(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のベルトコンベアの少なくとも一方には、直動アクチュエータの一端が回動自在に連結されており、前記本体フレームには、前記直動アクチュエータの他端が回動自在に連結されていることを特徴とする請求項2記載のワーク反転装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の装置では、上下に対をなすベルトコンベアの間隔が一定であるため、挟持可能なワークの厚さが限定されていた。また、反転させたワークを下流に搬送するに当たっては、上下に対をなすベルトコンベアを夫々逆転して駆動させなければならない。このため、ベルトコンベアを逆転させるための正逆駆動回路や角変位の位置検知回路など、複雑な制御回路が必要であった。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ワーク厚さに幅広く対応できる簡易な構成のワーク反転装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の
第1及び第2のワーク反転装置は、上流側から搬入されたワークの表裏を反転して下流側に搬出する装置である。ワーク反転装置は、本体フレームと、一対のベルトコンベアと、コンベア駆動部と、反転駆動部と、を備えている。一対のベルトコンベアは、ワークを搬送する搬送面を上下に対向させて本体フレームに支持される。また、一対のベルトコンベアは、搬送面の間隔をワークに合わせて狭くすることによりワークを挟持する。コンベア駆動部は、一対のコンベア駆動軸により、一対のベルトコンベアの各搬送面を互いに逆方向に移動させて一対のベルトコンベアを駆動する。反転駆動部は、中心線周りに本体フレームを反転させて一対のベルトコンベアの上下を入れ替える。
【0008】
このような構成により、本発明の
第1及び第2のワーク反転装置は、対向する搬送面の間隔をワーク厚さ以上に拡げた一対のベルトコンベア間にワークを搬入し、搬送面の間隔を狭めてワークを挟持する。そして、この状態でベルトコンベアごと反転させ、搬送面の間隔を再びワークの厚さ以上に拡げてワークの挟持を解除し、ワークを搬出する。このように、一対のベルトコンベアの搬送面の間隔を変更してワークを挟持するので、厚さの異なる複数種類のワークを好適に挟持することができる。また、一対のベルトコンベアの対向する搬送面を互いに逆方向に移動させているので、ワーク反転後でも、コンベア駆動部による駆動方向を反転前と同じ方向に駆動することで、反転前と同じ方向、すなわち、上流側から下流側へワークを搬送する。このように、反転の前後においてベルトコンベアの駆動方向が同一方向であるので、特許文献1のようにベルトコンベアを逆転させるための回路や機構を必要とせず、簡易な構成とすることができる。
【0009】
したがって、本発明の
第1及び第2のワーク反転装置は、ワーク厚さに幅広く対応できるとともに、簡易な構成とすることができる。
また、本発明の第1のワーク反転装置において、一対のコンベア駆動軸は、一対のベルトコンベアの各従動軸を旋回させる旋回軸として各々機能する。このため、一対のベルトコンベアの搬送面の間隔を簡易な構成で容易に変更できる。すなわち、コンベア駆動軸周りに従動軸を回動させることにより、コンベア駆動軸の位置を変更することなく搬送面の間隔を変更することができる。例えば、コンベア駆動軸の位置を移動させて一対のベルトコンベアの間隔を変更する場合、コンベア駆動軸への動力伝達が複雑化してしまったり、動力伝達機構及び駆動源もともに移動させたりする必要があるが、これらの場合と比較して簡易な構成とすることができる。
【0010】
本発明の
第1のワーク反転装置において、一対のコンベア駆動軸は、中心線を中心に対向して配置されて本体フレームに回転自在に支持さ
れ得る
。
【0011】
本発明の
第1のワーク反転装置は、一対のベルトコンベアの少なくとも一方に、直動アクチュエータの一端が回動自在に連結されており、本体フレームに、直動アクチュエータの他端が回動自在に連結され得る。この場合、簡易な構成で、ベルトコンベアの搬送面の間隔の容易な変更を実現できる。
【0012】
本発明の
第2のワーク反転装置において、本体フレームは、第1サイドプレートと第2サイドプレートとを有し
ている。第1サイドプレートは、一対のコンベア駆動軸の一方の端部の各々を回転自在に軸支する。第2サイドプレートは、一対のコンベア駆動軸の他方の端部の各々を回転自在に軸支する。コンベア駆動部は、コンベア駆動源と、第1サイドプレートに回転自在に軸支された主軸と、
コンベア駆動源の動力を主軸に伝達する第1動力伝達部と、主軸の動力を一対のコンベア駆動軸に伝達する第2動力伝達部と、を有し
ている。また、反転駆動部は、反転駆動源と、第2サイドプレートに固定的に支持された反転主軸と、反転駆動源の動力を反転主軸に伝達する反転動力伝達部と、を有し
ている。そして、主軸と反転主軸は、本体フレーム反転軸上に設けられ
ている。この
ため、1つの駆動源で一対のベルトコンベアの両方を駆動させる簡易な構成を実現することができる。また、コンベア駆動部の主軸と反転主軸が同一軸上となる本体フレーム反転軸上に配置されているので、反転させても主軸と駆動源との相対的な位置関係が変化しない。このため、簡易な構成とすることができる。また、コンベア駆動部を第1サイドプレート側、反転駆動部を第2サイドプレート側に夫々設けたので、各駆動部を無理なく配置することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のワーク反転装置を具体化した実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態では、ワークWとして、環状の油圧シリンダ用シール部品を例示する。このシール部品は、その直径の大きさに比して厚さが極めて薄い偏平な形状をなしている。また、シール部品は、厚さの異なる複数種類が存在する。
【0015】
<実施形態1>
実施形態1のワーク反転装置1は、搬送ラインに組み込まれて用いられる。ワーク反転装置1は、上流側から搬送されたワークWの表裏を反転して下流側に搬出する装置である。
図1〜
図4に示すように、ワーク反転装置1は、本体フレーム10、一対のベルトコンベア20,30、コンベア駆動部40及び反転駆動部50を備えている。また、ワーク反転装置1は、2つの直動アクチュエータ60を備えている。一対のベルトコンベア20,30は、ワークWを搬送する搬送面20A,30Aを上下に対向させて本体フレーム10に支持されている。また、一対のベルトコンベア20,30は、搬送面20A,30Aの間隔をワークWに合わせて狭くしてワークWを挟持する。コンベア駆動部40は、一対の駆動軸22,32(本発明に係る一対のコンベア駆動軸として例示する)により、一対のベルトコンベア20,30の搬送面20A,30Aを互いに逆方向に移動させて、一対のベルトコンベア20,30を駆動する。反転駆動部50は、所定の軸A(本発明に係る中心線として例示する)を本体フレーム10を反転させる反転軸として、本体フレーム10を反転させて一対のベルトコンベア20,30の上下を入れ替える。直動アクチュエータ60は、一端が本体フレーム10に回動自在に支持され、他端が一対のベルトコンベア20,30の一方に回動自在に連結されている。本実施例において、直動アクチュエータ60は、各ベルトコンベア20,30に1つずつ設けられている。
【0016】
本体フレーム10は、
図2〜
図4に示すように、一対のサイドプレート11,12(本発明に係る第1サイドプレート及び第2サイドプレートとして夫々例示する)と、これらを連結する2つの連結フレーム13と、を有している。サイドプレート11,12は、円盤状に形成されているとともに、中心軸を同軸上にして所定の間隔で対向して配置されている。連結フレーム13は、断面矩形状の角柱形状をなしている。連結フレーム13は、円盤状をなす一対のサイドプレート11,12の周縁部にその両端が夫々固定されてサイドプレート11,12を連結している。2つの連結フレーム13は、サイドプレート11,12の中心軸を挟んで対向して配置されている。また、本体フレーム10は、
図2及び
図3に示すように、2つの支持軸14を有している。支持軸14には、後述する直動アクチュエータ60の一端が回動自在に支持される。支持軸14は円柱形状をなしており、一対のサイドプレート11,12の間に渡されている。2つの支持軸14は、サイドプレート11,12の中心軸を挟んで対向して架け渡されている。
【0017】
一対のベルトコンベア20,30は、本体フレーム10のサイドプレート11,12の間に収納されている。
図2〜
図4に示すように、一対のベルトコンベア20,30は、無端ベルト21,31と、無端ベルト21,31が掛け渡される駆動軸22,32、従動軸23,33及びテンショナー24,34と、駆動軸22,32、従動軸23,33及びテンショナー24,34の両端を回転自在に支持する側板25,26,35,36とを有している。各ベルトコンベア20,30の駆動軸22,32は、軸Aを中心に対向して配置されて本体フレーム10に回転自在に軸支されている。詳細には、駆動軸22,32は、側板25,26,35,36を貫通して延出し、本体フレーム10のサイドプレート11,12に軸支されている。各駆動軸22,32は、ベルトコンベア20,30の各従動軸23,33を旋回させる旋回軸として各々機能する。換言すると、各ベルトコンベア20,30は、各駆動軸22,32を回動軸(旋回軸)として、本体フレーム10に回動(旋回)自在に設けられている。また、駆動軸22,32のサイドプレート11側の端部はサイドプレート11を貫通して延出され、その先端に後述するプーリ44Cが取り付けられている。
【0018】
また、一対のベルトコンベア20,30は、連結軸27,37及び支持プレート28,38を有している。
図3及び
図4に示すように、連結軸27,37及び支持プレート28,38は、側板25,26,35,36の間に渡されている。連結軸27,37には、直動アクチュエータ60の他端が回動自在に連結されている。支持プレート28,38は、ワークWの搬送時及び挟持時の搬送面20A,30Aを裏面から支持して無端ベルト21,31の撓みを抑制する。無端ベルト21,31は、搬送面20A,30Aにおいて、支持プレート28,38上を摺動する。
【0019】
また、ベルトコンベア20,30は、
図4に示すように、無端ベルト21,31の幅は略同等としているが、側板25と側板26の間隔w1は、側板35と側板36の間隔w2よりも小さく設定している。換言すると、ベルトコンベア20,30は、側板25,26,35,36の間隔w1,w2が異なる点以外は、略同様の構成である。ベルトコンベア20,30は、側板25,26,35,36の間隔w1,w2が異なることにより、ワークWを挟持する際に、側板25と側板35、及び側板26と側板36の夫々が上下で干渉しないようにされている。
【0020】
コンベア駆動部40は、本体フレーム10のサイドプレート11の側方に配置されている。
図2及び
図4〜
図6に示すように、コンベア駆動部40は、ギヤモータ41(本発明に係るコンベア駆動源として例示する)と、主軸42と、第1動力伝達部43と、第2動力伝達部44を有している。ギヤモータ41は、本体フレーム10の下方に設けられた固定フレーム70に固定して配置されている。ギヤモータ41は、一方の回転方向のみに駆動される。主軸42は、サイドプレート11に回転自在に軸支されている。詳細には、
図5に示すように、主軸42は、本体フレーム10のサイドプレート11との間に介在する軸受45、及び固定フレーム70との間に介在する軸受46に軸支されて回転する。換言すると、本体フレーム10は、サイドプレート11側において主軸42に軸支されるとともに、この主軸42を介して固定フレーム70に軸支されている。本実施形態では、主軸42は、
図4に示すように、その中心軸が軸A上に配されており、軸A周りに回転する。第1動力伝達部43は、ギヤモータ41の動力を主軸42に伝達する。具体的には、第1動力伝達部43は、タイミングベルト43Aを、ギヤモータ41の動力軸41Aに固定されたプーリ43Bと主軸42に固定されたプーリ43Cに掛け渡して構成されている。第2動力伝達部44は、主軸42の動力を一対のベルトコンベア20,30の各駆動軸22,32に伝達する。具体的には、第2動力伝達部44は、タイミングベルト44Aを、主軸に固定されたプーリ44Bとベルトコンベア20,30の駆動軸22,32に固定されたプーリ44Cに掛け渡して構成されている。第2動力伝達部44は各駆動軸22,32に対して夫々設けられている。
【0021】
反転駆動部50は、本体フレーム10のサイドプレート12の側方に配置されている。
図2、
図4及び
図7に示すように、反転駆動部50は、ロータリーアクチュエータ51(本発明に係る反転駆動源として例示する)と、反転主軸52と、反転動力伝達部53とを有している。ロータリーアクチュエータ51は、本体フレーム10の下方に設けられた固定フレーム70に固定して配置されている。ロータリーアクチュエータ51は、回動角180°で動力軸51Aを回動する。反転主軸52は本体フレーム10のサイドプレート12に固定されている。本実施形態では、反転主軸52は、その中心軸が軸A上に設けられて軸A周りに回動する。詳細には、
図4に示すように、反転主軸52は、固定フレーム70との間に介在する軸受54に軸支されており、本体フレーム10とともに軸A周りに回動する。換言すると、本体フレーム10は、反転主軸52を介して固定フレーム70に軸支されており、反転主軸52とともに軸A周りに回動する。反転動力伝達部53は、ロータリーアクチュエータ51の動力を反転主軸52に伝達する。具体的には、反転動力伝達部53は、タイミングベルト53Aを、ロータリーアクチュエータ51の動力軸51Aに固定されたプーリ53Bと反転主軸52に固定されたプーリ53Cに掛け渡して構成されている。プーリ53Bとプーリ53Cは同径(同歯数)のタイミングプーリを採用している。このため、反転駆動部50は、回動角180°で動力軸51Aが回動することにより、反転主軸52と、この反転主軸52が固定されている本体フレーム10を軸A周りに180°回動させる。
【0022】
直動アクチュエータ60は、その一端が本体フレーム10の支持軸14に回動自在に支持され、他端がベルトコンベア20,30の連結軸27,37に回動自在に連結されている。本実施形態においては、直動アクチュエータ60はエアシリンダを採用している。ベルトコンベア20,30は、直動アクチュエータ60を駆動して伸縮させることにより各駆動軸22,32を回動軸(旋回軸)として回動(旋回)する。そして、これにより、ベルトコンベア20,30の各搬送面20A,30Aの間隔が変更され、ワークWの挟持・開放が行われる。なお、2つの直動アクチュエータ60は、1つの駆動制御弁(図示せず)に接続されて駆動制御されている。
【0023】
また、ワーク反転装置1は緩衝器80を備えている。緩衝器80は、
図7に示すように、反転主軸52を挟んだ両側に一対設けられている。一対の緩衝器80はワーク反転時の衝撃を緩和する。具体的には、本体フレーム10が回動して回動端に到達するときに、本体フレーム10のサイドプレート12に取り付けられたストッパーブロック12Aが緩衝器80に衝突することで衝撃が緩和される。
【0024】
上述のように、本実施形態において、コンベア駆動部40の主軸42は軸A上に配されており、反転駆動部50の反転主軸52もまた軸A上に配されている。すなわち、コンベア駆動部40の主軸42と反転駆動部50の反転主軸52は、同一軸上となる軸A上に夫々配されている。
【0025】
このような構成を有するワーク反転装置1は、次に示すようにしてワークWを反転する。なお、以下の説明では、ワーク反転装置1は、図示しない搬送ラインに組み込まれており、ワークWは、
図8〜
図14の紙面右側を搬送ラインの上流側として、左方の搬送ライン下流側に向かって搬送されるものとして説明する。搬送ライン内において、ワーク反転装置1は、上流側の搬送コンベアと略同速度、又は僅かに速い速度で、ベルトコンベア20,30を駆動している。ベルトコンベア20,30は、下側に位置するベルトコンベアの搬送面(
図8では、ベルトコンベア30の搬送面30A)が搬送ラインの進行方向と同方向に移動している一方、上側に位置するベルトコンベアの搬送面(
図8では、ベルトコンベア20の搬送面20A)は搬送ラインの進行方向とは反対の方向に移動している。
【0026】
最初に、搬送ラインの上流側からワーク反転装置1にワークWを搬入する。この時、一対のベルトコンベア20,30は、
図8に示すように、ワークWの厚さtよりも広い間隔cで、搬送面20A,30Aを上下に対向させている。このため、搬入されるワークWは、上側のベルトコンベア20の搬送面20Aに接触することなく、下側のベルトコンベア30の搬送面30A上を搬送される。すなわち、
図8においては、ワークWはベルトコンベア30によって搬入されている。
【0027】
図9に示すように、ワークWの全体が搬送面20A,30Aの間に搬入されたら、ベルトコンベア20,30を停止する。具体的には、コンベア駆動部40のギヤモータ41の駆動を停止する。ワーク反転装置1は、上述のように構成したコンベア駆動部40により、ギヤモータ41の動力軸41Aと一対のベルトコンベア20,30の各駆動軸22,32とが機械的に同期しているので、ギヤモータ41を停止することで上下のベルトコンベア20,30の両方が停止される。
【0028】
一対のベルトコンベア20,30を停止させたら、今度は,ベルトコンベア20,30の搬送面20A,30Aの間隔を変更してワークWを挟持する。すなわち、ベルトコンベア20,30の搬送面20A,30Aの間隔cをワークWに合わせて狭くする。具体的には、2つの直動アクチュエータ60を駆動して伸長させる。すると、
図10に示すように、ベルトコンベア20,30は、駆動軸22,32を各々の回動軸として回動し、従動軸23,33が旋回する。これにより、搬送面20A,30Aの間隔が小さくなり、搬送面20A,30A間にワークWが挟持される。この時、搬送面20A,30Aの裏面側に支持プレート28,38が設けられていることにより、搬送面20A,30Aにおける無端ベルト21,31の撓みが抑制され、搬送面20A,30A間にワークWが確実に挟持される。
【0029】
また、上述のように、一対のベルトコンベア20,30の搬送面20A,30Aの間隔cの変更は直動アクチュエータ60を伸縮させることによって行われる。そして、ワークWを挟持する際には、ワークWには直動アクチュエータ60の押圧力が作用した状態となる。このようにして搬送面20A,30Aの間隔を狭くし、押圧力を作用させて挟持することで、厚さtの異なるワークWであっても好適に挟持される。また、一対のベルトコンベア20,30の側板25,26,35,36の間隔w1,w2が異なっているので、ベルトコンベア20,30が接近した際に、側板25,26,35,36同士が干渉することがない。このため、搬送面20A,30A同士をより近接させることができ、より厚さtの小さいワークWの挟持が可能である。
【0030】
一対のベルトコンベア20,30によりワークWを挟持したら、本体フレーム10を回動させてベルトコンベア20,30の上下を入れ替える。具体的には、反転駆動部50のロータリーアクチュエータ51を駆動して、軸A周りに本体フレーム10を回動させる。この回動時には、
図11に示すように、ワークWが自重により落下する方向の力が作用する。しかし、ワークWは一対のベルトコンベア20,30の搬送面20A,30Aの間に挟持されており、ワークWの脱落は防止される。また、ワークWが落下する方向の力が搬送面20A,30Aのどちらか一方に作用したとしても、上述のように構成したコンベア駆動部40により、搬送面20A,30Aの移動方向は互いに反対方向となる。このため、搬送面20A,30Aの他方には落下方向とは反対の方向に移動しようとする力が作用し、ワークWの落下が防止される。このように、ワーク反転装置1では、駆動軸のブレーキ機構等のワーク脱落防止機構を別途設ける必要がない。
【0031】
そして、本体フレーム10の回動によって、
図12に示すように、ベルトコンベア20,30の上下が入れ替わる。これにより、搬送面から持ち上げることなくワークWの表裏が反転している。その後、直動アクチュエータ60を駆動して収縮させると、
図13に示すように、搬送面20A,30Aの間隔が広がり、ワークWを挟持した状態が解除される。これにより、ワークWは下側のベルトコンベアの搬送面上に載置され、上側のベルトコンベアの搬送面と接触していない状態とされる。
【0032】
最後に、コンベア駆動部40のギヤモータ41を駆動してワークWをワーク反転装置1から搬出する。この時、ワークWは、
図14に示すように、ベルトコンベア20,30を上下で入れ替えたことにより、搬入時とは異なるベルトコンベア20によって搬出される。上述のように、ワーク反転装置1では、一対のベルトコンベア20,30の各駆動軸22,32を、軸Aを対称軸として軸対称となる位置に設けているとともに、コンベア駆動部40の主軸42を軸Aと同軸上に設け、この軸Aを回動軸として本体フレーム10を回動させている。このため、ワーク反転装置1では、1つのギヤモータ41を駆動源として、上下が入れ替わる一対のベルトコンベア20,30の駆動を実現している。
【0033】
なお、ワーク反転装置1は、次のワークWを反転させる場合には、前回の反転時に回動した方向とは反対の方向に回動してワークWを反転させる。例えば、
図11及び
図12では、紙面に向かって反時計回りの方向に回動する例を示しており、この場合、次に搬入するワークWを反転させる際の回動方向は時計回り方向への回動となる。
【0034】
以上説明したように、ワーク反転装置1は、上流側から搬入されたワークWの表裏を反転して下流側に搬出する装置である。ワーク反転装置1は、本体フレーム10と、一対のベルトコンベア20,30と、コンベア駆動部40と、反転駆動部50と、を備えている。一対のベルトコンベア20,30は、ワークWを搬送する搬送面20A,30Aを上下に対向させて本体フレーム10に支持される。また、一対のベルトコンベア20,30は、搬送面20A,30Aの間隔cをワークに合わせて狭くすることによりワークWを挟持する。コンベア駆動部40は、一対の駆動軸22,32により、一対のベルトコンベア20,30の各搬送面20A,30Aを互いに逆方向に移動させて一対のベルトコンベア20,30を駆動する。反転駆動部50は、本体フレーム10を反転させる反転軸としての軸Aで本体フレーム10を反転させて一対のベルトコンベア20,30の上下を入れ替える。
【0035】
このような構成により、ワーク反転装置1は、対向する搬送面20A,30Aの間隔cをワーク厚さt以上に拡げた一対のベルトコンベア20,30間にワークWを搬入し、搬送面20A,30Aの間隔cを狭めてワークWを挟持する。そして、この状態でベルトコンベア20,30ごと反転させ、搬送面20A,30Aの間隔cを再びワークの厚さt以上に拡げてワークWの挟持を解除し、ワークWを搬出する。このように、一対のベルトコンベア20,30の搬送面20A,30Aの間隔cを変更してワークWを挟持するので、厚さtの異なる複数種類のワークWでも好適に挟持することができる。また、一対のベルトコンベア20,30の対向する搬送面20A,30Aを互いに逆方向に移動させているので、ワークWの反転後でも、コンベア駆動部40による駆動方向を反転前と同じ方向に駆動することで、反転前と同じ方向、すなわち、上流側から下流側へワークWを搬送する。このように、反転の前後においてベルトコンベア20,30の駆動方向が同一方向であるので、ベルトコンベアを逆転させるための回路や機構を必要とせず、簡易な構成とすることができる。
【0036】
したがって、ワーク反転装置1は、ワークWの厚さtに幅広く対応できるとともに、簡易な構成とすることができる。
【0037】
また、一対の駆動軸22,32は、軸Aを中心に対向して配置されて本体フレーム10に回転自在に支持されているとともに、一対のベルトコンベア20,30の各従動軸23,33を旋回させる旋回軸として各々機能する。このため、一対のベルトコンベア20,30の搬送面20A,30Aの間隔cを簡易な構成で容易に変更できる。すなわち、駆動軸22,32周りに従動軸23,33を回動させることにより、駆動軸22,32の位置を変更することなく搬送面20A,30Aの間隔を変更することができる。例えば、コンベアの駆動軸の位置を移動させて一対のベルトコンベアの間隔を変更する場合、コンベア駆動軸への動力伝達が複雑化してしまったり、動力伝達機構及び駆動源もともに移動させたりする必要があるが、これらの場合と比較して簡易な構成とすることができる。
【0038】
また、ワーク反転装置1は、一対のベルトコンベア20,30の夫々には、直動アクチュエータ60の一端が回動自在に連結されており、本体フレーム10には、直動アクチュエータ60の他端が回動自在に連結されている。このため、簡易な構成で、ベルトコンベア20,30の搬送面20A,30Aの間隔cの容易な変更を実現できる。
【0039】
また、本体フレーム10は、一対の駆動軸22,32の一方の端部の各々を回転自在に軸支するサイドプレート11と一対の駆動軸22,32の他方の端部の各々を回転自在に軸支するサイドプレート12とを有している。コンベア駆動部40は、コンベア駆動源としてのギヤモータ41と、サイドプレート11に回転自在に軸支された主軸42と、ギヤモータ41の動力を主軸42に伝達する第1動力伝達部43と、主軸42の動力を一対のベルトコンベア20,30の各駆動軸22,32に伝達する第2動力伝達部44と、を有している。また、反転駆動部50は、反転駆動源としてのロータリーアクチュエータ51と、サイドプレート12に固定的に支持された反転主軸52と、ロータリーアクチュエータ51の動力を反転主軸52に伝達する反転動力伝達部53と、を有している。そして、主軸42と反転主軸52は同一軸となる軸A上に設けられている。このため、1つの駆動源で一対のベルトコンベア20,30の両方を駆動させる簡易な構成を実現することができる。また、コンベア駆動部40の主軸42と反転主軸52が同一軸となる軸A上に配置されているので、反転させても主軸42とギヤモータ41との相対的な位置関係が変化しない。このため、簡易な構成とすることができる。
【0040】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1では、駆動軸を回動軸としてベルトコンベアを回動させることにより搬送面の間隔を変更する形態を例示したが、例えば、ベルトコンベアを平行移動させるなど、他の形態により搬送面の間隔を変更してもよい。
(2)実施形態1では、駆動軸を回動軸としてベルトコンベアを回動させるために直動アクチュエータを採用したが、例えば、モータやロータリーアクチュエータなど、回転又は回動する他の形態のアクチュエータを採用してもよい。また、実施形態1では、このようなアクチュエータを一対のベルトコンベアの夫々に設ける形態を例示したが、一方にのみ設ける形態としてもよい。
(3)実施形態1では、1つの駆動源で一対のベルトコンベアの両方を駆動するコンベア駆動部を例示したが、2つの駆動源で各ベルトコンベアを別々に駆動するコンベア駆動部であってもよい。
(4)実施形態1では、コンベア駆動部が、駆動源としてギヤモータを有する形態を例示したが、駆動源としては、ギヤモータに限定されず、ベルトコンベアの駆動源として一般に採用されている種々の駆動源を採用することができる。
(5)実施形態1では、反転駆動部が、駆動源としてロータリーアクチュエータを有する形態を例示したが、例えば、直動アクチュエータやモータなど、他の形態の駆動源を採用してもよい。
(6)実施形態1では、ワーク反転時の衝撃を緩和する緩衝器を備える形態を例示したが、この緩衝器は必須の構成ではない。
(7)実施形態1では、コンベア駆動部を本体フレームの第1サイドプレート側に配置し、反転駆動部を本体フレームの第2サイドプレート側に配置する形態を例示したが、これは必須ではなく、両方を同じサイドプレート側に配置したり、一方を本体フレームの外周部に配置したりする形態としてもよい。
(8)実施形態1では、コンベア駆動部が一対の第2動力伝達部を有する形態を例示したが、コンベア駆動部は、主軸の動力を一対のベルトコンベアに伝達する限り、その構成は特に限定されない。