(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スタッカークレーンの経路に沿って配置される複数の保管棚を備えるスタッカークレーン型の自動倉庫のうち、前記保管棚に物品を保管する際に当該自動倉庫の内部空間のみで使用される多層構造の収容ラックに前記物品を載置または収容して前記保管棚に保管するものであって、
少なくとも一つの前記保管棚を、空荷の前記収容ラックを検査する検査ステーションとする自動倉庫。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第一実施形態について、
図1〜
図10を用いて説明する。本実施形態にかかる自動倉庫1は、選別集合装置4を通過してきた卵Eを一時的に保管するためのものである。
【0020】
選別集合装置4は、
図1及び
図2に示すように、卵EをX方向に搬送する供給コンベヤ(図示せず)と、この供給コンベヤに直交するY方向に卵Eを搬送する分配コンベヤ41とを備える。この分配コンベヤ41により搬送される卵Eは、等階級別に所定の選別集合場所42に選別集合されてトレイTに充填される。分配コンベヤ41は、例えば単列のコンベヤであり、当該分配コンベヤ41の搬送経路上の所定位置で卵Eをバケット(図示せず)に向けて等階級別に選別放出するものであり、卵EはここでトレイTに収容される。
【0021】
卵Eが収容されたトレイTは、よく知られた段積み装置5を用いて複数段積みされる。段積みされた一山のトレイ(以下、本明細書では「段積みされたトレイS」または「トレイS」と示す。図では四角の中に×を付して示す。)は、前記選別集合場所42から次工程へ搬送する入庫コンベヤ6により自動倉庫1へと搬送される。入庫コンベヤ6は、前記それぞれの集合区画に対応して設けられており、各入庫コンベヤ6の搬送経路と前記分配コンベヤ41の搬送方向(Y方向)とは直交する。
【0022】
自動倉庫1は、前記入庫コンベヤ6から卵Eの収容されたトレイSを受け取り、トレイSを一時的に保管するものである。この自動倉庫1は、壁11で仕切られた構造となっており、その内部空間12にスタッカークレーン13の経路14に沿って配置される複数の保管棚16を備える。自動倉庫1は、この保管棚16が垂直方向及び水平方向に多数備えられた一対の固定ラック1A、1Bがスタッカークレーン13の走行経路14の両側に配置されている。
【0023】
固定ラック1A、1Bの各保管棚16は、卵Eを収容した複数のトレイSを積み込み可能な収容ラック9が載せ置かれるものである。
【0024】
固定ラック1Aの保管棚16には、前記各入庫コンベヤ6から搬送されてきたトレイSを受け入れる入庫ステーション17及び入庫ステーション17に搬入された前記トレイSを前記収容ラック9へ積み込む入庫側の移載装置2が設けられている。入庫ステーション17は、
図1に示すように、隣接する2つ分の保管棚16にわたって形成されたものであり、この一つの空間内に、トレイSを積み込むための収容ラック9と入庫側の移載装置2が配置される。この固定ラック1Aの保管棚16でもある入庫ステーション17に、前記収容ラック9が収容された状態で、前記トレイSを前記収容ラック9へ積み込む作業を行う。なお、
図1では、入庫ステーションに色を付けて示している。
【0025】
入庫側の移載装置2は、自動で収容ラック9にトレイSを詰め込む装置(ラックイン)である。本実施形態の入庫側の移載装置2は、
図3及び
図4に示すように、前記入庫コンベヤ6に接続された搬入コンベヤ21から段積みされたトレイSが送り込まれる積込テーブル22と、この積込テーブル22とともに収容ラック9の各段に対応する高さまで昇降するエレベータ23と、前記積込テーブル22上に載った複数山の段積みされたトレイSを収容ラック9側へ押し出す積込アーム24とを主体に構成されている。なお、
図2及び
図8〜
図10では、入庫側の移載装置2の配置場所を斜線で示している。
【0026】
固定ラック1Bの保管棚16には、次工程に送り込むべき卵Eを収容したトレイSを待機させる出庫ステーション18及び出庫ステーション18から出庫する前記トレイSを前記収容ラック9から荷下ろしする出庫側の移載装置3が設けられている。出庫ステーション18は、
図1に示すように、隣接する3つ分の保管棚16にわたって形成されたものであり、この一つの空間内に、トレイSを荷下ろしするための収容ラック9と、この収容ラック9を間に挟むようにして出庫側の移載装置3が配置される。この固定ラック1Bの保管棚16でもある出庫ステーション18に、前記収容ラック9が収容された状態で、前記トレイSを前記収容ラック9から荷下ろしする作業を行う。なお、
図1では、出庫ステーションに色を付けて示している。
【0027】
出庫側の移載装置3は、例えば、特開2002−104661号公報などで示されるような、自動で収容ラック9からトレイSを押し出す装置(ラックアウト)である。本実施形態の出庫側の移載装置3は、
図5及び
図6に示すように、収容ラック9内から段積みされたトレイSを受け取る受取テーブル31と、この受取テーブル31へ向けて収容ラック9内のトレイSを送り込む押出アーム32と、この押出アーム32とともに収容ラック9の各段に対応する高さまで昇降する押出側エレベータ33と、前記受取テーブル31とともに収容ラック9の各段に対応する高さまで昇降する受取側エレベータ34と、前記受取テーブル31上に載った複数山のトレイSを搬出コンベヤ36側へ受け渡す払い出しアーム35と、前記受取テーブル31からトレイSを受け取り次工程へ受け渡す搬出コンベヤ36とを主体に構成されている。なお、
図2及び
図8〜
図10では、出庫側の移載装置3の配置場所を斜線で示している。
【0028】
本実施形態の自動倉庫1は、複数の入庫ステーション17と、複数の出庫ステーション18を備えており、各入庫/出庫ステーション17、18が取り扱う卵Eの等階級を個別に設定できる。
【0029】
収容ラック9は、
図7に示すように、段積みされたトレイSを複数山載置可能な多層構造のものである。本実施形態の収容ラック9は、前記複数の保管棚16で仕切られた内部空間12のみで使用されるものである。この収容ラック9は、段積みされたトレイSを側方から出し入れするための開放面91以外がラック側壁92で囲まれたものであり、下面側にスタッカークレーン13のフォーク(図示せず)を差し込むことができる差込口93が形成されている。
【0030】
スタッカークレーン13は、
図1、
図2及び
図8〜
図10に示すように、固定ラック1A、1Bの一の保管棚16から他の一の保管棚16へ収容ラック9を移載するためのものである。スタッカークレーン13は、前記分配コンベヤ41の搬送経路と平行になるように配置された走行経路14に沿って移動可能であるとともに、昇降移動も可能である。スタッカークレーン13は、前記保管棚16に沿って移動する向きの両側に側壁15を備えており、前記収容ラック9を移動させる際に前記側壁15で前記収容ラック9の開放面91を塞ぐように前記収容ラック9が配置されるものである。
【0031】
以上説明した自動倉庫1は、
図1及び
図2に示すように、出庫されたトレイSを搬送する出庫コンベヤ7(一部に搬出コンベヤ36を含む)が接続されており、必要なときに所定等階級の卵Eを自動倉庫1から取り出すことができるようになっている。本実施形態では、この出庫コンベヤ7の下流側で、輸送用の収容ラック9に段積みされたトレイSを積み込む詰め替え用の移載装置8を備える。この詰め替え用の移載装置8は、前述した入庫側の移載装置2と同様の構成であるため詳細な説明を省略する。
【0032】
なお、出庫コンベヤ7の下流側に、トレイTに収容された卵Eを所定の包装容器に移し替える包装手段を備えてもよい。包装手段は、いわゆるリパッカーと呼ばれるこの分野でよく知られた種々のものを適用できる。
【0033】
この自動倉庫1は、制御装置(図示せず)により制御される。制御装置は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェースなどを有したマイクロコンピュータシステムである。
【0034】
以下、制御装置により制御された自動倉庫1の動作の一例を、
図8〜
図10を参照しながら説明する。
【0035】
まず、一の保管棚(図示せず)に保管してある空の収容ラックが、
図8に示すように、スタッカークレーン13を用いて入庫ステーション17に移載される。スタッカークレーン13で収容ラック9を移動させる際には、スタッカークレーン13の側壁15で収容ラック9の開放面91を塞ぐように当該収容ラック9を配置している。収容ラック9が入庫ステーション17に入ると、収容ラック9の開放面91が入庫側の移載装置2の積込テーブル22に対面するとともに、自動倉庫1の内側(間口側)にラック側壁92の一つが面する。
【0036】
この作業の後、またはこの作業に平行して、例えばMサイズの卵Eが30個収容されたトレイTが前記段積み装置5により6段に段積みされた状態で、入庫コンベヤ6から自動倉庫1内へと入庫される。その際、入庫ステーション17に設けられた入庫側の移載装置2の積込テーブル22上に、段積みされたトレイSが1山ずつ順に積み込まれる。段積みされたトレイSが4山揃うと、エレベータ23により収容ラック9の今回積み込むべき段に対応する高さまで移動する。そして、積込アーム24がトレイSを収容ラック9側へ押し出すことにより、トレイSの収容ラック9への積み込みが完了する。そして、
図9に示すように、この作業を収容ラック9の各段がトレイSでいっぱいになるまで繰り返す。
【0037】
次に、
図10に示すように、スタッカークレーン13を用いて入庫ステーション17にあるトレイSが積み込まれた収容ラック9を他の保管棚(図示せず)に移載する。スタッカークレーン13で収容ラック9を移動させる際には、スタッカークレーン13の側壁15で収容ラック9の開放面91を塞ぐように当該収容ラック9を配置している。収容ラック9が他の保管棚に入ると、収容ラック9の開放面91が保管棚16の側枠方向を向くとともに、自動倉庫1の内側(間口側)にラック側壁92の一つが面する。
【0038】
以上が、入庫する際の動きの一例である。次に、出庫する際の動きの一例を説明する。
【0039】
まず、他の保管棚に保管してあるトレイが積み込まれた状態の収容ラックが、スタッカークレーン13を用いて出庫ステーション18に移載されて、
図8に示すような状態となる。なお、スタッカークレーン13上での収容ラック9の配置方法は、前に述べたものと同様である。収容ラック9が出庫ステーション18に入ると、収容ラック9の開放面91が出庫側の移載装置3の受取テーブル31に対面するとともに、自動倉庫1の内側(間口側)にラック側壁92の一つが面する。
【0040】
この作業の後、押出アーム32と受取テーブル31がそれぞれ押出側エレベータ33と受取側エレベータ34により収容ラック9の今回荷下ろしするべき段に対応する高さまで移動する。そして、押出アーム32が4山ずつトレイSを受取テーブル31側へ押し出すことにより、トレイSの収容ラック9からの荷下ろしが完了する。そして、
図9及び
図10に示すように、この作業を収容ラック9の各段のトレイSがなくなるまで繰り返す。なお、空になった収容ラック9は、スタッカークレーン13を用いて出庫ステーション18から他の保管棚に移動させればよい。
【0041】
受取テーブル31上に置かれた4山のトレイSは、払い出しアーム35により搬出コンベヤ36(出庫コンベヤ7)側へ押し出され、6段に段積みされた状態で自動倉庫1から出庫される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の自動倉庫1は、スタッカークレーン13の経路14に沿って配置される複数の保管棚16を備えるものであって、前記各保管棚16は、卵Eを収容した複数のトレイSを積み込み可能な収容ラック9が載せ置かれるものであり、少なくとも一つの前記保管棚16(入庫ステーション17/出庫ステーション18)に前記収容ラック9が収容された状態で、前記トレイSを前記収容ラック9へ積み込む作業、及び、前記トレイSを前記収容ラック9から荷下ろしする作業を行う。
【0043】
これにより、積み込み作業をすべき空の収容ラック9を入庫ステーション17(保管棚16)に供給する作業、及び、荷下ろし作業をすべき収容ラック9を出庫ステーション18(保管棚16)に供給する作業を、自動倉庫1に備えられたスタッカークレーン13を用いて行うことができる。また、積み込み作業を終えた収容ラック9を所定の保管棚16へ格納する作業、及び、荷下ろし作業を終えた空の収容ラック9を所定の保管棚16へ格納する作業も、スタッカークレーン13を用いて行うことができる。
【0044】
すなわち、自動倉庫1にあるスタッカークレーン13を有効に活用することで、従来、すべて人手で行なっていた作業(例えば、入庫側の移載装置(ラックイン)や出庫側の移載装置(ラックアウト)に所定のかご車(収容ラック)を供給する作業、トレイが積み込まれた状態のかご車を運んで自動倉庫に入れる作業、及び、自動倉庫から取り出して運ぶ作業など)を省力化できる。これに伴い、かご車を移動させるのに必要な人手やその人件費、また、かご車を移動させるのに必要な設備やそのコストを抑えることができる。
【0045】
前記収容ラック9は、前記複数の保管棚16で仕切られた内部空間12のみで使用されるものである。そのため、自動倉庫1内を衛生的に保つことができ、卵Eという食品を取り扱う際には特に好ましい。また、入庫ステーション17に入れるための収容ラック9の外部からの補充や、出庫ステーション18から出庫した収容ラック9の回収の手間を省くことができる。
【0046】
入庫ステーション17に搬入された前記トレイSを前記収容ラック9へ積み込む入庫側の移載装置2を備え、前記入庫ステーション17及び入庫側の移載装置2は、前記保管棚16に設けられている。そのため、保管棚16に対して横向きに開口した収容ラック9に対してトレイSを積み込むことができる。また、自動倉庫1の壁11の内側に入庫側の移載装置2の主要部を収めてしまうことで、GPセンター内に機器の効果的な配置を行うことができ、全体の占有面積を減らすことに役立つ。
【0047】
出庫ステーション18から出庫する前記トレイSを前記収容ラック9から荷下ろしする出庫側の移載装置3を備え、前記出庫ステーション18及び出庫側の移載装置3は、前記保管棚16に設けられている。そのため、入庫側と同様に、保管棚16に対して横向きに開口した収容ラック9からトレイSを下ろすことができる。また、自動倉庫1の壁11の内側に出庫側の移載装置3の主要部を収めてしまうことで、GPセンター内に機器の効果的な配置を行うことができ、全体の占有面積を減らすことに役立つ。
【0048】
前記収容ラック9は、前記トレイSを側方から出し入れするための開放面91以外がラック側壁92で囲まれたものであり、前記スタッカークレーン13は、前記保管棚16に沿って移動する向きの両側に側壁15を備えており、前記収容ラック9を移動させる際に前記側壁15で前記収容ラック9の開放面91を塞ぐように前記収容ラック9が配置される。
【0049】
この収容ラック9は段積みされたトレイS、という安定性の高くない物品を収容するものであり、また、卵Eという割れやすいものを複数段の棚で大量に取り扱う。そのため、通常とは異なる動きが生じた場合には、開放面91からトレイTが落下してしまうことも考えられる。しかしながら、本実施形態のような収容ラック9の配置によれば、スタッカークレーン13の移動速度をアップさせたり、停電等の非常時に急に移動が止まってしまったりしても、開放面91からトレイTが落下することを抑制できる。
【0050】
さらに、本実施形態の自動倉庫1は、入庫ステーション17と出庫ステーション18をそれぞれ複数備えているので、自動倉庫1に入出庫される卵Eの処理量を飛躍的に高めることができる。なお、収容ラック9への積み込み作業中、または、収容ラック9からの荷下ろし作業中は、スタッカークレーン13は、他の保管棚16に対する作業を行うことができるのは言うまでもない。
【0051】
また、卵Eの性質上、トレイTを積み重ねる枚数には限界があるが、収容ラック9が多層構造をなすものであるので、収容ラック9上の空間を有効活用してより多くの卵Eを積み込むことができる。
【0052】
次に、本発明の第二実施形態について、
図11〜
図13を用いて説明する。本実施形態にかかる自動倉庫1は、前述した第一実施形態の自動倉庫1と基本的な構成は同じであり、一部の保管棚16を検査ステーション19a、19bとしている点が異なる。本実施形態では、第一実施形態と同一の部分は同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
本実施形態の自動倉庫1は、スタッカークレーン13の経路14に沿って配置される複数の保管棚16を備えるスタッカークレーン型のものであって、前記保管棚16に卵Eを保管する際に当該自動倉庫1の内部空間12のみで使用される多層構造の収容ラック9に前記卵Eを載置または収容して前記保管棚16に保管するものであって、少なくとも一つの前記保管棚16を、空荷の前記収容ラック9を検査する検査ステーション19a、19bとする。具体的には、一方の固定ラック1Bの端部の2つの保管棚16を、それぞれ第1、第2の検査ステーション19a、19bとしている。すなわち、検査ステーション19a、19bは複数、左右に隣接して設けられている。
【0054】
各検査ステーション19a、19bは、卵Eを収容した複数のトレイSが荷下ろしされた状態、すなわち、空荷の状態で、収容ラック9の汚れの付着、破損、変形等を目視にて、または、検査装置(図示せず)を使って検査するための場所である。
【0055】
目視にて検査する場合の一例としては、検査ステーション19a、19bに収容ラック9が運び込まれたことをブザーやチャイムランプ等で作業員に知らせる機能と、作業員が当該検査ステーション19a、19bに収容ラック9が載せられた状態で、または、当該検査ステーション19a、19bから収容ラック9を外部に運び出した状態で、収容ラック9の汚れの付着、破損、変形等を検査、及び、清掃や消毒を行った後に検査が完了した収容ラック9が検査ステーション19a、19bに載せ置かれていることを知らせる機能とを付加すればよい。
【0056】
次に、本実施形態の自動倉庫1の動作の一例を、
図12及び
図13を参照しながら説明する。本実施形態では、第一実施形態と同一またはこれに準ずる動きをするとともに、スタッカークレーン13が収容ラック9を検査ステーション19a、19bに入れたり、逆に、収容ラック9を検査ステーション19a、19bから取り出したりする動きが加わる。
【0057】
出庫ステーション18から全てのトレイSの荷下ろしを終えた収容ラック9は、スタッカークレーン13を用いて出庫ステーション18から検査ステーション19a、19bに移動させるか否かが判断される。具体的には、自動倉庫1の制御装置が、収容ラック9の使用頻度を記録しており、収容ラック9にトレイSが積み込み及び荷下ろしされた回数が所定回数(例えば、5回または10回等)を超えれば、収容ラック9を検査ステーション19a、19bに移動するよう制御し、一方、所定回数以下であれば通常の(検査ステーション19a、19b以外の)保管棚16に収容ラック9を移動させるように制御する。なお、収容ラック9の使用頻度の記録は、収容ラック9にバーコードやRFID等を装着することにより実施してもよいのはもちろんである。
【0058】
そして、一の検査ステーション19bに前記収容ラック9を載せ置いた前記スタッカークレーン13は、前記一の検査ステーション19bの近傍に位置する他の検査ステーション19aに保管された検査済みの前記収容ラック9を当該他の検査ステーション19aから取り出すよう制御される。具体的には、最初、第1の検査ステーション19aは検査等が終わって使用可能な収容ラック9が収容されており、その隣に位置する第2の検査ステーション19bは空の状態である。その状態から、検査の必要な(所定回数トレイSの積み込み及び荷下ろし作業を経た)収容ラック9をスタッカークレーン13が運んで、
図12に示すように、第2の検査ステーション19bに載せ置く。その後、
図13に示すように、スタッカークレーン13が移動して第1の検査ステーション19aにある収容ラック9を取り出した後、他の保管棚16に移動される。
【0059】
第2の検査ステーション19bに載せ置かれた収容ラック9は、所定の検査等が行われた後、そのまま第2の検査ステーション19bで待機する。そして、次に、検査の必要な収容ラック9が第1の検査ステーション19aに載せ置かれた後に、第2の検査ステーション19bから取り出され、他の保管棚16に移動される。
【0060】
なお、検査ステーション19a、19bにおける所定の検査の結果、破損や酷い汚染により洗浄しても継続使用が困難と判断された場合には、スタッカークレーン13により当該検査ステーション19a、19bから取り出された後に、いったん自動倉庫1の外に出すよう制御される。この場合には、自動倉庫1の外に出された収容ラック9の代わりに予備用の収容ラックを入れれば、自動倉庫1の内部空間12のみで使用される収容ラック9の総数を変えることなく、通常使用の循環を続けることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の自動倉庫1は、第一実施形態に示したのと同様に、収容ラック9を一単位として自動倉庫1への入庫、自動倉庫1からの出庫、及び、自動倉庫1の保管棚16での保管を行うようにしているので、スタッカークレーン型の自動倉庫1の処理能力の向上をはかることができるとともに、次のような効果も得られる。
【0062】
スタッカークレーン13の経路14に沿って配置される複数の保管棚16を備えるスタッカークレーン型の自動倉庫1のうち、前記保管棚16に卵Eを保管する際に当該自動倉庫1の内部空間12のみで使用される多層構造の収容ラック9に前記卵Eを載置または収容して前記保管棚16に保管するものであって、少なくとも一つの前記保管棚16を、空荷の前記収容ラック9を検査する検査ステーション19a、19bとするので、検査すべき収容ラック9を検査ステーション19a、19bへ運ぶ作業を、自動倉庫1に備えられたスタッカークレーン13を用いて行うことができる。これに伴い、収容ラック9の汚れ等を自動倉庫1の外に取り出して検査するタイミングの管理等に必要な設備やそのコストを抑えることができる。
【0063】
詳述すれば、本実施形態のような自動倉庫1の内部空間12のみで使用される収容ラック9は、自動倉庫1の外部に出す機会を積極的に設けなければ、汚れや破損、変形などが見つけにくい。特に、本実施形態のように収容ラック9に収容される対象が卵Eの場合には、ヒビの入った卵Eの内容物が漏洩して収容ラック9が汚染されるという可能性があるため、本実施形態のように所定のタイミングごとに検査を行う検査ステーション19a、19bを備えれば、内部空間12のみで使用される収容ラック9を常に適切な状態に保つことができため好ましい。
【0064】
また、前記検査ステーション19a、19bが複数設けられており、一の検査ステーション19bに前記収容ラック9を載せ置いた前記スタッカークレーン13は、前記一の検査ステーション19bの近傍に位置する他の検査ステーション19aに保管された検査済みの前記収容ラック9を当該他の検査ステーション19aから取り出すように制御される。そのため、スタッカークレーン13の動きに無駄をなくすことができ、稼働率を低下させない。
【0065】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0066】
収容ラックの他の一例としては
図14に示すようなものが考えられる。すなわち、下部にキャスタが取り付けられたものであってもよいし、収容できるトレイの数、棚の段数など種々変更可能である。また、収容ラックは、固定式の棚板を備えないものであってもよく、所望の位置に配置可能なディバイダなどを介して多層構造を形成するものであってもよい。なお、
図14では、本実施形態の収容ラックに対応する部分には同一の符号を付している。ラック側壁は、ラック内外を仕切るものであればどのようなものであってもよく、図示したような枠状のものも含む。また、収容ラックは自動倉庫内専用のものには限られない。さらに、収容ラックを保管棚に収容する際には、開放面を自動倉庫の壁側(スタッカークレーンから見た場合の保管棚の背面側)に向けるようにしてもよい。
【0067】
上述した実施形態では、トレイを収容ラックに積み込む作業を行なう入庫側の保管棚と、トレイを収容ラックから荷下ろしする作業を行なう出庫側の保管棚とを両方備えていたが、片方だけを備えているものであってもよい。入庫側の保管棚のみを備える場合には、保管棚以外の出庫ステーションから出庫させればよいし、出庫側の保管棚のみを備える場合には、保管棚以外の入庫ステーションから入庫させればよい。
【0068】
前記入庫側の保管棚、前記出庫側の保管棚は固定ラックの端部に設けられたものであってもよい。
【0069】
保管棚を形成する自動倉庫の固定ラックの数や配置は、図示したものには限られない。
【0070】
入庫側の移載装置は、トレイを収容ラックに積み込む作業ができればどのようなものであってもよく、図示したものには限られない。同様に、出庫側の移載装置は、トレイをラックから荷下ろしする作業ができればどのようなものであってもよく、図示したものには限られない。入庫/出庫側の移載装置の一部または全部は、保管棚や自動倉庫の外部に配置されていてもよい。
【0071】
自動倉庫に保管される卵は、いわゆるグレーダと呼ばれる選別集合装置により選別された卵の他に、いわゆるファームパッカーと呼ばれる充填装置により充填された卵(選別される前の原卵)であってもよい。
【0072】
入庫ステーションは、収容ラックを保管棚の奥行き方向に移動させるためのコンベヤを備えていてもよい。このようなものであれば、入庫側の移載装置からトレイを受け取るための収容ラックの位置を調整することができる。同様に、出庫ステーションは、収容ラックを保管棚の奥行き方向に移動させるためのコンベヤを備えていれば、出庫側の移載装置へトレイを受け渡すための収容ラックの位置を調整することができる。
【0073】
検査ステーションは、上述した検査等の一部のみを行うものであってもよく、その配置方法についても種々変更可能である。すなわち、自動倉庫のラックの端部以外の場所に設けられるものであってもよいし、1つだけ設けられてもよい。複数の検査ステーションを設ける場合にも、各検査ステーションが隣接して設けられる必要はない。
【0074】
例えば、スタッカークレーンを挟んで向かい合った保管棚にそれぞれ検査ステーションを配置することも考えられる。すなわち、一方のラックの保管棚に一の検査ステーションを設け、この保管棚の近傍に位置する他方のラックの保管棚に他の検査ステーションを設けるようにすれば、一の検査ステーションに収容ラックを載せ置く作業と、他の検査ステーションから検査済みの収容ラックを取り出す作業との間でスタッカークレーンを走行させる必要がなくなり、より一層効率的な動きを達成することが可能となる。
【0075】
他の例としては、
図15に示すように、3つの検査ステーション19a、19b、19cを並べて配置するようにしてもよく、3つのうちの1つは、収容ラックを洗浄するための洗浄装置(図示せず)を配置する専門の検査ステーションにしてもよい。このようなものであれば、検査をするための第1、第2の検査ステーション19a、19bでの検査結果に基づいて、収容ラックの洗浄が必要となったもののみをスタッカークレーン13を用いて第3の検査ステーション19cに移動させるようにすればよく、洗浄後に、再び、スタッカークレーン13を用いて第3の検査ステーション19cから第1または第2の検査ステーション19a、19bに移動させるようにすればよい。すなわち、このような保管棚16でもある検査ステーション19cにおいて、前記収容ラックを洗浄するようにしていたので、既存のスタッカークレーン13を利用して洗浄装置へ収容ラックを出し入れすることができる。
【0076】
なお、洗浄装置としては、例えば、収容ラックの全体を囲う洗浄室内で、洗浄液ノズルから洗浄液を噴射させて収容ラックを洗浄し、その後、エアーノズルからエアーを噴射して乾燥を行うもの等、この分野で知られる種々のものを適用することができる。
【0077】
さらに、検査ステーションは、図示した以外の入庫ステーションや出庫ステーションの配置や数にかかわりなく設けられるものであり、例えば、
図15に示すように、入庫ステーション17と出庫ステーション18が固定ラック1A,1Bの端部に設けられた自動倉庫1に検査ステーション19a、19b、19cを備えてもよい。
【0078】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。