(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選択された記録対象の要約テンプレートを記録する際、前記医師の署名の入力を受け付ける署名入力受付部を備えた請求項1から4いずれか1項記載の医療支援システム。
医師が患者に対して行った説明の音声データをテキスト変換することによって得られたテキストデータと、医者が患者に対して行う説明を要約した要約テンプレートであって予め記憶された複数の要約テンプレートにそれぞれ対応させて予め設定されたキーワードとを照合し、前記テキストデータに含まれる前記キーワードを抽出するステップと、
前記テキストデータに含まれる、前記各要約テンプレートに対応するキーワードの数に基づいて、前記各要約テンプレートを評価するステップと、
該評価した複数の要約テンプレートの中から記録対象の要約テンプレートの選択を受け付け、該選択された要約テンプレートを記録するステップとをコンピュータに実行させる医療支援プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように要約情報をカルテデータベースなどに登録しておくことによって、患者の健康または診断などを後で確認することができるので、たとえば医師から患者への説明の負担を軽減することができ、医師間の引き継ぎも容易に行うことができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のようにコ・メディカルスタッフが要約情報を作成するようにしたのでは、やはりコ・メディカルスタッフの労働時間が長くなり、負担が増大するため、業務負担が大きいという問題に対しては根本的な解決には至らない。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、医師またはコ・メディカルスタッフなどの業務負担を大幅に軽減することができる医療支援システムおよび方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の医療支援システムは、医師が患者に対して行った説明の音声データを取得する音声データ取得部と、音声データ取得部によって取得された音声データをテキストデータに変換するデータ変換部と、データ変換部によって変換されたテキストデータから、予め設定されたキーワードを抽出するキーワード抽出部と、医者が患者に対して行う説明を要約した要約テンプレートを複数記憶する要約テンプレート記憶部と、キーワード抽出部によって抽出されたキーワードに基づいて、複数の要約テンプレートを評価する要約テンプレート評価部と、複数の要約テンプレートの中から記録対象の要約テンプレートの選択を受け付け、その選択された要約テンプレートを記録する要約テンプレート記録部とを備える。
【0009】
また、本発明の医療支援システムにおいて、キーワードは、要約テンプレートの内容に関連するキーワードとすることができる。
【0010】
また、本発明の医療支援システムにおいて、要約テンプレート記憶部は、疾患および患者に対する説明の時期の組み合わせ毎に複数の要約テンプレートを記憶することができる。
【0011】
また、本発明の医療支援システムにおいては、選択された記録対象の要約テンプレートに対する編集指示を受け付ける編集指示受付部を備えることができる。
【0012】
また、本発明の医療支援システムにおいては、選択された記録対象の要約テンプレートを記録する際、医師の署名の入力を受け付ける署名入力受付部を備えることができる。
【0013】
本発明の医療支援方法は、医者が患者に対して行う説明を要約した要約テンプレートを予め複数記憶し、医師が患者に対して行った説明の音声データを取得し、音声データをテキストデータに変換し、その変換したテキストデータから予め設定されたキーワードを抽出し、その抽出したキーワードに基づいて、複数の要約テンプレートを評価し、その複数の要約テンプレートの中から記録対象の要約テンプレートの選択を受け付け、その選択された要約テンプレートを記録する。
【0014】
本発明の医療支援プログラムは、医師が患者に対して行った説明の音声データをテキスト変換することによって得られたテキストデータから、予め設定されたキーワードを抽出するステップと、医者が患者に対して行う説明を要約した、予め記憶された複数の要約テンプレートを参照し、上記抽出したキーワードに基づいて、複数の要約テンプレートを評価するステップと、複数の要約テンプレートの中から記録対象の要約テンプレートの選択を受け付け、その選択された要約テンプレートを記録するステップとをコンピュータに実行させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の医療支援システムおよび方法並びにプログラムによれば、医師が患者に対して行った説明の音声データを取得し、その音声データをテキストデータに変換し、その変換したテキストデータから予め設定されたキーワードを抽出する。
【0016】
そして、予め記憶された複数の要約テンプレートを参照し、上記抽出したキーワードに基づいて、複数の要約テンプレートを評価する。次いで、その評価した複数の要約テンプレートの中から記録対象の要約テンプレートの選択を受け付け、その選択された要約テンプレートを記録する。
【0017】
これにより、医師またはコ・メディカルスタッフが、病状説明の要約を効率よく作成することができ、医師またはコ・メディカルスタッフの業務負担を大幅に軽減することができる。
【0018】
また、病状説明のマニュアル化や透明化を図ることができ、医師が行った病状説明の内容を多職種間で共有することができる。また、これにより看護師等から医師への説明内容の確認の回数を減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の医療支援システムおよび方法並びにプログラムの一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の医療支援システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
本実施形態の医療支援システム1は、医師が患者に対して病状などを説明した際、その説明の音声データを取得し、その音声データをテキストデータに変換する。そして、医療支援システム1は、そのテキストデータから予め設定されたキーワードを抽出し、その抽出したキーワードに基づいて、予め記憶された複数の要約テンプレートを評価する。医師またはコ・メディカルスタッフは、要約テンプレートのそれぞれの評価結果を参考にして、記録対象の要約テンプレートを選択し、医療支援システム1は、その医師またはコ・メディカルスタッフによって選択された要約テンプレートを上記患者の電子カルテなどに記録する。
【0022】
具体的には、医療支援システム1は、
図1に示すように、第1の端末装置10と、第2の端末装置20とを備えている。
【0023】
第1の端末装置10および第2の端末装置20は、コンピュータから構成され、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、ハードディスクおよび通信I/F(Interface)などを備えている。第1の端末装置10および第2の端末装置20は、たとえばデスクトップパソコン、ノートパソコンまたはタブレット端末などから構成される。第2の端末装置20は、後述するようにユーザインタフェース画面を表示し、そのユーザインタフェース画面において種々の設定入力を受け付けるので、タッチパネルを有するタブレット端末であることが好ましい。
【0024】
第1の端末装置10と第2の端末装置20は、インターネットやLAN(Local Area Network)などの通信回線を介して接続されており、互いに通信可能に構成されている。
【0025】
また、第1の端末装置10には、
図1に示すように、医師が患者に対して行った説明を録音するためのマイク装置30が接続されている。マイク装置30は、たとえば医師の胸元に装着することができるピンマイクであることが好ましい。
【0026】
第1の端末装置10は、たとえば医師が患者に対して病状や治療などに関する説明を行う部屋に設置されるものであり、
図1に示すように、音声データ取得部11と、データ変換部12とを備えている。
【0027】
音声データ取得部11は、マイク装置30によって集音されて増幅された音声データを取得する。
【0028】
データ変換部12は、音声データ取得部11によって取得された音声データをテキストデータに変換する。音声データからテキストデータへの変換については、既に公知なアプリケーションまたはシステムなどを用いることができる。
【0029】
第1の端末装置10は、データ変換部12によって変換されたテキストデータをPDFファイルに変換し、第2の端末装置20に出力する。第1の端末装置10から第2の端末装置20へのPDFファイルの出力方法としては、たとえばAir Drop(登録商標)などの既存のアプリケーションを用いるようにしてもよいし、電子メールで送信するようにしてもよいし、もしくは所定のデータサーバ装置(図示省略)を介して第2の端末装置20に受け渡すようにしてもよい。
【0030】
第2の端末装置20は、
図1に示すように、キーワード抽出部21と、要約テンプレート記憶部22と、要約テンプレート評価部23と、要約テンプレート記録部24と、ユーザインタフェース部25とを備えている。なお、本実施形態においては、ユーザインタフェース部25が、本発明の編集指示受付部および署名入力受付部に相当する。
【0031】
第2の端末装置20のハードディスクまたは半導体メモリには、本発明の医療支援プログラムの一実施形態がインストールされており、この医療支援プログラムが、第2の端末装置20のCPUによって実行されることによって、上述したキーワード抽出部21と、要約テンプレート評価部23と、要約テンプレート記録部24と、ユーザインタフェース部25とが機能する。
【0032】
なお、本実施形態においては、キーワード抽出部21、要約テンプレート評価部23、要約テンプレート記録部24およびユーザインタフェース部25の機能を、上述したようにソフトウェアによって実現するようにしたが、これに限らず、一部または全部の機能をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)、その他の電気回路などのハードウェアから構成するようにしてもよい。
【0033】
また、要約テンプレート記憶部22は、第2の端末装置20のハードディスクまたは半導体メモリから構成されるものであり、要約テンプレートを記憶するものである。要約テンプレートとは、医師が患者に対して行う病状や治療方針などの説明の要約であって、予め定められた文章で構成されたものである。
【0034】
本実施形態においては、疾患の種類および医師が患者に対して説明を行う時期の組み合わせ毎に、上述した要約テンプレートが作成され、要約テンプレート記憶部22に記憶される。医師からの病状説明の内容は、疾患毎または医師が説明を行う時期毎にある程度パターン化されているため、本実施形態では、その要約のテンプレートを予め作成して記憶する。
【0035】
疾患としては、たとえば「脳梗塞」、「めまい」、「脳内出血」、「クモ膜下出血」および「慢性硬膜下血腫」などがあり、医師が患者に対して説明を行う時期としては、「入院時」、「中間報告」および「退院時」などがある。なお、疾患および医師が説明を行う時期としては、これらに限らず、その他の疾患および時期を設定するようにしてもよい。
【0036】
図2は、たとえば疾患が「脳梗塞」であり、医師が説明を行う時期が「中間報告」である場合の要約テンプレートの例を示す図である。
図2に示すように、たとえば「脳梗塞」と「中間報告」の組み合わせに対して「6」の番号が付され、その「6」の番号に対応する6−1〜6−6までの6種類の要約テンプレートが要約テンプレート記憶部22に記憶される。
【0037】
なお、
図2には、疾患が「脳梗塞」であり、医師が説明を行う時期が「中間報告」の場合の要約テンプレートの一例を示しているが、実際には、その他の疾患と、医師が説明を行う時期との組み合わせ毎に番号が付され、その番号に対応する複数の要約テンプレートが要約テンプレート記憶部22に記憶される。たとえば「脳梗塞」と「入院時」の組み合わせに対して「5」の番号が付され、5−1〜5−6までの6種類の要約テンプレートが記憶され、または「脳内出血」と「退院時」の組み合わせに対して「4」の番号が付され、4−1〜4−6までの6種類の要約テンプレートが記憶される。
【0038】
キーワード抽出部21は、第1の端末装置10から出力されたPDFデータからテキストデータを取得し、そのテキストデータから、予め設定されたキーワードを抽出する。PDFデータからテキストデータを取得する方法としては、たとえば第2の端末装置20のユーザが、PDFデータに含まれるテキストデータをコピー・ペーストすることによって取得するようにしてもよいし、PDFデータに対して公知な文字認識処理を施すことによってテキストデータを取得するようにしてもよい。
【0039】
予め設定されたキーワードとは、上述した要約テンプレートに関連するキーワードであり、要約テンプレート毎に、複数のキーワードが設定される。
図2に示す例では、たとえば「脳梗塞」と「中間報告」の組み合わせに対する要約テンプレートの1つである「6−5」のテンプレートに対して、6−5a〜6−5jの10個のキーワードが設定されている。キーワードとしては、たとえば「新しい梗塞」、「悪化しないように」、「詰まった」、「10日くらい」および「リハビリ」などがあるが、これに限らず、脳梗塞の患者に対して中間報告する際に使用する可能性がある言葉であれば、如何なる言葉を含めるようにしてもよい。また、「6−5」の要約テンプレートだけでなく、6−1〜6−4および6−6の要約テンプレートに対してもそれぞれ複数のキーワードが設定される。また、番号「6」以外のその他の番号の要約テンプレートに対してもそれぞれ複数のキーワードが設定される。
【0040】
キーワード抽出部21は、第1の端末装置10から出力されたテキストデータと、上述した予め設定された全てのキーワードとを照合し、テキストデータに含まれるキーワードを抽出する。なお、キーワードの抽出処理については、公知な手法を用いることができる。
【0041】
要約テンプレート評価部23は、キーワード抽出部21によって抽出されたキーワードに基づいて、要約テンプレート記憶部22に記憶された複数の要約テンプレートをそれぞれ評価する。
【0042】
本実施形態の要約テンプレート評価部23は、コ・メディカルスタッフなどによって設定入力された疾患名と医師が説明を行った時期との組み合わせから、複数の要約テンプレートの中からこの組み合わせに応じた要約テンプレートを特定する。そして、その特定した要約テンプレートに対応するキーワードが、テキストデータの中にいくつ含まれるかによって各要約テンプレートを評価する。
【0043】
ここで、本実施形態の要約テンプレート評価部23の要約テンプレートの評価方法について、
図3に示すユーザインタフェース画面を参照しながら説明する。
図3に示すユーザインタフェース画面は、ユーザインタフェース部25によって第2の端末装置20のディスプレイに表示される画面である。
【0044】
まず、第2の端末装置20に表示されるユーザインタフェース画面について説明する。
図3に示すユーザインタフェース画面の左上には患者の氏名とその識別番号が表示され、その下に、疾患名の設定入力欄R1と患者に対する説明の時期の設定入力欄R2とが表示される。疾患名の設定入力欄R1と患者に対する説明の時期の設定入力欄R2は、それぞれプルダウンメニューとなっており、そのプルダウンメニューにおいて、疾患名および患者に対する説明の時期が選択される。なお、プルダウンメニューに限らず、上述した設定入力欄R1および設定入力欄R2にユーザがテキスト入力するようにしてもよい。
【0045】
そして、設定入力欄R1,R2の下に、医師が患者に対して行った説明のテキストデータが設定入力される設定入力欄R3が表示される。ユーザは、たとえばコピー・ペーストによって設定入力欄R3に上記テキストデータを設定入力する。設定入力欄R3の左横には、テキストデータの文字数が表示される。
【0046】
設定入力欄R3に医師の説明のテキストデータが入力された場合には、上述したようにキーワード抽出部21によって予め設定されたキーワードが抽出される。そして、キーワード抽出部21によって抽出されたキーワードが、設定入力欄R3の右横のキーワード表示欄R4に表示される。
図3では、「6−5」の要約テンプレートに対応するキーワードと、「6−2」の要約テンプレートに対応するキーワードと、「5−3」の要約テンプレートに対応するキーワードとが抽出された例を示している。
【0047】
そして、ユーザインタフェース画面の下半分の部分には、要約テンプレートとその評価値とが表示される。
【0048】
具体的には、要約テンプレート評価部23は、設定入力欄R1に設定入力された疾患と、設定入力欄R2に設定入力された医師が説明を行った時期との組み合わせに基づいて、複数の要約テンプレートの中からこの組み合わせに応じた要約テンプレートを特定する。たとえば疾患が「脳梗塞」であり、医師が説明を行った時期が「中間報告」である場合には、
図2に示した番号「6」の要約テンプレート6−1〜6−6が特定される。
【0049】
そして、要約テンプレート評価部23は、特定した要約テンプレートに対応して予め設定されたキーワードと、キーワード抽出部21によって抽出されたキーワードとを照合することによって、評価対象の要約テンプレートを特定する。
【0050】
具体的には、要約テンプレート評価部23は、上述した6−1〜6−6の要約テンプレートのうち、キーワード抽出部21によって抽出されたキーワードに対応する要約テンプレートを、評価対象の要約テンプレートとして特定する。
図3に示す例の場合、キーワード抽出部21によって、6−5の要約テンプレートに対するキーワード(6−5d、6−5e、6−5i、6−5j、6−5m)と、6−2の要約テンプレートに対するキーワード(6−2b)とが抽出されているので、6−5の要約テンプレートと6−2の要約テンプレートを評価対象の要約テンプレートとして特定する。なお、
図3に示す例の場合、5−3a「点滴」のキーワードも抽出されているが、5−3の要約テンプレートは、「脳梗塞」と「中間報告」の組み合わせに対応する要約テンプレートではないので、要約テンプレート評価部23は、5−3の要約テンプレートを評価対象の要約テンプレートとして特定しない。
【0051】
次いで、要約テンプレート評価部23は、評価対象として特定した6−5と6−2の要約テンプレートを評価する。具体的には、たとえば
図3に示す例の場合、キーワード抽出部21によって抽出されたキーワードであって、「脳梗塞」と「中間報告」の組み合わせに対応するキーワードが8個であり、そのうち6−5の要約テンプレートに対応するキーワードが7個であり、6−2の要約テンプレートに対応するキーワードが1個である。
【0052】
この場合、要約テンプレート評価部23は、6−5の要約テンプレートの評価値として、7/8×100=87.5%を算出し、6−2の要約テンプレートの評価値として、1/8×100=12.5%を算出する。
【0053】
そして、要約テンプレート評価部23による要約テンプレートの評価結果が、ユーザインタフェース部25によってユーザインタフェース画面の下半分の部分に表示される。具体的には、
図3に示す例の場合、ユーザインタフェース部25は、評価値が最も高い6−5の要約テンプレートを一番左に表示し、次の評価値の6−2の要約テンプレートを6−5の要約テンプレートの右に表示する。すなわち、ユーザインタフェース部25は、最も評価値が高い要約テンプレートを一番左に表示し、評価値の大きさの順にしたがって左から右に向かって要約テンプレートを並べて表示する。これにより、医師またはコ・メディカルスタッフは、複数の要約テンプレートの評価値の大きさの順番を即座に把握することができる。
【0054】
また、ユーザインタフェース部25は、評価対象の要約テンプレートの上に、その評価値をおすすめ度として表示する。そして、医師は、おすすめ度として表示された評価値を参考にして、最終的に記録する記録対象の要約テンプレートを選択する。なお、医師が選択する要約テンプレートとしては、必ずしも評価値が最も高いものでなくてもよく、評価値が低いものの方が患者に対して説明した内容と近いなど適切である場合には、評価値が低い要約テンプレートを選択するようにしてもよい。
【0055】
記録対象の要約テンプレートの選択は、
図3に示す評価対象の各要約テンプレートの下に表示された「これに決定」のボタンが押されることによって行われる。
【0056】
要約テンプレート記録部24は、上述した「これに決定」ボタンが押されることによる要約テンプレートの選択を受け付け、その選択された要約テンプレートを記録する。要約テンプレートの記録先としては、第2の端末装置20が有するハードディスクでもよいし、第2の端末装置20に対して通信回線を介して接続されるその他のサーバ装置などでもよい。
【0057】
要約テンプレートは、患者毎について、その説明の時期(入院時および中間報告など)毎に記録され、適宜必要に応じて読出し可能に記録される。
【0058】
なお、要約テンプレートを記録する際、予め記憶された要約テンプレートのまま記録してもよいが、たとえば医師が要約テンプレートの内容を確認後、その要約テンプレートに対して加筆するなど編集を施すようにしてもよい。
【0059】
具体的には、上述したように「これに決定」ボタンが押された後、ユーザインタフェース部25は、
図4に示すような要約テンプレート編集画面を第2の端末装置20に表示させる。要約テンプレート編集画面の編集欄E1には、まず要約テンプレートの内容が表示される。医師は、編集欄E1に表示された内容を確認し、文章を追加したり、削除したりして所望の要約を完成させる。編集操作については、たとえば要約テンプレート編集画面上に、テキスト入力可能なキーボードを表示させて編集操作を受け付けるようにしてもよいし、その他の第2の端末装置20に接続された入力デバイスを用いて編集操作を受け付けるようにしてもよい。このように、要約テンプレートの編集作業を可能とすることによって、より適切な要約を記録することができる。
【0060】
さらに、ユーザインタフェース部25は、編集欄E1の右隣の下方に、署名欄E2を表示させる。署名欄E2は、医師の署名の入力を受け付ける欄である。医師は、編集後の要約の内容を確認し、問題なければ署名欄E2に署名をする。署名欄E2への署名については、たとえば
図4において点線矢印で示すように、署名欄E2を拡大表示させ、スタイラスペンや手指を用いて記入するようにすればよい。
【0061】
要約テンプレート記録部24は、医師による署名の入力を受け付けた時点において編集後の要約を記録する。なお、必ずしも要約テンプレートの編集を行った場合に限らず、要約テンプレートをそのまま記録する場合にも、医師による署名の入力を受け付けた後に記録するようにしてもよい。
【0062】
次に、本実施形態の医療支援システム1全体の処理の流れについて、
図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0063】
まず、医師から患者に対して病状や治療方針など説明が行われ、その説明の内容の音声データが、マイク装置30を介して第1の端末装置10によって取得される(S10)。
【0064】
そして、第1の端末装置10によって取得された音声データはテキストデータに変換され、PDFファイルとして第2の端末装置20に出力される(S12)。
【0065】
第2の端末装置20は、入力されたPDFファイルからテキストデータを取得し、そのテキストデータから予め設定されたキーワードを抽出する(S14)。具体的には、上述したように第2の端末装置20のキーワード抽出部21が、テキストデータと予め設定された要約テンプレートに関連するキーワードとを照合し、テキストデータに含まれるキーワードを抽出する。
【0066】
そして、要約テンプレート評価部23が、キーワード抽出部21によって抽出されたキーワードに基づいて、評価対象の要約テンプレートを特定し、その特定した要約テンプレートを評価する(S16)。
【0067】
そして、要約テンプレート評価部23による評価結果は、第2の端末装置20において要約テンプレートとともに「おすすめ度」として表示され、医師またはコ・メディカルスタッフは、そのおすすめ度の評価値を参考にして、最終的な記録対象の要約テンプレートを選択する(S18)。
【0068】
医師またはコ・メディカルスタッフによって選択された要約テンプレートは、上述した要約テンプレート編集画面に表示され、必要に応じて医師によって編集作業が行われる(S20)。
【0069】
要約テンプレートの編集作業が終了した後、医師によって署名欄E2に署名が記入され(S22)、これにより要約テンプレート記録部24は、編集作業後の要約テンプレートを第2の端末装置20に記録する(S24)。
【0070】
なお、上記実施形態の医療支援システムにおいては、第1の端末装置10に音声データ取得部11およびデータ変換部12を設け、第2の端末装置20にキーワード抽出部21、要約テンプレート記憶部22、要約テンプレート評価部23、要約テンプレート記録部24およびユーザインタフェース部25を設けるようにしたが、これに限らず、音声データ取得部11、データ変換部12、キーワード抽出部21、要約テンプレート記憶部22、要約テンプレート評価部23、要約テンプレート記録部24およびユーザインタフェース部25を1つの端末装置に設けるようにしてもよい。