(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857788
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】断熱材保持具及び該保持具を用いた断熱材の施工方法。
(51)【国際特許分類】
E04B 1/80 20060101AFI20210405BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20210405BHJP
E04F 15/18 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
E04B1/80 100A
E04B1/76 500H
E04B1/76 500Z
E04F15/18 F
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-144001(P2017-144001)
(22)【出願日】2017年7月6日
(65)【公開番号】特開2019-15159(P2019-15159A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年1月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000250731
【氏名又は名称】龍野コルク工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】片岡 孝次
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−070441(JP,A)
【文献】
特開2003−193587(JP,A)
【文献】
実公昭61−039763(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62−1/99
E04F 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の土台、大引き、根太、上枠、タテ枠、下枠及び垂木等の枠材と、
該枠材で区画された部分に挿設する、弾力性のある発泡プラスチック製の断熱材と、
該断熱材を固定する断熱材の保持具と、を備えた断熱材の保持構造であって、
前記保持具の形状は底部と突起部からなる円錐または多角錘であり、前記保持具の底部は前記枠材の側面に固着され、該底部から立設した円錐または多角錘の突起部全体が、前記断熱材の側面に抱着されていることを特徴とする断熱材の保持構造。
【請求項2】
前記保持具は、底部に前記枠材に固定するための固定手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の断熱材の保持構造。
【請求項3】
前記保持具は、前記枠材に固定するために、突起部の先端から底部を貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱材の保持構造。
【請求項4】
建物の土台、大引き、根太、上枠、タテ枠、下枠及び垂木等の枠材で区画された開口部の内側の対向する両端面に、底部と突起部からなる円錐または多角錘の保持具の底部を、接着剤で固着し、
弾力性のある発泡プラスチック製の断熱材を前記開口部に載置し、
前記断熱材を前記保持具の方向に押圧力を加えて押し下げて、前記断熱材の底面端部を前記保持具に当接し、
前記断熱材を更に押し下げて、前記保持具の突起部が当接した前記断熱材の側面が、前記突起部の外形形状に沿って順次圧縮と復帰を繰り返しながら、前記突起部全体を前記断熱材の側面で抱着し、
前記断熱材を所定位置まで更に押し下げて、前記断熱材が前記保持具を前記枠材に押付ける反力を維持した状態で前記断熱材を挿着する、
ことを特徴とする断熱材の保持具を用いた断熱材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の枠材で区画された部分に挿設する弾力性のある断熱材を固定する断熱材保持具及び該保持具を用いた断熱材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の床下断熱材の支持金具は、土台や大引きに固定する金具として、上方から係止片で被嵌するように帯状金属板にて下向きコ字状に形成した幅員部と側面部からなる本体と、この本体の左右両側板を外側方向に直角に折り曲げて形成した水平支持部とからなり、間隔をおいて配置された大引間に充填される断熱材を支持する断熱材の支持金具が開示されている(特許文献1参照。)。
【0003】
また、大引き、土台、根太などの横架材に装着され、板状断熱材を略水平方向に支持するのに使用される断熱材支持具であって、横架材の側端面に密着するように配置される垂直板部と、該垂直板部の下面から水平方向に延出された下方水平板部とを有し、下方水平板部には、垂直板部と下方水平板部との間に、荷重を受けるための補強部が形成されている断熱材支持具が開示されている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2006−257718号公報
【特許文献2】特開2009−30406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載の断熱材支持具は、根太や大引きの幅に適合する幅に形成された支持金具であり、根太等に跨設されるフルサイズと、片側に係設されるハーフサイズが開示されている。しかしながら、これらの支持金具は断熱材の厚みに対応した側面支持高さを有する支持金具や、根太等の幅に対応した支持金具を準備しなければならないという問題があった。
また、これらの断熱材支持具は、床面への断熱材施工に限定されるものであり、住宅の壁面や屋根裏への施工には適さないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、これらの問題を解決するために成されたものであり、住宅の床面、壁面、叉は屋根裏面に断熱材を適切に施工できる、断熱材保持具及び該保持具を用いた断熱材の施工方法を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の断熱材保持具(以下、保持具という)は、建物床面の土台、大引きや根太、壁面の上枠、タテ枠及び下枠、屋根裏の上枠及び垂木等の枠材で区画された部分に挿設する、少なくとも側面に弾力性を有する断熱材を固定する保持具である。該保持具は、前記枠材の側面に固着される底部と、該底部から立設した中実体叉は中空体の突起部より構成されている。
【0008】
本発明の保持具は、平面状の底部を有し、該底部から立設した中実体叉は中空体の突起部が、該底部から先端に向かって、漸次小径に形成されている。
【0009】
本発明の保持具は、平面状の底面に、建物床面の土台、大引き及び根太、壁面の上枠、タテ枠及び下枠、屋根裏上枠及び垂木等の枠材で区画された部分に固定するための固定手段が設けられている。該固定手段は、接着剤の塗布、両面に接着剤を有する剥離紙等が用いられる。
【0010】
本発明の保持具は、前記枠材に固定するために、中実体の突起部の先端から底面を貫通する貫通孔が設けられている。該貫通孔に別途準備した釘、ネジ等を用いて前記枠材に打設叉は螺設する。なお、底面に接着剤の塗布叉は両面に接着剤を有する剥離紙を併用すれば、釘、ネジ等で固定する際に、手等で前記保持部を保持する手間が省けるので、前記枠材への保持具の固定が容易となる。
【0011】
本発明の保持具を用いた断熱材の施工方法は、前記枠材で区画された部分の、前記断熱材の側面と当接する両側面に、所定個数の保持具の底面を固着し、前記断熱材を前記枠内に載置して前記断熱材の両側面が前記保持具の突起部全体を拘持するように挿入し、前記断熱材の弾力により前記保持具の突起部全体を前記断熱材内部に拘持して固定し、前記枠材と前記断熱材側面とを隙間無く取付ける、保持具を用いた断熱材の施工方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の保持具は、平面状叉はドーナツ状の底部を有し、該底部から立設した突起部が、該底部から先端に向かって、漸次小径に形成されている。これにより、建物床面の土台、大引き及び根太、壁面の上枠、タテ枠及び下枠、屋根裏の上枠及び垂木等の枠材で区画された部分に適用することが可能であり、非常に汎用性の高い保持具として使用することができる。
【0013】
本発明の保持具は、平面状の底面に、接着剤の塗布叉は両面に接着剤を有する剥離紙が貼付されるので、枠材の材質として木材や金属等を問わず、広範囲に使用することができる。また、突起部の先端から底面を貫通する貫通孔が設けられているので、貫通孔に別途準備した釘、ネジ等を用いて前記枠材に打設叉は螺設すれば、保持具と断熱材をより強固に保持することができる。さらに、本発明の保持具を用いた断熱材の施工方法によれば、前記枠材と前記断熱材側面とを隙間無く取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】 本発明に係る保持具と、断熱材及び枠材との位置関係を示した斜視図である。
【
図2】 本発明に係る保持具の実施形態の一例を示したもので、(a)は平面図(b)は正面図である。
【
図3】 本発明に係る保持具の他の実施形態を示したもので、(a)は平面図(b)は正面断面図である。
【
図4】 本発明に係る保持具の他の実施形態を示したもので、(a)は平面図(b)は正面断面図である。
【
図5】 本発明に係る保持具の他の実施形態を示したもので、(a)は平面図(b)は正面図である。
【
図6】 本発明に係る保持具を枠材に挿入する過程を示した主要部断面図であり、(a)は枠材開口部に載置した状態、(b)は断熱材の底面端部が保持具に当接した状態、(c)は断熱材の側面に保持具全体が抱着された状態、(d)は枠材内に断熱材が装着された状態を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図1は木造軸組工法における一般的な床組に断熱材を施工する場合の各部材の位置関係を示した斜視図である。床面に用いる枠材には、土台、大引き、根太叉は下枠等があり、壁面に用いる枠材には土台、上枠、タテ枠叉は下枠等があり、天井面に用いる枠材には、上枠叉は垂木等がある。
図1において、1は断熱材保持具、10は土台、11は長尺側の大引き、12は短尺側の大引き、(以下、土台、長尺側の大引き、短尺側の大引きを、枠材という場合がある)、13は断熱材である。前記断熱材13は前記枠材で区画された空間に挿着され、保持具1で固定される。
【0016】
前記断熱材13は、弾性を有する発泡プラスチック製で、所定厚さを有する長方形(正方形を含む)に形成されており、少なくとも断熱材端面13a(以下、端面という)は枠材や保持具1に当接して押圧すると圧縮されて変形するが、押圧力を取り除くと原形に復帰するように形成されている。
【0017】
図2は、本発明に係る保持具の実施形態の一例を示したものであり、
図3〜
図5は、本発明に係る保持具の他の実施形態を示したものである。なお、同一部材は同一符号を付与している。
【0018】
図2において、保持具1は、底部2と、該底部2から立設した突起部3からなる中実の円錐形に形成されており、円錐の稜線は直線である。なお、円錐の稜線を曲線としてもよい。前記保持具1の突起部を円錐形とする理由は、断熱材13を枠材の区画内に挿着するときに、断熱材13の側面13aを、前記保持具1の突起部3に沿って円滑に変形させるためである。前記保持具1の材質は、断熱材13より硬度が高く該断熱材13を保持することが可能であるもので、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミ等の金属や、各種プラスチックを用いることができる。以下、他の実施形態においても保持具の材質は同様である。なお、断熱材13の板厚は使用用途や箇所により10mm〜100mmのものがあり、これに対応して前記保持具1の底部2の直径は5〜50mm、突起部の高さは5〜10mmとすることが望ましい。前記底部2には、枠材に固着するための固着手段5として固着時に接着剤を塗布しても良く、両面に接着剤が付着した剥離紙を予め貼付してもよい。
【0019】
図3において、保持具1aは、ドーナツ状の底部2aと、該底部2aから立設した突起部3aからなる中空の円錐形に形成されており、円錐の稜線は直線である。なお、円錐の稜線を曲線としてもよい。前記ドーナツ状の底部2aには、枠材に固着するための固着手段5aとして固着時に接着剤を塗布しても良く、両面に接着剤が付着したドーナツ状の剥離紙を予め貼付してもよい。なお、保持具の材質、寸法等については、前記した実施形態の一例と同一である。
【0020】
図4において、保持具1bは、貫通孔4を有する底部2bと、該底部2bから立設した突起部3bからなる中実の円錐形に形成されており、円錐の稜線は直線である。なお、円錐の稜線を曲線としてもよい。前記保持具1bは突起部3bの頂点から底部2bを垂直に貫通する貫通孔4が設けられており、該貫通孔4に、別途用意した釘叉はネジ等で枠材に固着することで、保持具1b及び断熱材13を、枠材に強固に固着することができる。前記底部2aには、枠材に固着するための固着手段5aとして固着時に接着剤を塗布しても良く、両面に接着剤が付着した剥離紙を予め貼付してもよい。なお、保持具の材質、寸法等については、前記した実施形態の一例と同一である。
【0021】
図5において、保持具1cは、底部2cと、該底部2cから立設した突起部3cからなる中実の八角錐に形成されており、円錐の稜線は直線である。また、
八角錐に限定されるものではなく、
三角錘以上であればよく、稜線を曲線してもよく、中空の突起部としてもよい。なお、枠材に固着するための固着手段5cとして固着時に接着剤を塗布しても良く、両面に接着剤が付着した剥離紙を予め貼付してもよい。保持具の材質、寸法等については、前記した実施形態の一例と同一である。
【0022】
図6は、本発明に係る保持具を枠材に挿入する過程を示した主要部断面図であり、
図2に示す保持具1を用いて説明する。
【0023】
図6(a)は、枠材の開口部に断熱材13を載置した状態を示したものである。11は長尺側大引き、12は短尺側大引き、13は断熱材、1は断熱材保持具である。保持具1の底部2は、長尺大引き11の内側が対向する両端面に各4個が接着材等で固着されている。前記断熱材13の寸法は、通常、工場生産時に決定されているが、施工現場において寸法の修正が必要な場合は、ノコギリ等の切断具で所定寸法に切断が可能なものである。
【0024】
図6(b)は、矢印に示す方向に断熱材13を押し下げる方向に押圧力を加えて、断熱材13の底面端部13bが保持具1に当接した状態を示したものである。
【0025】
図6(c)は、断熱材13の側面13aに保持具1全体が抱着された状態を示したものである。前記断熱材13を矢印に示す方向に更に押し下げると、保持具1の突起部3が当接した断熱材13の側面13aが、突起部3の外形形状に沿って順次圧縮と現状復帰を繰り返しながら、前記突起部3全体を前記断熱材13の側面13aに
抱着した状態となり、前記断熱材13は前記保持具1を前記長尺大引き11に押付ける方向の反力を維持している。
【0026】
図6(d)は枠材内の所定位置に断熱材13が装着された状態を示したものである。前記断熱材13を所定位置(長尺側大引き11の上面と同一面)まで更に押し下げると、保持具1の突起部3の位置が、断熱材側面13aを更に下側に移動する。これにより、前記断熱材13は前記保持具1を前記長尺側大引き11に押付ける反力を維持した状態で挿着されているので、前記断熱材13を強固に前記長尺側大引き11等で区画された枠体内に固着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本願発明の断熱材保持具は、枠材の材質として木材や金属等を問わず、建物床面の土台、大引き及び根太、壁面の上枠、タテ枠及び下枠、屋根裏の上枠及び垂木等の枠材で区画された部分に適用することが可能であり、非常に汎用性の高い保持具として適用することが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1、1a、1b、1c 断熱材保持具
2、2a、2b、2c 底部
3、3a、3b、3c 突起部
4 貫通孔
5 固着部材(接着剤叉は両面剥離紙)
10 土台(枠材)
11 長尺側大引き(枠材)
12 短尺側大引き(枠材)
13 断熱材
13a 断熱材側面
13b 断熱材側面端部