(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電池の等価回路モデルのパラメータに基づいて蓄電池の状態を精度よく推定することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、蓄電池の状態を精度よく推定することができる蓄電池状態推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る蓄電池状態推定装置は、
電力を蓄電する蓄電池の状態を推定する蓄電池状態推定装置であって、前記蓄電池の
検出電流値を検出する電流検出部と、前記蓄電池の
検出電圧値を検出する電圧検出部と、前記電流検出部により検出された前記
検出電流値、及び、前記電圧検出部により検出された前記
検出電圧値に基づいて、前記蓄電池の等価回路モデルに
おける複数のパラメータの候補から特定の前記パラメータを複数選択し、選択した前記特定の複数のパラメータを事前知識として用いて前記パラメータを推定する推定部と、を備え
、前記推定部は、前記複数のパラメータの候補から構成されるパラメータ母集団を生成し、前記パラメータ母集団における前記パラメータの候補に対して、前記検出電流値に基づいて前記等価回路モデルに基づく前記蓄電池の状態方程式における予測電圧値を算出し、前記検出電圧値に対する前記予測電圧値の誤差が大きければ前記パラメータの評価が低い結果を返し、前記検出電圧値に対する前記予測電圧値の誤差が小さければ前記パラメータの評価が高い結果を返す評価関数の結果に基づいて、評価が高い特定の前記パラメータを前記パラメータ母集団に残し、評価が低い前記パラメータを前記パラメータ母集団から削除するパラメータ選択処理と、選択された前記特定の複数のパラメータを事前知識として用いると共に新たな前記パラメータを追加して前記パラメータ母集団を生成する母集団生成処理とを行い、前記パラメータ選択処理と前記母集団生成処理とを繰り返すことにより最終の前記パラメータを推定することを特徴とする。
【0007】
また、上記蓄電池状態推定装置において、前記推定部は、ベイズ推定を用いて前記パラメータを推定することが好ましい。
【0008】
また、上記蓄電池状態推定装置において、前記推定部は、前記ベイズ推定においてマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC法;Markov Chain Monte Carlo methods)を用いて前記パラメータを推定することが好ましい。
【0009】
また、上記蓄電池状態推定装置において、前記推定部は、前記複数のパラメータの候補から構成されるパラメータ母集団を生成し、前記電流値、前記電圧値、及び、前記パラメータを評価する評価関数に基づいて前記パラメータ母集団から前記特定のパラメータを複数選択し、選択されなかった前記パラメータを前記パラメータ母集団から削除するパラメータ選択処理と、選択された前記特定のパラメータを事前知識として用いると共に新たな前記パラメータを追加して前記パラメータ母集団を生成する母集団生成処理とを行い、前記パラメータ選択処理と前記母集団生成処理とを繰り返すことにより最終の前記パラメータを推定することが好ましい。
【0010】
また、上記蓄電池状態推定装置において、
前記蓄電池の状態として開放電圧を推定することが好ましい。
【0011】
また、上記蓄電池状態推定装置において、前記推定部は、前記複数のパラメータの候補をダウンサンプリングすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る蓄電池状態推定装置は、検出された電流値及び電圧値に基づいて、蓄電池の等価回路モデルにおいて蓄電池の状態を示す複数のパラメータの候補から特定のパラメータを複数選択し、選択した特定の複数のパラメータを事前知識として用いてパラメータを推定するので当該パラメータの推定精度を向上させることが可能となり、蓄電池の状態を精度よく推定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態〕
実施形態に係る蓄電池状態推定装置1について説明する。蓄電池状態推定装置1は、車両2に搭載される蓄電池3の状態(例えば内部抵抗や開放電圧(OCV))を推定するものである。蓄電池3は、イオン拡散に由来する過電圧成分が生じ、過電圧成分が平衡に達するまでには時間を要する。そこで、蓄電池状態推定装置1は、時間を短縮するために、蓄電池3の等価回路モデル4を作成し当該等価回路モデル4において蓄電池3の状態を示すパラメータθを推定する。本実施形態では、蓄電池状態推定装置1は、ベイズ推定を用いて等価回路モデル4のパラメータθを推定する。好ましくは、蓄電池状態推定装置1は、ベイズ推定においてMCMC法を用いて等価回路モデル4のパラメータθを推定する。蓄電池状態推定装置1は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッドカー(PHEV;Plug−in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)等の車両2に搭載される。以下、蓄電池状態推定装置1について詳細に説明する。
【0016】
車両2は、
図1に示すように、蓄電池状態推定装置1と、蓄電池3と、ECU(電子制御ユニット;Electronic Control Unit)5とを備える。蓄電池状態推定装置1は、電流検出部10と、電圧検出部20と、推定部30とを備える。
【0017】
電流検出部10は、電流値を検出するものである。電流検出部10は、蓄電池3に接続され、蓄電池3から車両2の図示しない駆動モータ等に流れる電流の電流値を検出する。また、電流検出部10は、車両2の制動時に図示しないモータジェネレータ等から蓄電池3に流れる電流(回生電流)の電流値を検出する。電流検出部10は、検出した検出電流値iを推定部30に出力する。
【0018】
電圧検出部20は、電圧値を検出するものである。電圧検出部20は、蓄電池3の陽極端子4b及び陰極端子4c(
図2参照)に接続され、陽極端子4bと陰極端子4cとの間の電圧値を検出する。電圧検出部20は、検出した検出電圧値vを推定部30に出力する。
【0019】
推定部30は、蓄電池3の状態を示すパラメータθを推定するものである。推定部30は、パラメータθとして、例えばOCV(開放電圧;Open circuit voltage)を推定する。ここで、OCVは、蓄電池3に負荷をかけていない状態における陽極端子4bと陰極端子4cとの間の電圧である。推定部30は、電流検出部10及び電圧検出部20に接続され、電流検出部10により検出された検出電流値i、及び、電圧検出部20により検出された検出電圧値vに基づいて、OCVの電圧値を推定する。推定部30は、例えば、蓄電池3の等価回路モデル4に基づく蓄電池3の状態方程式を解いてパラメータθ(例えばOCVの電圧値)を推定する。
【0020】
ECU5は、車両2全体を制御するものであり、例えば、エンジン等の駆動系やブレーキ等の制動系を制御するものである。ECU5は、推定部30から出力される推定結果に基づいて車両2を制御する。
【0021】
ここで、蓄電池3の等価回路モデル4は、
図2に示すように、電源4a、抵抗成分R
0、コンデンサ容量成分C
0、複数のC−R回路4
1〜4
n、陽極端子4b、及び、陰極端子4cが含まれて構成される。蓄電池3の等価回路モデル4は、抵抗成分R
0及びコンデンサ容量成分C
0が電源4aに直列接続され、第1のC−R回路4
1が抵抗成分R
0に直列接続され、第2のC−R回路4
2が第1のC−R回路4
1に直列接続され、第nのC−R回路4
nが第n−1のC−R回路4
nー1及び陽極端子4bに直列接続される。本実施形態では、蓄電池3の等価回路モデル4は、「n」が「2」の例について説明するが、「n」の値は適宜変更可能である。第1のC−R回路4
1は、コンデンサ容量成分C
1と抵抗成分R
1とが並列接続されている。第2のC−R回路4
2は、コンデンサ容量成分C
2と抵抗成分R
2とが並列接続されている。蓄電池3の等価回路モデル4において蓄電池3の状態を示すパラメータθは、以下の式(1)に示すように、抵抗成分R
0、R
1、R
2、コンデンサ容量成分C
0、C
1、C
2、OCVの電圧値V
ocv(0)、第1のC−R回路4
1の電圧値V
1(0)、及び、第2のC−R回路4
2の電圧値V
2(0)を含んで構成される。
【0023】
推定部30は、ベイズ推定を行う際に使用されるMCMC法を用いて、蓄電池3の等価回路モデル4に基づく蓄電池3の状態方程式(以下の式(2)〜式(6))を解くことによりOCVの電圧値V
ocvを推定する。ここで、MCMC法は、種々のアルゴリズムが存在する。本実施形態では、MCMC法として例えばメトロポリス・ヘイスティング法の変形タイプを適用するが、これに限定されない。例えば、MCMC法としてギブスサンプリング法を適用してもよい。推定部30は、時刻tにおける検出電流値I
obs(検出電流値i)に基づいて蓄電池3の状態方程式における予測電圧値V
obsを算出し、算出した予測電圧値V
obsが検出電圧値vに近いパラメータθを探す。
【0025】
式(2)によれば、時刻tにおける蓄電池3の予測電圧値V
obs(t)は、OCVの電圧値V
ocv(t)、抵抗成分R
0の電圧値V
0(t)、第1のC−R回路4
1の電圧値V
1(t)、及び、第2のC−R回路4
2の電圧値V
2(t)を加算して求められる。また、式(3)によれば、OCVの電圧値V
ocv(t)は、検出電流値I
obs(t)に基づいて求められる。また、式(4)によれば、抵抗成分R
0の電圧値V
0(t)は、抵抗成分R
0及び検出電流値I
obs(t)に基づいて求められる。また、式(5)によれば、第1のC−R回路4
1の電圧値V
1(t)は、第1のC−R回路4
1の抵抗成分R
1及び検出電流値I
obsに基づいて求められる。また、式(6)によれば、第2のC−R回路4
2の電圧値V
2(t)は、第2のC−R回路4
2の抵抗成分R
2及び検出電流値I
obs(t)に基づいて求められる。
【0026】
推定部30は、蓄電池3の状態方程式において、複数のパラメータθの候補から選択した特定の複数のパラメータθを事前知識(事前分布)として用いてパラメータθを推定する。具体的に、推定部30は、乱数発生により複数のパラメータθを発生させる。そして、推定部30は、複数のパラメータθから構成されるパラメータ母集団を生成する。例えば、推定部30は、
図3に示す疑似コードのラインL2、L3に記載の処理を実行してパラメータ母集団を生成する。そして、推定部30は、検出電流値i、検出電圧値v、及び、パラメータθを評価する後述の評価関数に基づいてパラメータ母集団から特定のパラメータθを複数選択し、選択されなかったパラメータθをパラメータ母集団から削除する(パラメータ選択処理)。例えば、推定部30は、
図3に示す疑似コードのラインL7〜L10に記載の処理を実行してパラメータ選択処理を行う。推定部30は、選択された特定のパラメータθ(パラメータθの分布)を事前知識として用いると共に乱数発生により新たなパラメータθを追加してパラメータ母集団を生成する(母集団生成処理)。例えば、推定部30は、
図3に示す疑似コードのラインL6に記載の処理を実行して母集団生成処理を実行する。推定部30は、削除したパラメータθと同じ個数のパラメータθをパラメータ母集団に追加する。推定部30は、パラメータ選択処理と母集団生成処理とを繰り返すことにより最終のパラメータθを推定する。
【0027】
推定部30は、パラメータ選択処理において、パラメータθの制約条件を設ける。推定部30は、例えば、パラメータθの制約条件として、抵抗成分R
0、R
1、R
2、コンデンサ容量成分C
0、C
1、C
2、及び、OCVの電圧値V
ocv(t)が正の値であるパラメータθを選択し、抵抗成分R
0、R
1、R
2、コンデンサ容量成分C
0、C
1、C
2、及び、OCVの電圧値V
ocv(t)が負の値であるパラメータθをパラメータ母集団から削除する。これは、蓄電池3の等価回路モデル4において、抵抗成分R
0、R
1、R
2、コンデンサ容量成分C
0、C
1、C
2、及び、OCVの電圧値V
ocv(t)が正の値をとるためである。パラメータθにおける第1のC−R回路4
1の電圧V
1(t)、及び、第2のC−R回路4
2の電圧V
2(t)は、正負のいずれの値でもよい。また、推定部30は、パラメータθの制約条件として、事前知識として用いる複数のパラメータθに比較的近いパラメータθをパラメータ母集団から選択する。このように、推定部30は、MCMC法を用いることにより、例えば従来のカルマンフィルタのようにパラメータθの正規分布を採用しないので、パラメータθの分布の自由度を高くすることができ、パラメータθの推定精度を向上することができる。
【0028】
推定部30は、パラメータ選択処理において、複数のパラメータθの候補をダウンサンプリングする。推定部30は、例えば、一定数のパラメータθの候補をサンプリングデータとして取得し、サンプリングデータをとして取得したパラメータθの候補の平均値を求め、求めたパラメータθの候補の平均値から構成されるパラメータ母集団を生成する。これにより、推定部30は、パラメータ母集団を構成するパラメータθの候補の個数を相対的に減らすことができるので、演算速度を向上させることができる。なお、推定部30は、ダウンサンプリングの方法は、上述の方法に限定されない。例えば、推定部30は、パラメータθを間引くことによりダウンサンプリングしてもよい。
【0029】
また、推定部30は、パラメータ選択処理において、相対的に短い時間間隔で特定のパラメータθを複数選択する。推定部30は、例えば、経過時間方向に区間を設け(移動窓を使用し)、区間毎にパラメータ選択処理を行う。推定部30は、例えば、
図4に示すように、推定区間Kを6つの区間に分割しそれぞれの区間でパラメータ選択処理を行う。推定部30は、例えば、最初の第1分割区間K1において検出電流値i及び検出電圧値v(計測データ1)に基づいて、初期値のパラメータθの候補から構成されるパラメータ母集団から特定のパラメータθを複数選択し、選択されなかったパラメータθをパラメータ母集団から削除する。そして、推定部30は、特定のパラメータθを事前知識として用い、削除されたパラメータθの個数と同じ個数の新たなパラメータθを追加したパラメータ母集団を生成する。次に、推定部30は、第2分割区間K2において検出電流値i及び検出電圧値v(計測データ2)に基づいて、第1分割区間K1で生成されたパラメータ母集団から特定のパラメータθを複数選択し、選択されなかったパラメータθをパラメータ母集団から削除する。そして、推定部30は、特定のパラメータθを事前知識として用い、削除されたパラメータθの個数と同じ個数の新たなパラメータθを追加したパラメータ母集団を生成する。同様に、推定部30は、第3分割区間K3、第4分割区間K4、第5分割区間K5、第6分割区間K6においても、前区間の特定のパラメータθを事前知識として用い、削除されたパラメータθの個数と同じ個数の新たなパラメータθを追加したパラメータ母集団を生成する。これにより、推定部30は、第1分割区間K1〜第6分割区間K6まで同様の処理を繰り返すことによって、それぞれの区間でパラメータθの事前知識を用いることができるので、各区間におけるパラメータθを選択する計算時間を短縮することができる。従って、推定部30は、推定区間Kを分割せずにパラメータθを選択する計算を行う場合と比較して計算時間を短縮することができる。
【0030】
また、推定部30は、例えば、
図5及び以下の式(7)に示すように、パラメータθを選択する場合に評価を行う評価関数として正規分布の対数尤度関数を用いる。当該対数尤度関数は、検出電圧値V
*(v)に対する予測電圧値V(V
obs)の誤差を評価するものである。対数尤度関数は、検出電圧値V
*に対する予測電圧値Vの誤差が大きければパラメータθの評価が低い結果を返し、検出電圧値V
*に対する予測電圧値Vの誤差が小さければパラメータθの評価が高い結果を返す。推定部30は、評価が高いパラメータθをパラメータ母集団に残し、評価が低いパラメータθをパラメータ母集団から削除する。推定部30は、小さな誤差を評価する必要があるので対数尤度関数を用いている。推定部30は、対数尤度関数を用いることで電圧値の誤差の大小に関わらず誤差の大きさが一定(線形)になる。なお、評価関数は、正規分布の対数尤度関数に限定されず、例えば、正規分布の評価関数やベータ分布の評価関数、ベータ分布の対数尤度関数等でもよい。
【0032】
次に、
図6、
図7を参照して蓄電池状態推定装置1の所定の運転モードにおける予測OCVの結果について説明する。
図6は、予測OCVの結果を示す図であり、左側の縦軸が電圧値であり、右側の縦軸が電圧値の誤差(mv)であり、横軸が時間である。
図6には、検出電圧値vと、測定された測定OCV(真のOCV)の電圧値Vaと、予測された予測OCVの電圧値Vbと、測定電圧値Vaに対する予測電圧値Vbの誤差E1とが示されている。蓄電池状態推定装置1は、
図6に示すように、測定電圧値Vaと予測電圧値Vbとの差分がほとんど見られなかった。つまり、蓄電池状態推定装置1は、測定電圧値Vaに対する予測電圧値Vbの誤差E1を±10mv程度に抑えることができた。
【0033】
図7は、MCMC法によるベイズ推定結果とインピーダンス解析によるモデルパラメータ推定結果との比較例を示す図である。
図7に示すように、MCMC法によるベイズ推定結果とインピーダンス解析によるモデルパラメータ推定結果とは、抵抗成分R
0、R
1、R
2、コンデンサ容量成分C
1、C
2において、ほとんど違いが見られなかった。これにより、蓄電池状態推定装置1は、MCMC法により、抵抗成分R
0、R
1、R
2、コンデンサ容量成分C
1、C
2を適切に推定できることが分かる。
【0034】
以上のように、実施形態に係る蓄電池状態推定装置1は、検出電流値i及び検出電圧値vに基づいて、蓄電池3の等価回路モデル4において蓄電池3の状態を示す複数のパラメータθの候補から特定のパラメータθを複数選択し、選択した特定の複数のパラメータθを事前知識として用いてパラメータθを推定する。これにより、蓄電池状態推定装置1は、パラメータθの推定精度を向上することができるので、蓄電池3の状態を精度よく推定することができる。従来、例えばカルマンフィルタのようにパラメータθを平均値及び分散による正規分布で近似計算する場合、パラメータθの推定対象や外乱が正規分布から外れるとパラメータθの推定の精度が低下する。これに対して、実施形態に係る蓄電池状態推定装置1は、正規分布で近似計算を行わずにパラメータθの分布をそのまま事前知識として用いるので、パラメータθの推定対象や外乱が外れずパラメータθの推定の精度を向上させることができる。
【0035】
また、蓄電池状態推定装置1において、推定部30は、ベイズ推定においてMCMC法を用いてパラメータθを推定する。これにより、特定のパラメータθの分布をそのまま事前知識として用いるのでパラメータθの推定精度を向上することができる。
【0036】
また、蓄電池状態推定装置1において、推定部30は、複数のパラメータθの候補から構成されるパラメータ母集団を生成し、検出電流値i、検出電圧値v、及び、パラメータθを評価する評価関数に基づいてパラメータ母集団から特定のパラメータθを複数選択し、選択されなかったパラメータθをパラメータ母集団から削除するパラメータ選択処理と、選択された特定のパラメータを事前知識として用いると共に新たなパラメータθを追加してパラメータ母集団を生成する母集団生成処理とを行い、パラメータ選択処理と母集団生成処理とを繰り返すことにより最終のパラメータθを推定する。これにより、蓄電池状態推定装置1は、特定のパラメータθの分布をそのまま事前知識として用いるのでパラメータθの推定精度を向上することができる。
【0037】
また、蓄電池状態推定装置1において、推定部30は、パラメータθとして蓄電池3のOCVを推定する。これにより、蓄電池状態推定装置1は、OCVを精度よく推定することができる。
【0038】
また、蓄電池状態推定装置1において、推定部30は、複数のパラメータθの候補をダウンサンプリングする。これにより、蓄電池状態推定装置1は、計算速度を向上させることができる。