特許第6857887号(P6857887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857887
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】衛生管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20210405BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   G01N21/64 F
   G01N21/27 A
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-164907(P2019-164907)
(22)【出願日】2019年9月10日
(62)【分割の表示】特願2015-66232(P2015-66232)の分割
【原出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2020-76738(P2020-76738A)
(43)【公開日】2020年5月21日
【審査請求日】2019年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】592046574
【氏名又は名称】高電工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515084812
【氏名又は名称】OMリサーチ&コンサルティング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511061545
【氏名又は名称】ケーディーアイコンズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一栄
(72)【発明者】
【氏名】大内 裕敬
(72)【発明者】
【氏名】横山 茂樹
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−529467(JP,A)
【文献】 特表2008−500882(JP,A)
【文献】 特開2008−163100(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0242717(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0085369(US,A1)
【文献】 特開2007−096058(JP,A)
【文献】 特開平10−204948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に付着した汚れを落とす際に用いられる洗剤と、前記対象物への付着力が前記洗剤よりも大きいマーカー物質との塗布後に洗浄された対象物を撮影する撮影部と、
撮影された前記対象物の画像において前記マーカー物質が写っている領域の大きさに基づいて、当該対象物の洗浄が終了したか否かを判定する判定部と、
前記判定部が判定した結果に応じた処理を行う処理部と
を備える衛生管理システム。
【請求項2】
前記洗剤及び前記マーカー物質は両者を混合させた混合物として前記対象物に塗布され、
前記混合物は、洗浄が進むほど前記対象物に前記マーカー物質が付着し続ける量が減っていく関係が現れる混合比で混合されている
請求項1に記載の衛生管理システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄の質を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、臭気などを検知可能な揮発性物質とともに手洗い剤が提供され、手洗
い後に手に擦り込まれた揮発性物質を検知するとそのことを通知する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−529467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、ユーザが手洗いを行ったか否かが通知されるが、例え手洗いを行っていても、インフルエンザウィルスやノロウィルスなどの病原体は手に付着したまま残っていることがあり、それが原因で感染症を引き起こすことがある。しかし、こういった病原体は目に見えないため、手から除去されたかどうかを確認することは難しい。一方、蛍光体を含むローション等を手に塗り付け、それから洗剤を使って手を洗浄した後に紫外線を当てることで、ローションが付着したまま残っていて光った部分を洗い残しとして確認する技術がある。
【0005】
しかし、例えば医療従事者や高度な食品衛生が求められる現場の従業員などは毎日何十回も手洗いを行わなければならない場合もあり、その度に上記の確認の作業を行っていると業務に差し支える。
そこで、本発明は、洗浄が終了したか否かを、より確実に且つ少ない手間で確認することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、対象物に付着した汚れを落とす際に用いられる洗剤と、前記対象物への付着力が前記洗剤よりも大きいマーカー物質との塗布後に洗浄された対象物を撮影する撮影部と、撮影された前記対象物の画像において前記マーカー物質が写っている領域の大きさに基づいて、当該対象物の洗浄が終了したか否かを判定する判定部と、前記判定部が判定した結果に応じた処理を行う処理部とを備える衛生管理システムを提供する。
【0007】
また、前記洗剤及び前記マーカー物質は両者を混合させた混合物として前記対象物に塗布され、前記混合物は、洗浄が進むほど前記対象物に前記マーカー物質が付着し続ける量が減っていく関係が現れる混合比で混合されていてもよい。
【0008】
また、本発明は、対象物に付着した汚れを落とす際に用いられる洗剤と、前記対象物への付着力が前記洗剤よりも大きいマーカー物質とを含む混合物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施例の衛生管理システムの全体構成を表す図
図2】マーカー物質が付着した手の写真の例を表す図
図3】吐出容器の構成を表す図
図4】撮影装置の構成を表す図
図5】情報処理装置のハードウェア構成を表す図
図6】衛生管理システムにおいて実現される機能構成を表す図
図7】実験で用いた混合物の混合比を表す図
図8】各被験者の手洗い回数と洗浄の進み具合との関係を表す図
図9】表示された判定結果の一例を表す図
図10】判定結果に応じた処理が行われるまでの動作手順の一例を表す図
図11】第2実施例の衛生管理システムの全体構成を表す図
図12】サーバ装置のハードウェア構成を表す図
図13】衛生管理システムにおいて実現される機能構成を表す図
図14】記録された判定結果及びそれに対応付けられた情報の一例を表す図
図15】変形例で実現される機能構成を表す図
図16】変形例の撮影装置の機能構成を表す図
図17】変形例の吐出容器の外観を表す図
図18】正面から見た変形例の撮影装置を表す図
図19】側面から見た撮影装置を表す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施例である衛生管理システムについて説明する。衛生管理システムは、医療施設や食品工場、飲食店、学校、保育移設、介護施設などにおける衛生状態を管理するためのシステムである。本発明の衛生管理システムは、特に、手洗いや器具の洗浄などにおいて汚れ(細菌やウィルスなどを含む)をより確実に落とすことを支援する。
【0013】
[1]第1実施例
図1は第1実施例の衛生管理システム1の全体構成を表す。衛生管理システム1は、混合物2を収容し、収容した混合物2を吐出する吐出容器10と、撮影装置20と、情報処理装置30とを備える。撮影装置20及び情報処理装置30は、回線等で接続されて互いを相手としたデータの送受信を行う。
【0014】
混合物2は、洗剤及びマーカー物質を含んでおり、本実施例では吐出容器10から吐出される液体状の物体である。洗剤は、対象物に付着した汚れを落とす際に用いられる。混合物2に含まれる洗剤としては、例えば対象物が手であれば手洗い用の洗剤が用いられ、対象物が食器やまな板であれば食器洗い用の洗剤が用いられる。以下では単に「対象物」と言った場合、洗剤を用いて洗浄しようとする対象物を意味するものとする。本実施例では、手を対象物として、手洗い用の洗剤が用いられる。
【0015】
洗剤の成分としては、例えば、アシルイセチオン酸塩、アシル乳酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、モノアルキルリン酸エステル塩、高級脂肪酸アル
カノールアミド硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩などのアニオン界面活性剤や、アミノプロピオン型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤などの両性界面活性剤、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどのノニオン界面活性剤などが適宜組み合わせて用いられる。また、洗剤の成分はこれらに限定されない。洗剤の成分としては、後述するマーカー物質の特性を変質させないものが用いられることが望ましい。
【0016】
マーカー物質は、対象物から汚れが落ちたか否か、言い換えると、対象物の洗浄が終了したか否かについて判定する際の指標(マーカー)となる物質である。マーカー物質は、洗剤を用いて洗浄される対象物に付着する物質であり、その付着力が、対象物に付着する汚れ(利用者が洗剤を用いて対象物から落とそうとしている汚れ)以上となる物質である。汚れやマーカー物質の付着力は、例えば遠心分離法(遠心回転数を変化させて平面上に散布した粒子の残留率を利用する方法)や特開2013−19714号公報に開示されている付着力測定方法などの周知の方法により測定される。
【0017】
また、マーカー物質は、不溶性の物質、すなわち液体(特に水)に全く又はほとんど溶けない性質を有する物質である。例えばマーカー物質を対象物に付着させてその対象物に洗剤を塗布して洗浄し、流水で洗剤を洗い流したとする。この洗浄が不十分だと対象物に付着していた汚れが全ては落ちずに一部が付着したまま残ってしまう。その際、前述のとおり不溶性であり且つ付着力が汚れ以上であるマーカー物質も、水に溶けることなく対象物に付着したまま残ることになる。
【0018】
マーカー物質は、特定の波長帯の光に対する反射特性又は吸収特性が対象物と異なっている。マーカー物質は、本実施例では、紫外線に対する反射特性が対象物と異なっており、具体的には、対象物よりも紫外線の反射率が大きくなっている。また、マーカー物質は、本実施例では透明の蛍光物である。そのため、自然光の中ではマーカー物質が付着している領域が容易には分からないが、周囲を暗くして対象物に紫外線を照射すると、対象物に比べてマーカー物質の方が明るく光って見えるため、マーカー物質が付着している領域が容易に分かるようになっている。マーカー物質としては、例えば株式会社アーテック製「手洗い上手専用ローション」(JANコード:4521718021010)や、サラヤ株式会社製「手洗いチェッカーローション」(JANコード:49-73512-41354-4)など、周知の物質が用いられる。
【0019】
図2はマーカー物質が付着した手の写真の例を表す。図2では、利用者の手にマーカー物質を付着させて紫外線を照射し、その手を撮影した写真を各画素の輝度に基づいて2値化した画像が表されている。この2値化画像では、マーカー物質が付着している部分が白い領域で、それ以外の部分が黒い領域で表されている。
【0020】
図3は吐出容器10の構成を表す。吐出容器10は、タンク11と、ノズル12と、ハンドル13と、吐出部14とを備える。タンク11は混合物2を収容する。ノズル12は吐出口を有し、吐出口から混合物2を吐出する。ハンドル13は、ユーザによって操作される部位である。本実施例ではハンドル13がノズル12と一体に形成されてばね等により鉛直上方に向けて力が加えられている。このため、ユーザによってハンドル13を押し下げる操作が行われる。吐出部14は、ポンプ等を有し、ハンドル13が操作される(押し下げられる)と、タンク11内に圧力を生じさせ、タンク11に収容された混合物2を移送してノズル12の吐出口から吐出させる。このように、ユーザはハンドル13を操作する(ワンプッシュする)だけで混合物2を対象物である自分の手に塗布することができる。
【0021】
図4は撮影装置20の構成を表す。撮影装置20は、照射機構21及び24と、撮影機構22及び25と、センサ機構23とを備える。照射機構21及び24は両照射機構に挟まれた空間A1に向けて紫外線を照射する。撮影機構22は空間A1を照射機構21側から撮影し、撮影機構25は空間A1を照射機構24側から撮影する。センサ機構23は赤外線の反射光を検知して空間A1に例えば人の手が差し込まれたことを検知する。センサ機構23がこの検知を行うことを契機として、両照射機構による紫外線の照射と両撮影機構による撮影とが行われる。撮影装置20は、撮影機構22及び25がそれぞれ撮影した画像のデータを情報処理装置30に供給する。
【0022】
図5は情報処理装置30のハードウェア構成を表す。情報処理装置30は、制御部31と、記憶部32と、インターフェース33と、表示部34と、音出力部35とを備えるコンピュータである。制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びリアルタイムクロックを備えている。CPUは、RAMをワークエリアとして用いてROMや記憶部32に記憶されたプログラムを実行することによって各部を制御する。リアルタイムクロックは、現在の日時を算出する分類機能を有している。
【0023】
記憶部32は、ハードディスク等を備え、制御部31が制御に用いるデータやプログラムなどを記憶する。インターフェース33には撮影装置20が電気的に接続される。表示部34は、例えば液晶ディスプレイを有し、制御部31が行う制御に基づいて表示面に画像を表示する。音出力部35は、例えばスピーカを有し、制御部31が行う制御に基づいて音を出力する。
【0024】
情報処理装置30の制御部31がプログラムを実行することで以下に述べる機能が実現される。
図6は衛生管理システム1において実現される機能構成を表す。衛生管理システム1は、撮影装置20によって実現される照射部201及び撮影部202と、情報処理装置30によって実現される判定部301及び処理部302とを備える。照射部201は上述した特定の波長帯の光(マーカー物質と対象物とで反射特性又は吸収特性が異なる光)を対象物に照射する。照射部201は、本実施例では、図4に表す空間A1に人の手が差し込まれたことを検知するとこの空間A1に向けて紫外線を照射する。
【0025】
撮影部202は洗剤及びマーカー物質の塗布後に洗浄された対象物を撮影する。撮影部202は、本実施例では、照射部201により紫外線が照射された対象物を撮影する。撮影部202は撮影した対象物を表す画像データを情報処理装置30に供給する。照射部201は図4に表す照射機構21、24及びセンサ機構23が協働することで実現され、撮影部202は撮影機構22及び25が協働することで実現される。
【0026】
判定部301は、撮影された対象物の画像においてマーカー物質が写っているマーカー領域の大きさに基づいて、その対象物の洗浄が終了したか否かを判定する。発明者は、マーカー領域の大きさと洗浄の進み具合との関係を調べる実験を行った。その実験結果について図7及び図8を参照して説明する。
【0027】
図7は実験で用いた混合物の混合比を表す。この実験では、洗剤としてライオン株式会社製「きれいきれい薬用液体ハンドソープ」(JANコード:4903301176824)を、マーカー物質として株式会社アーテック製「手洗い上手専用ローション」(JANコード:4521718021010)を用いた。そして、これらを異なる体積比で混ぜ合わせた混合物α(洗剤0%、マーカー物質70%)、β(洗剤50%、マーカー物質50%)、γ(洗剤70%、マーカー物質30%)を被験者A、B、Cの手にそれぞれ塗布して、最大で3回まで繰
り返し手洗いを行った。
【0028】
図8は各被験者の手洗い回数と洗浄の進み具合との関係を表す。図8(a)では混合物α、図8(b)では混合物β、図8(c)では混合物γを用いた実験結果が表されている。被験者A、B、Cの洗浄時間を60秒、30秒、15秒とそれぞれ異ならせることで、各被験者の洗浄の進み具合に差が出るようにした。1回目は混合物2を塗布してから手洗いを行い、2回目以降は水洗いのみを行い、各回の手洗いの後に被験者とは別の担当者がマーカー領域の残り具合を判断した。「◎」はマーカー領域が完全になくなったと判断されたことを表し、「○」はマーカー領域がわずかに残っていると判断されたことを表す。「△」はマーカー領域が残っていると判断されたことを表し、「×」はマーカー領域がかなり残っていると判断されたことを表す。「−」はマーカー領域が完全になくなったため洗浄を行わなかったことを表す。
【0029】
混合物αでの実験では、被験者Aの1、2、3回目の洗浄の進み具合がそれぞれ「○」、「○」、「◎」であった。つまり1回目と2回目に洗浄した段階ではマーカー領域がわずかに残っていると判断され、3回目に洗浄した段階でマーカー領域が完全になくなったと判断された。同様に、被験者Bの洗浄の進み具合がそれぞれ「△」、「○」、「◎」であり、被験者Cの洗浄の進み具合がそれぞれ「×」、「△」、「○」であった。混合物βでの実験では、被験者Aの洗浄の進み具合がそれぞれ「◎」、「−」、「−」であり、被験者Bの洗浄の進み具合がそれぞれ「○」、「◎」、「−」であり、被験者Cの洗浄の進み具合がそれぞれ「△」、「△」、「○」であった。混合物γでの実験では、被験者Aの洗浄の進み具合がそれぞれ「◎」、「−」、「−」であり、被験者Bの洗浄の進み具合がそれぞれ「◎」、「−」、「−」であり、被験者Cの洗浄の進み具合がそれぞれ「○」、「○」、「○」であった。
【0030】
マーカー物質として用いた「手洗い上手専用ローション」は、従来は、これだけを先に手に塗布して、その後に洗剤を塗布して用いられている。しかし、上記実験の結果から、マーカー物質の体積比をある程度大きくすれば(この実験では例えば50%以上)、洗剤と混合させて対象物に塗布しても、汚れと同様に、洗浄後に対象物に付着し続けて残ることが分かった。これはつまり、混合物2に含まれるマーカー物質が、対象物の洗浄が終了したか否かについて判定する際の指標(マーカー)となり得ることを意味している。
【0031】
また、例えば混合物αの1回目の各被験者の洗浄の進み具合を比べると、洗浄時間が最も短い被験者Cは「×」であり、被験者B、Aと洗浄時間が長くなるにつれて「△」、「○」と洗浄が進んだことを表す結果が得られた。また、例えば混合物αの被験者Bの1、2、3回目の洗浄の進み具合を比べると、「△」、「○」、「◎」と洗浄を重ねるほど洗浄が進んだことを表す結果が得られた。このように、混合物2の塗布後に洗浄された対象物のマーカー領域は、洗浄時間が長いほど小さくなり、また、洗浄回数が多いほど小さくなることが分かった。そして、洗浄時間が長く洗浄回数が多いほど洗浄が進んでいることを表すから、マーカー領域の大きさは洗浄の進み具合を表すことがこの実験から分かった。
【0032】
また、混合物2におけるマーカー物質の体積比を大きくするほどマーカー物質が落ちにくくなるので、より長時間の洗浄又はより強い力での洗浄が必要となる。その結果、洗浄の終了が判定されたときに、より多くの汚れを落とすことができるし、より細かい汚れまで落とすことができる。従って、マーカー物質の体積比は、その施設で求められる衛生管理の厳しさ(又は落とさなければならない汚れの程度)に応じて決められればよい。
【0033】
判定部301は、例えば撮影された対象物の画像を輝度の第1閾値を用いて図2の例のように2値化し、その2値化画像からマーカー領域の面積を算出する。そして、判定部3
01は、算出したマーカー領域の面積が第2閾値以下である場合に、洗浄が終了したことを判定する。第2閾値は0とすることが望ましいが、例えばマーカー物質が対象物に残っていないのに撮影装置20の設置場所の光の加減により2値化画像から白い領域がなくならないような場合に、0よりも大きな値を用いてもよい。また、第1閾値を大きくするほどマーカー領域の面積が小さくなるため、洗浄が終了したと判定されやすくなる。第1閾値及び第2閾値も、マーカー物質の体積比と同様に、その施設で求められる衛生管理の厳しさに応じて定められればよい。判定部301は、判定した結果(洗浄が終了したか否か)を処理部302に通知する。
【0034】
処理部302は判定部301が判定した結果に応じた処理を行う。処理部302は、本実施例では、判定部301が判定した結果を報知する処理を行う。処理部302は、例えば、判定した結果を表示部34に表示することで報知を行う。
図9は表示された判定結果の一例を表す。図9(a)の例では、表示部34の画面の上方に「手洗い結果:洗い残しがあります」という判定の結果を表す文字列B1が表示されている。上述した判定部301による判定の処理及び処理部302による表示の処理は、例えばユーザが撮影装置20に差し込んだ手を引き抜くまでの間に行われる。こうしてユーザに対して洗浄が終了してないことを報知することで、再度手洗いをするようにユーザに促すことができる。
【0035】
また、図9(a)の例では、「白色の部分をよく洗ってください」という文字列と、撮影部202によって撮影された写真の2値化画像B2とが表示されている。このように、本実施例では、処理部302が、判定に用いた対象物の画像を表示する処理も行っている。なお、図9(b)の例のように、撮影部202によって撮影された写真そのものを表す写真画像B3と、「光っている部分をよく洗ってください」という文字列とが表示されていてもよい。いずれの場合も、ユーザは具体的に対象物(この場合は手)のどこを洗えばよいのかを知ることができ、これらの画像が表示されない場合に比べて効率よく再度の洗浄をすることができる。なお、判定の結果については、文字列での表示に加え又は代えて、音(ビープ音や人間の声)で報知してもよいし、振動や光の点滅などで報知してもよい。いずれの場合も、マーカー物質の洗い残しがあることをユーザが気づくように報知が行われることが望ましい。
【0036】
図10は判定結果に応じた処理が行われるまでの動作手順の一例を表す。この動作手順は、ユーザが混合物2を塗布して手を洗い、その手洗いが終わった後の手を撮影装置20に差し込むことを契機に開始される。まず、撮影装置20が、ユーザの手の差込みを検知する(ステップS11)。次に、撮影装置20は、紫外線を照射して(ステップS12)、差し込まれた手を撮影する(ステップS13)。撮影装置20は、撮影した画像のデータを情報処理装置30に供給する(ステップS14)。情報処理装置30は、供給されたデータが表す画像に基づいて対象物の洗浄が終了したか否かを判定し(ステップS15)、その判定結果に応じた処理を行う(ステップS20)。
【0037】
以上のとおり、本実施例では、マーカー物質を含む混合物2を手に塗布してから手洗いをすることで、図9に表すようなマーカー領域を汚れが残っていそうな箇所として確認することができる。そのため、例えば洗剤だけを手に付けて手洗いをする場合に比べて、洗浄が終了したか否かを、より確実に確認することができる。さらに、ユーザは混合物だけを塗布すればよいので、例えばマーカー物質と洗剤とを別々に手に塗布する場合に比べて、洗浄が終了したか否かを、より少ない手間で確認することができる。また、この混合物2を塗布するための操作が、上述した吐出容器10のハンドル13に対する1度の操作だけでよいので、例えば洗剤とマーカー物質とが別々の容器に収容されていて2度の操作が必要な場合に比べて、洗浄が終了したか否かを、より少ない手間で確認することができる。
【0038】
[2]第2実施例
本発明の第2実施例について、以下、第1実施例と異なる点を中心に説明する。第2実施例では、判定結果に応じた処理として、上述した報知以外の処理も行われる。以下では、食品工場で衛生管理システムが利用される場合を説明する。
【0039】
図11は第2実施例の衛生管理システム1aの全体構成を表す。衛生管理システム1aは、工場内に設けられたLAN(Local Area Network)5と、複数の撮影装置20と、複数の情報処理装置30と、サーバ装置40とを備える。撮影装置20及び情報処理装置30の組は、食品工場内の複数の手洗い場所にそれぞれ設置されている。複数の情報処理装置30は、LAN5を介してサーバ装置40とそれぞれデータをやり取りする。
【0040】
図12はサーバ装置40のハードウェア構成を表す。サーバ装置40は、制御部41と、記憶部42と、通信部43とを備える。制御部41は図5に表す制御部31と同様の、記憶部42は記憶部32と同様のハードウェアである。通信部43はLANを介した通信を行う。制御部41がプログラムを実行することで以下に述べる機能が実現される。
【0041】
図13は衛生管理システム1aにおいて実現される機能構成を表す。衛生管理システム1aは、それぞれが情報処理装置30によって実現される複数の判定部301と、サーバ装置40によって実現される処理部401とを備える。複数の判定部301は、それぞれ、判定した結果を表す結果データをサーバ装置40に供給する。その際、判定部301は、自装置を識別する装置識別データと、判定した日時を表す日時データと、判定に用いた対象物の画像データとをともにサーバ装置40に供給する。なお、日時データが表す日時は、対象物の撮影が行われた日時でもよいし、結果データをサーバ装置40に供給するときの日時でもよい。
【0042】
処理部401は、情報処理装置30から供給されるデータに基づいて、判定部301が判定した結果を記録する処理を、判定結果に応じた処理として行う。処理部302は、より詳細には、判定対象の洗浄が行われた場所及び日時と、判定が行われた対象物を洗浄したユーザとに対応付けて、その判定の結果を記録する。
【0043】
図14は記録された判定結果及びそれに対応付けられた情報の一例を表す。この例では、「判定結果」に「場所」、「日時」及び「ユーザID」が対応付けられている。処理部401は、供給された結果データが示す判定結果に、ともに供給された日時データが示す日時を対応付けて記録する。この例では、「判定結果」が「○」なら洗浄が終了したと判定されたことを、「×」なら洗浄が終了していないと判定されたことを表す。「×、〇」は、1回目の判定が「×」で2回目の判定が「○」であったことを表し、「×、×、〇」は、1、2回目の判定が「×」で3回目の判定が「○」であったことを表す。この場合の「日時」は最初の判定時の日時でもよいし、最後の判定時の日時でもよい。
【0044】
サーバ装置40の記憶部42には、装置識別データをそれによって識別される情報処理装置30の設置場所とを対応付けたテーブルが記憶されている。処理部401は、結果データとともに供給された装置識別データにそのテーブルで対応付けられた設置場所を判定結果に対応付けて記録する。また、記憶部42には、各ユーザの手を撮影した画像がユーザIDに対応付けて予め記憶されている。処理部401は、結果データとともに供給された画像データが表す手の画像と、予め記憶されたそれらの手の画像とをパターンマッチングし、類似度が最も高かった画像に対応付けられたユーザIDを判定結果に対応付けて記録する。このように、処理部401は、撮影部202により撮影された対象物に基づいて、判定部301による判定が行われた対象物を洗浄したユーザを識別する処理を行う。そして、処理部401は、その処理により識別したユーザに対応付けてその判定の結果を記
録する。
【0045】
食品工場などでは、衛生管理を行っていることやコンプライアンスを遵守していることを外部に示すため、従業員が手洗いを行ったことを記録する場合がある。本実施例では、単に手洗いが行われたことだけでなく、判定結果として「○」が記録されることで、手の全体からマーカー物質が洗い落とされるまで手洗いが行われたことが記録される。これにより、単に手洗いの有無を記録する場合に比べて衛生管理がより高い水準で行われていることを証明することができる。また、判定結果がユーザに対応付けて記録されるので、例えば「○」と判定されるまでに手間取っているユーザに対して手洗い方法を指導するなど、各ユーザの洗浄の技術に応じた指導を行うことができる。また、ユーザの識別を撮影された対象物に基づいて行っているので、ユーザは手洗いの度に自分を識別させるための操作(ユーザIDの入力やIDカードの読み取りなど)を行う必要がなく、それらの操作が必要である場合に比べて、洗浄の際のユーザの手間を少なくすることができる。
【0046】
[3]変形例
上述した各実施例はそれぞれが本発明の実施の一例に過ぎず以下のように変形させてもよい。また、上述した各実施例及び以下に示す各変形例は必要に応じてそれぞれ組み合わせて実施してもよい。
【0047】
[3−1]入室管理
処理部は、判定結果に応じた処理として、実施例とは異なる処理を行ってもよい。例えば、図6に表す処理部302が、判定部301が判定した結果が所定の条件を満たさなかった場合に、その判定が行われた対象物を洗浄したユーザの決められた領域への進入を制限する処理を行う。この領域としては、例えば医療施設であれば手術室等、食品工場であれば生産ラインが設置された部屋等というように、施設内でもより雑菌(細菌及びウィルス等)の侵入を防がなければならない領域が決められる。
【0048】
図15は本変形例で実現される機能構成を表す。図15では、情報処理装置30の他に、錠前装置50が表されている。錠前装置50は、上記の領域への出入り口の扉の錠前501と、その錠前を電子的に制御して施錠させたり開錠させたりする制御機構502とを備える。情報処理装置30の処理部302は、判定部301から洗浄が終了したという判定結果が通知された場合には、扉を開けられる状態にするよう制御機構502に対して指示する処理を行う。制御機構502は、この指示を受け取ると、扉が施錠されていなければその状態を維持し、施錠されていれば開錠する。
【0049】
また、処理部302は、判定部301から洗浄が終了していないという判定結果が通知された場合には、扉を開けられない状態にするよう制御機構502に対して指示する処理を行う。制御機構502は、この指示を受け取ると、扉が施錠されていなければ施錠を行い、既に施錠されていればその状態を維持する。こうして処理部302は上記領域への進入を制限する処理を行う。これにより、手洗いはしたものの洗浄が終了したと判定されないような洗い方であったユーザを上記領域に入れないようにすることができ、その結果、本変形例のように上記領域への進入を制限しない場合に比べて、この領域内を清潔に保ちやすくすることができる。
【0050】
[3−2]エアータオル
撮影機構は実施例と異なる装置に設けられていてもよい。
図16は本変形例の撮影装置20bの機能構成を表す。撮影装置20bは、図6に表す各部に加えて吹付部203を備える。吹付部203は、ファン及びモータ等を有するいわゆるエアータオルであり、対象物に気体を吹き付ける。吹付部203は、例えば図4に表す空間A1に向けて気体を吹き付ける位置に設けられ、人の手が差し込まれたことを検知
するとこの空間A1に向けて気体を吹き付ける。
【0051】
撮影部202は、吹付部203により気体が吹き付けられている対象物を撮影する位置に設けられ、吹付部203から気体が吹き付けられる位置に対象物が移動してくるとその対象物を撮影する。これにより、ユーザが洗浄した手を乾かしているときに対象物の撮影が行われて洗浄が終了したか否かの判定が行われ、手の乾燥と判定のための光の照射が別々に行われる場合に比べてユーザの手間を少なくすることができる。
【0052】
[3−3]吐出容器
吐出容器は実施例と異なる形状であってもよい。例えばノズルとハンドルとが一体になっておらず、分かれていてもよい。また、ハンドルが押し下げられたときに混合物2が吐出されるのではなく、ハンドルを引っ張ったときや回転させたときに混合物2が吐出されてもよい。また、洗剤及びマーカー物質が異なる吐出口から吐出されてもよい。
【0053】
図17は本変形例の吐出容器10cの外観を表す。吐出容器10cは、タンク11cと、ノズル12cと、ハンドル13cと、吐出部14cとを備える。タンク11cは、混合物2の2以上の材料を個別に収容する。2以上の材料は、例えば洗剤3c及びマーカー物質4cである。なお、これに限らず、例えば混ぜると洗剤又はマーカー物質となる材料が含まれていてもよい。ノズル12cは、互いに隣接する2以上の吐出口を有する。ノズル12cは、この例では上側の吐出口121cと下側の吐出口122cとを有する。
【0054】
ハンドル13cは、2以上の材料の吐出させる際にユーザが操作する部位である。ハンドル13cは、実施例と同様に、ばね等により鉛直上方に向けて力が加えられている。吐出部14cは、ハンドル13cが操作されると(押し下げられると)、タンク11cに収容された2以上の材料を移送して2以上の吐出口であり吐出口121c及び122cからそれぞれ吐出させる。図17では、タンク11cに収容された洗剤が吐出口121cまで移送されるチューブ141cとマーカー物質が吐出口121cまで移送されるチューブ142cとが破線で表されている。吐出部14cは、図示せぬポンプが生じさせた圧力により各材料(洗剤及びマーカー物質)をこれらのチューブを通して各ノズルまで移送する。
【0055】
このように2以上の材料を個別に収容させることで、各材料をそれぞれ補充することができる。また、洗剤及びマーカー物質を別々の吐出口から吐出させることで、これらを混ぜてから吐出させる場合に比べて、洗剤と混ざる前に対象物に付着するマーカー物質が増えるので、洗浄後に対象物に残るマーカー物質を増やすこと、すなわちマーカー領域をより大きくすることができる。これにより、各材料を混ぜてから吐出させる場合に比べて、必要なマーカー物質を少なくすることができる。
【0056】
吐出容器10cにおいては、ポンプが生じさせた圧力が洗剤3c及びマーカー物質4cの界面に均等に加わるようになっている。そのため、その圧力により各材料がチューブ内を移送される距離は概ね等しくなるので、チューブ141c及び142cの断面積が共通していると、吐出される洗剤3c及びマーカー物質4cの体積比は概ね1:1になる。この体積比を変える場合は、両チューブの断面積の比率を変えればよい(断面積が大きいほど体積比も大きくなる)。例えば、体積比を洗剤3c:マーカー物質4cを1:4にする場合は、チューブ141cの断面積をチューブ142cの断面積の4分の1にすればよい。このようにして、本変形例の吐出容器から吐出される洗剤3c及びマーカー物質4cの体積比を制御することができる。
【0057】
また、上記の場合に、チューブ141c及び142cの長さを等しくしておくことで、洗剤3c及びマーカー物質4cが同じタイミングで吐出されることになる。ここで、界面から吐出口までのチューブの長さがチューブ142cの方が短くなるようにしておくこと
で、マーカー物質4cの方が先に吐出されるようにしてもよい。これにより、吐出タイミングが同じ場合に比べて、マーカー物質4cが手により多く付着して手洗い後も残りやすいようにすることができる。
【0058】
[3−4]混合物の形態
混合物は、実施例では液体状の物体であったが、これに限らない。例えば、泡状の物体であってもよい。また、石鹸のような固体状の物体であってもよいし、霧状にして対象物に吹きかけられる物体であってもよい。要するに、洗剤及びマーカー物質を含んで対象物に塗布することができるものであれば、混合物はどのような形態であってもよい。なお、混合物が固体状の物体である場合、洗剤及びマーカー物質の体積比(質量比でもよい)としては、混合物を製造する過程で洗剤及びマーカー物質を混合する前の時点での体積比が用いられればよい。また、混合物が霧状の物体であっても、タンクには液状で収容されていれば、その液状の状態に行ける体積比が用いられればよい。
【0059】
[3−5]マーカー物質
マーカー物質は実施例で述べたものに限らない。例えば、実施例ではマーカー物質は対象物よりも紫外線の反射率が大きい透明な物質であったが、赤外線の反射率が対象物よりも大きい透明な物質であってもよいし、可視光の反射率が対象物よりも大きい有色の物質であってもよい。また、マーカー物質は、これら特定の波長帯の光の吸収率が対象物よりも大きい物質であってもよいし、それらの光の反射率又は吸収率が対象物よりも小さい物質であってもよい。
【0060】
いずれの場合も、特定の波長帯の光を対象物に照射することで、対象物とマーカー物質との明るさに違いが生じるのでマーカー領域を認識することができる。また、マーカー物質が有色である場合、紫外線を照射させなくてもマーカー領域を確認することができる。また、マーカー物質が有色である場合には、手を洗っている最中にも洗い残している箇所を確認することができる。これに対し、実施例のようにマーカー物質が透明な場合には、手を洗っている最中に洗い残している箇所を確認することはできないが、その状態でも洗い残しをなくすような手の洗い方を訓練することができる。
【0061】
[3−6]各機能を実現する装置
図6に表す各機能は、実施例とは異なる装置によって実現されてもよい。例えば図6に表す照射部201、撮影部202、判定部301及び処理部302が1つの装置によって実現されてもよいし、それぞれ異なる装置によって実現されてもよい。これは図15に表す各機能についても同様である。また、図13に表す処理部401を複数の情報処理装置30のうちの1つが実現してもよい。要するに、衛生管理システム全体としてこれらの機能が実現されていればよい。
【0062】
[3−7]撮影装置
撮影装置の構成は実施例で述べたものに限らない。
図18は正面から見た本変形例の撮影装置20dを表し、図19は側面から見た撮影装置20dを表す。撮影装置20dは、照射機構21dと、撮影機構22dと、モニター23dと、吐出機構24dと、流水機構25dと、送風機構26dと、シンク27dとを備える。照射機構21dは、空間A1dに向けて紫外線を照射する。撮影機構22dは、空間A1dに差し込まれたユーザの手を撮影する。
【0063】
モニター23dは、撮影機構22dが撮影した画像を表示する。吐出機構24d、流水機構25d及び送風機構26dは、いずれも人感センサを備え、その人感センサでユーザの手が接近したことを検知する。手の接近を検知すると、吐出機構24dは混合物2を吐出し、流水機構25dは水を出し、送風機構26dは風を送り出す。ユーザは、吐出機構
24dから吐出された混合物2を手に塗布し、流水機構25dから出てきた水で手洗いを行い、送風機構26dから送り出される風で手を乾かす。シンク27dは、手洗いに使われた水や混合物2を排出する。この例によれば、ユーザは、混合物2の塗布から手洗い、手の乾燥、手洗いの終了の確認までを同じ場所で行うことができる。
【0064】
[3−8]洗剤及びマーカー物質
衛生管理システムで用いられる洗剤及びマーカー物質は、必ずしも混合されていなくてもよい。その場合でも、例えば混合物ではなく洗剤だけで手洗いをした場合や、混合物を塗布して手洗いを行ったユーザ自身がマーカー領域の大きさに基づいて洗浄が終了したか否かを判断する場合に比べれば、図6に表す撮影部202、判定部301、処理部302が動作して判定結果を報知する処理が行われることで、洗浄が終了したか否かを、より確実に且つ少ない手間で確認することができる。
【0065】
[3−9]発明のカテゴリ
本発明は、実施例等で述べた洗剤及び容器(洗剤容器)として捉えられる。また、本発明は、撮影装置、情報処理装置及びサーバ装置という各装置の他にも、図6等に示す各機能を実現する各種の装置としても捉えられるし、それらの装置を備える衛生管理システムのようなシステムとしても捉えられる。また、本発明は、それらの装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、それらの装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…衛生管理システム、2…混合物、3c…洗剤、4c…マーカー物質、10…吐出容器、20…撮影装置、30…情報処理装置、40…サーバ装置、11…タンク、12…ノズル、13…ハンドル、14…吐出部、21、24…照射機構、22、25…撮影機構、23…センサ機構、31、41…制御部、32、42…記憶部、33…インターフェース、34…表示部、35…音出力部、43…通信部、201…照射部、202…撮影部、301…判定部、302、401…処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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