【文献】
川尻 崇文 TAKAFUMI KAWAJIRI,Technology Reports,NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナル Vol.19 No.4,社団法人電気通信協会,2012年,第19巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分割部は、第1基地局と第2基地局との間で発生した前記ハンドオーバー試行回数の合計が、前記第1基地局と前記第2基地局以外のそれぞれの基地局との間で発生した前記ハンドオーバー試行回数の合計よりも大きい場合、前記第1基地局および前記第2基地局を1つのクラスタに含める、請求項1に記載の設定装置。
前記分割部は、一の基地局と他の基地局との間でそれぞれ発生した前記ハンドオーバー試行回数の合計に基づいて前記携帯端末のユーザの動線の有無を判断し、当該動線の有無に基づき、前記複数の基地局を前記複数のクラスタに分割する、請求項1または2に記載の設定装置。
前記情報設定制御部は、前記クラスタのそれぞれで発生した前記ハンドオーバー試行回数の合計に基づく順序で、前記クラスタ毎に前記選択セルの前記識別情報を設定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の設定装置。
前記情報設定制御部は、前記複数のクラスタのうち、一のクラスタ内の前記選択セルの前記識別情報を設定した場合、当該一のクラスタ内の前記選択セルには設定後の前記識別情報を用いて、次のクラスタ内の前記選択セルの前記識別情報を設定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の設定装置。
前記情報設定制御部は、前記HOR情報と、前記選択セルの前記識別情報および前記隣接セルの前記識別情報の組み合わせとに基づき、前記選択セルの前記識別情報を更新する更新部を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の設定装置。
更新された前記識別情報に基づき、前記選択セルのそれぞれに割り当てられる前記PCIの値を設定するPCI設定部を更に備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の設定装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<携帯端末システムSの構成例>
図1は、本実施形態に係る携帯端末システムSの構成例を示す。携帯端末システムSは、基地局10と、携帯端末20と、設定装置100とを備える。基地局10は、アンテナが設けられており、携帯端末20に電波を送信する。基地局10は、屋外または屋内に複数設けられており、複数の基地局10から携帯端末20に電波が届く範囲が通信可能なエリアである。携帯端末20は、例えば、携帯電話、スマートフォン、ゲーム機器、タブレット型PC、小型PC、およびノート型PC等といった通信可能なデバイスである。
【0023】
それぞれの基地局10は、送信電力レベルおよび建物等の配置等により、通信可能な範囲が定められる。また、基地局10の通信可能な範囲は、複数のセル12に分割されている。即ち、複数のセル12は、通信可能なエリアに敷きつめられている。また、隣接するセル12は、一部が重なるように配置されていてもよい。1つの基地局10に含まれるセル12の数nは、予め定められていることが望ましい。本実施形態において、それぞれの基地局10は、3個のセル12を有する例を説明する(n=3)。
【0024】
このような複数のセル12のそれぞれには、予め物理セル識別子(PCI:Physical Cell ID)が割り当てられている。例えば、LTE等においては、番号0から番号503の504個のPCIのうちの1つが、複数のセル12のそれぞれに割り当てられている。それぞれの基地局10は、例えば、連続する番号のPCIが割り当てられたn個のセル12を有する。
図1は、基地局10aが、番号102、番号103、および番号104がそれぞれ割り当てられているセル12a、セル12b、およびセル12cを有する例を示す。
【0025】
基地局10は、このようなPCIが割り当てられたセル12のそれぞれに、基準信号を送信する。基地局10は、予め定められた期間毎に、基準信号の送信先のセル12を切り換える。基地局10は、例えば、PCIの値mをセル12の数nで除算した余りの数MOD(m,n)の値が小さい順に、基準信号の送信先を切り換える。
【0026】
図1の例の場合、セル12aのMOD(m,n)は、PCIが番号102なので、MOD(102,3)=0となる。また、セル12bはMOD(103,3)=1となり、セル12cはMOD(104,3)=2となる。したがって、基地局10は、基準信号をセル12a、セル12b、セル12cの順に、基準信号を送信する。また、基地局10は、このような3つのセル12への基準信号の送信を一定の周期で繰り返す。
【0027】
以上のように、基地局10は、セル12毎に時間帯を変更して基準信号を送信するので、携帯端末20は、基準信号を受信することによって当該基地局10のセル12を識別することができる。例えば、携帯端末20を所持するユーザが基地局10aのセル12b内にいる場合、当該携帯端末20は、MOD(103,3)=1に対応する期間に基準信号を受信する。
【0028】
そして、ユーザが基地局10bのセル12dの方向に移動すると、MOD(72,3)=0に対応する期間にも基準信号を受信することになり、異なるセル12へ移動していることが識別できる。これによって、携帯端末20は、ユーザの移動に伴って、通信していた基地局10aから移動先の基地局10bへと接続を切り換えることができる。このように、ユーザが移動している間に携帯端末20が接続先の基地局10を切り換える動作を、ハンドオーバーと呼ぶ。なお、基地局10は、基準信号の送信期間の他に、基準信号の周波数を変更する場合もあるが、本実施形態においては、基準信号の周波数が一定であるとする。
【0029】
このように、セル12のそれぞれに割り当てられるPCIの値をmとし、基地局10のそれぞれが有するセル12の数をnとした場合に、MOD(m,n)として算出される値は、セル12を識別するための識別情報として用いられている。したがって、隣接するセル12の識別情報は、互いに異なる値となるように予め設定されていることが望ましい。特に、ユーザが移動する動線上に配置されている複数のセル12は、識別情報が互いに異なる値に設定されていることが望ましい。
【0030】
例えば、同一の周波数の基準信号を用い、隣接するセル12の識別情報が同一の場合、携帯端末20がハンドオーバーに失敗し、呼切断等の原因となってしまうことがある。また、同一の時間帯に異なる基地局10から基準信号を受信することになると、複数の基準信号が干渉することになるので、信号対干渉雑音比(SINR)が劣化してしまう。なお、1つの基地局10が3つのセル12を有する場合に、このような隣接するセル12同士の識別情報の一致をMOD3重複と呼ぶ。
【0031】
従来、このような識別情報は、無線信号の電力レベル、セル12のレイアウト、基地局間の距離等に基づいて設定されていた。また、識別情報は、セル12とセル12の隣接セルとの重なりの大きさ等に基づいて設定されることもあった。しかしながら、実際に異なる2つのセルの間をユーザが移動してハンドオーバーが発生する場所は、ユーザの数、およびユーザが移動する動線の配置等に依存するので、セル12の配置とは無関係に分布する。また、ユーザの移動は、通勤および通学時間帯等のように、時間帯等によっても大きく変化することがある。
【0032】
したがって、従来のように識別情報を設定しても、MOD3重複となっている2つのセル12と、多くのユーザが移動する動線とが一致してしまい、多くのユーザが携帯端末20のハンドオーバーの失敗等のような通信品質の劣化の影響を受けることがあった。そこで、本実施形態に係る設定装置100は、実際のユーザの移動に伴って発生するハンドオーバー試行回数を考慮して、識別情報を適切に設定する。このような設定装置100について、次に説明する。
【0033】
<設定装置100の構成例>
図2は、本実施形態に係る設定装置100の第1構成例を示す。設定装置100は、携帯端末20が接続先の基地局10のセルを識別するための識別情報を設定する。また、設定装置100は、識別情報に基づき、PCIの値を更に設定してもよい。設定装置100は、一例として、サーバ等のコンピュータである。設定装置100は、受付部110と、取得部120と、記憶部130と、更新部140と、PCI設定部150とを備える。
【0034】
受付部110は、識別情報を設定すべきセル12を有する基地局10の選択結果を受け付ける。識別情報を設定すべきセル12は、例えば、隣接するセル12と識別情報が一致しているセル12である。一例として、隣接するセルAおよびセルBの識別情報が一致している場合、セルAを有する基地局Aおよび/またはセルBを有する基地局Bが、MOD3重複を改善したい基地局10として選択される。
【0035】
基地局10の選択は、当該設定装置のオペレータ等が識別情報を確認して実行してもよく、これに代えて、CPU等が設定済みの識別情報からMOD3重複を自動で検出して実行してもよい。受付部110は、このように選択された基地局10の情報を受け付ける。当該設定装置100は、選択された基地局10に含まれているセル12の識別情報を設定する。ここで、選択された基地局10に含まれている全てのセル12を選択セルとする。
【0036】
取得部120は、選択された基地局10が有する選択セルのそれぞれと、選択セルのそれぞれと隣接する隣接セルとの間で発生したハンドオーバー試行回数を示すハンドオーバーリレーション(HOR)情報を取得する。取得部120は、例えば、選択された全ての基地局10における、同一周波数の基準信号に対するHOR情報を取得する。
【0037】
HOR情報は、携帯端末20がハンドオーバーする際に、基地局10および携帯端末20の間で通信された特定のメッセージの数の情報を含む。例えば、一のセル12内の携帯端末20が当該一のセル12に隣接する隣接セルに近づき、隣接セルの基準信号を受信すると、当該携帯端末20は、当該隣接セルを有する基地局10に受信信号の品質情報を示す「Measurement Report」メッセージを送信する。
【0038】
隣接セルを有する基地局10は、品質情報に応じて、ハンドオーバーを指示する「RRC Connection Reconfiguration」メッセージを当該携帯端末20に送信する。ここで、基地局10は、「RRC Connection Reconfiguration」メッセージを送信した回数をアテンプト情報の回数として記憶する。そして、当該携帯端末20は、ハンドオーバー指示に応じて、隣接する基地局10へとハンドオーバーし、ハンドオーバーが成功すると「RRC Connection Reconfiguration Complete」メッセージをハンドオーバーした当該基地局10に送信する。ここで、基地局10は、「RRC Connection Reconfiguration Complete」メッセージを受信した回数をサクセス情報の回数として記憶する。
【0039】
HOR情報は、このようなアテンプト情報の回数およびサクセス情報の回数等を含む。なお、携帯端末20は、基地局10から受信する基準信号の品質に基づいてハンドオーバーするので、アテンプト情報の回数およびサクセス情報の回数はほとんど一致する。したがって、取得部120が取得するハンドオーバー試行回数は、HOR情報に含まれる、携帯端末20から基地局10へと送信されるサクセス情報の回数および基地局10から携帯端末20へと送信されるアテンプト情報の回数のいずれか一方でよい。
【0040】
取得部120は、基地局10からこのようなHOR情報を取得する。取得部120は、例えば、ネットワークを介して、基地局10または基地局10を備えるシステム等にアクセスする。また、取得部120は、外部のデータベース30等からHOR情報を取得してもよい。取得部120は、例えば、予め定められた期間に発生するHOR情報を取得する。また、取得部120は、選択セルと選択セルに隣接する隣接セルとにそれぞれ設定されている識別情報を更に取得してもよい。
【0041】
記憶部130は、取得部120が取得したHOR情報を記憶する。記憶部130は、受付部110が受け付けた基地局10および選択セルの情報を記憶してもよい。また、記憶部130は、選択セルおよび隣接セルにそれぞれ設定されている識別情報を記憶してもよい。記憶部130は、設定装置100が動作の過程で生成する(または利用する)中間データ、算出結果、閾値、およびパラメータ等をそれぞれ記憶してもよい。また、記憶部130は、設定装置100内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してもよい。
【0042】
記憶部130は、サーバ等が設定装置100として機能するOS(Operating System)、およびプログラムの情報を格納してもよい。また、記憶部130は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。例えば、サーバ等のコンピュータは、記憶部130に記憶されたプログラムを実行することによって、受付部110、取得部120、記憶部130、更新部140、およびPCI設定部150の少なくとも一部として機能する。
【0043】
記憶部130は、例えば、コンピュータ等のBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)、および作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含む。また、記憶部130は、HDD(Hard Disk Drive)および/またはSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置を含んでもよい。また、コンピュータは、GPU(Graphics Processing Unit)等を更に備えてもよい。
【0044】
更新部140は、HOR情報と、選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の組み合わせとに基づき、選択セルの識別情報を更新する。更新部140は、割当部142と、算出部144と、決定部146とを有する。
【0045】
割当部142は、選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の設定可能な全ての組合せに、対応するハンドオーバー試行回数を割り当てる。例えば、1つの基地局10が有する3つの選択セルに、識別情報として0、1、および2のうちのいずれかをそれぞれ設定する場合、選択セルに設定可能な識別情報の組は、3!=6通りある。割当部142は、この選択セルの6通りの識別情報の組と、隣接セルの識別情報との組み合わせ毎に、対応するハンドオーバー試行回数を割り当てる。
【0046】
算出部144は、割当部142がそれぞれ割り当てたハンドオーバー試行回数に基づき、選択セルおよび隣接セルの組み合わせのうち、識別情報が重複した組み合わせでハンドオーバー試行回数が発生する割合を重複率として算出する。算出部144は、選択セルに設定可能な識別情報の組ごとに、重複率を算出する。
【0047】
決定部146は、重複率に基づき、更新すべき選択セルの識別情報を決定する。決定部146は、例えば、最も重複率が少なくなる識別情報の組を、更新すべき選択セルの識別情報として決定する。また、決定部146は、選択された基地局10が複数ある場合でも、全ての選択セルの識別情報の組のうち、最も重複率が少なくなる識別情報の組を、更新すべき選択セルの識別情報として決定してよい。
【0048】
PCI設定部150は、更新された識別情報に基づき、選択セルのそれぞれに割り当てられるPCIの値を設定する。PCI設定部150は、例えば、識別情報に基づき、番号0から番号503の値を選択セルに設定する。PCI設定部150は、例えば、ネットワークを介して、基地局10または基地局10を備えるシステム等にアクセスして、PCIの値を設定する。また、PCI設定部150は、外部のデータベース30等にPCIの値を記憶してもよい。この場合、基地局10または基地局10を備えるシステム等は、外部のデータベース30等からPCIの値を読み出して、選択セルのPCIを更新する。
【0049】
以上の本実施形態に係る設定装置100は、実際に発生したハンドオーバー試行回数に基づいて選択セルの識別情報を設定するので、ユーザの数、動線等を当該識別情報に反映させることができる。その結果、設定装置100が選択セルの識別情報を適切に設定することにより、携帯端末システムSは、通信品質の劣化の影響を受けるユーザの数を減らすことができる。このような設定装置100の動作について、次に説明する。
【0050】
<設定装置100の動作フロー>
図3は、本実施形態に係る設定装置100の動作フローの一例を示す。設定装置100は、
図3のS310からS360の動作を実行することにより、選択セルの識別情報を設定する。
【0051】
まず、受付部110は、識別情報を設定すべきセル12を有する基地局10の選択結果を受け付ける(S310)。受付部110は、1または複数の基地局10の選択結果を受け付ける。本実施形態において、受付部110が1つの基地局10の選択結果を受け付けた例を説明する。
【0052】
図4は、本実施形態に係る受付部110が受け付けた基地局10の情報の一例を示す。基地局10は、第1選択セル41、第2選択セル42、および第3選択セル43の3つの選択セルを有する。選択セルのPCIは、第1選択セル41が102、第2選択セル42が103、第3選択セル43が104とする。この場合、第1選択セル41の識別情報は0、第2選択セル42の識別情報は1、第3選択セル43の識別情報は2である。なお、このような選択セルの組み合わせを、識別情報(0,1,2)と示す。
【0053】
第1選択セル41の隣接セルは、第1隣接セル51、第2隣接セル52、および第3隣接セル53である。隣接セルの識別情報は、第1隣接セル51が0、第2隣接セル52が1、第3隣接セル53が2とする。また、第2選択セル42の隣接セルは、第4隣接セル54、第5隣接セル55、および第6隣接セル56である。隣接セルの識別情報は、第4隣接セル54が0、第5隣接セル55が1、第6隣接セル56が1とする。また、第3選択セル43の隣接セルは、第7隣接セル57および第8隣接セル58である。隣接セルの識別情報は、第7隣接セル57が0、第8隣接セル58が2とする。
【0054】
この場合、第1選択セル41と第1隣接セル51、第2選択セル42と第5隣接セル55と第6隣接セル56、および、第3選択セル43と第8隣接セル58が、MOD3重複となっている。
図4は、このようなMOD3重複を改善すべく、第1選択セル41、第2選択セル42、および/または第3選択セル43の識別情報を設定すべきセルとした場合に、受付部110が受け付けた基地局10の例である。
【0055】
次に、取得部120は、選択された基地局10が有する選択セルのそれぞれと、選択セルのそれぞれと隣接する隣接セルとの間のHOR情報を取得する(S320)。取得部120は、例えば、予め定められた期間に発生したHOR情報を取得する。次に、割当部142は、選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の設定可能な全ての組合せに、対応するハンドオーバー試行回数を割り当てる(S330)。
【0056】
図5は、本実施形態に係る割当部142が選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の1つの組合せに、ハンドオーバー試行回数を割り当てた第1の例を示す。
図5は、3つの選択セルの識別情報を、既に設定されている識別情報(0,1,2)とした例である。
図5の第1列目には選択セルを示し、第2列目には選択セルに設定されている識別情報を示す。また、第3列目には隣接セルを示し、第4列目には隣接セルに設定されている識別情報を示す。
【0057】
そして、第5列目には、選択セルおよび隣接セルの間で発生したハンドオーバー試行回数を示す。例えば、第1選択セル41および第1隣接セル51の間で発生したハンドオーバー試行回数は300であり、第2選択セル42および第4隣接セル54の間で発生したハンドオーバー試行回数は80である。また、第6列目には、選択セルの識別情報と隣接セルの識別情報とが一致する、MOD3重複となっている組み合わせに割り当てられたハンドオーバー試行回数を示す。
【0058】
なお、識別情報を設定すべきセル12は3つの選択セルなので、選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の設定可能な全ての組合せは、3!=6通りであり、
図5に示す組み合わせの他に5つの組み合わせがある。即ち、割当部142は、
図5に示すような選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の1つの組み合わせの他に、5つの組み合わせに対しても、ハンドオーバー試行回数をそれぞれ割り当てる。
【0059】
次に、算出部144は、重複率を算出する(S340)。算出部144は、識別情報の設定可能な全ての組合せのうち、選択セルの識別情報と隣接セルの識別情報とが一致する組み合わせに割り当てられたハンドオーバー試行回数の合計と、全てのハンドオーバー試行回数との比を重複率として算出する。
図5の例の場合、全てのハンドオーバー試行回数の合計は1000であり、MOD3重複となっている組み合わせに割り当てられたハンドオーバー試行回数の合計は500である。したがって、算出部144は、3つの選択セルの識別情報(0,1,2)と隣接セルの識別情報との組み合わせに対する重複率を、50%と算出する。算出部144は、他の組み合わせについても、重複率を算出する。
【0060】
図6は、本実施形態に係る割当部142が選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の1つの組合せに、ハンドオーバー試行回数を割り当てた第2の例を示す。
図6は、
図5の組み合わせとは異なる、3つの選択セルの識別情報(0,2,1)と隣接セルの識別情報との組み合わせの例を示す。
【0061】
図6に示す選択セルの識別情報は、
図5に示す選択セルの識別情報とは異なるので、MOD3重複となっている組み合わせが異なる。例えば、第2選択セル42の識別情報である2と重複する識別情報を有する隣接セルは無くなり、第3選択セル43の識別情報である1と重複する識別情報を有する隣接セルも無くなる。これにより、算出部144は、3つの選択セルの識別情報(0,2,1)と隣接セルの識別情報との組み合わせに対する重複率を、30%と算出する。このように、算出部144は、他の組み合わせの全てについて、重複率を算出する。
【0062】
図7は、本実施形態に係る算出部144が選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の設定可能な全ての組合せに対して、重複率を算出した結果の一例を示す。
図7は、選択セルの6つの識別情報(0,1,2)、(0,2,1)、(1,0,2)、(1,2,0)、(2,0,1)、および(2,1,0)に対して、算出部144が重複率をそれぞれ算出した結果である。
【0063】
次に、決定部146は、重複率に基づき、更新すべき選択セルの識別情報を決定する(S350)。決定部146は、例えば、選択セルの識別情報を、最も重複率が小さい選択セルの識別情報の組み合わせに更新することを決定する。
図7の例の場合、決定部146は、選択セルの識別情報を、重複率が17%となる識別情報(2,0,1)に更新することを決定する。
【0064】
次に、PCI設定部150は、更新された識別情報に基づき、選択セルのそれぞれに割り当てられるPCIの値を設定する(S360)。PCI設定部150は、例えば、第1選択セル41のPCIを104、第2選択セル42のPCIを102、第3選択セル43のPCIを103にそれぞれ設定する。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る設定装置100は、実際に発生したハンドオーバー試行回数に基づいて、設定すべきセル12の識別情報を決定する。したがって、設定装置100は、携帯端末20を保持するユーザの数およびユーザの動線の分布等が高い2つのセル12の間の識別情報の重複を改善して、ハンドオーバーの失敗が発生することを低減できる。これにより、設定装置100は、識別情報の重複による通信への影響を考慮して、基地局10のセル12を識別する識別情報を適切に設定できる。
【0066】
以上の本実施形態に係る設定装置100は、1つの基地局10に含まれている3つのセル12を選択セルとして、当該選択セルの識別情報を更新する例を説明したが、これに限定されることはない。設定装置100は、例えば、2以上のk個の基地局10の選択結果を受け付け、選択されたk個の基地局10に含まれる3k個のセル12を選択セルとして、当該選択セルの識別情報を更新してもよい。
【0067】
この場合、取得部120は、3k個の選択セルのそれぞれと、3k個の選択セルのそれぞれと隣接する隣接セルとの間のHOR情報を取得する。そして、割当部142は、3k個の選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の設定可能な全ての組合せに、対応するハンドオーバー試行回数を割り当てる。
【0068】
なお、全ての選択セルの識別情報は、1つの基地局10に含まれる1つの選択セル毎に、他の基地局10に含まれる選択セルの全ての組の数だけ設定可能となる。即ち、3k個の選択セルの識別情報は、(3!)
k通りの数だけ設定可能となる。したがって、割当部142は、(3!)
k通りの組の選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の組み合わせに、対応するハンドオーバー試行回数を割り当てる。これにより、算出部144は、それぞれの組み合わせに対して重複率を算出し、決定部146は、当該重複率に基づき、更新すべき選択セルの識別情報を決定する。以上により、設定装置100は、複数の基地局10が有する選択セルの識別情報を決定できる。
【0069】
なお、携帯端末20を保持するユーザの数およびユーザの動線の分布等は、時間帯によって変動することがある。そこで、設定装置100は、時間帯毎に発生するハンドオーバー試行回数に基づいて、識別情報を設定してもよい。このような設定装置100について次に説明する。
【0070】
<設定装置100の第2構成例>
図8は、本実施形態に係る設定装置100の第2構成例を示す。第2構成例の設定装置100において、
図2に示された本実施形態に係る設定装置100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第2構成例の設定装置100は、重み付け部210と、切換部220とを更に備える。
【0071】
重み付け部210は、時間帯毎のハンドオーバー試行回数の合計をそれぞれ算出し、合計が最大となった時間帯のハンドオーバー試行回数に重みを付ける。重み付け部210は、例えば、ハンドオーバー試行回数の合計が最大となった時間帯のハンドオーバー試行回数に、1以上の重みを乗じる。また、重み付け部210は、ハンドオーバー試行回数の合計が大きい順に、異なる大きさの重みをそれぞれ乗じてもよい。
【0072】
なお、重み付け部210は、例えば、HOR情報にハンドオーバー試行が発生した時刻の情報が含まれている場合、当該時刻の情報に基づいて、時間帯毎のハンドオーバー試行回数の合計を算出する。これに代えて、取得部120は、予め定められた時間帯毎のHOR情報を取得してもよい。取得部120は、例えば、一定時間毎にHOR情報を取得し、取得時間に対応付けて記憶部130にHOR情報を記憶する。これにより、重み付け部210は、取得部120の取得時間毎に、ハンドオーバー試行回数の合計を算出することができる。
【0073】
そして、割当部142は、選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の設定可能な全ての組合せに、対応する重みが付けられたハンドオーバー試行回数を割り当てる。これにより、算出部144は、重み付けられたハンドオーバー試行回数に基づく重複率を算出できる。したがって、決定部146は、最もユーザの数およびユーザの動線が通信に影響する時間帯を考慮した選択セルの識別情報を、更新すべき識別情報として決定することができる。
【0074】
なお、重み付け部210による重みは、ハンドオーバー試行回数の合計に基づく重みに限定されることはない。重み付け部210は、トラフィック情報等に基づいて重みを付けてもよい。トラフィック情報は、例えば、下り回線のSINR、スループット等の値である。この場合、取得部120は、例えば、
基地局10から通信のトラフィック情報を取得してもよい。また、重み付け部210は、一の選択セルと一の隣接セルとの組み合わせ毎に、異なる重みを付けてもよい。
【0075】
これに代えて、第2構成例の設定装置100は、複数の時間帯に対応する複数の識別情報を予め決定し、決定した複数の識別情報を時間の経過に応じて切り換えてもよい。この場合、更新部140は、複数の時間帯毎に、選択セルの識別情報を予め決定する。更新部140は、例えば、取得部120が取得した一の時間帯のHOR情報を用いて、当該一の時間帯に対応する選択セルの識別情報を決定する。そして、更新部140は、取得部120が取得した他の時間帯のHOR情報を用いて、当該他の時間帯に対応する選択セルの識別情報を決定する。記憶部130は、このように予め定められた時間帯毎に決定された選択セルの識別情報を記憶する。
【0076】
切換部220は、予め定められた時間毎に、対応する選択セルの識別情報を記憶部130から読み出して、更新すべき識別情報として切り換える。切換部220は、例えば、取得部120が取得したHOR情報が生成された時間帯に対応する時間に、対応する識別情報をPCI設定部150に供給する。このように、時間の経過に伴って識別情報を切り換えることにより、設定装置100は、時間帯によって変動するユーザの数およびユーザの動線の分布等に細やかに対応することができ、識別情報をより適切に設定できる。
【0077】
以上の第2構成例に係る設定装置100は、切換部220が時間の経過に伴って識別情報を切り換える例を説明したが、これに限定されることはない。設定装置100は、同一の時間帯であっても、複数の識別情報を予め決定しておき、トラフィック情報等に基づいて識別情報を切り換えてもよい。例えば、設定装置100は、取得部120が取得したHOR情報に対して複数の重み付けをして複数の識別情報を決定する。重み付け部210が複数の重みの値を用いることで、更新部140は、重みの値に応じた複数の識別情報を決定する。記憶部130は、このように決定された複数の識別情報を記憶する。
【0078】
そして、切換部220は、選択セルの識別情報を更新した後に取得部120が取得した情報に基づき、更新すべき識別情報を選択して更に切り換える。例えば、更新部140が選択セルの識別情報を更新した後に、取得部120が
基地局10からトラフィック情報を取得し、トラフィックの状態が閾値以上に向上していない場合、切換部220は、重み付けを異ならせて決定した識別情報に切り換える。これにより、設定装置100は、トラフィックの状態の変化に対応させて、識別情報をより適切に設定できる。
【0079】
以上の本実施形態において、設定装置100は、識別情報を設定すべきセル12を有する基地局10の選択結果を受け付けて、当該基地局10の選択セルの識別情報を更新する例を説明した。ここで、識別情報を設定すべきセル12を有する基地局10を対象基地局とする。そして、1つの対象基地局に含まれる選択セルの数をnとすると、k個の対象基地局に含まれるn・k個の選択セルの識別情報は、(n!)
k通りの数だけ設定可能となる。したがって、対象基地局の数kが増加すると、設定装置100の処理に必要な計算量は指数関数的に増加することになる。
【0080】
そこで、本実施形態に係る設定装置100は、複数の対象基地局の選択セルの識別情報を設定する場合に、対象基地局を含む複数の基地局10のクラスタに分割し、クラスタ毎に識別情報を設定することで、計算量を低減させてもよい。このような設定装置100について、次に説明する。
【0081】
<設定装置100の第3構成例>
図9は、本実施形態に係る設定装置100の第3構成例を示す。第3構成例の設定装置100において、
図1に示された本実施形態に係る設定装置100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第3構成例の設定装置100は、分割部310と、情報設定制御部320とを更に備える。
【0082】
第3構成例の設定装置100において、取得部120は、複数の基地局10の配置情報を更に取得する。取得部120は、対象基地局を囲む基地局10の配置情報を取得することが望ましい。
【0083】
分割部310は、配置情報と選択された複数の対象基地局の配置に基づき、複数の基地局を複数のクラスタに分割する。分割部310は、例えば、1つのクラスタが予め定められた数以下の対象基地局を含むように、複数の基地局10を分割する。また、分割部310は、予め定められた数以下のクラスタに複数の基地局10を分割してもよい。
【0084】
情報設定制御部320は、分割したクラスタ毎に、複数の対象基地局が有する選択セルの識別情報を設定する。情報設定制御部320は、予め定められた順序で、クラスタ毎に選択セルの識別情報を設定する。情報設定制御部320は、更新部140を有する。以上の第3構成例の設定装置100の動作について次に説明する。
【0085】
図10は、第3構成例の設定装置100の動作フローの一例を示す。設定装置100は、
図10のS410からS470の動作を実行することにより、複数の対象基地局が有する選択セルの識別情報を設定する。
【0086】
まず、受付部110は、複数の基地局10のうち、識別情報を設定すべきセル12を有する複数の対象基地局の選択結果を受け付ける(S410)。受付部110は、2以上の基地局10の選択結果を受け付ける。なお、選択された基地局10を対象基地局とする。対象基地局の情報は、
図4に示すように、当該対象基地局が有する選択セルのPCI、識別情報、選択セルに隣接する隣接セルの識別情報等である。
【0087】
次に、取得部120は、複数の対象基地局を含む基地局10の配置情報を取得する(S420)。取得部120は、例えば、対象基地局のそれぞれに隣接する全ての基地局10の配置情報を取得する。また、取得部120は、全ての基地局10の配置情報を取得してもよい。
【0088】
次に、取得部120は、取得した配置情報に含まれている基地局10内で発生したHOR情報を取得する(S430)。取得部は、配置情報に含まれている複数の基地局10が有するセル12のそれぞれと、当該セル12のそれぞれと隣接する隣接セルとの間で発生したハンドオーバー試行回数を示すHOR情報を取得する。取得部120は、例えば、予め定められた期間に発生したHOR情報を取得する。
【0089】
次に、分割部310は、配置情報と複数の対象基地局の配置に基づき、複数の基地局10を複数のクラスタに分割する(S440)。分割部310は、例えば、1つのクラスタに予め定められた数の対象基地局が含まれるように、複数の基地局10を分割する。また、分割部310は、更に、複数の基地局10のうち、一の基地局10と他の基地局10との間のHOR情報に基づき、複数の基地局10を複数のクラスタに分割する。
【0090】
図11は、本実施形態に係る分割部310が、複数の基地局10を複数のクラスタに分割した例を示す。
図11は、分割部310が、42個の基地局10を第1クラスタ61、第2クラスタ62、および第3クラスタ63の3つのクラスタに分割した例を示す。なお、基地局10が基準信号を送信する領域を模式的に六角形で示し、基地局10の符号を付している。また、第1クラスタ61には1個、第2クラスタ62には3個、第3クラスタ63には4個、合計8個の対象基地局70がそれぞれ含まれている例を示す。対象基地局70が基準信号を送信する領域を模式的に斜線で示し、対象基地局70の符号を付している。
【0091】
上述のとおり、例えば、1つの対象基地局に含まれる選択セルの数を3とすると、8個の対象基地局70に含まれる24個の選択セルの識別情報は、6
8通り(=1,679,616)の数だけ設定可能となる。しかしながら、分割部310が3つのクラスタに分割して、クラスタ毎に識別情報を設定する場合、選択セルの識別情報の設定可能な数は、6
1通り(=6)、6
3通り(=216)、および6
4通り(=1,296)の総和で1,518通りになる。即ち、
図11に示すような例においても、設定装置100の処理を1/1000以下にできることがわかる。
【0092】
なお、識別情報の設定をクラスタ毎に実行するので、1つのクラスタの識別情報の設定が他のクラスタの識別情報の設定に与える影響を低減させていることが望ましい。この場合、分割部310は、ユーザの動線等を分断しないようにクラスタの境界を設けることが望ましい。そこで、分割部310は、HOR情報に基づいて、複数の基地局10を複数のクラスタに分割する。
【0093】
分割部310は、例えば、第1基地局と第2基地局との間で発生したハンドオーバー試行回数の合計が、第1基地局と第2基地局以外のそれぞれの基地局との間で発生したハンドオーバー試行回数の合計よりも大きい場合、第1基地局および前記第2基地局を1つのクラスタに含める。このように、分割部310がハンドオーバー試行回数の発生が大きい基地局10の組を1つのクラスタに含めることで、クラスタの境界がユーザの動線を分断することを防止できる。
【0094】
なお、ユーザの動線が複雑な経路となっている場合、および/または、ユーザの動線が長い場合等は、クラスタに分割することが困難になることがある。この場合、分割部310は、一の基地局10と他の基地局10との間でそれぞれ発生したハンドオーバー試行回数の合計に基づいて携帯端末20のユーザの動線の有無を判断し、当該動線の有無に基づき、複数の基地局10を複数のクラスタに分割してもよい。
【0095】
分割部310は、例えば、2つのセル12の間で閾値以上のハンドオーバー試行回数が発生している場合、当該2つのセル12の間にユーザの動線が有ると判断する。そして、分割部310は、このような動線を1つのクラスタが含むように、複数の基地局10を分割する。
【0096】
また、1つのクラスタに含めることが困難になるほどこのような動線が連続する場合、分割部310は、当該動線においてハンドオーバー試行回数の合計がより少ない基地局10の間にクラスタの境界を設けてもよい。また、分割部310は、ユーザの動線を判断した結果をオペレータ等に表示して、オペレータの入力に応じたクラスタの境界を設けてもよい。これにより、1つのクラスタによる識別情報の設定が、他のクラスタの識別情報の設定へ及ぼす影響をより少なくすることができ、クラスタ毎に識別情報を順次設定してもクラスタ全体の識別情報を最適化することができる。
【0097】
次に、情報設定制御部320は、分割したクラスタ毎に、複数の対象基地局70が有する選択セルの識別情報を設定する(S450、S460)。ここで、情報設定制御部320は、予め定められた順番で、それぞれのクラスタの識別情報を設定することが望ましい。例えば、情報設定制御部320は、クラスタに含まれている対象基地局70の数が少ない順で、識別情報を設定する。この場合、情報設定制御部320は、例えば、第1クラスタ61、第2クラスタ62、第3クラスタ63の順に、クラスタに含まれている選択セルの識別情報を設定する。このように、情報設定制御部320は、識別情報の設定の組み合わせが多く設定自由度が高いクラスタの順番を後にすることで、クラスタ全体の最適化を効率的に実行することができる。
【0098】
また、情報設定制御部320は、クラスタのそれぞれで発生したハンドオーバー試行回数の合計に基づく順序で、クラスタ毎に選択セルの識別情報を設定してもよい。この場合、情報設定制御部320は、例えば、ハンドオーバー試行回数の合計が多い順に、選択セルの識別情報を設定する。このように、情報設定制御部320は、ハンドオーバー試行回数が多く最適化することがより望ましいクラスタ等の順番を先にすることで、ユーザに与える影響が多いクラスタを制約が少ない条件下で最適化させることができる。
【0099】
なお、各クラスタにおける選択セルの識別情報の設定については、既に
図3で述べたように実行できる(S460)。例えば、割当部142は、選択セルの識別情報および隣接セルの識別情報の設定可能な全ての組合せに、対応するハンドオーバー試行回数を割り当てる。次に、算出部144は、重複率を算出する。次に、決定部146は、重複率に基づき、更新すべき選択セルの識別情報を決定する。
【0100】
ここで、情報設定制御部320は、複数のクラスタのうち、一のクラスタ内の選択セルの識別情報を設定した場合、当該一のクラスタ内の選択セルには設定後の識別情報を用いて、次のクラスタ内の選択セルの識別情報を設定する。このように、情報設定制御部320は、全てのクラスタの識別情報の設定が終了するまで、それぞれのクラスタの識別情報を順次更新する。
【0101】
次に、PCI設定部150は、更新された識別情報に基づき、選択セルのそれぞれに割り当てられるPCIの値を設定する(S470)。以上のように、第3構成例の設定装置100は、複数の基地局10をクラスタに分割し、クラスタ毎に、設定すべき選択セルの識別情報を決定する。これにより、設定装置100は、より高速に、セル12の識別情報を決定することができる。
【0102】
また、例えば、対象基地局70が100以上になると、6
100通り(≒6.5×10
77)の識別情報の組み合わせが発生し、現実的には計算処理が不可能となってしまう。このような場合でも、設定装置100は、例えば、1つのクラスタに5つの対象基地局70を含めるように、複数の基地局10を20個のクラスタに分割することで、20×6
5通り(≒1.6×10
5)の識別情報の組み合わせに低減させて、識別情報を適切に設定できる。
【0103】
以上の本実施形態において、設定装置100は、識別情報を設定すべきセル12を有する基地局10の選択結果を受け付けて、当該基地局10の選択セルの識別情報を更新する例を説明したが、これに限定されることはない。設定装置100は、例えば、障害等の発生により、複数のセル12の構成が変化した情報を受け付けてもよい。
【0104】
一例として、第1セルが携帯端末20と接続不可能な状態となると、第1セルに隣接する1または複数のセル12が、当該第1セルの代わりに携帯端末20と通信する領域となる。即ち、第1セルに隣接する1または複数のセル12を含む基地局10が、基準信号を第1セルへと送信するように切り換わる。受付部110は、このような基地局10の動作を受け付ける。受付部110は、例えば、第1セルと前記第1セルに隣接する1または複数のセル12とを1つの第2セルとし、当該第2セルを含めた選択セルを受け付ける。
【0105】
そして、取得部120は、第2セルを含めた選択セルに対応するHOR情報を更に取得する。即ち、取得部120は、基地局10が発生した障害に対応してセル12の構成を変更した後に、当該基地局10が携帯端末20と情報を授受した結果であるHOR情報を取得する。このようなHOR情報に基づき、情報設定制御部320は、第2セルを含めた選択セルが配置されているクラスタの識別情報を設定する。即ち、更新部140は、当該クラスタの第2セルを含めた選択セルに対応して識別情報を更新する。
【0106】
以上のように、設定装置100は、障害等によってセル12の構成が変化したことを受け付けて、構成が変化した後のHOR情報を取得することで、対応する識別情報を決定して更新することができる。なお、このような障害は、修理等によって回復できるので、設定装置100は、障害からの復旧にも対応できることが望ましい。
【0107】
例えば、接続不可能な状態となっていた第1セルが携帯端末20と接続可能な状態に復帰すると、複数のセル12の構成は元に戻る。そこで、受付部110は、基地局10が復旧したことに応じて、第2セルを選択セルから除外して、第1セルを追加した選択セルを受け付ける。そして、取得部120は、第1セルを追加した選択セルに対応するHOR情報を更に取得する。これにより、情報設定制御部320は、第1セルを追加した選択セルが配置されているクラスタの識別情報を設定する。即ち、更新部140は、当該クラスタの第1セルを追加した選択セルに対応して識別情報を更新する。
【0108】
以上のように、設定装置100は、セル12の構成が変化したことを受け付けて、構成が変化した後のHOR情報を取得することで、対応する識別情報を決定して更新することができる。したがって、設定装置100は、障害に限らず、新たな基地局10の設置、移動、廃棄等により、通信可能なエリアに敷きつめられているセル12の構成が変化しても、変化したセル12を選択セルとして識別情報を更新することができる。
【0109】
以上の本実施形態において、設定装置100は、複数の基地局10をクラスタに分割し、クラスタ毎に、設定すべき選択セルの識別情報を決定することを説明した。そして、選択セルの識別情報は、更新部140がHOR情報に基づいて設定する例を説明したが、これに限定されることはない。設定装置100は、分割部310が複数の基地局10をクラスタに分割することによって、より高速に識別情報を設定できるものであるから、選択セルの識別情報は、既知の設定方法によって設定されてもよい。
【0110】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。