特許第6857610号(P6857610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6857610二重ドームの凸状タイヤのトレッドブロックまたはトレッドリブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857610
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】二重ドームの凸状タイヤのトレッドブロックまたはトレッドリブ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20210405BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   B60C11/00 H
   B60C11/00 F
   B60C11/03 300D
   B60C11/03 100C
【請求項の数】19
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-550161(P2017-550161)
(86)(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公表番号】特表2018-509343(P2018-509343A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】US2016023621
(87)【国際公開番号】WO2016154221
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2019年2月25日
(31)【優先権主張番号】62/137,019
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501166968
【氏名又は名称】クーパー タイヤ アンド ラバー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Cooper Tire & Rubber Company
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス,ジェレミー・ジェイ
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−180906(JP,A)
【文献】 特開2004−058810(JP,A)
【文献】 国際公開第00/050252(WO,A1)
【文献】 特表2004−517772(JP,A)
【文献】 特開2003−175706(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/011282(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00−19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ軸回りに回転するタイヤであって、
タイヤのタイヤトレッドに使用されるトレッドブロック又はリブと、
前記トレッドブロック又はリブの道路に係合する面に設けられた異なる寸法の第1および第2のドームであって、前記第1のドームは、第1の曲面で構成される凸状の形状であり、前記第2のドームは、第2の曲面で構成される凸状の形状であり、前記第1のドームは第1面に配置され、前記第2のドームは前記第1のドームから隆起する、第1および第2のドームと、
を備えるタイヤ。
【請求項2】
前記第1および第2のドームの中央は同心である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記第1および第2のドームの中央は、互いに対してオフセットしている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第1および第2のドームは、実質的に楕円形の構造を有している、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記第1および第2のドームの区域は、互いに対して傾斜している、請求項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第1および第2のドームの区域の少なくとも一方は、前記タイヤの円周回転方向に対して0度より大きく90度より小さい角度をなしている、請求項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記第1および第2のドームの半径は、互いに対して傾斜している、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記第1および第2のドームの半径の少なくとも一方は、前記タイヤの円周回転方向に対して0度より大きく90度より小さい角度をなしている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記第1のドームの半径は、前記リブ又はトレッドブロックの横方向幅の半分よりも大きい、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記第1および第2のドームの少なくとも一方の半径は、前記トレッドブロックの円周の長さの半分よりも大きい、請求項に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記第1および第2のドームの少なくとも一方の半径は、前記トレッドブロックの円周の長さの半分よりも大きい、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項12】
少なくとも前記第1のドームは、実質的に楕円形の構造を有し、少なくとも前記第1のドームの長径は、前記トレッドブロックの円周の長さの半分または前記トレッドブロックの幅の半分の一方よりも大きく、少なくとも前記第1のドームの短径は、前記トレッドブロックの円周の長さの半分または前記トレッドブロックの幅の半分の他方よりも大きい、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項13】
前記第1面上で前記第1のドームが隆起している高さは、0.0508ミリメートル(0.002インチ)から0.2032ミリメートル(0.008インチ)までの範囲にある、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項14】
前記第1面上で前記第2のドームが隆起している高さは、0.1017ミリメートル(0.004インチ)から0.381ミリメートル(0.015インチ)までの範囲にある、請求項13に記載のタイヤ。
【請求項15】
タイヤ軸方向における前記第1のドームの幅寸法は、前記リブまたはトレッドブロックの幅の50%から500%の範囲にある、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項16】
タイヤ軸方向における前記第2のドームの幅寸法は、前記第1のドームの幅寸法の10%から95%の範囲にある、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項17】
前記第1のドームの半径は、前記トレッドブロックの幅寸法および円周寸法の両方よりも大きい、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項18】
前記第2のドームの半径は、前記トレッドブロックの幅寸法および円周寸法の両方よりも小さい、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項19】
前記第1のドームの半径は、前記トレッドブロックの幅寸法および円周寸法の両方よりも大きく、前記第2のドームの半径は、前記トレッドブロックの幅寸法および円周寸法の両方よりも小さい、請求項1に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2015年3月23日に出願された米国仮特許出願第62/137,019号の利益を出願するものである。上記出願の開時全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、タイヤに関し、より具体的には、タイヤのトレッドブロックまたはリブにおける垂直応力の分布を制御することに関する。トレッドリブまたはブロック端部のような、特定の領域の垂直応力を減らすことによって、偏摩耗を減らすことができる。
【背景技術】
【0003】
[0003]ドーム形状のトレッドブロック、またはトレッドリブの従来の設計が存在している。これらの設計は、ある程度の成功をしている。
[0004]しかしながら、とりわけトレッドリブまたはトレッドブロックのような特定の領域について、応力を制御することに関して更なる改良の必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005] 異なるサイズの第1および第2のドームが、リブまたはトレッドブロックの一方は頂上に他方は表面に積み重ねられる。より低い第1のドームは、トレッドにおけるより広い領域に及ぶ。一実施形態においては、第1のドームは、トレッドブロックの全体を覆う、または、リブを横方向に渡って延びる。より高い第2のドームは、第1のドームの上面に配置され、第1のドームの部分だけに及ぶ。
【0005】
[0006]第1および第2のドームは、凸状の形状を有している。
[0007]第1および第2のドームの中央は、同心であるか、または、オフセットしている。
【0006】
[0008]ドームの形状は、楕円における長軸を有する楕円形であって、その長軸が、特定のトレッドブロックまたはリブの形状に最適となるように方向付けられている楕円形であってもよい。
【0007】
[0009]楕円の長軸は、一例として、トレッドブロックまたはリブの剛性の軸に対して平行に又は垂直に方向づけられていてもよい。
[0010]第1および第2のドームの半径は互いに対して傾斜していてもよい。
【0008】
[0011]第1のドームの半径は、リブまたはトレッドブロックの横方向幅の半分よりも大きくてもよい。
[0012]第1および第2のドームの少なくとも一方の半径は、トレッドブロックの円周の長さの半分よりも大きくてもよい。
【0009】
[0013]少なくとも第1のドームは実質的に楕円形の構造を有してもよく、少なくとも第1のドームの長径は、トレッドブロックの円周の長さの半分またはトレッドブロックの幅の半分の一方よりも大きくてもよく、少なくとも第1のドームの短径は、トレッドブロックの円周の長さの半分またはトレッドブロックの幅の半分の他方よりも大きくてもよい。
【0010】
[0014]本開示の主な利益は、トレッドブロックまたはリブを横切る圧力分布を制御するための能力である。
[0015]他の利点は、トレッドブロックまたはリブの端部で応力を減らすこと、および、偏摩耗の可能性を減らすことにある。
【0011】
[0016]第1および第2のドームに関連する2つの半径の異なる組み合わせを有することに加えて、第2のドームが開始する場所および終了する場所を制御することによって、二重ドーム構造は応力分布のより優れた制御を可能にする。
【0012】
[0017]応力分布の増進した制御は、2つの半径の異なる組み合わせを有することによっても達成され得る。
[0018]二重ドームの構造は、単に第2のドームを第1のドームから中心を外して配置することによって、トレッドブロック又はリブの一方側が、他方側に対して異なる圧力分布を有する非対称の分布を可能にする。
【0013】
[0019]本開示の利益および利点は、以下の詳細な記載を読んで理解することによってより明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0020]図1は、二重ドームのリブ又はトレッドブロックの断面図である。
図2】[0021]図2は、図1で使用されている参照番号の定義を示す図である。
図3】[0022]図3は、二重ドームの特徴を使用したトレッド又はリブの斜視図である。
図4】[0023]図4は、二重ドームの特徴を使用したトレッドブロックの上面図である。
図5】[0024]図5は、二重ドームの特徴を使用したトレッドブロックの斜視図である。
図6】[0025]図6は、楕円形のドーム形状を有する二重ドームの特徴を使用したトレッドブロックの上面図である。
図7】[0026]図7は、傾斜した楕円を有する二重ドームの特徴を使用したトレッドブロックの上面図である。
図8】[0027]図8は、二重ドームの様々な特徴の代表的な寸法および相対的な寸法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0028]本開示はタイヤに関し、より具体的にはタイヤのトレッド、および、道路係合面を形成するタイヤのトレッドの部分に関する。別段の記載が無い限り、タイヤおよびタイヤのトレッドに関連する一般的な用語は本明細書ではその共通の意味または理解で使用され、例えば、「軸方向」または「横方向」は、タイヤの回転軸と整列した又は平行な方向として定義され、「円周」は、地面または路面と係合するタイヤの外面(トレッド)の曲線方向として定義される。本開示の目的のために、本明細書で使用される「ドーム」という用語は、1つ以上の半径によって形成される全体として曲線状または回転楕円面状の表面、例えば半径によって形成される円径もしくは回転楕円形のドーム、異なる半径方向寸法を有する長軸および短軸によって形成される楕円形のドーム、又は、それらの組み合わせを記載すること及び部分的に含むことを意図している。本開示では、ドームは、タイヤのトレッドの接地面の残部から外側に延びる、具体的には、トレッドのパターンにおける円周方向に延びるリブから外側に延びる、またはトレッドブロックから外側に延びる、凸形状の滑らかな輪郭の表面である。
【0016】
[0029]まず図1−4を参照すると、タイヤ100の一部、つまりタイヤの接地面または路面に係合する面の少なくとも一部を形成するタイヤトレッド102の一部が示されている。タイヤトレッド102は、タイヤ100のショルダ間の路面係合面の上に延び、タイヤの或るトレッドパターンから別のトレッドパターンへと変化し得るリブ110および溝112(周方向)、114(横方向)を含む。特定のトレッド102は、本開示とは無関係である。しかしながら、本開示は、リブが周方向の溝112によって分割されるタイヤ100の周りに円周方向に延びる個々のリブ110に関連して使用される。同様に、本開示は、周方向に(周方向に沿って繰り返しパターンで)且つトレッド102に沿って横方向に画定された個々のトレッドブロック116に適用可能である。
【0017】
[0030]理解の容易のため、図2で特定されて他の図面のさまざまなもので使用される以下の参照番号は、参照の容易のため以下に繰り返される。
A = ドーム1の端部からドーム2が開始する場所までの距離
B = ドーム1の反対側の端部からドーム2が終了する場所までの距離
E = トレッドブロックの端部からドーム1が開始する場所までの距離
F = トレッドブロックの反対側の端部からドーム1が終了する場所までの距離
D1 = ドーム1の幅
D2 = ドーム2の幅
C1 = トレッドブロックの端部からドーム1の中央までの距離
C2 = トレッドブロックの端部からドーム2の中央までの距離
H1 = 名目上の外形表面からのドーム1の高さ
H2 = 名目上の外形表面からのドーム2の高さ
R1 = ドーム1の半径
R2 = ドーム2の半径
W = 横方向におけるトレッドブロックまたはリブの幅
図4または後述の図7に関連する以下の参照文字についても同様である。
X1 = ドーム1の中心点までの円周距離
C1 = ドーム1の中心点までの横方向距離
X2 = ドーム2の中心点までの円周距離
C2 = ドーム2の中心点までの横方向距離
U = ドーム1の円周方向に対する長軸の角度
V = ドーム2の円周方向に対する長軸の角度
L = 円周方向におけるトレッドブロックの長さ
【0018】
[0031]タイヤトレッド102は、円周方向に延びて溝112によって横方向に分割されたリブ110を含む。リブ110は、円周方向に連続していてもよいし、ほぼ横方向に延びる溝114によって分離されて共にリブを形成する個々のトレッドブロック116を備えていてもよい。背景技術で簡単に述べたように、従来の設計では、トレッドブロック116またはトレッドリブ110の路面係合面にドーム形状が採用されていた。本開示は、トレッドリブ110またはトレッドブロック116の路面係合面に二重ドームアセンブリまたは特徴を採用することによるそのような設計の改良である。
【0019】
[0032]より具体的に、第1のドーム130は、リブ/トレッドブロック110/116の道路係合面上に設けられている。第1のドーム130は、凸状の形状を有し、つまり、第1のドームは、リブ/トレッドブロック110/116の道路係合面から外側に突出している。一例として図4に示すように、第1のドーム130は、概して円形の表面を有し、つまり一定の半径R1を有し、図1および4において、実質的にリブ/トレッドブロック110/116の道路係合面の全体の上に延びて示されている。タイヤ100が回転してリブ/トレッドブロックが路面(図示せず)に係合するにつれてリブ/トレッドブロック116に生じる応力集中を減らすために、第1のドーム130の滑らかに輪郭づけられた表面形状が好ましい。第1のドーム130の全体的な境界線または外側の端部は、リブ/トレッドブロック110/116の境界線の内側に収容されていてもよく(例えば、図1)、あるいは、第1のドームの滑らかな球形の輪郭がリブ/トレッドブロックの境界線の縁まで延びるように、半径R1が、リブ/トレッドブロックの端部から第1のドームの中央までを測られた距離C1よりも大きくてもよい(例えば、図4)。図4に示す破線は、中心から測定した第1のドーム130の外側の境界線の仮想線を表している。明らかなように、寸法C1は、図4に示されるリブ/トレッドブロック110/116の端部の実質的な部分に沿った、円周溝112の側壁に沿った円周方向に延び、および、横方向溝114の側壁に沿った横方向に延びるリブ/トレッドブロックの端部の縮小部分に沿って延びる、第1のドーム130の半径R1の寸法よりも小さい。しかしながら、リブ/トレッドブロック110/116の端部のこれらの部分の特定の寸法は、本開示の範囲および意図から逸脱することなく、逆転してもよいし、同じでもよいし、より大きくても小さくてもよい。
【0020】
[0034]代替的な実施形態では、第1および第2のドーム130,140の一方または両方は、異なるまたは相違する半径を有して第1および第2のドームのいずれかまたは両方が非球面ドームであってもよく、それにもかかわらず、滑らかに輪郭づけられた概して曲線または回転楕円面の所望の特性を残し、リブ/トレッドブロック110/116に関連する応力分布の問題に対処する。一例として、図5および6は、両方が概して楕円形の構造を有する第1および第2のドーム230,240を示している。他の前述した特徴は、図1の横方向溝114が図5および図6の横方向溝214として識別されるなど、「200」シリーズの参照番号を使用する。図示されるように、各楕円形のドーム230,240の長軸は円周方向に延びており、一方、これらのドーム230,240の短軸は横方向に延びている。第1のドーム230の長軸および短軸の寸法は、トレッドブロック216の円周方向および横方向の寸法よりも大きく、トレッドブロックの路面係合領域の実質的な全体が滑らかに輪郭づけられた概して曲線状または回転楕円体の構造を有する。第2のドーム240の長軸および短軸の寸法は、トレッドブロック216の円周方向および横方向の寸法よりも小さいが、長軸と短軸の少なくとも一方は、第1のドーム230またはトレッドブロックの横たわる寸法よりも大きい寸法を有してもよいことを理解されたい。なお、第1および第2のドーム230,240の長軸および短軸は、図5および図6の図示された実施形態において互いに整列されている。
【0021】
[0035]図7では、第1および第2のドーム330,340は楕円形であるが、第1のドームの長軸および短軸は、トレッドブロックの円周方向および横方向に対して角度(0度より大きく90度未満)をなして配置され、同様に、他方の第2のドーム340の長軸および短軸とは異なる角度をなして配置されている。ここで、角度Uは、タイヤ300の円周方向に対する第1のドーム330の長軸の角度を表し、角度Vは、タイヤの円周方向に対する第2のドーム340の長軸の角度を表す。角度UまたはVは、同一であっても異なっていてもよいことは言うまでもない。他の前述した特徴は、図1の横方向溝114が図7の横方向溝314として識別されるなど、「300」シリーズの参照番号を使用する。
【0022】
[0036]図8は、リブ/トレッドブロック110/116、第1および第2のドームのそれぞれの幅D1,D2、第1および第2のドームのそれぞれの高さH1,H2、トレッドブロックの端部から第1および第2のドームの中央までのそれぞれの距離C1,C2、トレッドブロックの端部から第1および第2のドームの中央までのそれぞれの円周方向の距離、及び、楕円形の第1および第2のドームの長軸の角度U,Vの潜在的な範囲、に関して好ましい最少および最大寸法を示している。
【0023】
[0037]本開示の二重ドームの特徴は、図示および説明を容易にするために、添付の図面において選択されたリブまたはトレッドブロックにのみ示されているが、当業者であれば、二重ドームの特徴はタイヤの幾つかまたは全てのリブ/トレッドブロックに使用され得ることを認識できるであろう。
【0024】
[0038]要約すると、本開示は、第1のドームの一部だけに及ぶ同心の及びオフセットした円形/楕円形の第2のドームを有する、リブ/トレッドブロックを覆う円形/楕円形の第1のドームを示して説明している。二重ドームは、ブロック全体の応力分布を制御する。その結果、トレッドブロックの端部とリブの摩耗が減少する。第2のドームを中心から外して/角度をつけて効果的に位置づけることによって、または楕円形のドームの軸を位置決めすることによって、磨耗を減らすように圧力分布を設計することができる。リブ/トレッドブロック構造は、全くパターンをもたない滑らかなタイヤトレッドを含む任意のトレッドパターンタイプに交換することができることも理解されたい。ドームの特徴自体は、応力分布に変化を生じさせることによって牽引機構として作用することが可能である。球形のドームの場合、第1および第2のドームの中心位置は互いに独立していてもよく、やや類似した態様で、楕円の長軸はトレッドの幾何学的形状に対して互いに角度をなしてもよい。球形ドーム(第1または第2ドームのいずれか)と楕円形ドーム(第2または第1ドームのいずれか)の組み合わせを有することも可能である。第1および第2のドームの選択的な設計を通じて、タイヤのリブ/トレッドブロックにおける垂直応力の分布を制御することができる。トレッドリブ/ブロックの端部のような特定の領域における垂直応力を減らすることによって、偏摩耗を減らすことができる。二重ドームの特徴は、第2のまたは上側のドームが開始する場所および終了する場所を制御することによって、および半径の異なる組み合わせを有することによって、応力分布のより優れた制御を可能にする。二重ドームの特徴の使用は、更に有利なものとして、単に第2のドームを第1のドームから中心を外して配置することによって、リブ又はトレッドブロックの一方側が、リブ又はトレッドブロックの他方側に対して異なる圧力分布を有する非対称の分布を可能にする。同様に、楕円形のドームの主軸の向きを操作することにより、特定のトレッドブロックの幾何学的形状に対して最適化が可能となる。例えば、楕円の長軸は、トレッドブロックの剛性の軸に対して平行または垂直に方向づけられてもよい。
【0025】
[0039]上記の説明は、ベストモードを含む開示を説明し、当業者がこの開示を行い使用することを可能にするための例を使用している。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の例を含むことができる。特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造的要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と形式的に相違する同等の構造要素を含む場合に、そのような他の例は特許請求の範囲の記載に含まれることを意図している。さらに、本開示は、当初に実験のために提示された特許請求の範囲の記載の構成要素および/または工程の組み合わせに対して潜在的な保護を求めることを意図し、同様に、審査段階の特許請求の範囲の構成要素および/または工程の組み合わせに対して潜在的な保護を求めることを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8