特許第6857894号(P6857894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6857894-安全ネット及び安全ネットの形成方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857894
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】安全ネット及び安全ネットの形成方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   E04G21/32 A
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-41590(P2017-41590)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-145681(P2018-145681A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】591224766
【氏名又は名称】ナカダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】石 川 祐 介
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−331430(JP,A)
【文献】 特開平10−140845(JP,A)
【文献】 特開2014−141862(JP,A)
【文献】 米国特許第04986389(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
E04G 5/00
A62B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の落下、工具の落下を受け止める矩形形状のネット本体と、
このネット本体に取り付けられ、前記ネット本体の外周縁に沿うと共に、矩形形状に配置された周囲ロープと、
前記ネット本体に一体に取り付けられ、前記周囲ロープに沿うと共に、矩形形状に配置された1本の弾性ロープとを有し、
前記ネット本体を支持体に連結して、前記ネット本体を張った状態にあっては、前記1本の弾性ロープを緊張状態にして、前記周囲ロープの弛みを防止して、前記ネット本体を張る
ことを特徴とする安全ネット。
【請求項2】
作業者の落下、工具の落下を受け止める矩形形状のネット本体と、
このネット本体に取り付けられ、前記ネット本体の外周縁に沿うと共に、矩形形状に配置された周囲ロープと、
前記ネット本体に一体に取り付けられ、前記周囲ロープに沿うと共に、矩形形状に配置された1本の弾性ロープとを有する安全ネットを支持体に連結して、前記安全ネットを張って形成する安全ネットの形成方法であって、
前記1本の弾性ロープを緊張状態にして、前記周囲ロープの弛みを防止して、前記ネット本体を張る
ことを特徴とする安全ネットの形成方法。
【請求項3】
作業者の落下、工具の落下を受け止める矩形形状のネット本体と、
このネット本体に取り付けられ、前記ネット本体の外周縁に沿うと共に、矩形形状に配置された周囲ロープと、
前記ネット本体に一体に取り付けられ、前記周囲ロープに沿うと共に、矩形形状に配置された1本の弾性ロープとを有する安全ネットを支持体に連結体で連結して、形成する安全ネットの形成方法であって、
前記1本の弾性ロープを緊張状態にして、前記周囲ロープの弛みを防止して、前記ネット本体を張る
ことを特徴とする安全ネットの形成方法。
【請求項4】
ネット本体は、矩形形状であり、
支持体は、第1の水平部材、第2の水平部材、第3の水平部材、第4の水平部材であ
り、
連結体は、第1の連結体、第2の連結体、第3の連結体、第4の連結体であり、
前記第1の連結体は前記ネット本体と前記第1の水平部材とを連結するものであり、
前記第2の連結体は前記ネット本体と前記第2の水平部材とを連結するものであり、
前記第3の連結体は前記ネット本体と前記第3の水平部材とを連結するものであり、
前記第4の連結体は前記ネット本体と前記第4の水平部材とを連結するものである
ことを特徴とする請求項3記載の安全ネットの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全ネット及び安全ネットの形成方法に係り、特に、落下の防止をより図ることができる安全ネット及び安全ネットの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、落下した作業者、工具等を受け止める安全ネットがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−174245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この安全ネットが柱等の支持体に支持されて張られた場合、例えば、支持間隔が3m以内にあっては、ネット本体の周囲に設けられた周囲ロープの重みにより、ネット本体の周囲が 弛んで隙間(例えば、20cm)が形成され、該隙間を介して、例えば、落下した工具等が落下するという問題点が生じた。
弛みを少なくするために、支持間隔を細かくしすぎると、周囲ロープの柔軟性が阻害され、主目的である人体の落下に対し、安全に受け止めることができないという問題点が生じる。
また、周囲ロープ自体をゴム入りロープにした場合、人体が落ちた後、ロープが伸びすぎてしまい、階下の障害物に衝突したり、ゴムの反発により、人体がネット外に飛び出してしまうという問題点が生じる。
【0005】
本発明は、上記問題点を考慮してなされた安全ネット及び安全ネットの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の安全ネットは、作業者の落下、工具の落下を受け止める矩形形状のネット本体と、このネット本体に取り付けられ、前記ネット本体の外周縁に沿うと共に、矩形形状に配置された周囲ロープと、前記ネット本体に一体に取り付けられ、前記周囲ロープに沿うと共に、矩形形状に配置された1本の弾性ロープとを有し、前記ネット本体を支持体に連結して、前記ネット本体を張った状態にあっては、前記1本の弾性ロープを緊張状態にして、前記周囲ロープの弛みを防止して、前記ネット本体を張るものである。
【0007】
また、請求項2記載の安全ネットの形成方法は、作業者の落下、工具の落下を受け止める矩形形状のネット本体と、このネット本体に取り付けられ、前記ネット本体の外周縁に沿うと共に、矩形形状に配置された周囲ロープと、前記ネット本体に一体に取り付けられ、前記周囲ロープに沿うと共に、矩形形状に配置された1本の弾性ロープとを有する安全ネットを支持体に連結して、前記安全ネットを張って形成する安全ネットの形成方法であって、前記1本の弾性ロープを緊張状態にして、前記周囲ロープの弛みを防止して、前記ネット本体を張るものである。
【0008】
また、請求項3記載の安全ネットの形成方法は、作業者の落下、工具の落下を受け止める矩形形状のネット本体と、このネット本体に取り付けられ、前記ネット本体の外周縁に沿うと共に、矩形形状に配置された周囲ロープと、前記ネット本体に一体に取り付けられ、前記周囲ロープに沿うと共に、矩形形状に配置された1本の弾性ロープとを有する安全ネットを支持体に連結体で連結して、形成する安全ネットの形成方法であって、前記1本の弾性ロープを緊張状態にして、前記周囲ロープの弛みを防止して、前記ネット本体を張るものである。
【0009】
また、請求項4記載の安全ネットの形成方法は、請求項3記載の安全ネットの形成方法において、ネット本体は、矩形形状であり、支持体は、第1の水平部材、第2の水平部材、第3の水平部材、第4の水平部材であり、連結体は、第1の連結体、第2の連結体、第3の連結体、第4の連結体であり、前記第1の連結体は前記ネット本体と前記第1の水平部材とを連結するものであり、前記第2の連結体は前記ネット本体と前記第2の水平部材とを連結するものであり、前記第3の連結体は前記ネット本体と前記第3の水平部材とを連結するものであり、前記第4の連結体は前記ネット本体と前記第4の水平部材とを連結するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の安全ネットによれば、作業者の落下、工具の落下を受け止めるネット本体と、このネット本体に取り付けられ、前記ネット本体の周囲に位置する周囲ロープと、前記ネット本体に取り付けられ、前記周囲ロープに隣接して設けられた弾性ロープとを有するため、安全ネットを支持体に連結体(連結体は、例えば、周囲ロープ、周囲ロープとは、別個のロープ等)で連結して、安全ネットを形成して、前記弾性ロープを緊張状態にして、前記周囲ロープの弛みを防止して、前記ネット本体を張ることができ、その結果、周囲ロープの弛みによる隙間を少なくして、該隙間を介して、例えば、落下した工具のさらなる落下を防止することができる。
【0011】
また、請求項2記載の安全ネットの形成方法によれば、作業者の落下、工具の落下を受け止めるネット本体と、このネット本体に取り付けられ、前記ネット本体の周囲に位置する周囲ロープと、前記ネット本体に取り付けられ、前記周囲ロープに隣接して設けられた弾性ロープとを有する安全ネットを支持体に連結して、前記安全ネットを張って形成する安全ネットの形成方法であって、前記弾性ロープを緊張状態にして、前記周囲ロープの弛みを防止して、前記ネット本体を張るため、周囲ロープの弛みによる隙間を少なくして、該隙間を介して、例えば、落下した工具のさらなる落下を防止することができる。
【0012】
また、請求項3記載の安全ネットの形成方法によれば、作業者の落下、工具の落下を受け止めるネット本体と、このネット本体に取り付けられ、前記ネット本体の周囲に位置する周囲ロープと、前記ネット本体に取り付けられ、前記周囲ロープに隣接して設けられた弾性ロープとを有する安全ネットを支持体に連結体で連結して、形成する安全ネットの形成方法であって、前記弾性ロープを緊張状態にして、前記周囲ロープの弛みを防止して、前記ネット本体を張るため、周囲ロープの弛みによる隙間を少なくして、該隙間を介して、例えば、落下した工具のさらなる落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施例の安全ネットの概略的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例の安全ネット及び安全ネットの形成方法を図1を参照して説明する。
図1に示すSは、作業者の高所作業における落下事故の防止、工具類、部材落下を受け止めて、下層部での作業者の安全を確保するために使用される安全ネットである。
【0015】
図1に示す1は、作業者の落下、工具の落下を受け止めるネット本体で、2は、ネット本体1に取り付けられ、ネット本体1の周囲に位置する周囲ロープで、3は、ネット本体1に取り付けられ、周囲ロープ2に隣接して設けられた弾性ロープである。
弾性ロープ3の長さは、ネット本体1の周囲に周囲ロープ2を入れた状態の周囲長に対して80%〜90%程度で、弾性ロープ3の挿通間隔は、例えば、50cm〜100cmピッチで、弾性ロープ3の緊張により、周囲ロープ2の弛みによる隙間を少なくして、該隙間を介して、例えば、落下した工具のさらなる落下を防止しようとするものである。
なお、本実施例においては、弾性ロープ3を周囲ロープ2の内側に隣接して設けたが、本願発明にあっては、これに限らず、弾性ロープ3を周囲ロープ2の外側に隣接して設けるようにしても良い。弾性ロープ3の長さは、上述と同様に、ネット本体1の周囲に周囲ロープ2を入れた状態の周囲長に対して80%〜90%程度で、弾性ロープ3の挿通間隔は、例えば、50cm〜100cmピッチで、弾性ロープ3の緊張により、周囲ロープ2の弛みによる隙間を少なくするようにする。
【0016】
そして、安全ネットSを支持体(41、42、43、44)に連結して、安全ネットSを張って形成する(安全ネットの形成方法)。なお、特に、弾性ロープ3を緊張状態にして、周囲ロープ2の重みによる弛みを防止して、ネット本体1を張るものである。
その結果、周囲ロープ2の弛みによる隙間を少なくして、隙間を介して、例えば、落下した工具(図示せず)のさらなる落下を防止することができる。
また、弾性ロープ3は、安全ネットS自体の減速度を小さくする効果がある。
そのため、ネット本体1の網の素材として、従来、減速度が減って、不向きとされたポリエチレン、スーパー繊維を用いることも可能となる。
【0017】
従って、上述した安全ネットSによれば、作業者の落下、工具の落下を受け止めるネット本体1と、このネット本体1に取り付けられ、ネット本体1の周囲に位置する周囲ロープ2と、ネット本体1に取り付けられ、周囲ロープ2に隣接して設けられた弾性ロープ3(弾性ロープ3は、例えば、周囲ロープ2の内側に位置する。)とを有するため、安全ネットSを支持体(41、42、43、44)に連結体(連結体は、例えば、周囲ロープ2とは、別個の後述するロープ5等)で連結して、安全ネットSを形成して、弾性ロープ3を緊張状態にして、周囲ロープ2の重みによる弛みを防止して、ネット本体1を張ることができ、その結果、周囲ロープ2の重みによる弛みによる隙間を少なくして、隙間を介して、例えば、落下した工具(図示せず)のさらなる落下を防止することができる。
【0018】
なお、上述したネット本体1は、例えば、矩形形状であり、弾性ロープ3は、例えば、周囲ロープ2の内側又は外側に位置し、支持体(41、42、43、44)は、柱でも良いが、本実施例では、例えば、第1の水平部材41、第2の水平部材42、第3の水平部材43、第4の水平部材44であり、連結体(51、52、53、54)は、例えば、第1の連結体51、第2の連結体52、第3の連結体53、第4の連結体54であり、第1の連結体51はネット本体1と第1の水平部材41とを連結するものであり、第2の連結体52はネット本体1と第2の水平部材42とを連結するものであり、第3の連結体53はネット本体1と第3の水平部材43とを連結するものであり、第4の連結体54はネット本体1と第4の水平部材54とを連結するものである。
【符号の説明】
【0019】
S 安全ネット
1 ネット本体
2 周囲ロープ
3 弾性ロープ
図1