(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガス排出工程において、前記第2側面を治具で押圧することにより、前記電池ケース内のガスの一部を前記電解液注液孔から前記電池ケース外に排出する、請求項1に記載の角形二次電池の製造方法。
前記ガス排出工程において、前記電極体内に存在する前記非水電解液が、前記電極体外に出ないように、前記第2側面を押圧する、請求項2〜4のいずれか1つに記載の角形二次電池の製造方法。
前記ガス排出工程において、前記角形外装体を加熱することにより、前記ガスの一部を前記電解液注液孔から前記電池ケース外に排出する、請求項1に記載の角形二次電池の製造方法。
前記ガス排出工程において、前記角形外装体の底部を、前記角形外装体の前記第2側面の少なくとも一部が40℃以上となるように加熱する、請求項6に記載の角形二次電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す各実施形態は、本開示の技術思想を理解するために例示するものであって、本開示をこの実施形態に特定することを意図するものではない。例えば、以下で説明する実施形態や変形例の特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。本開示は、特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
【0011】
以下では、先ず、
図1A〜
図4を用いて、本開示の製造方法を適用できる角形二次電池10の概略構成について説明する。
【0012】
図1A、
図1B、
図2及び
図4に示すように、角形二次電池10は、角形外装体(角形外装缶)25と、封口板23と、偏平状の巻回電極体14とを備える。角形外装体25は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、高さ方向一方側に開口部を有する。
図1Bに示すように、角形外装体25は、底部40、一対の第1側面41、及び一対の第2側面42を有し、第2側面42は、第1側面41よりも大きくなっている。第2側面42の面積は、125cm
2以上であり、第2側面42の横寸法aに対する縦寸法bで定義される第2側面42の縦寸法アスペクト比は0.45〜1となっている。封口板23は角形外装体25の開口部に嵌合され、封口板23と角形外装体25との嵌合部を接合することで、角形の電池ケース45が構成される。電池ケース45の体積は、250cm
3以上となっている。
【0013】
図4に示すように、巻回電極体14は、正極板11と負極板12とがセパレータ13を介して互いに絶縁された状態で巻回された構造を有する。巻回電極体14の最外面側はセパレータ13で被覆され、負極板12は正極板11よりも外周側に配置される。
図3Aに示すように、正極板11は、厚さが10〜20μm程度のアルミニウム又はアルミニウム合金箔からなる正極芯体の両面に正極合剤スラリーを塗布し、乾燥及び圧延した後、所定寸法に帯状に切断する。このとき、幅方向の一方側の端部に、長手方向に沿って両面に正極合剤層11aが形成されていない正極芯体露出部15が形成されるようにする。この正極芯体露出部15の少なくとも一方側の表面には、例えば正極合剤層11aに隣接するように、正極芯体露出部15の長さ方向に沿って正極保護層11bが形成されることが好ましい。正極保護層11bには、絶縁性無機粒子と結着剤とが含まれる。この正極保護層11bは、正極合剤層11aよりも導電性が低い。正極保護層11bを設けることにより、異物等により負極合剤層12aと正極芯体との短絡を防止できる。また、正極保護層11bに導電性無機粒子を含有させることができる。これにより、正極保護層11bと負極合剤層12aが短絡した場合であっても、小さい内部短絡電流を流し続けることができ、これにより角形二次電池10を安全な状態へと移行させることができる。正極保護層11bの導電性は、導電性無機粒子と、絶縁性無機粒子との混合比で制御できる。なお、正極保護層11bは、設けられなくてもよい。
【0014】
また、
図3Bに示すように、負極板12は、厚さが5〜15μm程度の銅又は銅合金箔からなる負極芯体の両面に負極合剤スラリーを塗布し、乾燥及び圧延した後、所定寸法に帯状に切断する。このとき、長手方向に沿って両面に負極合剤層12aが形成されていない負極芯体露出部16が形成されるようにする。なお、正極芯体露出部15ないし負極芯体露出部16は、それぞれ正極板11ないし負極板12の幅方向の両側の端部に沿って形成してもよい。
【0015】
図4に示すように、正極芯体露出部15と負極芯体露出部16が夫々に対向する電極の合剤層11a,12aに重ならないように、正極板11及び負極板12を、対向する合剤層11a,12aに対して巻回電極体14の幅方向(正極板11及び負極板12の幅方向)にずらして配置する。そして、セパレータ13を挟んで互いに絶縁した状態で巻回し、偏平状に成形することで、偏平状の巻回電極体14が作製される。巻回電極体14は、巻回軸が延びる方向(帯状の正極板11、帯状の負極板12、及び帯状のセパレータ13を矩形状に展開したときの幅方向に一致)の一方側端部に複数枚積層された正極芯体露出部15を備え、他方側端部に複数枚積層された負極芯体露出部16を備える。セパレータ13としては、好ましくは、ポリオレフィン製の微多孔性膜を使用できる。セパレータ13の幅は、正極合剤層11a及び正極保護層11bを被覆できると共に負極合剤層12aの幅よりも大きいことが好ましい。
【0016】
後で詳述するが、複数枚積層された正極芯体露出部15は、正極集電体17(
図2A参照)を介して正極端子18に電気的に接続され、複数枚積層された負極芯体露出部16は、負極集電体19(
図2A参照)を介して負極端子20に電気的に接続される。また、詳述しないが、
図2Aに示すように、正極集電体17と正極端子18との間には、電池ケース45の内部のガス圧が所定値以上となった時に作動する電流遮断機構27が設けられることが好ましい。
【0017】
図1A、
図1B及び
図2Aに示すように、正極端子18及び負極端子20の夫々は、絶縁部材21、22を介して封口板23に固定される。封口板23は、電池ケース45内のガス圧が電流遮断機構27の作動圧よりも高くなったときに開放されるガス排出弁28を有する。正極集電体17、正極端子18及び封口板23は、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、負極集電体19及び負極端子20は、それぞれ銅又は銅合金で形成される。
図2Cに示すように、偏平状の巻回電極体14は、封口板23側を除く周囲に絶縁性の絶縁シート(樹脂シート)24を介在させた状態で一面が開放された角形の電池外装体25内に挿入される。
【0018】
図2B及び
図2Cに示すように、正極板11側では、巻回されて積層された複数枚の正極芯体露出部15は、厚み方向の中央部に収束されてさらに2分割され、偏平状の巻回電極体の厚みの1/4を中心として正極芯体露出部15が収束され、その間に正極用中間部材30が配置される。正極用中間部材30は樹脂材料からなり、正極用中間部材30には、導電性の正極用導電部材29が、1以上、例えば2個保持される。正極用導電部材29は、例えば円柱状のものが用いられ、積層された正極芯体露出部15と対向する両端部にプロジェクションとして作用する円錐台状の突起が形成されている。
【0019】
負極板12側でも、巻回されて積層された複数枚の負極芯体露出部16は、厚み方向の中央側に収束されてさらに2分割され、偏平状の巻回電極体の厚みの1/4を中心として負極芯体露出部16が収束され、その間に負極用中間部材32が配置される。負極用中間部材32は、樹脂材料からなり、負極用中間部材32には、負極用導電部材31が、1以上、例えば2個保持される。負極用導電部材31は、例えば円柱状のものが用いられ、積層された負極芯体露出部16と対向する両端部に、プロジェクションとして作用する円錐台状の突起が形成されている。なお、各正極及び負極用中間部材30,32に複数個の正極及び負極用導電部材29,31を設置すると、複数の正極及び負極用導電部材29,31が共に同一の正極及び負極用中間部材30,32に保持されることになり、複数の正極及び負極用導電部材29,31の寸法精度が向上し、しかも、正極及び負極用導電部材29,31を、2分割された正極及び負極芯体露出部15,16の間に安定な状態で位置決め配置できるようになる。
【0020】
正極用導電部材29と、その延在方向の両側に配置されている収束された正極芯体露出部15は、例えば抵抗溶接されて電気的に接続され、収束された正極芯体露出部15と、その電池ケース45の奥行方向外側に配置された正極集電体17も、例えば抵抗溶接されて電気的に接続される。また、同様に、負極用導電部材31と、その両側に配置されて収束されている負極芯体露出部16は、例えば抵抗溶接されて電気的に接続され、収束された負極芯体露出部16と、その電池ケース45の奥行方向外側に配置された負極集電体19も、例えば抵抗溶接されて電気的に接続される。正極集電体17の正極芯体露出部15側とは反対側の端部は、正極端子18に電気的に接続され、負極集電体19の負極芯体露出部15側とは反対側の端部は、負極端子20に電気的に接続される。その結果、正極芯体露出部15が正極端子18に電気的に接続され、負極芯体露出部16が負極端子20に電気的に接続される。
【0021】
巻回電極体14、正極及び負極用中間部材30,32、及び正極及び負極用導電部材29,31は、抵抗溶接により接合され、一体構造を構成する。正極用導電部材29は、正極芯体と同じ材料であるアルミニウム又はアルミニウム合金製のものが好ましく、負極用導電部材31は、負極芯体と同じ材料である銅又は銅合金製のものが好ましい。正極用導電部材29及び負極用導電部材31の形状は、同じであっても異なっていてもよい。
【0022】
正極芯体露出部15と正極集電体17の接続、及び負芯体露出部16と負極集電体19の接続を抵抗溶接により行う例を示したが、レーザ溶接又は超音波溶接を用いてもよい。また、正極用中間部材30及び負極用中間部材32を用いなくてもよい。
【0023】
図1Aに示すように、封口板23には電解液注液孔26が設けられる。正極集電体17、負極集電体19、及び封口板23等が取り付けられた巻回電極体14を、角形外装体25内に配置する。このとき、巻回電極体14を箱状ないし袋状に成形した絶縁シート24内に配置した状態で、巻回電極体14を角形外装体25内に挿入することが好ましい。その後、封口板23と角形外装体25との嵌合部をレーザ溶接し、その後、電解液注液孔26から非水電解液を注液する。その後、正極及び負極端子18,20を用いて所定の充電を施して、電池の充電反応によって発生する反応ガスを予め発生させる。続いて、以下の実施例に説明する手順で、電池ケース45内のガスの一部を、電解液注液孔26を介して電池ケース45外に排出させる。その後、電解液注液孔26を密封することで角形二次電池10を作製する。電解液注液孔26の密封は、例えばブラインドリベットや溶接等で実行される。電解液注液孔26の密封は、不活性ガス雰囲気(N
2またはAr等の希ガス類)または水分量が管理されたドライエアー環境にて実施される。このようにして、電池ケース45内へ水分が混入して電解液と反応し、電池の異常劣化を引き起こすことを防止する。角形二次電池10は、上述の封止が実施されたのち、例えば、電池の満充電に対して50〜80%の充電状態で70℃以上の環境温度下に10時間以上静置されて熟成される。その後、角形二次電池10に出荷充電が施される。
【0024】
角形二次電池10は、単独であるいは複数個が直列、並列ないし直並列に接続されて各種用途で使用される。角形二次電池10を車載用途等において複数個直列ないし並列に接続して使用する際には、別途正極外部端子及び負極外部端子を設けてそれぞれの電池をバスバーで接続するとよい。
【0025】
なお、巻回電極体14が、その巻回軸が角形外装体25の底部40と平行となる向きに配置される場合について説明したが、巻回電極体が、その巻回軸が角形外装体25の底部40と垂直となる向きに配置される構成でもよい。また、角形二次電池10が、巻回電極体14を有する例について説明したが、角形二次電池は、積層型の電極体を有してもよい。
【0026】
また、本開示の方法で作製できる角形二次電池で使用し得る正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能な化合物であれば適宜選択して使用できる。これらの正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。例えば、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なLiMO
2(但し、MはCo、Ni、Mnの少なくとも1種である)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO
2、LiNiO
2、LiNi
yCo
1-yO
2(y=0.01〜0.99)、LiMnO
2、LiCo
xMn
yNi
zO
2(x+y+z=1)や、LiMn
2O
4又はLiFePO
4などを一種単独もしくは複数種を混合して用いることができる。さらには、リチウムコバルト複合酸化物にジルコニウムやマグネシウム、アルミニウム、タングステンなどの異種金属元素を添加したものも使用し得る。
【0027】
非水電解質の溶媒としては、特に限定されるものではなく、非水電解質二次電池に従来から用いられてきた溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステルを含む化合物;プロパンスルトンなどのスルホン基を含む化合物;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジオキサン、1,4−ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテルを含む化合物;ブチロニトリル、バレロニトリル、n−ヘプタンニトリル、スクシノニトリル、グルタルニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリルなどのニトリルを含む化合物;ジメチルホルムアミドなどのアミドを含む化合物などを用いることができる。特に、これらのHの一部がFにより置換されている溶媒が好ましく用いられる。また、これらを単独又は複数組み合わせて使用することができ、特に環状カーボネートと鎖状カーボネートとを組み合わせた溶媒や、さらにこれらに少量のニトリルを含む化合物やエーテルを含む化合物が組み合わされた溶媒が好ましい。
【0028】
また、非水電解質の非水系溶媒としてイオン性液体を用いることもでき、この場合、カチオン種、アニオン種については特に限定されるものではないが、低粘度、電気化学的安定性、疎水性の観点から、カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、4級アンモニウムカチオンを、アニオンとしては、フッ素含有イミド系アニオンを用いた組合せが特に好ましい。
【0029】
さらに、非水電解質に用いる溶質としても、従来から非水電解質二次電池において一般に使用されている公知のリチウム塩を用いることができる。そして、このようなリチウム塩としては、P、B、F、O、S、N、Clの中の一種類以上の元素を含むリチウム塩を用いることができ、具体的には、LiPF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(FSO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)、LiC(C
2F
5SO
2)
3、LiAsF
6、LiClO
4、LiPF
2O
2などのリチウム塩及びこれらの混合物を用いることができる。特に、非水電解質二次電池における高率充放電特性や耐久性を高めるためには、LiPF
6を用いることが好ましい。
【0030】
また、溶質としては、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を用いることもできる。このオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩としては、LiBOB(リチウム−ビスオキサレートボレート)の他、中心原子にC
2O
42-が配位したアニオンを有するリチウム塩、例えば、Li[M(C
2O
4)
xR
y](式中、Mは遷移金属、周期律表の13族,14族,15族から選択される元素、Rはハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基から選択される基、xは正の整数、yは0又は正の整数である。)で表わされるものを用いることができる。具体的には、Li[B(C
2O
4)F
2]、Li[P(C
2O
4)F
4]、Li[P(C
2O
4)
2F
2]などがある。ただし、高温環境下においても負極の表面に安定な被膜を形成するためには、LiBOBを用いることが最も好ましい。
【0031】
なお、上記溶質は、単独で用いるのみならず、2種以上を混合して用いても良い。また、溶質の濃度は特に限定されないが、非水電解液1リットル当り0.8〜1.7モルであることが望ましい。更に、大電電流での放電を必要とする用途では、上記溶質の濃度が非水電解液1リットル当たり1.0〜1.6モルであることが望ましい。
【0032】
本開示の一局面の非水電解質二次電池において、その負極に用いる負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵・放出できるものであれば特に限定されず、例えば、炭素材料や、珪素材料、リチウム金属、リチウムと合金化する金属或いは合金材料や、金属酸化物などを用いることができる。なお、材料コストの観点からは、負極活物質に炭素材料を用いることが好ましく、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズピッチ系炭素繊維(MCF)、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス、ハードカーボンなどを用いることができる。特に、高率充放電特性を向上させる観点からは、負極活物質として、黒鉛材料を低結晶性炭素で被覆した炭素材料を用いることが好ましい。
【0033】
セパレータとしては、従来から非水電解質二次電池において一般に使用されている公知のものを用いることができる。例えば、ポリオレフィンからなるセパレータが好ましい。具体的には、ポリエチレンからなるセパレータのみならず、ポリエチレンの表面にポリプロピレンからなる層が形成されたものや、ポリエチレンのセパレータの表面にアラミド系の樹脂が塗布されたものを用いても良い。
【0034】
正極とセパレータとの界面ないし負極とセパレータとの界面には、従来から用いられてきた無機物のフィラーを含む層を形成することができる。このフィラーとしても、従来から用いられてきたチタン、アルミニウム、ケイ素、マグネシウムなどを単独もしくは複数用いた酸化物やリン酸化合物、またその表面が水酸化物などで処理されているものを用いることができる。また、このフィラー層の形成は、正極、負極、あるいはセパレータに、フィラー含有スラリーを直接塗布して形成する方法や、フィラーで形成したシートを、正極、負極、あるいはセパレータに貼り付ける方法などを用いることができる。
【0035】
以下、本開示に係る実施例について、表1及び表2と、
図4とを用いて詳細に説明する。表1は、角形二次電池を以下で説明する押圧工程を経て作製した場合における電池膨れ結果を表す表であり、表2は、角形二次電池を、以下で説明する加熱工程を経て作製した場合における電池膨れ結果を表す表である。なお、本開示は、実施例に限定されるものではない。
【表1】
【表2】
【0036】
<実施例、比較例の角形二次電池の作製>
(実施例1の作製)
角形外装体として、縦:91mm×横:148mm×厚み:26.5mm、第二側面の面積:134.68cm
2、第二側面のアスペクト比:0.61、電池ケースの体積:356.9cm
3であるものを使用した。なお、電池ケースの体積とは、電池ケースの外面により形成される略立方体の体積である。そして、角形外装体内に偏平状の巻回電極体とその他の機構部品を所定位置に収納し、封口板と角形外装体との嵌合部をレーザ溶接により接合し、角形外装体の開口を封止板により封口した。なお、各構成は以下の通りとした。
[正極合剤層]
正極合剤層は、正極活物質としてのLiNi
0.35Co
0.35Mn
0.30O
2と、導電剤としてのカーボンブラックと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、質量比で93.5:5:1.5の割合で含む。
[負極合剤層]
負極合剤層は、負極活物質としての黒鉛と、カルボキシメチルセルロース(CMC)と、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)を質量比で98:1:1の割合で含む。
[非水電解液]
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比(25℃、1気圧)で3:3:4となるように混合した混合溶媒を作製した。この混合溶媒に、LiPF
6を1mol/Lとなるように添加した。さらに、非水電解液の総質量に対してその添加量が0.3%となるようにビニレンカーボネート(VC)を添加し非水電解液とした。この非水電解液を封口板に設けた電解液注液孔から電池ケース内に所定量注液した。なお、注液は窒素雰囲気下で行った。
【0037】
続いて、60Aで4分間のCC充電(電流を定電流に制御した充電)を行って、電池の充電反応によって発生する反応ガスを予め発生させ、真空チャンバー内で差圧−0.08MPaで60秒間の真空保持工程を4回繰り返し実施して、充電によって発生したガスを排出した。
【0038】
その後、電池の一対の第2側面のそれぞれに横寸法144mm、縦寸法81mm、厚さ0.15mmのポリプロピレン製の樹脂シートを貼り付ける。その後、一対のステンレス鋼板をそれぞれ樹脂シートの外面側に配置する。ここで、ステンレス鋼板の厚みは0.5mmとした。そして、ステンレス鋼板により、樹脂シートを介して第2側面を押圧し、電池の厚さ(一方の第2側面の中央部の外面と、他方の第2側面の中央部の外面との距離)が規定厚み26.5mmから0.3mm程度小さくなるようにして、一対のステンレス鋼板を固定した。係る押圧は、不活性ガス雰囲気(窒素雰囲気)下で実行した。電池に係る押圧を施している状態で、電解液注液孔を封止し、実施例1の電池を作製した。なお、
図5は、ステンレス鋼板により樹脂シートを介して第2側面を押圧する図である。
【0039】
(比較例1の作製)
60Aで4分間のCC充電にてガス抜き充電を行った後、真空チャンバー内で差圧−0.08MPaで60秒間の真空保持工程を4回繰り返し実施して、充電によって発生したガスを排出する工程までは、実施例1と同様な作製を行った。その後、不活性ガス雰囲気(窒素雰囲気)下、常温・常圧環境下で電解液注液孔を封止して、比較例1の電池を作製した。
【0040】
(比較例2の作製)
60Aで4分間のCC充電にてガス抜き充電を行った後、真空チャンバー内で差圧−0.08MPaで60秒間の真空保持工程を4回繰り返し実施して、充電によって発生したガスを排出する工程までは、実施例1と同様な作製を行った。その後、1時間以上電解液注液孔を封止せずに静置した後、改めて真空チャンバー内で大気圧に差圧−0.08MPaで60秒間の真空保持工程を4回繰り返し実施し、電池内部のガス置換を十分に行った後、不活性ガス雰囲気(窒素雰囲気)下、常温・常圧環境下で電解液注液孔を封止して、比較例2の電池を作製した。
【0041】
(実施例2の作製)
60Aで4分間のCC充電(電流を定電流に制御した充電)を行って、電池の充電反応によって発生する反応ガスを予め発生させ、真空チャンバー内で差圧−0.08MPaで60秒間の真空保持工程を4回繰り返し実施して、充電によって発生したガスを排出する工程までは、実施例1と同一の電池を作製した。その後、不活性ガス雰囲気(窒素雰囲気)下で、40℃に設定されたヒーター(ホットプレート)の上面に、電池の底面部を載置して、電池が十分に加熱されるように30分以上静置し、その後、電解液注液孔を封止して、実施例2の電池を作製した。
【0042】
(実施例3の作製)
実施例2との比較で、ヒーター(ホットプレート)の温度を60℃に設定した点のみが異なるようにして、電池を作製した。
【0043】
(比較例3の作製)
60Aで4分間のCC充電にてガス抜き充電を行った後、真空チャンバー内で差圧−0.08MPaで60秒間の真空保持工程を4回繰り返し実施して、充電によって発生したガスを排出する工程までは、実施例1と同様な作製を行った。その後、不活性ガス雰囲気(窒素雰囲気)下、常温・常圧環境下で電解液注液孔を封止して、比較例3の電池を作製した。なお、比較例1と比較例3は、同様の工程を経て作製しているが、検討ロットが異なるため、分けて記載している。
【0044】
<角形二次電池の評価>
[電池の膨らみの評価]
各製法によって封止された電池を、初期充電工程として充電状態値SOC(state of charge)70%に相当する電池電圧3.820Vまで充電した後、環境温度75℃にて14時間(昇温、降温)熟成工程を実施し、SOC10%に相当する電池電圧に調整した。その後、SOC10%以下程度の放電状態において、常温(25±5℃)下で電池を開放状態で24時間以上放置した後に、電池の第二側面の中心部分における電池厚みを接触式のインジケータにて測定した。そして、測定した電池厚みを、電池の膨れ状態の判断尺度とし、同時に投入した比較例1に対して同等の電池膨れ状態を“△”、電池膨れが抑制されている状態であれば“○”、電池膨れがより抑制されている状態であれば“◎”と判断した。
【0045】
[不活性ガス/設計残空間による評価]
電池膨れを測定した各電池において、次に説明する設計残空間に対して不活性ガスが占める割合(不活性ガス/設計残空間)%を評価した。
【0046】
(設計残空間の計算)
電池サイズから計算される電池ケース内部の空間体積および各部材が占める占有体積から次のように計算した。
電池ケース内部の空間体積は、電池サイズから各部品の厚みを考慮して計算した。
(横寸法(148mm−(第1側面の厚み×2))×縦寸法(91mm−底部の厚み−封口板の厚み)×厚み寸法(26.5mm−(第2側面の厚み×2))
電池内部の構成物が占める占有体積は、導通経路や保持等の役割を果たす機構部材の占有体積、正極、負極、セパレータ、電解液に関しては各材料の使用量(質量)および真密度から占有体積を計算し、計算された電池構成物の電池内占有体積を電池内空間体積から減算することで、設計残空間を算出した。
【0047】
(電池ケース内ガスの測定)
電池内のガス量の測定にガスクロマトグラフィーを用いた。電池を樹脂製の密閉バック(テドラーバッグ)内に入れ、真空ポンプを使用して10分以上真空引きした後、アルゴンガスで置換する作業を2回繰り返した後、再度真空引きし、アルゴンの標準ガスを100ml密閉バック内にパージし電池内ガス測定の下準備を行った。その後、密閉バック内で電池に穴を開けて電池内ガスを開放し、その状態で1時間以上放置した。密閉バック内のガスをシリンジで0.1ml採取し、ガスクロマトグラフィーでH
2、O
2、N
2、CH
4、CO、CO
2、C
2H
4、C
2H
6の各ガス量を測定した後、予め作製していた検量線から0.1ml当たりの各ガスのvol%を割り出し、標準ガスとして使用したアルゴン100mlに対する比率から電池内の各ガス量を測定した。
【0048】
<角形二次電池の評価結果>
電池を押圧した状態で電解液注液孔を封止した実施例1では、通常の方法で作製された比較例1よりも膨らみが小さく、充電反応で生じたガスの排気を重点的に行った比較例2よりも膨らみが格段に小さい良好な電池を作製できた。また、この良好な電池における不活性ガス/設計残空間(以下、不活性ガス割合という)%が85%であることが確認された。また、通常の方法で作製された比較例1の不活性ガス割合%が、88%であることが確認され、電池膨らみが大きかった比較例2の不活性ガス割合%は、100%であった。なお、不活性ガスは、電解液注液孔を封止した際に電池ケース内に存在していた窒素ガスである。
【0049】
他方、電池を加熱した状態で電解液注液孔を封止した電池に関し、電池を40℃に加熱した状態で封止を行った実施例2では、通常の方法で作製された比較例3よりも膨らみが小さく、良好な電池を作製できた。更には、電池を60℃まで加熱した状態で封止を行った実施例3では、膨らみが殆ど見られない優れた電池を作製できた。また、比較例3では、不活性ガス割合%が94%であることが確認され、良好な電池を作製できた実施例2では、不活性ガス割合%が82%であることが確認された。更には、優れた電池を作製できた実施例3では、不活性ガス割合%が74%であることを確認できた。
【0050】
以上の結果から次の事実が見出される。すなわち、各実施例及び比較例の電池は、電解液注液孔を封止する前の充電で発生したガスが排気された後、不活性ガス雰囲気下で電解液注液孔の封止が実行されている。したがって、押圧を行った実施例1、及び加熱を行った実施例2、3において、押圧、加熱で電池ケース内から排出されたガスは、不活性ガスであると結論できる。他方、通常の作製方法である比較例1、3よりも、電池の膨らみが小さかった実施例1〜3の電池は、不活性ガス割合%が夫々85%、82%及び74%であった。
【0051】
よって、電解液注液孔の封口の前に実行される充電の後に、電池ケース内ガスの15%以上をケース外に排出させた状態で、電解液注液孔を封止すれば、その後の膨らみが小さい良好な電池を作製できる。また、当該充電の後に、電池ケース内ガスの25%以上をケース外に排出させた状態で、電解液注液孔を封止すれば、その後の膨らみが殆ど見られない優れた電池を作製できる。
【0052】
角形二次電池10において、第2側面42の面積を125cm
2以上とし、第2側面42の横寸法に対する縦寸法である第2側面42の縦寸法アスペクト比を0.45〜1とすることが好ましい。このような構成であると、第2側面42を押圧する際、第2側面42を無理なく効果的に変形させることができる。よって、角形外装体25や他の部品が損傷することをより確実に防止できる。
【0053】
尚、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0054】
例えば、上記実施例1では、非水電解液の注液後の充電の後で、電池ケースの第2側面を押圧治具によって押圧して電池ケース内のガスの一部を電池ケース外に排出させた。
【0055】
しかし、治具の押圧板を、加熱可能な板、例えばヒーターを内蔵した金属プレート等で構成して、非水電解液の注液後の充電の後で、電池ケースの第2側面を治具の押圧板によって押圧すると共に、押圧板で加熱してもよい。実施例2、3に示すように、非水電解液の注液後の充電の後で電池ケースを押圧せずに加熱しても良好な電池を作製できる。したがって、非水電解液の注液後の充電の後で、電池ケースの第2側面を治具の押圧板によって押圧すると共に、所定時間、押圧板で加熱している状態で、電解液注液孔を封止すると、押圧と加熱との相乗効果で、ケース内のガスをより多く効率的に排出でき、優れた電池を作製できる。
【0056】
また、実施例1では、非水電解液の注液後の充電の後で、電池ケースの第2側面を治具によって押圧して電池ケース内のガスの一部を電池ケース外に排出させた。ここで、
図6
に示すように、係る押圧は、第2側面において電池ケース内に存在する電解液(余剰液)の液面よりも上方に位置する箇所を治具で押圧すると好ましい。換言すれば、
図6に示すように、押圧箇所と、電解液面との間にクリアランスが生じるように第2側面を押圧すると好ましい。余剰液の液面は、電池毎に一意に決まる。液面よりも上方に位置する箇所を押圧することによって、電池を少ない力で効率的に凹ませることができる。
【0057】
また、係る押圧は、電極体内に存在する非水電解液が、電極体外に殆ど出ないように、第2側面を押圧すると好ましい。例えば、押圧により電極体外に出る電解液の量が、押圧前の電極体内に位置する電解液に対して10%以下とすることが好ましく、5%以下とすることが好ましい。電池毎に、電極体の構造及び電池ケース内における電極体の配設位置は一意に決定される。そして、第2側面の圧縮度合と、電極体に係る力とは、相関があり、電極体内に存在する非水電解液が電極体外に出ない第2側面の圧縮度合をシミュレーションや事前試験により決定できる。上記構成によれば、充電の後の電池ケースの第2側面の圧縮で、電極体内に存在する非水電解液が電極体外に出ない。したがって、電池の出力等の電池特定が低下することがない。
【0058】
また、実施例2、実施例3では、非水電解液の注液後の充電の後に角形外装体の底部を加熱して電池ケース内のガスの15%以上を電池ケース外に排出させたが、角形外装体の底部を、角形外装体の第2側面の少なくとも一部が40℃以上となるように加熱すると好ましい。良好な電池を作製できる実施例2では、充電の後の電池ケース内のガスの一部排出工程で、40℃に熱せられたホットプレートで角形外装体の底部を加熱した。この構成によれば、角形外装体の第2側面の少なくとも一部が40℃以上となっているので、40℃以上に熱せられたホットプレートから角形外装体に十分な熱が伝達していると結論できる。したがって、膨らみが少ない良好な電池を作製できる。
【0059】
また、実施例2、実施例3では、非水電解液の注液後の充電の後に角形外装体の底部を加熱した。ここで、非水電解液の注液後の充電の後に、角形外装体の第2側面において電池ケース内に存在する余剰液の液面よりも上方の箇所を加熱すると好ましい。この構成によれば、電解液(余剰液)が加熱されにくくなる。よって、電解液が熱影響により蒸発、
変質することを抑制できる。
【0060】
組電池としては、複数の角形二次電池が、各角形二次電池の第2側面が平行になる向きで配置された構造とすることが好ましい。このような場合、組電池の両端にはエンドプレートが配置され、エンドプレート同士をバインドバーにより固定することにより、複数の角形二次電池が拘束された状態となる。また、隣接する角形二次電池の端子間がバスバーにより接続される。
【0061】
ここで、隣接する角形二次電池同士の間には、シート状の絶縁部材(例えば樹脂シート)を配置することが好ましい。シート状の絶縁部材を、角形二次電池に貼り付けることもできる。また、角形二次電池の底部側に、内部に冷却媒が配置された冷却プレートを配置することが好ましい。このような構造の組電池はより高エネルギー密度の組電池となる。
【0062】
なお、このような組電池では、隣接する角形二次電池同士の間に配置されるシート状の絶縁部材が、角形二次電池のズレを防止するような形状とすること、例えば、四隅にズレ防止用の壁部を設けることができない。このため、組電池作製時に、角形二次電池の膨れが大きいと組電池の作製が困難となる。したがって、上述のような組電池とする場合は、本発明は極めて効果的である。
【0063】
図2A〜
図2Cに示すように、正極集電体17及び負極集電体19にはリブが形成されていることが好ましい。例えば、正極集電体17は、積層された正極芯体露出部15の外面に沿って配置される板状の接続領域を有する。この接続領域の幅方向(巻回電極体14の巻回軸が延びる方向)における一方の端部に、角形外装体25の第2側面42に向かって延びるリブ58が形成されている。このようなリブ58が形成されていると、角形外装体25を押圧処理した場合に、角形外装体25が過度に変形することを防止できる。例えば、第2側面を押圧したとき、リブ58の先端部近傍において、第2側面42が絶縁シート24と接し、絶縁シート24がリブ58の先端と接するようにすることが好ましい。
【0064】
角形二次電池10が電流遮断機構を備える場合、第2側面において電流遮断機構と対応する領域(第2側面に対して垂直な方向から見たとき、第2側面において電流遮断機構と重なる領域)は、押圧処理の際押圧しないようにすることが好ましい。
【0065】
電流遮断機構は、電池ケース内圧の上昇により変形する変形板と、変形板の変形により破断する脆弱部を備える。したがって、第2側面において電流遮断機構と対応する領域を押圧しないようにして、変形板や脆弱部等が損傷しないようにすることが好ましい。