(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、調理中に誤ってバーナの点消火スイッチや主電源スイッチが操作されると、バーナが消火されて調理が中断される。このような調理の中断が自動調理の実行中に生じた場合、手動で調理を再開させるには、中断時点における被調理物の調理状態や既に経過した経過時間から必要とされる残りの加熱時間や再開後の火力を使用者が判断しなければならず、非常に困難である。このため、自動調理の実行中に誤って自動調理が中断された場合でも、短い中断時間であれば、バーナの再点火により自動調理へ復帰させることができる加熱調理器が望まれている。
【0006】
一方、燃焼安全装置としてバーナの炎孔近傍にバーナからの燃焼炎で加熱されて起電力を生じる熱電対を配置し、熱電対からの出力値に応じてバーナの点消火を判定する加熱調理器が知られている。自動調理の中断時にはバーナは消火されているから、自動調理の継続を望む場合、使用者はバーナを再点火させるために少なくとも点消火スイッチで点火操作を行う。そのため、点火操作を行うことにより自動調理が再開され、その点火処理において熱電対の起電力が着火検知レベル未満となる着火不良が生じると、バーナの未点火を認識した使用者は、再度、点消火スイッチの消火操作及び点火操作を試みる。
【0007】
しかしながら、自動調理機能を有する加熱調理器では、使用者が誤って自動調理を開始させたり、設定入力手段での加熱条件の設定を誤ったりした場合に自動調理を終了させるため、自動調理開始から一定時間は、自動調理が中断されても、自動調理への復帰を無効とする必要がある。また、既述したバーナの点火後、所定時間内であれば、設定入力手段による加熱条件の変更を受け付ける加熱調理器でも、変更を受け付けるためにその所定時間内は元の自動調理への復帰を無効とする必要がある。そのため、このような自動調理が開始されてから一定時間が経過するまでは自動調理への復帰が無効とされる加熱調理器の場合、上記したような自動調理の再開後、着火不良が生じて消火操作が行われると、自動調理へ復帰できないという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、自動調理機能及び自動調理復帰機能を有する加熱調理器において、使い勝手及び調理性能の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面によれば、
被調理物を加熱するバーナと、
バーナの点消火を操作する点消火手段と、
バーナからの燃焼炎の熱によって起電力を生じさせる熱電対と、
器具本体の主電源のオンオフを操作する電源操作手段と、
被調理物の加熱方法や加熱時間を含む加熱条件を設定入力する設定入力手段と、
設定入力手段にて設定された加熱条件に基づいてバーナの火力や加熱時間を調整する自動調理動作の制御手段と、
熱電対から出力される起電力によりバーナの点消火を判定する点消火判定手段と、
自動調理実行中にバーナの消火操作または主電源のオフ操作のいずれかの自動調理中断操作がなされたかどうかを判定する自動調理中断操作判定手段と、
自動調理中断操作がなされてから、自動調理中断操作に応じたバーナの点火操作または主電源のオン操作後のバーナの点火操作のいずれかの自動調理復帰操作がなされるまでの中断時間が自動調理を再開可能な所定の復帰制限時間内であるかどうかを判定する復帰制限時間計時手段と、
バーナの点火操作がなされて自動調理の開始または再開がされてから、所定の無効時間が経過するまで、自動調理復帰機能を無効とする復帰機能無効手段と、を備え、
自動調理実行中に第1自動調理中断操作がなされると自動調理を中断させ、
第1自動調理中断操作によって自動調理が中断された後の第1自動調理復帰操作が、無効時間の経過後で、且つ復帰制限時間内になされれば、自動調理を再開させ、
第1自動調理復帰操作がなされて自動調理が再開されたとき、熱電対の起電力が所定の着火検知レベル未満となり、さらに第2自動調理中断操作であるバーナの消火操作がなされると自動調理を中断させ、
第2自動調理中断操作後、第2自動調理復帰操作であるバーナの点火操作がなされると、第1自動調理復帰操作からの無効時間を計時することなく、第2自動調理復帰操作が第2自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間内であれば、自動調理を再開させる制御構成を有する加熱調理器が提供される。
【0010】
上記加熱調理器によれば、自動調理中に意図せず点消火手段の消火操作または主電源のオフ操作の自動調理中断操作がなされて自動調理が中断されても、所定の無効時間経過後で、且つ所定の復帰制限時間内に自動調理復帰操作を行ってバーナを再点火させれば、引き続き自動調理を中断時の状態から再開させる自動調理復帰機能を備えているから、復帰後の残りの加熱時間やバーナの火力を使用者が判断する必要がない。また、上記加熱調理器では、バーナの点火操作がなされて自動調理の開始または再開がされてから所定の無効時間が経過するまでは自動調理中断操作が行われても自動調理への復帰を無効とするから、自動調理が誤設定された場合の調理初期の自動調理の中止や加熱条件の設定を変更する時間を確保できる。
【0011】
一方、上記加熱調理器では、自動調理の再開から無効時間が経過するまでは自動調理復帰機能が無効とされるから、第1自動調理中断操作後の第1自動調理復帰操作が、無効時間の経過後で、且つ復帰制限時間内になされて、自動調理が再開されると、第1自動調理復帰操作から無効時間が経過するまで自動調理への復帰が制限される。この第1自動調理復帰操作がなされて自動調理が再開されたときに熱電対の起電力が所定の着火検知レベル未満になる着火不良が生じると、第1自動調理復帰操作を行った使用者は加熱調理器近傍にいるから、通常、使用者は第2自動調理中断操作であるバーナの消火操作及び第2自動調理復帰操作であるバーナの点火操作を第1自動調理復帰操作から短時間内に行う。その結果、第2自動調理中断操作で中断された自動調理を復帰させる第2自動調理復帰操作が、第1自動調理復帰操作からの無効時間内に行われて、自動調理に復帰させることができないという問題がある。
【0012】
しかしながら、上記加熱調理器によれば、第2自動調理中断操作後、第2自動調理復帰操作であるバーナの点火操作がなされると、第1自動調理復帰操作からの無効時間を計時することなく、第2自動調理復帰操作が第2自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間内であれば、自動調理を再開させるから、第1自動調理復帰操作で着火不良が生じた場合でも、再度、自動調理へ復帰させることができる。
【0013】
本発明の他の一局面によれば、
被調理物を加熱するバーナと、
バーナの点消火を操作する点消火手段と、
バーナからの燃焼炎の熱によって起電力を生じさせる熱電対と、
器具本体の主電源のオンオフを操作する電源操作手段と、
被調理物の加熱方法や加熱時間を含む加熱条件を設定入力する設定入力手段と、
設定入力手段にて設定された加熱条件に基づいてバーナの火力や加熱時間を調整する自動調理動作の制御手段と、
熱電対から出力される起電力によりバーナの点消火を判定する点消火判定手段と、
自動調理実行中にバーナの消火操作または主電源のオフ操作のいずれかの自動調理中断操作がなされたかどうかを判定する自動調理中断操作判定手段と、
自動調理中断操作がなされてから、自動調理中断操作に応じたバーナの点火操作または主電源のオン操作後のバーナの点火操作のいずれかの自動調理復帰操作がなされるまでの中断時間が自動調理を再開可能な所定の復帰制限時間内であるかどうかを判定する復帰制限時間計時手段と、
バーナの点火操作がなされて自動調理の開始または再開がされてから、所定の無効時間が経過するまで、自動調理復帰機能を無効とする復帰機能無効手段と、を備え、
自動調理実行中に第1自動調理中断操作がなされると自動調理を中断させ、
第1自動調理中断操作によって自動調理が中断された後の第1自動調理復帰操作が、無効時間の経過後で、且つ復帰制限時間内になされれば、自動調理を再開させ、
第1自動調理復帰操作がなされて自動調理が再開されたとき、熱電対の起電力が所定の着火検知レベル未満となり、さらに第2自動調理中断操作であるバーナの消火操作がなされると自動調理を中断させ、
第2自動調理中断操作後、第2自動調理復帰操作であるバーナの点火操作がなされると、第1自動調理復帰操作からの無効時間内であっても、第2自動調理復帰操作が第1自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間内であるか、または第2自動調理復帰操作が第1自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間を経過しているが、第2自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間内であれば、自動調理を再開させる制御構成を有する加熱調理器が提供される。
【0014】
上記加熱調理器によれば、自動調理中に意図せず点消火手段の消火操作または主電源のオフ操作の自動調理中断操作がなされて自動調理が中断されても、所定の無効時間経過後で、且つ所定の復帰制限時間内に自動調理復帰操作を行ってバーナを再点火させれば、引き続き自動調理を中断時の状態から再開させる自動調理復帰機能を備えているから、復帰後の残りの加熱時間やバーナの火力を使用者が判断する必要がない。また、上記加熱調理器では、バーナの点火操作がなされて自動調理の開始または再開がされてから所定の無効時間が経過するまでは自動調理中断操作が行われても自動調理への復帰を無効とするから、自動調理が誤設定された場合の調理初期の自動調理の中止や加熱条件の設定を変更する時間を確保できる。
【0015】
一方、上記加熱調理器では、自動調理の再開から無効時間が経過するまでは自動調理復帰機能が無効とされるから、第1自動調理中断操作後の第1自動調理復帰操作が、無効時間の経過後で、且つ復帰制限時間内になされて、自動調理を再開させると、第1自動調理復帰操作から無効時間が経過するまで自動調理への復帰が制限される。この第1自動調理復帰操作がなされて自動調理が再開されたときに熱電対の起電力が所定の着火検知レベル未満になって着火不良が生じると、第1自動調理復帰操作を行った使用者は加熱調理器近傍にいるから、通常、使用者は第2自動調理中断操作であるバーナの消火操作及び第2自動調理復帰操作であるバーナの点火操作を第1自動調理復帰操作から短時間内に行う。その結果、第2自動調理中断操作で中断された自動調理を復帰させる第2自動調理復帰操作が、第1自動調理復帰操作からの無効時間内に行われて、自動調理に復帰させることができないという問題がある。
【0016】
しかしながら、上記加熱調理器によれば、第2自動調理中断操作後、第2自動調理復帰操作であるバーナの点火操作がなされると、第1自動調理復帰操作からの無効時間内であっても、第2自動調理復帰操作が第1自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間内であるか、または第2自動調理復帰操作が第1自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間を経過しているが、第2自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間内であれば、自動調理を再開させるから、第1自動調理復帰操作で着火不良が生じた場合でも、再度、自動調理へ復帰させることができる。
【0017】
好ましくは、上記他の一局面に係る加熱調理器において、
第2自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間は、第1自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間よりも短時間に設定される。
【0018】
第2自動調理復帰操作が第1自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間を経過しているが、第2自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間内であれば、自動調理を再開させる場合、自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間を固定すると、第1自動調理中断操作から被調理物が長時間、加熱されず、被調理物の温度が低下した状態から自動調理が再開され、食味が低下する可能性がある。
しかしながら、上記加熱調理器によれば、第2自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間は、第1自動調理中断操作がなされたときの復帰制限時間よりも短時間に設定されるため、調理物の温度の低下の少ない状態から自動調理を再開させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、自動調理中に意図せず点消火手段の消火操作や主電源のオフ操作の自動調理中断操作が行われても、調理を継続させる場合に、復帰後のバーナの火力や加熱時間を使用者が判断して設定する必要がない。また、自動調理の復帰時に熱電対によるバーナの着火不良が検知されても、自動調理を再開させることができる。従って、本発明によれば、自動調理機能及び自動調理復帰機能を有する加熱調理器において、使い勝手及び調理性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態に係る加熱調理器を具体的に説明する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、加熱調理器は、天板11の上面に単数または複数のコンロバーナ21を有するガスコンロであって、本体ケース10には、食材のグリル調理を行うためのグリル庫30が設けられている。また、グリル庫30の内部には、単数または複数のグリルバーナ31が組み込まれている。なお、本明細書では、本体ケース10の前面(本体前面)13を加熱調理器の正面とし、加熱調理器を正面側から見たときの本体ケース10の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0023】
コンロバーナ21及びグリルバーナ31は、何れもガスの燃焼排ガスを熱源として被調理物である食材や調理容器などを加熱するバーナであり、ガス配管から供給されるガスを空気と混合して着火させ、燃焼排ガスを生成する。
【0024】
天板11の上面におけるコンロバーナ21の外周には、鍋やフライパンなどの調理容器を下方から支持する五徳22が載置されている。また、コンロバーナ21の中央部には、五徳22上に載置された調理容器の底部に当接し、容器底面の温度を検出する鍋底温度センサ23が設けられている。さらに、コンロバーナ21の炎孔近傍には、炎孔に形成される燃焼炎で加熱されて起電力を出力する熱電対24と、炎孔近傍で火花放電させる点火プラグ(図示せず)とが設けられている。
【0025】
天板11の下面側の中央前寄りの位置には、加熱調理器の動作情報や後述する設定入力スイッチ46により設定された加熱条件を表示する報知手段としての情報表示部41が設けられている。また、本体ケース10の内部には、加熱調理器の動作情報を音声にて報知する報知手段としての音声出力部42が組み込まれている。
【0026】
グリル庫30内の後部(奥側)には、庫内の温度を検出する庫内温度センサ33が設けられている。また、グリルバーナ31の炎孔近傍には、炎孔に形成される燃焼炎で加熱されて起電力を出力する熱電対34が設けられている。
【0027】
本体前面13には、加熱調理器の主電源のオン及びオフを手動操作するための電源操作手段としての電源スイッチ43と、コンロバーナ21の点火や消火、火力を手動操作するための点消火手段としてのコンロ点消火操作子44と、グリルバーナ31の点火や消火、火力を手動操作するための点消火手段としてのグリル点消火操作子45とが設けられている。なお、上記加熱調理器では、本体前面13におけるグリル庫30の右側に電源スイッチ43及びコンロ点消火操作子44が配設され、本体前面13におけるグリル庫30の左側にグリル点消火操作子45が配設されている。
【0028】
また、本体前面13には、下辺部を軸として前後に開閉する開閉扉14が設けられており、さらに開閉扉14の内側には、コンロバーナ21及びグリルバーナ31による被調理物の加熱条件を設定入力するための設定入力手段として設定操作パネル40が設けられている。具体的には、本体前面13には、開閉扉14を開くことで本体ケース10の前方へ露出し、開閉扉14を閉じることで本体ケース10の内部に格納隠蔽される設定操作パネル40が設けられている。なお、上記加熱調理器では、本体前面13におけるコンロ点消火操作子44の配設部下方にコンロバーナ21用の設定操作パネル40が組み込まれ、本体前面13におけるグリル点消火操作子45の配設部下方にグリルバーナ31用の設定操作パネル40が組み込まれている。
【0029】
電源スイッチ43は、常に本体前面13よりも前方へ突出した状態で設けられており、一回押されるごとに加熱調理器の主電源がオンの状態とオフの状態とで交互に切り替わる。
【0030】
コンロ点消火操作子44及びグリル点消火操作子45は、本体ケース10内に埋没した消火状態(
図1中の「中央のコンロ点消火操作子44、左側のコンロ点消火操作子44、グリル点消火操作子45」の状態)からさらに後方へ押し込むことで、本体前面13より前方へ突出して点火状態(
図1中の「右側のコンロ点消火操作子44」の状態)になり、点火状態から再び後方へ押し戻すことで、上記消火状態になる。
【0031】
コンロ点消火操作子44及びグリル点消火操作子45にはそれぞれ、点火操作によりオンとなり、消火操作によりオフとなるオルタネートスイッチと、複数(例えば、9つ)の接点を有するロータリースイッチとが設けられており、点火操作がなされた後、左右に回動させれば、その回動位置に対応する火力が設定される。
【0032】
設定操作パネル40には、被調理物の加熱方法(調理モード)や加熱時間、加熱温度など自動調理の加熱条件を設定入力する設定入力手段としての設定入力スイッチ46と、設定入力スイッチ46により設定された加熱時間や加熱温度を表示する設定表示部47とが設けられている。
【0033】
設定入力スイッチ46は、湯沸し、煮物、揚物、炊飯などの調理モードを選択し設定するための調理モード設定スイッチ、被調理物の加熱時間を設定するためのタイマ設定スイッチ、被調理物の加熱温度を設定するための温度設定スイッチ、設定された加熱時間や加熱温度を加減するための加減スイッチなどからなり、これら各スイッチを用いて被調理物の加熱条件が設定入力される。
【0034】
図3に示すように、本体ケース10の内部には、コンロ点消火操作子44による点消火操作や火力設定操作に応じてコンロバーナ21へのガスの供給量を調整するコンロバーナ21用のバルブユニット25と、グリル点消火操作子45による点消火操作や火力設定操作に応じてグリルバーナ31へのガスの供給量を調整するグリルバーナ31用のバルブユニット35とが組み込まれている。
【0035】
コンロバーナ21用のバルブユニット25は、コンロ点消火操作子44で点火操作がなされれば開弁し、熱電対24の出力値が所定の点火検知レベル未満になれば閉じる電磁開閉弁、コンロ点消火操作子44で点火操作がなされれば開弁し、消火操作がなされれば閉弁する主弁、コンロ点消火操作子44の火力設定操作に合わせて開度調整されるニードル弁、制御回路50からの火力変更の指示に応じて開度が切り替わる火力切替弁などからなり、これら各弁体によってコンロバーナ21へのガスの供給量が適宜調整される。グリルバーナ31用のバルブユニット35も同様に、グリル点消火操作子45で点火操作がなされれば開弁し、熱電対34の出力値が所定の点火検知レベル未満になれば閉じる電磁開閉弁、グリル点消火操作子45で点火操作がなされれば開弁し、消火操作がなされれば閉弁する主弁、グリル点消火操作子45の火力設定操作に合わせて開度調整されるニードル弁、制御回路50からの火力変更の指示に応じて開度が切り替わる火力切替弁などからなり、これら各弁体によってグリルバーナ31へのガスの供給量が適宜調整される。
【0036】
本体ケース10の内部には、加熱調理器全体の動作を制御する制御回路50が組み込まれている。制御回路50は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等を有する電子回路ユニットである。鍋底温度センサ23、熱電対24,34、庫内温度センサ33、バルブユニット25,35、情報表示部41、音声出力部42、電源スイッチ43、コンロ点消火操作子44、グリル点消火操作子45、設定入力スイッチ46、及び設定表示部47はそれぞれ、電気配線を通じて制御回路50に接続されている。制御回路50は、これらの入力データを使用して、予め実装されたプログラムを実行することで機器を制御する。
【0037】
また、図示しないが、制御回路50は、機能的構成手段として、各バーナ21,31の点火や消火、火力設定を行うバーナ制御部、情報表示部41及び設定表示部47の表示を制御する表示制御部、音声出力部42の音声出力を制御する音声制御部、熱電対24,34の出力値に基づいて各バーナ21,31の点火や消火を判定する点消火判定部、鍋底温度センサ23の検出温度に基づいて五徳22上に載置された調理容器の温度状態を判定する鍋温度判定部、庫内温度センサ33の検出温度に基づいてグリル庫30内の温度状態を判定する庫内温度判定部、設定入力スイッチ46により設定された加熱条件に基づいてバーナ21,31の火力や燃焼時間を自動で調整する自動調理機能の動作制御部等の回路構成を有している。
【0038】
さらに、制御回路50は、選択された調理モードやバーナ21,31の設定火力、加熱時間など自動調理実行中における加熱調理器の動作情報を記憶する記憶部、自動調理実行中のバーナ21,31の燃焼時間が設定燃焼時間を経過したかどうかを判定する燃焼時間計時部、自動調理実行中の加熱時間が設定燃焼時間に設定余熱調理時間を加算した設定加熱時間を経過したかどうかを判定する加熱時間計時部、自動調理が開始または再開されてからの経過時間が所定の変更制限時間を経過したかどうかを判定する変更制限時間計時部、自動調理実行中に所定の自動調理中断操作がなされたかどうかを判定する自動調理中断操作判定部、自動調理中断中に、自動調理中断操作に応じた自動調理復帰操作がなされたかどうかを判定する自動調理復帰操作判定部、変更制限時間が経過するまで、自動調理復帰機能を無効とする復帰機能無効部、自動調理実行中、自動調理中断操作が行われるごとに、自動調理中断操作がなされてから自動調理復帰操作がなされるまでの中断時間が所定の復帰制限時間内であるかどうかを判定する復帰制限時間計時部、第1自動調理復帰操作がなされて自動調理が再開されたときに熱電対24,34の起電力が着火検知レベル未満である場合、さらに第2自動調理中断操作及び第2自動調理復帰操作がなされると、第1自動調理復帰操作がなされてからの変更制限時間の計時を中止させる無効時間計時中止部、自動調理実行中、設定加熱時間よりも前の設定燃焼時間を経過すると自動調理復帰機能を無効とする終了時無効部等の回路構成を有している。
【0039】
次に、
図4〜
図6に示すフローチャートを参照して、コンロバーナ21で自動調理実行中に自動調理中断操作がなされた場合の制御動作を説明する。なお、自動調理実行中に電源スイッチ43で主電源のオフ操作により自動調理が中断されたときに自動調理へ復帰させる場合の制御動作は、コンロ点消火操作子44の点火操作前に自動調理復帰操作として電源スイッチ43のオン操作がなされたかどうかを判定する以外、コンロ点消火操作子44の消火操作により自動調理が中断されたときのそれと同様である。このため、以下では、主として自動調理実行中にコンロ点消火操作子44の消火操作により自動調理が中断された場合を例に挙げて説明する。
【0040】
電源スイッチ43により主電源のオン操作がなされると(ステップST1で、Yes)、制御回路50の主制御プログラムが起動し、各バーナ21,31が点火可能な状態となる。
【0041】
その後、例えば、コンロバーナ21に対応する設定入力スイッチ46の調理モード設定スイッチによって自動調理の調理モード等が設定されると、設定された自動調理に応じた加熱時間や火力等の加熱条件が読み込まれ、自動調理モードの制御プログラムが起動される(ステップST2)。
【0042】
次いで、対応するコンロ点消火操作子44で点火操作がなされると(ステップST3で、Yes)、自動調理を開始させ、設定燃焼時間及び設定加熱時間を計時するためにタイマta、並びに所定の変更制限時間(例えば、90秒間)内の自動調理の中止や他の調理モードへの変更を可能とするためにタイマt0をスタートさせて、所定の点火処理が行われる(ステップST4〜ST6)。この点火処理では、点火プラグから火花放電が開始されるとともに、対応するバルブユニット25の電磁開閉弁及び主弁が開弁され、且つ上記点火操作に連動してニードル弁の開度が所定の点火時開度に調整される。その結果、コンロバーナ21に設定量のガスが空気とともに供給され、上記火花放電によりコンロバーナ21が点火される。そして、所定の着火時間が経過するまでに、対応する熱電対24の出力値が所定の着火検知レベル以上になると、点火プラグからの火花放電を停止させ、自動調理の経過時間が設定燃焼時間(例えば、10分)に達したか否かの監視を開始させる(ステップST7)。また、図示しないが、情報表示部41に調理が終了するまでの残調理時間(設定加熱時間)を表示させる。なお、図示しないが、着火時間が経過しても、熱電対24の出力値が着火検知レベル未満であれば、点火処理を終了して、情報表示部41及び音声出力部42から着火不良を報知させる。
【0043】
自動調理実行中、コンロ点消火操作子44での消火操作または電源スイッチ43でのオフ操作のいずれかの自動調理中断操作がなされることなく、自動調理の経過時間が設定燃焼時間に達した場合(ステップST7で、Yes)、対応するバルブユニット25の電磁開閉弁を閉じてコンロバーナ21へのガスの供給を強制的に停止して消火させ、設定加熱時間(設定燃焼時間と設定余熱調理時間(例えば、30秒間)の合計時間)が経過するまで、自動調理復帰機能を無効とする(ステップST8〜ST9)。これにより、余熱調理が開始された後、設定加熱時間に達するまでに、使用者が被調理物の調理状態を確認して、コンロ点消火操作子44の消火操作または電源スイッチ43の主電源のオフ操作のいずれかの自動調理中断操作を行った場合(ステップST12で、Yes)、自動調理への復帰を喚起する情報表示部41の表示メッセージや音声出力部42からの音声は報知されないから、使用者に自動調理が継続している違和感を与えないし、大きな表示や音声による圧迫感も与えない。
【0044】
余熱調理時間中、自動調理中断操作がなされることなく、設定加熱時間が経過すると、情報表示部41及び音声出力部42からそれぞれ、「自動調理が終了した」旨を表示データ及び音声により報知させる。なお、余熱調理時間中に自動調理中断操作がなされた場合、自動調理を終了させる使用者の意図により消火操作等がなされているため、情報表示部41の全表示をオフにして、運転を終了させる。
【0045】
一方、自動調理実行中、設定燃焼時間を経過するまでの間に対応するコンロ点消火操作子44で第1自動調理中断操作である消火操作がなされた場合(ステップST11で、Yes)、上記と同様にして、対応するコンロバーナ21を消火させる(ステップST21)。また、コンロバーナ21が意図せず消火されて自動調理が中断された場合に、第1自動調理中断操作がなされてから第1自動調理復帰操作であるコンロバーナ21の点火操作がなされるまでの中断時間が復帰制限時間(例えば、15秒間)内であるかどうかを判定するためにタイマt1をスタートさせる(ステップST22)。さらに、図示しないが、自動調理への復帰を喚起するために、情報表示部41や音声出力部42から「自動調理が中断された」こと、自動調理が取り消されるまでの残り時間(復帰制限時間)、及び自動調理を再開させるための復帰手順(例えば、「自動調理を続ける場合には、15秒以内に再点火をしてください」)を報知する。
【0046】
次いで、コンロバーナ21を再点火して自動調理へ復帰させるために対応するコンロ点消火操作子44で第1自動調理復帰操作である点火操作がなされると(ステップST23で、Yes)、タイマt0が変更制限時間内であるかどうかが判定される(ステップST24)。タイマt0が変更制限時間内であれば(ステップST24で、No)、初回の点火から短時間内にコンロ点消火操作子44で消火操作及び点火操作がなされているから、使用者が誤って自動調理を開始させたと判断できる。このため、自動調理へ復帰させることなく、自動調理モードの制御プログラムから抜け出し、通常の点火処理が行われる(ステップST26)。これにより、使用者は、自らの判断により調理を継続させることができる。このとき、情報表示部41や音声出力部42から「自動調理を取り消した」旨を報知させてもよい。
【0047】
また、タイマt0が変更制限時間を経過している場合、タイマt1が復帰制限時間内かどうかが判定される(ステップST25)。タイマt1が復帰制限時間を経過している場合(ステップST25で、No)、所定時間以上の自動調理の中断により被調理物の温度が低下して、自動調理へ復帰させても中断前と同じ加熱条件では加熱不足になる可能性が高い。このため、上記と同様に、自動調理モードの制御プログラムから抜け出し、通常の点火処理が行われる(ステップST26)。
【0048】
第1自動調理復帰操作がなされたときに、タイマt0が変更制限時間を経過しており、タイマt1が復帰制限時間内であれば(ステップST24及びST25で、Yes)、自動調理が再開され、第1自動調理復帰操作であるコンロバーナ21の点火操作を行ってからの新たな変更制限時間を計時するために、タイマt0をリセットして、新たなタイマt0をスタートさせる(ステップST27〜ST28)。次いで、上記の初回の点火処理と同様にして、コンロバーナ21の点火処理が行われる(ステップST29)。このとき、対応する熱電対24の出力値が着火検知レベル以上であれば(ステップST30で、No)、点火処理を終了させ、自動調理が継続される。
【0049】
一方、対応する熱電対24の出力値が着火検知レベル未満であれば(ステップST30で、Yes)、情報表示部41及び音声出力部42から着火不良を報知させる(ステップST31)。この着火不良は第1自動調理復帰操作を行うときに生じるものであるから、ガスコンロ近傍で操作を行っている使用者は直ぐに着火不良が生じたことを認識できる。そして、このような着火不良を認識した使用者は、対応するコンロ点消火操作子44で第2自動調理中断操作である再消火操作及び第2自動調理復帰操作である再々点火操作を行う(ステップST41及びST44)。このコンロ点消火操作子44の再消火操作は、通常、第1自動調理復帰操作がなされてから自動調理復帰機能が無効とされる変更制限時間内の短時間に行われるから、コンロ点消火操作子44で再々点火操作がなされると、タイマt0は変更制限時間内となり、通常の点火処理として実行され、自動調理への復帰が実行されない。
【0050】
このため、本実施の形態では、第1自動調理復帰操作がなされて自動調理を再開させたとき、対応する熱電対24の出力値が着火検知レベル未満となり、さらにコンロ点消火操作子44で第2自動調理中断操作である再消火操作がなされると、新たなタイマt1をスタートさせ、さらに第2自動調理復帰操作である再々点火操作がなされると、第1自動調理復帰操作がなされてからの自動調理への復帰を無効とする無効時間である変更制限時間を判定するためのタイマt0を計時せず、第2自動調理復帰操作がなされてからの中断時間を計時するタイマt1が復帰制限時間内であるかどうかだけを判定する(ステップST41〜ST45)。これにより、中断時間が復帰制限時間内であれば、自動調理へ復帰させることができる(ステップST46)。このとき、図示しないが、情報表示部41に自動調理が終了するまでの残調理時間を再表示させる。次いで、上記と同様に、点火処理が実行され、自動調理が継続させる。
【0051】
使用者が第2自動調理復帰操作であるバーナ21の再々点火操作を行ったが、タイマt1が復帰制限時間を経過している場合、自動調理へ復帰させても、設定された加熱条件では被調理物を十分に加熱できなくなる。このため、上記と同様に、自動調理の制御プログラムから抜け出し、通常の点火処理が行われる(ステップST48)。このとき、情報表示部41や音声出力部42から「自動調理を取り消した」旨を報知させてもよい。
【0052】
以上のように、本実施の形態の加熱調理器は、自動調理中に意図せず点消火操作子44,45の消火操作または電源スイッチ43のオフ操作の自動調理中断操作がなされて自動調理が中断されても、無効時間である変更制限時間経過後で、且つ復帰制限時間内に自動調理復帰操作を行ってバーナ21,31を再点火させれば、引き続き自動調理を中断時の状態から再開させる自動調理復帰機能を備えているから、復帰後の残りの加熱時間やバーナ21,31の火力を使用者が判断する必要がない。また、上記加熱調理器では、バーナ21,31の点火操作がなされて自動調理の開始または再開がされてから変更制限時間を経過するまでは自動調理中断操作が行われても自動調理への復帰を無効とするから、自動調理が誤設定された場合の調理初期の自動調理の中止や加熱条件の設定を変更する時間を確保できる。
【0053】
また、上記のように、第1自動調理復帰操作がなされて自動調理が再開されたときに熱電対24,34の起電力が所定の着火検知レベル未満になって、第2自動調理中断操作であるバーナ21,31の消火操作がなされると、再開された自動調理が中断される。この第2自動調理中断操作は第1自動調理復帰操作を行うときに生ずるものであるから、ガスコンロ近傍にいる使用者は、自動調理を再開させるための第2自動調理復帰操作であるバーナ21,31の点火操作を、通常、第1自動調理復帰操作から短時間内に行う。そのため、第2自動調理復帰操作が第1自動調理復帰操作がなされてからの無効時間内に行われたとき、第1自動調理復帰操作がなされたときと同一の制御動作では、自動調理に復帰させることができないという問題がある。
【0054】
しかしながら、上記加熱調理器によれば、第2自動調理中断操作後、第2自動調理復帰操作であるバーナ21,31の点火操作がなされると、第1自動調理復帰操作からの無効時間である変更制限時間は計時されず、自動調理への復帰の無効判定が解除されているから、着火不良が生じた場合でも、自動調理へ復帰させることができる。これにより、本実施の形態の加熱調理器は、使用者の使い勝手を向上させることができるとともに、調理の仕上がりのばらつきも抑えることができる。
【0055】
(実施の形態2)
本実施の形態の加熱調理器は、実施の形態1において、第1自動調理復帰操作がなされて自動調理が再開されたときに熱電対24の起電力が着火検知レベル未満となり、さらに点消火操作子44,45で第2自動調理中断操作である再消火操作及び第2自動調理復帰操作である再々点火操作がなされた場合、自動調理へ復帰させるかどうかを判定するにあたって、第1自動調理復帰操作からの変更制限時間内であるかを判定し、さらに第1自動調理中断操作がなされてからの中断時間が復帰制限時間内であるか、また第2自動調理中断操作がなされてからの中断時間が復帰制限時間内であるかを判定する点以外は、上記実施の形態1と同様である。このため、異なる点のみを説明し、同一の部分については説明を省略する。
【0056】
本実施の形態の加熱調理器は、実施の形態1と同様の構成を備えているが、制御回路50の機能的構成手段として、自動調理実行中、自動調理中断操作が行われるごとに、自動調理中断操作がなされた時間を記憶する中断処理時間記憶部と、実施の形態1の復帰機能無効部の代わりに、第1自動調理中断操作が行われた時点からの経過時間が自動調理を再開可能な所定の復帰制限時間に達したかどうかを判定する第1復帰制限時間計時部と、第2自動調理中断操作が行われた時点からの経過時間が自動調理を再開可能な所定の復帰制限時間に達したかどうかを判定する第2復帰制限時間計時部を備える。
【0057】
図7〜
図9は、本実施の形態の加熱調理器のコンロバーナ21で自動調理実行中に対応するコンロ点消火操作子44による消火操作の自動調理中断操作がなされた場合の制御動作を示すフローチャートである。
実施の形態1と同様に、使用者が設定入力スイッチ46で調理モード等を設定して、自動調理が開始されると、設定燃焼時間が経過するまで、第1自動調理中断操作が行われたかどうかが判定される(ステップST101〜ST107及びST111)。自動調理実行中に第1自動調理中断操作がなされると、復帰制限時間(例えば、15秒間)を判定するためにタイマt1をスタートさせる(ステップST122)。そして、第1自動調理復帰操作がなされたときに、タイマt0が変更制限時間(例えば、90秒間)を経過しているが、タイマt1が復帰制限時間内であれば(ステップST124及びST125で、Yes)、自動調理が再開され、第1自動調理復帰操作であるコンロバーナ21の点火操作を行ってからの新たな変更制限時間を計時するために、タイマt0をリセットして、新たなタイマt0をスタートさせる(ステップST127〜ST128)。このとき、初回の点火処理と同様に、対応する熱電対24の出力値が着火検知レベル以上であれば(ステップST130で、No)、点火処理を終了させ、自動調理が継続される。
【0058】
既述したように、対応する熱電対24の出力値が着火検知レベル未満となると、着火不良を認識した使用者は、対応するコンロ点消火操作子44で第2自動調理中断操作である再消火操作及び第2自動調理復帰操作である再々点火操作を行う(ステップST141及びST144)。このコンロ点消火操作子44の再消火操作は、通常、第1自動調理復帰操作がなされてから自動調理復帰機能が無効とされる変更制限時間内の短時間に行われるから、コンロ点消火操作子44で再々点火操作がなされると、タイマt0は変更制限時間内となり、通常の点火処理として実行され、自動調理への復帰が実行されない。
【0059】
このため、本実施の形態では、第1自動調理復帰操作がなされて自動調理を再開させたとき、対応する熱電対24の出力値が着火検知レベル未満となり、さらにコンロ点消火操作子44で第2自動調理中断操作である再消火操作がなされると、タイマt1をリセットすることなく、復帰制限時間(例えば、10秒間)を判定するためのタイマt2をスタートさせる(ステップST143)。
【0060】
そして、第2自動調理復帰操作である再々点火操作がなされると、第1自動調理復帰操作がなされてからの自動調理への復帰を無効とする無効時間である変更制限時間内であっても、第1自動調理中断操作がなされてからの中断時間を計時するタイマt1が復帰制限時間内であれば、自動調理へ復帰させる(ステップST144〜ST146及びST148)。これにより、第1自動調理復帰操作がなされたときに着火不良が生じて、短時間内に第2自動調理復帰操作が行われた場合でも、自動調理へ復帰させることができる。
【0061】
また、本実施の形態では、第1自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間を経過していても、第1自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間よりも短時間に設定されている第2自動調理中断操作がなされてからの中断時間を計時するタイマt2が復帰制限時間内であれば、自動調理へ復帰させる(ステップST146及びST147)。これにより、使用者の着火不良の認識が遅れた場合でも、自動調理へ復帰させることができる。
【0062】
なお、タイマt0が変更制限時間を経過しており、タイマt2が復帰制限時間内である場合(ステップST145及びST147で、Yes)、設定された加熱条件での自動調理を再開させる(ステップST148)。
【0063】
第1自動調理復帰操作がなされたときの対応する熱電対24の出力値が着火検知レベル以上である場合の制御動作は、上記実施の形態1におけるそれと同様である。
【0064】
以上のように、本実施の形態の加熱調理器は、自動調理中に意図せず点消火操作子44,45の消火操作または電源スイッチ43のオフ操作の自動調理中断操作がなされて自動調理が中断されても、無効時間である変更制限時間経過後で、且つ復帰制限時間内に自動調理復帰操作を行ってバーナ21,31を再点火させれば、引き続き自動調理を中断時の状態から再開させる自動調理復帰機能を備えているから、復帰後の残りの加熱時間やバーナ21,31の火力を使用者が判断する必要がない。また、上記加熱調理器では、バーナ21,31の点火操作がなされて自動調理の開始または再開がされてから変更制限時間が経過するまでは自動調理中断操作が行われても自動調理への復帰を無効とするから、自動調理が誤設定された場合の調理初期の自動調理の中止や加熱条件の設定を変更する時間を確保できる。
【0065】
また、上記のように、第1自動調理復帰操作がなされて自動調理が再開されたときに熱電対24,34の起電力が所定の着火検知レベル未満になって、第2自動調理中断操作であるバーナ21,31の消火操作がなされると、再開された自動調理が中断される。この第2自動調理中断操作は第1自動調理復帰操作を行うときに生ずるものであるから、ガスコンロ近傍にいる使用者は、自動調理を再開させるための第2自動調理復帰操作であるバーナ21,31の点火操作を、通常、第1自動調理復帰操作から短時間内に行う。そのため、第2自動調理復帰操作が第1自動調理復帰操作がなされてからの無効時間内に行われたとき、第1自動調理復帰操作がなされたときと同一の制御動作では、自動調理に復帰させることができないという問題がある。
【0066】
しかしながら、上記加熱調理器によれば、第2自動調理中断操作後、第2自動調理復帰操作であるバーナ21,31の点火操作がなされると、第1自動調理復帰操作からの無効時間である変更制限時間内であっても、バーナ21,31の点火操作が第1自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間内または第2自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間内であれば、自動調理へ復帰させるから、着火不良が生じた場合でも、自動調理へ復帰させることができる。
【0067】
また、上記加熱調理器によれば、第2自動調理中断操作がなされてからの復帰制限時間は、第1自動調理中断操作がなされたときのそれよりも短時間に設定されているから、調理物の温度の低下の少ない状態から自動調理を再開させることができ、食味の低下を抑えることができる。これにより、本実施の形態の加熱調理器は、使用者の使い勝手を向上させることができるとともに、調理の仕上がりのばらつきも抑えることができる。
【0068】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、自動調理を再開させた場合、設定された加熱条件で自動調理を継続させているが、再開後は、バーナの火力や加熱時間等を変更し、異なる加熱条件で自動調理を継続させてもよい。
(2)上記実施の形態では、自動調理の終了時における余熱調理を開始させる設定燃焼時間を終了時無効時間として設定しているが、設定燃焼時間とは独立して終了時無効時間を設定してもよい。