(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インサート部材が、ピストン部材を含み、前記ピストン部材は、前記ユーザのための前記代用唾液として前記流体を取り込むために、少なくとも部分的に、前記ユーザの歯の接触力によって駆動されるように構成されている、請求項1に記載の歯科用インプラント組立体。
前記ピストン部材が、前記ユーザのための前記代用唾液として前記流体を取り込むために、少なくとも部分的に、前記ピストン部材にかかる、前記ユーザのそしゃく力又は嚥下中の偶発的な歯の接触力によって駆動される、請求項4に記載の歯科用インプラント組立体。
前記ピストン部材が、前記ユーザの歯の接触力を利用して:(i)前記流体を取り込み、(ii)前記流体を駆動して処理材料内に流して前記流体の化学的性質を変更又は調整し、(iii)前記流体を前記ユーザの口腔へと駆動する、請求項4に記載の歯科用インプラント組立体。
前記インプラント部材が、実質的に中空であり、前記インサート部材が、前記インプラント部材から取り外し可能であり、交換可能である、請求項1に記載の歯科用インプラント組立体。
前記インサート部材が、クラウン部材の流体ブラダ部材と連通する流体駆動されるピストン部材を含み、前記流体ブラダ部材は、前記流体ブラダ部材の歯冠側端部に装着された咬合部材を有し;
前記流体駆動されるピストン部材は、前記ユーザのための前記代用唾液として前記流体を取り込むために、少なくとも部分的に、前記咬合部材にかかる前記ユーザの歯の接触力によって駆動されるように構成されている、請求項1に記載の歯科用インプラント組立体。
当接部材をさらに含み、前記当接部材は、前記インプラント部材内に少なくとも部分的に配設されるように構成され、このとき前記インサート部材は、前記当接部材、前記インサート部材及び前記インプラント部材を互いに固定するために、前記当接部材内に少なくとも部分的に配設され、前記インプラント部材内に少なくとも部分的に配設されるように構成されている、請求項1に記載の歯科用インプラント組立体。
前記当接部材の歯冠側端部上に装着されたクラウン部材と、前記インサート部材の歯冠側端部上に装着されたピストン部材とをさらに備え、前記ピストン部材は、前記ユーザのための前記代用唾液として前記流体を取り込むために、少なくとも部分的に、前記ユーザの歯の接触力によって駆動されるように構成されている、請求項16に記載の歯科用インプラント組立体。
前記インサート部材が、前記当接部材、前記インサート部材、及び前記インプラント部材を互いに固定するために前記インプラント部材とねじ込み式に係合される、請求項16に記載の歯科用インプラント組立体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、現在までの取り組みにもかかわらず、人工唾液腺組立体及び関連する使用方法に対するニーズが依然として存在している。これら及び他の不効率性並びに改良の機会は、本開示の組立体、システム、及び方法によって対処され及び/又は克服される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、有利な唾液腺デバイス又は組立体を提供する。より具体的には、本開示は、有利な人工唾液腺デバイス又は組立体と、関連する使用方法とを提供する。
【0008】
本開示は、上記で留意した臨床的問題に対する解決策を提供する。たとえば、本開示の例示的な実施形態は、代用唾液(replacement saliva)源として、顎骨(たとえば下顎骨及び/又は上顎骨)内の流体(たとえば間質液及び/又は骨髄液リザーバ)を利用する。本開示は、顎骨(たとえば、下顎骨又は上顎骨)内に埋め込み可能な例示的な唾液組立体を提供する。この組立体は、場合によりピストンヘッドを含む歯科用インプラントであり、ピストンヘッドは、歯の接触及びそしゃくの力によって駆動されて、半透膜技術を介して濾過された流体(たとえば間質液及び/又は骨髄液)を連続的に利用可能な唾液代用液として取り込むことができる。歯の接触及びそしゃくの力は、ピストンヘッドに動力供給して流体を取り込むだけでなく、その流れを駆動して半透膜に通し、場合により水溶性粒子に通して流体の化学的性質を調整することができ、それによって連続的に利用可能な唾液様溶液を提供する。
【0009】
患者(たとえば口内乾燥症を有する患者)は、多孔性壁と、交換可能なインサート部材を収容するための中空穴とを有する特別に設計された歯科用インプラント部材を受け入れることができる。これらのインサート部材は、ピストンヘッドと、物質(たとえば細胞及び塩)を濾過して取り除くための膜と、場合により、流体の化学的性質(たとえば間質液及び/又は骨髄液の化学的性質)を唾液の化学的性質となるように調整するための可溶性粒子とを含むことができる。最初のインプラント手術及びインサート交換手順は、歯科医院又はそのようなものにおいて提供され得る。例示的な患者は、一つ以上のインプラント(たとえば一つから四つのインプラント)を受け入れることができ、そのインサート部材を月ごと、又はより長い間隔で交換することができる。
【0010】
例示的な実施形態では、本開示は、重要な唾液機能、特に虫歯予防機能を伴った正常な唾液の流れを実質的に復活させる組立体を提供する。唾液様流体は、安静中、偶発的な歯の接触を伴う嚥下中は一定の背景率で、食事中はより高い率で流れ得る。他の技術は、全般的に正常な唾液の流れを復活させることはできない。
【0011】
例示的な実施形態では、本開示は、唾液源としてユーザの流体(たとえば間質液及び/又は骨髄液)を取り込むことが新規であるとする。歯科用インプラント組立体を使用して間質液及び/又は骨髄液を捕捉することが、新規である。(たとえば半透膜を使用して)間質液及び/又は骨髄液の化学的性質を唾液のものに類似するように調整することによってこれを処理することが、新規である。そしゃくの筋肉を使用してピストン部材又はピストンヘッド(たとえば流体ポンプ)に口腔内で動力供給することが、新規である。
【0012】
また、本開示の例示的なデバイス/組立体を、有益な細菌を口腔内に導入するために利用してよく、並びに/又は薬物/治療薬剤のための送達システムとして利用してもよいことも留意される。
【0013】
本開示は、唾液腺組立体であって、ユーザの口内に少なくとも部分的に配設されるように構成され寸法設定されたインプラント部材と;インプラント部材内に少なくとも部分的に配設されたインサート部材とを含み;インプラント部材及びインサート部材は、ユーザのための代用唾液源としてユーザの流体を取り込むように構成され寸法設定される、唾液腺組立体を提供する。
【0014】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、インプラント部材が、ユーザの下顎骨又は上顎骨内に少なくとも部分的に埋め込まれるように構成され寸法設定され;流体が、間質液又は骨髄液であり;インプラント部材及びインサート部材が、ユーザのための代用唾液源として下顎骨又は上顎骨内の第1の流体リザーバからの流体を利用し、インプラント部材は、インプラント部材の根尖側部分(apical portion)に第2の流体リザーバを含み、第1の流体リザーバは第2の流体リザーバと連通する、唾液腺組立体を提供する。
【0015】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、インプラント部材及びインサート部材が、流体を取り込むための多孔性壁を含み;インサート部材は、インプラント部材に螺合する(screw)、又はスナップフィットする(snap fit)ように構成される、唾液腺組立体を提供する。
【0016】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、インサート部材がピストン部材を含み、ピストン部材は、ユーザのための代用唾液源として流体を取り込むために、少なくとも部分的にユーザの歯の接触力によって駆動されるように構成される、唾液腺組立体を提供する。本開示はまた、唾液腺組立体であって、ピストン部材が、ユーザのための代用唾液源として流体を取り込むために、少なくとも部分的に、ピストン部材にかかる、ユーザのそしゃく力又は嚥下中の偶発的な歯の接触力によって駆動される、唾液腺組立体を提供する。
【0017】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、インサート部材が、流体の化学的性質を調整又は変更するための処理材料を含み;処理材料が、半透膜又は可溶性粒子を含む、唾液腺組立体を提供する。
【0018】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、ピストン部材がピストンヘッドであり;ピストンヘッドが、一方向弁と流体連通する、唾液腺組立体を提供する。本開示はまた、唾液腺組立体であって、ピストン部材が、ユーザの歯の接触力を利用して、(i)流体を取り込み:(ii)流体を駆動して処理材料内に流して流体の化学的性質を変更又は調整し、(iii)流体をユーザの口腔へと駆動する、唾液腺組立体を提供する。
【0019】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、インプラント部材が、実質的に中空であり、インサート部材が、インプラント部材から取り外し可能であり、交換可能である、唾液腺組立体を提供する。
【0020】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、インサート部材が、流体と連通する外側チャンバを含み;ユーザの歯の接触力がインサート部材と係合したとき、外側チャンバが加圧され、それによって流体が、インサート部材内に流れ、インサート部材の出口から出て、ユーザの口腔内に入るようにする、唾液腺組立体を提供する。本開示はまた、唾液腺組立体であって、インサート部材に関連付けられた(associated with)弁部材をさらに含み;歯の接触力がインサート部材と係合するのを止めたとき、弁部材は閉じ、外側チャンバ内に真空を作り出し、それによってユーザのさらなる流体を外側チャンバに引き入れる、唾液腺組立体を提供する。本開示はまた、唾液腺組立体であって、インサート部材が、一つ以上のばね部材を含み;歯の接触力がインサート部材と係合するのを止めたとき、一つ以上のばね部材は、弁部材の閉鎖を容易にする、唾液腺組立体を提供する。
【0021】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、インサート部材に対して装着されたクラウン部材をさらに含み、クラウン部材は、ユーザに歯冠側噛み砕き表面(coronal chewing surface)を提供し、流体を収容又は処理するように構成されたチャンバを提供する、唾液腺組立体を提供する。本開示はまた、唾液腺組立体であって、インサート部材が、クラウン部材の流体ブラダ部材と連通する、流体駆動されるピストン部材を含み、流体ブラダ部材は、流体ブラダ部材の歯冠側端部(coronal end)に装着された咬合部材を有し;流体駆動されるピストン部材は、ユーザのための代用唾液源として流体を取り込むために、少なくとも部分的に、咬合部材にかかるユーザの歯の接触力によって駆動されるように構成される、唾液腺組立体を提供する。
【0022】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、インサート部材の根尖側端部に装着されたフィルタ部材をさらに含み、フィルタ部材は、インプラント部材の流体リザーバと連通する、唾液腺組立体を提供する。
【0023】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、当接部材をさらに含み、当接部材は、インプラント部材内に少なくとも部分的に配設されるように構成され、このときインサート部材は、当接部材、インサート部材及びインプラント部材を互いに固定するために、当接部材内に少なくとも部分的に配設され、インプラント部材内に少なくとも部分的に配設されるように構成される、唾液腺組立体を提供する。本開示はまた、唾液腺組立体であって、当接部材の歯冠側端部上に装着されたクラウン部材と、インサート部材の歯冠側端部上に装着されたピストン部材とをさらに含み、ピストン部材は、ユーザのための代用唾液源として流体を取り込むために、少なくとも部分的に、ユーザの歯の接触力によって駆動されるように構成される、唾液腺組立体を提供する。本開示はまた、唾液腺組立体であって、インサート部材が、当接部材、インサート部材、及びインプラント部材を互いに固定するためにインプラント部材とねじ込み式に係合される(threadably engaged)、唾液腺組立体を提供する。
【0024】
本開示はまた、唾液腺組立体であって、中空の実質的に円筒状のインプラント部材であって、ユーザの口の顎骨内に少なくとも部分的に埋め込まれるように構成され寸法設定される、インプラント部材と;インプラント部材内に少なくとも部分的に配設された中空の実質的に円筒状のインサート部材とを含み;インプラント部材及びインサート部材は、ユーザのための代用唾液源としてユーザの間質液又は骨髄液を取り込むように構成され寸法設定され;インプラント部材及びインサート部材は、ユーザのための代用唾液源として、下顎骨又は上顎骨内の流体リザーバからの流体を利用し;インサート部材は、ピストン部材を含み、ピストン部材は、ユーザのための代用唾液源として間質液又は骨髄液を取り込むために、少なくとも部分的に、ピストン部材にかかる、ユーザのそしゃく力又は嚥下中の偶発的な歯の接触力によって駆動されるように構成され、インサート部材は、間質液の化学的性質を調整又は変更するための処理材料を含み、処理材料は、半透膜又は可溶性粒子を含み;ピストン部材は、ユーザのそしゃく力又は嚥下中の偶発的な歯の接触力を利用して:(i)流体を取り込み、(ii)流体を駆動して処理材料内に流して流体の化学的性質を変更又は調整し、(iii)流体をユーザの口腔へと駆動する、唾液腺組立体を提供する。
【0025】
本開示はまた、流体を取り込むための方法であって、ユーザの口内に少なくとも部分的に配設されるように構成され寸法設定されたインプラント部材を提供することと、インサート部材をインプラント部材内に少なくとも部分的に配設することとを含み、インプラント部材及びインサート部材は、ユーザのための代用唾液源としてユーザの流体を取り込むように構成され寸法設定される、方法を提供する。
【0026】
実施形態の任意の組み合わせ又は並び替えが、企図される。本開示の開示する組立体、システム、及び方法の追加の有利な特徴、機能、及び適用は、特に、付属の図を併用して読み取ることにより、後続の説明から明白になるであろう。本開示に挙げるすべての参照文献は、参照によって全体的に本明細書に組み込まれる。
【0027】
実施形態の特徴及び態様は、添付の図を参照して以下に説明され、これらの図における要素は、必ずしも原寸に比例して描かれない。
【0028】
本開示の例示的な実施形態は、付属の図を参照してさらに説明される。以下に説明し、図に例示するさまざまな特徴、ステップ、及び特徴/ステップの組み合わせを、本開示の範囲内に依然として含まれる実施形態に結果としてなるように異なって配置し、組織化することができることを留意されたい。開示する組立体、システム、及び方法を当業者が作製し、使用するのを支援するために、付属の図に参照がなされる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書において開示する例示的な実施形態は、本開示の有利な唾液腺組立体及びシステムと、その方法/技術とを例示するものである。しかし、開示する実施形態は本開示の例にすぎず、さまざまな形態で具現化されてよいことを理解されたい。したがって、例示的な唾液腺組立体/システム及び組立体の関連する方法/技術を参照して本明細書において開示する詳細は、限定的ではなく、本開示の有利な唾液腺組立体/システム及び/又は代替の唾液腺組立体をどのように作製し使用するかを当業者に教示するための単なる基礎として解釈されるものである。
【0031】
本開示は、改良された唾液腺デバイス又は組立体を提供する。より具体的には、本開示は、改良された人工唾液腺デバイス又は組立体と、関連する使用方法とを提供する。例示的な実施形態では、本開示の組立体は、インプラント歯科医術及び機械的及び化学的工学からの新規の概念を含む。本開示の一つの実施形態は、代用唾液源として下にある下顎骨又は上顎骨内の間質液/骨髄液リザーバを利用する。本開示は、例示的な唾液ポンピング組立体(salivary pumping assembly)であって、歯科インプラントとして顎骨(たとえば下顎骨又は上顎骨)内に埋め込み可能であり、流体(たとえば間質液/骨髄液)を取り込み、これを連続的に利用可能な唾液代用液として半透膜技術によって処理するために力(たとえばそしゃく力)によって駆動される、唾液ポンピング組立体を提供する。
【0032】
また、本開示の例示的なデバイス/組立体を、有益な細菌を口腔に導入するために利用することができ、並びに/又は薬物/治療薬剤の送達システムとして利用することもできることが、留意される。
【0033】
平均的な全唾液流量は、1日あたり約1.0Lから1.5Lである。(ハンフリー(Humphrey)及びウイリアムス(Williams)、「A review of saliva: Normal composition, flow and function」、J Prosthet Dent、2001年;85(2):162-9)。刺激流量及び非刺激流量は、大きく異なることが見いだされ、以下の表1に示される(リグリィ プラクティショナー ポータル(Wrigley Practitioner Portal))。
【0035】
口内乾燥症は、通常、0.2ml/分以下の刺激流として定義され、通常、処方された医薬、シューグレン症候群、及び頭/頚部放射線がん治療後の副作用に関連付けられる。米国内の非入院患者の約21%(12%から39%の範囲)が、口内乾燥症を有しており、400万人の患者が米国内でシューグレン症候群をかかえて生活しており、毎年、放射線治療によって300,000人が口内乾燥症になっている(トンプソン(Thompson)、「Issues in the epidemiological investigation of dry mouth」、Gerodontology 2005年22:65-76;、またジャンセン(Jensen)ら、「A systematic review of salivary gland hypofunction and xerostomia induced by cancer therapies: prevalence, severity and impact on quality of life」、Support Care Cancer、2010年、18:1039-1060を参照)。不快感、痛み、味覚の破壊以外に、口内乾燥症は、しばしば、虫歯及びカンジダ症を招く。不快感及び痛みは、慢性的に乾燥する口腔粘膜に関連し、一方で疾患プロセスの増進は、化学的性質に依存する唾液機能の欠如に関連する。
【0036】
唾液機能及びその関連する化学的性質
唾液は、多くの、しばしば相互に関連する機能を実行し、その機能の多くは、溶解種の化学的性質に基づく。これらの化学種は、アニオン、カチオン、タンパク質、酵素、炭水化物、及び免疫グロブリンを含む。興味深いことに、これらの種の多くは、市販されており、代用流体内に含むのに実用的である。
【0037】
唾液の少なくとも5つの主な機能は:1)味覚:2)保護及び潤滑;3)緩衝及びPH調節;4)鉱化作用の維持;及び5)抗細菌及び抗真菌作用である。唾液の5つの主な機能の多くは、二つ以上の種によって支持され、各種は、しばしば、二つ以上の機能に直接的に寄与し、又は別の種を支持して作用する(デアルメイダ(de Almeida)ら、「Saliva composition and functions:A comprehensive review」、J Contemp Dent Pract 2008年;9(3):1-11)。
【0038】
味覚
唾液は、血漿に対して低張性である(ターナー(Turner)及びスギヤ(Sugiya)、「Understanding salivary fluid and protein secretion」、Oral Diseases 2002年;8:3-11)。これは、低いレベルのグルコース、ナトリウム、塩化物及び尿素は、一般に、味蕾の刺激のための物質の溶解のための能力を一部残していることを意味する。ガスティン(Gustin)もまた、味蕾の成長及び成熟に関係すると考えられている。
【0039】
保護及び潤滑
ムチン(たとえば、高い炭水化物含量を有する可溶性タンパク質)は、唾液粘性を維持し、脱水に対して保護し、潤滑することに大きく関与する。そしゃく、発話、及び嚥下は、これらのタンパク質によって助けられる。ムチンは、二つの優勢分子量タイプとして存在する複雑なタンパク質である(タバック(Tabak)、「Structure and function of human salivary mucins」、Crit Rev Oral Bio and Med 1990年1(4):229-34)。ムチンは、通常、低い水溶性、高い粘性、高い弾性、及び強力な接着性を有する。
【0040】
緩衝能力及び調節PH
炭酸水素塩、リン酸塩、尿素、両性タンパク質、及び酵素が、これらの能力をもたらす。
【0041】
鉱化作用の維持(歯の完全性)
カルシウム及びリン酸塩は、過飽和濃度で維持される。スタテリン(Statherin)、唾液ペプチドは、溶液中のカルシウム及びリン酸塩の安定化に寄与し、歯の磨耗に対して保護するための潤滑剤として働き、さらに、ヒドロキシアパタイトと結合することによって保護的外皮の形成を開始することができる(ダウド(Dowd)、「Salivia and dental caries」、Dent Clin North Am 1999年, 43:579-97)。
【0042】
抗細菌活性
これらの機能は、免疫グロブリン(主にαアミラーゼ)、タンパク質及び酵素の作用によるものである。ムチンもまた、微生物の接着を調整することによって支持的役割を果たす。リゾチームは、細菌細胞壁を分割し、細菌の増殖の破壊及び阻害をもたらす(グラント(Grant)ら、「Saliva. In: Periodontics」、6版、St. Louis: CV Mosby;1988年, P. 135-46)。さらに、リゾチームは、凝集によって細菌の除去を促進する。
【0043】
例示的な人工唾液ポンプ/組立体概念-流体の考慮事項
間質液及び骨髄液は、骨内に、静脈圧よりわずかに高い圧力で存在する(間質液は以下に詳細に論じられる)。間質液のイオン含量は、以下の表2で分かるように、唾液のものとは異なる。
【0045】
半透膜技術によって流体の化学的性質のバランスをとる
唾液代用液として間質液/骨髄液を取り込む上での一つのそのための課題は、溶解種の化学的性質のバランスをとることである。たとえば、ナトリウム及び塩化物の両方が高すぎることがあり、リン酸塩及びカリウムの両方が低くすぎることがある。本開示の一つの概念は、半透膜を使用してほとんどの溶解種を除去することである。次いで所望の正常イオン種を、流体が口腔に入る前に可溶性顆粒塩の溶解によって置換し得る可能性がある。置換量は、可溶性及び粒子サイズによって制御及び左右され得る。水溶性タンパク質(たとえばムチン)、酵素(たとえばアミラーゼ)などの他の正常種及びフッ化物及びキシリトールなどの有益種を加えることもできる。
【0046】
特定の実施形態では、以下にさらに論じるように(
図1)、例示的な唾液腺組立体10(たとえば、インプラントポンピング組立体又は流体送達組立体10)は、多孔性のオッセオインテグレーテッド(osseo-integrated)中空インプラント部材12と、ピストンヘッド16を備えていてもよいインサート部材14とを含むことができ、インサート部材14は、内部チャンバ21(たとえばイオン交換チャンバ21)を有する。一部の実施形態では、インサート部材14は、臨床医によって取り外し可能/交換可能である。
【0047】
最近のコクランレビュー(Cochrane Review)からは、局所的療法が、ドライマウスの症状を緩和するのに有効であることを決定付ける証拠はそれほどない。スプレー、のど飴、口内洗浄液、ゲル、油、チューインガム、又は歯磨き粉などの(たとえば、口の内側に直接的に施される)多くの局所的治療が、このレビューでは評価されているが、全般的には、どのような局所的治療もドライマウスの感知を緩和するのに効果的であることを決定付ける強い証拠はない。流体リザーバを備えた総義歯及びナイトガードなどの代替策が、夜間使用にさまざまな結果をもたらしている (フロスト(Frost)ら、「Patient preferences in a preliminary study comparing intra-oral lubricating device with the usual dry mouth lubricating methods」、Br Dent J 2002年;193(7):403-8)。
【0048】
間質液の有用性を推定する
脛骨(犬歯(canine))内の細胞外液腔は、約30%であると測定された(ケリー(kelly)及びブロンク(Bronk)、「Venous pressure and bone formation」、Microvasc Res 1990年;39:364-375)。したがって、例示的なインプラントの表面の約30%が、柱骨内の流体充填された空間に直接さらされる。インプラントと骨の接触は、35%又は75%の範囲であることが報告されており;これは、あきらかに測定技法によって異なる(パルムキスト(Palmquist)ら、「Bone-titanium oxide interface in humans revealed by transmission electron microscopy and electron tomography」,J R Soc Interface 2012年;9:396-400、また、デギディ(Degidi)ら、「Bone formation around immediately loaded and submerged implants with a modified roughened surface after 4 and 8 weeks」、a human histologic and histomorphometric analysis、J Oral Maxilofac implant 2009年, 24(5):896-901も参照) -故に、これは、流体充填された空間に対して30%の数字に沿っている。
【0049】
こうして、間質液/骨髄液の一定量を引き出しに利用できること、その置換速度が、約0.2ml/分の予想される引き出し速度より高くなり得るとみてよい。また、間質液圧力は、大気圧に対して正であることができ、圧力が(たとえば噛み砕き)機能中、上昇し得ることも留意される。流体を駆動してインサートに通すためにどの程度の固有の圧力が使用できるか否かにより、噛み砕き力によって駆動されるポンピング機能の必要性(及び関連するばね定数)が決定される。このことについての見識は、進行中のウサギの研究から深められる。
【0050】
例示的なウサギの研究からのデータは、長時間にわたって約0.7ml/分に到達するのに十分な流体が利用可能であることを示している。この流体リザーバは、連続的に「補給される」とみてよい。
【0051】
人工唾液ポンプ/組立体の概念 - 構成要素及び外科的考慮事項
留意されるように、また
図1及び3に示すように、例示的な唾液腺組立体10は、インプラント部材12(たとえば多孔性オッセオインテグレーテッド中空インプラント部材12)を含むことができ、インサート部材14(たとえば、流体処理インサート部材14)であって、ピストンヘッド16を有し、(中空)内部チャンバ21(たとえばイオン交換チャンバ21)を有する、インサート部材14を含むことができる。
【0052】
通常では、
図1に示すように、インプラント部材12及びインサート部材14は、歯冠側端部43から根尖側端部41まで延びる。例示的なインプラント部材12は、円筒状部分15上に外部ねじ山を含むことができる。
【0053】
図1に示すように、例示的な唾液腺組立体10は、少なくとも二つの構成要素:(i)多孔性壁11を有する埋め込み可能な(中空)インプラント部材12(たとえば多孔性オッセオインテグレーテッドインプラント部材12)と;(ii)中空インプラント部材12内に配設され又は収容されるように構成され寸法設定されたインサート部材14(たとえば、インサート部材14は、インプラント部材12に螺合され又はスナップフィットするように構成される)とを含む。
【0054】
例示的な中空インプラント部材12は、実質的に円筒状であり、拡大された歯冠側円筒状ヘッド部分13と、根尖側円筒状部分15とを含み、ヘッド部分13は、歯冠側端部43において開いており19、インサート部材14をインプラント部材12内(たとえば、中空ヘッド部分13内及び中空円筒状部分15内 -
図3)に配置することを可能にするように構成される。インプラント部材12はまた、経粘膜的部分17及び外部ねじ山42を含むこともできる。
【0055】
一部の実施形態では、ヘッド部分13の開放端部19は、第1の端部から第2の端部まで約8.5mm横方向に延びる(直径)。たとえば、開放端部19は、リング形状であり、約8.5mmの直径を有する。円筒状部分15の下側端部は、約4.8mmの直径を有することができるが、本開示はこれに限定されない。
【0056】
埋め込まれたインプラント部材12は、歯科用インプラントとして下顎骨又は上顎骨とオッセオインテグレーション化する(osseo-integrate)ことができる(したがって、他の埋め込まれたデバイスに見られる線維性被包の問題を回避する)。特定の実施形態では、癒合段階中、この中空インプラント部材12は、(たとえば癒合当接部材に取り付けられた取り外し可能なインサートの形態の)ブロッキング材料によって充填されて、全体の内部空間/部分13及び/又は15並びに壁11の孔を実質的に塞ぎ、手術中及び手術後の凝固血による充填及び閉塞を防止することができる。埋め込まれたインプラント部材12の咬合開口部19は、インプラント癒合当接部材で閉じることができる。オッセオインテグレーション(osseo-integration)に続いて、癒合当接部材を露出/取り外すことができ、ブロッキング材料をインプラント部材12から除去することができ、流体処理インサート部材14をインプラント部材12内に置く/配置することができる(
図3)。これらの構成要素及びステップが、
図1〜4に示される。
図1〜4は、ユーザの流体(たとえば間質液/骨髄液)を捕捉するための多孔性壁11を有する、例示的な埋め込まれたインプラント部材12を示す。
【0057】
例示的な(交換可能な)インサート部材14(たとえば実質的に円筒状のインサート部材14)は、埋め込まれたインプラント部材12内に収容され、配設され、又は嵌合されるように構成され寸法設定される。
【0058】
例示的なインサート部材14は、実質的に円筒状であり、拡大された歯冠側円筒状ピストンヘッド16と、ピストンヘッド16から延びる根尖側円筒状部分25とを含み、インサート部材14はまた、間質液の化学的性質を変更して(上記で詳細に示す)より「唾液」様にするために処理材料32、35を場合により収容するように構成された中空内部チャンバ21(たとえばイオン交換チャンバ21)も有する。
【0059】
図1に示すように、中空円筒状部分25は、多孔性壁26を含み、このとき中空円筒状部分25は、内部チャンバ21を収容するように構成され寸法設定され、円筒状部分25は、多孔性壁26と内部チャンバ21の非多孔性壁23との間に外側チャンバ27を画定する。
【0060】
内部チャンバ21は、実質的に円筒状であり、非多孔性壁23を含むことができ、根尖側端部41において弁部材24(たとえば一方向弁24)と流体連通することができ、歯冠側端部43においてピストンヘッド16と流体連通することができ、これは以下でさらに論じられる。
【0061】
したがって、例示的なインサート部材14は、実質的に円筒状であり、ピストンヘッド16及び円筒状部分21、25を含むことができ、このとき部分21、25は、インプラント部材12の部分15内に収容されるように構成され、ピストンヘッド16は、インプラント部材12の部分13内に収容されるように構成される(
図3)。こうして、インサート部材14は、中空インプラント部材12内に配設され又は収容されるように(たとえば、このときインサート部材14が、埋め込まれたインプラント部材12内に螺合され又はスナップフィットされている状態で)構成され寸法設定される。
【0062】
インサート部材14(たとえば、インサート部材14のピストンヘッド16)はまた、一つ以上のガスケット部材28(たとえばOリング28)を含むこともでき、並びに/又はヘッド部分13と共に流体密封シールを形成するように構成された高い公差(tolerances)を有することができる(
図3)。さらには、以下にさらに論じるように、インサート部材14(たとえば、インサート部材14のピストンヘッド16)はまた、一つ以上の流体チャネル30と、一つ以上のばね部材31(たとえば、渦巻き状ステンレス鋼ばね部材31)とを含むこともでき、又はこれらと結合することもできる。
【0063】
図2Aは、骨から出現したインサート部材14のピストンヘッド16を示し、このときクラウン部材18(たとえば、歯様付加物18)が、歯冠側端部に装着されて咬合面までの高さをもたらしている。
【0064】
図2Bは、下顎骨内に置かれた、組み合わせられた歯科用インプラント又は組立体10の断面図である。
【0065】
組み合わせられた組立体10の例示的な詳細が、
図3に例示される。このようにして、
図3は、所定場所にあるインサート部材14と埋め込み可能なインプラント部材12の組み合わせの概略的な詳細を示す。
【0066】
本開示の特定の実施形態では、
図3に示すように、一部の例示的な構造的構成要素は:(i)骨から口腔に向かう流体の流れを制御する弁部材24(たとえば一方向弁部材24)と、(ii)多孔性壁26と内部チャンバ21の非多孔性壁23との間の空間又は外側チャンバ27を交互に加圧し、真空を生じさせる(
図4A〜4Bにさらに例示する)、(たとえばばね31を介して)ばね駆動されるピストンヘッド16とを含む。
【0067】
組立体10の化学成分又は処理材料は、(たとえば、可溶性有機種を除去するためのチャンバ27内かつ弁24の下方の)活性炭素33の床と、(たとえばNa及びClを除去する)弁24の上方のチャンバ21内のイオン交換樹脂32(たとえば、混床イオン交換樹脂32)と、可溶性粒子35(たとえばチャンバ21内の混合されたカチオン、アニオンタンパク質放出床35;チャンバ21内の非結晶リン酸カルシウム、フッ化物、タンパク質放出床35)とを含み、追加の所望の種を加えることができる(たとえばPO
4及びK)。
【0068】
図4Aは、ピストンヘッド16の歯冠側端部20にかかるユーザの力(たとえば噛み砕き力、そしゃく力、偶発的な歯の接触を伴う嚥下など)の作用を例示し、この作用によってチャンバ27内に圧力を生じさせて、一方向弁24を通ってチャンバ21に入る流体(たとえば間質液/骨髄液)の流れを駆動し、矢印Aの方向に処理室21を通って上昇させて、インサート部材14のピストンヘッド16内の流体チャネル30を介して矢印C、Dの方向に口腔内に放出させる。
【0069】
したがって、
図4Aは、噛み砕き/嚥下又はそのようなものによる歯冠側力(たとえばインサート部材14のピストンヘッド16の歯冠側端部20にかかる矢印Bの方向のユーザの噛み砕き力)が、ピストンヘッド16を矢印Bの方向に変位又は移動させ、インサート部材14の外側チャンバ27を加圧し、それによって流体をインサート部材14を通ってユーザの口腔に流れさせる。特定の実施形態では、ピストンヘッド16が矢印Bの方向に移動され/変位されたとき、ピストンヘッド16の下方に配置されたばね31は、ピストンヘッド16とチャンバ21の歯冠側端部との間、及び/又はピストンヘッド16とヘッド部分13の歯冠側表面との間を圧縮する。
【0070】
図4Bに示すように、噛み砕き力が除去されたとき、矢印Uの方向のばね部材31の上方向のばね力は、ピストンヘッド16を矢印Uの方向に変位又は移動させ、それによって一方向弁を閉じ、インサート部材14の外側チャンバ27内に真空を作り出し、この真空は、それによって流体(たとえば間質液/骨髄液)をチャンバ27内に(たとえば、壁11、26の孔を介して)引き入れる。
【0071】
こうして、
図4Bに示すように、噛み砕き力が除去されたとき、インサート部材14のばね31は、チャンバ27内に真空を作り出し、それによって一方向弁24を閉じ、流体(たとえば間質液/骨随液)をインサート部材14の外側チャンバ27内に引き入れる。
【0072】
歯の接触無しで、適当な速度で組立体10を通って口腔に至る一定の流体の流れを引き起こすのに十分な流体圧力(たとえば間質液/骨髄液圧力)が存在し得ること、及び噛み砕き又は嚥下によって駆動されるポンピング/移動(たとえばピストンヘッド16の移動)だけで、正常な機能下で起こるように噛み砕き/嚥下中の唾液流を増加させることが可能であることが留意される。流体圧力が高すぎる結果、一定流の速度が速すぎる場合、一方向弁24内の抵抗を増大させることができ、それによって噛み砕き/嚥下中又は要求に応じて患者によって起動されるときにのみ流れが起こる。
【0073】
例示的な実施形態/技術
一つの例示的なそしゃくピストンヘッド16は、約267mm
2の活性表面積を有して設計される(たとえば、ピストンヘッド16の歯冠側端部20は、約267mm
2の活性表面積を有する)。これは、(80MPa真空を生み出す)約0.2mmの垂直変位において約7.2mm
3のインサート部材14の容積変位を有するリング形状ピストンヘッド16の設計に基づく。例示的な実施形態では、上記で留意したように、リング形状のピストンヘッド16を、ステンレス鋼渦巻きばね31によって対抗されるユーザの咬合圧力によって駆動することができる。
【0074】
例示的な証拠
設計考慮事項が案出されており、組立体10を試作することができる。実用的なポンプ寸法及びイオン樹脂能力にも基づく計算から、間質液/骨髄液を取り込み、これを人工唾液に変換するというこの概念は、有利であることが示されている。追加の証拠は、歯科用インプラント内の骨とチタンの間の境界面の形成を含み(たとえば流体の流れを遮る繊維性組織被包がないことが想定される)、内側チャンバを交換するプランは、汚れを改善することも想定される。ナノ銀コーティング及び消毒インサートの使用の何らかの組み合わせを使用することで、殺菌性を維持することができる。
【0075】
骨は、オッセオインテグレーテッドインプラント部材12の壁11を内張する(恒久的な)膜/フィルタ(たとえばミリポア膜/フィルタ)及び/又はインサート部材14の壁26を内張する膜/フィルタ(たとえばミリポア膜/フィルタ又は逆浸透性膜-Dow Filmtec BW30)によって保護され得る。
【0076】
例示的な実施形態では、本開示は、チタン及び/又はチタン合金から少なくとも部分的に製作された複合医療組立体/デバイス10を提供する。例示的な方法は、レーザ溶接又はレーザ機械切削を使用して3Dコンピュータ設計から(埋め込み可能な医療デバイス/組立体10を含む)複雑な金属部材を製作することを含むことができる。方法は、コンピュータ設計並びに試作品及び実験的なインサート部材14及び/又は組立体10の実際の製作の両方を含むことができる。
【0077】
他の方法は、イオン種及び他の化学種を、間質/骨液内に見られるものと唾液内に見られるものとの間で調整し、最適化するのに必要とされる分析化学を含むことができる。
【0078】
さらなる開発は、間質液/骨随液が利用可能であるという概念を証明し、流れ対真空圧力に関する初期データを得るための小動物実験(ウサギ)と;さらに設計し、試作品を構築することと;イオン交換樹脂技術及び/又は半透膜技術におけるさらなる専門的技術を開発することと;試作品及び人工骨モデルを使用して化学的性質の調整を発展させ、定量化することと;所望の流量に合わせた設計のさらなる最適化/改良及びインサート部材14の交換間隔の時間を最大限にすることと;最適化された/改良された試作品を機能及び耐久性の両方に関して評価するためのミニブタ試験のさらなる開発と;人体試験とを含むことができることが留意される。
【0079】
別の実施形態では、
図5に示すように、例示的な唾液腺組立体10は、インサート部材14のピストンヘッド16の上部に装着されたクラウン部材18を含む。
【0080】
したがって、クラウン部材18の歯冠側表面29に対するユーザの力(たとえばユーザの噛み砕き/嚥下力)の作用が、チャンバ27内に圧力を生じさせ、弁部材24(たとえば一方向弁24)を通って内部チャンバ21内に入る流体(たとえば間質液/骨髄液)の流れを駆動して、矢印Aの方向に内部チャンバ21を通って上昇させて、クラウン部材18内の流体チャネル130を介して矢印C、Dの方向に口腔内に放出させ、これは、ヘッド16の流体チャネル30に関連して上記で同様に説明している。この実施形態では、ピストンヘッド16は、流体チャネル30を含んでも含まなくてもよいことが、留意される。
【0081】
有利なクラウン部材18は、処理材料35(たとえば、タンパク質、キシリトール、非結晶リン酸カルシウムなどの可溶種)を収容するためにチャンバ37によって追加の容積をもたらし得ることが留意される。
【0082】
クラウン部材18の追加によって、インプラントインサート部材14の上の容積を2倍以上にすることができることが留意される。通常、クラウン部材18又はそのようなものは、患者が歯の接触を有し、又は噛み砕き中、ポンピング力又は移動をピストンヘッド16に与えるようにする。
【0083】
別の実施形態では、
図6に示すように、例示的な唾液腺組立体100は、インサート部材114のヘッド部分116の歯冠側端部43上に装着されたクラウン部材118を含む。
【0084】
そのような実施形態では、インサート部材114は、実質的に円筒状であり、拡大された歯冠側円筒状ヘッド部分116と、ヘッド部分116から延びる根尖側円筒状部分125とを含み、インサート部材114はまた、弁部材124(たとえば逆止弁124)を収容するように構成された中空内部チャンバ121も有する。内部チャンバ121はまた、場合により処理材料32、35も収容し、これによって上記で説明したように間質液/骨随液の化学的性質を変更することができる。
【0085】
中空円筒状部分125は、多孔性壁126を含み、このとき中空円筒状部分125は、内部チャンバ121を収容するように構成され寸法設定され、円筒状部分125は、多孔性壁126と内部チャンバ121の非多孔性壁123との間に外側チャンバ127を画定する。上記で同様に論じたように、インサート部材114は、中空インプラント部材12内に配設される、又は収容されるように(たとえば、インサート部材114が埋め込まれたインプラント部材12内に螺合され/ねじ込まれ、又はスナップフィットする状態で)構成され寸法設定される。
【0086】
内部チャンバ121は、実質的に円筒状であり、非多孔性壁123を含み、根尖側端部41近くの弁部材124と流体連通し、ヘッド部分116及び/又はクラウン部材118と流体連通することができる。
【0087】
例示的なクラウン部材118は、ブラダ部材152(たとえば空気又は流体充填されたブラダ部材152)を収容するように構成され寸法設定された内部空洞150を含む。クラウン部材118はまた、空洞150と連通する中央孔153も含み、中央孔153は、ピストン部材156(たとえば、油圧式又は流体駆動式のピストン部材156)の少なくとも一部分を収容するように構成され、ピストン部材156は、弁部材124に装着される。咬合部材154は、ブラダ部材152及び/又はクラウン部材118の歯冠側端部上に装着され、それによってブラダ部材152の歯冠側端部を覆う。
【0088】
例示的な実施形態では、噛み砕き/嚥下又はそのようなものによる歯冠側力(たとえば咬合部材154の歯冠側表面129上の矢印Bの方向のユーザ噛み砕き力)は、ブラダ部材152を矢印Bの方向に変位又は移動させ、それによってピストン部材156及び弁部材124を矢印Bの方向に移動させ、それによってインサート部材114の外側チャンバ127を加圧し、それによってインサート部材114内を通ってユーザの口腔に入る処理された流体の流れを引き起こす。特定の実施形態では、弁部材124が矢印Bの方向に移動/変位されたとき、弁部材124の下方に配置されたばね31は、弁部材124と外側チャンバ127の根尖側端部との間、及び/又は弁部材124とインプラント部材12の根尖側端部との間を圧縮する。
【0089】
噛み砕き力が除去されたとき、矢印Uの方向のばね部材31の上方向/根尖側方向のばね力が、弁部材124を矢印Uの方向に変位又は移動させ、それによって弁部材124を閉じ、インサート部材114の外側チャンバ127内に真空を作り出し、この真空は、それによって流体(たとえば処理された流体)をチャンバ127内に(たとえば壁11、126の孔を介して)引き入れる。
【0090】
したがって、咬合部材154の歯冠側表面129に対するユーザ力の作用(たとえば、ユーザの噛み砕き/嚥下力)は、チャンバ127内に圧力を生じさせ、弁部材124に通って内部チャンバ121に入る流体(たとえば間質液/骨髄液)の流れを駆動して、矢印Aの方向に内部チャンバ121内を通って上昇させ、クラウン部材118内の流体チャネル130を介して矢印C、Dの方向に口腔内に放出させ、これは、ヘッド16の流体チャネル30に関連して上記で同様に説明している。この実施形態では、ピストンヘッド16は、流体チャネル130を含んでも含まなくてもよいことが、留意される。
【0091】
有利なクラウン部材118は、上記で同様に説明したように、処理材料32及び/又は35(たとえば、タンパク質、キシリトール、非結晶リン酸カルシウムなどの可溶種)を収容するためにチャンバ137によって追加の容積をもたらし得ることが留意される。
【0092】
別の実施形態では、
図7〜13に示すように、例示的な唾液腺組立体200は、インプラント部材212と、クラウン部材218を有する当接部材と、フィルタ部材264が装着されたインサート部材214と、ピストン部材256と、咬合部材254とを含む。
【0093】
例示的なインプラント部材212は、実質的に円筒状であり、壁212を貫通する孔258を含み、壁211は、(たとえば、埋め込み目的の)外部ねじ山242及び内部ねじ山244を有する(
図8)。特定の実施形態では、
図8に示すように、インプラント部材212は、内部空洞246及び当接表面248を含む。インプラント12と同様に、埋め込まれたインプラント部材212は、歯科用インプラントとして下顎骨又は上顎骨とオッセオインテグレーション化することができる。
【0094】
図9に示すように、当接/クラウン部材260は、当接部分247と、当接部分247に装着されたクラウン部材218とを含む。一部の実施形態では、当接部分247は、その上に装着されたクラウン部材218を有さなくてよい。例示的な当接部分247は、当接部分247の根尖側端部に当接表面249を含み、受け入れ表面245を含み、これを以下でさらに論じる。当接部材260はまた、中央孔251と、一つ以上の流体チャネル230とを含む。
【0095】
例示的なインサート部材214は、実質的に円筒状であり、拡大された歯冠側円筒状ヘッド部分216と、ヘッド部分216から延びる根尖側円筒状部分225とを含み、インサート部材214はまた、弁部材224及び内部ピストン部材257を収容するように構成された中空内部チャンバ221も有する。例示的なピストン部材257が、弁部材224に装着される。
【0096】
インサート部材214はまた、外部ねじ山255を含み、フィルタ部材264(たとえば、フィルタ膜カートリッジ部材264)は、インサート部材214の根尖側端部に(たとえば、スナップフィット又はそのようなものを介して)装着されるように構成され寸法設定される。インサート部材214の歯冠側端部は、以下でさらに論じるように受け入れ空洞259を含むことができる。例示的なヘッド部分216は、この部材214をインプラント部材212に取り付けるための止め具として働き、ヘッド部分を貫通する一つ以上の流体チャネル258を含むことができる。
【0097】
中空円筒状部分225は、壁226を含み、このとき一つ以上の孔又は開口部262が壁226を貫通する(たとえば根尖側端部において -
図10)。円筒状部分225は、壁226と内部ピストン部材257との間に外側チャンバ227を画定する。以下にさらに論じるように、インサート部材214は、中空インプラント部材212内に配設され又は収容されるように構成され寸法設定される。
【0098】
図7〜9に示すように、当接部材260は、インプラント部材212の内部空洞246(
図8)内に配置されるように構成され、それにより、当接部材260の当接表面249(
図9)は、インプラント部材212の当接表面248(
図8)と当接又は接触する(
図7)。
【0099】
図11に示すように、例示的なインサート部材214(その上にフィルタ部材264が装着されている)を当接部材260の中央孔251を通って、ヘッド部分216が当接部材260の受け入れ表面245上に載るまで挿入することができ、それにより、インサート部材214の外部ねじ山255をインプラント部材212の内部ねじ山244に螺合式に連結することができ、それによって当接部材260、インサート部材214、及びインプラント部材212を互いに固定する(
図7)。
【0100】
次いで、ピストン部材256を空洞251内に挿入することができ、ピストン部材256を、受け入れ空洞259内に配置/固定された締め付け部材263を介してインサート部材214に装着することができる。次いで、咬合部材254を空洞251内に挿入することができ、咬合部材254を受け入れ空洞266内に配置/固定された締め付け部材265を介してピストン部材256に装着することができる。一部の実施形態では、組立体200は、咬合部材254を含まなくてよく、ピストン部材256は、組立体200のクラウン部材218の歯冠側端部まで延びることができることが留意される。
【0101】
例示的な実施形態では、噛み砕き/嚥下又はそのようなものによる歯冠側力(たとえば咬合部材254の歯冠側表面229上の矢印Bの方向のユーザの噛み砕き力)が、咬合部材254及びピストン部材256を矢印Bの方向に変位又は移動させ、それによって内部ピストン部材257及び弁部材224を矢印Bの方向に移動させ、それによってインサート部材214の外側チャンバ227を加圧し、それによってインサート部材214内を通ってユーザの口腔内に入る流体の流れを引き起こす。特定の実施形態では、弁部材224が矢印Bの方向に移動/変位されたとき、弁部材224の下方に配置されたばね31は、弁部材224と外側チャンバ227の根尖側端部との間を圧縮する。
【0102】
噛み砕き力が除去されたとき、矢印Uの方向のばね部材31の上方向/根尖側方向のばね力が、弁部材224を矢印Uの方向に変位又は移動させ、それによって弁部材224を閉じ、インサート部材214の外側チャンバ227内に真空を作り出し、この真空は、それによって流体(たとえば処理された流体)をチャンバ227内に及び/又はインプラント部材212のリザーバ268内に(たとえば壁211の孔258を介して)引き入れる。リザーバ268を膜/フィルタ(たとえばミリポア膜/フィルタ又はそのようなもの)に関連付けることができる(たとえば、これで内張することができる)ことが、留意される。
【0103】
したがって、咬合部材254の歯冠側表面229に対するユーザ力の作用(たとえば、ユーザの噛み砕き/嚥下力)は、チャンバ227内に圧力を生じさせ、弁部材224を通って内部チャンバ221内に入る流体(たとえば間質液/骨髄液)の流れを駆動して、矢印Aの方向に内部チャンバ221を通って上昇させ、インサート部材214内の流体チャネル258及び当接/クラウン部材260内の流体チャネル230を介して矢印C、Dの方向に口腔内に放出させ、これは、ヘッド16の流体チャネル30に関連して上記で同様に説明している。
【0104】
本開示は、以下の実施例に対してさらに説明されるが;本開示の範囲はこれによって限定されない。以下の実施例は、有利な唾液腺組立体の製作及び使用を例示する。
【0105】
[実施例1]
インビボのウサギの研究の結果に基づき:(i)おそらく患者一人あたり一つのインプラント/組立体(たとえば10、100、200)のみを必要とする状態で、例示的な組立体(たとえば組立体10、100、200)が作用するのに十分な間質液/骨髄液が存在すること;(ii)組立体内をより低い真空圧力にするのに利用可能な正の流体圧力が存在すること(たとえば、大気圧の25%から50%が、1分あたり0.05ミリリットルの流体を取り出すのに十分であった);(iii)インプラント壁(たとえば壁11)は、それほど多孔性である必要はなく、限定された数の小さな孔(たとえば壁11内の直径0.5mmの約30個の穴)で十分であり得ること;(iv)壁11内の穴は最初の手術において閉塞されなくてよいことが、留意される。
【0106】
図14〜17は、最初のウサギの研究に使用された例示的な試作品を示す写真/画像である。これらの試作品を、インプラント部材(たとえば、シュトラウマン(Straumann)インプラント、12mm、4.1mm)を中空にし、穴を骨内部分に付加し且つ穴を有する特注のキャップを受け入れるためのねじ山を歯冠側部分内に付加することによって機械工場で作製した。
図14に示すように、テフロン(登録商標)テープを使用して、第2の手術中、軟質組織からチューブ内に流れる血液に対してシステムをシールした。
【0107】
キャップ/クラウン内の穴をガッタパーチャポイント(gutta percha point)で塞がれたプラスチックチューブで充填した。プラスチックチューブは、血液でインプラント/組立体が満たされないようにするのを助け、その後の手術においてインプラント/組立体を位置特定するのを容易にするために使用した。
【0108】
ウサギの下顎骨内の流体を探すための第1の手術において、歯内療法に使用されるものなどの吸収性のペーパポイント(absorbent paper point)を利用した(
図16)。これらを計量し、30〜60秒の間挿入し、次いで再度計量した。埋め込みの約1ヶ月後、組立体は、数ミリリットルの流体をもたらした。この量は、穴が依然として塞がれているか、又は真空が必要とされる(又はその両方)ことに起因し得る。
【0109】
最後の手術において、ウサギの下顎骨内の埋め込みの約3ヶ月後、流体は自発的に流れた。真空下で流体を収集することが可能になった。
図17は、3mmの内径チューブの内側の8mmの間質液を示す(0.75%から0.5%の大気圧において5秒間に57mm
3又は0.057mlを収集した)。
【0110】
本明細書において開示する範囲は、終点を含むものであり、終点は、独立的に互いに組み合わせ可能である。本明細書において開示する各範囲は、開示する範囲内にある点又は副範囲の開示を構成する。
【0111】
本明細書において開示する改良を説明する文脈において(特に特許請求の範囲において)用語「a(一つ)」及び「an(一つ)」並びに「the(その)」並びに類似の性質の言葉の使用は、別途本明細書において示されない限り、又は文脈が明確に反論しない限り、単数及び複数両方を意味するように解釈されるものとする。さらに、本明細書における用語「第1」、「第2」などは、いかなる順序、量、又は相対的重要性を示すものでもなく、一つの要素を互いから区別するために使用されることに留意されたい。量に関連して使用される修飾語句「約」は、述べられた値を含み、文脈によって決定された意味を有する(たとえば、これは、最低限、特定の量の測定に関連付けられた誤差の程度を含む)。
【0112】
本明細書において説明する方法は、別途本明細書において示されない限り、又は文脈が明確に反論しない限り、適切な順序で実行され得る。例、又は例示的な言葉(たとえば「など」)の使用は、開示をより分かりやすく例示するように意図されるにすぎず、別途特許請求されない限り、本開示の範囲又はその実施形態に限定を課すものではない。
【0113】
別途定義されない限り、本明細書において使用する技術的及び科学的用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0114】
本開示のシステム及び方法をその例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本開示は、そのような例示的な実施形態及び/又は実施に限定されない。そうではなく、この開示から当業者に容易に明白になるように、本開示のシステム及び方法は、多くの実施及び適用を行いやすくする。本開示は、開示する実施形態のそのような改変、強化、及び/又は変形を明示的に包含する。多くの変更を上記の構造に行うことができ、本開示の多くの幅広い異なる実施形態を本発明の範囲から逸脱することなく作り出すことができるため、図及び明細書内に含まれるすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示的として解釈されるものである。さらなる改変及び代用が、前述の開示に意図される。したがって、付属の特許請求の範囲を広く、本開示の範囲と一致させて解釈することが適切である。