【実施例】
【0014】
図1〜
図5は、本発明の実施例を示す。
【0015】
最初に、部品について説明する。
【0016】
供給の対象となる部品は、フランジやボルト頭部のようなヘッド部材に軸やボルト軸のような軸部が一体化されている。
図5(A)に示すように、部品1は、頭部である円形のフランジ2と、丸棒状の軸部3が一体化されている。また、
図5(B)に示すように、部品1はボルトであり、頭部であるヘッド部材2が六角形で、軸部3には雄ねじが形成されている。
図5(A)に示す部品1は、リベットであり、複数の板材の下孔に挿入してから、かしめ変形をさせて板材の結合を行うものである。この実施例では、リベット1が供給対象であるが、部品1と表現している箇所もある。
【0017】
つぎに、部品供給装置の本体部材について説明する。
【0018】
部品供給装置全体は、符号100で示されている。本体部材4は、ステンレス鋼製の直方体をなした素材に各部構造を形成したものであり、部品1が送給される供給通路5が斜め方向に形成してある。パーツフィーダ6から伸びている供給管7が、供給通路5の入口側端部に結合してあり、供給通路5の出口側端部が出口箇所8とされている。部品1は、パーツフィーダ6で吹き込まれた搬送空気によって本体部材4へ移送される。符号9は、空気噴射管を示している。供給管7は、本体部材4の進退動作に順応させるために、ポリプロピレン樹脂のような可撓性のある合成樹脂製ホースで構成されている。
【0019】
図1(A)の左右方向に、断面円形の孔で構成した進入路10が設けられ、その右端側から加圧ロッド12が進入しており、進入路10の左端側は供給通路5に連通している。供給通路5の移送方向と、進入路10の長手方向の交差角度が鋭角になっている。加圧ロッド12は、進退可能な状態で進入路10に挿入してあり、出口箇所8から突き出る箇所まで進出する。加圧ロッド12を進退させる加圧手段として、エアシリンダ13が本体部材4に取り付けてある。加圧手段にも符号13が付してある。
【0020】
本体部材4は、エアシリンダ14によって進退可能な状態とされている。エアシリンダ14は、装置100の機枠などで形成された静止部材15に取り付けてあり、そのピストンロッド16が本体部材4に固定した結合
部材17に固定してある。通常、本体部材4のような大きな部材を進退させるときには、ピストンロッド16以外に、本体部材4の荷重をささえるガイドロッドが採用されるのであるが、ここではガイドロッドの図示は省略してある。
【0021】
つぎに、チャック部材について説明する。
【0022】
チャック部材18は、出口箇所8に接近させて配置してあり、供給通路5を通過してきたリベット1を受け止める。
図3(C)に示すように、チャック部材18は、第1部材18Aと第2部材18Bで構成されているとともに、第1部材18Aの端面19Aと第2部材18Bの端面19Bが開閉する。リベット1を受け入れる保持孔20は、構造的には、2つの円弧溝が合体して、断面円形の孔が形成される。具体的には、第1部材18Aの端面19Aに設けた断面半円形の円弧溝20Aと、第2部材18Bの端面19Bに設けた断面半円形の円弧溝20Bが合致して形成される。
【0023】
保持孔20には、リベット1のヘッド部材、すなわちフランジ2を係止する係止部22と、リベット1の軸部3が貫通する通過部23が形成されている。ここでの係止部22は、フランジ2の外周角部が線接触するテーパ孔によって構成され、このテーパ孔にも符号22が付してある。テーパ孔22は、円弧溝20Aと20Bの出口箇所8側に形成してあり、テーパ形状の溝が合致して形成される。
【0024】
また、通過部23には軸部3が貫通する。通過部23は、2つの円弧溝を合致させた断面円形の真っ直ぐな孔によって構成されているもので、具体的にはその配置箇所は、出口箇所8とは反対側の円弧溝20Aと20Bに形成してある。
【0025】
つぎに、チャック部材の開閉機構について説明する。
【0026】
チャック部材18の開閉機構としては、第1部材18Aと第2部材18Bを直線的に往復させて開閉する方式や、第1部材18Aと第2部材18Bを円弧方向に揺動させて開閉する方式など、種々なものが採用できる。
図2に示した事例は、前者の直線的往復の方式である。開閉機構全体は、符号21で示されている。
【0027】
進退手段であるエアシリンダ25の進退動作を、この進退方向に直交する方向の開閉動作に変換して、第1部材18Aと第2部材18Bを直線方向に開閉する。このような変換機構として、ここでは「く」字型の揺動アーム26A、26Bを利用している。揺動アーム26A、26Bは、静止部材27に軸28A、28Bを介して枢着してある。エアシリンダ25で進退する連動部材29と、揺動アーム26A、26Bがピン30A、30Bと連動部材29に設けた長孔31A、31Bを介して連結してある。静止部材27に支持された進退部材32A、32Bと、揺動アーム26A、26Bが、ピン33A、33Bと長孔34A、34Bを介して連結してある。進退部材32A、32Bに、第1部材18Aと第2部材18Bが結合してある。図示のように、端面19Aと19Bが密着して、保持孔20が形成される。
【0028】
図2において、揺動アーム26A、26Bと、長孔31A、31B、34A、34Bが重なっている部分も、鎖線ではなく実線で示してあるが、これは見やすくするための実線図示である。
【0029】
開閉機構21は、結合部材35を介して本体部材4に取り付けてある。したがって、エアシリンダ14によって本体部材4が進退すると、本体部材4、開閉機構21、チャック部材18などが一体になって進退する。
【0030】
つぎに、リベットが送給される目的箇所について説明する。
【0031】
リベット1によって一体化される部材は、2枚の鋼板部品37であり、下孔38にリベット1を挿入して、かしめられる。鋼板部品37は、
図1(A)に2点鎖線で示した支持クランプ39によって固定され、この状態で下孔38と保持孔20、供給通路5の出口箇所8の近傍部分および進入路10が、中心軸線O−O上に位置している。
【0032】
つぎに、チャック部材の変形例を説明する。
【0033】
先に説明したチャック部材18は、リベット1のフランジ2をテーパ孔24のテーパ面で受け止めているが、
図4に示した変形例は、平面40で受け止めている。保持孔20は、軸部3が貫通する通過部23と、それよりも大径の大径孔41によって形成され、通過部23と大径孔41の境界部に平面40が形成してある。この平面40は、中心軸線O−Oと垂直な位置関係となる仮想平面上に存在している。
【0034】
ここでのチャック部材18は、支持ピン42A、42Bを中心にして円弧方向に開閉する。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の事例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0035】
つぎに、装置の動作を説明する。
【0036】
図1(A)に実線で示すように、パーツフィーダ6から、空気搬送でリベット1が供給通路5に送給されてくる。リベット1がさらに移送されて、保持孔20に入り込む。この入り込みの直後に、加圧ロッド12が進出してその先端で
図3(A)に示すように、フランジ2を加圧し、この加圧状態は継続する。この加圧状態でフランジ2の外周角部がテーパ孔24のテーパ面に接触し、軸部3は通過部23を貫通して、チャック部材18から所定の長さが突出する。この軸部3の突出長さは、符号Lで示されている。
【0037】
加圧ロッド12の加圧によって、リベット1とチャック部材18の相対位置が設定されるので、エアシリンダ14の進出長さを所定長さに設定することにより、突き出ている軸部3と下孔38の相対位置が所定どおりに正確に求められる。
【0038】
ここでエアシリンダ14の動作で、本体部材4、加圧ロッド12、チャック部材18、リベット1が一体になって進出すると、
図3(B)に示すように、リベット1は加圧ロッド12で押されたまま、軸部3の先端部がわずかに下孔38に入った所でエアシリンダ14の進出動作が停止する。
【0039】
つぎに、
図3(C)に示すように、チャック部材18の第1部材18Aと第2部材18Bが開閉機構21の動作で拡開すると、引き続いて加圧ロッド12の加圧力でリベット1が押し出されて、軸部3がさらに下孔38内に進入し、フランジ2が鋼板部品37の表面に当たった所で停止する。
【0040】
この後は、図示していないが、鋼板部品37がつぎの加工ステージに移行され、かしめ金型が動作して2枚の鋼板部品37の一体化がなされる。
【0041】
上述のように、リベット1、本体部材4、チャック部材18、加圧ロッド12などの相対位置が設定された状態で、リベット1が本体部材4、チャック部材18、加圧ロッド12などとともに下孔38へ送給された位置において、チャック部材18の第1部材18Aと第2部材18Bが拡開して、加圧ロッド12の進出力によってリベット1が送出される。
【0042】
なお、
図4に示した変形例の動作も、
図3に示した動作と同じである。
【0043】
各エアシリンダに作動空気を給排する空気管の図示は、省略してある。
【0044】
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。
【0045】
上述の加圧ロッド12の動作、エアシリンダ13、14、25などの動作、搬送用空気の噴射などの動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。エアシリンダ14には、所定の進出ストロークを設定するセンサー43が取り付けられている。エアシリンダ13には、センサー44、45、46が取り付けられ、センサー44によるリベット1の有無検知、センサー45による所定加圧力の設定、センサー46による加圧ロッド12の復帰位置の検知などがなされている。
【0046】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0047】
本体部材4にリベット1の供給通路5と加圧ロッド12の進入路10が形成され、進入路10は供給通路5に連通しており、供給通路5の出口箇所8に第1部材18Aと第2部材18Bから成るチャック部材18が接近させてあり、チャック部材18に2つの円弧溝20A、20Bを合致させた保持孔20が形成され、保持孔20の係止部22にリベット1のフランジ2が係止され、加圧ロッド12によってリベット1を加圧状態に維持し、チャック部材18に対するリベット1の相対位置が設定されている。このような構成によって、リベット1と、本体部材4、チャック部材18、加圧ロッド12などとの相対位置が変化することなく、一体的になって送出される。この送出の後、チャック部材18の第1部材18Aと第2部材18Bが拡開し、継続的に作用している加圧ロッド12の押出し力によって、リベット1は下孔38まで送給される。
【0048】
したがって、リベット1は加圧ロッド12で加圧されてチャック部材18の係止部22に受け止められ、リベット1とチャック部材18との相対位置が正確に設定される。とくに、リベット1の軸部3がチャック部材18から突出している長さLが、所定の長さに正確に設定される。このような状態でリベット1、本体部材4、チャック部材18、加圧ロッド12などの相対位置が変化せずに進出することによって、リベット1は正確に下孔38へ到達し、移動精度が高くて信頼性の高い部品供給装置100がえられる。換言すると、リベット1、本体部材4、チャック部材18、加圧ロッド12などの相対位置を変化させない状態で部品送出がなされ、その後、チャック部材18と加圧ロッド12だけが動作するので、リベット1の保持位置を狂わせる要素がなく、移動精度が高くて信頼性の高い部品供給装置100がえられる。
【0049】
保持孔20には、リベット1のフランジ2を係止する係止部22と、リベット1の軸部3が貫通する通過部23が形成され、この保持孔20にリベット1が挿入されて、係止部22に対するフランジ2の押し付けや、通過部23における軸部3の貫通支持がなされる。このようなリベット支持によって、何らかの外力がリベット1に作用しても、リベット1とチャック部材18の相対位置が容易に狂ったりしないので、リベット1の保持位置が正確に維持されて、鋼板部品37の下孔38に対する部品送給が高精度のもとで達成される。
【0050】
本体部材4は、進退可能な状態で配置されており、この本体部材4に加圧ロッド12の加圧手段、すなわちエアシリンダ13やチャック部材18の開閉機構21が取り付けてある。したがって、本体部材4が中核的な部材になって、可動性のある加圧手段13やチャック部材18の開閉機構21が一体化されている。したがって、チャック部材18と本体部材4の相対位置が狂わないように、チャック部材18が取り付けられ、チャック部材18に保持されたリベット1に対して、加圧ロッド12が正確に突き当たり、信頼性の高い部品供給装置100がえられる。
【0051】
リベット1の供給通路5の移送方向と、この供給通路5に進入する加圧ロッド12の進入路10の長手方向の交差角度が、鋭角になっているので、本体部材4の内部構造がコンパクト化され、本体部材4の小型化にとって効果的である。
【0052】
供給方法の実施例の効果は、部品供給装置のそれと同じである。