(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクチュエータ装置は、前記担体上に延在する更なる複数のストリップを有し、前記更なる複数のストリップは、前記複数のストリップに対して垂直方向に延在してマットアクチュエータ装置を形成する、請求項4に記載の超音波アレイ。
前記超音波トランスデューサ素子は、前記マットアクチュエータ装置の各々の接合部又は前記複数のストリップからのストリップの隣接する対及び前記更なる複数のストリップからのストリップの隣接する対によって区切られる前記マットアクチュエータ装置内の各々の空孔にアラインされる、請求項5又は6に記載の超音波アレイ。
前記超音波トランスデューサ素子によって受信される超音波エコーから超音波画像を生成するために前記超音波トランスデューサ素子に結合される超音波イメージング段をさらに有する、請求項12に記載の超音波システム。
【背景技術】
【0002】
超音波は医学におけるいくつかの応用を見出す。このような用途の1つは、超音波イメージングであり、超音波は、超音波トランスデューサのアレイによって患者の体内に放出され、超音波のエコーは、超音波トランスデューサ又は専用の超音波レシーバによって収集され、超音波画像、例えば1D、2D又は3D超音波画像を生成するために処理される。他の用途は、高強度集束超音波(HIFU)療法などの超音波療法であり、超音波ビームは超音波トランスデューサ素子によって生成され、病変組織に集束される。焦点における多量のエネルギー蓄積は、約65℃乃至85℃の範囲の局所的な温度を生じ、凝固壊死によって病変組織を破壊する。
このようなアプリケーションにはいくつかの課題がある。例えば、イメージング用途において、超音波トランスデューサアレイとイメージングされる体の部分との間の良好な接触を実現することは容易ではない。これは、典型的には、超音波トランスデューサアレイと体部分との間の接触を改善する特殊なゲルを使用することによって実現される。しかしながら、このアプローチの欠点は、通常、超音波信号の送信又は受信を妨害するエアバブルを含み得る、大量のゲルが使用されなければならないことにある。さらに、例えば、プローブの形態における、超音波トランスデューサアレイは、典型的にはイメージングプロシージャの間にハンドヘルドであり、プロシージャはエラーを起こしやすい。
【0003】
病変組織の複数の領域を治療するために集束ビームが周期的な再調整を必要とする場合、治療用途にも同様の課題が存在する。これは、それぞれの超音波トランスデューサ素子によって生成される信号の相対位相の調整によるビームステアリングによって、又は集束素子を調整することによって手動で行われることができる。手動調整は不正確である傾向があり、位相制御されるビームステアリングの範囲は、アレイ移動なしに全ての病変組織に到達するのに不十分である可能性がある。更なる問題は、HIFU治療のような治療処置は、磁気共鳴イメージングによってしばしばモニタリングされるので、超音波トランスデューサアレイ内の材料が、例えば磁気共鳴技術に適合しなければならず、例えば反磁性でなければならないことにある。
【0004】
US2008 / 0125661A1は、形状記憶合金を含む超音波トランスデューサアレイを開示している。これにより、アレイは2つのジオメトリ、すなわち実際のジオメトリと、形状記憶合金によって記憶されるジオメトリとの間で切り替えられることが可能になる。合金の記憶は、加えられた熱のためにアレイを湾曲状又は螺旋状にねじる形状記憶合金のような、製造中のアレイジオミトリの所望の変化をもたらす。このアレイは、記憶合金によって、又は記憶合金によって位置決めされた後にボンディングすることによって適所に固定されてもよく、実質的な変化がさらに防止される。このようなアレイは制御が難しく、熱によって制御されなければならないという欠点があり、これは問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、イメージング又は治療される体部分に調整するための、及び/又はアレイによって生成されるビーム方向を調整するための、より汎用性のある調整可能な形状を有する超音波アレイを提供することを目的とする。
本発明は、このような超音波アレイを含む超音波システムを提供することを更なる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、電磁刺激に応答して調整可能な形状を有する材料のアクチュエータ装置をさらに担持する担体上に複数の超音波トランスデューサ素子を有する超音波アレイであって、材料は、前記刺激に応答して前記超音波トランスデューサ素子の方向を変化させるように構成される、超音波アレイが提供される。
本発明は、電圧、電流又は光のような電磁刺激に応答して形状変化し得る新たな種類の材料の利用可能性が、そのような材料アクチュエータ装置を含む超音波アレイの方向の構成可能な変化を容易にするという認識に基づいている。そのような材料の例は、電気活性ポリマー及び光学応答性ポリマーである。これは、例えば、超音波アレイの形状を、イメージング又は治療されるべき体の輪郭に一致させることを可能にし、それにより、アレイと体部分との間の十分な接触を実現するための大量のゲルの使用の必要性及び/又はアレイを手動で保持する必要性を排除する。例えば、個別の超音波トランスデューサ素子及び/又は超音波トランスデューサ素子のグループの方向を調整することによって、超音波アレイによって生成されるビーム方向を調整することも可能になる。
一実施形態において、アクチュエータ装置は、複数の材料部分を有し、各部分は、担体と前記超音波トランスデューサ素子の1つの周辺部分との間に配置される。各部分は、個別の超音波トランスデューサ素子の透過面の方向が、例えばビーム成形の目的でそのような刺激の印加に応答して変更され得るように、個別にアドレス指定可能であり、すなわち個別に電磁刺激を備え得る。
代替の実施形態において、アクチュエータ装置は、刺激に応答して更なる複数の前記超音波トランスデューサ素子の方向を同時に変化させるように構成され、前記更なる複数の超音波トランスデューサ素子は、前記複数の超音波トランスデューサ素子の少なくともサブセットである。この実施形態において、超音波トランスデューサ素子のグループは、この部分の作動がグループの方向を相関して調整するように、材料の単一の部分に取り付けられる。
【0007】
アクチュエータ装置は、フォイルの変形時にフォイルに取り付けられる超音波トランスデューサ素子の方向がこの変形に従って調整されるように、担体上に延在するフォイルを有する。これは、例えば、アレイを単一の方向に変形させるのに特に適している。
アクチュエータ装置は、前記担体上に延在する複数のストリップを有してもよい。ストリップは、アレイの変形に渡って制御を増加させるために個別にアドレス指定可能であってもよい。
アクチュエータ装置は、前記担体上に延在する複数のストリップをさらに有し、前記更なる複数のストリップは、マットアクチュエータ装置を形成するために前記複数のストリップに対して垂直方向に延びる。これにより、多方向へのアレイの変形が容易になる。更なる複数のストリップは、アレイの変形に渡る制御をさらに増加させるために個別にアドレス指定可能であってもよい。
複数のストリップ及び更なる複数のストリップは、複数の方向におけるアレイの変形を容易にするために、織り合わされるマットアクチュエータ装置を形成することができる。
超音波トランスデューサ素子は、マットアクチュエータ装置のそれぞれの接合部又は複数のストリップからのストリップの隣接対及び更なる複数のストリップからのストリップの隣接対によって区切られるマットアクチュエータ装置内のそれぞれの空孔と位置合わせされてもよい。
一実施形態において、アクチュエータ装置は、前記担体上に分布される環状材料部分のアレイを有する。環状材料部分は個別にアドレス可能であってもよい。そのような環状部分はまた、多方向へのアレイの変形を容易にする。
担体は、可撓性であってもよく、複数の超音波トランスデューサ素子とアクチュエータ装置との間に配置されてもよい。これは、例えば、可撓性のある担体、例えばフレキシブルPCBを通じた超音波トランスデューサ素子への接続の提供を容易にする。
超音波アレイは保護フォイルをさらに有し、アクチュエータ装置は担体と保護フォイルとの間に配置される。これは、材料アクチュエータ装置を外部の影響による損傷から保護する。
一実施形態において、超音波アレイは、アレイを体部分に対して固定するためにアレイが取り付けられるストラップをさらに有する。これは、アレイを体部分に対してさらに固定することができ、したがって、プロシージャ中にアレイの意図しない移動に起因するイメージング又は処理のアーチファクトのリスクをさらに低減する。
他の態様によれば、上述の実施形態のいずれかの超音波アレイと、超音波トランスデューサ素子に結合される超音波信号生成段と、調整可能な形状を有する材料のアクチュエータ装置に結合される電磁刺激生成器とを有する。このような超音波システムは、例えば、先に説明したように、集束超音波ビームが病変組織に送達される超音波治療に使用され得る。
超音波システムは、超音波トランスデューサ素子の少なくともいくつかによって受信される超音波エコーから超音波画像を生成するために、超音波トランスデューサ素子に結合される超音波イメージング処理段をさらに有することができる。このような超音波システムは、例えば、超音波エコーが収集され、超音波画像処理段によって処理されて超音波画像を生成する超音波イメージングに使用されてもよい。
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、より詳細に、非限定的な例として記載される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面は単に概略的なものであり、寸法通りではないことは理解されたい。同じ参照番号は、図面全体にわたって同じ又は類似の部分を示すために使用されることも理解されるべきである。
本発明の実施形態は、法線面に対する超音波トランスデューサ素子の方向が、電磁刺激に応答して調整可能な形状を有する材料のアクチュエータ装置によって調整され得る超音波アレイであって、材料は前記刺激に応答して前記超音波トランスデューサ素子の方向を変えるように構成される、超音波アレイに関する。本願の文脈において、そのような材料は、変形の程度と電磁刺激の強度の範囲との間の相関を示すことによって特徴付けられるので、材料の変形の程度は、印加される電磁刺激の強度によって(可逆的に)制御される。そのような材料の変形の程度は正確に制御されることができないので、これは、形状記憶材料を除外し、代わりに、そのような材料は典型的には2つの形状のみ、すなわちそのような刺激の適用後の「オン」形状、典型的には熱、及びそのような刺激の適用前のオフ形状の間で駆動される。
【0010】
本願の文脈において、電磁刺激は、電圧差、電場又は電流のような電気刺激並びに適切な波長又はスペクトル組成の光学刺激、すなわち電磁放射線を含む。
【0011】
本願の文脈において、超音波トランスデューサ素子が参照される場合、圧電トランスデューサ素子、例えば、ジルコン酸チタン酸塩(PZT)超音波トランスデューサ素子又は容量性微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)素子のような、何れかの適切なタイプの超音波トランスデューサ素子が考えられることは理解されるべきである。CMUTトランスデューサ素子は、受信超音波信号の音響振動を変調容量に変換する電極を備える、小さなダイヤフラム状のデバイスである。送信のために、電極に印加される容量性電荷は、デバイスのダイヤフラムを振動/移動させるように変調され、それによって超音波を送信する。これらのダイヤフラムは半導体プロセスによって製造されるので、デバイスはマイクロメートルからミリメートルの範囲、例えば数ミリメートルまでの寸法を有することができ、個別のダイヤフラム間の間隔は数マイクロメートル未満になる。多くのこのような個別のCMUT素子は、ともに接続され、単一のトランスデューサ素子として同時に動作することができる。例えば、4乃至16個のCMUTがともに結合されて、単一のトランスデューサ素子として同時に機能することができる。典型的な2Dトランスデューサアレイは、数千個のCMUTトランスデューサ素子、最大10,000個のCMUT素子を有することができ、数センチメートルの寸法を有する構造又はトランスデューサアレイを容易にする。
超音波トランスデューサ素子又はタイルは、何れかの適切な形状、例えば正方形、長方形、円形を有してもよく、何れかの適切な寸法を有することができる。このような超音波トランスデューサ素子の提供自体は周知であるので、これは簡潔にするために詳細には説明されない。一実施形態において、個別の超音波素子は、グループとして動作する画素のグループに編成されることができる。超音波アレイは、複数のそのようなグループを有することができる。残りの部分において、超音波トランスデューサ素子が参照される場合、これは超音波アレイの最小の制御可能なユニット、例えばグループレベルで操作される単一のピクセル又はピクセルのグループを指す。
図1は、担体10上に複数の超音波トランスデューサ素子20を有する超音波アレイを概略的に示す。担体10は、何れかの適切な担体、例えば半導体のような剛性担体、シリコーン若しくはガラス担体、又は可撓性担体、例えば、ポリマー担体であってもよい。担体10は、複数のアクチュエータを有するアクチュエータ装置30を担持し、各アクチュエータは、電磁刺激50に応答して調整可能な形状を有する材料から形成され、この材料は、刺激に応答して超音波トランスデューサ素子20の方向を変えるように構成される。特に図示していないが、各アクチュエータは、典型的には、アクチュエータを作動させるための適切な電極装置を備えており、これについては以下でより詳細に説明される。電極装置は、すべてのアクチュエータが単一の電磁刺激によって作動されるように構成されてもよく、アクチュエータの異なるサブセットをアドレス指定する異なる刺激で、複数の電磁刺激が同時に装置30に供給されるように構成されてもよい。一実施形態において、アクチュエータ装置30の各アクチュエータは個別にアドレス可能である。ここで、アクチュエータ装置30は、複数の材料部分を有し、各部分は、担体10と超音波トランスデューサ素子20の1つの周辺部分22との間に配置される。各部分は、個別にアドレス指定可能であり、すなわち電磁刺激を個別に備えるので、個別の超音波トランスデューサ素子の透過面の方向は、例えばビーム成形の目的で、そのような刺激の印加に応答して変更されてもよい。
【0012】
特に示されていないが、超音波トランスデューサ素子20は、典型的には、超音波トランスデューサ素子20に駆動信号を供給するため、及び随意に超音波トランスデューサ素子20からエコー信号を受信するための導電性接続部を有する。そのような接続は、何れかの適切な導電性材料から作製されてもよい。一実施形態において、接続部は、担体10に含まれる。代わりに、超音波トランスデューサ素子20は、相互接続されてもよく、接続部を担持又は埋め込む可撓性ポリマー部分、例えば、ポリイミド部分によって、リボン又はグリッドを形成する。これはそれ自体知られており、しばしばフレックスツーリジッド技術と呼ばれる。
アクチュエータ装置30の各アクチュエータは、典型的には、超音波トランスデューサ素子20の偏心部分、例えば、超音波トランスデューサ素子20の周辺領域及び担体10に接続されるので、一つ又は複数の電磁刺激の印加時に、アクチュエータ装置30のアクチュエータは、印加される刺激の強度に従って変形され、超音波トランスデューサ素子20の偏心部分は、
図1の下部に示されるように、その関連するアクチュエータの変形によって担体10に対して変位される。これは、超音波トランスデューサ素子20が、その超音波送信を生成する角度を変化させ、それ故に超音波アレイ超音波トランスデューサ素子20によって生成されるビームをステアリングするために使用されることができる。代わりに、アクチュエータ装置30は、担体10と、超音波トランスデューサ素子20のマトリクス又はアレイとの両方を変形するように構成される。ビームは、印加される電磁刺激の強度、例えば電場の強さ、又は各アクチュエータの間に印加される電磁放射線の強度を変更することによって角度の範囲にわたってステアリングされ得ることが容易に理解される。さらに、アクチュエータ装置30内に個別にアドレス指定可能なアクチュエータを有することにより、ビーム形状は、精密に制御されることができ、ビーム角度の調整を容易にするだけでなく、超音波アレイによって生成されるビームプロファイルの調整を容易にすることも容易に理解されるであろう。
図1又は超音波アレイの以下の実施例には特に示されていないが、超音波トランスデューサ素子20がカテーテルなどに組み込まれている場合には、超音波トランスデューサ素子20は、要素を組織又は血液に結合するための結合材料によって覆われていてもよい。そのような結合材料の好適な実施形態は、超音波トランスデューサ素子マトリクス上のフォイル、各超音波トランスデューサ素子20上の音響窓物質などを含む。カテーテルチップなどの封入物内の場合、結合材料はゲル、流体などであってもよい。代わりに、このような封入物において、結合材料は、超音波トランスデューサ素子20が直接結合される封入物の壁(の部分)を形成してもよい。
【0013】
図2は、超音波アレイの更なる実施形態を概略的に示す。この実施形態において、電磁刺激50に応答して調整可能な形状、すなわち変形可能な材料を有する材料のアクチュエータ装置30は、材料のフォイル又はフィルムの形態で提供され、担体10、ここで可撓性担体は、アクチュエータ装置30と超音波トランスデューサ素子20との間に配置される。アクチュエータ装置30を損傷から保護するため、例えばアクチュエータ装置30上の電極装置(図示略)を保護するため、保護フォイル40はアクチュエータ装置30上に設けられる。この実施形態において、可撓性担体10は、超音波トランスデューサ素子20の前述の接続部を含むバッキングフォイルの形態で提供されてもよい。代替的に又は追加的に、保護フォイル40は、超音波アレイ20を覆うことができる。保護フォイル40は、弾性フォイル、例えば、シリコーンゴム、ゴム、熱可塑性エラストマー、又はポリウレタン若しくはポリエーテルブロックアミドのような軟質熱可塑性樹脂のような(熱可塑性)エラストマーを有するフォイルであってもよい。保護フォイル40が超音波トランスデューサアレイを覆う場合、フォイル材料は好ましくはアレイに音響インピーダンス整合される。アクチュエータ装置の中立軸上に配置されるフォイル又は薄い保護フォイル40の場合、ポリアミド又はポリイミドのようなより硬い材料が使用されることもできる。保護フォイル40のための他の適切な材料は、当業者には直ちに明らかであろう。
電磁刺激50を提供することによるフォイルの作動時に、超音波アレイは、
図2の下部に示されるように、典型的には、アクチュエータ装置30の厚さを減少させる面内膨張によって、変形することができる。これは、例えば、超音波アレイの超音波トランスデューサ素子20によって生成されるビーム形状を調整するため、及び/又はアレイが配置される表面、例えば患者の体の一部に超音波アレイを一致させるために使用されてもよく、作動された超音波アレイは、体部分の輪郭と一致するように変形される。これは、例えば、超音波アレイと体部分との間の良好な接触を確実にし、それによって、所望の密な接触を実現するために超音波アレイと体部分との間に(大量の)接触ゲルを必要としない。これは、例えば、経胸腔エコー生成中に有益であり、超音波アレイの変形は、アレイを肋間空間に押し込んで、心臓の良質の画像を得るために使用されることができる。代わりに、超音波アレイは、生成される超音波ビームをリブの間にステアリングするように配置され、制御されてもよい。さらに、関心領域の周りにアレイを巻くことによって、超音波トランスデューサ素子20はこの領域に対して多かれ少なかれ垂直に配置されることができ、過剰な電子ビームステアリングの必要性が排除される。したがって、これはこのような超音波アレイで生成される超音波画像の画質を改善する。
超音波アレイの体輪郭マッチング及び/又はビームステアリングに渡ってより精密な制御を得るために、フォイルによるアクチュエータ装置30は、
図3に示されるようなアクチュエータ装置30と置き換えられることができ、この配置は、ここでは非限定的な例として列に編成される、複数の個別にアドレス指定可能なアクチュエータストリップを有する。前述のように、可撓性担体10は、アクチュエータ装置30と超音波トランスデューサ素子20との間に配置されてもよい。超音波トランスデューサ素子20は、列にグループ化されてもよく、各列は、アクチュエータストリップとアラインされ、このようなストリップの変形が、アクチュエータストリップに関連する超音波トランスデューサ素子20の方向の対応する変形と同等になることを確実にする。
【0014】
図3における実施例は、例えば1Dビーム形成を容易にするために、アクチュエータ装置30のアクチュエータストリップの方向によって制御されるように主方向の超音波アレイの面外変形を容易にする。複数の方向での面外変形を容易にするため、例えば、 2Dビーム形成を容易にするため、又は体部分とのより密接な接触を容易にするため、アクチュエータ装置30は、
図4に概略的に示されるように、複数の個別にアドレス指定可能な更なるアクチュエータストリップ30 'を更に有する。更なるアクチュエータストリップ30 '及びアクチュエータストリップ30は、マット、すなわちマットアクチュエータ装置の形態でアクチュエータ装置を規定し、アクチュエータストリップ30の少なくともいくつかは、更なるアクチュエータストリップ30'を覆うことができ、更なるアクチュエータストリップ30 'の少なくともいくつかは、アクチュエータストリップ30を覆い、及び/又はアクチュエータストリップ30の少なくともいくつかは、更なるアクチュエータストリップ30'を通して織り込まれてもよい。一実施形態において、すべてのアクチュエータストリップ30は、他のアクチュエータストリップ30 'を通じて織り込まれ、織り合わされるマットアクチュエータ装置を形成する。
図4に示されるように、超音波トランスデューサ素子20は、アクチュエータストリップ30と更なるアクチュエータストリップ30 'との間の接合部32上に配置される。この実施形態において、超音波トランスデューサ素子20の表面部分は接合部32に接合され、アクチュエータ装置の作動時の超音波トランスデューサ素子20の変位を容易にすることができる。
図5は、超音波トランスデューサ素子20が、マットアクチュエータ装置内の空孔又は空隙34の上に配置される代替実施形態を概略的に示しており、各空隙は、一対の隣接するアクチュエータストリップ30及び一対の隣接する更なるアクチュエータストリップ30 'によって範囲が定められる。この実施形態において、超音波トランスデューサ素子20の全表面は、例えば超音波トランスデューサ素子20の端部に沿ってアクチュエータ装置を含む接触面に接着され、アクチュエータ装置の作動時に超音波トランスデューサ素子20の移動を容易にする。一実施形態において、いくつかの横方向の間隔が、アクチュエータストリップ30及び更なるアクチュエータストリップ30 '、一方では超音波トランスデューサ素子20の間にあり、超音波トランスデューサ素子20は、アクチュエータストリップ30及び/又は更なるアクチュエータストリップ30 'の選択的な作動によって誘導される担体10の変形によってリダイレクトされる。
そのようなマットアクチュエータ装置は、どのストリップが変形されるか、及び刺激が適用されるストリップ又は更なるストリップの所望の変形度に合わせて調整される強度を有する電磁刺激の適用によって選択ストリップがどの程度まで変形されるかという点で、アクチュエータストリップ30及び更なるアクチュエータストリップ30 'の選択的変形によって正確なビームプロファイル形成及び/又は体輪郭マッチングを可能にする。
この点で、好ましい実施形態において、アクチュエータストリップ30及び更なるアクチュエータストリップ30 'の各々が個別にアドレス指定可能であるが、アクチュエータストリップ30及び更なるアクチュエータストリップ30'の少なくともいくつかはともにグループ化され、適切な電磁刺激によってグループレベルでアドレス指定されることが等しく実現可能である。さらに、アクチュエータストリップ30及び更なるアクチュエータストリップ30 'の各々は、個別にアドレス指定可能なアクチュエータ要素(図示略)を含むことができる。
【0015】
さらに、複数の方向における超音波アレイの面外変形を容易にするために、アクチュエータ装置がマット構成として成形される必要はないことは留意される。この目的のために、何れかの適切なアクチュエータ装置が設けられることができる。適切な代替の実施形態が非限定的な例によって
図6に概略的に示され、マットアクチュエータ装置は、アクチュエータと超音波トランスデューサ素子20との間のフレキシブル基板10上に格子状に配置される好ましくは複数の個別にアドレス可能な環状アクチュエータ30によって置き換えられる。選択される環状アクチュエータ30を作動させることによって、超音波アレイは、当業者によって容易に理解されるように、複数の方向に変形されてもよい。例えば、アラインされるポリマー材料を使用することによって、各アクチュエータに対して異なる材料を使用することによって、及び/又は各アクチュエータに対して複数の電極装置を使用することによって、各アクチュエータ要素が2つの方向に曲がることができるアクチュエータ装置のような他の変形例は当業者には明らかであり、異なる電極装置は異なる方向にアクチュエータの変形を引き起こす。
実施形態による超音波アレイは、スタンドアローンの可撓性アレイ又は例えば外部プローブ又はカテーテルのような保持装置の可撓性部分として成形されてもよく、その場合、超音波アレイはカテーテル先端に位置され、及び/又は例えば血管内、間質性又はナチュラルオリフィス検査のための体内システムの部分として位置されてもよい。超音波アレイは、
図7に概略的に示されるように、超音波アレイを患者の体の一部に固定するためのストラップ60などの固定手段をさらに有する。ストラップ60は、何れかの適切な材料、例えば、革、プラスチック又は織物から形成されてもよく、超音波アレイを体部分に固定するために、何れかの適切なロック機構、例えば、留め具、バックル又はベルクロを使用してもよい。ストラップ60を超音波アレイに固定する接触ボタン70が存在してもよい。接触ボタン70は、屈曲可能な超音波アレイをストラップ60に接続することができる。このようにして、アレイは、ストラップ60を変形させることなく曲げられることができる。アレイが完全な表面上でストラップ60に接続される場合、ストラップは、アクチュエータ装置が作動されるときに変形する必要があり、これは過度の力を必要とする。
上述の実施形態において、超音波アレイが超音波画像を生成するために使用される場合、アクチュエータ装置30のうちどのアクチュエータが、所望の画像を得るために作動される必要があるかは目視検査によって決定されることができる。代わりに、どのアクチュエータが作動を必要とするかを決定するために、最適化アルゴリズムを使用する自動化プロシージャが使用されてもよい。いくつかの実施形態において、超音波アレイと体領域との間の接触をさらに強化するために、結合ゲルの薄層がまだ使用されることができる。
前述の実施形態において、アクチュエータ装置用の電極配置は、変形可能な材料、例えば電気活性ポリマー(EAP)層の対向する面に電極を有していてもよい。これらは、EAP層の厚さを制御するための横断電界を提供する。これは、次に、層の平面内のEAP層の膨張又は収縮を引き起こす。
【0016】
アクチュエータ装置の電極装置は、その代わりにアクチュエータ材料の一方の面、例えば各アクチュエータ部分上にくし形電極のような一対の適切に成形される電極を有することができる。これは、面内の層の寸法を直接制御するために、面内電界を提供する。
上記各実施形態において、電極装置は、全てのアクチュエータが単一の電磁刺激によって作動されるように構成されるか、又は複数の電磁刺激が装置30に同時に提供されることができるように構成され、異なる刺激はアクチュエータの異なるサブセット(グループ)をアドレス指定する。一実施形態において、アクチュエータ装置30の各アクチュエータは個別にアドレス可能である。
電磁刺激に応答して変形され得る材料はそれ自体公知であり、この目的のために何れかの適切な材料が使用されることができる。材料は、例えば、電気活性ポリマーであってもよい。電気活性ポリマーは、これらに限定されないが、サブクラス:圧電ポリマー、電気機械ポリマー、リラクサ強誘電性ポリマー、電歪ポリマー、誘電性エラストマー、液晶エラストマー、共役ポリマー、イオン性高分子金属複合材料、イオン性ゲル及びポリマーゲルを含む。
サブクラス電歪ポリマーとしては、これらに限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン - トリフルオロエチレン(PVDF-TrFE)、ポリフッ化ビニリデン - トリフルオロエチレン - クロロフルオロ(PVDF-TrFE-CFE)、ポリフッ化ビニリデン - トリフルオロエチレン - クロロトリフルオロエチレン(PVDF-TrFE-CTFE)、ポリフッフッ化物ヘキサフルオロプロピレン( PVDF-HFP)、ポリウレタン又はそれらのブレンドを含む。
サブクラス誘電性エラストマーは、これらに限定されないが、アクリレート、ポリウレタン、シリコーンを含む。
サブクラス共役ポリマーは、これらに限定されないが、ポリピロール、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリアニリンを含む。
代替的には、アクチュエータ材料は、電磁放射、例えば可視光又はUV光の形態で電磁刺激を提供することによって変形可能な材料であってもよい。このような材料は、それ自体公知である。例えば、アクチュエータ材料は、光学反応性ポリマー、例えば、アゾ化合物に基づくポリマーを含む。アクチュエータ材料は、反応性液晶と、液晶であるか又は少なくとも液晶にアラインされ、アラインされる分子を備えるフィルムを得るために液晶状態で重合される、反応性アゾ化合物との混合物を含んでもよい。このようなアライメントは、いわゆるモノドメイン材料を得るために広い領域にわたって実現され得る。より小さな領域にわたるアライメントは、いわゆるマルチドメイン材料を得ることにつながる。
代わりに、液晶ではないが照射されるときに同様の効果を生じるポリイミド及びポリエステルなどの他の異性化可能な二重結合含有ポリマーが使用されてもよい。これらの材料は、高いガラス温度を有し、応答時間を長くするためあまり好ましくない。液晶ベースの応答性材料の応答は、それ自体は周知のように、ポリマーの二重結合のシス - トランス異性化の際、重合材料の秩序が低下し、アライメントの方向における材料の収縮及び他の2つの方向における膨張がもたらされるという事実によって促される。
何れかの適切な光学刺激は、このような光学応答性材料、例えばランプ、レーザー等に適用されることができる。一実施形態において、光学刺激は、ファイバなどの光学素子、アウトカップリング特徴、例えば表面テクスチャ、アウトカップリングを誘発する特定の屈折率を備える部分などを含む光ガイドを通じて提供されることができる。
追加の不動態層(パッシブレイヤ)は、加えられた電界に応答してEAP層の挙動に影響を及ぼすように設けられることができる。
【0017】
アクチュエータ装置は、それぞれの電極の間に挟まれていてもよく、先に説明したように、アクチュエータ材料の一方の側にそれぞれの電極を備えてもよい。電極は、アクチュエータ材料の変形に追従するように伸張可能であってもよい。このような電極に適した材料も知られており、例えば、金、銅又はアルミニウムのような金属薄膜、又はカーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、ポリアニリン(PANI )、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、例えばポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)のような有機導体、又は導電性粒子で充填されるエラストマーのような複合材料から構成されるグループから選択されてもよい。メタライズされるポリエステルフィルム、例えばアルミニウムコーティングを使用する、メタライズされるポリエチレンテレフタレート(PET)が使用されてもよい。
異なる層のための材料は、例えば、異なる層の弾性率(ヤング率)を考慮して選択されることができる。
上記の追加の層は、追加のポリマー層のような、デバイスの電気的又は機械的挙動を適合させるために使用されてもよい。
概念の証明を実証するために、HIFU超音波システムを用いた経尿道前立腺適用のための生体ヒートモデルが構築される。このシミュレーションでは、1mmだけ間隔を空けて配置される、隣接するCMUT素子を備える4mm×5mmのトランスデューサ面積を各々有する4つのCMUT素子の列が、平面担体上、及び担体の端部で約1mmの面外変形を有する変形担体上でシミュレーションされる。前立腺の外壁が組織の侵入面から40mmの場合、各CMUT素子は、37℃の温度で0.4dB / cm / MHzの減衰を有するシミュレーション組織に15W / cm
2で駆動される。
図8は、平面担体(A及びB)及び湾曲担体(C及びD)に対してそれぞれ、70℃(A及びC)及び62℃(B及びD)でのアイソゾーン(温度境界の領域)をそれぞれ示す。特に70℃のアイソゾーンは湾曲によって強く影響され(増加させられ)、このような前立腺治療の適用のために、そのような湾曲がより大きな組織領域を加熱するために使用され得ることが実証される。それほど劇的ではないが、62℃でのアイソゾーンの形状も変化し、したがって、湾曲制御が、増大する治療制御に使用され得ることを示しており、音響ビーム形成の結果として、超音波エネルギーは、組織内でより集中されることができるので、より多くのエネルギーが特定の位置に蓄積される。その結果、関心領域はより迅速に温度閾値に到達することができる。
シミュレーションは、CD-AdapcoのSTAR-CCM +で実行された。このモデルは、(バイオヒート伝達のための)Pennesに似た式を含む。すなわち熱源は、伝播する超音波の吸収によるものであり、熱的な「漏れ」は(組織上で均一に取られる)血液灌流によるものであり、柔組織は、(密度、熱伝導率、熱容量などの)熱力学的特性によって記述される。音響特性は、1.5-1.65MRaylsの範囲の音響インピーダンスと、0(ロスレス媒体) - 0.5dB / cm / MHzの範囲の吸収とで時間的に一定に保たれる。熱モデルは、一般化される生体ヒート式に基づいており、組織の熱伝導率は0.4乃至0.5W / mKであり、熱容量は2500乃至3500J / kg / Kである。血液潅流期間は、0乃至0.5mL / g /分の間の灌流速度に対応して、有効な熱源(漏れ)に基づいて含まれる。
ビーム成形のための概念の証明をさらに実証するために、フォイルの面外屈曲を容易化するためにフォイルの一方の側に電極装置(フィンガー電極)を備える、電気活性ポリマーのフォイル上のCMUT要素のアレイが提供された。 CMUTアレイによって反射される光が壁に投影されるように、光ビームは、垂直でない角度でCMUTアレイに向けされた。
図9は、フォイルが、フォイルの間の増加する電界の印加によって、左から右に向かって徐々に湾曲される一連の画像を示す。矢印によって示されるように、CMUTアレイによって壁に投影される光ビームの反射は、形状を徐々に変化させており、したがってCMUTアレイの形状は、CMUTアレイによって生成される(1D)ビーム形状を制御するように変更され得ることを実証している。
【0018】
図10は、前述の実施形態のいずれかによる超音波アレイを含む超音波システム100を概略的に示す。超音波システム100は、通常、アクチュエータ装置30に適切な駆動信号、すなわち電磁刺激を提供するドライバ装置110を有する。ドライバ装置110は、アクチュエータ装置30の一つ又はそれより多くのアクチュエータの各々を変形させるための、上述の電極装置に導電的に結合される。超音波システム100は、超音波トランスデューサ素子20によって超音波信号伝送の発生をトリガする制御信号を超音波トランスデューサ素子20に供給するための超音波トランスデューサ素子20の前記接続部に導電的に接続される超音波信号生成段120をさらに有する。このような超音波信号生成段120はそれ自体周知であり、マイクロビームフォーマ、メインビームフォーマ、ビームがステアリングされ、フォーカスされる方向を制御するためのトランスデューサコントローラなどの何れかの適切な様々な構成要素を含む。ドライバ装置110は信号生成段120に結合されるので、個別の超音波トランスデューサ20のためのビーム形成信号がアクチュエータ装置30の駆動信号と同期される。この実施形態において、(ビーム形成信号によって可能にされる)トランスデューサの電気的ステアリング及び(アレイ形状を変更することによって可能にされる)アクチュエータ装置30の機械的ステアリングを組み合わせて最適なビームステアリング状態が実現される。
図10の超音波システム100は、HIFUシステムなどの超音波治療システムであり、したがって、超音波エコー処理段を有する必要はない。そのような実施形態において、超音波トランスデューサ素子20は送信器のみの素子であってもよい。そのような超音波治療システムは、集束超音波ビームを使用して到達されることができる何れかの病変組織の治療のために使用されることができる。そのような治療の非限定的な例は前立腺治療である。超音波アレイは、磁気共鳴適合材料のみを使用して実現されることができるので、
図10の超音波システム100は、磁気共鳴ガイド治療において使用されてもよく、超音波ビームは、MRIシステムのガイド下で集束され、調整される。MRIは例えば関心領域の温度のリアルタイム測定を提供し、それにより、改善された治療制御を提供することができる。
図11は、超音波システム100の代わりの実施形態を概略的に示しており、超音波システム100は超音波エコー処理段130をさらに有する。この実施形態において、超音波システム100は超音波イメージングシステムである。超音波信号生成段120及び超音波エコー処理段130は、超音波信号生成段120が超音波アレイに接続される送信モードと、超音波エコー処理段130が超音波アレイに接続される受信モードとの間で超音波システム100を切り替える送信器/受信器スイッチ140を通じて超音波トランスデューサ要素20の各接続部に設定可能に結合される。前の実施形態と同様に、ドライバ構成110は、信号生成段120と超音波エコー処理段130との両方に結合されるので、個別の超音波トランスデューサ20のための(送信及び受信モード用)ビーム形成信号は、アクチュエータ装置30に供給される駆動信号に従って調整される。
このような超音波エコー処理段は、それ自体が周知であり、信号プロセッサなどの何れかの適切な様々なコンポーネントを含み、帯域通過フィルタリング、デシメーション、I及びQ成分分離、組織及びマイクロバブルから返される非線形(基本周波数の高次高調波)エコー信号の識別を可能にするように、線形信号と非線形信号とを分離するように作用する高調波信号分離などの様々な方法で受信エコー信号を処理するように構成される。信号プロセッサは、随意に、スペックル低減、信号合成、及びノイズ除去などの追加の信号強調を実行することができる。信号プロセッサは、トラッキングフィルタのようなバンドパスフィルタを実装することができ、その通過帯域は、エコー信号が増加する深度から受信されるとき、より高い周波数帯域からより低い周波数帯域にスライドし、それにより、これらの周波数に解剖学的情報がない、より深い深度からより高い周波数のノイズは拒絶される。更なる要素は、Bモードプロセッサ、ドップラープロセッサ、スキャンコンバータ及びマルチプレーナリフォーマッタ、ボリュームレンダラ、並びに画像ディスプレイ上に表示するための生成超音波画像の更なる強調、バッファリング及び一時的記憶のための画像プロセッサのうちの一つ又はそれより多くを含む。このようなコンポーネントは、それ自体よく知られるルーチンのコンポーネントなので、それらは簡潔化のために更に詳細に説明されない。
【0019】
変形される超音波アレイの場合、信号のビーム形成は、関心領域への明瞭な音響ビューを有する超音波アレイの超音波トランスデューサセル20のために実行されてもよい。非コヒーレントコンパウンディングが、これらの信号にさらに適用されることができる。超音波アレイの作動部分間の変位ベクトル、すなわち変位されるアパーチャは、正確なビーム形成及びイメージングのために必要とされる。このような変位ベクトルは、光学形状検出、可変抵抗器を使用する位置エンコーダなど、超音波アレイの形状を検出するための何れかの利用可能な形状検出技術を用いてオンザフライで計算されることができる。
図10又は11の超音波システムは、超音波及び介入X線の両方が使用され得る最小侵襲性医療介入において利用される。超音波及びX線の組み合わせは、取得され得る情報の量を増加させる。超音波及びX線は、最小侵襲性介入において2つの容易化イメージングモダリティである。例えば、X線透視は優れた器具イメージングを提供し、超音波は軟組織の高品質画像を示す。収集される2D又は3D画像のレジストレーション及び随意の融合は、臨床ワークフロー及びプロシージャの結果を改善することができる。
また、プロシージャの間、プロシージャを開始するとき及び他のある瞬間、例えば蛍光透視法を使用するとき、X線を使用することがオプションになる。プロシージャの残りに対して超音波システム100を使用することによって、患者が受けるX線放射の線量が大幅に低減される。このようなハイブリッドアプローチが有益になり得るプロシージャの非限定的な例は、心臓電気生理学、アブレーション、心房中隔欠損修復、左心房附近閉鎖、僧帽弁置換術などを含む。他の例は、当業者には明らかであろう。
【0020】
本発明の保護範囲は上述の実施例に限定されるものではなく、当業者が特許請求の範囲からはずれることなく多くの代わりの実施例を設計することができることは注目されるべきである。請求項において、括弧の間に置かれる請求項の参照番号は、いずれも当該請求項の保護範囲を限定するものではない。単語"有する"は、請求項に記述される構成要素以外に構成要素又はステップの存在を排除するものではない。構成要素に先行する冠詞"a"又は"an"は、複数の構成要素を排除するものではない。本発明は、いくつかの独特な構成要素によって実現可能である。いくつかの手段を列挙する装置の請求項において、いくつかのこれらの手段は、ハードウエアの一つ及び同じ構成要素によって具現化されることが可能である。ある手段が相互に異なる従属請求項において再び引用されるという事実は、これらの手段の組み合わせが効果的に使われ得ないことを示すものではないということに過ぎない。