(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0016】
図1は、本実施形態に係る処理フローシステムのブロック図の一例である。本実施形態に係る処理フローシステム1は、処理フローを実行するためのシステムの集合体である。処理フローとは、複数の処理が設定された順序で組み合わさって1つの業務プロセスを構成するものである。複数の処理が設定された順序で組み合わさっているとは、ある処理が実行された後に、他の処理が実行されており、その処理順序が予め設定されていることを意味する。
【0017】
図1に示すように、処理フローシステム1は、処理フロー管理システム10と、複数のシステム100とを有する。処理フロー管理システム10は、複数のシステム100とデータの送受信が可能なシステムである。処理フロー管理システム10の詳細は後述する。複数のシステム100同士は、互いに異なる動作(処理)を行うものであり、かつ、互いにデータの通信が遮断されている。すなわち、システム100同士は、直接データのやりとりを行うことができない。なお、システム100は、処理フローを構成する各処理を行うためのシステムであるが、これに限られず、例えば電子メールを行うメールシステムなど、処理フロー管理システム10に対してデータ通信を行うことが可能なシステムであればよい。
【0018】
さらに詳しくは、処理フローシステム1は、サプライチェーンを管理するシステムである。サプライチェーンは、複数の企業間で統合的に構築された物流システムであり、以下の例では、複数の部品から構成される1つの製品の生産を管理するものとする。本実施形態のサプライチェーンにおいては、一つの企業や部署が自身の処理(例えば1つの部品の生産管理)を完了した後に、他の企業が別の処理を実行して、統合的に1つの製品を管理する。従って、サプライチェーンは、各企業などが担当する複数の処理が、設定された順序で組み合わさった処理フローであるということができる。なお、処理フローは、複数の処理が設定された順序で組み合わさって1つの業務プロセスを構成するものであればよく、1つの製品の生産管理プロセスに限られない。
【0019】
本実施形態における処理フローは、製品を製造する企業(製造企業)の設計部と、製造企業のQA(Quality Assurance)部と、設計企業の購買部と、第1サプライヤと、第2サプライヤによって実行される。設計部は、製品の設計を監理する部署である。QA部は、製品の品質保証を管理する部署である。購買部は、第1サプライヤ及び第2サプライヤからの部品の購買を管理する部署である。第1サプライヤは、製造企業とは別の企業であり、製品を構成する一部の部品を製造する企業である。第2サプライヤは、製造企業とは別の企業であり、製品を構成する他の一部の部品を製造する企業である。すなわち、設計部とQA部と購買部と第1サプライヤと第2サプライヤとは、処理フロー内の各処理を実行し、それぞれが実行する処理の内容は互いに異なる。ただし、これらの部署及び企業は一例である。処理フロー内の各処理を実行する部署や企業は、処理フローの内容によって任意に設定される。
【0020】
図1に示すように、本実施形態における複数のシステム100は、設計システム101と、QAシステム102と、購買システム104と、監査システム106と、第1サプライヤシステム110と、第2サプライヤシステム120とを有する。設計システム101とQAシステム102と購買システム104とは、製品を製造する製造企業が管理するシステム(コンピュータシステム)である。設計システム101は、設計部が設計管理のために用いるシステムである。QAシステム102は、QA部が品質保証管理のために用いるシステムである。購買システム104は、購買部が購買管理のために用いるシステムである。また、第1サプライヤシステム110は、第1サプライヤが部品製造を管理するために用いるシステムである。そして、第2サプライヤシステム120は、第2サプライヤが部品製造を管理するために用いるシステムである。ただし、システム100は、これらに限られず、実行する処理フローによって任意のシステムが含まれる。
【0021】
図2は、処理フロー管理システムのブロック図である。
図2に示すように、処理フロー管理システム10は、処理フロー記憶部20と、処理要求取得部22と、処理フロー読出し部24と、処理要求保存部26と、処理フロー表示制御部28と、処理フロー管理部30と、履歴記憶部32と、履歴分析部34とを有する。
【0022】
処理フロー記憶部20は、複数種類の処理フローの内容を記憶している。さらに詳しくは、処理フロー記憶部20は、処理フローに含まれる各処理の内容とその処理の配列順とを、処理フロー毎に記憶している。処理フロー記憶部20が記憶する処理フローの内容、すなわち各処理の内容と配列順とは、処理フロー管理システム10への管理者の入力により設定される。ただし、後述のように、履歴分析部34が、履歴の分析結果により、処理の内容と配列順とを更新してもよい。処理フロー記憶部20が記憶する処理フローの種類は、処理フロー管理システム10への管理者の入力により更新されてもよい。
【0023】
処理フロー記憶部20は、複数種類の処理フローを記憶可能であるが、量産された製品の設計変更の場合の処理フローを、一例として以下に説明する。
図3は、製品の設計変更の場合に必要な処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、製品の設計変更を行う場合、設計部が設計の観点から変更可否を判断し(ステップS1)、QA部が品質保証の観点から変更可否を判断する必要がある(ステップS2)。さらに、購買部が、例えばコストの観点から製品設計変更に伴う部品の設計変更の可否を判断し(ステップS4)、第1サプライヤ及び第2サプライヤが部品の設計変更の可否を判断し(ステップS6)、監査部が最終判断を行う必要がある(ステップS8)。なお、監査部は、製造企業において設計変更の可否の最終判断を行う責任部署である。
【0024】
図4は、処理フローの一例を示す図である。設計変更においては、
図3に示すような処理が必要であるが、処理フロー記憶部20は、この設計変更の処理フローを、例えば
図4に示すような処理の内容及び処理順序のものとして記憶している。
図4は、設計変更の処理フローを、処理フロー表示制御部28がディスプレイである表示部50に表示した状態を示している。
【0025】
図4に示すように、処理フロー表示制御部28は、表示部50の上部表示画面52に、処理フローの名称(ここでは、「設計変更フロー A−001」)を表示する。また、処理フロー表示制御部28は、表示部50の中央表示画面54に、処理フローの内容を表示する。設計変更の処理フローは、担当部起草処理(ステップS10)と、設計部判断処理(ステップS12)と、QA部判断処理(ステップS14)と、購買部判断処理(ステップS16)と、第1サプライヤ判断処理(ステップS18)と、第2サプライヤ判断処理(ステップS20)と、監査部判断処理(ステップS22)と、の各処理が設定された順序で組み合わされたものである。この処理フローは、処理フロー管理部30によって管理されるが、その管理方法については後述する。
【0026】
図2に戻り、処理要求取得部22は、システム100のいずれかから処理要求を取得する。処理要求とは、新しい処理フローを実行する旨を要求する情報である。すなわち、本実施形態における処理要求は、製品の設計変更の処理フローを立ち上げることを要求する情報である。この処理要求は、複数のシステム100のいずれから送信されるものであるが、例えば、管理者により処理フロー管理システム10に直接入力されてもよい。
【0027】
処理要求取得部22は、処理要求に対応する処理フローを、処理フロー記憶部20が記憶している複数の処理フローと照合する。そして、処理要求取得部22は、処理要求と一致する処理フローを、処理フロー記憶部20が記憶しているかを判断する。すなわち、処理要求取得部22は、処理要求に対応する処理フローが、処理フロー管理システム10によって処理内容が定義されていない新しい処理フローであるかを判断する。処理要求取得部22は、処理フロー記憶部20が一致する処理フローを記憶している場合、すなわち、処理要求に対応する処理フローの内容が定義されている既存のものである場合、その旨及びその処理フローの内容を、処理フロー読出し部24に伝達する。処理要求取得部22は、処理フロー記憶部20が一致する処理フローを記憶していない場合、すなわち、処理要求に対応する処理フローの内容が定義されていない新規のものである場合、その旨を処理要求保存部26に伝達する。
【0028】
処理フロー読出し部24は、処理フロー(今回の例では設計変更の処理フロー)を読み出す。具体的には、処理フロー読出し部24は、処理要求取得部22から、処理フロー記憶部20が処理要求に一致する処理フローを記憶している旨の情報と、その一致する処理フローの内容とを取得する。言い換えれば、処理フロー読出し部24は、処理要求取得部22が取得した処理要求と、処理フロー記憶部20が記憶する処理フローとが一致した場合に、処理フロー記憶部20からその一致した処理フローの内容を読み出す。
【0029】
処理要求保存部26は、処理要求取得部22から、処理フロー記憶部20が処理要求に一致する処理フローを記憶していない旨の情報と、その処理要求に対応する処理フローとを取得し、その処理フローを記憶する。すなわち、処理要求保存部26は、処理フロー管理システム10によって処理内容が定義されていない新しい処理フローを記憶する。処理要求保存部26に記憶された処理フローは、処理フロー管理部30によって管理されず、各部署の担当者によって個別に管理される。ただし、処理要求保存部26に記憶された処理フローは、作業者によって処理内容が新たに設定されて処理フロー記憶部20に記憶された後に、処理フロー管理部30によって管理されてもよい。
【0030】
処理フロー表示制御部28は、処理フロー読出し部24が読み出した処理フローの表示を制御する。具体的には、処理フロー表示制御部28は、
図4に示したように、処理フロー読出し部24が読み出した処理フローを、ディスプレイである表示部50に表示する。
【0031】
処理フロー管理部30は、処理決定部40と処理指令部42と実行データ判断部44とを有する。処理決定部40は、処理フロー読出し部24が読み出した処理フローに基づき、その処理フロー内の複数の処理から現在実行処理を決定する。現在実行処理とは、処理フロー内の処理のうち、これから実行する処理を指す。処理決定部40は、処理フロー内の最初の処理(
図4では担当部起草処理)が実行されていない場合は、その最初の処理を、現在実行処理として決定する。処理決定部40は、処理フロー内で既に実行が終了した処理がある場合は、最後に終了した処理の次の処理を、現在実行処理として決定する。
【0032】
処理指令部42は、処理決定部40が決定した現在実行処理に基づき、複数のシステム100から対象システムを選択する。処理指令部42は、選択した対象システムに対し、現在実行処理を実行する旨の指令を出力する。処理指令部42は、現在実行処理の処理内容を読み出し、処理を誰が行うかを判断することで、対象システムを選択する。例えば、処理指令部42は、現在実行処理が設計部による設計変更の確認を行う旨の内容であれば、設計部がその処理を行うと判断し、設計システム101を対象システムとして選択する。そして、処理指令部42は、設計システム101に設計変更の確認を行う旨の指令を出力する。
【0033】
実行データ判断部44は、対象システムからデータを受信する。実行データ判断部44は、その受信したデータが実行データであるかを判断する。実行データとは、処理指令部42によって指示された現在実行処理を実行した旨の情報である。すなわち、対象システムは、現在実行処理を実行した場合に、その旨を実行データとして実行データ判断部44に出力する。実行データ判断部44は、その実行データを受信する。なお、実行データ判断部44は、選択した対象システム以外から、その現在実行処理に対するアクセス(ここでは実行データの送信)を制限し、対象システムのみから現在実行処理に対するアクセス(データの送信)を受けつけるようにしてもよい。
【0034】
実行データ判断部44は、実行データを受信した場合、その旨を処理決定部40に通知する。処理決定部40は、実行データを受信した旨の情報を受信すると、その現在実行処理を終了し、その次の処理を現在実行処理として決定する。その後の処理は同様である。
【0035】
以上の処理決定部40と処理指令部42と実行データ判断部44との処理の一例を、
図4に示す設計変更の処理フローを例として、具体的に説明する。
図4に示すように、設計変更の処理フローは、最初に担当部起草処理が実行される(ステップS10)。具体的には、処理決定部40は、担当部起草処理を現在実行処理に決定する。処理指令部42は、担当部起草処理の内容を読み出す。担当部起草処理は、処理要求を送信した担当者が、その処理フローの詳細内容を入力する処理である。ここでは、担当者が、設計変更の詳細内容、すなわちどの製品をどのように設計変更するかを入力する処理である。処理指令部42は、処理要求を送信した担当者が設計部判断処理を行うと判断して、その担当者が管理するシステム100を対象システムとして選択する。そして、処理指令部42は、そのシステム100に対し、担当部起草処理を行う旨の指令を出力する。なお、処理要求を送信した担当者は、例えば設計部や第1サプライヤなど、どの部署や企業に属する者であってよい。
【0036】
担当部起草処理を行う旨の指令を取得したシステム100は、担当者に担当部起草処理を受信した旨を通知する。担当者は、担当部起草処理を行う旨の指令の内容を確認した旨の情報をそのシステム100に入力する。システム100、指令の内容を確認した旨の情報を処理フロー管理システム10に出力する。そして、担当者は、システム100に、設計変更の詳細内容、すなわちどの製品をどのように設計変更するかを入力する。システム100は、設計変更の詳細内容を、実行データとして実行データ判断部44に出力する。実行データ判断部44は、受信した実行データ(設計変更の詳細内容)を記憶し、実行データを受信した旨を処理決定部40に通知する。処理決定部40は、担当部起草処理の実行データを受信した旨の通知により、担当部起草処理を終了する。
【0037】
担当部起草処理が終了した後は、設計部判断処理が実行される(ステップS12)。具体的には、処理決定部40は、担当部起草処理が終了した後、次の処理である設計部判定処理を現在実行処理に決定する。処理指令部42は、設計部判断処理の内容を読み出す。設計部判断処理は、設計部が設計変更の可否を判断する処理である。処理指令部42は、設計部が設計部判断処理を行うと判断して、設計システム101を対象システムとして選択する。そして、処理指令部42は、設計システム101に対し、設計部判断処理を行う旨の指令を出力する。
【0038】
設計部判断処理を行う旨の指令を取得した設計システム101は、設計部の担当者に設計部判断処理を受信した旨を通知する。設計部の担当者は、指令の内容を確認した旨の情報を、設計システム101に入力する。設計システム101は、指令の内容を確認した旨の情報を、処理フロー管理システム10に出力する。そして、設計部の担当者は、設計システム101を介して実行データ判断部44が記憶した設計変更の詳細内容を読み出し、設計変更の可否を判断する。設計部の担当者は、設計システム101に設計変更可否の判断結果を入力する。設計システム101は、設計変更可否の判断結果を、実行データとして実行データ判断部44に出力する。実行データ判断部44は、受信した実行データが、設計変更が可能である旨の情報である場合、その旨を処理決定部40に通知する。実行データ判断部44は、受信した実行データが、設計変更が不可能である旨の情報である場合、処理決定部40にステップS10に戻る旨の指令を出し、処理要求を送信した担当者に対し、設計変更の詳細内容を変更する旨の通知を行う。
【0039】
設計部判断処理が終了した後は、QA部判断処理が実行される(ステップS14)。QA部判断処理は、QAシステム102を介してQA部に設計変更可否の判断を指令する旨の処理である。QA部判断処理の処理手順は、設計部判断処理と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
QA部判断処理が終了した後は、購買部判断処理が実行される(ステップS16)。購買部判断処理は、購買システム104を介して購買部に設計変更可否の判断を指令する旨の処理である。購買部判断処理の処理手順は、設計部判断処理と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
購買部判断処理が終了した後は、第1サプライヤ判断処理(ステップS18)及び第2サプライヤ判断処理(ステップS20)が実行される。第1サプライヤ判断処理は、第1サプライヤシステム110を介して第1サプライヤに担当する部品の設計変更可否の判断を指令する旨の処理である。第2サプライヤ判断処理は、第2サプライヤシステム120を介して第2サプライヤに担当する部品の設計変更可否の判断を指令する旨の処理である。第1サプライヤ判断処理及び第2サプライヤ判断処理の処理手順は、設計部判断処理と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
第1サプライヤ判断処理及び第2サプライヤ判断処理が終了した後は、監査部判断処理が実行される(ステップS22)。監査部判断処理は、監査部が管理するシステムを介して監査部に製品の設計変更の最終的な判断を行う旨を指令する処理である。監査部判断処理の処理手順は、設計部判断処理と同様であるため、説明を省略する。この監査部判断処理の終了により、設計変更の処理フローは終了し、設計変更が実行される。
【0043】
処理決定部40と処理指令部42と実行データ判断部44とは、以上のように、各システム100とデータの送受信を行い、処理フロー全体を管理する。ただし、以上の説明は設計変更の処理フローの一例であり、処理の手順は、処理フローの種類によって異なる。処理フローの内容は、上述のように任意であるが、設計変更以外の例としては、サプライヤで起こった不適合品の判定(救済、廃却、補修)を行う処理、注文内容の変更を行い、どの時点から変更の適用を実施するかを決定する処理、サプライヤ側からの設計や作業工程変更要求の実施可否を判断して判断結果を通知する処理、製品仕様書(図面、付帯仕様書など)をサプライヤに提供して見積もりを依頼し、必要に応じて問い合わせに対応して、最終的な見積もり回答を受領する処理などが挙げられる。
【0044】
図2に戻り、履歴記憶部32は、処理フロー内の各処理の実行状況の履歴である履歴情報を記憶する。具体的には、履歴情報は、その処理の内容と、立ち上げタイミングと、確認タイミングと、終了タイミングと、その処理を行った担当者とを含む。立ち上げタイミングは、その処理を現在実行処理として開始したタイミングである。すなわち、立ち上げタイミングは、対象システムに対し、現在実行処理を実行する旨の指令を出力したタイミングである。また、確認タイミングは、処理フロー管理システム10が、指令を確認した旨の情報を、対象システムから取得したタイミングである。終了タイミングは、現在実行処理を終了したタイミングである。すなわち、終了タイミングは、対象システムから実行データを受信したタイミングである。また、履歴情報は、その処理を行った担当者の情報の代わりに、実行データを出力した対象システムの情報を含んでもよい。
【0045】
図5は、履歴情報の一例を示す説明図である。
図5に示すように、履歴情報は、立ち上げタイミングと、確認タイミングと、終了タイミングと、その処理を行った担当者とが、その処理の内容に関連付けられたものである。履歴記憶部32は、終了した全ての処理(
図5の例では、担当部起草処理と設計部判定処理)を、立ち上げタイミングと確認タイミングと終了タイミングとその処理を行った担当者とに関連付けて記憶している。管理者は、履歴情報により、どの処理にどれだけ時間を要しているかを容易に確認することが可能となり、処理の改善を行うことが可能となる。
【0046】
図2に示す履歴分析部34は、履歴記憶部32が記憶する履歴情報に基づき、処理を終了させるのに要する時間を、処理毎に算出する。さらに詳しくは、履歴分析部34は、相関分析を行い、処理フローの全体のリードタイムにおいて、どの処理がボトルネックになっているかを分析する。また、履歴分析部34は、例えば、処理を終了させるのに要する時間の算出結果から、処理フローの内容を修正し、その修正した処理フローを更新して処理フロー記憶部20に記憶させてもよい。例えば、履歴分析部34は、算出結果に基づき、処理フロー内の処理順番を入れ替えてもよい。具体的には、履歴分析部34は、処理を終了させるのに要する時間の長い処理を後ろに移動させてもよい。これによって短時間で終了する処理を先に行わせることで、前の処理が終わらずに待ちの状態となっている部署を少なくすることが可能となる。
【0047】
次に、処理フロー管理システム10による処理フローの管理を、フローチャートに基づき説明する。
図6は、処理フロー管理システムによる処理フローの管理を説明するフローチャートである。
図6に示すように、最初に、処理フロー管理システム10は、処理要求取得部22が、処理要求を取得する(ステップS40)。
【0048】
処理要求を取得した後、処理フロー管理システム10は、処理要求取得部22が、処理フロー記憶部20が記憶する処理フローと処理要求とを照合して、処理要求に一致する処理フローがあるか判断する(ステップS42)。具体的には、処理要求取得部22は、処理フロー記憶部20が、処理要求と一致する処理フローを記憶しているかを判断する。処理要求に一致する処理フローがある場合(ステップS42;Yes)、処理フロー読出し部24は、処理フロー記憶部20からその一致する処理フローを読み出す(ステップS44)。なお、処理要求に一致する処理フローが無いと判断した場合(ステップS42;No)、処理フロー管理システム10は、その処理要求を処理要求保存部26に保存して、本処理を終了する。
【0049】
処理フローを読み出した後、処理フロー管理システム10は、処理決定部40により、処理フロー内の各処理から、現在実行処理を決定する(ステップS46)。具体的には、処理決定部40は、処理フロー内の最初の処理が実行されていない場合は、その最初の処理を、現在実行処理として決定する。処理決定部40は、処理フロー内で既に実行が終了した処理がある場合は、最後に終了した処理の次の処理を、現在実行処理として決定する。
【0050】
現在実行処理を決定した後、処理フロー管理システム10は、処理指令部42により、複数のシステム100から対象システムを選択し、現在実行処理を実行する旨の実行指令を出力する(ステップS48)。対象システムの担当者は、その実行指令に基づき現在実行処理を実行する。対象システムは、現在実行処理を実行した旨の実行データを、実行データ判断部44に出力する。
【0051】
処理フロー管理システム10は、実行データ判断部44により、対象システムからデータを受信したら(ステップS50)、そのデータが実行データであるかを判断する(ステップS52)。実行データである場合(ステップS52;Yes)、処理フロー管理システム10は、処理決定部40により、現在実行処理を終了する(ステップS54)。なお、実行データでない場合(ステップS52;No)、ステップS50に戻り、データの受信を続ける。
【0052】
現在実行処理を終了した後、処理フロー管理システム10は、処理決定部40により、処理フロー内に次の処理があるかを判断し(ステップS56)、次の処理がある場合(ステップS56;Yes)、ステップS46に戻り、次の処理を現在実行処理に決定し、同様の処理を繰り返す。次の処理が無い場合(ステップS56;No)、処理フロー管理システム10は、処理フローを終了し(ステップS58)、本処理を終了する。履歴記憶部32は、この処理の最中において、履歴情報をその都度記憶する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る処理フロー管理システム10は、複数のシステム100とデータの送受信を行って処理フローを管理するものであり、処理フロー読出し部24と、処理決定部40と、処理指令部42と、実行データ判断部44と、履歴記憶部32とを有する。処理フロー読出し部24は、複数の処理が設定された順序で組み合わさった処理フローを読み出す。処理指令部42は、処理フローに基づき、複数の処理から、これから実行する処理である現在実行処理を決定する。処理指令部42は、現在実行処理に基づき、複数のシステム100から対象システムを選択し、対象システムに現在実行処理を実行する旨の指令を出力する。実行データ判断部44は、対象システムからデータを受信して、そのデータが現在実行処理を実行した旨の実行データであるかを判断する。履歴記憶部32は、開始タイミング、終了タイミング、及び対象システムを、現在実行処理に関連付けて履歴情報として記憶する。
【0054】
処理フローは、複数の処理を順次実行するフローである。この複数の処理は、例えば異なる企業などに所属する異なる担当者によって実行される。ある担当者の処理が終了すれば、他の担当者が次の処理を実行する。従って、各部署や企業は、互いに処理が完了した旨などのデータのやりとりが必要となる。しかし、各部署や企業は、
図1に示すシステム100のように、互いに異なるシステムを用いている場合がある。従って、このような処理フローを管理する場合、処理フロー全体を監視して一元管理することが困難となるおそれがある。しかし、本実施形態に係る処理フロー管理システム10は、システム100とデータの送受信を行って、各システム100にそれぞれの処理を実行する旨の指令を出し、その実行した旨の結果を取得して、処理フロー中の各処理の進捗状況を管理する。そして、処理フロー管理システム10は、処理毎の進捗状況を履歴情報として記憶する。例えば管理者は、履歴情報を参照して、処理毎の進捗状況を容易に確認することが可能となるため、処理フロー全体を適切に管理し、かつ、各処理を改善することも容易となる。従って、この処理フロー管理システム10は、複数のシステム100が用いられている場合においても、処理フロー全体を適切に管理することが可能となる。また、処理フロー管理システム10は、複数のシステム100に対して実行する処理を規定するため、それぞれのシステム100の設定を変更することなく、種々の処理フローを実行することができる。また、処理フロー管理システム10によると、処理フローの処理内容が変更になった場合でも、システム100の設定を変更する必要が無くなる。
【0055】
また、複数のシステム100は、互いに異なる処理を実行し、かつ、互いにデータの通信が遮断されている。このようなシステム100を用いて処理フローを実行する場合、システム100の全体の状況を確認できる担当者がいなくなるため、処理フロー全体の管理が困難となる。しかし、この処理フロー管理システム10は、これらのシステム100に対してデータのやりとりを行って、全ての処理の進捗状況を管理することが可能となる。従って、この処理フロー管理システム10は、このような場合のおいても、処理フロー全体を適切に管理することが可能となる。
【0056】
また、処理フロー管理システム10は、履歴情報に基づき、処理を終了するのに要する時間を算出する履歴分析部34を更に有する。この履歴分析部34は、処理を終了するのに要する時間を算出するため、管理者が、どの処理を重点的に改善する必要があるか、すなわちどの処理の処理時間を重点的に短縮する必要があるかを容易に認識することが可能となる。従って、処理フロー管理システム10によると、処理を適切に改善することができる。
【0057】
また、処理フロー管理システム10は、新しい処理フローを実行する旨の処理要求を取得する処理要求取得部22と、複数種類の処理フローを記憶する処理フロー記憶部20と、を更に有する。処理フロー読出し部24は、処理要求取得部22が取得した処理要求と処理フロー記憶部20が記憶する処理フローとが一致した場合に、処理フロー記憶部20から一致した処理フローを読み出す。この処理フロー管理システム10は、予め定められた処理フローを読み出して処理内容を決定するため、処理フロー全体を適切に管理することが可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。