(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている化粧台では、光源から化粧鏡の中心に向けて光が発せられている。そのため、幅広の化粧台では、該化粧鏡の表面からの離間距離が同一である照射面の中央部の照度が高くなる。一方、照明灯とは反対側には光が届きにくいので、照度が低くなり、照射面での照度の差が生じる。したがって、例えば化粧鏡に向かって二人で並んで化粧台を使用する場合は、照度の低い位置に二人の顔が来ることになり、顔が暗く写ってしまうことになる。また、一人で使用する場合であっても、立つ位置によって照度が大きく異なるため、顔の写り方が毎回異なってしまう、つまり、均一な照度で使用することが難しいという問題があった。以下、本明細書において、「照度が均一である」とは、照射面において最も高い照度が最も低い照度の1倍以上10倍以下であることをいう。なお、照射面において最も高い照度は最も低い照度の1倍以上5倍以下であることが好ましく、これにより照度がより均一になる。
【0006】
また、従来の化粧台では、光源の角度などによって影が生じることがあった。特許文献2に記載されている洗面化粧台では、影ができないようにするために、上述のように首振り可能に構成された照明装置の方向を調整することで、使用者の顔全体を照明することができるように構成されている。しかしながら、特許文献2に記載されている洗面化粧台では、照明装置が向けられた範囲では照度が高くなるが、その範囲外では照度が低くなるため、幅広な洗面化粧台においては均一な照度で使用することが難しいという問題が残る。また、特許文献2に記載されている洗面化粧台では、照明装置を首振り可能かつスライド可能とするため、部品数が増加すると共に、可動部分や駆動装置を有することで耐久性などの信頼性が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、簡易な構成で、鏡などを取り付け可能な取付基体の表面からの離間距離が同一である照射面での照度を均一にした照明装置、照明付き鏡および洗面化粧台を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照明装置は、取付基体に設けられている光源と、前記光源による光の照度を前記取付基体の表面からの離間距離が同一である照射面に沿って均一とする配光調整部材と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
上述の構成によれば、光源から発せられた光が配光調整部材によって照射面に沿って均一に照射される。したがって、照明装置が簡易に構成され、かつ照射対象の使用者が照射面のどの位置にいても、使用者に略均一の光が当たる。
【0010】
本発明に係る照明装置では、前記光源が前記取付基体の端部に設けられていてもよい。
【0011】
上述の構成によれば、取付基体の中心部を広く使用可能になるので、例えば、取付基体の表面に大面積のミラーが貼り付けられた場合など、鏡の意匠性が高まる。また、光源が取付基体の中央ではなく端部に設けられるので、光源の設置作業がし易い。
【0012】
本発明に係る照明装置では、前記光源が前記取付基体の裏面に設けられていてもよい。
【0013】
上述の構成によれば、光源が取付基体の裏面に設けられ、表側から(すなわち、使用者には)見えないため、照明装置が取り付けられた取付基体の意匠性が高まる。
【0014】
本発明に係る照明装置では、前記光源および前記配光調整部材が前記取付基体の両端部に設けられていることが好ましい。
【0015】
上述の構成によれば、照射面の両端部から光が照射されるので、照射対象の使用者が照射面にいても影がなくなる。したがって、例えば、使用者が照射面のどの位置にいても顔が明るく照らされる。
【0016】
本発明に係る照明装置では、前記配光調整部材は、前記光源の出射面に連設されると共に前記出射面から前記取付基体の前記一方の端部を囲むように前記取付基体の表面まで延設された導光板で構成されていることが好ましい。
【0017】
上述の構成によれば、光源から発せられた光が導光板によって表面まで導かれ、導光板の端面から出射され、照射面に均一に照射される。したがって、意匠性が確保されると共に、照射対象の使用者が照射面のどの位置にいても、使用者全体に光が当たる。
【0018】
本発明に係る照明装置では、前記導光板には、前記光源から導かれた光を前記照射面の中央より前記光源から遠ざかる方向に向ける出射方向調整部が設けられていることが好ましい。
【0019】
上述の構成によれば、光源から発せられ、導光板に導入された光が出射方向調整部によって照射面の中央より光源とは反対側に向けられ、導光板から出射される。本来、照射面の中央より光源から遠ざかる方向には光が届きにくいが、その方向に光が届くので、照射面の中央より光源から遠い部分の照度が高くなる。したがって、光源から発せられた光が照射面に沿ってより均一に照射される。
【0020】
本発明に係る照明装置では、前記出射方向調整部は、前記導光板において前記取付基体の表面に対向する面に形成されたプリズムで構成されていてもよい。
【0021】
上述の構成によれば、光源から発せられ、導光板に導入された光がプリズムによって照射面の中央より光源から遠ざかる方向に向けられ、導光板から出射されるので、上述のように照射面の中央よりから遠い部分の照度が高くなる。したがって、光源から発せられた光が照射面に沿ってより均一に照射される。また、導光板において取付基体の表面に対向する面に形成されていることでプリズムが導光板における使用者側の面に露出されない。そのため、プリズムが傷付きにくくなるうえに、導光板の拭き掃除も可能になる。結果として、照明装置の手入れが容易になり、照明装置の信頼性が高まる。
【0022】
本発明に係る照明装置では、前記導光板は透明材料からなることが好ましい。
【0023】
上述の構成によれば、導光板が透明材料で構成されることで、照明装置の消灯時には使用者側から導光板があまり気にならず、かつ取付基体が見えるようになり、意匠性がより高まる。以下、本明細書において、「透明である」とは、光源から発せられた光を80%以上透過させる状態をいう。
【0024】
本発明に係る照明付き鏡は、上述の照明装置を備え、前記取付基体の表面に鏡が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る洗面化粧台は、上述の照明装置と、前記取付基体の表面に設けられた鏡と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
上述の構成によれば、表面に鏡が設けられた取付基体(いわゆる、ミラー扉)に上述の照明装置が設けられることで、照明付き鏡や洗面化粧台の使用者が照射面のどの位置にいても、使用者全体に光が略均一に当たる。したがって、簡易な構成で、鏡の表面からの離間距離が同一である照射面での照度が均一となる照明付き鏡や洗面化粧台が実現される。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る照明装置、照明付き鏡および洗面化粧台によれば、簡易な構成で、鏡(取付基体)の表面からの離間距離が同一である照射面での照度を均一にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を適用した照明装置、照明付き鏡および洗面化粧台の一実施形態(以下、本実施形態の照明装置、照明付き鏡、洗面化粧台とすることがある)について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅及び厚みの比率などは実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の洗面化粧台1は、ミラーキャビネット6を備え、住宅の洗面所などに設置されているものである。洗面化粧台1には、下部の洗面台2の上面に水栓3およびハンドル4を備えた洗面ボウル5が設けられている。洗面ボウル5の上部には、支持部を介して多面鏡のミラーキャビネット6が設置されている。
【0030】
図2および
図3に示すように、ミラーキャビネット6の本体8の内部には、収納空間を有する収納部9が設けられている。本体8の収納部9は、中仕切り板12によって、中央の収納部9Aと、その両側の収納部9B,9Cに仕切られている。収納部9Aの収容空間は、収納部9B,9Cのそれぞれの収容空間より大とされている。
【0031】
収納部9A,9B,9Cの開口にはそれぞれ、ミラー扉10A,10B,10Cが取り付けられている。以下では、ミラー扉10A,10B,10Cについて、それぞれ区別する必要がない場合はまとめてミラー扉10と記載し、ミラー扉10A,10B,10Cに関連する構成要素についても同様に記載する。
【0032】
ミラー扉10は、扉材(取付基体)13と、扉材13の表面に貼り付けられたミラー(鏡)14と、を備えている。それぞれの収納部9の大きさに応じて、中央のミラー扉10Aの幅は、その両側のミラー扉10B,10Cの幅より広く設定されている。
【0033】
使用者側から見て中央のミラー扉10Aの右側の端部は、インセットタイプのスライド蝶番15によって中仕切り板12に連結されている。閉じている状態のミラー扉10Aの両端部は、ミラー扉10Aの両側の中仕切り板12に形成された凹所内に収まっている。左側のミラー扉(照明付き鏡)10Bの右側の端部と右側のミラー扉(照明付き鏡)10Cの左側の端部は、アウトセットタイプのスライド蝶番16によって中仕切り板12に連結されている。閉じている状態のミラー扉10Bの左側の端部とミラー扉の10Cの右側の端部はそれぞれ、本体8の外側の側板11との間に間隔をあけて配置されている。また、ミラー扉10Bの左側の端部とミラー扉の10Cの右側の端部と側板11のそれぞれの上下方向の端部に設けられたマグネットMによって、ミラー扉10B,10Cのそれぞれは側板11に当接離間可能とされている。
前述の構成を備えることで、中央のミラー扉10Aと左側のミラー扉10Bが左開きであり、右側のミラー扉10Cが右開きとなっている。すなわち、ミラー扉10A,10B,10Cは、三面鏡として使用可能とされている。
【0034】
左側のミラー扉10Bの左側の端部と右側のミラー扉10Bの右側の端部には、本実施形態の照明装置20が設けられている。左側のミラー扉10Bの左側の端部と右側のミラー扉10Cの右側の端部は、ミラーキャビネット6の左右両側にあたるので、言い換えれば、本実施形態の照明装置20は、ミラーキャビネット6の左右両側の端部に設けられている。
【0035】
図3および
図4に示すように、照明装置20は、光源22と、配光調整部材24と、を備えている。
【0036】
光源22は、ミラー扉10Bの扉材13の左側の端部(一方の端部)13pおよびミラー扉10Cの扉材13の右側の端部(一方の端部)13qに沿って裏面13bに設けられた光源ユニット26の本体27に内蔵されている。光源ユニット26は、本体27から扉材13の端部13p(すなわち、光源ユニット26が設けられた端部)とは反対側の方向に張り出した張出部28が扉材13の裏面13bにネジ止めされることで、扉材13に固定されている。光源22は、光源22に電圧などを供給するための電源(図示略)と、電源からの電圧などを制御するための制御部(図示略)に接続されている。前述の電源および制御部は、本体27に内蔵されていてもよく、例えば収納部9や洗面台2の内部に設置されていてもよい。後者の場合は、本体27に形成された貫通孔(図示略)に挿通された電源線や制御線が光源22と電源や制御部に接続されている。
【0037】
光源22としては、長寿命で高輝度であり、かつ小型である点から、白色LEDが好適である。なお、光源22の種類や性能は、照明装置20の目的を勘案して、適宜変更される。本体27には、複数の光源22が扉材13の上下方向に沿って互いに所定の間隔をあけて配置されている。
【0038】
図5には、ミラー扉10B,10Cのそれぞれに設けられている照明装置20のうち、ミラー扉10Bの左側の端部に設けられている照明装置20を拡大して示している。
図5に示すように、本体27の端部側の側面27cには、上下方向略全長にわたって凹部29が形成されている。凹部29の底部29eには、光源22が配置されており、光源22から発せられた光が凹部29から外方に出射されるように出射面23が外方に向けられている。
【0039】
配光調整部材24は、光源22による光の照度をミラー14の表面14aからの離間距離(すなわち、扉材13の表面13aからの離間距離)dが同一である照射面Sに沿って均一とするためのものである(
図6参照)。
図5に示すように、本実施形態の配光調整部材24は、導光板30で構成されている。導光板30は、光源22の出射面23に連設されると共に、出射面23から扉材13の端部13pを囲むように扉材13の表面13aまで延設されている。本実施形態では、扉材13の表面13aにミラー14が貼り付けられているので、扉材13と導光板30の出射側の端部30z側との間にはミラー14が介在している。
【0040】
本体27に形成された凹部29は、光源22から発せられた光をあらゆる方向に向けて拡散させるための拡散板40が嵌められている。前述のように、複数の光源22が扉材13の上下方向に沿って互いに所定の間隔をあけて配置されているので、拡散板40が設けられていることで、光源22から発せられた光があらゆる方向に向けられ、結果として拡散板40の出射側の端面40zの全体から光が略均等に出射される。導光板30の入射側の端部30xは、拡散板40を介して光源22の出射面23に連設されている。したがって、拡散板40から出射した光は、導光板30の入射側の端部30xの端面から導光板30の内部に円滑に導かれる。
【0041】
導光板30は、前述したように、扉材13の側端部を囲むように形成されているため、入射側の端部30xから出射側の端部30zに向って、直線部31、曲部32、直線部33、曲部34、直線部35をその順に備えている。なお、導光板30の形状は、光源ユニット26およびミラー扉10Bの形状などに応じて、適宜変更され、例えば直線部31,33は省略されてもよい。
【0042】
光源22から発せられた光の進行方向(
図5に示すL方向)における直線部31の長さは、光源ユニット26から左側に突出するミラー扉10Bの長さなどを勘案し、適宜設定されている。
L方向における曲部32,34の曲率半径は、光源22からの光の波長と導光板30の屈折率などを勘案し、光源22から導光板30に導かれた光の曲げ損失が所定の範囲内に抑えられるように、適宜設定されている。
L方向における直線部33の長さは、曲部32,34の曲率半径とミラー扉10Bの厚みなどを勘案し、適宜設定されている。
【0043】
L方向における直線部35の長さは、ミラーキャビネット6の幅や、後述する照射面Sとの離間距離、導光板30の出射側の端部30zから出射した光の伝搬方向等を勘案し、洗面化粧台1の使用者側から見た際の意匠性を損なわない範囲内で適宜設定されている。
【0044】
導光板30には、出射方向調整部36が設けられている。本実施形態の出射方向調整部36は、プリズム37で構成されている。プリズム37は、導光板30において扉材13の側面13cおよび表面13aに対向する面、すなわち曲部34および直線部35の内側の側面34b,35bに形成されている。また、プリズム37は、L方向に沿って所定の周期を有すると共に、導光板30の上下方向に延在している。プリズム37の周期と高さなどは、光源22から導かれた光を後述する照射面Sの中央より光源22から遠ざかる方向に向けるように、適宜設計されている。
【0045】
導光板30の出射側の端部30zは、仮想端面30vから突出し、かつ湾曲するように形成されている。すなわち、導光板30の出射側の端部30zには、湾曲面38が形成されている。湾曲面38の曲率半径などは、光源22から導かれた光を後述する照射面Sの中央より光源22から遠ざかる方向に向けるように、適宜設計されている。
【0046】
導光板30の材質は、光源22から発せられた光を導光可能なものであればよく、特に限定されない。光源22から発せられた光をより多く照射面Sに照射する目的から、導光板30の材質は、光源22から発せられた光を80%以上透過可能な透明材質で構成されていることが好ましい。導光板30を構成し、白色LEDのように可視光線に対して透明な材質としては、軽量で安価な点から、アクリル樹脂が好適であり、アクリル樹脂の他にはポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、石英、光学ガラスなどが挙げられる。樹脂製の導光板30は、例えば金型成形法や押出成形法によって製造可能である。
【0047】
ミラー扉10Cの右側の端部には、ミラー扉10Bの左側の端部に設けられている上述の照明装置20と同様の構成を備えた照明装置20が左右反転させた状態で設けられている。
【0048】
以上説明した本実施形態の照明装置20は、上述の構成を備えていることで、
図6に示すように、光源22から発せられた光を配光調整部材24によって照射面Sに沿って均一に照射することができる。したがって、照明装置20を簡易に構成し、かつ照射対象の使用者Nが照射面Sのどの位置にいても、使用者Nに対して均一に光を当てることができる。また、光源22がミラー扉10B,10Cの扉材13の裏面13bに設けられ、表面13a側(すなわち、使用者N側)から見えないため、洗面化粧台1の意匠性を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態の照明装置20では、ミラーキャビネット6の左右両側にあたる左側のミラー扉10Bの左側の端部と右側のミラー扉10Cの右側の端部に照明装置20が設けられているので、照射面Sの両端部から光を照射し、使用者Nが照射面Sのどの位置にいても影をなくすことができる。したがって、使用者Nが照射面Sのどの位置にいても使用者Nの顔を明るく照らすことができる。このように照明装置20が扉材13の表面13aの端部設けられているので、表面13aに大面積のミラーを貼り付けることもでき、ミラー扉10B,10Cや洗面化粧台1の意匠性を高めることができる。さらに、光源22の設置作業もし易くなる。
【0050】
また、本実施形態の照明装置20では、配光調整部材24として導光板30を用いているので、
図5に示すように、扉材13の裏面13bに設けられた光源22から発せられた光を導光板30によって扉材13の表面13aまで導くことができる。詳しくは、光源22の出射面23から出射した光を拡散板40によって拡散し、導光板30の端部30xから導光板30内に導入する。導光板30内に導入された光は、導光板30の内側の側面(取付基体の表面に対向する面)30bと外側の側面30aとの間で全反射しつつ、L方向に沿って直線部31、曲部32、直線部33、曲部34、直線部35の内部をその順に伝搬し、導光板30の端部30zから出射面Sに向けて出射される。このような原理を用いて、光源22から発せられた光を照射面Sに沿って均一に照射することができる。
【0051】
また、本実施形態の照明装置20では、導光板30の曲部34および直線部35に出射方向調整部36を設けているので、光源22から発せられた後に導光板30に導入された光のうち多くの光を照射面Sの中央より光源とは反対側に向け、導光板30から出射させることができる。詳しくは、光源22の出射面23から出射され、拡散板40によって拡散された光を直線部31、曲部32、直線部33のそれぞれの内側の側面31b,32b,33bと外側の側面31a,32a,33aとの間で全反射しつつ、L方向に伝搬する。続いて、曲部34および直線部35に入射した光は、それぞれの内側の側面34b,35bで出射方向調整部36により所定の方向に向けて反射され、外側の側面34a,35aで全反射されつつ、L方向に伝搬する。ここで、出射方向調整部36により光が反射される所定の方向とは、L方向に伝搬した後に導光板30の端部30zから出射した際に、光の進行方向が照射面Sの中央より光源から遠ざかる方向に向き得る方向を表す。
【0052】
なお、光源22から発せられた光の一部は、拡散板40によってあらゆる方向に拡散されているため、導光板30の外側の側面30a(特に、側面31a,32a,33a)および内側の側面30bに当たる角度が全反射条件を満たす臨界角より小さくなり、これらの側面30a,30bで反射されずに、導光板30の外部に漏れ出す。このように導光板30の外部に漏れた光は、例えば間接照明として活用することができる。
【0053】
照射面Sの中央より光源から遠ざかる程、光源22との離間距離が大きくなるため、本来、照射面Sの中央より光源から遠ざかる方向には光が届きにくいが、その方向に光を照射することができる。そのため、照射面Sの中央より光源から遠い部分の照度を高くすることができる。したがって、出射方向調整部36を設けていない場合に比べて、光源22から発せられた光を照射面Sに沿ってより均一に照射することができる。
【0054】
また、本実施形態の照明装置20では、出射方向調整部36としてプリズム37を形成しているので、導光板30に導入された光をプリズム37によって照射面Sの中央より光源から遠ざかる方向に向け、導光板から出射させることができる。したがって、上述のように照射面Sの中央よりから遠い部分の照度を高くすると共に、光源22から発せられた光を照射面Sに沿ってさらに均一に照射することができる。また、プリズム37が導光板30において扉材13の少なくとも表面13aに対向する面に形成されていることで、プリズム37を導光板30における使用者側の面に露出させずに、プリズム37が傷付くのを防止することができる。また、導光板30の拭き掃除も可能にすることができる。その結果、照明装置20の手入れが容易になり、照明装置20を長期にわたって使用することができ、照明装置20の信頼性を高めることができる。
【0055】
また、本実施形態の照明装置20では、導光板30がアクリル樹脂等の透明材料で構成されることで、照明装置20の消灯時には導光板30が透過し、使用者にミラー扉10Bを見せることができる。従って、照明装置20の意匠性を高めることができる。
【0056】
また、本実施形態のミラー扉10B,10Cおよび洗面化粧台1では、上述の照明装置20を備えていることで、照明装置20と同様の作用効果を奏し、使用者Nが照射面Sのどの位置にいても、使用者Nに対して均一に光を当てることができる。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0058】
例えば、照明装置20は、ミラーキャビネット6の左右両側のうち一方、すなわちミラー扉10Bの左側の端部または右側のミラー扉10Cの右側の端部のみに設けられていてもよい。そして、ミラー扉10A,10B,10Cは三面鏡でなくてもよく、一枚ものの単面鏡であってもよい。
【0059】
また、配光調整部材24は、扉材13の端部13pに嵌合するような形状で形成された導光板であってもよい。すなわち、導光板30の形状は、自在に変形可能である。さらに、配光調整部材24は、導光板以外の部材で構成されていてもよい。
【0060】
また、出射方向調整部36は、マルチレベル(すなわち、階段状の断面を有する)回折格子であってもよく、ランダムドットの凹凸パターンや計算機等で設計されたホログラムパターンなどであってもよく、これら以外の光学的構造で構成されていてもよい。例えば、導光板30の曲部34および直線部35の内側の側面34b,35bに、光源22からの光の伝搬方向を調整しつつ、所望のパターンが浮き出す光学的構造を設ければ、照明装置20の意匠性をさらに高めることができる。
【0061】
また、扉材13にはミラー14の他に、またはミラー14に加えて木枠やその他の装飾部材が設けられていてもよい。その場合は、導光板30の形状を扉材13および扉材13に取り付けられている部材の全体に適する形状に適宜変更すればよい。
【0062】
さらに、照明装置20が取り付けられる取付基体は、例えば天窓の窓材や玄関扉の扉材であってもよく、他の取付基体でもよい。
【0063】
照明装置20を天窓の窓材に設ける場合は、光源22が窓材の少なくとも一方の端部の裏面(すなわち、屋外側の面)に設けられ、導光板30が光源22の出射面23に連設されると共に出射面23から窓材の光源22が設けられた端部を囲むように窓材の表面(すなわち、屋内側の面)まで延設されている。なお、ガラス製の窓材のように取付基体が透明材料で構成されている場合は、窓材を導光板30(すなわち、配光調整部材24)として活用してもよい。その場合は、光源22の出射面23を窓材の光源22側の端面に当接させ、プリズム37などの出射方向調整部36を窓材の光源22が設けられた端部の裏面に直接形成しても構わない。このように天窓に照明装置20を設けることで、日中は天窓を通して太陽光を屋内に取り込み、日没後や雨天などの太陽光の取り込みが難しいときは光源22を点灯させ、天窓部分を照明として利用することができる。
【0064】
照明装置20を玄関扉の扉材に設ける場合は、光源22が扉材において建物に蝶着されていない端部(例えば、インターホン側の端部)の裏面(すなわち、屋内側の面)に設けられ、導光板30が光源22の出射面23に連設されると共に出射面23から扉材の光源22が設けられた端部を囲むように窓材の表面(すなわち、屋外側の面)まで延設されている。このように玄関扉に照明装置20を設けることで、屋外側で玄関扉の前に立った訪問者の全身を照らすことができる。扉材において照明装置20が設けられた端部側の建築物の壁面にカメラ付きインターホンが設置されていれば、カメラからの映像に訪問者などの全身が明るく表示され、防犯性を高めることができる。
【実施例】
【0065】
次いで、上述した本発明を適用した一実施形態の照明装置の効果を裏付けるために行った実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0066】
扉材の表面に単面鏡(ミラー、以下では単に鏡と記載する場合がある)を貼り付けてミラー扉とし、このミラー扉の両側端部に照明装置20と同様の構成を備えた照明装置を取り付けた。扉材および単面鏡の大きさは、縦800mm×横1200mmとした。照明装置の光源には、白色LED(型番:NFSW757G R9050、製造元:日亜化学工業株式会社)を使用した。扉材の上下方向における光源同士の出射面の中央の間隔は、4mmとした。また、導光板30の材質は、アクリルとした。
【0067】
先ず、鏡の表面側(すなわち、照射面側)から見て左側の照明装置の白色LEDのみに、LED1つ当たり2.88Vの電圧を印加し、点灯させた際の照射面における照度分布を測定した結果を
図7に示す。本実施例では、照射面の大きさを縦1000mm×鏡1500mmとし、鏡の表面と照射面との離間距離を300mmとした。
【0068】
続いて、鏡の表面側から見て右側の照明装置の白色LEDのみに左側の照明装置の白色LEDの点灯時と同じ電圧を印加し、点灯させた際の照射面における照度分布を測定した結果を
図8に示す。なお、
図7から
図12において、Xは横方向の数値を示し、Yは縦方向の数値を示している。
【0069】
図9は、
図7および
図8に示す照度分布のそれぞれにおいて、測定位置Y=0mmでの照度の横方向の観測位置による変化を抽出したグラフである。
図7から
図9を見てわかるように、鏡の表面側から見て左側の照明装置の白色LEDのみ、または右側の照明装置の白色LEDのみを点灯させると、例えば横1200mmの範囲内では、最も高い照度が約3500luxであり、最も低い照度が約500luxであって、最も高い照度が最も低い照度の1倍以上10倍以下であるから、照射面の照度が均一になっていることがわかる。
【0070】
図10は、照射面の横方向の観測位置のそれぞれにおいて、鏡の左側の照明装置の白色LEDのみを点灯させた際の照度(
図9に示すグラフの「(左)」と記載されている照度)と鏡の右側の照明装置の白色LEDのみを点灯させた際の照度(
図9に示すグラフの「(右)」と記載されている照度)のうち小さい方の照度に対する大きい方の照度の比率を示すグラフである。
図10に示すグラフによれば、横方向の中心、すなわちX=0mmでは、鏡の左側と右側のそれぞれの照明装置の白色LEDの照度比は1であって、鏡の左側と右側のそれぞれの照明装置の白色LEDの照度は略同じであることがわかる。一方、観測位置が横方向の中心から端部へと離れる程、すなわちX=−600mmまたはX=+600mmに近づく程、鏡の左側と右側のそれぞれの照明装置の白色LEDの照度比(以下、単に照度比という場合がある)は増大している。具体的には、X=0mmからX=−500mmに近づく程、照度比が1から6程度まで増大し、左側の照明装置の白色LEDのみを点灯させた際の照度が右側の照明装置の白色LEDのみを点灯させた際の照度の約6倍になっている。また、X=0mmからX=+500mmに近づく程、照度比は同様に1から6程度まで増大し、右側の照明装置の白色LEDのみを点灯させた際の照度が左側の照明装置の白色LEDのみを点灯させた際の照度の約6倍になっている。
【0071】
図10に示す結果をふまえて、鏡の表面側から見て左右両側の照明装置の白色LEDに等しく2.88Vの電圧を印加し、点灯させた際の照射面における照度分布を測定した結果を
図11に示す。
図11には、参考として鏡の大きさを破線で示している。
図12は、
図11に示す照度分布において、測定位置Y=0mmでの照度の横方向の観測位置による変化を抽出したグラフである。
図11および
図12を見てわかるように、鏡の左右両側の照明装置の白色LEDを点灯させた場合、照射面における鏡の大きさの範囲内(すなわち、X=−600mm〜X=+600mm)における照度は、約2500luxから4000luxの範囲内であった。つまり、照射面における鏡の大きさの範囲内では、照度比が約1.6であって、最も高い照度が最も低い照度の1倍以上5倍以下であるので、照射面の照度がより均一であり、好ましい状態であるといえる。
【0072】
以上説明した実施例によって、扉材の表面に単面鏡を貼り付けたミラー扉の少なくとも一方の端部に設けられた照明装置を用いて、簡易な構成で、鏡および扉材の表面からの離間距離が同一である照射面での照度を均一にすることが可能であることを確認した。本実施例の結果をふまえると、上述した本実施形態の照明装置20によって、
図6に示すように、光源22から発せられた光が照射面Sに沿って均一に照射されることが容易に推測される。