特許第6857994号(P6857994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6857994ロッド状物品を移送するための移送方法及び移送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6857994
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】ロッド状物品を移送するための移送方法及び移送装置
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/32 20060101AFI20210405BHJP
   B65G 47/31 20060101ALI20210405BHJP
   B65G 19/02 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   A24C5/32
   B65G47/31 D
   B65G19/02 A
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-206108(P2016-206108)
(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-79726(P2017-79726A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2019年8月30日
(31)【優先権主張番号】15190813.4
(32)【優先日】2015年10月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510011101
【氏名又は名称】インターナショナル トバコ マシーネリー ポーランド エスピー.ゼット オー.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト スタニコワスキー
(72)【発明者】
【氏名】ラドスロ オークザレク
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ポゾルスキ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ザデッキ
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−307052(JP,A)
【文献】 特開2004−097223(JP,A)
【文献】 特開昭60−183426(JP,A)
【文献】 特開平08−173132(JP,A)
【文献】 米国特許第04368742(US,A)
【文献】 国際公開第2014/009482(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/32
A24D 3/02
B65G 19/02
B65G 47/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこ産業のロッド状物品(2)を、搬送装置(3)と受入れ装置(4)との間で移送する方法であって、前記ロッド状物品(2)はその長手方向に沿って、前記搬送装置(3)と前記受入れ装置(4)との間を移送され、
前記搬送装置(3)から搬送された前記ロッド状物品(2)は、入口ユニット(5)によって流入速度を付与されて移送チャネル(7)に挿入され、
前記ロッド状物品(2)は、移送ユニット(8)によって移送速度を付与され、
前記ロッド状物品(2)は、前記移送ユニット(8)によって出口ユニット(6)へと移送され、
前記ロッド状物品(2)は、前記出口ユニット(6)によって流出速度を付与されて前記受入れ装置(4)へと搬送され、
前記移送チャネル(7)における前記ロッド状物品(2)の移送の際の前記ロッド状物品の速度は流入速度に比して減速され
前記移送チャネル(7)における前記ロッド状物品(2)の移送の際、減速後に、前記ロッド状物品(2)の速度が前記移送ユニット(8)によって向上される、方法。
【請求項2】
前記ロッド状物品の速度がゼロまで減速されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記移送ユニット(8)によって向上される前記ロッド状物品の速度は、前記流出速度又はそれ以上の速度まで向上されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記ロッド状物品(2)の前記移送速度及び/又は前記流出速度が、可動の前記受入れ装置(4)の位置と同期的に前記移送ユニット(8)及び/又は前記出口ユニット(6)によって付与されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
たばこ産業のロッド状物品(2)を、搬送装置(3)から受入れ装置(4)へと移送するための移送装置(1)であって、前記ロッド状物品(2)はその長手方向に沿って前記搬送装置(3)と前記受入れ装置(4)との間を移送され、
前記ロッド状物品(2)の長手方向の移送及び前記ロッド状物品(2)への流入速度の付与のための入口ユニット(5)と、
前記ロッド状物品(2)の長手方向の移送及び前記ロッド状物品(2)への流出速度の付与のための出口ユニット(6)と、
前記入口ユニット(5)と前記出口ユニット(6)との間で前記ロッド状物品(2)を通して移送する移送チャネル(7)とを備え、
前記入口ユニット(5)と前記出口ユニット(6)との間に移送ユニット(8)が配置され、
前記移送ユニット(8)は前記ロッド状物品(2)に移送速度を付与し、前記ロッド状物品(2)を、前記移送チャネル(7)に沿って、前記出口ユニット(6)へと移送するように設計され、
前記移送ユニット(8)は前記流入速度に比して前記ロッド状物品(2)の速度を減速するようにした減速手段を備え
前記移送ユニット(8)は、前記移送チャネル(7)における速度の減速後、前記ロッド状物品(2)の速度を増加させるように適合されることを特徴とする、移送装置(1)。
【請求項6】
前記減速手段は当接要素(13)を備えることを特徴とする、請求項に記載の移送装置。
【請求項7】
前記減速手段は前記移送チャネル(7)に真空用開口部を備えることを特徴とする、請
求項に記載の移送装置。
【請求項8】
前記受入れ装置(4)が可動の受入れ装置であり、前記移送装置(1)が、前記移送ユニット(8)及び/又は前記出口ユニット(6)によって、前記可動の受入れ装置(4)の位置と同期的に、移送速度及び/又は流出速度を前記ロッド状物品(2)に付与するように設計されていることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、たばこ産業におけるロッド状物品を移送するための移送方法及び移送装置である。
【背景技術】
【0002】
たばこ産業において製造されるフィルタ及びたばこロッド等のロッド状物品は、製造後、連続する製造機械へと移動される。たばこ産業において、ロッドは、通常、その軸に対して縦方向(軸方向)/長手方向に又はその軸に対して横方向に移送されるところ、製造機械及びロッドコンベアの配置により、移送の方向は製造工程の連続する段階間で変更する必要がある。
【0003】
たばこ産業において、フィルタロッド及びたばこロッドは、通常、連続するフィルタ又はたばこロッドを切断することで製造され、切断は、フィルタロッド製造機械又はシガレット機械にて行われる。製造直後、フィルタ又はたばこロッドは、連続するロッドの残部又は他の切り離されたロッドから分離されることで、個々のロッドを、長手方向に、ロッド受入れ装置へと供給する。長い1本のロッドを、所定の長さを有する、より短いロッドに切断することも可能である。特許文献1:独国特許発明第3423570号明細書により周知となっている方法によれば、1本のロッドが他のロッドから分離され、受入れ装置のドラムの溝へと移送されるところ、分離はディスクによって行われ、ディスクの外周には、真空が供給される開口部を有する溝が設けられている。特許文献2:国際公開第2013004258号により周知となっている方法によれば、1本のロッドは、他のロッドから分離されるところ、分離はストリップによって行われ、ストリップは、ロッドを受け入れ、次の製造機械に移送する装置へと、ロッドを長手方向に移送する。
【0004】
フィルタロッドは、長い距離にわたって、管状チャネルを通して、ロッド製造機械から他の製造機械へと移送することができる。この場合に、運ばれてきたロッドは、受入れステーションにて止められ、その後、1本のロッドを受入れ装置、例えばロッドのマスフローを形成するような装置に搬送するために加速される。このような方法は、特許文献3:欧州特許第2005848号明細書により周知となっている。
【0005】
上述した従来技術の装置は入口ユニットと出口ユニットとを備えるところ、出口ユニットはロッド受入れ装置へ移送するロッドの完全な同期を保証するものではない。これは、入口ユニットと出口ユニットとの間におけるロッドの移送の時間が正確に規定されていないからである。ロッド受入れ装置へのロッドの搬送の瞬間がずれることは起こり得る。受入れ装置が、連続する製造工程が行われる機械へとロッドを搬送すると、規定された時点において、ロッドを受け入れ、さらに搬送する必要がある。これは、ロッド状物品の動きと受入れ装置の受入れ溝の動きとの正確な同期が必要であることによるものである。
【0006】
本発明の目的は、先行技術において知られている課題を解消し、任意のロッド受入れ装置との同期を保証する装置を開発することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許発明第3423570号明細書
【特許文献2】国際公開第2013004258号
【特許文献3】欧州特許第2005848号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の本質は、たばこ産業のロッド状物品を、搬送装置と受入れ装置との間で移送する方法であって、前記物品は装置間を長手方向に移送され、前記搬送装置から搬送された前記ロッド状物品は、入口ユニットによって流入速度を付与され、移送チャネルに挿入され、前記ロッド状物品は、移送ユニットによって移送速度を付与され、前記ロッド状物品は、移送ユニットによって出口ユニットへと移送され、前記ロッド状物品は、前記出口ユニットによって流出速度を付与され、前記ロッド状物品は、前記受入れ装置へと搬送され、前記移送チャネルにおける前記ロッド状物品の移送の際の前記ロッド状物品の速度は流入速度に比して減速される、方法である。
【0009】
本発明に係る方法は、前記ロッド状物品の速度がゼロまで減速されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る方法は、前記移送チャネルにおける前記ロッド状物品の移送の際、減速後に、前記ロッド状物品の速度が移送ユニットによって向上されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る方法は、前記ロッド状物品の速度が、前記流入速度又はそれ以上の速度まで向上されることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る方法は、前記移送速度及び/又は前記流出速度が、可動の前記受入れ装置の位置と同期的に前記移送ユニット及び/又は前記出口ユニットによって前記ロッド状物品に付与されることを特徴とする。
【0013】
本発明の実質はまた、たばこ産業のロッド状物品を、搬送装置から受入れ装置へと移送するための移送装置であって、前記物品は前記搬送装置と前記受入れ装置との間を長手方向に移送され、前記ロッド状物品の長手方向の移送及び前記ロッド状物品への流入速度の付与のための入口ユニットと、前記ロッド状物品の長手方向の移送及び前記ロッド状物品への流出速度の付与のための出口ユニットと、前記入口ユニットと前記出口ユニットとの間を前記ロッド状物品を通して移送する移送チャネルと、を備える移送装置である。本発明にかかる装置は、前記入口ユニットと前記出口ユニットとの間に移送ユニットが配置され、前記移送ユニットは前記ロッド状物品に移送速度を付与し、前記ロッド状物品を、前記移送チャネルに沿って、前記出口ユニットへと移送するように設計され、前記移送ユニットは前記流入速度に比して前記ロッド状物品の速度を減速するようにした減速手段を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る装置は、前記減速手段は当接要素を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る装置は、前記減速手段は前記移送チャネルに真空用開口部を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る装置は、前記受入れ装置が可動の受入れ装置であり、前記移送装置が、前記移送ユニット及び/又は前記出口ユニット(6)によって、前記可動の受入れ装置の位置と同期的に、移送速度及び/又は流出速度を前記ロッド状物品に付与するように設計されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る装置を使用することにより、十分な注意をもって移送されたロッドを扱うことができる。本発明に係る装置は、搬送装置によりロッドが搬送される速度と頻度とは完全に独立して、ロッドの受入れ装置への正しい挿入を行う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態における移送装置の正面図を示す。
図2】第1実施形態における移送装置の正面図を異なる動作段階において示す。
図3】第1実施形態における移送装置の上面図を示す。
図4】第2実施形態における移送装置の正面図を示す。
図5】第2実施形態における移送装置の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の対象について、添付図面において、好適な実施形態により詳細に示す。図1に示す、ロッド状物品2を移送するための移送装置1は、搬送装置3と受入れ装置4との間に配置されている。ここに示す実施形態において、搬送装置はフィルタロッドの形状を有するロッド状物品2を製造するための機械であるところ、図1には、刃10を備えた回転式カッティングヘッド9を含むこの機械の一部分のみが示されている。このカッティングヘッドが、方向Tに移動する、連続するロッドCRから、フィルタロッド2を切り離す。受入れ装置4は、ドラムコンベア11であって、その外周に、図の紙面に対して平行なドラムコンベアの回転軸に対して平行に配置された複数の溝12を有するドラムコンベア11である。ドラムコンベア11は、受け入れたロッド2を、次の製造段階が行われる機械に搬送する役割を担っている。移送装置1は入口ユニット5と出口ユニット6とを備え、これらの入口ユニット5及び出口ユニット6は、ロッド2を長手方向に移送するため、そして流入速度v5及び流出速度v6をそれぞれロッド2に付与するために備えられている。入口ユニット5と出口ユニット6との間には移送チャネル7が配置されており、この移送チャネル7に沿って移送ユニット8が延び、この移送ユニット8はロッド2の速度を変更し、ロッド2に移送速度を付与する役割を担っている。移送ユニットはラグ13を備えたストリップ14の形状となるように設計されている。
【0020】
図1に示すように、搬送装置3から搬送されてきたロッド2が、入口ユニット5によって、速度v5にて、移送チャネル7に挿入されるところ、この速度はローラ5Aと5Bとによる摩擦によって付与され、速度v5はローラ5A及び5Bの外周面5A’及び5B’の周速である。ロッド2は、当接要素の役割を果たすラグ13(図2)の付近へと押し進められる。ラグ13はロッド2を減速させるところ、ロッド2の速度はゼロまで低下させることができる。移送チャネル7の中のロッド2の減速は、当該移送チャネル7の壁に、例えば移送チャネル7に沿って設けられた開口部15に供給される真空により補助することができる。その後、ロッド2は、速度v8にて、出口ユニット6の方向へと移送される。すなわち、ロッド2は、移送ユニット8のラグ13によって移送チャネル7に沿って押し進められる(図1)。ロッド2は、出口ユニット6のローラ6A及び6Bと接すると、速度v6にて更に運搬され、受入れユニット4へと、より正確には、図2に示すようにドラムコンベア11の溝12へと搬送される。移送ユニット8の動きとドラムコンベア11の動きとの同期により、ロッド2を正確に溝12に配置することができる。すなわち、ロッド2の末端部が、その外側面にて溝の端部17,18に衝突することなく溝12の中に滑り込む。溝12にロッド2を滑り込ませた後、ロッド2は、図3の矢印16で示すようにロッド2の軸に対して横方向に移動される。
【0021】
第2実施形態における装置を図4に示す。移送装置21は、ストリップ25A及び25Bを有する入口ユニット25を備えており、ロッド2はこれらのストリップの間を運ばれる。ロッド2に速度v5を付与するストリップ25A及び25Bは、ストリップ25Aと26Bとが同じ速度で動くように、互いに連結された組のプーリーに取り付けられている。ストリップ26A及び26Bを備える出口ユニットは同様の構成を有する。ロッド2は、機械間の長い距離を移送するように設計された、管状の空気圧式コンベアの形状の搬送装置23から移送ユニットに挿入される。ロッド2を受け入れるように設計された受入れ装置24は、溝28を備えたベルトコンベア27である。受入れ装置24は、その上面図を図5に示しており、溝28の幅はロッド2の直径の数倍大きい。移動するロッド2のアバットメントを構成する隣接スラット29をベルトコンベア27に沿って配置することができる。
【0022】
上述した両方の実施形態において、入口ユニット5,25及び出口ユニット6,26は、いずれも、任意の他の方法で設計して、縦方向に延びるロッド状物品の長手方向の移送のための要素を備えるようにすることができる。移送ユニット8は、ラグ13が固定されたチェーンコンベアの形状となるように設計することができる。
【0023】
移送ユニット1の両方の実施形態において、ロッド状物品2の移動が受入れ装置の位置、例えばドラムコンベアのシートの位置と同期的に行われるように、移送速度及び/又は流出速度を制御することが有利である。同期制御とは、ロッド状物品2がドラムコンベア4のシート12に挿入されることとなるような制御として理解されたい。これは、個々のロッド状物品が移送装置1の入口において、異なる瞬間に現れる状況において特に重要である。
【符号の説明】
【0024】
1 移送装置
2 ロッド状物品
CR 連続するロッド
T 連続するロッドの移動の方向
3 搬送装置
4 受入れ装置
5 入口ユニット
v5 流入速度
5A、5B 入口ローラ
6 出口ユニット
v6 流出速度
6A、6B 出口ローラ
7 移送チャネル
8 移送ユニット
v8 移送速度
9 カッティングヘッド
10 カッティングヘッドの刃
11 ドラムコンベア
12 溝
13 ラグ
14 ストリップ
15 真空の供給のための開口部
16 運搬の方向
21 移送装置
23 搬送装置
24 受入れ装置
25 入口ユニット
25A、25B ストリップ
26 出口ユニット
26A、26B ストリップ
27 コンベアベルト
28 溝
29 隣接スラット
図1
図2
図3
図4
図5