する。電子源2から放出された電子線は、ライナーチューブ8を通って試料Sに照射される。
【0046】
ライナーチューブ8は、光軸Lに沿って進行する電子線がシンチレータ12に印加される高電圧の影響を受けないように、ライナーチューブ8内とシンチレータ12との間を電気的に遮蔽している。ライナーチューブ8は、例えば、基準電位(グランド電位)である。なお、電子線の通過する軌道(ビームパス)に高電圧を印加し、電子線が試料Sに到達する直前に減速させる構成の場合、ライナーチューブ8は、ビームパスを形成するための電極(図示せず)と同電位である。
【0047】
電子検出器10は、試料Sから発生した電子を検出する。電子検出器10は、試料Sで発生した二次電子を検出する二次電子検出器である。なお、電子検出器10は、試料Sで発生した反射電子を検出する反射電子検出器であってもよい。走査電子顕微鏡100では、電子検出器10の検出結果に基づき、走査電子顕微鏡像が生成される。
【0048】
走査電子顕微鏡100では、試料Sは、試料ステージ(図示せず)上に載置されている。なお、走査電子顕微鏡100は、上述した光学系の他に、レンズや絞りなどを備えていてもよい。
【0049】
図2は、走査電子顕微鏡100の電子検出器10を模式的に示す断面図である。
【0050】
電子検出器10は、図2に示すように、シンチレータ12と、ミラー14と、ライトガイド16と、光電子増倍管(photomultiplier tube、PMT)18と、導電層20と、導電部材22と、を含む。
【0051】
シンチレータ12は、電子線EBが試料Sに照射されることにより試料Sで発生した電子Eを検出して光に変換する。シンチレータ12としては、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)結晶や、プラスチック(プラスチック中に有機発光物質を溶かしたもの)などを用いることができる。シンチレータ12は、第1面12aと、第1面12aとは反対側の第2面12bと、を有する。図2に示す例では、第1面12aはシンチレータ12の下面であり、第2面12bはシンチレータ12の上面である。
【0052】
図3は、シンチレータ12の第1面12aを模式的に示す平面図である。図4は、シンチレータ12の第2面12bを模式的に示す平面図である。
【0053】
シンチレータ12の第1面12aは、試料Sで発生した電子Eが入射する面、すなわち、感受面である。シンチレータ12の第2面12bは、シンチレータ12で発生した光が射出される面、すなわち光射出面である。
【0054】
シンチレータ12には、貫通孔12cが設けられている。貫通孔12cには、ライナーチューブ8が挿入されている。貫通孔12cは、第1面12aと第2面12bとを接続している。貫通孔12cは、円筒状である。ライナーチューブ8は、ライナーチューブ8の中心軸と貫通孔12cの中心軸とが一致するように配置されている。ライナーチューブ8の中心軸は、光軸Lと一致している。
【0055】
シンチレータ12の第1面12aには、導電層20が設けられている。試料Sで発生した電子Eは、導電層20を通過して(透過して)シンチレータ12の第1面12aに入射する。
【0056】
ミラー14は、シンチレータ12で発生して第2面12bから射出された光を反射させてライトガイド16に入射させる。ミラー14の反射面14aは、シンチレータ12の第2面12bから射出された光が反射面14aで反射されて、ライトガイド16の光入射面16aに入射するような角度に設定される。ミラー14には、ライナーチューブ8を通すための貫通孔が設けられている。ミラー14には、基準電位(グランド電位)が印加されている。
【0057】
ライトガイド16は、入射した光を光電子増倍管18に導く。光電子増倍管18は、ライトガイド16からの光が入射する光入射面16aを有している。光電子増倍管18は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0058】
導電層20は、シンチレータ12の第1面12aに設けられている。導電層20には、シンチレータ12に入射する電子Eを加速させるための電圧が印加される。すなわち、導電層20には、装置の基準電位に対して正の電圧が印加される。導電層20には、例えば、数kV〜10kV程度の電圧が印加される。導電層20には、外部の電源から導電層20に電圧を印加するための外部端子21が設けられている。
【0059】
導電層20によってシンチレータ12に電圧が印加されることにより、エネルギーの低い電子であっても、シンチレータ12の第1面12aに入射するまでに加速されるため、シンチレータ12で十分な発光を生じさせることができる。導電層20によってシンチレータ12に電圧が印加されることにより、シンチレータ12とライナーチューブ8との間には電位差が生じる。
【0060】
導電層20は、電子Eが通過(透過)可能な厚さ(膜厚)を有している。導電層20の厚さは、例えば、数十nm程度である。導電層20の材質は、導電性を有する材料であれば特に限定されないが、例えばアルミニウムなどの金属である。導電層20は、シンチレータ12に蒸着などにより金属膜を成膜することで形成される。
【0061】
導電部材22は、シンチレータ12に設けられている。導電部材22は、導電層20が放電により剥離することを防ぐために設けられている。導電部材22は、第1部分22aと、第2部分22bと、を有している。
【0062】
導電部材22の第1部分22aは、シンチレータ12の貫通孔12cの内面に設けられている。導電部材22の第1部分22aは、ライナーチューブ8を囲む円筒面22dを有している。円筒面22dは、ライナーチューブ8を囲む連続した1つの面である。円筒面22dは、凹凸が少ないことが望ましく、例えば、光沢面である。円筒面22dの中心軸とライナーチューブ8の中心軸とは一致している。
【0063】
導電部材22の第2部分22bは、シンチレータ12の第2面12bに設けられている。第2部分22bには、外部の電源から導電部材22に電圧を印加するための外部端子23が設けられている。第2部分22bは、第1部分22aと外部端子23とを接続するための配線として機能する。
【0064】
第2部分22bは、ライトガイド16の光入射面16aから見て、ライナーチューブ8の後方に位置している。すなわち、第2部分22bはライトガイド16の光入射面16aから見て、ライナーチューブ8の影になる。第2部分22bは、シンチレータ12の第2面12bのうち、射出された光がライナーチューブ8に遮られてライトガイド16の光入射面16aに到達しない領域に形成される。
【0065】
なお、第2部分22bの全部が、ライトガイド16の光入射面16aから見て、ライナーチューブ8の後方に位置していることが望ましいが、第2部分22bの一部が、ライナーチューブ8の後方に位置していてもよい。
【0066】
導電部材22と導電層20とは、図2および図3に示すように、離間している。すなわち、導電部材22と導電層20とは接していない。
【0067】
ライナーチューブ8と導電部材22(第1部分22a)との間の最短距離L1は、ライナーチューブ8と導電層20との間の最短距離L2よりも小さい。そのため、ライナーチューブ8と導電部材22との間で放電が起こる確率を、ライナーチューブ8と導電層20との間で放電が起こる確率よりも高くすることができる。すなわち、ライナーチューブ8と導電層20との間よりも、ライナーチューブ8と導電部材22との間のほうが、放電が起こりやすい。
【0068】
導電部材22の厚さT1は、導電層20の厚さT2よりも大きい。導電部材22の厚さT1を導電層20の厚さT2よりも大きくすることで、導電部材22の抵抗を小さくすることができる。図2に示す例では、導電部材22の第1部分22aの厚さと第2部分22bの厚さは、同じである。なお、導電部材22の第1部分22aの厚さと第2部分22bの厚さとは異なっていてもよい。
【0069】
ここで、導電部材22の厚さT1とは、シンチレータ12の導電部材22が形成された面における当該面の垂線方向の大きさである。例えば、シンチレータ12の第2面12bに形成されている導電部材22(第2部分22b)の厚さT1は、導電部材22の、第2面12bの垂線方向の大きさである。
【0070】
導電部材22の材質は、例えば、金属である。導電部材22は、例えば、金属バルクを所定の形状に切り出すことで形成される。なお、導電部材22の抵抗を導電層20の抵抗よりも小さくするために、導電部材22の材質を、導電層20の材質よりも電気伝導率の高い材料にしてもよい。
【0071】
導電部材22と導電層20とは、同電位である。すなわち、導電部材22には、導電層20と同じ電圧が印加されている。
【0072】
図5は、電子検出器10において放電による電流が流れる経路を説明するための図である。図5において、コンデンサーCは、導電部材22とライナーチューブ8との間の空間を表している。また、図5では、放電による電流が導電部材22を通る経路の抵抗をR1とし、放電による電流が導電層20を通る経路の抵抗をR2としている。
【0073】
本実施形態では、抵抗R1は抵抗R2に比べて極めて小さい(R1<<R2)。そのため、放電による電流は、大部分が導電部材22を通り、導電層20をほとんど通らない。したがって、放電による導電層20の剥離をより確実に防ぐことができる。
【0074】
ここで、放電による電流が導電部材22を通る経路の抵抗R1は、導電部材22のライナーチューブ8との間の距離が最も小さい箇所と導電部材22の外部端子23との間の抵抗に対応する。また、放電による電流が導電層20を通る経路の抵抗R2は、導電層20のライナーチューブ8との間の距離が最も小さい箇所と導電層20の外部端子21との間の抵抗に対応する。
【0075】
本実施形態に係る走査電子顕微鏡100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0076】
走査電子顕微鏡100では、ライナーチューブ8と導電部材22との間の最短距離L1は、ライナーチューブ8と導電層20との間の最短距離L2よりも小さく、導電層20と導電部材22とは同電位である。そのため、走査電子顕微鏡100では、ライナーチューブ8と導電層20との間よりも、ライナーチューブ8と導電部材22との間のほうが、放電が起こりやすい。したがって、走査電子顕微鏡100では、放電による導電層20の剥離を防ぐことができる。
【0077】
走査電子顕微鏡100では、導電部材22のライナーチューブ8との間の距離が最も小さい箇所と、導電部材22の外部端子23と、の間の抵抗(抵抗R1)は、導電層20のライナーチューブ8との間の距離が最も小さい箇所と、導電層20の外部端子21と、の間の抵抗(抵抗R2)よりも小さい。そのため、走査電子顕微鏡100では、放電による電流が、導電層20に比べて導電部材22を流れやすい。したがって、走査電子顕微鏡100では、放電による導電層20の剥離を防ぐことができる。
【0078】
走査電子顕微鏡100では、導電部材22の厚さT1は、導電層20の厚さT2よりも大きい。そのため、走査電子顕微鏡100では、放電による電流が導電部材22を通る経路の抵抗R1を放電による電流が導電層20を通る経路の抵抗R2よりも小さくすることができる。したがって、走査電子顕微鏡100では、放電による電流は導電部材22を通るため、放電による導電層20の剥離を防ぐことができる。
【0079】
走査電子顕微鏡100では、導電部材22は、シンチレータ12に設けられた貫通孔12cの内面に設けられている。そのため、走査電子顕微鏡100では、ライナーチューブ8と導電部材22との間の最短距離L1を、ライナーチューブ8と導電層20との間の最短距離L2よりも小さくできる。
【0080】
走査電子顕微鏡100では、導電部材22と導電層20とは、離間している。そのため、走査電子顕微鏡100では、例えば導電部材22と導電層20とが接している場合と比べて、放電による電流が導電層20を流れにくくすることができ、放電による導電層20の剥離を防ぐことができる。
【0081】
走査電子顕微鏡100では、導電部材22の第2部分22bは、ライトガイド16の光入射面16aから見て、ライナーチューブ8の後方に位置している。そのため、走査電子顕微鏡100では、導電部材22の第2部分22bは、第2面12bから射出されてライトガイド16に入射する光を妨げない。ライトガイド16の光入射面16aから見て、シンチレータ12の第2面12bの、ライナーチューブ8の後方に位置している領域から射出される光は、そもそもライナーチューブ8に遮られて、ライトガイド16に入射できない。
【0082】
走査電子顕微鏡100では、シンチレータ12の第2面12bから射出された光をライトガイド16に向けて反射するミラー14を含む。そのため、走査電子顕微鏡100では、シンチレータ12の第2面12bから射出された光を効率よくライトガイド16に導くことができる。例えばライトガイド16を直接シンチレータ12に接続した場合(例えば図9参照)、シンチレータ12のライトガイド16が接続された側とは反対側の光を、ライトガイド16に導くことが難しく、光を効率よくライトガイド16に導くことができない。
【0083】
走査電子顕微鏡100では、導電部材22は、ライナーチューブ8を囲む円筒面22dを有している。すなわち、導電部材22のライナーチューブ8を向く面(円筒面22d)は、連続した1つの面である。そのため、走査電子顕微鏡100では、導電部材22のライナーチューブ8を向く面が不連続な面である場合と比べて、放電が起こる可能性を低減
できる。ここで、不連続な面とは、当該面が1つの連続した面ではなくスリットや溝が形成されていたり、複数の面で構成されていたりする場合をいう。
【0084】
上述したように、走査電子顕微鏡100では、放電による導電層20の剥離を防ぐことができるため、コンディショニングを行うことができる。コンディショニングとは、通常使用するよりも高い電圧(例えば2割〜5割程度高い電圧)を印加して放電を起こし、電極表面をクリーニングすることをいう。コンディショニングを行うことで耐電圧を向上できる。
【0085】
1.2. 変形例
次に、第1実施形態の変形例に係る走査電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態の変形例に係る走査電子顕微鏡101の電子検出器10を模式的に示す断面図である。図7は、第1実施形態の変形例に係る走査電子顕微鏡101のシンチレータ12の第1面12aを模式的に示す平面図である。図8は、第1実施形態の変形例に係る走査電子顕微鏡101の電子検出器10において放電による電流が流れる経路を説明するための図である。
【0086】
以下、第1実施形態の変形例に係る走査電子顕微鏡101において、第1実施形態に係る走査電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0087】
上述した走査電子顕微鏡100では、図2および図3に示すように、導電部材22と導電層20とは離間していた。これに対して、走査電子顕微鏡101では、図6および図7に示すように、導電部材22と導電層20とは接している。
【0088】
導電部材22と導電層20とが接している場合、放電による電流が導電部材22を通る経路の抵抗R1と放電による電流が導電層20を通る経路の抵抗R2の差を、導電部材22と導電層20とが離間している場合と比べて、大きくする。すなわち、本変形例では、抵抗R1を抵抗R2よりも極めて小さくする。例えば、抵抗R1と抵抗R2との比R1/R2は、例えば、R1/R2<1/100となるようにする。このように、抵抗R1を抵抗R2よりも小さくすることで、導電部材22と導電層20とが接している場合でも、放電による電流は大部分が導電部材22を通るため、放電による導電層20の剥離を防ぐことができる。
【0089】
本変形例に係る走査電子顕微鏡101では、上述した第1実施形態に係る走査電子顕微鏡100と同様に、放電による導電層20の剥離を防ぐことができる。
【0090】
さらに、本変形例では、導電部材22と導電層20とが接しているため、例えば、導電層20を成膜する際に、導電部材22と導電層20とを離間するためのマスクを形成しなくてもよく、導電層20を容易に形成できる。
【0091】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る走査電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図9は、第2実施形態に係る走査電子顕微鏡200の電子検出器10を模式的に示す断面図である。図10は、第2実施形態に係る走査電子顕微鏡200の電子検出器10の第2面12bを模式的に示す平面図である。
【0092】
以下、第2実施形態に係る走査電子顕微鏡200において、第1実施形態に係る走査電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0093】
上述した走査電子顕微鏡100では、図2に示すように、シンチレータ12とライトガイド16とは離間していた。これに対して、走査電子顕微鏡200では、図9に示すように、シンチレータ12とライトガイド16とは一体に構成されている。
【0094】
また、上述した走査電子顕微鏡100では、シンチレータ12の第2面12bは、光射出面であった。これに対して、走査電子顕微鏡200では、シンチレータ12の第2面12bは光射出面ではない。
【0095】
シンチレータ12の第1面12aは、シンチレータ12の感受面である。図9に示す例では、シンチレータ12は、貫通孔12cからシンチレータ12の外側に向かうに従って厚さが大きくなる形状を有している。そのため、シンチレータ12の第1面12aは、貫通孔12cからシンチレータ12の外側に向かって傾斜している。したがって、シンチレータ12の感受面となる第1面12aの面積を、例えば第1面12aが傾斜していない場合と比べて、大きくすることができる。
【0096】
本実施形態では、シンチレータ12の第2面12bは、光射出面ではなく、また感受面でもない。導電部材22の第2部分22bは、図9および図10に示すように、シンチレータ12の第2面12bの全面を覆っている。そのため、放電による電流が導電部材22を通る経路の抵抗R1(図5参照)をより小さくすることができる。
【0097】
導電部材22の第2部分22bの厚さは、例えば、導電部材22の第1部分22aの厚さよりも大きい。そのため、導電部材22(第1部分22a)とライナーチューブ8との間の最短距離L1を保ちつつ、導電部材22(第2部分22b)の抵抗を小さくすることができる。
【0098】
ライトガイド16は、シンチレータ12の側面(第1面12aと第2面12bとを接続する面)に接続されている。ライトガイド16とシンチレータ12とは、接続部での屈折率変化が大きくならないように接続されることが望ましい。
【0099】
なお、図9および図10に示す例では、導電部材22と導電層20とは接していないが、上述した第1実施形態の変形例に係る走査電子顕微鏡101と同様に、導電部材22と導電層20とは接していてもよい。
【0100】
第2実施形態に係る走査電子顕微鏡200では、上述した第1実施形態に係る走査電子顕微鏡100と同様に、放電による導電層20の剥離を防ぐことができる。
【0101】
さらに、走査電子顕微鏡200では、シンチレータ12とライトガイド16とが一体に構成されている。そのため、シンチレータ12から射出された光をライトガイド16に導くための光学素子を用いなくてもよく、装置を簡素化することができる。
【0102】
また、走査電子顕微鏡200では、導電部材22がシンチレータ12の第2面12bの全面を覆っているため、放電による電流が導電部材22を通る経路の抵抗R1(図5参照)をより小さくすることができる。
【0103】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る走査電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態に係る走査電子顕微鏡300の電子検出器10を模式的に示す断面図である。
【0104】
以下、第3実施形態に係る走査電子顕微鏡300において、第1実施形態に係る走査電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0105】
走査電子顕微鏡300は、図11に示すように、第1グリッド310と、第2グリッド320と、を含んで構成されている。
【0106】
第1グリッド310および第2グリッド320は、シンチレータ12の感受面である第1面12aの前方に配置されている。第1グリッド310は、図11に示す例では、第2グリッド320よりも試料S側に配置されている。
【0107】
第1グリッド310には、基準電位(グランド電位)が印加されている。第1グリッド310は、ライナーチューブ8と同電位である。第1グリッド310は、シンチレータ12に印加される高電圧が電子線EBに与える影響を低減させるために用いられる。
【0108】
第2グリッド320は、試料Sで発生した電子Eをエネルギー選別するために用いられる。第2グリッド320には、所定の電圧が印加される。走査電子顕微鏡300では、第2グリッド320でエネルギー選別された電子Eを電子検出器10で検出することができる。
【0109】
図11に示す走査電子顕微鏡300は、第1グリッド310および第2グリッド320の両方を含んで構成されているが、第1グリッド310および第2グリッド320のいずれかを含んで構成されていてもよい。
【0110】
第3実施形態に係る走査電子顕微鏡300では、上述した第1実施形態に係る走査電子顕微鏡100と同様に、放電による導電層20の剥離を防ぐことができる。
【0111】
また、走査電子顕微鏡300では、シンチレータ12の感受面(第1面12a)の前方に配置され、ライナーチューブ8と同電位の第1グリッド310を備えている。そのため、走査電子顕微鏡300では、より確実に、シンチレータ12に印加される高電圧が電子線EBに与える影響を低減できる。
【0112】
また、走査電子顕微鏡300では、第2グリッド320によって試料Sで発生した電子Eをエネルギー選別し、エネルギー選別された電子Eを電子検出器10で検出することができる。
【0113】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0114】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0115】
2…電子源、4…コンデンサーレンズ、5…偏向器、6…対物レンズ、8…ライナーチューブ、10…電子検出器、12…シンチレータ、12a…第1面、12b…第2面、12c…貫通孔、14…ミラー、14a…反射面、16…ライトガイド、16a…光入射面、
18…光電子増倍管、20…導電層、21…外部端子、22…導電部材、22a…第1部分、22b…第2部分、22d…円筒面、23…外部端子、100…走査電子顕微鏡、101…走査電子顕微鏡、200…走査電子顕微鏡、300…走査電子顕微鏡、310…第1グリッド、320…第2グリッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12