特許第6857732号(P6857732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6857732光源の露光量を制御するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857732
(24)【登録日】2021年3月24日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】光源の露光量を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-528651(P2019-528651)
(86)(22)【出願日】2017年11月24日
(65)【公表番号】特表2019-536111(P2019-536111A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】CN2017112805
(87)【国際公開番号】WO2018099325
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年7月22日
(31)【優先権主張番号】201611073755.X
(32)【優先日】2016年11月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リー ピンシン
(72)【発明者】
【氏名】リー モン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジーヨン
(72)【発明者】
【氏名】マー ポンチュアン
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−073984(JP,A)
【文献】 特開2014−207300(JP,A)
【文献】 特開2015−087517(JP,A)
【文献】 特開2010−232617(JP,A)
【文献】 特開2005−258314(JP,A)
【文献】 特開2008−154234(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0192569(US,A1)
【文献】 米国特許第05053614(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第1708828(CN,A)
【文献】 特開2004−342633(JP,A)
【文献】 特表2013−520815(JP,A)
【文献】 特開2004−056086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/027
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源と、光ホモジナイザーと、エネルギー検出ユニットと、前記LED光源及び前記エネルギー検出ユニットのいずれにも連結される露光量制御ユニットと、を備え、前記エネルギー検出ユニットが、前記LED光源または前記光ホモジナイザーに対応するエネルギー検出器と、ウェハに対応するエネルギースポットセンサーと、を備え、
前記露光量制御ユニットが、互いに連結された、LED光源コントローラーと、露光量制御回路基板と、を備え、
前記LED光源コントローラーが前記LED光源に連結されており、
前記露光量制御回路基板が、
前記エネルギー検出器及びエネルギースポットセンサーのいずれにも連結されており、
様々な光強度におけるLED光源のシャットダウンから完全な暗までの累積露光量に関するデータを記憶する
光源の露光量を制御するためのシステム。
【請求項2】
前記露光量制御回路基板が、前記LED光源の駆動電流と、結果として生じる光強度と、の間の関係を記憶する、請求項に記載の光源の露光量を制御するためのシステム。
【請求項3】
前記LED光源が、LEDアレイであり、465nm、435nm、又は365nmの波長を有する、請求項に記載の光源の露光量を制御するためのシステム。
【請求項4】
前記光ホモジナイザーが、光均質化石英ロッドとして実装される、請求項に記載の光源の露光量を制御するためのシステム。
【請求項5】
S1:露光量制御ユニットの制御下でLED光源及びエネルギー検出器を同時に点灯し、前記エネルギー検出器が前記LED光源の照度を検出するステップ;
S2:前記露光量制御ユニットが、ウェハ上の実際の照度をサンプリングし、サンプルを積分することによって前記ウェハ上の累積露光量を算出するステップ;
S3:前記LED光源の前記照度が安定したら、前記LED光源の光強度に基づいてシャットダウンから完全な暗までの前記LED光源の累積露光量を取得するステップ;及び
S4:ステップS2で算出された前記ウェハ上の前記累積露光量が、プリセット露光量からステップS3において取得された前記LED光源のシャットダウンから完全な暗までの前記累積露光量を引いたものに等しくなると、前記露光量制御ユニットの制御下において前記LED光源をシャットダウンするステップ;を備える、
請求項1〜のいずれか一項に記載の光源の露光量を制御するためのシステムを用いた制御方法。
【請求項6】
さらに、
S5:前記LED光源が完全な暗になった後、露光量制御ユニットの制御下においてエネルギー検出器をオフにし、そして、前記ウェハ上の現在の累積露光量とプリセット露光量との間の露光量オフセットを算出する;及び
S6:前記露光量制御ユニットの制御下において前記露光量オフセットに基づいて前記LED光源の光量を調節する;を備える、
請求項に記載の制御方法。
【請求項7】
ステップS1において、前記エネルギースポットセンサーを較正し、較正された前記エネルギースポットセンサーを用いて前記エネルギー検出器を較正する、請求項に記載の制御方法。
【請求項8】
ステップS2において、前記露光量制御ユニットが、下記式に示される実際の照度レベルをサンプリングし、
【数1】
EDが、前記エネルギー検出器の照度測定値を表し、IESSが前記エネルギースポットセンサーの照度測定値を表し、Gain及びOffsetが、それぞれスケールファクター及び露光量オフセットを表し、Iwaferが、前記ウェハの照度測定値を表す、請求項に記載の制御方法。
【請求項9】
ステップS2において、前記ウェハ上の累積露光量Dgetが下記式に示すように算出され、
【数2】
waferが、前記ウェハ上で実際に測定された照度を表し、tが時間を表す、請求項に記載の制御方法。
【請求項10】
ステップS5において、現在のプリセット露光量Dsetが下記式のように与えられ、
【数3】
前記LED光源の完全な暗における累積露光量Dgetが下記式のように表され、
【数4】
前記露光量オフセットDが下記式で表され、
【数5】
clоseが、前記LED光源がシャットダウンされるタイミングを表し、Dcloseが、ステップS3において取得された累積露光量を表し、Iwaferが、前記ウェハ上の実際に測定された照度を表し、||が、絶対値演算を表す、請求項に記載の制御方法。
【請求項11】
ステップS3において、前記LED光源の照度が安定した後における光強度に対応する、前記LED光源のシャットダウンから完全な暗までの累積露光量が、前記露光量制御回路基板から取得される、請求項に記載の制御方法。
【請求項12】
ステップS6において、前記露光量制御回路基板が前記露光量オフセットに基づいてLED光源制御部を制御することによって、前記LED光源制御部が、前記LED光源の駆動電流と結果として生じる光強度との関係に基づいて前記LED光源の光強度を制御する、請求項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリソグラフィー、特に光源の露光量を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィーは、半導体素子製造に使われる技術であり、光学系がレチクル上のパターンの像をウェハ表面にコーティングされたフォトレジスト上に正確に投影するために用いられ、フォトレジストを露光する。ウェハ上のレチクルパターン内の臨界寸法特徴点(critical-size features)を正確に再現するためには、露光量制御が必要である。
【0003】
図1は、従来のステップアンドリピート方式のフォトリソグラフィー装置の露光システムを示し、光源として水神ランプが用いられている。光路全体の構成は、水銀ランプ100、楕円反射鏡101、反射鏡102、組合レンズ群103、露光シャッター104、可変減衰器105、光ホモジナイザー106、エネルギー検出器107、中継レンズ群108、中継反射鏡109、投影対物レンズ110、及びエネルギースポットセンサー111を備える。楕円反射鏡101及び反射鏡102によって連続的に反射され、水銀ランプ100からの光は、ランプ室の外に光錘を形成する。次いで、光錘は、組合レンズ群103によって光ホモジナイザー106に連結される。光ホモジナイザー106は、特定の仕様を有する石英ロッドであり、光が複数回反射される。次いで、光は、中継レンズ群108の対物面内に位置する端面において一様に石英ロッドを出る。その結果、中継レンズ群108の像面上に、ある程度のテレセントリック性及びある程度の開口数(NA)を有する一様な照明視野が形成される。
【0004】
図2は、従来のステップアンドリピート方式のフォトリソグラフィー装置の露光システムにおける露光量制御システムを示し、それは、水銀ランプコントローラー112、露光シャッター104、可変減衰器105、エネルギー検出器107、エネルギースポットセンサー111、及び露光量制御回路基板200を備える。しかしながら、そのような露光量制御システムの実際の使用から、以下の不備が確認されている:1)光源として水銀ランプの照度を制御することができないため、低量露光用途に必要とされる照度レベルとするために可変減衰器をさらに使用しなければならず、しかしながら、一方ではシステムの複雑さ及びコストが増大し、他方では可変減衰器が可動部品であるためシステムの信頼性が低下する;2)水銀ランプは、長時間の点灯及び加熱、及び頻繁な点灯/消灯の切り替えができない等、動作要件が厳しいため、さらに露光シャッターを使用しなければならず、しかしながら、一方ではシステムの複雑さ及びコストが増大し、他方では露光シャッターが頻繁に移動する必要があるためシステムの信頼性が低下する;3)水銀ランプは、高圧水銀蒸気で満たされているため潜在的な危険性があり、誤用により漏洩すると、現場の作業者及び環境に深刻な悪影響を及ぼす虞がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、光源の露光量を制御するための新規なシステム及び方法を提供することによって、従来のシステムに関する高複雑性、高コスト、低信頼性、及び低安全性の問題を解決するころを目的とする。
【0006】
この目的を追求し、本発明の主題は、光源の露光量を制御するためのシステムであって、LED光源と、光ホモジナイザーと、エネルギー検出ユニットと、前記LED光源及び前記エネルギー検出ユニットのいずれにも連結される露光量制御ユニットと、を備え、前記エネルギー検出ユニットが、前記LED光源または前記光ホモジナイザーに対応するエネルギー検出器と、ウェハに対応するエネルギースポットセンサーと、を備える。
【0007】
加えて、前記露光量制御ユニットが、互いに連結された、LED光源コントローラーと、露光量制御回路基板と、を備えていてもよく、前記LED光源コントローラーが前記LED光源に連結されており、前記露光量制御回路基板が前記エネルギー検出器及びエネルギースポットセンサーのいずれにも連結されている。
【0008】
加えて、前記露光量制御回路基板が、様々な光強度におけるLED光源のシャットダウンから完全な暗までの累積露光量に関するデータを記憶してもよい。
【0009】
加えて、前記露光量制御回路基板が、前記LED光源の駆動電流と、結果として生じる光強度と、の間の関係を記憶してもよい。
【0010】
加えて、前記LED光源が、LEDアレイであってもよく、465nm、435nm、又は365nmの波長を有する。
【0011】
加えて、前記光ホモジナイザーが、光均質化石英ロッドとして実装されてもよい。
【0012】
本発明は、さらに、上記で定義された光源の露光量を制御するためのシステムを用いた制御方法を提供し、当該制御方法は、
S1:露光量制御ユニットの制御下でLED光源及びエネルギー検出器を同時に点灯し、前記エネルギー検出器が前記LED光源の照度を検出するステップ;
S2:前記露光量制御ユニットが、ウェハ上の実際の照度をサンプリングし、サンプルを積分することによって前記ウェハ上の累積露光量を算出するステップ;
S3:前記LED光源の前記照度が安定したら、前記LED光源の光強度に基づいてシャットダウンから完全な暗までの前記LED光源の累積露光量を取得するステップ;及び
S4:ステップS2で算出された前記ウェハ上の前記累積露光量が、プリセット露光量からステップS3において取得された前記LED光源のシャットダウンから完全な暗までの前記累積露光量を引いたものに等しくなると、前記露光量制御ユニットの制御下において前記LED光源をシャットダウンするするステップ;を備える。
【0013】
さらに、制御方法は、
S5:前記LED光源が完全な暗になった後、露光量制御ユニットの制御下においてエネルギー検出器を消灯し、そして、前記ウェハ上の現在の累積露光量とプリセット露光量との間の露光量オフセットを算出する;及び
S6:前記露光量制御ユニットの制御下において前記露光量オフセットに基づいて前記LED光源の光量を調節する;を備えていてもよい。
【0014】
加えて、ステップS1において、前記エネルギースポットセンサーを較正し、較正された前記エネルギースポットセンサーを用いて前記エネルギー検出器を較正してもよい。
【0015】
加えて、ステップS2において、前記露光量制御ユニットが、下記式に示される実際の照度レベルをサンプリングしてもよく、
【数1】
EDが、前記エネルギー検出器の照度測定値を表し、IESSが前記エネルギースポットセンサーの照度測定値を表し、Gain及びOffsetが、それぞれスケールファクター及び露光量オフセットを表し、Iwaferが、前記ウェハの照度測定値を表す。
【0016】
加えて、ステップS2において、前記ウェハ上の累積露光量Dgetが下記式に示すように算出されてもよく、
【数2】
waferが、前記ウェハ上で実際に測定された照度を表し、tが時間を表す。
【0017】
加えて、ステップS5において、現在のプリセット露光量Dsetが下記式のように与えられてもよく、
【数3】
前記LED光源の完全な暗における累積露光量Dgetが下記式のように表され、
【数4】
前記露光量オフセットDが下記式で表され、
【数5】
clоseが、前記LED光源がシャットダウンされるタイミングを表し、Dcloseが、ステップS3において取得された累積露光量を表し、Iwaferが、前記ウェハ上の実際に測定された照度を表し、|・|が、絶対値演算を表す。
【0018】
加えて、ステップS3において、前記LED光源の照度が安定した後における光強度に対応する、前記LED光源のシャットダウンから完全な暗までの累積露光量が、前記露光量制御回路基板から取得されてもよい。
【0019】
加えて、ステップS6において、前記露光量制御回路基板が前記露光量オフセットに基づいてLED光源制御部を制御することによって、前記LED光源制御部が、前記LED光源の駆動電流と結果として生じる光強度との関係に基づいて前記LED光源の光強度を制御してもよい。
【0020】
要約すると、本発明は、光源の露光量を制御するためのシステム及び方法を提供する。前記システムは、LED光源、光ホモジナイザー、エネルギー検出ユニット、及び前記LED光源及び前記エネルギー検出ユニットのいずれにも連結される露光量制御ユニットを備える。前記エネルギー検出ユニットは、前記LED光源用または前記光ホモジナイザー用のエネルギー検出器と、ウェハ用のエネルギースポットセンサーと、を備える。既存の水銀ランプに代えて紫外線(UV)を発することができる前記LED光源を使用することによって、前記水銀ランプが破損した場合に環境中に有害な水銀蒸気を放出する危険性を排除しているため、前記システムは、より危険性が少なく、安全である。さらに、露光量制御ユニットの制御下において前記LED光源の露光照度を調節し前記LED光源を点灯/消灯することによって、可変減衰器または露光シャッターを使わずに、前記ウェハを高い露光量制御精度で露光することができる。これにより、システムの複雑さ及びコストが軽減され、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、従来のステップアンドリピート方式のフォトリソグラフィ装置における露光システムの模式構造図である。
図2図2は、従来のステップアンドリピート方式のフォトリソグラフィ装置の露光システムにおける露光量制御システムを示している。
図3図3は、本発明に係る光源の露光量を制御するためのシステムの模式構造図である。
図4図4は、本発明に係るLED光源の活性化から完全な暗までの照度の変化を表す曲線を示す。
【符号の説明】
【0022】
図1及び図2において、100は水銀ランプ光源;101は楕円反射鏡;102は反射鏡;103は組合せレンズ群;104は露光シャッター;105は可変減衰器;106は光ホモジナイザー;107はエネルギー検出器;108は中継レンズ群;109は中継反射鏡;110は投影対物レンズ;111はエネルギースポットセンサー;112は水銀ランプ制御部;200は露光量制御回路基板である。
図3及び図4において、1はLED光源;2は光ホモジナイザー;31はエネルギー検出器;32はエネルギースポットセンサー;4は露光量制御ユニット;41はLED光源制御部;42は露光量制御回路基板である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図3に示すように、本発明は、光源の露光量を制御するためのシステムを提供し、当該システムは、発光ダイオード(LED)光源1、光ホモジナイザー2、エネルギー検出ユニット、及びLED光源1及びエネルギー検出ユニットのいずれにも連結された露光量制御ユニット4を備える。エネルギー検出ユニットは、LED光源1用又は光ホモジナイザー2用のエネルギー検出器31、及びウェハ用のエネルギースポットセンサー32を備える。エネルギースポットセンサー32は、スポットのエネルギーを感知するためのセンサーである。エネルギー検出器31は、LED光源1の照度レベルを検出するように構成され、エネルギースポットセンサー32は、それらの間の関係を確立するためにエネルギー検出器31を較正するように構成される。露光量制御ユニット4は、ウェハ上の累積露光量を算出するように構成され、この累積露光量とプリセット露光量との差を、LED光源1の光強度の調節、又は点灯/消灯の切り替えのための露光量制御基準として使用してもよい。このようにして、ウェハは、可変減衰器又は露光シャッターを用いることなく可変減衰器または露光シャッターを使わずに、ウェハを高い露光量制御精度で露光することができ、システムの複雑さ及びコストが軽減され、その信頼性が向上する。
【0024】
引き続き図3を参照すると、露光量制御ユニット4は、互いに連結された、LED光源制御部41及び露光量制御回路基板42を備えていてもよい。LED光源制御部41は、LED光源1に連結されており、露光量制御回路基板42はエネルギー検出器31及びエネルギースポットセンサー32のいずれにも連結されている。露光量制御回路基板42は、所定の周波数でウェハ上の実際の照度をサンプリングし、サンプルを積分することによって累積露光量を算出するように構成されていてもよい。ここで、較正されたエネルギースポットセンサー32の光強度測定値は、ウェハ上の実際の光強度を表すことに留意されたい。しかしながら、エネルギースポットセンサー32が、ウェハステージ上に取り付けられており、当該ウェハに対して静止しているため、ウェハ上の各視野の光強度を正確に測定することはできない。したがって、露光量制御時には、エネルギースポットセンサー32及びエネルギー検出器31の較正関係に基づいて、エネルギー検出器31の照度測定値をウェハ上の実際の照度レベルとしてエネルギースポットセンサー32の照度測定値に変換する必要がある。
【0025】
好ましくは、露光量制御回路基板42は、様々な光強度におけるLED光源1のシャットダウンから完全な暗までの累積露光量に関するデータを記憶する。LED光源1は、点灯されてから安定した光強度を生じるまで、及び、シャットダウンされてから完全に閉じるまで、のいずれも、典型的にはある程度の時間がかかる。シャットダウンから完全な暗までの間に、ウェハ上の光強度は変化し、露光量は累積するだろう。したがって、一実施形態では、様々な光強度におけるLED光源1のシャットダウンから完全な暗までの累積露光量を予め測定し、測定結果をデータリストとして露光量制御回路基板42に記憶してもよい。露光量制御時には、使用された露光量に対応する累積露光量を取得し、現在の累積露光量がプリセット露光量から取得された累積露光量を引いたものに等しくなると、露光量制御ユニット4は、LED光源をシャットダウンする動作を行う。露光量制御回路基板42は、LED光源1と結果として生じる光強度との関係を記憶してもよい。露光量制御回路基板42は、露光量オフセットに基づいてLED光源制御部41を制御し、後者が、LED光源1の駆動電流及びその結果の光強度の関係に基づいてLED光源1の光強度を調節し、ウェハを高い露光量制御精度で露光させる。
【0026】
好ましくは、LED光源1は、LEDアレイであり、465nm、435nm、又は365nmの波長を有する。制御システムは、1以上のLEDアレイを備えていてもよい。
好ましくは、光ホモジナイザー2は、光均質化石英ロッドとして実装される。
【0027】
本発明は、また、上記で定義されたシステムを使用するための方法を提供する。当該方法は、下記のステップを備える。
S1では、LED光源1及びエネルギー検出器31が露光量制御ユニット4の制御下で同時に点灯し、エネルギー検出器31がLED光源1の照度の検出を開始する。エネルギー検出器31によってLED光源1の照度を検出する前に、エネルギースポットセンサー32は(簡単のためここでは詳細に説明しないが、任意の適切な従来方法を使用して)較正され、較正されたエネルギースポットセンサー32は、エネルギー検出器31及びエネルギースポットセンサー32の関係を確立するように、次にエネルギー検出器31を較正する。較正されたエネルギースポットセンサー32の光強度測定値は、ウェハ上の実際の光強度を表す。しかしながら、エネルギースポットセンサー32が、ウェハステージ上に取り付けられており、当該ウェハに対して静止しているため、ウェハ上の各視野の光強度を実際には測定することができない。エネルギースポットセンサー32とエネルギー検出器31との較正中に確立された関係に基づいて、エネルギー検出器31の照度測定値をウェハ上の実際の照度レベルとしてエネルギースポットセンサー32の照度測定値に変換する。一実施形態では、エネルギー検出器31及びエネルギースポットセンサー32は、同じタイプのセンサーであってもよく、光ホモジナイザー、中継レンズ群、中継反射鏡、及び投影対物レンズを備える光学系の同じセットを共有してもよい。したがって、どちらも一定の透過率に関連付けられている。
【数6】
ここで、IEDはエネルギー検出器31の照度測定値;IESSはエネルギースポットセンサー32の照度測定値;Gainはスケールファクター;Offsetは露光量オフセットを表す。この式によれば、エネルギー検出器31及びエネルギースポットセンサー32の測定値は同時に得られ、Gain及びOffsetはそれらに基づいて算出可能である。Iwaferは、実際に測定されたウェハ上の照度を表す。
【0028】
S2において、露光量制御ユニット4は、ウェハ上の実際の照度をサンプリングし、サンプルを積分することによって累積露光量Dgetを下記のように算出する;
【数7】
ここで、Iwaferは、実際に測定されたウェハ上の照度を表し、tは時間を表す。
【0029】
S3において、LED光源1の照度が安定した時点で、LED光源1の現在の光強度に基づいて、LED光源1の暗時の累積露光量を取得する。具体的には、露光量制御回路基板42は、様々な光強度におけるLED光源1のシャットダウンから完全な暗までの累積露光量に関するデータを記憶していてもよい。LED光源1は、点灯されてから安定した光強度を生じるまで、及び、シャットダウンされてから完全に閉じるまで、のいずれも、典型的にはある程度の時間がかかる。シャットダウンから完全な暗までの間に、ウェハ上の光強度は変化し、露光量は累積するだろう。したがって、一実施形態では、様々な光強度におけるLED光源1のシャットダウンから完全な暗までの累積露光量を予め測定し、測定結果をデータリストとして露光量制御回路基板42に記憶してもよい。露光量制御時には、LED光源1の暗時の累積露光量は、安定した照度レベルに基づいてデータリストから取得される。
【0030】
S4において、S2において算出されたウェハ上の累積露光量がプリセット露光量からS3において取得された累積露光量を引いたものに等しくなると、露光量制御ユニット4は、LED光源1をシャットダウンする動作を行う。図4は、以下のフェーズから成るプロセス全体にわたるLED光源1の照度の変化を表す曲線を示す;活性化から光強度が安定するまでの時間(a);光強度が安定している期間(b);シャットダウンから完全な暗まで(c)。図から分かるように、シャットダウンから完全な暗までのフェーズでは、ウェハ上の光強度は変化し、露光量は累積する。ウェハ上の測定された累積露光量がプリセット露光量に等しいときにLED光源1がシャットダウンされた場合、ウェハは確実に過剰露光になるだろう。正確な露光を守るために、ウェハ上の累積露光量がプリセット露光量からS3において取得された累積露光量を引いたものに等しくなったときにLED光源1をシャットダウンする必要がある。
【0031】
S5において、LED光源1の完全に暗くなった後、露光量制御ユニット4はエネルギー検出器31を消灯するように動作し、ウェハ上の現在の累積露光量はプリセット以下のように与えられる露光量Dsetと比較される;
【数8】
LED光源1が完全に暗になったときの累積露光量Dgetは、以下のように表される;
【数9】
したがって、それらの間のオフセットは、以下のように表される。
【数10】
ここで、tclоseはLED光源がシャットダウンした時間;DcloseはLED光源1の暗時の累積露光量;Iwaferは実際に測定されたウェハ上の露光量;|・|は絶対値演算を表す。
【0032】
S6において、露光量制御ユニット4は、オフセットDに基づいてLED光源1の光強度を調節する。具体的には、露光量制御回路基板42は、LED光源1の駆動電流と結果として生じる光強度との関係を、タイムスキームに従って自動的に更新されるデータリストとして記憶してもよい。露光量制御回路基板42は、露光量オフセットDに基づいて、LED光源1の駆動電流と結果として生じる光強度との関係によって、LED光源1の光強度を調節するように、LED光源制御部41に指示する。
【0033】
要約すると、本発明は、光源の露光量を制御するためのシステム及び方法を提出する。当該システムは、LED光源1、光ホモジナイザー2、エネルギー検出ユニット、及びLED光源1及び前記エネルギー検出ユニットのいずれにも連結される露光量制御ユニット4を備える。エネルギー検出ユニットは、LED光源1用または光ホモジナイザー2用のエネルギー検出器31と、ウェハ用のエネルギースポットセンサー32と、を備える。既存の水銀ランプに代えて紫外線(UV)を発することができるLED光源1を使用することによって、水銀ランプが破損した場合に環境中に有害な水銀蒸気を放出する危険性を排除しているため、当該システムは、より危険性が少なく、安全である。さらに、露光量制御ユニット4の制御下においてLED光源1の露光照度を調節し、LED光源1を点灯/消灯することによって、可変減衰器または露光シャッターを使わずに、ウェハを高い露光量制御精度で露光することができる。これにより、システムの複雑さ及びコストが軽減され、信頼性が向上する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態をここに記載したが、これらの実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されることを意図するものではない。本発明の精神から逸脱することなくなされる様々な省略、置換および変更は、全て本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4