【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、請求項1のプリアンブルによる平軸受において、第1の構成要素が、プラスチック材料の少なくとも1つのスライド要素の危険領域における摩耗の検出のためのデバイスを有するという点で、上述した第1の目的の達成が提案される。危険領域は、(新品のときは)スライド面の一部であってよく、スライド面に近接していてもよく、または具体的には、進行する摩耗の方向においてこのスライド面に直接隣接することができる。原理上、危険領域は、容認可能な摩耗に対する限度と、これから離れた摩耗がまだ危険でないまたはすでに危険と考えられ得る小領域とを含む。危険領域は、摩耗を受けやすい場所に設けられるべきである。
【0018】
本発明の第1の態様によれば、非接触摩耗検出のためのデバイスは、トランスポンダと、検出器要素とを有する。この場合、検出器要素は、トランスポンダと協働し、危険領域で所定の摩耗程度に達したときにトランスポンダの挙動を変化させるように構成されスライド要素上に配置される。この構成の結果として、摩耗に関する変化は、トランスポンダ自体を使用してワイヤレスで、すなわち検査されるべき構成要素に接触することなく検出され得るようになる。それによって、具体的には、動作を遮断することなく、継続した監視が可能になる。電子工学的な作用モードは、自動化を可能にする目的で、具体的には、監視されるべき複数の平軸受の場合に有利である。
【0019】
所定の摩耗程度は、具体的には、スライド要素の名目上の耐用寿命の終わりに向けた適切な使用で達成される、新品に対する摩損関連の摩耗限度を表すことができる。換言すると、これは、越えた場合に確実な動作がそれ以上保証されないことを意味する、限度である。
【0020】
検出されるべき摩耗は、任意のタイプの軸受特有の劣化または摩耗とすることができ、例えば摩損、亀裂および/または疲労破壊の結果生じる摩耗とすることができるが、具体的には、プラスチック材料のスライド要素と、例えば金属製であってよい、スライド要素によって軸受に取り付けられるべき構成要素との間の、固体摩擦によるスライド面の摩損による摩耗とすることができる。
【0021】
というのも、危険領域において所定の摩耗程度になった場合、検出器要素は、実質的に、単にトランスポンダの挙動を変化させ、したがって、例えば名目上の挙動に対するこの摩耗関連変化をワイヤレスで検出することができるので、電気工学的に単純な解決策が別個のセンサ構成要素などがなくても達成され得る。トランスポンダの固有の構成要素または容易に適合される構成要素は、検出器要素として特に適している。
【0022】
本発明は、とりわけ、危険な摩耗程度の識別に、厳密に定められた測定値、すなわち変数の量的な決定の必要がない、という驚くほど簡単な認識に基づいている。検出が非接触で行われるので、摩耗検出のためのデバイスが、機械または装置に対して静止している軸受装置の構成要素に設けられるのか、動いている軸受装置の構成要素に設けられるのかが、さらに重要ではなくなる。
【0023】
本発明による解決策に適したまたは手間を要さずに適合可能なトランスポンダは、すでに、非常に低い単価で入手可能である。一方では、ワイヤレス検出が可能であることにより、他方では、トランスポンダの挙動を決定する検出器要素と相まって、本発明による解決策により、とりわけ、センサ、その設置および配線などについての支出が回避される。さらに、検出器要素は、パッシブ型の、重量が非常に低くサイズがきわめて小さく頑丈に具現化されたものとすることができる。したがって、本発明は、とりわけ、あらゆる不安定さを回避し、さらに、原理上、例えば肉厚が薄く直径が小さなプラスチック軸受ブシュである、プラスチック材料の小さなスライド要素においても設置が可能である。スライド要素は、それ自体、軸受に取り付けられるべき構成要素を形成する(すなわち、軸受装置の1つの構成要素がスライド要素からなる)、またはそのいくつかの構成要素部材のうちの1つを構成することができる。例えば、より高いレベルの軸受ハウジングは、例えば格納される軸受として平軸受が具現化される場合に設けられ得る。前者に限らないが、特に、トランスポンダと検出器要素のコンパクトな構造は有利である。
【0024】
製造が簡単な例示的な一実施形態では、スライド要素は、そのスライド面にくぼみを有し、そのくぼみの中には、検出器要素が配置され、好ましくは、具体的にはトランスポンダと一緒にくぼみの中に完全に収容される。くぼみは、スライド面から延在することができ、内方に、具体的には進行する摩耗の方向にスライド面に対して内方にオフセットして、すなわち相対的に移動する他の構成要素から離れて、検出器要素を設けることを可能にする。このようにして、または(新品のときの)スライド面と検出器要素の動作ポイントとの間における空間の適当な選択によって、要望通りに、容認可能な摩耗の程度を指定または予め決定することが可能になる。摩耗がこの限度に達した場合、検出器要素が、例えば破壊または摩損に関連した導体遮断に応答する。
【0025】
検出器要素は、任意で、トランスポンダと一緒に、プラスチック材料のスライド要素のレセプタクル内に収容され、スライド要素の中に埋め込まれることが好ましく、すなわち、検出器要素またはトランスポンダは、外に対して収納される、好ましくは、周囲を取り囲む材料によって密に密封または囲繞される。この材料は、スライド要素のプラスチック材料と同一であってよく、またはそれと異なり、具体的には耐摩耗性が低い材料であってもよい。スライド要素の本体内への好ましくは一体的な接合による組み込みは、様々なやり方で行うことができ、例えば、射出成形による製造中の封入、上への成形、またはその後の充填、付加的な方法などによって行うことができる。包囲材料をスライド要素のプラスチック材料と一体的に接合接続することによって、封入および/または定位置における固定が可能になる。
【0026】
(スライド面に投射される底面積という意味での)くぼみの面積の寸法は、スライド要素の支承機能の減衰を可能な限り小さくするために、スライド面自体の面積の寸法に対して可能な限り小さく、具体的には20%未満、好ましくは10%未満としなければならない。
【0027】
製造中の取り扱いが簡単な特に安価な一実施形態では、トランスポンダおよび協働する検出器要素は、検出モジュールと一体化されている。検出モジュールは、例えば、パッシブ型RFIDトランスポンダの形態、または対応する技術を使用して作られ得る。モジュールの寸法は、好ましくは、ここでは、プラスチック・スライド要素の対応する寸法よりも著しく小さい。検出モジュールは、この場合、検出器要素が危険領域内にある、具体的には摩耗限度の動作領域のところにあるように、監視されるべき少なくとも1つのプラスチック・スライド要素上に配置される。この目的のため、プラスチック・スライド要素は、前もって作られたレセプタクルまたはくぼみを有することができる。
【0028】
別法として、検出器要素は、例えばRFIDトランスポンダまたはRFIDタグである、従来から市販されているトランスポンダに別個の構成要素として接続されてもよい。したがって、例えば、特に小さなスライド要素の場合、トランスポンダは、スライド面から離れて、危険領域の外に設けられてもよい。この場合、例えば回路のシャントの形態の導体である、小さなサイズの検出器要素だけが、危険領域内へと案内される。
【0029】
各トランスポンダは、項目数(number of items)を増加させるために、検出器要素を1つだけ有することが好ましい。それに応じて、スライド要素は、検出器要素を1つだけ含む1つのトランスポンダを有することが好ましい。あるいは、1つのトランスポンダが、任意で、いずれの場合も比較的短い検出器線路を介して共通のトランスポンダに作用する、1つまたはn個のプラスチック・スライド要素におけるn個の検出器要素と関連付けられてもよい。しかしながら、個数nは、可能な限り小さくすべきである。
【0030】
トランスポンダ1つあたりの検出器要素n個の比率をn:1にすると、より確実な検出が可能になるが、より高価になる。例えば、複数部材からなる構造の平軸受の場合、すなわちいくつかのスライド要素が第1の構成要素に設けられる場合、スライド要素のうちのいくつかまたはすべてがいずれも検出器要素を有することができ、その検出器要素は、個々の検出器要素との接続のための端子を有する共通のトランスポンダ、好ましくはマイクロチップを含むRFIDトランスポンダと接続され得る。異なる摩耗限度に対応する検出器要素が1つの同じプラスチック・スライド要素上に配置される、または異なるスライド要素上に配置され共通のトランスポンダ、例えばマイクロチップを含むRFIDトランスポンダと協働する場合、例えば、摩耗の様々な段階を識別することができる。マイクロチップは、この目的のため、個々の検出器要素の接続のための複数のインプットを備え、変化としてその状態に応じた情報の項目をリーダに送ることができる。適当なリーダは、具体的には、送受信可能なトランシーバである。
【0031】
リーダまたはトランシーバによって検出可能なトランスポンダの挙動の変化は、具体的には電気工学的に測定可能なパラメータ変化である、多種多様な形態をとることができる。トランスポンダの動作準備完了状態に影響を及ぼす線路遮断または線路短絡は、特に簡単に検出可能である。このように、検出器要素は、具体的には、トランスポンダの動作を無能にするか、またはそれをシャットダウンすることができる。回路トポロジが、例えば、危険な摩耗に従って修正され得るか、または、例えばトランスポンダにおける共鳴回路のインピーダンス値などの電気工学的に測定可能なもしくは機能的に関連のあるパラメータが、変更され得る。原理に関する重要な要因は、トランスポンダが、摩耗検出のためのインジケータとして、容認可能な摩耗程度に到達または越えたときに検出可能な異なる挙動を示し、それが無線通信またはワイヤレスで検出され得ることである。したがって、線路遮断は、例えば危険領域の方に延びる検出器線路を介して、挙動の変化を引き起こすことができる。例えば、トランスポンダのアンテナ自体の一部を、危険領域で所定の摩耗程度に到達または越えた場合に作動しなくなるほど、危険領域での摩耗に曝露することもできる。
【0032】
上述した第1の目的は、さらに、とりわけ請求項19によるスライド要素によって達成される。したがって、本発明は、さらに、さらなる独立態様による、電子工学的な非接触摩耗検出のためのトランスポンダと検出器要素とを備える、無潤滑軸受装置のための平軸受の摩擦的(tribological)プラスチック材料のスライド要素に関する。検出器要素は、スライド要素の、具体的には固体摩擦誘起の劣化による、摩耗を受けやすい危険領域に設けられ、摩耗に応答して、危険領域における所定の摩耗程度においてトランスポンダの挙動を変化させる。スライド要素は、上述した特徴、または自由度をさらに含む以下の好ましい特徴のうちの1つまたは複数を有することができる。
【0033】
両方の態様において、検出器要素は、トランスポンダの無線挙動を変化させることが好ましい。
【0034】
摩擦的に最適化されたプラスチック材料は、固体潤滑剤粒子、例えばエンジニアリング繊維である強化材料、および/または付加物(addition)もしくは添加剤の形態の賦形剤を含有したベースポリマーからなり得る。この場合、材料の混合物は、射出成形に適しており、均質であることが好ましい。
【0035】
一実施形態では、キャリアまたはハウジングを有する検出モジュールは、ハウジングを備えるトランスポンダと、そこから離れたキャリアまたはハウジングの領域であって、検出器要素が摩耗誘起破断の際にトランスポンダの挙動を変化させる予め決められた破断ポイントのようにそこに配置される領域とを備えることができる。キャリアは、例えば、可撓性の自己粘着ラベルを備えることができる。その一方で、例えば、従来のトランスポンダと用途に適合された追加の検出器要素の樹脂封入は、ハウジングとして適している。モジュール・ハウジングは、例えば複数構成要素および/またはIMPIM(金属/プラスチック一体射出成形(integrated metal/plastics injection molding))法を使用して、無線回路とともに、具体的にはプラスチック平軸受要素も一緒に、射出成形されてもよい。検出モジュールは、監視されるべき所定の危険領域内に検出器要素が位置するように、配置され得る。
【0036】
さらなる一実施形態では、いくつかのプラスチック・スライド要素は、いずれも、軸受装置の摩耗を受けやすい領域に少なくとも1つの検出モジュールをそれぞれ有する。それによって、最も摩耗を受けやすいプラスチック・スライド要素の予測が困難な場合であっても、および/または、所与のトランスポンダ・エラー率、例えば非常に安いパッシブ型トランスポンダの場合によくあるような所与の誤陽性または誤陰性率の場合でも、確率的に信頼性の高い検出が可能になる。
【0037】
検出器要素は、好ましくは、具体的には回路内で電子工学的にトランスポンダと協働する。検出器要素は、トリガリング挙動が要望に応じて選択され得るように、別個の構成要素としてトランスポンダと接続され得る。
【0038】
検出器要素は、すでに知られているトランスポンダの既存構成要素または修正構成要素として具現化されてよく、したがって製造コストを最低限に抑えられる。
【0039】
単純な一実施形態では、検出器要素は、危険領域内に延在し例えば所定の摩耗程度に対する所定の破断ポイントのように露出し、所定の摩耗程度に達したときに遮断されることが意図される検出器線路の一線路部分として具現化される。回路構成に応じて、遮断は、トランスポンダの動作準備完了状態を妨げるおよび/または(再)確立することができる。
【0040】
摩耗に応じて動作準備完了状態を可能にする、すなわち、言うなればトランスポンダをオンに切り替える一変形形態では、トランスポンダは、平軸受またはスライド要素が未使用で新品状態のときに検出器要素を介して短絡されているアンテナを有する。トランスポンダの基本周波数に応じて、(低周波数)「短絡」の代わりに、インピーダンス不整合から十分な整合への変更、または、摩耗に応答して変えられる例えば開放もしくは短絡されるスタブを介したアンテナからのまたはアンテナへの電力伝達が考えられる。それによって、所定の摩耗程度に達したときに「短絡」を開放しまたは不整合から整合に切り替えてアンテナ機能を可能にするように、検出器要素を具現化することが可能になる。したがって、トランスポンダは、摩耗限度に達したときだけリーダによって検出される。
【0041】
別法として、検出器要素が危険領域内に延在するアンテナ自体の一構成要素部材として具現化される場合、所定の摩耗程度に達したときにアンテナが遮断されるまたは機能に適合しないように、トランスポンダの動作が中止されてもよい。この解決策は、かなりの程度の無線エラー率のトランスポンダの場合、トランスポンダが応答することが最初に保証され得るので、有利である。さらに、名目上の動作トランスポンダは、例えば製品情報など、従来のRFID機能のために使用され得る。
【0042】
限られないが特に、パッシブ型トランスポンダ構成または無線送信電力から自動的に給電(supply)されるトランスポンダ構成の場合、アンテナを誘導コイルとして具現化するまたは誘導コイルを備えるように具現化することが有利である。ダイポール・アンテナも、特により高い周波数域の場合可能であり、全体的に、誘導コイルよりも小さい。
【0043】
アンテナの形態の誘導コイルは、具体的にはパッシブ型トランスポンダの場合に、トランスポンダの共鳴発振回路の一構成要素部材とすることができ、調波または振動吸収器のように、共鳴周波数でリーダまたはトランシーバによって測定される電磁場の変化を引き起こすことができる。「周波数偏差」法は、この目的のために知られており、この方法において、リーダは、共鳴の際にトランスポンダによるフィールド・コラプス(field collapse)を検出するために、共鳴周波数の範囲にわたって周波数を変化させる、すなわちブレを生じさせる。もともとは窃盗に対するセキュリティのために開発されたEASタグの形態の対応するトランスポンダ回路は、例えば、米国特許第3,810,147号明細書および米国特許第3,500,373号明細書に開示されている。そのようなシステムにおいて、トランスポンダは、実質的に誘導コイルおよびキャパシタを含む共鳴発振回路だけからなる、例えば粘着ラベルのように、非常に安く生産することができる。それに加えて、これらのシステムにおいて、さらに、リーダは、小電力量しか消費しない。
【0044】
多くの項目数の場合、パッシブ型トランスポンダ、具体的には「1ビット・トランスポンダ」または「単一ビット・トランスポンダ」、すなわち単に、情報:「作業域内のトランスポンダ:はい」および「作業域内のトランスポンダ:いいえ」を送信するだけの(すなわち、1ビット)トランスポンダが適している。この目的のため、以下の構成を有するトランスポンダが特に実現可能である:
− 例えば基本発生周波数(fundamental generator frequency)8.2MHzの、上述したRF(無線周波数)LC共鳴発振回路(例えばCheckpoint Systems、http://us.checkpointsystems.com/、もしくは、Agon Systems:http://www.agon−systems.comからのRFシステム)の形態のトランスポンダであり、非常に安く近距離から中距離にわたって(遠隔結合距離:最大数メートル)エネルギー効率がよい、トランスポンダ、
― 例えば、容量ダイオードを含むダイポール・アンテナによって典型的にはマイクロ波域において発生周波数調波(generator frequency harmonics)を発生する、マイクロ波域内の周波数逓倍のためのトランスポンダであって、結果的に(10mを上回る)長距離にわたって誤検出もしくは誤警報が実質的にない、トランスポンダ、
― マイクロチップと共鳴回路コイル(resonant circuit coil)を含む、例えば概ね90から140kHzの間である、長波長域における分周器のような、同じく低いエラー率の、トランスポンダ、
− 軟磁性金属の周期磁場反転を検出する、最大概ね22kHzのLF域における、電磁(EM)法のためのトランスポンダであって、(プラスチック・スライド要素を除いて)大部分が金属部材からなる平軸受に特に適しているが、所与のエラー率(典型的には、概ね25〜30%)を有し、近距離(最大概ね2m)である、トランスポンダ、または、
− 例えばSensormatic(http://www.sensormatic.com)からの、58kHzである、磁歪の原理に基づいた音響磁気(AM)法のためのトランスポンダであって、最大概ね20mの長距離までの中距離を有し、エラー率が低いが、エネルギー消費が非常に高い、トランスポンダ。
【0045】
上述したタイプのパッシブ型トランスポンダは、具体的には、例えば、検出器要素として所定の破断ポイントの形態の機能的に関連のある構成要素を危険領域に配置することによって、摩耗によりオフに切り替えられるまたは作用しなくなり得る(例えば、作用停止または完全に破壊される)。
【0046】
かなりのエラー率のパッシブ型トランスポンダの場合、いくつかの冗長トランスポンダを含むシステムを構築することが有利である。冗長構成によって、独立したトランスポンダのうちの複数またはすべてが戻り信号を生成しないときだけ、超過摩耗が伝えられるようになる。したがって、例えば空間的に変えることにより、十分に独立した配置にすることによって、誤警告の危険(誤陽性)が無視できるほどの確率まで低減される。
【0047】
上述したタイプのパッシブ型単一ビット・トランスポンダの代替として、さらなる一態様によれば、トランスポンダは、好ましくは、識別情報または識別子を記憶するマイクロチップを含むパッシブ型またはアクティブ型のRFIDトランスポンダとして具現化されてもよい。この場合、トランスポンダは、任意で比較的長距離における比較的大きな送信電力の場合でも規制承認の必要をなくすISM帯におけるワイヤレス通信用のアンテナを備えることが好ましい。
【0048】
アクティブ型RFIDトランスポンダによって、例えば長い走行経路(>>2m)の配線配置について、より長いワイヤレス監視距離が可能になる。アクティブ型RFIDトランスポンダへの電力供給は、検出デバイスを備えた軸受装置の静止構成要素によって、または実際には(例えば誘導による)運動エネルギーから得られる電力により簡単にされ得る。
【0049】
パッシブ型またはアクティブ型の「真の」RFIDトランスポンダの識別情報は、リーダによって問い合わせされ得る。こうして、例えば、メンテナンスされるべき軸受装置の信憑性チェック、位置決定および/または識別が可能になる。
【0050】
RFIDシステムにおいて、1つの具体的な可能性としては、誤検出を最低限に抑えるように、危険な摩耗程度に達したときだけ、トランスポンダが検出器要素によってオンに切り替えられることが挙げられる。
【0051】
選択するトランスポンダ技術に関わりなく、機能検査、具体的には摩耗に応答してオンに切り替えられるトランスポンダを用いた検出の場合に、監視されるべき平軸受に、好ましくはリーダと同じ周波数域の、独立したさらなる検査トランスポンダを設けることが望まれ得る。この検査トランスポンダの挙動は、好ましくは、摩耗に応答して変わらない、すなわち、新品状態で動作することが好ましい。監視または検査トランスポンダは、摩耗に曝露されるべきではなく、例えば、検出器要素なしで具現化されるべきであるが、その他の点では、摩耗検出のためのトランスポンダとできる限り同じように無線域内に配置されるべきである。検査トランスポンダは、製品情報を提供することができる。
【0052】
特に単純で安価な一実施形態では、トランスポンダは、好ましくは検出器要素と一緒に自己粘着ラベル上に生産される。
【0053】
さらに、本発明の範囲内で、検出器要素は、摩耗によってそれ自体が減衰せず、むしろプラスチック・スライド要素上の所定破断ポイントを監視するトランスデューサとして作用するようにされる。この目的のため、スライド要素は、危険領域に、所定の摩耗程度に達したときに検出器要素をトリガする所定破断ポイントをそれぞれ有することができる。この場合、検出器要素は、単純な電気機械スイッチ手段として具現化され、それによって、任意で、電気工学的構成要素に関係なく摩耗限度のより的を絞った調節が可能になる。例えば、同一の検出モジュールを、複数のスライド要素のタイプのいずれの場合にもスライド要素の構造に関係なく使用することができる。
【0054】
検出器要素が、パッシブ型回路構成要素、または、例えば危険領域を通り摩耗限度での屈曲点もしくは屈曲部分を含む導体ループのような一導体部分として具現化される実施形態は、特に安価である。検出器要素自体は、例えば、所定の摩耗程度に達したときに破断する危険領域における一種の所定破断ポイントを形成することができ、検出器線路の一部としてトランスポンダと接続され得る。この場合、検出器要素は、具体的には、シャントとして作用する導体ループの形態をとることができる。
【0055】
(摩耗検出のためのデバイスを除く)軸受に取り付けられるべき構成要素が内部で案内される軸受を取り付ける構成要素が、優先的または排他的に、プラスチック構成要素部材を備える場合、無線電界(radio field)は、平軸受の材料により、わずかしかまたは大きくは減衰しない。したがって、第1の軸受を取り付ける構成要素、すなわち機械システムのためのフレームは、少なくとも1つまたは複数のプラスチック材料のスライド要素および摩耗検出のためのデバイスからなってよい。あるいは、これは、スライド要素の取り付けのための追加の軸受ハウジングを有することもできる。この場合、軸受ハウジングは、同様に、プラスチック材料または導電性が低い材料から作られることが好ましい。
【0056】
全く逆に、内側の構成要素は一般的に電磁場に干渉作用を及ぼさないので、例えばシャフト、レール、継手ヘッドなど、平軸受に加えて完成した平軸受装置に必要とされる第2の構成要素は、金属製であってはならない理由はない。
【0057】
完成した平軸受装置は、ピボット軸受、リニアガイド、アキシアル・ラジアル軸受(axial−radial bearing)または球面平軸受(spherical plain bearing)のように具現化された平軸受を有することがきる。この平軸受は、第2の構成要素を、1つまたは複数の対応する自由度で取り付ける。プラスチック材料のスライド要素は別として、平軸受装置の明確なタイプは問題にならない。
【0058】
スライド要素自体とともに、本発明は、さらに、さらなる一独立態様による、電気工学的な摩耗検出のためのシステムに関する。システムは、少なくとも1つのトランスポンダを含む平軸受を備える。少なくとも1つのトランスポンダの挙動は、所定の摩耗程度に達した場合に変わる。システムは、さらに、トランスポンダの挙動をワイヤレス監視するためのトランスポンダとワイヤレスで協働するリーダを備える。システムは、過度の摩耗を自動的に伝えることに加えて、さらに、役立つ機能である、例えば、
− 軸受装置を必要とする機械、設備などを止める緊急トリッピング機能(emergency tripping)、ならびに、
− メンテナンス警告システムへのデータ・インターフェース、および/または、例えば代替平軸受の部分的または完全に自動化された発注のための在庫管理システムへのデータ・インターフェース
を有することができる。
【0059】
さらなる一独立態様によれば、本発明は、さらに、平軸受の摩耗の非接触検出のための方法に関する。この場合、それは、具体的には、監視されるべき摩耗を引き起こす、平軸受の意図された固体摩擦により引き起こされるスライド面の劣化である。方法は、本発明のために、平軸受上に配置されたトランスポンダの挙動が所定の摩耗程度に達したときに変わることを特徴とする。この変化は、例えばメンテナンス警告および/または緊急停止などのトリガリングを目的として、リーダまたはトランシーバによってワイヤレスで検出される。
【0060】
本発明のさらなる特徴は、添付の図面から明らかであり、上述した詳細の本質を制限することなく、図面を基に本発明の好ましい例示的な実施形態が以下に説明される。図面において、同一または同様の要素には、同じ参照符号が付けられている。