(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月22日に出願された、カナダ特許出願第2,916,078号の利益を主張し、その内容全体が、双方とも参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、UV及び可視光光触媒複合材料に関する。特に、本開示は、大気汚染物質を分解するための光触媒複合材料に関する。
序説
【0003】
酸化窒素(II)(NO)及び酸化窒素(IV)(NO
2)は、ともにNO
xと称され、主に燃焼から排出される非常に有害及び有毒な気体である。NO
xは、環境、ヒト及び動物の健康並びに植物植生に対して負の影響を有する。それによって、酸性雨、光化学スモッグ、オゾン層の減少及び生態被毒(ecological toxification)を含む環境問題を生じる。ヒトの活動は、主に定置式発電設備及び自動車エンジンなどの内燃及び外燃源から最も大きくNO
xの総排出量に寄与することが既知である。燃焼時、以下の反応で示すようにNOが生じ、その後に空気中でNO
2に酸化する恐れがある。
N
2+O
2→2NO
NO+1/2O
2−NO
2
【0004】
物理的吸着、生物ろ過、及び熱触媒法などの従来の技術によって、工業的排出によるNO
xを除去できるものの、それらは、NOを十億分率(ppb)レベルで除去するためには経済的に適していない。
【0005】
TiO
2などの半導体系光触媒は、液相及び気相で有機汚染物質を除去するために広範にわたって研究されてきた[1−3]。光に照らされると、光触媒は、表面吸着種を分解できる高い反応性の光生成電子/正孔対を放出する。光触媒反応は、太陽光以外の余分な化学物質又はエネルギーを消費しない。その結果、それらは、空中浮遊汚染物質に対抗する最も環境に配慮した方法(greenest method)であるとみなされている。
【0006】
光触媒反応によって、酸化又は還元プロセスのいずれかを生じることができる。酸化プロセスでは、NO
xは、以下の式が示すように光生成正孔及びその他の中間体のフリーラジカルによって高い酸化状態の窒素酸化物に酸化される。
光触媒+hν→e
CB−+hν
B+
hν
B++H
2O
吸着→HO
吸着・+H
+
e
CB−+O
2吸着→O
2吸着・
−
NO+3HO
吸着・→HNO
3+H
2O
NO
2+HO
吸着・→HNO
3
NO+O
2吸着・
−→NO
3−
【0007】
しかし、光触媒酸化プロセスから生成するHNO
3及びNO
3−種は、脱着させることが難しく、光触媒安定性を低下させる。それはまた、環境に有害な酸性雨を発生させる。
【0008】
NO
xの光触媒還元又は光分解は、光触媒の表面で生じ、以下の式に従う反応である。
光触媒+hν→e
CB−+hν
B+
O
2−(表面)+hν
B+→O
−(表面)
NO(吸着)+e
CB−→NO
−(吸着)
NO
−(吸着)+O
−(表面)→N(吸着)+O(吸着)+O
2−(吸着)
2N(吸着)→N
2(吸着)→N
2(気体)
2O(吸着)→O
2(吸着)→O
2(気体)
【0009】
このプロセスでは、光生成電子は、表面吸着NO
xを還元し、正孔は、表面O
2−を酸化する。このプロセスは、最終的に単純反応をもたらす。
【化1】
【0010】
生成したN
2及びO
2は、完全に環境に優しく、それらは、素早いアプローチで表面から脱着し、その結果、このプロセスは、長期間の光触媒安定性を損なわない。
【0011】
TiO
2光触媒は、主に研究されている触媒の1つであるが、3.2eVの相対的に大きなバンドギャップが、その適用を約4%の太陽エネルギーのみを占める光のUV範囲内に制限している。可視領域内の太陽エネルギーの利用を向上させ、光触媒の効率を増加させるために多くの触媒システムが、広範にわたって研究されてきた。一般的な方法としては、TiO
2光触媒のカチオン/アニオンドーピング[4−8]、新規の可視光光触媒材料の開発[9−14]、及び高い光触媒効率の2D光触媒システム[15−17]が、挙げられる。例えば、Wei[18]は、アモルファスTiO
2及びBiOBrがグラフェンに不規則に堆積し、グラフェンが自由に分散する、水を処理するための光触媒を開示する。Weiによる材料は、おおよそ420nmの吸収端を有する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(I)定義
本明細書で使用するとき、用語「可視光」は、約400nmと約750nmの間の波長(複数可)を有する光を指す。光触媒複合材料によって空中浮遊汚染物質を分解するために、本範囲のすべての波長が、「可視光」内に存在することが必要とは限らない。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「UV光」は、約200nm〜約400nmの波長を有する紫外線を指す。光触媒複合材料によって空中浮遊汚染物質を分解するために、本範囲のすべての波長が、「UV光」に存在することが必要とは限らない。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「光触媒」は、光エネルギー(UV及び可視)を吸収し、窒素酸化物及び/又はVOCなどの空中浮遊汚染物質をN
2などの害の少ない副生成物へ分解する、本開示の複合材料の能力を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「複合材料」は、2種類以上の異なる物質が、組み合わさり、任意の個々の構成成分には存在しない構造的又は機能的特性を生じる材料を指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「二酸化チタン」は、TiO
2の化学式を有するチタンの酸化物を指し、アナターゼ、ルチル及びブルッカイト相を含むチタンのすべての相をすべての比率で含む。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「グラフェン」は、共有結合によって互いに結合した複数個の炭素原子を含む多環式芳香族分子を指す。複数個の炭素原子は、標準繰り返し単位として、6員環を形成してよく、又は5員環及び/若しくは7員環を更に含んでよい。したがって、グラフェンは、一般にsp
2混成を有する共有結合した炭素原子の単一層であってよい。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「酸化グラフェン」は、グラフェンの表面に存在する1種類以上のオキシド基を有するグラフェンを指す。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「吸収端」は、吸収能力の急激な上昇が生じるあたりの波長を指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「NO
x」は、例えば、典型的な燃焼プロセス時に生成するNO及びNO
2等を含む、1種類の窒素酸化物又は2種類以上の窒素酸化物の混合物を指す。
【0028】
別段の指示がない限り、この項及びその他の項で記述される定義及び実施形態は、それらが当業者によって理解されるように適切である、本明細書に記述される本出願のすべての実施形態及び態様に適用可能であることを意図している。
【0029】
本出願の範囲を理解する際、本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」及びその派生語は、述べられている特徴、要素、構成成分、群、整数及び/又は工程の存在を明記するが、その他の述べられていない特徴、要素、構成成分、群、整数及び/又は工程の存在を排除しない非限定的用語であることを意図している。前述の用語はまた、用語「含む(including)」、「有する(having)」及びそれらの派生語などの類似の意味を有する単語に適用する。本明細書で使用するとき、用語「からなる(consisting)」及びその派生語は、述べられている特徴、要素、構成成分、群、整数及び/又は工程の存在を明記するが、その他の述べられていない特徴、要素、構成成分、群、整数及び/又は工程の存在を排除する限定的用語であることを意図している。本明細書で使用するとき、用語「本質的になる(consisting essentially of)」は、述べられている特徴、要素、構成成分、群、整数及び/又は工程並びに特徴、要素、構成成分、群、整数及び/又は工程の基本特性(複数可)及び新規特性(複数可)に実質的に影響しないものについて存在を明記することを意図している。
【0030】
本明細書で使用するとき、「ほぼ」、「約」及び「おおよそ」などの程度を示す用語は、最終結果が有意に変化しないような、修飾された用語の妥当な量の偏差を意味する。これらの程度を示す用語は、この偏差が、修飾する単語の意味を無効にしない場合、修飾された用語の少なくとも±5%の偏差を含むと解釈すべきである。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「及び/又は」は、記載項目が、個別に又は組み合わせて、存在するか又は使用されることを意味する。事実上、この用語は、記載項目の「少なくとも1つの〜」又は「1つ以上の〜」が、使用されるか又は存在することを意味する。
【0032】
本出願で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容に別段の明確な指示がない限り、複数形の言及を含む。例えば、「化合物(a compound)」を含む実施形態は、1種類の化合物又は2種類以上の追加の化合物をともなうある種の態様が存在することを理解すべきである。
(II)UV及び可視光光触媒複合材料
【0033】
本開示は、UV及び可視光光触媒二酸化チタン複合材料に関する。特に、本開示は、NO
x及びVOCなどの大気汚染物質を分解するための光触媒酸化チタン複合材料に関する。光触媒材料は、UV光、可視光及び/又は太陽光にさらすと、空中浮遊汚染物質を害の少ない副生成物に分解する。本開示の光触媒複合材料は、NO
xなどの空中浮遊汚染物質を分解するための効果的な触媒であり、また、それらが、長時間の触媒作用後、効果的なレベルの触媒作用を維持するため、良好な安定性も有する。
【0034】
そのため一実施形態では、本開示は、
i)二酸化チタン並びに
ii)第一の複合材料であって、
a)酸化グラフェン及び
b)Xが、クロロ、ブロモ又はヨードである、次式Bi−O−Xのビスマスオキシハライドを含む第一の複合材料を含むUV及び/又は可視光光触媒複合材料に関する。
【0035】
一実施形態では、光触媒複合材料は、約470nmのUV−vis吸収端を有する。
【0036】
別の実施形態では、二酸化チタンは、第一の複合材料に堆積する。
【0037】
一実施形態では、二酸化チタン及び第一の複合材料は、約0.5:1〜約3:1の間の重量比で存在する。更なる実施形態では、二酸化チタン及び第一の複合材料は、約1:1の重量比で存在する。
【0038】
別の実施形態では、二酸化チタンは、全光触媒複合材料の約40〜80%(w/w)、又は約40〜60%(w/w)の間又は約50%(w/w)の量で存在する。別の実施形態では、ビスマスオキシハライドは、全光触媒複合材料の約20〜60%(w/w)又は約30〜50%(w/w)の間の量で存在する。更なる実施形態では、酸化グラフェンは、全光触媒複合材料の約0.1〜1.0%(w/w)、又は約0.1〜0.5%(w/w)の間又は約0.5%(w/w)の量で存在する。
【0039】
一実施形態では、二酸化チタンは、結晶性二酸化チタンである。一実施形態では、二酸化チタンは、アナターゼ、ルチル及び/又はブルッカイト相を含む。更なる実施形態では、二酸化チタンは、約3:1(アナターゼ:ルチル)(w/w)の比率で任意に存在するアナターゼ及びルチル相を含む。例えば、二酸化チタンは、Aeroxide(登録商標)である。
【0040】
本開示の別の実施形態では、ビスマスオキシハライドは、ビスマスオキシブロミドである。一実施形態では、ビスマスオキシハライドは、ビスマスオキシクロリドである。
【0041】
一実施形態では、第一の複合材料は、酸化グラフェン及びビスマスオキシブロミドを含む。
【0042】
本開示の別の実施形態では、酸化グラフェンは、酸化グラフェン及びグラフェンを含む部分的に還元された酸化グラフェンである(すなわち、グラフェン及び酸化グラフェンの混合物)。
【0043】
一実施形態では、光触媒複合材料は、結晶性二酸化チタン並びに酸化グラフェン及びビスマスオキシブロミドを含む第一の複合材料を含む。
【0044】
別の実施形態では、本開示はまた、
a)結晶性二酸化チタン、
b)酸化グラフェン及び
c)Xが、クロロ、ブロモ又はヨードである、次式Bi−O−Xのビスマスオキシハライドを含むUV及び/又は可視光光触媒複合材料を含む。
【0045】
一実施形態では、結晶性二酸化チタンは、アナターゼ、ルチル及び/又はブルッカイト相を含む。更なる実施形態では、結晶性二酸化チタンは、約3:1(アナターゼ:ルチル)(w/w)の比率で任意に存在するアナターゼ及びルチル相を含む。例えば、二酸化チタンは、Aeroxide(登録商標)である。
【0046】
別の実施形態では、二酸化チタンは、全光触媒複合材料の約40〜80%(w/w)、又は約40〜60%(w/w)の間又は約50%(w/w)の量で存在する。別の実施形態では、ビスマスオキシハライドは、全光触媒複合材料の約20〜60%(w/w)又は約30〜50%(w/w)の間の量で存在する。更なる実施形態では、酸化グラフェンは、全光触媒複合材料の約0.1〜1.0%(w/w)、又は約0.1〜0.5%(w/w)の間又は約0.5%(w/w)の量で存在する。
【0047】
本開示の別の実施形態では、ビスマスオキシハライドは、ビスマスオキシブロミドである。別の実施形態では、ビスマスオキシハライドは、ビスマスオキシクロリドである。
【0048】
本開示の別の実施形態では、酸化グラフェンは、酸化グラフェン及びグラフェンを含む部分的に還元された酸化グラフェンである(すなわち、グラフェン及び酸化グラフェンの混合物)。
【0049】
一実施形態では、光触媒複合材料は、結晶性二酸化チタン、酸化グラフェン及びビスマスオキシブロミドを含む。
【0050】
本開示の複合材料は、例えば、空中浮遊汚染物質を還元することが、必要とされているか又は望ましい場合、表面に施すために組成物へ配合できる。そのため一実施形態では、本開示は、本明細書で開示される光触媒複合材料及び複合材料を分散させるための適切な溶媒を含む組成物を含む。一実施形態では、溶媒は、C1〜C6アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、水又はそれらの混合物である。
(III)空中浮遊汚染物質を分解するための使用及び方法
【0051】
本開示の複合材料は、NO
xなどの空中浮遊汚染物質を分解するための効果的な光触媒である。したがって、一実施形態では、本開示は、空中浮遊汚染物質を分解するための本明細書で開示されるUV及び/又は可視光光触媒複合材料の使用を含む。一実施形態では、空中浮遊汚染物質は、NO
x及び/又は揮発性有機化合物(VOC)である。複合材料は、光触媒材料を可視光又は太陽光にさらすと、空中浮遊汚染物質の分解を触媒する。
【0052】
本開示はまた、
a)本明細書で開示されるUV及び/又は可視光光触媒複合材料を適切な表面に施すこと、
b)空中浮遊汚染物質を分解するために適切な表面をUV光、可視光又は太陽光にさらすことを含み、
空中浮遊汚染物質は、NO
x又は揮発性有機化合物である、空中浮遊汚染物質の分解方法を含む。
【0053】
一実施形態では、UV及び/又は可視光光触媒複合材料は、液体組成物として、例えば、適切な溶媒中(エタノール、水又はそれらの混合物など)で配合され、組成物は、適切な表面に施される(噴霧など)。
【0054】
一実施形態では、適切な表面は、直接的な環境において空中浮遊汚染物質を分解するために必要とされているか又は望ましい任意の表面である。例えば、複合材料は、任意の以下の表面:車道、トンネル、壁、コンクリート、舗装道路、アスファルト、自動車などに施してよい。本開示の複合材料はまた、その他の汚染防止手段との組合せに使用してもよい。例えば、PCT国際公開特許第WO2014056074は、流路を通して気流を導く風下及び風上の壁を含む、空中浮遊汚染防止装置及び方法を記述する。本開示の複合材料は、空中浮遊汚染物質を還元するために、この公報で開示される装置の壁に施してよい。
【0055】
上記の工程(b)において、適切な表面を可視光又は太陽光にさらすことは、受動的な工程又は能動的な工程のいずれかであってよい。例えば、本開示の複合材料が、WO2014056074に記述される汚染防止装置などの表面又は道路などに施されるときで、その表面が自然の太陽光にさらされるとき(すなわち日中)、自然の太陽光は、光触媒プロセスを開始させる。あるいは、適切な表面を人工光源、例えば、白熱電球からの可視又はUV光にさらしてよい。例えば、光触媒複合材料は、自動車又は構造物に入る空中浮遊汚染物質を還元するために自動車、家又は建物のエアフィルターに適用してよい。エアフィルター上の光触媒複合材料を活性化するために、エアフィルター表面は、人工光源にさらされ、光触媒複合材料は、エアフィルターを通して流動する空中浮遊汚染物質の分解を触媒する。その他の適切な表面として、網戸、窓などが挙げられる。
【0056】
あるいは、本開示の複合材料は、適切な表面に施すために別の化学的組成物と混合してよい。例えば、複合材料は、壁又は床などに施すために塗料、ステイン、ラッカー、ニス又は任意のその他のコーティングに添加してよく、次に、これは空中浮遊汚染物質を分解できる。
【0057】
空中浮遊汚染物質の触媒分解が、進む場合、副生成物は、複合材料の表面に吸着して、複合材料の効率を減少させる恐れがある。複合材料の活性は、材料が、可視光にさらされず、副生成物が、複合材料表面から脱着した後、最大効率に戻すことができる。例えば、複合材料が、WO2014056074に記述される汚染防止装置に施されるとき、太陽光が存在しない(例えば、夜間)結果として、複合材料は、その最大触媒効率に戻る。
【0058】
別の実施形態では、本開示の光触媒複合材料は、空中浮遊汚染物質を分解するための効果的な触媒であり、数時間の触媒分解後、高いレベルの活性を維持する。例えば、約4〜8時間又は約6時間の光触媒作用後、光触媒複合材料は、それらの約30%の効率で還元性を有する。
(IV)複合材料の調製方法
【0059】
本開示はまた、本明細書で記述されるUV及び可視光光触媒複合材料の調製方法を含む。
【0060】
一実施形態では、プロセスは、以下の工程を含む。
i)ビスマス含有化合物を適切な溶媒に混合して溶液を形成する工程
ii)ハロゲン化物含有化合物を溶液に添加して懸濁液を形成する工程
iii)酸化グラフェンを懸濁液に添加する工程
iv)懸濁液を熱水処理して第一の複合材料を形成する工程
v)二酸化チタンを熱処理する工程
vi)第一の複合材料と二酸化チタンを水溶液中で混合する工程
vii)水溶液を熱水処理して光触媒複合材料を得る工程
【0061】
一実施形態では、ビスマス含有化合物は、硝酸ビスマス、例えば、硝酸ビスマス5水和物である。
【0062】
別の実施形態では、適切な溶媒は、水、アルコール(エタノールなど)又はエチレングリコールなどのグリコールである。
【0063】
別の実施形態では、ビスマス含有化合物は、ビスマストリニトレート、例えば、ビスマストリニトレート5水和物である。
【0064】
別の実施形態では、ハロゲン化物含有化合物は、臭化セチルトリメチルアンモニウムであり、溶液と混合され沈殿を形成する。
【0065】
別の実施形態では、懸濁液は、約150°C〜約250°Cの間又は約180°Cの温度で熱水処理される。一実施形態では、懸濁液は、約1〜24時間若しくは約6〜18時間の間又は約12時間の一定時間、熱水処理される。
【0066】
別の実施形態では、二酸化チタンは、約200°C〜約600°Cの間又は約300°Cの温度で熱処理される。一実施形態では、二酸化チタンは、約30分と5時間若しくは約1〜3時間の間又は約1時間の一定時間熱処理される。
【0067】
一実施形態では、二酸化チタンは、結晶性二酸化チタンである。一実施形態では、二酸化チタンは、アナターゼ、ルチル及びブルッカイトを含む1種類以上の結晶相を含む。更なる実施形態では、二酸化チタンは、約3:1(アナターゼ:ルチル)(w/w)の比率で任意に存在するアナターゼ及びルチル相を含む。例えば、二酸化チタンは、Aeroxide(登録商標)である。
【0068】
更なる実施形態では、水溶液は、約100°C〜約200°Cの間又は約120°Cの温度で熱水処理される。一実施形態では、水溶液は、約1〜5時間若しくは約1〜3時間の間又は約2時間の一定時間熱水処理される。
【0069】
以下の非限定例は本出願の例示である。
実施例
実施例1:光触媒材料の合成
手順(a)
【0070】
0.485gのBi(NO
3)
35H
2Oを35mlのエチレングリコール(EG)溶液に溶解させ、透明な溶液を得た。0.364gのCTABを強力な磁気攪拌下でこの溶液に添加し、白っぽい沈殿を形成した。生成した懸濁液を30分にわたって攪拌した。酸化グラフェン(GO)(0.75mlの2mg/mlGO溶液)を含有する35mlのエタノール溶液を上記の懸濁液に添加し、更に60分攪拌した。この懸濁液を100mlのテフロン内張りオートクレーブに移し、180°Cで12時間熱水処理した。沈殿を回収し、エタノール及び脱イオン水で完全に洗浄し、50°Cの真空下で乾燥した。おおよそ0.3gのBiOBr/GOを灰色がかった粉末として得た。
【0071】
TiO
2−P25を使用する前に300°Cで1時間熱処理した。1gの合成粉末BiOBr/GO及び1gのTiO
2 P25を4時間の磁気攪拌下で、混合し、50mlのH
2O溶液に分散させた。次に、懸濁液を100mlのテフロン内張りオートクレーブに移し、120°Cで2時間熱水処理した。次に、沈殿を回収し、水で洗浄し、100°Cで乾燥し、灰色がかった最終生成物のBiOBr/GO−TiO
2を得た。
【0072】
10gのBiOBr/GO−TiO
2を1Lの水/エタノール(体積:40/60)混合溶媒に分散させ、2時間攪拌及び音波処理し、コーティング用途用の安定な灰色がかった懸濁液を得た。
【0073】
コーティングの推奨比率は、>=1g/m
2であり、透明性の必要条件による。
手順(b)
【0074】
1.46gのBi(NO
3)
3・5H
20を35mlのエチレングリコールに溶解させ透明な溶液を得た。次に、1.12gのCTABを強力な磁気攪拌下この溶液に添加し白っぽい沈殿を形成した。生成した懸濁液を30分にわたって攪拌した。次に、酸化グラフェン(2.25mlの2mg/mlGO溶液)を含有する35mlのエタノール溶液を上記の懸濁液に添加し、更に60分攪拌した。懸濁液を100mlのテフロン内張りオートクレーブに移し、180°Cで12時間熱水処理した。この反応を繰り返してより多くのBiOBr/GO粉末を得た。すべての溶液を一緒に回収し、沈殿を回収し、エタノール及び脱イオン水で完全に洗浄し、50°Cの真空下で乾燥した。全手順によって、25gの灰色がかった粉末BiOBr/GOが生成した。
【0075】
30gのTiO
2−P25を300°Cで1時間、熱で活性化した。2.5gのBiOBr/GO及び2.7gのTiO
2 P25を4時間の磁気攪拌下で混合し、50mlのH
2O溶液に分散させた。懸濁液を100mlのテフロン内張りオートクレーブに移し、120°Cで2時間熱水処理した。この手順を10回繰り返した。
【0076】
すべての懸濁液を一緒に回収した。沈殿を7500rpmで15分間の遠心分離を使用して分離し、水で洗浄し、100°Cの真空下で乾燥し、灰色がかった最終生成物のBiOBr/GO−TiO
2(約24g)を得た。
【0077】
生成物を洗浄するために、1gの複合材料粉末を60グラムのエタノールで2回、その後に100グラムの水で洗浄し、続いてそれぞれの洗浄後に7500rpmで15分間遠心分離し、粉末を分離した。
実施例2:NO
x測定
【0078】
窒素酸化物をAir Quality Design Incからのデュアルチャンネル化学発光測定器によって測定した。化学発光によって、非常に低い濃度のNO検出、特にNOに敏感な検出が可能になる。過剰なオゾンが存在するとき、NO気体は酸化され、光電子的に検出できる600nm〜3000nmの間の光を排出する。
【化2】
【0079】
シグナルの強度は、NOの濃度に比例する。通常、サンプル気体は、NOとNO
2の双方を含有する。サンプル気体中でNO
2を測定するために、NO
2は、300°Cの温度に設定した高温の酸化モリブデンコンバーター(MoC)にサンプルフローを通過させることによって、NOに還元されなければならない。これによって、NO
x(NO+NO
2)の濃度が得られる。この測定器の二次チャンネルを通してN
2O
3、N
2O
5などの全窒素酸化物(NOy)種の分析もまた可能になった。
【0080】
NO
x分析器は、毎日、既知の濃度のNO(4.75ppb)を使用して最初に較正した。周囲のバックグラウンドをそれぞれの測定工程において収集した。NO気体源の濃度は、50ppmだった。投入気体は、1L/minの流量の乾燥ゼロ空気で濃縮NOを希釈することによって得られた100ppbのNOだった。光源は、IR照明を除去するための水冷チューブ及び350nmより短い波長を有する光を除去するためのガラスフィルターを備え、地面に届く太陽光をより適切にシミュレートするための3KWのXeonランプだった。反応チャンバーは上部に石英の窓を備えた、3Lの気密性ボックスだった。10mgの光触媒粉末を20mlのエタノールに分散させ、次に、4x4cm
2のアクリルシートに噴霧し、光触媒コーティングを形成した。次に、アクリルシート上の光触媒コーティングをサンプルチャンバーの底部に置いた。光にさらされたアクリル領域は、直径3cmの円であり、光強度は、35mW/cm
2であり、これは、冬期の間のTorontoにおける午前11時の平均太陽光強度に相当した。
【0081】
まず、ブランク実験を実施し、NOxの転換効率について光の影響を調査し、その結果を
図1に示す。測定器の応答時間は、1スポット/秒だった。測定中、平均データを向上させ、ガスフロー時間を考慮するためにそれぞれの測定サイクルに2.5分かけ、続いて、バックグラウンドシグナルに関し30秒の緩和測定を行った。NO
x分析器は、2つのチャンネルを通してNO
x及びNO
yからのシグナルを収集した。黒い線は、NO
xからのシグナルである。収集工程の前半の時間中、シグナルは、投入気体中のNOによって引き起こされた。この工程の後半中、投入気体は、MoCを通過し、NO
2からNOへと還元し、シグナルは、NO
x(NO+NO
2)に関連していた。測定プロセスが変化したときのNO
2からの寄与による微量の増加が、明白である。赤い線は、NO
yに対するシグナルである。
図1の最初の3サイクルは、暗所で測定し、次の3サイクルは、光照射下で測定した。これらのすべてのサイクルは同一であり、測定において光照射が、NO
xの転換効率に影響しないことを示していた。
【0082】
TiO
2 P25コーティングから収集したデータは、データ処理プロセスを示すために使用した。
図2(a)は、6時間かけて分析器から収集した光電子カウントを示す。より明確に示すために最初の25ステップを
図2(b)に示す。光電子カウント数は、NOの濃度と比例関係にあるので、データから3種類の情報を得ることができる。測定サンプル及び較正サンプルの光電子カウントの平均を基準にして、NO、NO
x及びNO
yの濃度を得ることができる。これは、以下の次式によって記述できる。
【数1】
式中、n
measureは、測定したカウント数、n
bgは、バックグラウンドからのカウント数、n
calは、較正気体からのカウント数、及びC
calは、較正気体濃度であり、この実験において4.75ppbだった。n
measure、n
bg及びn
calのカウント数は、測定が、安定状態に到達したときの平均値からとった。一般的に、NO及びNO
xカウントについて、30ポイントが平均され、NO
yに対して、120ポイントが平均される。以下の本報告の一部では、NO、NO
2及びNO
yの抽出した平均カウントのみが使用され、変換された濃度比率c/c
0が、グラフにされ、示される。
実施例3−従来技術の触媒
(i)TiO
2 P25光触媒
【0083】
市販のAeroxide(登録商標)のTiO
2−P25をSigma−Aldrich(登録商標)から得た。サンプルをコーティング用途用に適用する前に100°Cで12時間焼いた。TiO
2 P25は、容易に水及びエタノールなどの溶媒に分散し、更なる処理なしで乳状の懸濁液を形成した。
【0084】
図3及び4は、TiO
2 P25の光触媒の特性決定について及びNO
x分解についてその光触媒の結果を示す。
図3(a)はTEM画像であり、TiO
2 P25のナノ粒子が、約20nmの寸法範囲内であることを示す。
図3(b)は、TiO
2 P25が白色粉末であり、可視光範囲のその非吸収性を示唆することを示す。最後に
図3(c)は、XRDスペクトルであり、TiO
2−P25が、アナターゼ及びルチル相の双方を有することを示す。
【0085】
図4(a)及び(b)は、NO
x及びNO
yシグナルの双方が、光照射すると即座に降下することを示し、そのシグナルが、光が消えるとすぐに元の値に回復し、TiO
2 P25の光触媒能力が確認されることを示す。
【0086】
図2(b)は、光のスイッチが入れられると、主に反応チャンバーから検出器への気体の移送時間のため、NO
x及びNO
yの双方は、平衡状態までに3〜4サイクルのシグナルを経ることを示す。
【0087】
図4(a)は、NO
x及びNO
yシグナルが、光照射時間が増加するにつれてゆっくりと増加し、TiO
2 P25コーティングの光触媒安定性が劣っていることを表していることを示す。
【0088】
図4(b)は、光電子カウントを濃度比率(c/c
0)に変換する。データは、光照射すると約36%のNO、NO
2及びNO
yが分解されることを示す。しかし、この比率は、照射時間が、増加するにつれて減少した。6時間の光照射後、光触媒分解比率は、約13%に降下した。これは、多分TiO
2表面の吸着気体分子のゆっくりとした脱着によるものである。
【0089】
TiO
2 P25は、NO
x除去に効果的であるが、光触媒安定性が劣っており、長期間の外部コーティング用途用の理想的な候補にはならない。
(ii)BiOBr/GO光触媒
【0090】
0.1mmolのBi(NO
3)
35H
2O(0.0485g)を理論量の臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)(0.0364g)を含有する35mlのエチレングリコールに添加し、懸濁液を形成した。懸濁液を30分間攪拌した。Sigma−Aldrich(登録商標)から入手した酸化グラフェン(0.35mlの2mg/mlGO溶液)を含有する35mlのエタノール溶液を懸濁液に添加し、更に60分攪拌した。次に、懸濁液を100mlのテフロン内張りオートクレーブに移し、180°Cで12時間熱水処理した。次に、沈殿を回収し、エタノール及び脱イオン水で完全に洗浄し、50°Cの空気中で乾燥した。
【0091】
図5(a)に示すTEM画像は、BiOBr(約20〜30nm)の小片が、2Dグラフェンシートに分散したことを示す。2Dグラフェンは、優れた電子伝導率を有し、効果的な光生成電荷の分離を促進することが期待され、そのため光触媒効率を改善する。
図5(b)に示すように、調製された複合材料は、灰色を示し、可視光の吸収を示唆する。
図5(c)に示すように、XRDの結果は、典型的なBiOBr回折パターンを示すが、グラフェンによる回折ピークは、多分複合材料内部のGOの低い比率によって観察されなかった。
【0092】
BiOBr/GOのみは、
図6(a)に示すように光照射開始時にNO
xに対して17%の光触媒分解率を示す。
図6(b)に示すように、すべての測定中で安定であり、6時間の光照射のすべてにわたって17〜15%の範囲内に効率を維持する。この測定を1週間繰り返した。
(iii)FeでドーピングされたTiO
2
【0093】
5mlのチタンイソプロキシド(TTIP)を100mlの0.05M水Fe
2(SO
4)
3溶液にゆっくりと添加し、1MのHNO
3溶液によってpHを1.3に調整した。ちょうど生成した乳状溶液を約100°Cの磁気攪拌下で12時間混合した。溶媒を50〜70°Cでロータリーエバポレーター内にて除去した。得られた淡黄色粉末を80°Cで一晩乾燥し、次に、450°Cで2時間更に焼き、任意の有機不純物を除去し、優れた結晶性を得た。これによって黄色がかったFeでドーピングされたTiO
2(Fe−TiO
2)粉末を得た。
図7に示すように、Fe−TiO
2コーティングは、光触媒NO
x分解効果を示す。光照射開始時のNO、NO
2及びNO
y分解率は、それぞれ約30%、29%及び28%である。6時間の光照射後のNO、NO
2及びNO
y分解率は、すべて約12%まで減少した。
(iv)NでドーピングされたTiO
2
【0094】
6.7gのTOS−d(希硫酸中の約15%重量%のTiOSO
4)、4gのH
2O及び11gの尿素を混合して溶液を形成した。7gのエタノールを上記の溶液に添加し、引き続いて、均一溶液を得るために氷水浴中で3〜4時間攪拌した。次に、得られた溶液を80°Cで5時間、攪拌なしで加熱し、白っぽい沈殿を得て、これを回収し、H
2O及びエタノールで3回洗浄した。沈殿を80°Cのオーブンで一晩乾燥し、残留溶媒を除去し、粉末へと粉砕し、これを400°Cで2時間更に焼き、黄色がかった、NでドーピングされたTiO
2粉末(N−TiO
2)を得た。
図8に示すように、6時間の光照射中、光照射開始時のNO、NO
2及びNO
y分解効率は、すべて約16%であり、6時間の最後におけるこれらの効率は、約5%まで降下した。
(v)CuでドーピングされたTiO
2
【0095】
1mlのTTIPを20mlのエタノールに溶解させた。上記の溶液を1MのH
2SO
4溶液によってpHを1に調整された20mlの蒸留水溶液にゆっくりと添加し、透明なゲルを得た。0.1MのCu(NO
3)
2溶液の量をCu:Tiの間の原子比率が0.5%になるように、上記のゲル溶液に添加した。溶液を80°Cで12時間還流し、次に、ロータリーエバポレーターにかけ、粉末を乾燥した。粉末を500°Cで更に焼き、最終サンプルを得た。
図9に示すように、Cu−TiO
2は、光の点灯開始時にNO
xに対して高い光触媒分解率(34%)を示すが、触媒効率は、わずか1.5時間後に、急速に10%まで降下する。
(vi)Cu/NでともにドーピングされたTiO
2
【0096】
1gの合成N−TiO
2(3)を5mlのエタノール溶液に分散させた。0.75mlの0.1MCu(NO
3)
2溶液を更に添加し、0.5時間攪拌し、均一なスラリーを得て、これを80°Cで一晩乾燥し、次に、500°Cで3時間焼き、黄色がかったCu、N−TiO
2粉末を得た。
図10に示すように、Cu、NでともにドーピングしたTiO
2は、光の点灯開始時にNO
xに対して高い光触媒分解率(30%)を示すが、触媒効率は、わずか40分後に急速に17%まで降下する。
(vii)ZnCdS/MoS
2
【0097】
合成:サンプルを熱水反応を通して合成した。MOS
2ナノシートを以下の方法にしたがって作製した。6mmolのNa
2MoO
4・2H
2O、30mmolのチオ尿素及び60mLの蒸留水を100mLのテフロン内張りオートクレーブに添加した。反応物質を有するオートクレーブを210°Cまで加熱し、その温度で24時間保持した。オートクレーブを室温まで冷却し、黒い沈殿を遠心分離によって回収した。得られた固体を蒸留水で3回洗浄し、次に、70°Cのオーブンで24時間乾燥した。単一又はいくつかの層状グラフェン様MoS
2を有機溶媒中のMoS
2の剥離によって作製した。典型的な実験では、750mgのMoS
2を100mLのフラスコ内の15mLのメタノール中に分散させた。混合物を室温で2時間音波処理し、暗褐色の懸濁液を得た。懸濁液を10分間(2000rpm)遠心分離にかけ、デカンテーションによって残留物を除去した。懸濁液中でちょうど作製された単一又はいくつかの層状グラフェン様MOS
2濃度は、約0.6mgmL
−1である。
【0098】
ZnCdS構成成分は、以下の方法にしたがって調製した。0.18mmolの酢酸亜鉛(Zn(Ac)
2・2H
2O)及び0.42mmolの硫酸カドミウム(3CdSO
4・8H
2O)を40mLの脱イオン水に溶解させ、次に、20mLの0.45M硫化ナトリウム(Na
2S・9H
2O)溶液を磁気攪拌下で滴加した。混合物を100mLのテフロン内張りオートクレーブに移し、180°Cで10時間加熱した。固体を遠心分離によって分離し、脱イオン水で3回洗浄し、70°Cで乾燥した。得られたサンプルを更に使用する前に暗所に保存した。
【0099】
ZnCdS/MoS
2複合材料を超音波混合法によって調製した。0.33gの調製されたZnCdSサンプルを3.3mLのMoS
2懸濁液(約2mgのMoS
2)を含有する50mLのメタノールに添加し混合物を更に2時間超音波処理した。その後、溶媒を40°Cでロータリーエバポレーターにて除去した。得られた板状の固体を粉末に粉砕した。サンプルを光触媒反応に使用する前に暗所に保存した。
図11に示すように、ZnCdS/MoS
2は、光の点灯開始時に、NO
xに対して高い光触媒分解率(30%)を示すが、それは、1.5時間の光照射後に急速に20%まで降下する。
実施例5−BiOBr/GO/TiO
2
【0100】
実施例1で合成された複合材料について、そのNO
xの還元能力を試験した。
【0101】
図12(a)は、アクリル上の複合材料の画像を示す。
図12(b)は、調製した複合材料のUV−Vis拡散吸収スペクトルを示し、BiOBr/GO−TiO
2が、470nmの延長吸収端を有することを示す。
【0102】
図13(a)及び13(b)に示すようにBiOBr/GO−TiO
2複合材料は、照射によるNO
x除去に対して非常に高い効率(約40%)を示す。おおよそ6時間の光照射後、光触媒効率は、NO
xに対して28%まで降下する。繰り返しの実験では、一晩の静置後、効率が回復することを示す。すべての触媒についてNO
x除去の結果を表1にも示す。
【表1】
明細書内で参照される全引用文献
【0103】
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