(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857585
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】露光装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20210405BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
G03F7/20 505
H05K3/00 H
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-190067(P2017-190067)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-66595(P2019-66595A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】300091670
【氏名又は名称】株式会社アドテックエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 克朗
(72)【発明者】
【氏名】土井 章一
【審査官】
右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−146793(JP,A)
【文献】
特開2004−039871(JP,A)
【文献】
特開2003−059799(JP,A)
【文献】
特表2014−515501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/027
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を露光するための照明光を出力する露光光源であって複数の半導体レーザを含むものを備える露光装置において、
前記照明光が平面に垂直に入射されるガラス円板であって当該ガラス円板の周方向に回転駆動されるものを有する変調器と、前記ガラス円板を通して漏れる照明光の強度を検出する検出手段と、前記強度が予め記憶された閾値と比較して当該比較結果に基づき内部動作を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクを用いず基板にパターンを露光する露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に配線パターン等を形成するため、光源として複数の半導体レーザ(以下、LDと記載する)を設け、マスクを用いることなく直接基板に露光する直接描画露光装置が知られている。このような直接描画露光装置では、LDの劣化に伴う出力低下が起こると露光不良となりスループットが低下する。
【0003】
このような露光不良を防止するため、露光照明光を発生するLDの出力低下を検出する場合、特許文献1の
図1に開示されているように、ビームスプリッタで分岐された露光照明光を光検出器で検出する技術があるが、露光照明光を分岐するためにビームスプリッタを専用に設けなければならず、また、露光照明光の光強度が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−039871号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、前記課題を解決し、露光照明光の光強度の低下を簡易な構成で検出することができる露光装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願において開示される発明のうち、代表的な露光装置は、基板を露光するための照明光を出力する露光光源であって複数の半導体レーザを含むものを備える露光装置において、前記照明光が平面に垂直に入射されるガラス円板であって当該ガラス円板の周方向に回転駆動されるものを有する変調器と、前記ガラス円板を通して漏れる照明光の強度を検出する検出手段と、前記強度が予め記憶された閾値と比較して当該比較結果に基づき内部動作を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、露光照明光の光強度の低下を簡易な構成で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る直接描画露光装置の全体構成図である。
【
図2】本発明に係る照明光学系を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を実施例に沿って説明する。なお、以下の説明において、同等な各部には同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1は本願発明の実施形態に係る直接描画露光装置の全体構成図である。1は露光照明ユニットである。2は照明光学系であり、ここから出射された露光照明光3は、ミラー4により、上方にある2次元空間変調器5に入射される。ここでは、2次元空間変調器5としてデジタルミラーデバイスを用いているので、2次元空間変調器をDMDと記載する。
【0011】
DMD5にはXY面内に多数の可動マイクロミラーがマトリックス状に配置されている。後述する制御装置6から各マイクロミラーにON/OFF信号が送られると、ONの信号を受けたマイクロミラーは一定角度傾き、入射した露光照明光を反射させて第1の投影レンズ7に入射させる。また、OFFの状態のマイクロミラーで反射された露光照明光3は第1の投影レンズ7には入射せず、露光には寄与しない。投影レンズ7を透過した露光照明光はマイクロレンズアレー8に入射する。DMD5のマイクロミラーの拡大像(又は縮小像)が形成されるマイクロレンズアレー8の位置にはそれぞれマイクロレンズが配置されている。各マイクロレンズにほぼ垂直に入射する露光照明光3(ON状態のマイクロミラーから来た露光照明光)は第2の投影レンズ9に入射し、第2の投影レンズ9を出射した露光照明光3は基板10上の照射エリア11内に露光パターンを形成する。
【0012】
6は例えばプログラム制御の処理装置を主体にしたものによって実現される制御装置であり、露光照明ユニット1内の照明光学系2、DMD5、ステージ12の動作を制御する。13はステージ駆動部で、制御装置6からの制御指令を受けてステージ12をX、Y及びZ方向に移動させる。
【0013】
図2は、
図1における照明光学系2を説明するための図である。14は露光光源で、405nm付近(380〜 420nm)の波長の光が400mW程度の出力で出射する青及び紫色LDを基板の上に2次元配列して構成される。個々のLDからの出射光は、集光レンズ(集光光学系)15により、ディフューザ16を透過した後に光インテグレータ19に入射する。このディフューザ16は、波面を変化させる変調器であり、直結されたモータ18を駆動して回転されるガラス円板17で構成される。ガラス円板17は放射状に光学研磨されており、ガラス表面の形状は、概ね正弦波状の高さ変化をしている。この高さ(粗さ)変化量は数μmである。光インテグレータ19を透過した光は、コンデンサレンズ(コリメートレンズ)20を通り、ミラー4で反射してDMD5に照射する。光インテグレータ19は、集光レンズ15により集光された2次元に配列された多数のLDからの出射光束を空間的に分解して多数の擬似2次光源を生成して重ね合わせて照明する光学系である。21は光検出器で、露光照明光3がガラス円板17内を伝搬した漏れ光を検出する。なお、露光光源14及びモータ18は制御装置6により制御される。
【0014】
次に、この実施形態の動作を説明する。
【0015】
図1におけるX方向の奥側から手前側に向けて、基板11を搭載したステージ12を感光材料に応じた一定な速度で移動させ、基板10へ露光照明光3を照射する。光検出器21は一定時間毎にディフューザ16からの漏れ光を検出する。光検出器21は制御装置6と接続されていて、制御装置6では漏れ光を検出したときの検出器21の検出値が制御装置6内に予め記憶された閾値より低い場合、露光光源エラーのアラームを出し露光を停止させる。
【0016】
なお、上記実施形態においては、露光照明光の強度が閾値より低い場合、露光を停止させるようにしたが、その代わりに露光光源14のLDの駆動レベルを上げ、露光動作を継続できるようにしても良い。
【0017】
以上の実施形態によれば、露光照明光3の強度低下を、露光照明光3の光強度を低下させることなく且つ簡易な構成で検出することができる。また、露光光源14から比較的近い位置に検出器21を設けたので、高い感度で検出することが可能となる。
【0018】
上述した実施例では、基板10に対して露光照明ユニット1が1つ配置される場合を説明したが、露光照明ユニット1をY方向に2個以上設けて、同時に露光するようにしてもよい。この場合、一度に露光する面積が増えるのでスループットの向上が可能となる。
【0019】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく種々の変形が可能で有り、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。
【符号の説明】
【0020】
1 露光照明ユニット
2 照明光学系
3 露光照明光
4 ミラー
5 DMD
6 制御装置
7 第1の投影レンズ
8 マイクロレンズアレー
9 第2の投影レンズ
10 基板