(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略円形の底面と、一端が前記底面から延びており、他端が開口した筒状の側面と、前記他端から外側に向かう肩部と、を有し、ボトル本体の口部に嵌められるカートリッジを製造する方法であって、
シールの一部を折り曲げて一部を二重にする工程と、
そのシールを前記側面の外周に貼り付ける工程と、を備えるカートリッジ製造方法。
略円形の底面と、一端が前記底面から延びており、他端が開口した筒状の側面と、前記他端から外側に向かう肩部と、を有し、ボトル本体の口部に嵌められるカートリッジを製造する方法であって、
シールにシートを貼り付ける工程と、
そのシールを前記側面の外周に貼り付ける工程と、を備えるカートリッジ製造方法。
略円形の底面と、一端が前記底面から延びており、他端が開口した筒状の側面と、前記他端から外側に向かう肩部と、を有し、ボトル本体の口部に嵌められるカートリッジを製造する方法であって、
少なくとも一部において幅が連続的に広くなるシールを前記側面の外周に貼り付ける工程を備えるカートリッジ製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、使い勝手がよいスプレーボトルおよびその製造方法、また、そのようなスプレーボトルを実現するためのカートリッジおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、ボトル本体の口部に嵌められるカートリッジであって、略円形の底面と、一端が前記底面から延びており、他端が開口した筒状の側面と、前記他端から外側に向かう肩部と、鉛直方向に延びており、当該カートリッジの内部を複数の貯蔵室に分割する隔壁と、前記側面の外周面に設けられたシールと、を備え、前記シールは、所定位置およびその反対側において二重になっており、かつ、前記隔壁に合わせて第1目印および第2目印が設けられ、前記シールによって、当該カートリッジの少なくとも一部の外径は前記底面側から前記肩部側に向かって連続的に大きくなっており、前記シールの上端と前記肩部との距離は、前記ボトル本体の口部の高さより長い、カートリッジが提供される。
【0006】
また、本発明の別の態様によれば、ボトル本体の口部に嵌められるカートリッジであって、略円形の底面と、一端が前記底面から延びており、他端が開口した筒状の側面と、前記他端から外側に向かう肩部と、を備え、当該カートリッジにおける第1位置の外形は、前記第1位置より前記肩部側である第2位置の外形より小さく、前記第2位置の外形は、前記第2位置より前記肩部側である第3位置の外形より小さい、カートリッジが提供される。
底面から肩部に向かってカートリッジの外径が大きくなるため、カートリッジをボトル本体の口部に挿入しやすく、使用勝手がよい。
【0007】
当該カートリッジの外径は、前記第1位置から前記第3位置の間の少なくとも一部において、前記底面側から前記肩部側に向かって連続的に大きくなっているのが望ましい。
カートリッジの外径が連続的に大きくなることで、よりカートリッジをボトル本体の口部に挿入しやすくなる。
【0008】
当該カートリッジは、前記側面の外周面に設けられ、少なくとも前記第2位置および前記第3位置を含む厚み調整部を備えるのが望ましい。
厚み調整部によってカートリッジの外径を調整できる。
【0009】
前記厚み調整部の上端と前記肩部との距離は、前記ボトル本体の口部の高さより長いのが望ましい。
これにより、カートリッジをボトル本体の口部に嵌めた際、カートリッジと口部の内側とが密着せず、カートリッジの位置決め回転が容易となる。
【0010】
前記厚み調整部はシールであるのが望ましい。
これにより、簡易に厚み調整部を実現できる。
【0011】
前記シールにおける前記第3位置に相当する部分では、シールが二重になっているのが望ましい。
これにより、簡易にカートリッジの外径を調整できる。
【0012】
鉛直方向に延びており、当該カートリッジの内部を複数の貯蔵室に分割する隔壁を備え、前記厚み調整部には、前記隔壁に合わせて第1目印および第2目印が設けられているのが望ましい。
これにより、厚み調整部を正しい位置に設けることができる。
【0013】
前記厚み調整部は、第1凸部と、その反対側に設けられた第2凸部と、を有するのが望ましい。
これにより、ボトル本体の口部からカートリッジを引き抜く際、口部が楕円状に変形し、カートリッジが引き抜かれにくくなる。
【0014】
本発明の一態様によれば、略円形の底面と、一端が前記底面から延びており、他端が開口した筒状の側面と、前記他端から外側に向かう肩部と、を有し、ボトル本体の口部に嵌められるカートリッジを製造する方法であって、シールの一部を折り曲げて一部を二重にする工程と、そのシールを前記側面の外周に貼り付ける工程と、を備えるカートリッジ製造方法が提供される。
シールを折り曲げて用いることで、少なくとも3段階の外径を有するカートリッジを簡易に製造できる。
【0015】
本発明の一態様によれば、略円形の底面と、一端が前記底面から延びており、他端が開口した筒状の側面と、前記他端から外側に向かう肩部と、を有し、ボトル本体の口部に嵌められるカートリッジを製造する方法であって、シールにシートを貼り付ける工程と、そのシールを前記側面の外周に貼り付ける工程と、を備えるカートリッジ製造方法が提供される。
シートが貼り付けられたシールを用いることで、少なくとも3段階の外径を有するカートリッジを簡易に製造できる。
【0016】
本発明の一態様によれば、略円形の底面と、一端が前記底面から延びており、他端が開口した筒状の側面と、前記他端から外側に向かう肩部と、を有し、ボトル本体の口部に嵌められるカートリッジを製造する方法であって、少なくとも一部において幅が連続的に広くなるシールを前記側面の外周に貼り付ける工程を備えるカートリッジ製造方法が提供される。
幅が連続的に広くなるシールを用いることで、少なくとも3段階の外径を有するカートリッジを簡易に製造できる。
【0017】
前記側面の内側には、鉛直方向に延びる隔壁が設けられており、前記シールには、第1目印および第2目印が設けられており、前記シールを前記側面の外周に貼り付ける際、前記第1目印、前記第2目印および前記隔壁を利用して前記シールを前記側面の外周に対して位置合わせするのが望ましい。
これにより、シールを正しい位置に貼り付けることができる。
【0018】
本発明の一態様によれば、口部を有するボトル本体と、前記口部に嵌められた、上記カートリッジと、前記ボトル本体に取り付けられたスプレーヘッドと、を備えるスプレーボトルが提供される。
【0019】
本発明の一態様によれば、上記カートリッジを、ボトル本体の口部に嵌める工程と、スプレーヘッドを前記ボトル本体に取り付ける工程と、を備えるスプレーボトルの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
スプレーボトルの使用勝手が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、一実施形態に係るスプレーボトルの分解斜視図である。スプレーボトルは、ボトル本体1、カートリッジ2およびスプレーヘッド3から構成される。
【0023】
ボトル本体1は、例えば可撓性があり半透明のポリプロピレンやポリエチレン製であり、コストを抑えるためにダイレクトブロー成形法によって形成されるのが望ましい。ダイレクトブロー成形では、ボトル本体1の外面形状を画定する金型が用いられる。そのため、ボトル本体1の外面形状の寸法精度は高いが、その反面、肉厚や内面形状の寸法精度はそれほど高くない。
【0024】
ボトル本体1は上方が開口しており、カートリッジ2が嵌められる口部11を有する。口部11はその下部より細くなっており、その高さ(細くなっている部分の高さ)H0は例えば10mmである。口部11の水平方向断面はほぼ円形であり、外周面にはネジが切られている。上述したダイレクトブロー成形の特徴により、口部11の内径の成形精度はそれほど高くなく、例えば規格値が30mmである場合に±0.5mm程度の個体差が生じ得る。
【0025】
また、ボトル本体1は口部11とは別の挿入口12を有し、口部11にカートリッジ2が嵌められた状態であっても、ボトル本体1内に液体(以下では水とする)を充填できるのが望ましい。さらに、ボトル本体1には入れるべき水量の目安を示す目盛13が形成されていてもよい。
【0026】
カートリッジ2は、ほぼ円形であり中央部が開口した底面21と、下端が底面21から上方に向かって延びており上端が開口した筒状の側面22と、側面22の上端から外側に向かって突出したリング状の肩部23とを有する。また、カートリッジ2は、その内部に設けられた円筒部24と、1または複数(
図1では4つ)の隔壁25とを有する。これらは、例えば半透明のポリプロピレンやポリエチレン製であり、形状や寸法精度を考慮して射出成形によって形成されるのが望ましい。
【0027】
底面21および側面22の外径は、ボトル本体1における口部11の内径よりわずかに小さく、より正確には、寸法精度から想定される最も小さい口部11の内径より小さい。射出成型によれば、底面21および側面22の外径の成形精度は(少なくともボトル本体1における口部11の内径の成形精度より)高く、例えば規格値が30mmである場合の個体差は±2mm程度である。
【0028】
なお、本明細書で単に「外径」と言えば、特定の位置における底面21と平行な断面の外径を指すものとする。
【0029】
一方、肩部23の外径は、口部11の内径より大きく、かつ口部11の外径以下であり、望ましくは口部11の外径と等しい。これにより、カートリッジ2を口部11に挿入したとき、肩部23の下面が口部11の上面に当接し、カートリッジ2がボトル本体1内に落下することはない。
【0030】
円筒部24の下部は底面21の開口に連通しており、上部は肩部23と同一平面まで延びて開口している。各隔壁25の下部は底面21に接続されて鉛直方向に延びており、上部は肩部23と同一平面まで延びている。また、各隔壁25は円筒部24の外周面と側面22の内周面とを接続しており、これによってカートリッジ2は複数の貯蔵室26に分割されている。そして、各貯蔵室26に薬液(例えば濃い洗剤)が入れられている。なお、図示していないが、薬液がこぼれないよう開封容易な薄膜で各貯蔵室26および肩部23を覆っておくのが望ましい。
【0031】
さらに、カートリッジ2はその側面22の外周面に設けられた厚み調整部50を有する。厚み調整部50は、例えば所定形状のシール(タックラベル)をカートリッジ2の側面22の外周面に貼り付けたものであり、カートリッジ2の側面22において、底面21から肩部23に向かって、シールの貼り付け比率(言い換えると、厚み調整部50の厚み)が徐々に大きくなっている。厚み調整部50を設けることにより、ボトル本体1の口部11の内径にばらつきがあったとしても、カートリッジ2の使用性が向上する。この点は後に詳しく説明する。
【0032】
スプレーヘッド3は、キャップ部31と、開封針32と、吸液管33と、トリガ34と、ノズル35とを有する。
【0033】
キャップ部31の内径はカートリッジ2の肩部23の外径およびボトル本体1における口部11の外径よりわずかに大きい。キャップ部31の内周面にはネジが切られており、口部11の外周面に切られたネジと係合するようになっている。開封針32は先端が尖っており、カートリッジ2の底面21を貫通して穴を形成できる程度に強固である。また、開封針32の下部には溝32aが形成されている。
【0034】
図2A〜
図2Cは、スプレーボトルの使用状態を示す側面図である。まず
図2Aに示すように、カートリッジ2がボトル本体1の口部11に嵌められる。また、ボトル本体1には所定量の水が入れられる。次いで
図2Bに示すように、ボトル本体1の口部11におけるネジとスプレーヘッド3のキャップ部31におけるネジとを係合させることで、スプレーヘッド3をボトル本体1に取り付ける。これによって、スプレーボトルが製造される。
【0035】
このとき、開封針32はカートリッジ2における1つの貯蔵室26に入り、かつ、その先端が底面21を貫通して穴が形成される。この状態において、開封針32の溝32aは、その上部が貯蔵室26内にあり、下部はボトル本体1に入れられた水より高い位置にある。よって、溝32aの上部から下部に向かって貯蔵室26内の薬液がボトル本体1に流出し、使用に適した濃度に希釈される。
【0036】
また、吸液管33はカートリッジ2における円筒部24内および底面21の開口を通り、下部がボトル本体1内の液体に接する。この状態でトリガ34を引くことで、ボトル本体1内の液体が吸液管33から吸い上げられてノズル35から噴射される。
【0037】
ボトル本体1の液体を使い終わると、別の貯蔵室26内の薬液を使う必要がある。そこで、ボトル本体1からスプレーヘッド3が取り外される。このとき、カートリッジ2に厚み調整部50を設けない場合、
図2Cに示すようにスプレーヘッド3とともにカートリッジ2も引き抜かれてしまい、ユーザにとって不便である。肩部23がキャップ部31内にあるため、ユーザは薬液が付着したカートリッジ2の側面22を手で摘まんで取り外さなければならないためである。
【0038】
例えば、口部11の内径の成形精度が低いことを考慮して、確実に口部11に嵌まるようカートリッジ2を細く形成すると、ボトル本体1とスプレーヘッド3とのパッキンの役割を肩部23に担わせる必要がある。そのような場合に肩部23がスプレーヘッド3のキャップ部31に嵌まってしまい、
図2Cの状態となることが多い。
【0039】
そこで、本実施形態では、カートリッジ2に厚み調整部50を設け、スプレーヘッド3を取り外す際に、カートリッジ2がスプレーヘッド3とともに引き抜かれないようにする。以下、シールを用いた厚み調整部50について詳しく説明する。
【0040】
図3は、厚み調整部50の展開図である。厚み調整部50は一方の面(以下、便宜上裏面と呼ぶ)に粘着力を持ったシール50aを用いて作られ、これがカートリッジ2における側面22の外周面に貼り付けられる。シール50aは所定の厚みを持っており、クッション材としての役割を果たす多孔質であるのが望ましい。具体的には厚み0.2mmのポリプロピレン系合成紙ラベルシールを用いることができ、さらに具体的には、それぞれが微小なボイドを含む表層、基層および基層からなるユポ紙(登録商標)が好適である。
【0041】
シール50aの形状は、下端が尖っており徐々に幅が広くなる三角形部分51aと、その上部に設けられた幅広部分51bと、その中央上部に設けられた幅狭部分51cとから構成される。
【0042】
三角形部分51aおよび幅広部分51bの幅W1は、カートリッジ2の外周より10mm程度長く、例えば122mmである。三角形部分51aの高さH1は例えば50mmである。幅広部分51bの高さH2は例えば10mmである。幅広部分51bの角は丸みを帯びていてもよく、その半径Rは例えば3mmである。なお、三角形部分51aの高さH1と幅広部分51bの高さH2との和は、カートリッジ2の高さより短い。また、幅狭部分51cの幅W2および高さH3は、それぞれ例えば30mmおよび10mmである。
【0043】
また、幅広部分51bおよび幅狭部分51cに跨って開口51dが形成されている。開口51dは幅広部分51bと幅狭部分51cとの境界線に対して上下対称であり、例えば一辺が5mmの正方形である。そして、開口51dの対向する2つの角は三角形部分51aの下端直上にあり、より正確には該2つの角と三角形部分51aの下端とを結ぶ線は、幅広部分51bおよび幅狭部分51cの長手方向と直交する。さらに、幅広部分51bと幅狭部分51cとの境界は折り曲げやすいようミシン目51eが形成されている。
【0044】
図4A〜
図4Dは、厚み調整部50付きのカートリッジ2の製造工程図である。
まず、
図4Aに示すように、ミシン目51eを裏面側に折り曲げる。これにより、幅狭部分51cが幅広部分51bに重なってシール50aの一部が厚くなる(0.4mm程度)。このシール50aが二重になって厚くなった部分を凸部52aと呼ぶ。
【0045】
次に、
図4Bに示すように、開口51dの角および三角形部分51aの下端を目印として利用し、カートリッジ2に対する位置合わせを行う。すなわち、カートリッジ2における1つの隔壁25の上部に開口51dの角を合わせ、同隔壁25の下部に三角形部分51aの下端を合わせる。これにより、シール50aが斜めになることなく正確にカートリッジ2に貼り付けることができる。
【0046】
続いて、幅広部分51bの一端をカートリッジ2の側面22に貼り付け(
図4C)、さらに幅広部分51bの他端をカートリッジ2の側面22に貼り付ける(
図4D)。このとき、幅広部分51bの幅W1はカートリッジ2の外周より長いため、幅広部分51bの一端と他端とが重なる。このシール50aが二重になって厚くなった部分を凸部52bと呼ぶ。凸部52bの厚さは凸部52a(
図4A参照)と等しい。
【0047】
図5(a)はカートリッジ2の幅狭部分51cを含む側から見た斜視図であり、
図5(b)は
図5(a)を180度反対側から見た図であり、
図5(c)はカートリッジ2の外径を模式的に示すグラフである。
【0048】
図5(a)および
図5(b)から分かるように、厚み調整部50は、上部に凸部52aがあり、その180度反対側に凸部52bが設けられている。
【0049】
図5(c)に示すように、カートリッジ2の下端(底面21)から厚み調整部50の下端までは、カートリッジ2の外径は一定(つまり側面22の外径)である。厚み調整部50の下部は三角形部分51aから形成されるため、厚み調整部50の下端に相当する位置から上方に向かってカートリッジ2の外径は連続的に大きくなる。さらに上方には凸部52bがあり、これにより外径は非連続的に大きくなる。またさらに上方には凸部52aがあり、これにより外径は非連続的に大きくなる。
【0050】
そして、厚み調整部50の上端より上方は外径が非連続的に小さくなり、カートリッジ2の上端(肩部23の下側)まで、カートリッジ2の外径は一定(つまり側面22の外径)である。
【0051】
図6は、ボトル本体1の口部11と、厚み調整部50を有するカートリッジ2の大きさ関係を示す図である。図示のように、口部11の高さH0より、厚み調整部50の上端と肩部23との距離H4の方が大きい。
【0052】
以上のような厚み調整部50を有するカートリッジ2の使用性が優れていることを説明する。
【0053】
カートリッジ2は、その底面21から肩部23に向かってボトル本体1に挿入される。厚み調整部50が設けられた部分では、
図5(c)から分かるように、挿入が進むほどカートリッジ2の外径が大きくなる。そのため、ボトル本体1の口部11の内径に多少のばらつきがある場合に内径の小さな口部11に対しても適度な力でカートリッジ2を口部11にスムーズに押し込むことができる。このように、本実施形態によれば、カートリッジ2のボトル本体1への挿入が容易である。
【0054】
図7は、カートリッジ2が嵌められたボトル本体1の正面図および上面図である。
図6での説明から分かるように、カートリッジ2がボトル本体1に嵌められると、厚み調整部50の上端は口部11の下端より下方に位置する。言い換えると、口部11の内側において、厚み調整部50はないため、カートリッジ2の外径は小さい。よって、口部11の内面とカートリッジ2の外面とは密着しておらず、「あそび」がある。
【0055】
そのため、スプレーヘッド3を取り付ける際に、開封針32が所望の位置になるよう、カートリッジ2を口部11内で容易に位置決めの回転(
図7(b)の矢印参照)を行うことができる。このように、本実施形態によれば、ボトル本体1に嵌められたカートリッジ2の取り扱いが容易である。
【0056】
図8は、スプレーヘッド3を引き抜いた際のボトル本体1およびカートリッジ2の正面図である。スプレーヘッド3を引き抜く際に、カートリッジ2も引き上げられる。開封針32がカートリッジ2の底面21を貫通しており、両者間に応力が生じるためである。しかしながら、厚み調整部50の上端がストッパとなって口部11の内側下部に引っ掛かり、
図8に示すようにカートリッジ2はボトル本体1内にとどまる。すなわち、
図2Cに示すようにスプレーヘッド3とともにカートリッジ2が引き抜かれることはない。
【0057】
さらに言えば、厚み調整部50は、凸部52aと、その180度反対側に設けられた52bとを有する。そのため、凸部52a,52bが長軸となるよう口部11の断面が楕円状に撓み、その応力もカートリッジ2を口部11から引き抜く際のストッパとして機能する。
【0058】
図8において、やはり
図6での説明から分かるように、厚み調整部50の上端が口部11の下部に引っかかると、カートリッジ2の側面22の上部(
図8の矢印A部分)および肩部23は口部11より上に出る。そのため、ユーザは薬液が付着していないカートリッジ2の肩部23を摘まんで安全に引き抜くことができる。このように、本実施形態によれば、カートリッジ2の引き抜きも容易である。
【0059】
厚み調整部50の厚さは次のようにして設計されるのが望ましい。カートリッジ2の底面21を貫通したスプレーヘッド3の開封針32をカートリッジ2から引き抜く際の応力N1(6N程度)より、カートリッジ2をボトル本体1から引き抜く際の最大応力(厚み調整部50における最も厚い部分の引き抜き強度)N2が大きくなるようにする(N1<N2)。これにより、スプレーヘッド3を引き抜く際に、カートリッジ2がボトル本体1内にとどまる。(
図8参照)。一方で、上記応力N2が大きすぎると、
図8の状態からカートリッジ2を引き抜くのが困難になる。
以上から、上記応力N2が例えば10〜30Nとなるよう、シール50aの材質、厚み、形状、貼り付け位置、貼り付け角度が調整される。
【0060】
なお、本実施形態では、シール50aを貼り付けることによって厚み調整部50を形成したが、カートリッジ2の射出成型時の金型を利用して同形状の厚み調整部50が側面22と一体となったカートリッジ2を形成してもよい。ただし、シール50aを用いた方が、その材質、厚み、形状、貼り付け位置、貼り付け角度などを調整するだけで、容易に作業性や使用性を最適化できるし、コストも抑えられるため望ましい。
以下、
図3とは異なるシールを用いたカートリッジ2の変形例をいくつか示す。
第1変形例として、シールの一部を折り曲げることによって厚みを調整する厚み調整部50’を有するカートリッジ2’を形成する態様を説明する。
【0061】
図9は、第1変形例である厚み調整部50’となるシール50a’の例を示す図である。シール50a’には、1または複数のミシン目が形成されている。具体的には、
図9(a)に示すシール50a’は、第1矩形部分61と、これより幅狭の第2矩形部分62とから構成され、両者の境目にシール50a’の長辺と平行なミシン目が形成されている。
図9(b)に示すシール50a’は、第1矩形部分61と、これと同じ幅の第2矩形部分62とから構成され、両者の境目にシール50a’の長辺と平行なミシン目が形成されている。
図9(c)に示すシール50a’は矩形であり、その角に傾斜したミシン目が形成されている。
図9(d)に示すシール50a’は矩形であり、上端中央から下に向かって切込みが形成され、該切込みの下部から角に向かう傾斜したミシン目が形成されている。
【0062】
図10は、カートリッジ2’の製造工程を示す図であり、
図10(a)〜(d)は
図9(a)〜(d)とそれぞれ対応している。これらの図に示すように、ミシン目を裏側に折り曲げる。これにより、他の部分の2倍の厚さを有する1または複数の肉厚部63が形成される。肉厚部63の少なくとも一部はシール50a’の上端に位置する。なお、ミシン目は折り曲げるための目安にすぎず、設けなくても構わない。
【0063】
図11は、
図10に引き続くカートリッジ2’の製造工程を示す図であり、
図11(a)〜(d)は
図10(a)〜(d)とそれぞれ対応している。これらの図に示すように、肉厚部63が形成されたシール50a’を側面22の外周に貼り付けることで、厚み調整部50’を有するカートリッジ2’が形成される。このとき、厚み調整部50’の上端と肩部23との距離H4が、口部11の高さH0より長くなるようにする。
【0064】
カートリッジ2’の外径は少なくとも3段階ある。すなわち、カートリッジ2’の外径は、底面21に近く厚み調整部50’が設けられない位置Aにおいて最も小さく、厚み調整部50’の肉厚部63が形成されていない位置Bにおいてその次に小さく、厚み調整部50’の肉厚部63が形成された位置Cにおいて最も大きい。
【0065】
ミシン目がシール50a’の長辺と平行である場合(
図11(a),(b))、カートリッジ2’の外径は3段階である。ミシン目がシール50a’の長辺に対して傾斜している場合(
図7(c),(d))、カートリッジ2’の外径は肉厚部63と対応する位置において連続的に変化する(望ましくは、肩部23に近いほど大きい)。
【0066】
いずれにしても、カートリッジ2’の少なくとも一部において、底面21から肩部23に向かって外径が大きくなる。そのため、カートリッジ2’をボトル本体1にスムーズに挿入できる。また、厚み調整部50’の上端がやはりストッパとなるため、スプレーヘッド3を引き抜く際に、カートリッジ2’がボトル本体1内にとどまる。
【0067】
このように、第1変形例では、シール50a’の一部を折り曲げることで厚み調整部50’自体が少なくとも2段階の厚みを有するようにする。そして、折り曲げたシール50a’をカートリッジ2’に貼り付けることで、少なくとも3段階の外径を有するカートリッジ2’が形成される。
続いて、第2変形例として、シートを用いて厚みを調整する厚み調整部50’’を有するカートリッジ2’’を形成する態様を説明する。
【0068】
図12は、第2変形例である厚み調整部50’’となるシール50a’’の例を示す図である。本変形例では、シール50a’’の他にシート71が用いられる。具体的には、
図10(a)では、第1矩形部71aおよび第2矩形部71bを有し、シール50a’’より小さな矩形のシート71が用いられる。例えば第2矩形部71bはシート71を二重にすることによって第1矩形部71aより厚くなっている。
図10(b)では、楕円形であり、シール50a’’より小さなシート71が用いられる。
【0069】
図13は、カートリッジ2’’の製造工程を示す図であり、
図13(a),(b)は
図12(a),(b)とそれぞれ対応している。これらの図に示すように、シート71をシール50a’’の裏面に貼り付ける。
【0070】
図13(a)では、シート71が貼り付けられておらず最も薄い部分と、第1矩形部71aが貼り付けられた2番目に薄い部分と、第2矩形部71bが貼り付けられた最も厚い部分とが形成される。
図13(b)では、シート71が貼り付けられていない薄い部分と、シート71が貼り付けられた厚い部分とが形成される。
【0071】
図14は、
図13に引き続くカートリッジ2’’の製造工程を示す図であり、
図14(a),(b)は
図13(a),(b)とそれぞれ対応している。これらの図に示すように、シート71’が貼り付けられたシール50a’’を側面22の外周に貼り付けることで、厚み調整部50’’を有するカートリッジ2’’が形成される。このとき、厚み調整部50’’の上端と肩部23との距離H4が、口部11の高さH0より長くなるようにする。
【0072】
図14(a)に示すカートリッジ2’’の外径は、底面21に近く厚み調整部50’が設けられない位置Aにおいて最も小さく、厚み調整部59’’のシート71が貼り付けられていない位置Bにおいてその次に小さく、厚み調整部50’の第1矩形部71aが貼り付けられた位置C1においてその次に小さく、厚み調整部50’の第2矩形部71bが貼り付けられた位置C2において最も大きい。
【0073】
一方、
図14(b)に示すカートリッジ2’’の外径は、底面21に近く厚み調整部50’が設けられない位置Aにおいて最も小さく、厚み調整部50’のシート71の下端が貼り付けられた位置Bから徐々に大きくなり、楕円形の長軸に対応する位置Cにおいて最も大きい。
【0074】
このように、第2変形例では、シール50a’’の一部にシート71を貼り付けることで厚み調整部50’自体が少なくとも2段階の厚みを有するようにする。そして、シート71が貼り付けられたシール50a’’をカートリッジ2’’に貼り付けることで、少なくとも3段階の外径を有するカートリッジ2’’が形成される。
【0075】
なお、シート71の形状、数、位置などに特に制限はない。例えば、シート71の形状は、三角形、四角形その他の多角形あるいは真円でもよい。また、シート71はシール50a’’の内側に貼り付けてもよいし外側に貼り付けてもよい。また、シール50a’’よりシート71が大きくてもよい。
【0076】
次に説明する第3変形例は、シール50a’’’自体の形状によって外径が連続的に厚くなるカートリッジ2’’’を形成する態様を説明する。
【0077】
図15Aおよび
図15Bは、第3変形例である厚み調整部50’’’となるシール50a’’’の例を示す図である。本変形例のシール50a’’’は幅が連続的に大きくなる部分72を有する。具体的には次の通りである。
【0078】
図15A(a)では、シール50a’’’が台形(等脚台形)であり、その斜辺に対応する部分において幅が連続的に大きくなる。
図15A(b)では、シール50a’’’が下向きの半円であり、その弧に対応する部分において幅が連続的に大きくなる。
図15A(c)では、シール50a’’’が下向きの三角形であり、その斜辺に対応する部分において幅が連続的に大きくなる。
図15A(d)では、シール50a’’’が下向きの五角形であり、その斜辺に対応する部分において幅が連続的に大きくなる。
【0079】
図15B(a)では、シール50a’’’が菱形であり、その下側の斜辺に対応する部分において幅が連続的に大きくなる。
図15B(b)では、シール50a’’’が扇形であり、その下側の斜辺に対応する部分において幅が連続的に大きくなる。
図15B(c)では、シール50a’’’が楕円形であり、その下側の曲線に対応する部分において幅が連続的に大きくなる。
【0081】
これらの図に示すように、シール50a’’’を側面22の外周に貼り付けることで、厚み調整部50’’’を有するカートリッジ2’’’が形成される。このとき、厚み調整部50’’’の上端と肩部23との距離H4が、口部11の高さH0より長くなるようにする。
【0082】
カートリッジ2’’’の外径は、底面21に近く厚み調整部50’’’が設けられない位置Aにおいて最も小さく、厚み調整部50’’’の下端に対応する位置Bにおいてその次に小さい。そして、位置Bから、シール50a’’’の幅が連続的に大きくなる部分72の上端に対応する位置Cまで、カートリッジ2’’’の外径は連続的に大きくなる。
【0083】
このように、第3変形例では、幅が連続的に大きくなる部分72を有するシール50a’’’を貼り付けることで、外径の一部が連続的に大きくなるカートリッジ2’’’が形成される。
【0084】
なお、シール50a’’’の形状に制限はなく、幅が連続的に大きくなる部分を有していればよく、さらには幅が非連続的に大きくなる部分を有していてもよい。
【0085】
上述した第1〜第3変形例の他にも種々の変形例が想到できるし、各例を任意に組み合わせてもよい。例えば、各シールの角は丸みを帯びていてもよいし、直線部分が曲線であってもよい。
【0086】
いずれにしても、カートリッジ2の外径は少なくとも3段階あるのが望ましい。より詳しくは、カートリッジ2の外径は、底面21に近いある位置において最も小さく、より肩部23に近いある位置において次に小さく、さらに肩部23に近いある位置においてさらに大きければよい。また、カートリッジ2の外径の少なくとも一部は連続的に大きくなっているのがさらに望ましい。
【0087】
カートリッジ2における最も外径が大きい部分はストッパとして機能する。すなわち、スプレーヘッド3をボトル本体1から引き抜く際、最も外径が大きい部分と口部11との接触抵抗が最大となり、カートリッジ2がスプレーヘッド3とともに引き抜かれることなく、ボトル本体1にとどめることができる。ストッパ機能を持たせるために、シールの上部にノンスリップ剤を塗布してもよい。
【0088】
また、シールを用いるのではなく、側面22と一体の厚み調整部50を形成してもよい。例えば
図17に示すように、側面22の外周面に1または複数の凸部73を設け、ボトル本体1の口部11から引き抜く際に抵抗が大きくなるようにしてもよい。凸部の具体的な例としては、
図17(a)に示すような円周状の凸部73でもよいし、
図17(b)に示すような縦リブ状の凸部73でもよい。
【0089】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。