(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の流路形成部材の各実施形態について述べる。
なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0019】
先ず、本発明に係るスパウト10,20,30,40を備えた包装袋の構成について述べる。
図1は、本発明に係るスパウト10,20,30,40を備えた包装袋100の全体構成を示す正面図である。
図1に示すように、包装袋100は、内容物が収容される収容部101と、収容部101に連通し内部の内容物を注出する注出部102と、を有する可撓性袋(容器本体)106を備えている。本実施形態のスパウト10は、包装袋100の注出部102に設けられるもので、収容部101内に収容された内容物を注出させる部位である。収容部101は、複数の可撓性フィルム103,104が重ね合わされ、各可撓性フィルム103,104の周縁が封止されて一体に形成されている。収容部を構成する少なくとも2枚の可撓性フィルム103,104の周縁がそれぞれヒートシールされることで袋体を構成している。
【0020】
なお、2枚の可撓性フィルムを重ね合わせ、各可撓性フィルムの周縁をシールして一体に形成する方法に限られず、1枚の可撓性フィルムを折り返し、その周縁をシールして一体に形成する方法でも良い。
【0021】
また、表側可撓性フィルム103及び裏側可撓性フィルム104の間に2つ折りにした底側可撓性フィルム105を介在させてもよい。底側可撓性フィルム105をその折り返し部105bが収容部101の内側に向くように配置することによって、収容部101に収容される内容物の重さによって底側可撓性フィルム105が下方へ押し広げられることで、自立可能になる。本実施形態のスパウト10は様々な種類の包装袋100に設けることができ、自立型であってもそうでなくてもよい。
このような包装袋100は、内容物の注出性を高めるために、注出部102に以下に述べるようなスパウト10を有している。
【0022】
可撓性袋106を構成する可撓性フィルム103,104,105の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはその鹸化物などが挙げられる。可撓性フィルム103,104,105は、無延伸のものであってもよいし、一軸延伸したものであってもよいし、二軸延伸したものであってもよい。材質がナイロン、ポリエチレンテレフタレートの場合には、機械的強度が向上することから、二軸延伸したものが好ましい。
【0023】
また、可撓性フィルム103,104,105の各々は、少なくとも基材(不図示)とシール層(不図示)とを積層してなる積層体であってもよい。可撓性フィルム103,104,105が積層体である場合には、ヒートシールのしやすさから、最も内側のシール層(不図示)がポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)であることが好ましい。各可撓性フィルム103,104,105は、互いのシール層(不図示)側を対向させた状態で重ね合わされてシールされている。
また、可撓性フィルム103,104,105に、ガスバリア性向上のために、金属箔が積層されていても構わない。
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態のスパウト(流路形成部材)10の構成について説明する。
図2は、第1実施形態のスパウト10の全体構成を示す斜視図である。
図3は、第1実施形態のスパウト10の全体構成を示す断面図である。
図4は、第1実施形態の弁構造部13の構成を示す正面図である。なお、
図1に示すスパウト10の全体構成は一例であり、この構成に限られるものではない。
【0025】
図2及び
図3に示すように、本実施形態のスパウト10は、基部11と、流路形成部12と、弁構造部13と、を主とし、これらが単一の部材で構成されている。基部11及び流路形成部12には内側にこれらを貫通する注出流路(流路)18が形成されており、この注出流路18内に弁構造部13が形成されている。スパウト10内の注出流路18は、内容物が収容された収容部101の収容空間19に連通している。
【0026】
図2及び
図3に示すように、基部11は、流路形成部12の注出方向一端側に配置され、可撓性袋106のうち注出部102における表側可撓性フィルム103及び裏側可撓性フィルム104の間に挿入されて固定される部位である。挿入された状態で、基部11の平面視矩形状をなす側面11b,11bのうち、一方の側面11bが表側可撓性フィルム103(
図1)のシール層に対向し、他方の側面11bが裏側可撓性フィルム104(
図1)のシール層に対向する。
【0027】
基部11は、
図2に示すように、筒状をなす流路形成部12よりも径方向の外方へ張り出した外形状とされ、注出流路18に交差する方向に長さを有している。基部11は、側面における長手方向が注出部102のシール辺に沿うとともに、短手方向が注出流路18に沿うようにして配置されている。基部11の張り出しは大きすぎることはなく、可撓性袋106(
図1)に対して良好に固定することのできる必要最低限の寸法に設定されている。
【0028】
基部11の形状の一例として、本実施形態では流路方向から見た形状が菱形となっており、
図2に示すように、基部11の長手方向両側の端部11c,11cがそれぞれ張り出し方向へ向かって先細りの形状になっている。これにより、各端部11c付近において表側可撓性フィルム103(
図1)と裏側可撓性フィルム104(
図1)との間に隙間を設けることなく固定できる。基部11と可撓性袋106(
図1)との固定には、接着材を用いてもよいしヒートシールしてもよい。
【0029】
流路形成部12は、
図2及び
図3に示すように基部11の上面11aに立設されており、注出方向に沿って可撓性袋106(
図1)の外側に延出する部位である。流路形成部12の外周には、
図2に示すように軸回りに雄ねじ部14が形成されており、不図示の蓋部が螺合する。流路形成部12の延出長さは、例えば、詰め替え先の容器の注入口に挿入可能な長さであることが好ましい。
【0030】
弁構造部13は、
図3に示すように、内容物が収容された収容空間19に繋がる注出流路18内に設けられている。弁構造部13は、注出流路18のうち流路形成部12内の基部11寄りに形成されている。なお、弁構造部13は、必ずしも図示した位置に限ったものではないが、使用時に可撓性袋106を押圧した際に内容物の流出圧がかかりやすい位置に設けることが好ましい。弁構造部13は、注出方向に対して垂直に設けられ、流路形成部12の径方向に沿った姿勢とされている。
【0031】
弁構造部13は、
図3及び
図4に示すように、固定部15Aと、可動弁15Bと、固定部15Aと可動弁15Bとを連結する第1連結部15C及び第2連結部15Dと、を有して構成され、初期状態においてこれら各部位の位置が注出方向で揃っている。弁構造部13は、第1連結部15C及び第2連結部15Dを介して可動弁15Bが固定部15Aに対して注出方向へ変位可能な構成とされている。可動弁15Bは、初期状態から固定部15Aよりも注出方向側へのみ変位可能な逆止弁(一方向弁)構造とされている。
【0032】
固定部15Aは、流路形成部12の内壁面12bに設けられている。固定部15Aは、リング状をなし、流路形成部12の内壁面12bの周方向に沿って設けられている。
【0033】
可動弁15Bは、固定部15Aの内径よりも小さい直径の円形状を呈し、注出流路18の一部を遮蔽するように、注出流路18の中央に設けられている。
第1連結部15C及び第2連結部15Dは、固定部15Aと可動弁15Bとの間であって可動弁15Bの径方向両側にそれぞれ設けられ、可動弁15Bと固定部15Aとを連結している。
【0034】
第1連結部15C及び第2連結部15Dは、流路形成部12の可動弁15Bを介して径方向で対向する位置において、可動弁15Bと固定部15Aとを連結している。本実施形態における第1連結部15C及び第2連結部15Dは相反する形状をなし、互いのバネ強度(弾性強度)はともに等しい。
【0035】
第1連結部15Cは、第1部分15C1,第2部分15C2、第3部分15C3をそれぞれ有している。第1部分15C1は、固定部15Aから流路形成部12の中心軸Cに向かって延在している。第2部分15C2は、第1部分15C1の内壁面12bとは反対側の端部から流路形成部12の周方向に沿って湾曲形状とされ、流路形成部12の軸回りへ1/4周の範囲に延在している。
【0036】
第2連結部15Dは、第1部分15D1,第2部分15D2、第3部分15D3をそれぞれ有している。第1部分15D1は、上述した第1部分15C1とは径方向反対側の固定部15Aから流路形成部12の中心軸Cに向かって延在している。第2部分15D2は、第1部分15D1の内壁面12bとは反対側の端部から流路形成部12の周方向に沿って湾曲形状とされ、流路形成部12の軸回りへ1/4周の範囲に延在している。
【0037】
本実施形態では、流路形成部12の中心軸Cを介して径方向で対向する第1連結部15C及び第2連結部15Dが、流路形成部12の軸回りへ1/4周の範囲にそれぞれ形成されているが、これに限られず、内容物の粘性等に応じて、1/4周以下の範囲、1/4周以上の範囲に延在していてもよい。
【0038】
また、第1連結部15C,第2連結部15Dの注出方向における厚さは、固定部15A及び可動弁15Bの注出方向における厚さよりも薄くなっており、可撓性を有する構成とされている。これにより、内容物の流出圧に応じて可動弁15Bが注出方向へ変位しやすくなり、可動弁15Bを可動させやすい。
【0039】
第3部分15C3は、第2部分15C2の第1部分15C1とは反対側の端部から流路形成部12の径方向に沿って中心軸Cに向かって延在している。これら第1連結部15Cの第3部分15C3、第2連結部15Dの第3部分15D3は、可動弁15Bを介して径方向で互いに対向している。
【0040】
本実施形態の弁構造部13には、
図4に示すように、可動弁15Bと固定部15Aとの間に、可動弁15Bが未変形の状態で注出流路18の一部を開放させる開口16が形成されている。
【0041】
次に、包装袋100の使用方法について述べる。
包装袋100は、詰め替え用のパウチとして用いた場合、例えば、口元107を備えた容器(以下、詰め替えボトル108と称する)に対して好適に使用される。
【0042】
図5は、第1実施形態のスパウト10の使用時の状態を示す断面図である。
図15は、第1実施形態のスパウト10を備えた包装袋100の使用時の様子を説明するための図である。
詰め替えボトル108に対して内容物の詰め替え作業を行う際は、まず不図示の蓋部を取り、
図5に示すように包装袋100を傾けながら、スパウト10を詰め替えボトル108の口元107に近づける。本実施形態の弁構造部13には最初から注出流路18の一部を開放させる開口16が形成されていることから、可動弁15Bが可動していない状態であっても、初期状態の開口16から少量の内容物が注出される。スパウト10から注出される内容物の量は少量であるため、詰め替えボトル108の口元107を狙ってスパウトを近づける際に、内容物をこぼすことなく口元107内にスパウト10を挿し込むことができる。
【0043】
次に、詰め替えボトル108の口元107に包装袋100の注出部102を挿し込んだ状態で、可撓性袋106の収容部101から内容物を押し出すように収容部101を手で押圧する。収容部101が押圧されると、
図5に示すように弁構造部13の可動弁15Bが固定部15Aに対して注出方向へ変位して開口16が注出方向へ拡げられて全開状態となる。本実施形態の弁構造部13においては、第1連結部15C及び第2連結部15Dのバネ強度が互いに等しい構成となっているため、可動弁15Bは注出方向に対して垂直な姿勢を保ったまま平行可動する。そして、弁構造部13において全開状態とされた開口16から、可撓性袋106内の内容物が注出される。このようにして、包装袋100内の内容物を詰め替えボトル108に詰め替えることができる。
【0044】
本実施形態のスパウト10によれば、使用前の状態から、弁構造部13によって形成される開口16により、注出流路18の一部が常に開放された構成となっているため、使用時に包装袋100を傾けた際に、初期状態の可動弁15Bによって内容物の多くを収容部101に留まらせつつ、可動弁15Bの周囲の開口16から少量の内容物を注出することができる。つまり、詰め替えボトル108の口元107に狙いをつけるまで、スパウト10から不用意に内容物が注出されない。このため、詰め替えボトル108の口元107を狙い易くなり、口元107に包装袋100のスパウト10を挿し込みやすい。本実施形態の構成によれば、包装袋100を傾けた直後にスパウト10から内容物が勢いよく大量に注出されてしまうことがないため、詰め替えボトル108の口元107が狙い易くなり、内容物をこぼすこともなく、安心して詰め替え作業を行うことができる。
【0045】
また、弁構造部13は、収容部101を押圧する押圧力に応じて可動弁15Bが注出方向へ徐々に可動する。可動弁15Bの可動量に応じて開口16が注出方向へ拡がるため、内容物が勢いよく注出されてしまうこともなく、詰め替えボトル108から内容物が飛び出してムダになるのを抑えることができる。また、可動弁15Bの可動量に応じて開口16が注出方向へ拡がるため、押圧具合によって内容物の注出量を調整することができる。
【0046】
従来の構成では、流路形成部12内に台座を設けて、この台座上に別部材の弁構造部13を載置させて固定させていた。このため、組み立て作業が多く生産性が低下するとともに、台座を設けるため使用する樹脂量も増えてコストがかかっていた。
【0047】
これに対して、本実施形態では、基部11、流路形成部12及び弁構造部13が一体に形成され単一の部材とされているため、1パーツとなり、組立て工数を減らすことができるため生産性が向上するとともに、使用する樹脂量も減るためコストを削減が可能である。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態のスパウト(流路形成部材)20の構成について説明する。
以下に示す本実施形態のスパウト20の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、弁構造部23の構成において異なる。よって、以下の説明では、弁構造部23の構成について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、
図1〜
図5と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0049】
図6は、第2実施形態のスパウト20の全体構成を示す断面図である。
図7は、第2実施形態の弁構造部23の構成を示す正面図である。
【0050】
本実施形態のスパウト20は、
図6及び
図7に示すように、固定部15A、可動弁15B、第1連結部25C及び第2連結部25Dを有し、第1連結部25C及び第2連結部25Dのバネ強度が互いに異なる弁構造部23を備えている。
【0051】
図7に示すように、第2連結部25Dの第2部分25D2は、第1連結部25Cの第2部分25C2よりも径方向における幅が太く形成されている。
【0052】
図8は、第2実施形態のスパウト20の使用時の状態を示す断面図である。
本実施形態のスパウト20では、弁構造部13によって形成される開口16により、最初から注出流路18の一部が開口されていることから、可動弁15Bが可動していない状態であっても、初期状態の開口16から少量の内容物が注出される。スパウト10から注出される内容物の量は少量であるため、詰め替えボトル108の口元107を狙ってスパウトを近づける際に、内容物をこぼすことなく口元107内にスパウト10を挿し込むことができる。
【0053】
その後、可撓性袋106の収容部101から内容物を押し出すように収容部101を手で押圧すると(
図15)、
図8に示すように、弁構造部23の可動弁15Bが注出方向へ変位しつつ注出方向に対して傾斜姿勢となる。本実施形態では、第1連結部25C及び第2連結部25Dのバネ強度が互いに異なる構成となっているため、使用時に内容物の流出圧がかかったときの第1連結部25C及び第2連結部25Dの変位量が異なる。つまり、可動弁15Bのうち、径方向における幅の細い第1連結部25C側は注出方向へ大きく変位し、径方向における幅の太い第2連結部15D側は注出方向へ僅かにしか変位しない。そのため、第1連結部25C側の開口16の方が徐々に大きく拡がって行き、開口16が全開状態のときに可動弁15Bは注出方向に対して傾斜姿勢となる。このようにして、スパウト20から内容物が注出される。
【0054】
本実施形態の構成によれば、弁構造部23における第1連結部25C及び第2連結部25Dの太さを変えてバネ強度を調整することによって、可動弁15Bの周りの開口16の拡がりを調整することができ、使用時における内容物の注出量を調整することができる。
また、第1連結部25Cの寸法が、第1実施形態における第1連結部15Cの寸法と等しい場合、第1実施形態におけるスパウト10に比べて、使用時におけるスパウト20からの注出量を規制することができる。
【0055】
本実施形態のスパウト20においても、弁構造部23によって、包装袋100を傾けた直後にスパウト20から内容物が勢いよく大量に注出されてしまうことがないため、詰め替えボトル108の口元107が狙い易くなり、内容物をこぼすことなく安定して詰め替え作業を行うことができる。
【0056】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態のスパウト(流路形成部材)30の構成について説明する。
以下に示す本実施形態のスパウト30の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、弁構造部33の構成において異なる。よって、以下の説明では、弁構造部33の構成について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、
図1〜
図5と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0057】
図9は、第3実施形態のスパウト30の全体構成を示す断面図である。
図10は、第3実施形態の弁構造部33の構成を示す正面図である。
【0058】
本実施形態の弁構造部33は、
図9及び
図10に示すように、固定部15A、可動弁35Bと、固定部15Aと可動弁35Bとを連結する第1連結部35Cを有して構成されている。第1連結部35Cは、可動弁35Bのうち周方向の一部に設けられている。先の実施形態では、可動弁が2つの連結部によって固定部と連結された構成となっていたが、本実施形態では、可動弁35Bが1つの第1連結部35Cによって固定部15Aと連結された構成となっている。可動弁35Bの直径は、固定部15Aの内径よりも小さければよい。可動弁35Bの周回りには、対向する固定部15Aとの間に内容物の流出を可能にする開口16が形成されている。
【0059】
図11は、第3実施形態のスパウト30の使用時の状態を示す断面図である。
本実施形態のスパウト30では、弁構造部33によって形成される開口16により、最初から注出流路18の一部が開口されていることから、可動弁35Bが可動していない状態であっても、初期状態の開口16から少量の内容物が注出される。スパウト30から注出される内容物の量は少量であるため、詰め替えボトル108の口元107を狙ってスパウト30を近づける際に、内容物をこぼすことなく口元107内にスパウト10を挿し込むことができる。
【0060】
その後、可撓性袋106の収容部101から内容物を押し出すように収容部101を手で押圧すると(
図15)、
図11に示すように、スパウト30における弁構造部33の可動弁35Bが、その周方向の一箇所に設けられた第1連結部35Cを支点として注出方向へ円弧を描くように傾倒する。包装袋100の押圧力に応じて、可動弁35Bが徐々に傾倒し、開口16が徐々に拡がって内容物が注出される量も多くなっていく。可動弁35Bが注出方向に沿って平行な姿勢となったときに開口16が全開状態となり、多くの内容物が注出される。ここで、可動弁35Bの傾倒具合は、内容物の粘性等に応じて、可動弁35Bの直径、第1連結部35Cの太さ及び長さを変更することによって調整できる。
【0061】
本実施形態のスパウト30によれば、可動弁35Bを注出方向に平行するように傾倒させることができるため、スパウト30を詰め替えボトル108に差し込んだ後に収容部101の押圧力を大きくすることで、流路形成部12の注出流路18を径方向に遮るものがなくなり、より多くの内容物を素早く注出することができる。
【0062】
また、本実施形態のスパウト30においても、包装袋100を傾けた直後に、スパウト30から内容物が勢いよく大量に注出されてしまうことがないため、詰め替えボトル108の口元107が狙い易く、内容物をこぼすことなく安定して詰め替え作業を行うことができる。
【0063】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態のスパウト(流路形成部材)40の構成について説明する。
以下に示す本実施形態のスパウト40の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、弁構造部43の構成において異なる。よって、以下の説明では、弁構造部43の構成について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、
図1〜
図5と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0064】
図12は、第4実施形態のスパウト40の全体構成を示す断面図である。
図13は、第4実施形態の弁構造部43の構成を示す正面図である。
【0065】
本実施形態のスパウト40は、
図12及び
図13に示すように、固定部15A、可動弁45B、及び複数の第1連結部45Cを有して構成されている。本実施形態の可動弁45Bは、流路形成部12の軸回りに分割された複数の分割部45Dを有している。各分割部45Dは、一対の第1連結部45Cを介して固定部15Aに連結されている。ここで、第1連結部45Cの数は一対に限られず、1つでもよい。つまり、1つの分割部45Dが1つの第1連結部45Cを介して固定部15Aに連結されていてもよい。
【0066】
分割部45Dは、1/4円形状(扇形状)をなしている。分割部45Dの注出方向に沿う厚みは、円弧辺45dから中心軸C側にかけて漸次薄肉とされている。本実施形態の弁構造部43は、固定部15Aに対して4つの分割部45Dが注出方向へ均等に変位する。
【0067】
図14は、第4実施形態のスパウト40の使用時の状態を示す断面図である。
本実施形態のスパウト40では、弁構造部43によって形成される開口16により、最初から注出流路18の一部が開口されていることから、可動弁45B(4つの分割部45D)が可動していない状態であっても、初期状態の開口16から少量の内容物が注出される。スパウト40から注出される内容物の量は少量であるため、詰め替えボトル108の口元107を狙ってスパウト40を近づける際に、内容物をこぼすことなく口元107内にスパウトを挿し込むことができる。
【0068】
その後、可撓性袋106の収容部101から内容物を押し出すように収容部101を手で押圧すると(
図15)、
図14に示すように、弁構造部43における可動弁45Bの4つの分割部45Dが、第1連結部45Cを支点として注出方向へ変位する。包装袋100の押圧力に応じて、4つの分割部45Dどうしが離れるように開くことで、開口16が徐々に拡がって注出される内容物の量も多くなっていく。分割部45Dが注出方向に沿って平行な姿勢となったときに開口16が全開状態となり、多くの内容物が注出される。ここで、分割部45Dの傾倒具合は、内容物の粘性等に応じて、第1連結部45Cの太さ及び長さを変更することによって調整できる。
【0069】
本実施形態のスパウト40によれば、4つの分割部45Dを注出方向に平行するように傾倒させることができるため、スパウト40を詰め替えボトル108に差し込んだ後に収容部101の押圧力を大きくすることで、流路形成部12の注出流路18を径方向に遮るものがなくなり、より多くの内容物を素早く注出することができる。
【0070】
また、本実施形態のスパウト40においても、包装袋100を傾けた直後に、スパウト40から内容物が勢いよく大量に注出されてしまうことがないため、詰め替えボトル108の口元107が狙い易く、内容物をこぼすことなく安定して詰め替え作業を行うことができる。
【0071】
なお、分割部45Dの数は、4つに限られず、3つあるいは2つであってもよい。
また、各分割部45Dの形状や大きさは、全て等しくなくてもよく、少なくとも1つの形状や大きさが異なっていてもよい。
【0072】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0073】
また、例えば、上述した包装袋の一例として、詰め替え用のスタンディング包装袋を挙げたが、これに限られず、使い切り包装袋(容器)として用いてもよい。また、スタンディングタイプでなくてもよく、底側可撓性フィルムを省いた包装袋(容器)でもよい。