特許第6857668号(P6857668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857668
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】成形法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20210405BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20210405BHJP
   A23G 1/30 20060101ALI20210405BHJP
   A23G 3/00 20060101ALI20210405BHJP
   A21D 10/02 20060101ALI20210405BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20210405BHJP
   B29C 33/40 20060101ALI20210405BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210405BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20210405BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20210405BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20210405BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20210405BHJP
   C11C 5/00 20060101ALI20210405BHJP
   A23G 1/22 20060101ALN20210405BHJP
【FI】
   B29C33/38
   B29C51/10
   A23G1/30
   A23G3/00
   A21D10/02
   A23L5/10 Z
   B29C33/40
   B33Y10/00
   B33Y50/00
   B33Y80/00
   B29C64/118
   B29C64/386
   C11C5/00 Z
   !A23G1/22
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-556014(P2018-556014)
(86)(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公表番号】特表2019-510665(P2019-510665A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】EP2017051075
(87)【国際公開番号】WO2017125488
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】1600946.6
(32)【優先日】2016年1月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518255237
【氏名又は名称】ピックスイート・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キッタネン,ヤンネ・トゥオマス
(72)【発明者】
【氏名】ザーネン,エドゥアルト・ビレム
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−167947(JP,A)
【文献】 特表2007−528810(JP,A)
【文献】 特開2005−018532(JP,A)
【文献】 特開2000−006160(JP,A)
【文献】 実開平06−083318(JP,U)
【文献】 特開平09−107938(JP,A)
【文献】 特開2014−012847(JP,A)
【文献】 特開2002−120242(JP,A)
【文献】 特表平10−504503(JP,A)
【文献】 特開2011−177095(JP,A)
【文献】 実開平10−000090(JP,U)
【文献】 特開2002−179180(JP,A)
【文献】 特開2010−110257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−33/76
B29C 51/00−51/32
C11B 1/00−15/00
C11C 1/00− 5/02
A23G 1/00− 9/52
A21D 2/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品(21)を形成する方法であって、
(a) 内面及び底面(9)を有するくぼみ(7,8)を備え、プラスチックから製造され、3次元印刷方法によって製造されたモールドフォーマー(6)を提供する工程であって、
モールドフォーマー(6)は、モールド(1)を形成するために形作られ、
モールドフォーマー(6)は、モールドフォーマー(6)の内面と底面(9)との間に延びる一連の穴(30)を有する、該工程、
(b) プラスチック材料からモールドフォーマー(6)内でモールド(1)を形成する工程、モールド(1)は、成形品(21)の所望の形状に対応するくぼみ(2)を有する、
(c) 細長い部材(12)の一端がくぼみ(2)内に位置し、該部材の他端がくぼみ(2)の外側に位置するように、モールド(1)内に細長い部材(12)を配置する工程、
(d) くぼみ(2)内に、ある体積の液体(10)を導入する工程、
(e) カバー(15)をモールド(1)の上に配置し、モールド(1)にカバー(15)を封止する工程、
(f) 液体(10)を固化させる工程
を含む該方法。
【請求項2】
3次元印刷方法が、熱溶解積層法(FDM)又は溶融フィラメント製造(FFF)によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モールドフォーマー(6)がアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンから製造される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)において、熱可塑性材料のシートをモールドフォーマー(6)の上に置き、シートがその軟化点を超えて加熱されている間にシートの両側に圧力差が生じる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(e)において、カバー(15)がプラスチックフィルムを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
カバー(15)が金属箔をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(e)において、カバー(15)がプラスチック溶接によってモールド(1)に封止される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
カバー(15)が、くぼみ(2)の周囲に隣接してモールド(1)に封止される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(f)において、液体(10)が調理方法によって固化される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(f)において、液体(10)が重合反応によって固化される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
細長い部材(12)が食用である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
細長い部材(12)が芯である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
成形品(21)が冷凍菓子であり、工程(f)において、液体(10)が凍結により固化される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
成形品(21)が菓子であり、液体(10)が溶融チョコレートを含み、工程(f)において、液体が冷却により固化される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、菓子及び冷凍菓子、ろうそく及び他の装飾的消費材をはじめとする成形品の製造方法に関する。本発明は、特に、消費者の要求に応じて、比較的少数のそのような品目を特注で製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景及び従来技術
成形品は、多くの消費者市場で非常に人気がある。食品業界では、チョコレートベースの菓子のような菓子は、しばしば木又は動物の形状等の目先の変わった小物商品という形状で製造される。また、冷凍フルーツコンポジット(しばしば「アイスポップス」又は「棒付きアイスキャンディ」として知られている)又はアイスクリーム等の冷凍菓子もまた、目先の変わった小物商品という形状で製造される。これらの状況の両方において、特に冷凍菓子の場合には、消費者が食品自体に触れるのではなく、商品を棒で保持することを可能にするために、固い細長い部材の形態の棒を製品に含めることが一般的である。
【0003】
成形品は、ろうそく及び飾り板等の他の消費者市場でも人気がある。これらは、しばしば、例えば、ろうそく用の芯の形態で、成形された形状から突出する細長い部材又は飾り版の固定装置も含む。
【0004】
これらの品目の製造には、通常慎重に設計され、金属に機械加工されたモールドの複雑な細工が含まれ、長年にわたり製造ラインで使用できる長持ちし丈夫なモールドが提供される。典型的な製造方法では、製造施設の処理量を最適化するために、多数のこのようなモールドが作製され、並べて使用されるであろう。モールドは、典型的には細長い部材(例えば、アイスキャンディの棒、芯又は固定装置)がモールドの上部から突出するように配置され、凝固前に細長い部材の周りに成形流体が加えられる。次いで、成形品は、モールドから取り出され、小売業者への以後の発送のために別の包装材料に移され、それから最終消費者に運搬される。
【0005】
このような方法のためのモールドの製造は、時間がかかりかつ費用がかかり、その結果、長寿命であるか又は非常に多数で販売されているデザインの場合に商業的に実施可能であるに過ぎない。したがって、比較的少数でしか必要とされ得ない、より特注の形状に対する消費者の要求を満たすことは困難である。出願人は、自分達が、簡単で高処理量の方法において、比較的少数の特注の形状を有するそのような品目を製造することを熟考する最初の者であると考えている。この問題に対する解決策を試みることは、本発明の目的の一つである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、成形品を形成する方法であって、
(a) 内面及び底面を有するくぼみを備え、プラスチックから製造され、3次元印刷方法によって製造されたモールドフォーマーを提供する工程であって、モールドフォーマーは、
(i) 成形品の所望の形状に対応するくぼみ、及び
(ii) モールドフォーマーの内面と底面との間に延びる一連の穴
を有するモールドを形成するために形作られる該工程、
(b) プラスチック材料からモールドフォーマー内でモールドを形成する工程、
(c) 細長い部材の一端がくぼみ内に位置し、該部材の他端がくぼみの外側に位置するように、モールド内に細長い部材を配置する工程、
(d) くぼみ内に、ある体積の液体を導入する工程、
(e) カバーをモールドの上に配置し、モールドにカバーを封止する工程、
(f) 液体を固化させる工程
を含む該方法を提供する。
【0007】
出願人は、3次元印刷を利用することにより、小数の特注の形状を有するプラスチックモールドフォーマーを製造することが可能であることを見出した。当業者は、その熱伝導率が低いために、プラスチックモールドフォーマーを使用することを容易に考えなかったであろう。これは、典型的には、一連のモールドが準備される場合には、非常に低い生産速度をもたらしたであろう。各工程(b)の後、次のモールドが製造できる前にモールドフォーマーを冷却する必要があるであろう。熱伝導率が低いため、このような冷却には時間がかかりすぎる。本出願人は、成形方法中に熱い空気が逃げることができる穴を設けることによって、モールドフォームの冷却を向上させることを今や見出した。スー(suh)孔は、3次元印刷方法で簡単に作ることができる。
【0008】
このような方法のいずれにおいても、工程(b)において、モールドは、シートプラスチック材料を真空成形することによって形成されることがさらに好ましい。
【0009】
工程(e)において、カバーは好ましくはプラスチックフィルムを含み、より好ましくはカバーは金属箔をさらに含む。
【0010】
プラスチック材料がカバーに使用される場合、工程(e)において、カバーがプラスチック溶接によってモールドに封止されることが好ましい。
【0011】
本発明の任意の方法において、カバーは、くぼみの周囲に隣接してモールドに封止されることが好ましい。
【0012】
本発明の任意の方法では、工程(f)において、前記液体は、相変化によって固化されることが好ましい。冷凍菓子の製造において、これは凍結段階を伴う。ろうそくの製造において、熱いワックスが液体として使用され、室温で固化させて固体キャンドルを製造するであろう。
【0013】
本発明の好ましい方法では、工程(f)において、前記液体は、調理方法によって固化される。このようにして、この方法によって、ケーキ又はビスケット等の成形品を製造することができる。
【0014】
本発明の好ましい方法では、工程(f)において、前記液体は重合反応によって固化される。飾り板、キーホルダー及び他の3−Dの目先の変わった小物商品のような装飾品の製造において、液体は、フリーラジカル開始剤又は光開始剤のような開始剤の添加によって固化されるモノマーを含むことができる。
【0015】
本発明の任意の方法において、細長い部材は食用であることが好ましい。これはより望ましい製品を創出するだけでなく、最終消費者が廃棄物を処分する必要性も低減する。
【0016】
ろうそくが製造される好ましい実施形態においても、細長い部材は芯である。
【0017】
成形品が冷凍菓子である場合、工程(f)において、前記液体は凍結により固化されることが好ましい。
【0018】
成形品が菓子であり、液体が溶融チョコレートを含む場合、工程(f)において、液体は冷却により固化されることが好ましい。
【0019】
細長い部材が食用である場合、細長い部材は、ビスケット又はハードキャンディーで形成されることが好ましい。
【0020】
成形品がベーカリー製品であり、固化が調理によって起こる場合、液体はケーキ又は生地ミックスを含むことが好ましい。この場合、細長い部材は、ビスケット又はハードキャンディーで形成されることも好ましい。
【0021】
固化が相変化によって起こる場合、液体は溶融ろうそくワックスを含み、細長い部材は芯を含むことが好ましい。
【0022】
本発明の任意の方法において、モールドフォーマーはプラスチックで作られ、3次元印刷方法によって製造される。これは、使用後に容易にリサイクルすることができるそのようなモールドを製造するためのリードタイム及びコストを大幅に削減する。適切には、3次元印刷方法は、熱溶解積層法(FDM)又は溶融フィラメント製造(FFF)によって実施される。プラスチックは、このような印刷方法に適した任意のプラスチックであることができる。好ましくは、モールドフォーマーはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)から製造される。
【0023】
また、本発明の範囲に含まれるものは、(i)3次元物体を表すデータファイルを受け取る工程、(ii)該データファイルを使用する工程であって、データファイルは3次元印刷方法によるモールドフォーマーの製造においてモールドのくぼみの形状を規定するために使用される、工程を含む成形品を製造する方法である。
【0024】
そのような方法では、前記方法は、受け取り後にデータファイル内のデータを修正して、モールドのくぼみの形状のアンダーカットを除去するさらなる工程を含むことが好ましい。
【0025】
また、本発明の範囲内には、添付の図面の任意の組み合わせを参照して本明細書に実質的に記載される成形品を製造する方法が含まれる。
【0026】
本明細書に記載の方法によって製造された成形品も、本発明の範囲に含まれる。
【0027】
本発明の範囲内には、
(a) 内面及び底面を有するくぼみを備え、プラスチックから製造され、3次元印刷方法によって製造されたモールドフォーマーを提供する工程であって、モールドフォーマーは、
(i) 成形品の所望の形状に対応するくぼみ、及び
(ii) モールドフォーマーの内面と底面との間に延びる一連の穴
を有するモールドを形成するために形作られ、
(b) プラスチック材料からモールドフォーマー内でモールドを形成すること
により、成形品を保持するのに適したモールドを製造する方法も含まれる。
【0028】
本発明の範囲内には、内面及び底面を有するくぼみを備え、プラスチックから製造され、3次元印刷方法によって製造された成形品を保持するのに適したモールドを調製するのに適したモールドフォーマーであって、該モールドフォーマーは
(i) 成形品の所望の形状に対応するくぼみ、及び
(ii) モールドフォーマーの内面と底面との間に延びる一連の穴
を有するモールドを形成するために形作られる該モールドフォーマーも含まれる。
【0029】
本発明は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に使用されるモールドの平面図を示す。
図2】A−A線に沿った図1のモールドの断面を示す。
図3】モールドフォーマーの断面図である。
図4】モールドフォーマーの断面図である。
図5】液体を収容するモールドの断面図を示す。
図6】液体及び細長い部材を収容するモールドの断面図を示す。
図7】細長い部材の立面図を示す。
図8】本発明の方法の封止段階を示す図である。
図9】モールド内の所定の位置にある細長い部材の平面図を示す。
図10】モールド内の所定の位置にある細長い部材の平面図を示す。
図11】液体及び代替の細長い部材を収容するモールドの断面図を示す。
図12】代替の細長い部材の立面図を示す。
図13】本発明の成形品を示す。
図14】本発明の成形品を示す。
図15】本発明の方法をフローチャート形式で示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
好ましい実施形態の説明
図1及び図2は、それぞれ一般的に1で示される、本発明の方法に使用されるモールドを平面図及び断面図でそれぞれ示す。モールド1は、製造される成形品の所望の形状に対応するくぼみ2を有する。くぼみ2の隣接する一縁部は、モールドの周囲の平面4の高さに又はそれをほんの少し下回った高さを有する堰3である。特に好ましい実施形態では、堰3の頂部とモールドの上面4との間の高さの差は、後述する細長い部材12の厚さとほぼ同じである。図示された実施形態では、モールドは、堰4に隣接するが、反対側ではくぼみ2に隣接する第2のくぼみ5をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2のくぼみ5は使用されないが、その機能については後述する。
【0032】
図3及び図4は、本発明の方法に使用されるモールドフォーマー6を断面で示す。モールドフォーマー6は、図1及び図2に示すモールド1のくぼみ2及びくぼみ5の所望の形状に対応するくぼみ7及び8(必要に応じて)を含むように形作られる。図3のモールドフォーマーでは、モールドフォーマーには、各くぼみ7、8の内面とモールドの底面9との間に延びる一連の穴30が含まれる。これらの穴は、典型的には、直径2mm未満、好ましくは直径1mm未満であり、成形方法中に空気がモールドを通って逃げることを可能にすることによって、真空成形されたモールド1の品質を改善するのに役立つ。他の実施形態では、モールドフォーマー6は、焼結された構造又は固い連続気泡フォームのような気体多孔性材料から製造することができる。
【0033】
モールド1を形成するために、熱可塑性材料のシートがモールドフォーマーの上に置かれ、材料がその軟化点を超えて加熱されている間に圧力差によってシート材料の両側が作られる。圧力差は、典型的には、赤外線源によって行われる加熱下でシートの下の真空の使用によって生成される。モールド成形方法は、真空成形として当該技術分野において周知である。モールド1を形成するのに特に好ましい材料は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリプロピレン及びポリアミドから製造されたもののようなシートポリマー材料である。特に好ましいのは、登録商標MP300(ウィパック(Wipak)、ポーランド)で販売されているような非晶質ポリエステルとポリオレフィンとの共押出しシートである。シート材料は、好ましくは2mm未満、より好ましくは1mm未満の厚さを有する。
【0034】
図5〜7は、本発明の方法の充填段階を示す。図5では、固化後に成形品を形成する液体10が、堰3の高さ又はそれ未満の高さ11までくぼみ2に導入される。図6では、細長い部材12は、部材の一端13がくぼみ2内にあり、他端14がくぼみ2の外側にあり、それによって堰3を横切るようにモールドの中に配置される。くぼみ2に加えられる液体の体積は、細長い部材12が所定の位置に置かれたときに、液体が堰3の上にあふれ出ないようにされることが理解される。
【0035】
この実施形態における細長い部材の形状は、菓子又は冷凍菓子を製造する場合に適切である。この例の細長い部材は、しばしば「棒」と呼ばれる。棒は、剛性の材料、例えば、木材又はプラスチックで製造される可能性が高いが、ハードキャンディー等の食用材料で形成することもできる。棒12は、図7では単独で示されており、本質的に平面であり、くぼみ2内にあることが予定されている第1の部分12A;くぼみ5内に位置することが予定されており、第1の部分12Aと平行に、又は第1の部分12Aと同一平面上に位置する第2の本質的に平坦な部分12Bを有するように形作られている。部分12A及び12Bは、部分12C及び12Dによって接合され、これらの部分は、棒がモールド1の堰3を横切ることができるように形作られている。棒はいくつかの部分を有するものとして記載されているが、それは、例えば、棒がプラスチック製である場合には、射出成形を使用することにより、単一部品構造として容易に製造することができる。
【0036】
モールド1内の第2のくぼみ5の機能は、成形品21がモールドから最終的に取り外されたときに、最終使用者が細長い部材12の端部を把持することを容易にすることである。
【0037】
図8は、(固化の前又は後のいずれかの)成形品を封止する段階を示す。したがって、上述の同様の要素に番号が付けられる。材料のシートの形態のカバー15は、その内容物及び細長い部材12(棒等)で充填されたモールド1の上面の上に配置される。この作業の間、封止作業が行われることを可能にするために、充填されたモールドは、モールドの形状に対応する形状の支持部材16によって支持されることが好ましい。封止部材17も設けられており、くぼみ2、くぼみ5、及び連結堰部3の周囲に対応する形状の隆起した隆起部18を有することができる。図8では、これらの要素は、わかりやすくするために、離れた構成で示される。封止部材は、カバー及びモールドが封止部材17と支持部材16との間にしっかりと挟まれた状態で、カバー15に接触させる。その後、カバー15がモールドの上面に封止される。これは、くぼみの周囲に配置された接着剤の使用、又は超音波溶接等の多数の手段によって行うことができる。しかし、最も好ましい方法は、隆起部18の線に沿った熱の適用を用いる、プラスチック溶接による方法である。カバー15は、プラスチックフィルム、例えば、ポリエステル、特に登録商標BIAXER(ウィパック、ポーランド)で販売されているもののような二軸配向ポリエステルで作られることが特に好ましい。このようなフィルムは、例えば、アルミニウムで金属化されていることがさらに好ましい。
【0038】
図9は、図7に示された形態の細長い部材12がモールドの所定の位置にある、モールド1の平面図を示す。細長い部材12には、くぼみ19、好ましくはその厚さ方向に延びる貫通孔19が設けられていることが好ましいことがわかる。これは、固化後に細長い部材と液体との間の追加の把持を提供する。
【0039】
図10は、例えば、成形されたろうそくを作るのに使用することができる代替の実施形態を示す。図10はモールド1の平面図を示しており、この実施形態では、細長い部材12は芯20を含む。芯20の柔軟性により、芯20が堰部3上でひだが寄り、くぼみ1から必要であれば、第2のくぼみ5に延びることが可能になる。
【0040】
図11は、剛性の棒の形態の異なる構成の細長い部材12を使用する本発明のさらなる実施形態を示す。したがって、上述の同様の要素に番号が付けられる。棒12は、図12において立面図で単独で示される。
【0041】
図11及び12を参照すると、この実施形態では、棒12は、モールド1のくぼみ2内に位置するように予定された概ね平坦な部分12Aと、くぼみ2の外側に位置するように予定された第2の部分12Bとを有することがわかる。これらの2つの部分は、単一の傾斜部分12Eによって接続され、棒12がモールドの堰部分3を横切ることを可能にするが、モールド1の上面4の上に横たわる部分12Bを残す。また、棒12は、一部品構造として形成することができる。
【0042】
棒12のこの構成は、図13及び図14に示すように、図7に示された図よりも特に有利である。これらの図は、一般的に21で示される本発明の成形品を側面図で示す。固化した材料22はモールド1から取り外されて、所望の形状を獲得した。図13は、図7に示した形態の棒12の使用を示しており、一方、図14は、図12に示した棒12の使用を示す。その品目を保持するために消費者がすぐに使用でき、23で示される棒の部分(本質的に棒12の部分12B)は、それ以外の点では等しい長さの製品の場合、図14の棒ではより大きい。
【0043】
図15は、本発明の特に好ましい方法の操作をフローチャートによって示す。この方法により、コンピュータ24に位置するクライアントがデータ通信ネットワークを介して成形品25の供給業者の制御下のコンピュータにデータを送信することが可能になる。クライアントコンピュータは、従来のデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ若しくはタブレット型コンピュータ、又はスマートフォン等のモバイル機器であることができ、好ましくは供給業者のコンピュータからの遠隔操作による。ネットワーク上送信されたデータは、クライアントによって所望された成形された物体の形状を表現するものである。これは、3−Dモデルを形成するために製造業者によって解釈される写真又は他の2次元グラフィックの形態、又は3−Dモデル自体のデジタル表現であり得る。データ通信ネットワークは、典型的にはインターネットである。
【0044】
供給業者はデータを受信し、次いでこのデータはこの方法で使用されるモールドフォーマーを作るのに備える。3−Dモデル最適化26の段階を方法に含めることができ、最適化は任意に以下の多数の工程を含む。
i) 3−Dモデルへの物体の2−D表現の変換。これは、画像処理ソフトウェアを用いて自動的に実施することができ、又は人間のオペレーターからの入力を含む又は該入力からなることができる。
ii) 成形された物体を固化後にモールドから容易に取り外すことができることを保証するために、そのように製造されるか、又は供給業者によって受信される3−Dモデルにおけるアンダーカットの除去。
iii) 望ましくない又は不要な背景情報又はそれがあると最終的に成形された物体21の縁部で望ましくない材料につながる可能性のある画像コンテンツの除去。
iv) モールドフォーマー6が成形装置6内に収容され得るモールド1を製造する、及び/又は所望のモールド容積を製造するように、3−D全体のアスペクト比を維持するか、又は1次元又は2次元を選択的に拡大縮小するかのいずれかによる3−Dモデルの拡大縮小。
【0045】
3−Dモデルの最適化に続いて、3−D印刷27を使用してモールドフォーマー6が作成される。多くの3−D印刷技術が、熟練した受信者に利用可能であり、プラスター(例えば、米国3Dシステムズ社の登録商標「ProJet(R) 660 Pro」の下で販売されている3−Dプリンターを用いる)、熱可塑性樹脂、光重合ポリマー、又は熱焼結材料をはじめとする幅広い材料で印刷する。特に好ましい実施形態では、登録商標Alumide(R)の下で販売され、ポリアミド及び粉末アルミニウムの粉末組成物を含む材料のような材料の熱焼結(好ましくはレーザーによる)を使用して成形されたモールドが製造される。本発明者らは、このような方法及び材料により、モールド1を真空成形するのに必要な温度に耐えるのに特に有効なモールドフォーマー6が製造されることを見出した。
【0046】
3−D印刷方法はまた、支持部材16及び封止部材17を製造するために使用されてもよい。
【0047】
モールドフォーマーの製造27に続いて、モールド1及び成形品21を製造するためにフォーマー28を使用することができる。その後、モールド1に依然として収容されている封止された成形品21はクライアント29に発送される。
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