特許第6858021号(P6858021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858021
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】調節システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   G01N35/00 F
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-8052(P2017-8052)
(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-129585(P2017-129585A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2019年12月25日
(31)【優先権主張番号】16152386.5
(32)【優先日】2016年1月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510259921
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・アンダーレ
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・コーン
【審査官】 三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−078969(JP,A)
【文献】 特開2009−186261(JP,A)
【文献】 特開2014−052376(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/069547(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0047363(US,A1)
【文献】 特表2014−531016(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0285831(US,A1)
【文献】 特開2014−119291(JP,A)
【文献】 特開2009−168728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送装置(10)を調節するための方法であって、該移送装置は、ロボットにより変位可能な移送アーム(11)に固定され、自動分析機での液体容器(16)用のホルダ(12)を含み、移送装置(10)は、移送アーム(11)によって移動されることができ、該方法は、
a)ホルダ(12)に液体容器(16)を受ける工程と、
b)受けた液体容器(16)を有するホルダ(12)に対する第1の力効果(21)をセンサ(18)によって測定する工程と、
c)ロボットにより変位可能な移送アーム(11)によって、液体容器(16)用の受け位置(20)内で所定の高さにある所定の位置(22)に液体容器(16)を変位し、受けた液体容器(16)を有するホルダ(12)に対する第2の力効果(21)をセンサ(18)によって測定する工程と、
d)工程b)と工程c)で測定された力効果(21)を比較する工程とを含み、
ここで、工程b)と工程c)で測定された力効果(21)が所定量を超えて互いにずれていない場合、移送装置(10)は、受け位置(20)に対して十分に調節されており、
工程b)と工程c)で測定された力効果(21)が所定量を超えて互いにずれている場合、受け位置(20)に対する移送装置(10)の調節が行われる
前記方法。
【請求項2】
受け位置(20)に対して移送装置(10)を調節するために、
e)移送アーム(11)によって、液体容器(16)を、受け位置(20)内の経路に沿って、受け位置(20)内で所定の高さにある修正された位置(22)に変位する工程であって、該経路は、所定の高さに延びる工程と、
f)受けた液体容器(16)を有するホルダ(12)に対する経路に沿った複数の力効果(21)をセンサ(18)によって測定する工程と、
g)工程f)で測定された、経路に沿った複数の力効果(21)のプロファイルを評価することによって、正しい位置(22)を確認する工程と
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
h)移送アーム(11)によって、液体容器(16)を、受け位置(20)内で所定の高さにある補正された位置(22)に変位する工程と、
i)受けた液体容器(16)を有するホルダ(12)に対する第3の力効果(21)をセンサ(18)によって測定する工程と、
j)工程b)と工程)で測定された力効果(21)を比較する工程と
をさらに含み、
ここで、工程b)と工程i)で測定された力効果(21)が所定量を超えて互いにずれていない場合、移送装置(10)は、受け位置(20)に対して十分に調節されており、
工程b)と工程i)で測定された力効果(21)が所定量を超えて互いにずれている場合、工程e)〜j)を繰り返すことによって、受け位置(20)に対する移送装置(10)のさらなる調節が行われる
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程e)での経路は、1自由度または複数の異なる自由度に沿って延びる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の異なる自由度に関して順次に行われる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
自由度は、並進または回転自由度である請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
複数の受け位置(20)に関して順次に行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
センサ(18)は、ホルダ(12)および/または移送アーム(11)に配置される請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程e)で、移送アーム(11)による液体容器(16)の変位の代わりに、受け位置(20)の位置(22)の変化がある請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程e)で、受け位置(20)の位置(22)の変化と、移送アーム(11)による液体容器(16)の変位との両方がある請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
センサ(18)は、測距センサを含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
測距センサは、ホールセンサおよび磁石を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの移送装置(10)を含む自動分析機であって、該移送装置は、ロボットにより変位可能な移送アーム(11)に固定され、液体容器(16)用のホルダ(12)と、少なくとも1つのセンサ(18)と、少なくとも1つの制御機械とを含み、ここで、移送装置(10)は、移送アーム(11)によって移動されることができ、ホルダ(12)に対する力効果(21)は、センサ(18)によって測定されることができ
制御機械は、請求項1〜12のいずれか1項に記載の移送装置(10)を調節するための方法の実行を制御することができるように構成されることを特徴とする
前記自動分析機。
【請求項14】
液体容器(16)用の複数の受け位置(20)を含む請求項13に記載の自動分析機。
【請求項15】
自動分析機は調節システムを含み、調節システムは、ロボットにより変位可能な移送アーム(11)を複数含む請求項13または14に記載の自動分析機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動インビトロ診断システムの分野に関する。本発明の主題は、生物学的体液を検査するための自動分析器を調節するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、体液試料または他の生物学的試料中の生理学的パラメータを決定するための多くの検出および分析法が、自動分析デバイス、いわゆるインビトロ診断システムにおいて自動で多数行われている。
【0003】
現在の分析デバイスは、試料を使用して複数の検出反応および分析を行うことができる。複数の検査を自動で行うことができるように、例えば、グリッパ機能を有する移送アーム、輸送ベルトまたは回転可能な輸送ホイール、および液体を移送するための装置、例えばピペット装置など、測定セル、反応容器、および試薬容器を空間的に移送するための様々な装置が必要とされる。試料、試薬に関して、また実際の検出反応に関して、キュベットとも呼ばれる適切な容器が使用される。これらの容器は通常、閉じた壁と、分析予定のそれぞれの液体を保持するための場合によっては封止可能な開口とを含む。これらの機械は制御ユニットを含み、制御ユニットは、適切なソフトウェアによって、所望の分析のための作業工程を通じて概して独立して計画および作業することができる。
【0004】
自動でのそのような分析デバイスで使用される分析法の多くは、光学プロセスに基づいている。これらの方法は、分析物、すなわち試料中で検出または決定予定の物質の定性および定量検出を容易にする。例えば分析物の濃度または活性など臨床的意義のあるパラメータの決定は、試料の一部が反応容器(測定セルでもある)内の1つまたはそれ以上の試験試薬と混合されることによってしばしば行われ、混合により、例えば、生物化学反応または特定の結合反応が開始され、試験混合物の光学的または他の物理学的特性の測定可能な変化をもたらす。
【0005】
生物学的体液を検査するために使用される現在の自動式の分析器では、必要な試薬は、ピペット針を有するピペット装置によって、測定キュベット内に充填されることがある。ここで、キュベットグリッパを用いて、測定キュベットは、ロボットステーションの一部であるロボットアームによって、自動分析機内部の様々な位置に自動的に変位される。測定後、使用された測定キュベットは、廃棄目的のごみ容器内のごみシュートを通して導かれる。キュベットグリッパおよび/またはロボットアームにセンサが提供され、センサによって、キュベットグリッパまたは測定キュベットに対する力効果(force effect)を測定することができる。
【0006】
自動式の分析器を組み立てるとき、特にロボットアームならびに他の移送および位置決めシステムの位置決めに対して、ある量の不確実性が常にある。しかし、これらは、自動処置および正確な協働のための正確な位置決めデータを必要とするので、正確な調節が必要である。これは、調節マーク、高精度に製造された調節ツールを用いて手動で、および/または自動で行うことができる。
【0007】
通常、自動調節の目的で、適切なセンサは、調節予定の移送システムのそれぞれの可動要素の駆動機構、例えば移送アームの一部に最初に存在し、上記センサが、上記駆動機構の現在位置に関する情報を制御ユニットに転送する。次いで、移送アームは、制御ユニットによって制御され、例えば機械内に固定して設置された特定の調節マークに向けて移動される。既知の調節システムは、容量ベースで動作することが多く、可動要素にある接触要素としてのニードルが、調節マークにある小さい金属面に案内される。接触が識別されたとき、制御ユニットは、駆動機構の関連位置を記憶する。他の既知の調節システムでは、接触要素が、ヒンジ要素によって可動要素に配置され、ヒンジ要素は、自己復元構成を有し、測距センサが、コンタクト要素と可動要素との間の距離に割り当てられる。
【0008】
次いで、それに応じて、例えば液体容器用の受け位置など、機械内のさらなるアセンブリが、調節マークの位置に対して配置される。最終的に、移送システムと受け位置は、対応して互いに対して正確に調節されなければならず、それにより、例えば、液体容器は、1つのアセンブリでの受け位置から、別のアセンブリでの別の受け位置に移送される。この場合、調節マークを取り付け、例えば受け位置の位置に対する調節マークの位置を測定することは、かなりの時間およびコストを必要とし、誤差が生じやすいことがある。さらに、機械の動作中の調節マークと受け位置との相対位置の変化があり得て、これは、機械の再度の複雑な調節および測定を必要とすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、調節のための時間およびコストが減少され、追加の調節マークを必要としない調節方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、以下に述べる方法および物品によって達成される。
【0011】
移送装置を調節するための改良された方法であって、移送装置は、ロボットにより変位可能な移送アームに固定され、自動分析機での液体容器用のホルダを含み、移送装置は、移送アームによって移動される方法は、
a)ホルダに液体容器を受ける工程と、
b)受けた液体容器を有するホルダに対する第1の力効果をセンサによって測定する工程と、
c)ロボットにより変位可能な移送アームによって、液体容器用の受け位置内で所定の高さにある所定の位置に液体容器を変位し、受けた液体容器を有するホルダに対する第2の力効果をセンサによって測定する工程と、
d)工程b)と工程c)で測定された力効果を比較する工程とを含み、
ここで、工程b)と工程c)で測定された力効果が所定量を超えて互いにずれていない場合、移送装置は、受け位置に対して十分に調節され、
工程b)と工程c)で測定された力効果が所定量を超えて互いにずれている場合、受け位置に対する移送装置の調節が行われる
ことによって達成することができることが発見された。
【0012】
これは、液体容器自体のためのホルダとは別に、追加の調節マークが提供される必要がないという点で有利である。これは、時間およびコストの面で大幅な節約をもたらすことがある。さらに、これは、大幅に分析器が誤差を受けにくくすることができる。さらに、分析器の稼働中に、本発明による方法によって、例えば恒久的にまたは所定の間隔で機械の調節状態が検証される。
【0013】
例として、液体容器用の受け位置は、ホルダまたは凹部であり、これは、嵌合式に液体容器を少なくとも一部、好ましくはその下側部分で取り囲んで保持することが可能である。好ましくは、受け位置は、液体容器と相互作用する壁を含む。好ましくは、受け位置は、ロボット装置によって自動で移動される。
【0014】
力の作用を測定するとき、例えば、力の作用のずれに対する適切な所定量が、生じ得る不正確さよりも大きい。可能であれば、力の作用を測定するとき、所定量が不正確さよりもわずかだけ大きくなるように選択されることが有利である。それによって行うことができることは、調節状態を比較的正確に確認することができることである。しかし、調節状態の確認に関してより低い精度しか要求されない場合、またはより大きい調節誤差が許容される場合、場合により、所定量は、それに対応してより大きく選択することもできる。これは、このとき方法が特にロバストであり誤差を受けにくいという点で有利であり得る。
【0015】
力効果を測定するときに生じ得る不正確さは、非常に様々な原因を有することがある。例として、不正確さは、センサの構造および/または製造プロセスの不備の結果として生じることがある。さらに、不正確さは、例えば、周囲からの影響の変化により生じることがある。例として、そのような変化は、温度、外部電磁場、振動、および/または震動(tremor)に関係することがある。力の作用の測定の不正確さは、例えば、適切な境界条件下での基準条件によって定量化される。
【0016】
さらに、不正確さは、統計プロセスにより生じることがあり、これは例えば、対応するノイズをもたらすことがある。統計プロセスによる力効果の測定の不正確さは、例えば、測定の複数回の反復、および測定結果の統計分析によって定量化される。
【0017】
受け位置に対して移送装置を調節するための方法の好ましい実施形態では、方法はさらに、
e)移送アームによって、液体容器を、受け位置内の経路に沿って、受け位置内で所定の高さにある修正された位置に変位する工程であって、経路は、所定の高さに延びる工程と、
f)受けた液体容器を有するホルダに対する経路に沿った複数の力効果をセンサによって測定する工程と、
g)工程f)で測定された、経路に沿った複数の力効果のプロファイルを評価することによって、正しい位置を確認する工程と
をさらに含む。
【0018】
これは、適切な調節状態からの大幅なずれがある場合に、調節状態の適切な補正が即座に行われるという点で有利である。特に、これは、分析器の稼働中にも可能である。例えば、分析器の動作に関してずれが大きい場合、適切な調節状態からの大幅なずれが存在する。例として、これは、ずれにより、分析器の動作中の誤差および/または不具合がある場合、またはそのようなイベントの発生の確率がそれに対応して上昇した値を取る場合に当てはまることがある。
【0019】
受け位置に対して移送装置を調節するための方法のさらなる好ましい実施形態では、方法は、
h)移送アームによって、液体容器を、受け位置内で所定の高さにある補正された位置に変位する工程と、
i)受けた液体容器を有するホルダに対する第3の力効果をセンサによって測定する工程と、
j)工程b)と工程c)で測定された力効果を比較する工程と
をさらに含み、
ここで、工程b)と工程i)で測定された力効果が所定量を超えて互いにずれていない場合、移送装置は、受け位置に対して十分に調節され、
工程b)と工程i)で測定された力効果が所定量を超えて互いにずれている場合、工程e)〜j)を繰り返すことによって、受け位置に対する移送装置のさらなる調節が行われる。
【0020】
これは、調節状態のチェックおよび場合によっては必要な補正を繰り返し行うことができるので有利である。
【0021】
さらなる好ましい実施形態では、工程e)での経路は、1自由度に沿って、または複数の異なる自由度に沿って延びる。
【0022】
さらなる好ましい実施形態では、この方法は、複数の異なる自由度に関して順次に行われる。
【0023】
この方法のさらなる好ましい実施形態では、自由度は、並進または回転自由度である。
【0024】
この方法のさらなる好ましい実施形態では、この方法は、複数の受け位置に関して順次に行われる。
【0025】
この方法のさらなる好ましい実施形態では、センサは、ホルダおよび/または移送アームに配置される。
【0026】
この方法のさらなる好ましい実施形態では、工程e)で、移送アームによる液体容器の変位ではなく、受け位置の位置の変化がある。
【0027】
この方法のさらなる好ましい実施形態では、工程e)で、受け位置の位置の変化と、移送アームによる液体容器の変位との両方が存在する。
【0028】
好ましくは、受け位置の位置の変化は、自動制御されるロボット装置によって行われる。
【0029】
この方法のさらなる好ましい実施形態では、センサは、測距センサを含む。測距センサは、2つの物体間の距離を捕捉することができる。
【0030】
この方法のさらなる好ましい実施形態では、測距センサは、ホールセンサおよび磁石を含む。
【0031】
ホールセンサ(Edwin Hallにちなんでホールプローブまたはホールトランスデューサとも呼ばれる)は、磁場および磁気の流れを測定するため、または位置を捕捉するためのホール効果を使用する。本発明による装置の場合、好ましい実施形態では、磁石は、液体容器用のホルダに埋め込まれ、その磁石の磁場が、静止ホールセンサによって測定される。ホールセンサの位置での磁石の磁場は、磁石からのホールセンサの距離と共に減少するので、ホールセンサに対する磁石の位置、したがってホールセンサに対する液体容器用のホルダの距離は、ホールセンサの位置での磁場の値から計算することができる。
【0032】
移送装置は、好ましくは、可撓性の中間要素を含む。
【0033】
以下、用語「可撓性の中間要素」は、ホルダとロボットにより変位可能な移送アームとの間に取り付けられたデバイスを表すものとし、このデバイスは、液体容器に対する力効果が及ぼされる場合に変形されるが、それと同時に、移送アームおよびホルダがキュベットを受ける、輸送する、および解放することができるように十分に剛性である。
【0034】
好ましくは、可撓性の中間要素は、例えば、限定はしないが、エラストマー、ウレタンゴム、天然ゴム、ゴム、発泡材、またはばね鋼などの弾性および/または減衰材料からなることが企図される。さらに、ねじれに対する保護を保証するために、複数の別個の中間要素が横並びにまたは上下に使用されることもある。
【0035】
可撓性の中間要素は、液体容器に力が作用するときに、移送アームに対するホルダの特定の撓み性を保証する。しかし、それと同時に、可撓性の中間要素はまた、例えばその厚さおよび弾性特性によって、容器を輸送するときにグリッパの撓みを制限する。
【0036】
以下、用語「ホルダ」は、液体容器を保持することができるデバイスを表すものとする。好ましくは、ホルダは、液体容器を把持、保持、および再解放することもできる。ここで有利なのは、ホルダが液体容器用の一体製造されたグリッパを含む場合である。ホルダは、キュベットホルダとも呼ばれる。
【0037】
基本的には、把持は、取り上げて保持するための基本的な動きであり、ロボットまたは分析機とワークピース、この場合には液体容器との接続を確立する。ここで、相乗効果のタイプおよび接触面の数が、確実な接続のために重要である。相乗効果は、付力式、嵌合式、または接着式の対合によって得ることができる。付力式の対合(forced pairing)を利用するとき、ホルダは、ワークピース表面に対して圧力を及ぼすことによって発生される。これとは対照的に、保持は、等しい形状によってワークピースを取り囲むことによって、嵌合式の対合で成される。ここで、確実な案内中、伝達されるクランプ力は非常に小さい。接着式の対合の場合、ワークピースとの接触は、接着剤を利用することによってもたらされる。
【0038】
さらに、グリッパシステムは、それらの効果に従って、機械的、空気圧式、磁気的、および接着式システムに細分することができる。これらの効果はまた、グリッパシステムの可撓性を高めるために組み合わせて利用することもできる。
【0039】
本発明の範囲では好ましくは機械的グリッパが使用されるが、特に磁気的グリッパも使用することができる。1フィンガ、2フィンガ、または多フィンガグリッパが、剛性、剛性ヒンジ式、または弾性設計を有する機械的グリッパとして存在する。
【0040】
ここで好ましいグリッパは、一部片から製造される。これは、個々の部品が組み立てられる必要がないので、より多数のユニットの再現性のある製造を可能にし、組み立てられたグリッパの適切な動作は、個々のユニット毎にではなく、ランダムにチェックされればよい。
【0041】
一体型グリッパは、弾性変形することができ、張力をかけられた状態であるように設計される。十分な力で障害物に対して移動される場合、これは、スナップ効果をもたらし、グリッパが開く。障害物の方向へのさらなる動きにより、グリッパは障害物を取り囲み、障害物が完全に取り囲まれるとすぐに、上記グリッパは、張力をかけられた状態により、再びカチッと閉じる。さらに、グリッパは、グリッパを再び開くために必要な解放力が克服されたときにのみ、取り囲まれた障害物を解放する。
【0042】
したがって、動作中、例えばまず、移送アームの側方運動または前後運動の結果として、ホルダが液体容器の方向に移動する。この液体容器(好ましくはキュベット)は、例えば、受け位置内で立つ。キュベットに達すると、ホルダは、キュベットフランジによって押されて開き、さらなる変位がある場合には、プラスチック材料のばね作用または張力をかけられた状態により、キュベットを取り囲む。キュベットが取り囲まれた後、ホルダまたは移送アームの上方への運動によって上記キュベットを持ち上げることができる。このとき、キュベットは、保持されており、移送アームの動きによって変位することができる。
【0043】
ホルダ内にキュベットを押し下げるために、上記キュベットは、移送アームの動きによって受け位置に駆動され、ホルダが後退される場合に受け位置に残り、すなわち、ホルダは再び押されて開き、キュベットを解放し、次いで弾性的に再び閉じる。
【0044】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの移送装置を含む自動分析機であって、移送装置は、ロボットにより変位可能な移送アームに固定され、液体容器用のホルダと、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの制御機械とを含み、ここで、移送装置は、移送アームによって移動され、ホルダに対する力効果は、センサによって測定され、制御機械は、請求項1〜12のいずれか1項に記載の移送装置を調節するための方法の実施を制御することができるように構成される自動分析機に関する。
【0045】
好ましい実施形態では、自動分析機は、液体容器用の複数の受け位置を含む。
【0046】
分析機のさらなる好ましい実施形態では、調節システムは、ロボットにより変位可能な移送アームを複数含む。
【0047】
本発明のさらなる主題は、自動分析機での本発明による方法の使用に関する。
【0048】
「ロボットにより変位可能な移送アーム」は、駆動機構によって自動的に変位可能な移送アームである。したがって、特に、移送アームは、例えば電動機によってまたは空気圧で駆動されて、能動的に動きを行うことがある。
【0049】
例として、移送アームは、化学的、臨床的、および/または生物学的試料を処理、操作、および分析するためのロボットステーションの一部である。ここで、移送アームは、例えば、ピペットステーションから光度計またはPCRサイクラに例えばキュベットなどの液体容器を輸送する働きをする。
【0050】
好ましくは、移送アームは、例えば微生物学、分析、法科学、または臨床診断用の実験室ロボットまたは実験室システムの一部である。
【0051】
本発明の意味において、「試料」は、検出予定の物質(分析物)をおそらく含む材料を意味するものと理解すべきである。特に用語「試料」は、ヒトまたは動物の生物学的液体、例えば、血液、血漿、血清、唾液、滲出物、気管支肺胞洗浄液、リンパ液、滑液、精液、膣粘液、便、尿、髄液、またはその他、例えば、光測定、好ましくは均質性または細胞溶解による比濁分析決定のために適宜用意された組織もしくは細胞培養試料を含む。さらに、植物液体または組織、法医学試料、水および排水試料、食品、製薬品も試料となることがあり、これらは、場合によっては、決定前に適切な試料前処理を受けるものとする。
【0052】
定量的検出は、試料中の分析物の量、濃度、または活性の測定を含む。表現「定量的検出」は、半定量法も網羅し、半定量法は、試料中の分析物のおおよその量、濃度、または活性のみを検出することができ、または量、濃度、もしくは活性の相対的な標示のみを提供するように働くことができる。定性的検出は、試料中に分析物が実際に存在することの検出、または、試料中の分析物の量、濃度、もしくは活性が1つまたはそれ以上の所定の閾値よりも下または上であることの標示と理解されるものとする。
【0053】
例として、測定キュベットは、ガラス、プラスチック、または金属製のキュベットまたは反応容器である。有利には、測定キュベットは、透光性材料から製造され、これは、特に光学的分析法を使用するときに有利であり得る。
【0054】
用語「測定キュベット」と「キュベット」は、同義として使用される。
【0055】
本発明を、図面に基づいて例示的により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】ロボットにより変位可能な移送アーム(11)によって移動させることができる液体容器(16)用のホルダ(12)を含む移送装置(10)の設計を概略的に示す図である。
図2】受けた液体容器を有するホルダに対する複数の力効果の測定の測定値を概略的に示す図である。
図3】受けた液体容器を有するホルダに対する複数の力効果の測定の測定値を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
すべての図において、同じ部分には同じ参照符号が付されている。
【0058】
図1による移送装置(10)は、分析機(より詳細には図示せず)に埋め込まれ、分析機は、試料の多くの分析を行うように構成される。このために、自動分析機は、多くの輸送デバイスおよびピペットデバイス(図示せず)を含み、さらに、分析の自動評価のための制御ユニットを含む。
【0059】
移送装置(10)は、液体容器(16)用のホルダ(12)を含み、このホルダ(12)は、ロボットにより変位可能な移送アーム(11)によって移動される。液体容器(16)は、液体容器(16)用の受け位置(20)で所定の高さに位置される。
【0060】
したがって、キュベットホルダ(12)、したがってまたキュベット(16)は、そのような装置内で移送アーム(11)を移動させることによって、分析機内部で変位される。
【0061】
この装置は、移送アームに配置されたホールセンサ(18)(記号で示される)をさらに含み、ホールセンサ(18)は、キュベットホルダ(12)に配置された磁石から発する磁場を捕捉し、特に、キュベットホルダ(12)の動きを測定し、これらの動きを監視デバイス(図示せず)に転送することができる。これは、センサ(18)とキュベットホルダ(12)との相対運動によって、受けた液体容器を有するホルダに対する力効果をセンサ(18)を用いて測定することを容易にする。
【0062】
図2は、センサ(18)を用いた、受けた液体容器(16)を有するホルダ(12)に対する複数の力効果の測定の測定値を概略的に示す。ここでプロットされているのは、ホルダの位置(22)に対する力効果(21)に関する尺度である。
【0063】
ホルダ(12)は、約40〜62の位置(22)の範囲では、受け位置(20)の外にある。位置(22)のこの範囲内では、液体容器(16)およびホルダ(12)と地球の重力場との相互作用により、約354の領域内での力効果がセンサ(18)によって測定される。
【0064】
ホルダ(12)は、位置(22)の約0〜15の範囲で、受け位置(20)内にある。位置(22)のこの範囲では、液体容器(16)と受け位置(20)の壁との相互作用により、約382の領域内での力効果がセンサ(18)によって測定される。位置(22)の0〜15の範囲でのより高い力効果は、位置(22)の40〜62の範囲での力効果からの所定の尺度を超えてずれる。その結果、移送アームは受け位置に対して十分には調節されず、したがって、受け位置に対する移送アームの調節が行われる。
【0065】
図3は、センサ(18)を用いた、受けた液体容器(16)を有するホルダ(12)に対する複数の力効果の測定の測定値を概略的に示す。ここでプロットされているのは、ホルダの位置(22)に対する力効果(21)に関する尺度である。
【0066】
ホルダ(12)は、約40〜62の位置(22)の範囲では、受け位置(20)の外にある。位置(22)のこの範囲内では、液体容器(16)およびホルダ(12)と地球の重力場との相互作用により、約354の領域内での力効果がセンサ(18)によって測定される。
【0067】
ホルダ(12)は、位置(22)の約0〜15の範囲で、受け位置(20)内にある。位置(22)のこの範囲では、影響の及ぼすような液体容器(16)と受け位置(20)の壁との相互作用はなく、同様に約354の領域内での力効果がセンサ(18)によって測定される。したがって、位置(22)の0〜15の範囲での力効果は、位置(22)の40〜62の範囲での力効果に対して上昇されない。さらに、位置(22)の0〜15の範囲での力効果は、位置(22)の40〜62の範囲での力効果からの所定の尺度を超えてずれてはいない。したがって、移送アームは受け位置に対して十分に調節され、したがって、受け位置に対する移送アームの調節が行われない。
【符号の説明】
【0068】
10 移送装置
11 ロボットにより変位可能な移送アーム
12 ホルダ
13 可撓性の中間要素
16 液体容器
18 センサ
19 磁石
20 受け位置
21 力効果
22 位置
図1
図2
図3