(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遊技機には、風船体を膨張させたり収縮させたりする演出を行うものはあっても、膨張させた風船体を割る演出を行うものはなかった。
【0005】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来にない新しい演出を実行することが可能なゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、風船と、空気供給源と、前記風船と前記空気供給源とを接続する空気供給管と、ゲームを実行し、所定の制限時間内に前記ゲームがクリアされなかった場合に、膨張させた前記風船を割るゲーム演出を実行する制御を行う制御装置とを含むことを特徴とするゲームシステムに関する。
【0007】
本発明によれば、所定の制限時間内にゲームがクリアされなかった場合に膨張させた風船を割るという従来にはない新しい演出を実行することが可能なゲームシステムを提供することができる。
【0008】
(2)また本発明に係るゲームシステムでは、前記空気供給管は、第1空気供給管と第2空気供給管の2系統に分岐し、前記第1空気供給管は前記風船に接続され、前記第2空気供給管は大気開放され、前記風船を割るための風船割り機構を更に含み、前記制御装置は、所定時間が経過するまでは、前記空気供給源からの空気を前記第1空気供給管を介して前記風船に供給し、前記所定時間が経過した場合に、前記空気供給源からの空気を前記第2空気供給管から排出させる、前記所定時間の経過後に、前記風船割り機構を動作させて前記ゲーム演出を実行してもよい。
【0009】
本発明によれば、所定時間が経過するまでは風船を膨張させ、所定時間が経過した場合に、第1空気供給管による風船への空気の供給を止め、第2空気供給管から空気を排出させることで、風船の膨張を止めた後においても、第2空気供給管から空気が排出される音によって、あたかも風船が膨張し続けているような感覚をプレーヤに与えることができ、風船が意図しないタイミングで割れることを防止しつつ効果的な演出を行うことができる。
【0010】
(3)また本発明に係るゲームシステムでは、前記制御装置は、前記ゲームがクリアされた場合に、プレーヤの操作に基づいて前記風船割り機構を動作させてもよい。
【0011】
本発明によれば、制限時間内にゲームがクリアされたためゲーム演出が実行されなかった場合でも、プレーヤに、風船を割るゲーム演出を体験させることができる。
【0012】
(4)また本発明に係るゲームシステムでは、プレーヤのプレイフィールドは4面の壁体で取り囲まれ、前記4面の壁体のうち1面に前記風船が配置され、残りの3面の少なくとも1面にゲーム画面を表示するスクリーンが配置されてもよい。
【0013】
本発明によれば、膨張させた風船を割るゲーム演出の効果を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必要構成要件であるとは限らない。
【0016】
1.構成
図1は、本実施形態のゲームシステム(演出システム)の構成を模式的に示す斜視図であり、
図2は、その側面図である。ゲームシステム1は、空気が供給されることで膨張するゴム製の風船10と、プロジェクタ20(20a、20b)と、タッチモジュール30と、カメラ40と、スピーカ50と、制御ボックス60と、空気供給管70と、ガイド部材80と、風船割り機構90とを含む。なお、
図1では、タッチモジュール30、カメラ40、スピーカ50、制御ボックス60、空気供給管70、ガイド部材80及び風船割り機構90の図示を省略している。
【0017】
プレーヤPがゲームを行うプレイフィールドPFは、4面の壁体2(2a,2b,2c,2d)で取り囲まれた略直方体の空間で構成され、プレイフィールドPFの上方は開放されている。壁体2a、2bには、それぞれスクリーン3(3a、3b)が配置され、壁体2cには、風船10が配置され、壁体2dには、扉4(プレイフィールドPFへの出入り口)が設けられている。プロジェクタ20aは、壁体2aのスクリーン3aにゲーム画面を投影し、プロジェクタ20bは、壁体2bのスクリーン3bにゲーム画面を投影する。タッチモジュール30は、スクリーン3a、3b(ゲーム画面)に対するプレーヤPのタッチ操作を検出するための赤外線式タッチセンサであり、スクリーン3a、3b(壁体2a、2b)のそれぞれの上部に取り付けられている。プロジェクタ20a、20bに備わるカメラはスクリーン3a、3bを撮像し、タッチモジュール30からの検出信号とプロジェクタ20a、20bに備わるカメラの撮像画像に基づいて、スクリーン3a、3bにおけるプレーヤPのタッチ位置を検出することができる。カメラ40は、プレイフィールドPF内のプレーヤPと風船10を撮影(及び、録音)するための広角ビデオカメラであり、プレイフィールドPFの上方に取り付けられている。
【0018】
制御ボックス60は、プレイフィールドPFの外部に設置され、制御装置(制御用PC)、空気供給源(エアポンプ)、電源等を格納する。空気供給管70(空気供給管70か
ら分岐した第1空気供給管)は、空気供給源と風船10とを接続し、空気供給源からの空気を風船10内に送り込む。
【0019】
ガイド部材80は、壁体2cに嵌め込まれ、膨張した状態の風船10を支持する部材である。風船割り機構90は、膨張させた風船10を割る(破裂させる)ための機構である。風船割り機構90は、演出効果を高めるため、プレイフィールドPFから視認しにくい位置に配置され、風船10の口部(吹き口)の近傍であるガイド部材80内部に取り付けられている。
【0020】
図3は、空気供給管70の詳細な構成を模式的に示す図である。空気供給源61に接続される空気供給管70は、空気供給管71(第1空気供給管)と空気供給管72(第2空気供給管)の2系統に分岐し、空気供給管71は風船10に接続(開口側の先端部が風船10の口部に挿入)され、空気供給管72は大気開放されている(開口が大気中に露出している)。空気供給管71には電磁弁73(第1電磁弁)が設けられ、空気供給管72には電磁弁74(第2電磁弁)が設けられている。制御装置は、風船10を膨張させる場合には、電磁弁73を開状態とし電磁弁74を閉状態とする(空気供給源61からの空気を空気供給管71を介して風船10に供給する)ように制御し、風船10の膨張を停止させる場合には、電磁弁73を閉状態とし電磁弁74を開状態とする(空気供給源61からの空気を空気供給管72から排出させる)ように制御する。電磁弁74を開状態とすると、空気供給管72の開口から空気が排出され、空気排出音が発生する。空気供給管72の開口(大気開放口)は、プレイフィールドPFの外部に配置してもよいし、プレイフィールドPF内に配置してもよく、プレーヤPが大気開放口からの空気排出音を知覚可能な位置に配置すればよい。
【0021】
図4は、空気供給管71及び風船割り機構90の詳細な構成を示す一部断面側面図である。空気供給管71の風船10内部に挿入された部分は、屈曲した形状を有している。
図4に示す例では、風船の口部11から風船10の中心に向けて水平方向に延びている空気供給管71は屈曲部75において下方に屈曲している。
【0022】
空気供給管71の屈曲部75よりも先端側(開口76側)の壁面には、孔77が形成されている。風船割り機構90は、孔77の下方に設けられ、風船10を割るための針91と、針91を往復(上下動)可能に収納(ガイド)するシリンダ92とを備えている。シリンダ92の先端は孔77に近接して配置される。空気供給管71の孔77は、風船割り機構90の針91を受け入れる受け入れ部として機能する。風船割り機構90の針91は、アクチュエータ93(ソレノイド)により上下方向に移動する。
図5に示すように、風船10を割る際には、針91は、シリンダ92の先端から突出する方向(上方向)に移動し、その先端が風船10の壁(周面)を貫通して孔77(受け入れ部)に進入するように動作する。
【0023】
図4、
図5に示すように、シリンダ92の先端を受け入れ部に近接して配置することで、オペレータやプレーヤPがシリンダ92の先端から突出した針91を誤って触ってしまうことを防ぐことができる。また、空気供給管71の先端側に受け入れ部を設けることで、風船10の口部11からある程度離れた位置において針91を風船10の壁に突き刺すことができるため、風船10を確実に破裂させることができる。また、空気供給管71(口部11に挿入された部分)を屈曲させ、屈曲部75よりも先端側の壁面に受け入れ部を設けることで、空気供給管71の壁面(受け入れ部周辺の壁面)と風船10の壁(受け入れ部に対向する位置の壁)との間の距離を接近させ、空気供給管71の壁面に風船10の壁を沿わせることができる。これにより、針91が風船10の壁を貫通する際に風船10の壁が撓んでしまうことを防止し、風船10の壁が空気供給管71の壁面に沿って張った状態で針91を突き刺すことができるため、風船10をより確実に破裂させることができ
る。また、空気供給管71を屈曲させることで、シリンダ92の先端を、膨らんだ状態の風船10と干渉させずに、より風船10の口部11から離れた位置であって空気供給管71の受け入れ部に近接した位置に配置することが容易となる。
【0024】
また、空気供給管71の内部には、孔77に進入した針91を開口76側から覆い隠すように形成された保護部材78が設けられている。保護部材78により、開口76からの侵入物(例えば、オペレータやプレーヤPの指など)が孔77に進入した針91に接触することを防止することができ、オペレータやプレーヤPが開口76から指を入れて針91を誤って触ってしまうことを防ぐことができる。
【0025】
また、ガイド部材80は、壁体2cに嵌め込まれる凹部を有する。空気供給管71はこの凹部の底面から突出するように設けられている。ガイド部材80は、膨張させた風船10の一部(口部11を含む一部)を凹部の内部空間(略直方体の空間)に収容するように支持する。これにより、膨張した状態の風船10を安定的に支持して、風船10の膨らみ方を安定させることができる。
【0026】
2.機能ブロック
図6に、本実施形態のゲームシステム(演出システム)の機能ブロック図の一例を示す。制御装置は、処理部100(プロセッサ)と記憶部140(メモリ)を含む。
【0027】
記憶部140は、処理部100の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するとともに、処理部100のワーク領域として機能し、その機能はハードディスク、RAMなどにより実現できる。
【0028】
処理部100は、タッチモジュール30からの検出信号とプロジェクタ20に備わるカメラの撮像画像に基づく入力情報(スクリーン3におけるプレーヤPのタッチ位置の座標情報)、プログラムなどに基づいて、ゲーム処理、風船10を割るゲーム演出を実行する処理、画像生成処理、音生成処理、などの処理を行う。処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部100は、ゲーム処理部110、電磁弁制御部112、風船割り制御部114、画像生成部120、音生成部130を含む。
【0029】
ゲーム処理部110は、入力情報に基づいてゲームを実行する。例えば、ゲーム処理部110は、ゲームストーリーの謎解きに関するヒントをプレーヤPに提示してプレーヤPが謎を解く謎解きゲームを実行してもよい。ゲーム処理部110は、所定の制限時間内にゲーム結果が所定条件を満たした(例えば、プレーヤPが謎を解いた)場合にゲームがクリアされたと判定する。
【0030】
電磁弁制御部112は、電磁弁73、74を動作させるドライバに制御信号を送信して電磁弁73、74の動作(開閉)を制御する。電磁弁制御部112は、ゲームが開始してから所定時間(所定の制限時間と同一でも異なっていてもよい)が経過するまでは、電磁弁73を開状態とするとともに電磁弁74を閉状態とし、所定時間が経過した場合に、電磁弁73を閉状態とするとともに電磁弁74を開状態とする制御を行う。
【0031】
風船割り制御部114は、アクチュエータ93のドライバに制御信号を送信して風船割り機構90の針91の動作(上下動)を制御する。風船割り制御部114は、所定の制限時間内にゲームがクリアされなかった場合に、所定時間の経過後(所定の制限時間の経過後)に、針91を、初期位置(
図4参照)から風船10の壁を貫通する位置(
図5参照)まで移動させる制御(風船10を割るゲーム演出を実行する制御)を行う。また、風船割り制御部114は、所定の制限時間内にゲームがクリアされた場合には、風船10を割る
ことを指示するプレーヤPの操作(スクリーン3に対するタッチ操作、或いは、ボタンなど他の入力部に対する操作)に基づいて、針91を初期位置から風船10の壁を貫通する位置まで移動させる制御を行う。
【0032】
画像生成部120は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて描画処理を行い、これによりゲーム画像(ゲーム画面)を生成し、プロジェクタ20(20a,20b)に出力する。音生成部130は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音又は音声などのゲーム音を生成し、スピーカ50(スピーカ50に接続されたアンプ)に出力する。また、処理部100は、空気供給源61の動作を制御する。また処理部100は、カメラ40の動作を制御して、カメラ40で撮影された動画を取得する。
【0033】
3.処理
図7は、制御装置(処理部100)の処理の流れを示すフローチャートである。ゲーム開始前に、オペレータは、しぼんだ状態の風船10を空気供給管71に取り付け固定しておく。
【0034】
まず、電磁弁制御部112は、電磁弁73(第1電磁弁)を開状態とし電磁弁74(第2電磁弁)を閉状態とする制御を行う(ステップS10)。次に、処理部100は、空気供給源61の動作を開始させる制御を行う(ステップS12)。
【0035】
次に、ゲーム処理部110は、入力情報に基づきゲームを実行し(ステップS14)、ゲーム開始から所定の制限時間が経過したか否かを判断する(ステップS16)。制限時間が経過した場合(ステップS16のY)には、電磁弁制御部112は、電磁弁73を閉状態とし電磁弁74を開状態とする制御を行い(ステップS18)、ゲーム処理部110は、ゲームがクリアされたか否かを判断する(ステップS20)。ゲームがクリアされた場合(ステップS20のY)には、ゲーム処理部110は、風船10を割ることを指示する入力があったか否かを判断する(ステップS22)。当該入力がなかった場合(ステップS22のN)には、処理部100は、空気供給源61の動作を停止させる制御を行う(ステップS23)。
【0036】
ゲームがクリアされなかった場合(ステップS20のN)、風船10を割ることを指示する入力があった場合(ステップS22のY)には、処理部100は、カメラ40による動画の撮影を開始する制御を行い(ステップS24)、また、スクリーン3に、風船10が割れるまでの残り時間をカウントダウン表示させる制御を行う。次に、風船割り制御部114は、風船割り機構90の針91を移動させて風船10を割る演出を実行し(ステップS26)、同時に、処理部100は、空気供給源61の動作を停止させる制御を行う(ステップS28)。次に、処理部100は、カメラ40による動画の撮影を停止する制御を行い、撮影された動画(風船10を割る演出の実行前後の様子を撮影した動画)を取得する(ステップS30)。ステップS30で取得した動画はサーバにアップロードされ、例えばオペレータ端末(タブレット型端末)に、当該動画をサーバからダウンロードするための二次元バーコードが表示される。プレーヤPは、当該二次元バーコードをスマートフォン等で読み取って当該動画を取得することができる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、所定の制限時間内にゲームがクリアされなかった場合に膨張させた風船10を割るという従来にはない新しい演出を実行することが可能なゲームシステムを提供することができる。また、本実施形態によれば、所定時間が経過するまでは風船10を膨張させ、所定時間が経過した場合に、空気供給管71による風船10への空気の供給を止め、空気供給管72から空気を排出させて空気排出音を発生させることで、風船10の膨張を止めた後においても、空気排出音によって、あたかも風船10
が膨張し続けているような感覚をプレーヤに与えることができ、風船10が意図しないタイミングで割れることを防止しつつ効果的な演出を行うことができる。また、本実施形態によれば、制限時間内にゲームがクリアされたため風船を割る演出が実行されなかった場合でも、プレーヤは、所定の操作を行うことで当該演出を体験することができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語として引用された用語は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。
【0039】
例えば、上記実施形態では、風船割り機構の一例として針を備えた機構について説明したが、風船割り機構の構成はこれに限定されない。例えば、風船割り機構として、風船の壁(周面)を引っ掻いて風船を破裂させるための部材を備えた機構を用いてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、風船割り機構を用いて風船を割る構成について説明したが、風船に空気を供給し続けることで風船を割るように構成してもよい。この構成では、所定の制限時間内にゲームがクリアされなかった場合には、風船が破裂するまで風船への空気供給を継続し、所定の制限時間内にゲームがクリアされた場合には、風船が破裂すると見込まれる時間以前に風船への空気供給を停止する制御を行えばよい。
【0041】
また、上記実施形態では、第1空気供給管に第1電磁弁を設け、第2空気供給管に第2電磁弁を設ける場合について説明したが、第1空気供給管と第2空気供給管のそれぞれに電磁弁(2方向電磁弁)を設けることに代えて、空気供給管の分岐点に3方向電磁弁を設けるように構成してもよい。すなわち、
図8に示すように、空気供給管70が空気供給管71と空気供給管72とに分岐する位置に、空気供給管71及び空気供給管72のうちの一方の流路を導通させる3方向電磁弁79を設けてもよい。この場合、制御装置は、風船10を膨張させる場合には、空気供給管71を導通させる制御を行い、風船10の膨張を停止させる場合には、空気供給管72を導通させる制御を行う。