(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筒状のカラム本体と、該カラム本体の溶離液流入側端部に配置する流入側フィルター及び溶離液流出側端部に配置する流出側フィルターと、前記流入側フィルターと前記流出側フィルターとの間に充填された充填剤とを有するイオンクロマトグラフィー用の液体クロマトグラフィー用カラムであって、
前記流入側フィルターは、前記充填剤に接する側から順に配置する第1樹脂フィルター部材と第2樹脂フィルター部材の二層構造からなり、
前記第1樹脂フィルター部材は、前記第2樹脂フィルター部材の押込弾性率よりも低い押込弾性率を有する液体クロマトグラフィー用カラム。
前記第1樹脂フィルター部材の押込弾性率は10MPa以上、350MPa未満であり、前記第2樹脂フィルター部材の押込弾性率は350MPa以上、2000MPa以下である請求項1又は2のいずれかに記載の液体クロマトグラフィー用カラム。
前記第1樹脂フィルター部材及び前記第2樹脂フィルター部材の少なくとも一方は樹脂粉末の焼結体からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフィー用カラム。
前記第1樹脂フィルター部材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は、ポリテトラフルオロエチレンのいずれかからなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフィー用カラム。
前記第2樹脂フィルター部材は、ポリエーテルエーテルケトン、又は、ポリエーテルエーテルケトンとポリテトラフルオロエチレンの混合材のいずれかからなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフィー用カラム。
前記流出側フィルターは、前記第2樹脂フィルター部材と同じ材質からなるか、又は、前記充填剤に接する側から順に配置する前記第1樹脂フィルター部材と同じ材質のフィルター部材と前記第2樹脂フィルター部材と同じ材質のフィルター部材の二層構造からなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフィー用カラム。
前記流入側フィルター及び前記流出側フィルターの直径は、前記カラム本体の充填剤収容部の内径よりも大きい請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体クロマトグラフィー用カラム。
前記流入側フィルター及び前記流出側フィルターの直径と、前記カラム本体の充填剤収容部の内径との差は、0.5mm以上、5.0mm以下である請求項8に記載の液体クロマトグラフィー用カラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した液体クロマトグラフィー用カラム及びそれを備えた液体クロマトグラフ装置について、図面を用いてその構成を説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0015】
図1に、本発明を適用した一実施形態に係る液体クロマトグラフィー用カラムの溶離液流入端部側の一例を示す。
【0016】
図1に示す液体クロマトグラフィー用カラム(流入側)10は、カラム本体11と、充填剤12と、流入側フィルター13と、内蓋部材14とを備える。
【0017】
(カラム本体)
カラム本体11は円筒状の部材であり、一般的にはSUSなどの金属、あるいはPEEKなどの剛性の大きい樹脂からなるものが用いられる。これらの材料は圧力負荷に対する変形が小さい点において好適だからである。イオンクロマトグラフィーのように金属イオン成分の溶出が懸念される分析や、カラム本体への吸着が懸念される極性成分の分析では、PEEKなど樹脂製材料が用いられる好適に用いられることが多い。本発明で用いられるフィルター材料も樹脂製であることから、特に樹脂製カラム本体との組み合わせで用いることが好ましい。
【0018】
カラム本体の内径は特に制限はないが、通常は1.0〜5.0mmの範囲である。また、カラム本体の長さは分離性能によるが、通常は10〜300mmの範囲である。
【0019】
(流入側フィルター)
流入側フィルター13は、カラム本体11の溶離液流入側端部11aに配置され、充填剤12に接する側から順に配置する第1樹脂フィルター部材15と第2樹脂フィルター部材16の二層構造を有する。第1樹脂フィルター部材15と第2樹脂フィルター部材16とは、単に接するよう重ね合わせるだけでよく、特に接着性の材料などで貼りあわせる必要はないが、接着性の材料などで貼りあわせても構わない。
【0020】
第1樹脂フィルター部材15及び第2樹脂フィルター部材16は多孔質部材であって、第1樹脂フィルター部材15は、第2樹脂フィルター部材16の押込弾性率よりも低い押込弾性率を有する。
【0021】
本発明の流入側フィルターは、弾性を有する多孔質部材である第1樹脂フィルター部材と、剛性を有する多孔質部材である第2樹脂フィルター部材とが重ねられた二層構造を有するものである。ここで、「弾性を有する多孔質部材である第1樹脂フィルター部材」における“弾性を有する”とは、第2樹脂フィルター部材に比べて弾性を有するとの意であり、また、「剛性を有する多孔質部材である第2樹脂フィルター部材」における“剛性を有する”とは、第1樹脂フィルター部材に比べて剛性を有するとの意である。かかる流入側フィルターの技術思想に想到した経緯について以下に説明する。
本発明者らは、フィルターに剛性を有する多孔質材料、すなわち硬く変形しにくいが復元もしにくい多孔質材料のみを用いた場合、試料注入を繰り返す試験(繰り返し注入試験)において圧力上昇に対しては抑制の効果を示すが、理論段数が徐々に低下するという課題に直面した。これはカラム内に不可逆的にデッドボリュームが生じたことを示唆している。特に剛性を有するフィルター材料は、圧力上昇を示さないまでも、デッドボリュームを生じる程度の変形を起こしていることが予想される。
一方で、繰り返し注入試験において圧力の上昇が生じてしまった場合に、カラムを途中で装置から取り外ししばらく放置しておくと圧力上昇が徐々に回復するという現象を見出した。これは、圧力で圧迫され細孔が狭まったフィルター材料が弾性的な効果を発揮して、時間をかけながらもまた元に戻ることを示唆するものである。
本発明者らは、かかる現象に基づいて、この弾性的変形現象を積極的に発現させることが圧力上昇も抑制しつつ理論段数低下の抑制につながると推論するに至ったのである。具体的には、弾性を有する多孔質材料、すなわち変形もしやすいが復元もしやすい多孔質材料を適用すれば速やかに変形が回復し、実質的に理論段数低下を生じない構造が得られると考えたのである。ここで、弾性を有する多孔質材料のみを適用した場合、圧力負荷による変形は過度となり、実質的に形状を回復しないばかりか、変形による目詰まりのため圧力上昇も引き起こすこととなる。そこで弾性を確保しつつ、過度の塑性変形を防ぐ方法として、弾性を有する多孔質材料を、剛性を有する多孔質材料と充填剤との間に配置することに想到したのである。そしてこの考えに基づき検討を行った結果、繰り返し注入試験において良好な耐久性を示すことを見出し、本発明を完成させたのである。
【0022】
第1樹脂フィルター部材15の弾性は、押込弾性率が10MPa以上、350MPa未満の範囲であることが好ましく、100MPa以上、250MPa以下の範囲であることがより好ましく、150MPa以上、250MPa以下の範囲であることがさらに好ましい。この範囲であれば、容易に塑性変形せず、本発明で必要とされる弾性変形の機能が十分に発揮される。
【0023】
なお、樹脂フィルター部材の押込弾性率は、ISO14577 Part1〜3に準拠して、以下の条件で計5回測定して、その平均をとったものである。
測定装置:フィッシャーインスツルメンツ社製HM2000
測定圧子:ビッカース圧子
最大荷重:300mN
荷重印加速度:15mN/sec(20秒かけて300mNまで到達)
荷重保持時間:5sec
荷重除去速度:−15mN/sec(20秒かけて0mNまで到達)
算出方法:得られた試験力−侵入量曲線の荷重除去直後の傾き(接線)を求め、押込弾性率を算出する。
なお、樹脂フィルター部材の試験片は、カラムに使用するために適した形状に加工されたものをそのまま測定した。寸法は、直径4.8mm、厚さ0.8mm乃至1.5mmであった。
【0024】
第1樹脂フィルター部材15の材料としては、上記の押込弾性率の範囲を満たす樹脂材料であれば特に制限はないが、例えば、軟質、硬質ポリエチレンあるいは超高分子量ポリエチレン(PE)製,ポリプロピレン(PP)製、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製粉末の焼結体が挙げられる。これらの中でも、超高分子量PE製は空孔径を小さくすることに適しており、さらに弾性と取扱い時の機械的強度、耐薬品性など実用的な性質とのバランスが良く、好ましい。超高分子量PE製粉末の焼結体フィルターの例としては、米国IDEX−Health&Science社製UHMWPEフリット、株式会社先田製作所製超高密度ポリエチレンシート、株式会社巴製作所製イナートカラムフィルタなどが挙げられる。
【0025】
第1樹脂フィルター部材15の空孔サイズは、95%以上の濾過精度として1μm以上、5μm以下の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、圧力損失が起きにくく、充填剤の侵入による目詰まり等の問題も起きにくい。濾過精度の測定方法としては、日本工業規格JIS Z8901に定められている試験用粉体を用い、IPAに分散させた状態でフィルターを通過させた後、濾液中の粒子量を光散乱法(ベックマン・コールター社製LS−200)により測定することにより行った。
【0026】
第1樹脂フィルター部材15の厚さは、0.5mm以上、5mm以下の範囲が好ましい。この範囲であれば、機械的強度が良好であり、圧力損失も発生しにくい。
【0027】
第1樹脂フィルター部材15の直径Φ
1は、カラム本体11の充填剤収容部11bの内径Φ
IDよりも大きいことが好ましく、その差としては0.5mm以上、5.0mm以下であることがより好ましい。この範囲であれば、フィルター材料配置時に要求される取扱い精度が適度であり、カラム本体の肉厚も経済的である。
特に充填剤と接する弾性を有する第1樹脂フィルター部材15は、カラム内で発生する充填剤の変動によるデッドボリュームを補う機能を十分に発揮することが好ましく、第1樹脂フィルター部材15の直径がカラム本体の内径と同じである構成よりは、第1樹脂フィルター部材15の直径がカラム本体の内径より大きい構成の方がより確実にカラム本体の内面を覆うことになるからである。また、第1樹脂フィルター部材15の外周を支持体となる他の材料で構成してもよい。
【0028】
第2樹脂フィルター部材16の弾性は、押込弾性率が350MPa以上、2000MPa以下の範囲であることが好ましく、370MPa以上、1000MPa以下の範囲であることがより好ましく、370MPa以上、550MPa以下の範囲であることがさらに好ましい。この範囲であれば、弾性を有するフィルター材料を支持する機能が十分であり、所望の空孔を有する多孔質体を得ることができる。
【0029】
第2樹脂フィルター部材16の材料としては、上記の押込弾性率の範囲を満たす樹脂材料であれば特に制限はないが、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の粉末の焼結体製、PEEKとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)との混合材の粉末の焼結体製のものが挙げられる。PEEK製焼結体あるいはPEEK/PTFE混合焼結体製フィルターの例としては、米国IDEX−Health&Science社製PEEKフリット、株式会社巴製作所製イナートカラムフィルタなどが挙げられる。
【0030】
第2樹脂フィルター部材16の空孔サイズは、95%以上の濾過精度として1μm以上、5μm以下の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、圧力損失が発生しにくく、また、弾性を有する第1樹脂フィルター部材との組み合わせにおいて、背圧による弾性を有する多孔質材料の空孔内への侵入が抑制され、十分な弾性の発現を確保できる。なお、第1樹脂フィルター部材と同様に、空孔サイズは、ASTMのF316−86に記載の測定方法により求められる平均空孔径であっても同等の値であることが経験的に得られている。
【0031】
第2樹脂フィルター部材16の厚さは、0.5mm以上、5mm以下の範囲が好ましい。この範囲であれば、機械的強度が良好であり、圧力損失も発生しにくい。
【0032】
第2樹脂フィルター部材16の直径Φ
2は、第1樹脂フィルター部材15と同様に、カラム本体の充填剤収容部11bの内径Φ
ID内径よりも大きいことが好ましく、その差としては0.5mm以上、5.0mm以下であることがより好ましい。この範囲であれば、フィルター材料配置時に要求される取扱い精度が適度であり、カラム本体の肉厚も経済的である。
剛性を有する第2樹脂フィルター部材16についても、溶離液の流路を確保し、弾性を有する第1樹脂フィルター部材15への過度の圧力負荷が発生するのを抑制するために、第2樹脂フィルター部材16の直径がカラム本体の内径と同じである構成よりは、第2樹脂フィルター部材16の直径がカラム本体の内径より大きい構成の方がより確実にカラム本体の内面を覆うことになるからである。但し、第1樹脂フィルター部材15及び第2樹脂フィルター部材16の直径は同じである必要はない。また、第2樹脂フィルター部材16の外周を支持体となる他の材料で構成してもよい。
【0033】
(充填剤)
本発明で用いる充填剤は基本的には液体クロマトグラフィーに用いられる材料であれば、その種類については特に制限はないが、溶離液に分散させても化学的および物理的に安定で、分解・変質を起こさないことが必要とされる。
【0034】
ベースとなる基材としては、樹脂、シリカゲル、アルミナ(酸化アルミニウム)、チタニア(酸化チタン)、セリア(酸化セリウム)、カーボンなどが挙げられる。また、基材の組成は単体に限られるものではなく、例えばシリカゲルを核としてその周囲を樹脂で被覆した構造(コアシェル構造)のような複合体であってもよい。中でも強酸あるいは強アルカリに対しても化学的に安定で、且つ基材表面を様々な官能基で化学的に修飾できる架橋あるいは非架橋の樹脂材料が好ましく用いられる。特に好ましくはアルコール性水酸基を有する親水性の樹脂が用いられる。
【0035】
アルコール性水酸基を有する樹脂の具体的な例には、カルボン酸ビニルエステルと架橋性単量体からなる架橋共重合体のエステル基をケン化またはエステル交換反応によってアルコール性水酸基に変換したポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル及びピバリン酸ビニル等があげられ、これらは単独でもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルが重合及びケン化が容易であるため好ましい。架橋性単量体としてはトリアジン環を有する架橋性単量体が好ましく、中でもトリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
【0036】
表面の化学的修飾としては、特に親水性相互作用あるいはイオン交換相互作用を発現する官能基の導入が挙げられる。具体的には、グリシジルアルコールやエピクロルヒドリン付加後の加水開環処理による水酸基導入、ポリエチレングリコールやシクロデキストリンなど親水性化合物付加導入、アミン化合物によるアニオン交換基導入、カルボン酸・スルホン酸・リン酸基などのカチオン交換基導入が挙げられる。
【0037】
これらの充填剤は、樹脂製材料であることが好まれるイオンクロマトグラフィーでしばしば用いられる材料である。
【0038】
アニオン交換基導入に用いられる上記アミン化合物の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジエチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジメチルベンゾアミン、1−メチルピペリジンなどの3級アミン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、3‐メチルアミノ‐1,2‐プロパンジオールなどの2級アミン類、ヘキサメチレンジアミン、ペンタエチルヘキサミン、D−グルカミン、1‐アミノ‐1‐デオキシ‐D‐マンニトール、1‐アミノ‐1‐デオキシ‐D‐ガラクチトール、1‐アミノ‐1‐デオキシ‐D‐イジトール、1‐アミノ‐1‐デオキシ‐D‐アラビニトール、1‐アミノ‐1‐デオキシ‐D‐キシリトール、4‐アミノ‐1,2,3‐ブタントリオール、3‐アミノ‐1,2‐プロパンジオールなどの1級アミン類が挙げられる。なお、これらのアミン類は、基材に付加されたグリシジル基に直接反応させて導入しても良いし、エピクロロヒドリン、1,4‐ブタンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテルなどグリシジル基を有する化合物を介して基材に導入しても良い。
【0039】
但し、アニオン交換能を発現する官能基であれば良いものであり、必ずしもここに例示した材料に限定されるわけではない。
【0040】
一方、カチオン交換基導入の方法としては、例えば無水マレイン酸とブタジエンの共重合体に代表されるように、分子内に二重結合を有し、かつカルボン酸基を有する高分子により基材を被覆し、重合開始剤とともに加熱反応し固定させる手法が挙げられる。
【0041】
充填剤の粒径としては平均の直径が1〜30μmのものが用いられ、好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは4〜10μmである。粒径が1μm未満の場合はカラムの圧力上昇が大きく、充填が極めて困難となることがある。一方、30μmを超えると粒子間の空隙が大きくなり圧力上昇が現れず、またそもそも理論段数も小さいため、本発明による改善効果が得られにくい。
【0042】
(充填方法)
充填剤の充填方法としては湿式法が用いられ、送液ポンプによるスラリーの圧送注入が一般的である。これには圧力を一定とする方法、流量を一定とする方法、あるいは経時的に圧力または流量を傾斜的に変化させる方法などが用いられる。
【0043】
(内蓋部材)
第1樹脂フィルター部材15及び第2樹脂フィルター部材16を固定する内蓋部材14は、溶離液の流路を確保する構造であることと、フィルターを固定する機能を有する構造が必要となる。溶離液の流路を確保するためには、中央に穴が設けられた構成となっている。穴の直径の大きさはフィルター材料の直径よりも小さければ良いが、過剰に小さいと圧力上昇を招いてしまう。適切な大きさとしては例えば、0.3mm以上である。
【0044】
図2に、本発明を適用した一実施形態に係る液体クロマトグラフィー用カラムの溶離液流出端部側の一例を示す。
【0045】
図2に示す液体クロマトグラフィー用カラム20は、カラム本体21と、充填剤22と、流出側フィルター23と、内蓋部材24とを備える。
【0046】
カラム本体21、充填剤22及び内蓋部材24について、上述したカラム本体11、充填剤12及び内蓋部材14と同様であるから、ここでの説明を省略する。
【0047】
(流出側フィルター)
流出側フィルター23は、カラム本体21の溶離液流入側端部21aに配置され、第2樹脂フィルター部材16と同じ材質の多孔質部材からなる。
なお、流出側のフィルターの変形は、溶離液が流れる方向と同じ側につぶれるように凹む。充填剤もこの方向へ押されるため、流入側に比べてデッドボリュームが発生しにくい。一方、流入側のフィルターはカラム内圧に押され、溶離液が流れる方向と反対側につぶれるように凹むので、充填剤との間にデッドボリュームが発生しやすいと考えられる。
【0048】
流出側フィルター23を構成する樹脂フィルター部材の弾性は、上述の第2樹脂フィルター部材16の弾性と同様である。
【0049】
流出側フィルター23を構成する樹脂フィルター部材の空孔サイズは、上述の第2樹脂フィルター部材16の空孔サイズと同様である。
【0050】
流出側フィルター23を構成する樹脂フィルター部材の厚さは、上述の第2樹脂フィルター部材16の厚さと同様である。
【0051】
流出側フィルター23を構成する樹脂フィルター部材の直径Φ
3は、上述の第1樹脂フィルター部材15や第2樹脂フィルター部材16と同様に、カラム本体21の充填剤収容部21bの内径Φ
ID内径よりも大きいことが好ましく、その差としては0.5mm以上、5.0mm以下であることがより好ましい。この範囲であれば、フィルター材料配置時に要求される取扱い精度が適度であり、カラム本体の肉厚も経済的である。
充填剤と接する流出側フィルター23を構成する樹脂フィルター部材は、カラム内で発生する充填剤の変動によるデッドボリュームを補う機能を十分に発揮することが好ましく、流出側フィルター23の直径がカラム本体の内径と同じである構成よりは、流出側フィルター23の直径がカラム本体の内径より大きい構成の方がより確実にカラム本体の内面を覆うことになるからである。また、流出側フィルター23の外周を支持体となる他の材料で構成してもよい。
【0052】
図3に、本発明を適用した他の実施形態に係る液体クロマトグラフィー用カラムの溶離液流出端部側の一例を示す。
【0053】
図3に示す液体クロマトグラフィー用カラム30は、カラム本体31と、充填剤32と、流出側フィルター33と、内蓋部材34とを備える。
【0054】
カラム本体31、充填剤32及び内蓋部材34について、上述したカラム本体11、充填剤12及び内蓋部材14と同様であるから、ここで説明を省略する。
【0055】
(流出側フィルター)
流出側フィルター33は、カラム本体31の溶離液流出側端部31aに配置され、流入側フィルター13と同様に、充填剤32に接する側から順に配置する第1樹脂フィルター部材と同じ材質の樹脂フィルター部材35と第2樹脂フィルター部材と同じ材質の樹脂フィルター部材36の二層構造を有する点が、
図2で示した流出側フィルター23と異なるところである。
【0056】
流出側フィルター23を構成する樹脂フィルター部材35の直径Φ
4及び樹脂フィルター部材35の直径Φ
5は、上述の第1樹脂フィルター部材15や第2樹脂フィルター部材16と同様に、カラム本体31の充填剤収容部31bの内径Φ
ID内径よりも大きいことが好ましく、その差としては0.5mm以上、5.0mm以下であることがより好ましい。この範囲であれば、フィルター材料配置時に要求される取扱い精度が適度であり、カラム本体の肉厚も経済的である。
【0057】
第1樹脂フィルター部材と同じ材質のフィルター部材35、及び、第2樹脂フィルター部材と同じ材質のフィルター部材36は、その弾性、空孔サイズ、厚さ、直径がそれぞれ、第1樹脂フィルター部材15、第2樹脂フィルター部材16について上述した値であるものを用いることができる。
【0058】
本発明の液体クロマトグラフィー用カラムに用いられる流入側フィルター及び流出側フィルターは例えば、溶離液が通過する穴を有する内蓋部品で押さえられ、さらにエンドキャップを締め付けることで固定される。
【0059】
本発明の液体クロマトグラフ装置は、本発明の液体クロマトグラフィー用カラムを備える以外は、公知の液体クロマトグラフ装置と同様な構成すなわち、ポンプ、インジェクタ、検出器、データ処理装置等を備える。
【0060】
本発明の液体クロマトグラフィー用カラム及びそれを備えた液体クロマトグラフ装置は、長期に亘り連続的に液体クロマトグラフィー分析結果を供給することを可能とし、例えば水道水設備や発電所設備などにおける水質モニターから、それら設備の安定的稼働に資する効果が得られるものである。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0062】
〔実施例1〕
(1)充填剤1の作製
(ポリビニルアルコールゲル(基材)の合成)
酢酸ビニル100g、トリアリルイソシアヌレート150g、酢酸ブチル100g、n‐デカン25g及び2,2−アゾビスイソブチロニトリル5gよりなる均一混合液と、ポリビニルアルコール12g及びリン酸水素二ナトリウム18gを溶解した水1200mLと還流冷却器を備えた5Lの三口フラスコに入れ10分攪拌した。次いで、窒素気流下で攪拌しつつ、60℃で16時間重合を行い、粒状重合体を得た。この重合体を濾過、洗浄し、アセトン抽出した後乾燥した。次いでこの重合体を苛性ソーダ3Lとともに還流冷却器、窒素導入管及び攪拌器を備えた5Lの三口フラスコに入れ、窒素気流下で15℃、20時間攪拌してこの重合体のケン化を行った後、濾過、水洗、更に乾燥した。ケン化によって得られたポリビニルアルコール重合体の水酸基の密度は2.1meq/gであった。
【0063】
(基材の表面修飾処理)
上記で得た乾燥ポリビニルアルコール重合体10g、エピクロロヒドリン45g、ジメチルスルホキシド100mL及び30%苛性ソーダ水溶液5mLをセパラブルフラスコに入れ、30℃で20時間撹拌し、この重合体にグリシジル基を有する基を導入した。導入後の重合体を、ジメチルスルホキシド、水、メタノールで洗浄後、乾燥した。
このようにグリシジル基を導入した重合体4g、トリエチルアミン10g及び水40mLをセパラブルフラスコに入れ、30℃で20時間撹拌し、アミノ基を導入した充填剤1を作製した。この充填剤1を水での洗浄をはさみながら0.5N塩酸及び0.5N苛性ソーダ水溶液で洗浄し、さらにメタノールで洗浄後、乾燥した。
【0064】
(2)充填剤1が充填されたカラムの作製
作製した充填剤1を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ150mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に第1樹脂フィルター部材として、充填剤1に接触する側から順に、空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)を配置し、次いで第2樹脂フィルター部材として、空孔径5.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、株式会社巴製作所社製)を配置した。また、流出側には樹脂フィルター部材として、流入側の第2樹脂フィルター部材と同じ空孔径5.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、株式会社巴製作所社製)を配置した。流入側および流出側とも内蓋部品を挿入しエンドキャップを締めてフィルターを固定した。
【0065】
(3)充填剤1が充填されたカラムの特性評価(繰り返し注入試験方法および耐久性評価)
このカラムを用いて、カラム温度25℃、溶離液として3.2mM炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)/1.0mM炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)を流速0.21mL/minで流し、分析サンプルを1500回繰り返し注入した。分析サンプルはF
− 1ppm, Cl
− 2ppm,NO
2− 3ppm,Br
− 3ppm,NO
3− 5ppm,PO
43− 10ppm,SO
42− 10ppm水溶液を用い、これを繰り返し注入した。試験装置としては、メトローム社製CompactIC−882(電気伝導度検出器、サプレッサー使用)を用いた。
注入10回ごとにカラム圧力およびNO
3−の理論段数、溶離時間、ピーク対称性係数(Fas)を測定し、その推移を記録した。
図4は、カラム圧力および溶離時間の推移を示すグラフであり、
図5は、NO
3−の理論段数及びピーク対称性係数(Fas)の推移を示すグラフである。繰り返し注入試験開始前の値、および1500回繰り返し注入試験後の各項目の値を表1に示す。
尚、カラム圧力の測定は、入口側にある送液ポンプの圧力センサーを使った。
【0066】
【表1】
【0067】
ここで、ピーク対称性係数(Fas)は、クロマトグラムのピーク形状の対称性を示す値であり、Fas=(ピーク高さの5%の位置で測定した全ピーク幅)/2x(ピーク高さの5%位置で測定した前半値幅)によって与えられる(米国薬局方)。
また、理論段数は、いわゆる接線法を用いて(米国薬局方)、理論段数=16x(ピークの総溶離時間/ベースライン接線のピーク幅)^2によって算出した。
【0068】
図4及び
図5から、1500回繰り返し注入試験を行ってもその間、カラム圧力およびNO
3−の理論段数、溶離時間、ピーク対称性係数(Fas)は非常に安定しており、長期に渡って継続的に使用しても安定した分離性能を示すことがわかる。
【0069】
〔実施例2〕
充填剤1を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ150mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に第1樹脂フィルター部材として、空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)、次いで第2樹脂フィルター部材として空孔径2.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK製(PEEK100%)焼結体フィルター(押込弾性率:490MPa、株式会社巴製作所社製)を配置した以外、実施例1と同様にカラムを作成した。
このカラムを用い、実施例1と同様に繰り返し注入試験を行った。試験前後の各項目の値を表1に示す。
【0070】
〔実施例3〕
充填剤1を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ150mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に第1樹脂フィルター部材として、空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)、次いで第2樹脂フィルター部材として、空孔径5.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、株式会社巴製作所社製)を配置した。また、流出側には充填剤に接する側から順に樹脂フィルター部材として、流入側の第1樹脂フィルター部材と同じ空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)、次いで樹脂フィルター部材として、流入側の第2樹脂フィルター部材と同じ空孔径5.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、株式会社巴製作所社製)を配置した。それ以外は実施例1と同様にカラムを作成した。
このカラムを用い、実施例1と同様に繰り返し注入試験を行った。試験前後の各項目の値を表1に示す。
【0071】
〔実施例4〕
充填剤1を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ150mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に第1樹脂フィルター部材として、空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)、次いで第2樹脂フィルター部材として、空孔径2.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK製(PEEK100%)焼結体フィルター(押込弾性率:490MPa、株式会社巴製作所社製)を配置した。また、流出側には充填剤に接する側から順に樹脂フィルター部材として、流入側の第1樹脂フィルター部材と同じ空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)、次いで樹脂フィルター部材として、流入側の第2樹脂フィルター部材と同じ空孔径2.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK製(PEEK100%)焼結体フィルター(押込弾性率:490MPa、巴製作所社製)を配置した。流入側および流出側とも内蓋部品を挿入しエンドキャップを締めてフィルターを固定した。
このカラムを用い、実施例1と同様に繰り返し注入試験を行った。試験前後の各項目の値を表1に示す。
【0072】
〔比較例1〕
充填剤1を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ150mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に空孔径5.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、株式会社巴製作所社製)のみを配置した以外、実施例1と同様にカラムを作成した。
このカラムを用い、実施例1と同様に繰り返し注入試験を行った。試験前後の各項目の値を表1に示す。
【0073】
〔比較例2〕
充填剤1を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ150mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)を2枚重ねて配置した以外、実施例1と同様にカラムを作成した。
このカラムを用い、実施例1と同様に繰り返し注入試験を行った。試験前後の各項目の値を表1に示す。
【0074】
表1の繰り返し注入試験前後の実施例1〜4と比較例1、2とを比較すると特に、圧力の上昇、及び、理論段数の劣化において顕著な差が見られた。
すなわち、圧力の上昇について、実施例1〜4の方は3%〜13%程度であったのに対して、比較例1では圧力が2倍以上になり、比較例2では圧力が20MPaを超え、装置への過負荷を避けるため400回で試験を中止したため結果が得られなかった。
また、理論段数の劣化についても、実施例1〜4の方は3%〜9%程度であったのに対して、比較例1では30%を超え、比較例2では圧力が20MPaを超え、装置への過負荷を避けるために400回で試験を中止し、結果が得られなかった。
【0075】
〔実施例5〕
(1)充填剤2の作製
上記実施例1に記載の乾燥ポリビニルアルコール重合体10g、ジメチルスルホキシド100mL及び30%苛性ソーダ水溶液5mLをセパラブルフラスコに入れ、30℃で20時間撹拌し、この重合体にグリシジル基を有する基を導入した。導入後の重合体を、ジメチルスルホキシド、水、メタノールで洗浄後、乾燥した。
このようにグリシジル基を導入した重合体4g、メチルピペリジン10g及び水40mLをセパラブルフラスコに入れ、30℃で20時間撹拌し、アミノ基を導入した充填剤Bを作製した。該充填剤を水での洗浄をはさみながら0.5N塩酸及び0.5N苛性ソーダ水溶液で洗浄し、さらにメタノールで洗浄後、乾燥した。
【0076】
(2)充填剤2が充填されたカラムの作製
充填剤2を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ250mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に第1樹脂フィルター部材として、空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)、次いで第2樹脂フィルター部材として、空孔径5.0μm,直径5.0mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、株式会社巴製作所社製)を配置した。また、流出側には樹脂フィルター部材として、流入側の第2樹脂フィルター部材と同じ空孔径5.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、株式会社巴製作所社製)を配置した。流入側および流出側とも内蓋部品を挿入しエンドキャップを締めてフィルターを固定した。
【0077】
(3)充填剤2が充填されたカラムの特性評価(繰り返し注入試験方法および耐久性評価)
このカラムを用いて、カラム温度45℃、溶離液3.6mM炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)を流速0.20mL/minで流し、1500回繰り返し注入を行った。分析サンプルはF
− 5ppm,ClO
2− 10ppm,BrO
3− 5ppm,Cl
− 10ppm,NO
2− 5ppm,Br
− 1ppm,ClO
3− 1ppm,ジクロロ酢酸イオン 1ppm,NO
3− 10ppm,PO
43− 5ppm,SO
42− 10ppm水溶液を用い、これを繰り返し注入した。試験装置としては、メトローム社製CompactIC−882(電気伝導度検出器,サプレッサー使用)を用いた。
注入10回ごとにカラム圧力およびSO
42−の溶離時間、理論段数、ピーク対称性係数(Fas)を測定し、その推移を記録した。繰り返し注入試験開始前の値、および1500回繰り返し注入試験後の各項目の値を表1に示す。
【0078】
〔実施例6〕
充填剤2を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ250mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に第1樹脂フィルター部材として、空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)、次いで第2樹脂フィルター部材として、空孔径5.0μm,直径5.0mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、巴製作所社製)を配置した。また、流出側に充填剤に接する側から順に樹脂フィルター部材として、流入側の第1樹脂フィルター部材と同じ空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)、次いで樹脂フィルター部材として、流入側の第2樹脂フィルター部材と同じ空孔径5.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、巴製作所社製)を配置した。それ以外は実施例5と同様にカラムを作成した。
このカラムを用い、実施例5と同様に繰り返し注入試験を行った。試験前後の各項目の値を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
〔比較例3〕
充填剤2を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ250mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に空孔径5.0μm,直径4.8mm,厚さ1.5mmのPEEK/PTFE(50/50重量比)製焼結体フィルター(押込弾性率:400MPa、株式会社巴製作所社製)のみを配置した以外、実施例5と同様にカラムを作成した。
このカラムを用い、実施例5と同様に繰り返し注入試験を行った。試験前後の各項目の値を表2に示す。
【0081】
〔比較例4〕
充填剤2を水に分散させたスラリーとし、送液ポンプを用いて内径2.0mm、長さ250mmのPEEK製のカラム本体に充填した。カラムの溶離液流入側に空孔径2.0μm,直径5.0mm,厚さ0.8mmの超高分子量PE製焼結体フィルター(押込弾性率:210MPa、IDEX−Health&Science社製)を2枚重ねて配置した以外、実施例5と同様にカラムを作成した。
このカラムを用い、実施例5と同様に繰り返し注入試験を行った。試験前後の各項目の値を表2に示す。
【0082】
表2の繰り返し注入試験前後の実施例5,6と比較例3,4とを比較すると特に、圧力の上昇、及び、理論段数の劣化において顕著な差が見られた。
すなわち、圧力の上昇について、実施例5,6の方は12%〜13%程度であったのに対して、比較例3では圧力が2倍近く上昇し、比較例4では圧力が20MPaを超え、装置への過負荷を避けるために320回で試験を中止し、結果が得られなかった。
また、理論段数の劣化についても、実施例5,6の方は5%〜6%程度であったのに対して、比較例3では30%程度あり、比較例4では圧力が20MPaを超え、装置への過負荷を避けるために320回で試験を中止し、結果が得られなかった。