特許第6857791号(P6857791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857791
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】ストッパ部材を備えた部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20210405BHJP
   B23K 11/14 20060101ALN20210405BHJP
【FI】
   B23P19/06 A
   !B23K11/14 310
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-12037(P2018-12037)
(22)【出願日】2018年1月9日
(65)【公開番号】特開2019-119036(P2019-119036A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】512035918
【氏名又は名称】青山 省司
(72)【発明者】
【氏名】青山 好高
(72)【発明者】
【氏名】青山 省司
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−201526(JP,A)
【文献】 特開2010−214465(JP,A)
【文献】 特開平07−215429(JP,A)
【文献】 特開2000−343341(JP,A)
【文献】 特開2003−145281(JP,A)
【文献】 米国特許第04242793(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00−21/00
B23K 11/00−11/36
B65G 47/00−47/20;47/80;
47/84−47/86;47/90−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ロッドを収容するガイド管の外側部に形成した取り付け平面と、ガイド管に固定した固定部材との間にストッパ部材の挿入空間が形成され、
ストッパ部材は、その挿入部が挿入空間に挿入され、取り付け平面に加圧された状態でガイド管に固定され、
ガイド管に結合した部品の供給管とストッパ部材とガイド管の端部によって、供給ロッドの進出側が開放された仮止室が形成され、
ストッパ部材には、部品を供給管の延長方向とされた吸引軸線に沿って所定の正規位置に吸引する一時係止用の磁石が配置され、
ストッパ部材における磁石の配置位置は、ストッパ部材が正常な向きで挿入空間に挿入されているとき、吸引軸線上とされるように設定され、
ストッパ部材の挿入部とは反対側の箇所に、部品がストッパ部材を擦りながら送出される側とは反対側に突出した状態で、挿入空間への挿入を不可とする突起部材が設けられ、突起部材が設けられた部分のストッパ部材の厚さ寸法は、挿入空間の空間幅方向の空間寸法よりも、大きく設定されていることを特徴とするストッパ部材を備えた部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、仮止室に進入してきた部品をストッパ部材で受け止めて一時係止し、この部品を供給ロッドに保持して目的箇所へ供給する形式のストッパ部材を備えた部品供給装置に関している。
【背景技術】
【0002】
実開平3−2387号公報には、本特許願に添付した図3および図4に示した部品供給装置が記載されている。
【0003】
図3および図4に記載した部品供給装置について、詳しく説明する。
【0004】
ここで供給される部品は、四角い本体部の中央にねじ孔が形成され、本体部の四隅に溶着用突起が設けられたプロジェクションナット1である。以下の説明において、プロジェクションナットを単にナットと表現する場合もある。
【0005】
断面円形のガイド管2が機枠などの静止部材3に固定してある。ガイド管2内に、供給ロッド4が進退可能な状態で収容されている。供給ロッド4には、ガイド管2内を摺動する大径部5と、大径部5よりも小径でナット1のねじ孔に進入するガイドロッド6が設けてある。大径部5とガイドロッド6の境界部に、ナット1を押し出す押圧面7が形成してある。
【0006】
ガイド管2の端部に、ガイド管2の軸線方向に直交する状態でナット1の供給管8が溶接してある。供給管8は、ナット1を導くのに適した矩形断面の管部材が使用してある。供給管8の延長方向側に、厚板状のストッパ部材9が配置してある。供給管8とストッパ部材9とガイド管2の端部によって、供給ロッド4の進出側が開放された仮止室10が形成されている。供給管8は、パーツフィーダ11に接続してある。
【0007】
図3(B)に示すように、ガイド管2の外側に形成した取り付け平面12と、ガイド管2に溶接した固定部材13との間に、ストッパ部材9の挿入空間14が形成されている。ストッパ部材9の端部近傍の部分が挿入部15とされ、この挿入部15を挿入空間14に差し込んで固定ボルト16を締め込んである。こうすることによって、取り付け平面12にストッパ部材9が加圧された状態で固定されている。
【0008】
固定ボルト16は、固定部材13に設けたねじ孔17にねじ込まれるもので、固定ボルト16を締め込むことによって、ストッパ部材9が取り付け平面12に加圧されて、固定状態となる。
【0009】
ストッパ部材9には、ナット1を所定の正規位置に吸引する一時係止用の磁石18が配置されている。この磁石18は、供給管8の延長方向に配置され、ナット1は、仮止室10内の所定の箇所に吸引されて停止する。磁石18は電磁石でもよいが、ここでは永久磁石である。ナット1が正しい位置に吸引されてゆく挙動が、吸引軸線O−Oで示されている。磁石18は、厚板19に設けた窪み20内に嵌め込まれ、その上にカバー板21が溶接してある。
【0010】
ストッパ部材9が伸び出ている箇所に磁石18と同様な磁石22が配置してある。この磁石22の取り付け構造は、磁石18と同じである。磁石22は、ナット1が送出されるときに、供給ロッドで弾き飛ばされないようにする機能を果たしている。
【0011】
ガイドピン23を有する固定電極24上に鋼板部品25が載置され、鋼板部品25から突き出ているガイドピン23にナット1が供給される。ナット1は、供給ロッド4の進出によって行われる。なお、符号26は、可動電極である。
【0012】
供給管8からのナット1は、吸引軸線O−Oに沿って移送され、吸引軸線O−O上に配置してある磁石18に吸引されて一時係止の状態になる。このときには、ねじ孔とガイドロッド6とが同軸上に位置している。ここで供給ロッド4が進出すると、ガイドロッド6がねじ孔を貫通し、その後、押圧面7がナット1の上面を押して、ナット1はカバー板21を擦りながら送出される。このときには、磁石22の吸引によって、上記カバー板21への擦り状態が維持され、ナット1が供給ロッド4の進出衝撃で弾き飛ばされないようになっている。このようにして送り出されたナット1がガイドピン23に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開平3−2387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記特許文献1に記載されている技術においては、厚板状のストッパ部材9の挿入部15の方を挿入空間14に差し込めば、磁石18が吸引軸線O−O上に配置されるのであるが、図3(A)に2点鎖線で示すように、ストッパ部材9の向きが逆になった状態で差し込まれると、吸引軸線O−O上に磁石18が位置しないこととなり、ナット1の正常な一時係止が不可能となる。
【0015】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、ストッパ部材に逆向きの挿入を防止する形状を付与した、ストッパ部材を備えた部品供給装置である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1記載の発明は、
供給ロッドを収容するガイド管の外側部に形成した取り付け平面と、ガイド管に固定した固定部材との間にストッパ部材の挿入空間が形成され、
ストッパ部材は、その挿入部が挿入空間に挿入され、取り付け平面に加圧された状態でガイド管に固定され、
ガイド管に結合した部品の供給管とストッパ部材とガイド管の端部によって、供給ロッドの進出側が開放された仮止室が形成され、
ストッパ部材には、部品を供給管の延長方向とされた吸引軸線に沿って所定の正規位置に吸引する一時係止用の磁石が配置され、
ストッパ部材における磁石の配置位置は、ストッパ部材が正常な向きで挿入空間に挿入されているとき、吸引軸線上とされるように設定され、
ストッパ部材の挿入部とは反対側の箇所に、部品がストッパ部材を擦りながら送出される側とは反対側に突出した状態で、挿入空間への挿入を不可とする突起部材が設けられ、突起部材が設けられた部分のストッパ部材の厚さ寸法は、挿入空間の空間幅方向の空間寸法よりも、大きく設定されていることを特徴とするストッパ部材を備えた部品供給装置である。
【発明の効果】
【0017】
ストッパ部材の挿入部とは反対側の箇所に、挿入空間への挿入を不可とする突起部材が設けられている。このため、誤ってストッパ部材を逆向きに挿入空間へ挿入しようとしても、突起部材の箇所が挿入空間に進入することができないので、作業者は、逆向きであることに気付き、誤組み付けを防止することができる。
【0018】
さらに、突起部材の突出方向を一定方向に定めておくことにより、ストッパ部材の表裏を識別することができ、表裏方向の誤組み付けを防止することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】装置の断面図である。
図2】ストッパ部材の立体図である。
図3】従来構造を示す断面図である。
図4図3の(4)−(4)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明に係るストッパ部材を備えた部品供給装置を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0021】
図1および図2は、本発明の実施例を示す。
【0022】
本実施例において、従来構造である図3および図4の構造と共通している部分には、同じ符号を記載して従来構造の説明を援用し、図3および図4の構造以外の新規な部分だけを説明する。なお、パーツフィーダ11と電極24、26まわりの構造は、図示を省略してある。
【0023】
ストッパ部材9の厚板19に、突起部材27が設けてある。この突起部材27は、挿入部15とは反対側の端部またはその近傍に設けたもので、カバー板21とは反対側に向って突出している。挿入空間14の空間幅方向の空間寸法は、符号L1で示されている。また、突起部材27が設けられた部分の厚さ方向の厚さ寸法は、符号L2で示されている。そして、厚さ寸法L2は、空間寸法L1よりも大きく設定してある。ここでは、L1が5mm、L2が7.5mmとされている。このような寸法取りによって、挿入空間14への挿入を不可としている。
【0024】
突起部材27の具体的な形状としては種々なものが採用できる。図2(A)に示した形状は、図1のものであり、厚板19の端部に幅方向にわたって細長い突起を形成したものである。
【0025】
図2(B)に示す事例は、円形の突起形状とされたもので、厚板19の端部近くに設けてある。
【0026】
図2(C)に示す事例は、磁石18が1個だけで、細長い幅方向の突起が厚板19の端部近傍に幅方向にわたって設けてある。そして、上記3つの事例はそれぞれカバー板21とは反対側に突出している。
【0027】
図3に示した従来構造では、固定部材13とストッパ部材9の表面の間に空隙が存在しているが、図1に示した実施例では、このような空隙はない。図1の場合は、挿入空間14の空隙とストッパ部材9の厚さがわずかに異なっているので、上記空隙は図面上表れていない。図1においても、ストッパ部材9は取り付け平面12に加圧されている。
【0028】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0029】
ストッパ部材9の挿入部15とは反対側の箇所に、挿入空間14への挿入を不可とする突起部材27が設けられている。このため、誤ってストッパ部材9を逆向きに挿入空間14へ挿入しようとしても、突起部材27の箇所が挿入空間14に進入することができないので、作業者は、逆向きであることに気付き、誤組み付けを防止することができる。
【0030】
さらに、突起部材27の突出方向を一定方向に定めておくことにより、ストッパ部材9の表裏を識別することができ、表裏方向の誤組み付けを防止することも可能となる。カバー板21の反対側に向って突起部材27を突出させることにより、外側から突起部材27が目視できるようにストッパ部材9を取り付けて、表裏方向の誤組み付け発見が行いやすくなり、装置の正常な動作にとって有益である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
上述のように、本発明の装置によれば、ストッパ部材に逆向きの挿入を防止する形状を付与し、ストッパ部材の誤組み付けを防止する。したがって、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 部品、プロジェクションナット
2 ガイド管
4 供給ロッド
6 ガイドロッド
7 押圧面
8 供給管
9 ストッパ部材
10 仮止室
12 取り付け平面
13 固定部材
14 挿入空間
15 挿入部
18 磁石
19 厚板
21 カバー板
27 突起部材
L1 空間寸法
L2 厚さ寸法
O−O 吸引軸線
図1
図2
図3
図4