(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラットフォームに形成され、前記内周側突出部に対して前記中心軸方向で対向し、前記中心軸方向下流側に向かって窪むプラットフォーム凹部をさらに備える、請求項2に記載の軸流回転機械。
前記プラットフォームに形成され、前記内周側突出部に対して前記中心軸方向で対向し、前記中心軸方向下流側に向かって窪むプラットフォーム凹部をさらに備える、請求項4に記載の軸流回転機械。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された構成では、抑制板の上流側の先端部と静翼ハブシュラウドとの間に、軸線方向の間隙が形成される。このため、この抑制板の先端部と静翼ハブシュラウドとの間隙を通じて、作動流体の漏れを生じる。加えて、抑制板の先端部と静翼ハブシュラウドとの間隙を通じた作動流体の漏れ流れは、回転軸の回転による遠心力によって回転軸の径方向内側から外側に向かい、軸線方向に流れる作動流体の主流に交差するようにして合流する。このように、作動流体の主流と作動流体の漏れ流れとが交差して衝突・混合する場合、混合損失と呼ばれるエネルギー損失が発生することが知られている。混合損失の増加は、軸流回転機械の効率向上の妨げとなる場合がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、作動流体の主流と作動流体の漏れ流れとの混合損失を低減し、軸流回転機械の性能向上を図る軸流回転機
械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一の態様では、中心軸回りに回転する回転軸と、前記回転軸の径方向外側に設けられたプラットフォーム、及び、前記プラットフォームから径方向外側に向かって延びるよう設けられた動翼本体を有する動翼と、前記回転軸及び前記動翼の径方向外側に配
置され、その径方向内側を作動流体が前記中心軸方向に沿って上流側から下流側に向かって流れる筒状のケーシングと、前記動翼に対して前記中心軸方向上流側に設けられ、前記ケーシングから径方向内側に向かって延びるよう設けられた静翼本体、及び前記静翼本体の径方向内側に設けられた静翼シュラウドを有する静翼と、前記プラットフォームから前記中心軸方向上流側に向かって突出する突出部と、を備える。前記突出部は、径方向内側を向く側に、前記プラットフォーム側の基端部から前記中心軸方向上流側の先端部にわたって、径方向内側に漸次傾斜又は湾曲したガイド面を有し
ており、前記静翼シュラウドに形成され、前記突出部に対して前記中心軸方向で対向し、前記中心軸方向上流側に向かって窪むシュラウド凹部をさらに備え、
前記シュラウド凹部は、前記径方向内側に位置する内周側壁面が、前記突出部の前記ガイド面よりも径方向内側に形成されている。
【0009】
このような構成によれば、静翼シュラウドと動翼のプラットフォームとの間隙(キャビティ)を通じ、径方向内側から外側に向かう作動流体の漏れ流れは、突出部の径方向内側に形成されたガイド面に当たる。ガイド面は、プラットフォーム側の基端部から上流側の先端部にわたって径方向内側に傾斜又は湾曲しているので、作動流体の漏れ流れは、このガイド面によって、径方向内側に戻るように渦を生成する。このようにして渦が生成されることで、径方向内側から外側に向かう作動流体の漏れ流れが散逸される。これにより、静翼シュラウドと動翼のプラットフォームの間隙から径方向外側に流れ出る作動流体の漏れ流れの勢いが弱まる。その結果、ケーシングの内側で、中心軸方向に沿って静翼本体と動翼本体とを交互に経る作動流体の主流に、作動流体の漏れ流れが合流するときの混合損失が低減される。
【0010】
本発明の第二の態様では、上記第一の態様において、前記静翼シュラウドに形成され、前記突出部に対して前記中心軸方向で対向し、前記中心軸方向上流側に向かって窪むシュラウド凹部をさらに備えていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、静翼シュラウドと動翼のプラットフォームと間隙を径方向内側から外側に向かって流れる作動流体の漏れ流れの一部は、突出部のガイド面に沿って、突出部に対向するシュラウド凹部に流れ込む。作動流体の漏れ流れは、シュラウド凹部に流れ込むことで、その勢いがさらに弱まる。その結果、作動流体の主流に作動流体の漏れ流れが合流するときの混合損失がさらに低減される。
【0012】
本発明の第三の態様では、上記第二の態様において、前記シュラウド凹部は、前記径方向外側に位置する外側周壁面が、前記中心軸方向上流側から下流側に向かって径方向外側に漸次傾斜又は湾曲していてもよい。
【0013】
このような構成によれば、シュラウド凹部に流れ込んだ作動流体の漏れ流れは、シュラウド凹部の外側周壁面に沿って、中心軸方向上流側から下流側に向かって漸次径方向外側に案内される。これによって作動流体の漏れ流れが作動流体の主流に交差する角度が直角よりも小さくなる。その結果、作動流体の主流に作動流体の漏れ流れが合流するときの混合損失がさらに低減される。
【0014】
本発明の第四の態様では、上記第二又は第三の態様において、前記突出部は、径方向外側を向く側に、前記中心軸方向上流側から下流側に向かって径方向外側に漸次傾斜又は湾曲している外周側ガイド面をさらに有していてもよい。
【0015】
このような構成によれば、シュラウド凹部から下流側に流れ出た作動流体の漏れ流れが、突出部の外周側ガイド面に沿うように流れることで、この作動流体の漏れ流れは、中心軸方向上流側から下流側に向かって漸次径方向外側に案内される。これによって作動流体の漏れ流れが作動流体の主流に交差する角度を小さくし、作動流体の主流に作動流体の漏れ流れが合流するときの混合損失がさらに低減される。
他の態様の軸流回転機械は、中心軸回りに回転する回転軸と、前記回転軸の径方向外側に設けられたプラットフォーム、及び、前記プラットフォームから径方向外側に向かって延びるよう設けられた動翼本体を有する動翼と、前記回転軸及び前記動翼の径方向外側に配置され、その径方向内側を作動流体が前記中心軸方向に沿って上流側から下流側に向かって流れる筒状のケーシングと、前記動翼に対して前記中心軸方向上流側に設けられ、前記ケーシングから径方向内側に向かって延びるよう設けられた静翼本体、及び前記静翼本体の径方向内側に設けられた静翼シュラウドを有する静翼と、前記プラットフォームから前記中心軸方向上流側に向かって突出する突出部と、を備え、前記突出部は、径方向内側を向く側に、前記プラットフォーム側の基端部から前記中心軸方向上流側の先端部にわたって、前記プラットフォームから前記中心軸方向上流側に向かって径方向内側に漸次傾斜又は湾曲したガイド面を有し、前記静翼シュラウドに形成され、前記突出部に対して前記中心軸方向で対向し、前記中心軸方向上流側に向かって窪むシュラウド凹部をさらに備え、前記シュラウド凹部は、前記径方向外側に位置する外周側壁面が、前記中心軸方向上流側から下流側に向かって径方向外側に漸次傾斜又は湾曲し、前記突出部は、径方向外側を向く側に、前記中心軸方向上流側から下流側に向かって径方向外側に漸次傾斜又は湾曲している外周側ガイド面をさらに有し、前記外周側壁面は、前記外周側ガイド面と同じ曲率半径で形成されていてもよい。
【0016】
本発明の第五の態様によれば、上記第二から第四の態様において、前記静翼に対し、前記回転軸及び前記動翼が前記中心軸方向に相対的に変位したとき、前記突出部の少なくとも一部は、前記シュラウド凹部内に挿入可能であるようにしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、作動流体の熱によって、回転軸及び動翼が、静翼よりも大きく中心軸方向に熱伸びした場合、突出部の少なくとも一部がシュラウド凹部内に挿入されることによって、突出部と静翼シュラウドとが干渉することを抑制できる。
【0018】
本発明の第六の態様によれば、上記第五の態様において、前記突出部における前記プラットフォームからの前記中心軸方向に沿った突出寸法は、前記シュラウド凹部における前記中心軸方向に沿った窪み寸法以下であってもよい。
【0019】
このような構成によれば、突出部の全てがシュラウド凹部内に挿入されても、突出部とシュラウド凹部とが干渉することを抑制できる。
【0020】
本発明の第七の態様によれば、上記第一から第六の態様において、前記突出部よりも径方向内側に形成され、前記静翼シュラウドから前記中心軸方向下流側に突出する内周側突出部、をさらに備えてもよい。
本発明の他の態様によれば、中心軸回りに回転する回転軸と、前記回転軸の径方向外側に設けられたプラットフォーム、及び、前記プラットフォームから径方向外側に向かって延びるよう設けられた動翼本体を有する動翼と、前記回転軸及び前記動翼の径方向外側に配置され、その径方向内側を作動流体が前記中心軸方向に沿って上流側から下流側に向かって流れる筒状のケーシングと、前記動翼に対して前記中心軸方向上流側に設けられ、前記ケーシングから径方向内側に向かって延びるよう設けられた静翼本体、及び前記静翼本体の径方向内側に設けられた静翼シュラウドを有する静翼と、前記プラットフォームから前記中心軸方向上流側に向かって突出する突出部と、を備え、前記突出部は、径方向内側を向く側に、前記プラットフォーム側の基端部から前記中心軸方向上流側の先端部にわたって、前記プラットフォームから前記中心軸方向上流側に向かって径方向内側に漸次傾斜又は湾曲したガイド面を有しており、前記突出部よりも径方向内側に形成され、前記静翼シュラウドから前記中心軸方向下流側に突出する内周側突出部、をさらに備える。
【0021】
このような構成によれば、静翼シュラウドと動翼のプラットフォームと間隙を通じ、径方向内側から外側に向かって流れる作動流体の漏れ流れは、突出部よりも径方向内側の内周側突出部に当たる。これにより、径方向内側から外側に向かう作動流体の漏れ流れが、さらに散逸される。その結果、作動流体の主流に作動流体の漏れ流れが合流するときの混合損失が、さらに低減される。
【0022】
本発明の第八態様によれば、上記第七の態様において、前記プラットフォームに形成され、前記内周側突出部に対して前記中心軸方向で対向し、前記中心軸方向下流側に向かって窪むプラットフォーム凹部をさらに備えてもよい。
【0023】
このような構成によれば、内周側突出部に当たった作動流体の漏れ流れの一部は、内周側突出部に対向するプラットフォーム凹部に流れ込む。作動流体の漏れ流れは、プラットフォーム凹部に流れ込むことで、その勢いがさらに弱まる。その結果、作動流体の主流に作動流体の漏れ流れが合流するときの混合損失がさらに低減される。
また、本発明の他の態様によれば、中心軸回りに回転する回転軸と、前記回転軸の径方向外側に設けられたプラットフォーム、及び、前記プラットフォームから径方向外側に向かって延びるよう設けられた動翼本体を有する動翼と、前記回転軸及び前記動翼の径方向外側に配置され、その径方向内側を作動流体が前記中心軸方向に沿って上流側から下流側に向かって流れる筒状のケーシングと、前記動翼に対して前記中心軸方向上流側に設けられ、前記ケーシングから径方向内側に向かって延びるよう設けられた静翼本体、及び前記静翼本体の径方向内側に設けられた静翼シュラウドを有する静翼と、前記プラットフォームから前記中心軸方向上流側に向かって突出する突出部と、を備え、前記突出部は、径方向内側を向く側に、前記プラットフォーム側の基端部から前記中心軸方向上流側の先端部にわたって、前記プラットフォームから前記中心軸方向上流側に向かって径方向内側に漸次傾斜又は湾曲したガイド面を有しており、前記静翼シュラウドに形成され、前記突出部に対して前記中心軸方向で対向し、前記中心軸方向上流側に向かって窪むシュラウド凹部をさらに備え、前記シュラウド凹部は、前記径方向内側に位置する内周側壁面が、前記突出部の前記ガイド面よりも径方向内側に形成されており、前記静翼シュラウドと前記プラットフォームとの間隙を前記径方向内側から外側に向かって流れる前記作動流体が前記ガイド面に当ることによって前記径方向内側に戻るように渦を生成するとともに、前記ガイド面に沿って流れる前記作動流体の一部が前記シュラウド凹部に流れ込む。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る軸流回転機
械によれば、作動流体の主流と作動流体の漏れ流れとの混合損失を低減し、軸流回転機械の性能向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る軸流回転機械、動翼部材を図面に基づき説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る蒸気タービンの構成を示す模式図である。
図2は、本発明の第一実施形態に係る蒸気タービンの要部拡大図である。
図1に示すように、本実施形態に係る蒸気タービン(軸流回転機械)100は、回転軸1と、ケーシング2と、複数の動翼4を備える動翼段3と、複数の静翼7を備える静翼段6と、を備えている。
【0029】
回転軸1は、中心軸Acに沿って延びる円柱状をなしている。回転軸1は、中心軸Acに沿った中心軸方向Daの両端部が、軸受装置5によって中心軸Ac回りに回転自在に支持されている。軸受装置5は、回転軸1の中心軸方向Da両側に1つずつ設けられたジャーナル軸受5Aと、中心軸方向Daの第一側のみに設けられたスラスト軸受5Bと、を有している。ジャーナル軸受5Aは、回転軸1による径方向Drへの荷重を支持する。スラスト軸受5Bは、回転軸1による中心軸方向Daへの荷重を支持する。
【0030】
ケーシング2は、中心軸方向Daに延びる筒状をなしている。ケーシング2は、回転軸1を外周側から覆う。
ケーシング2は、吸気口10と、排気口11と、を備えている。吸気口10は、ケーシング2の中心軸方向Daの第一側に形成され、外部からケーシング2内に蒸気(作動流体)を取り入れる。排気口11は、ケーシング2の中心軸方向Daの第二側に形成され、ケーシング2内部を通過した蒸気を外部に排気する。
以降の説明では、排気口11から見て吸気口10が位置する側を上流側と呼び、吸気口10から見て排気口11が位置する側を下流側と呼ぶ。
【0031】
動翼段3は、回転軸1の外周面1Sに、中心軸方向Daの第一側から第二側に向かって間隔をあけて、複数段が設けられている。各動翼段3は、回転軸1の外周面1S上で、中心軸Ac回りの周方向に間隔をあけて配列された複数の動翼(動翼部材)4を有している。
【0032】
図2に示すように、動翼4は、回転軸1の外周面1Sに設けられたプラットフォーム43と、動翼本体40と、動翼シュラウド41と、を有している。
【0033】
詳しくは図示しないが、動翼本体40は、プラットフォーム43から径方向外側に向かって延びるよう形成されている。動翼本体40は、径方向Drから見て翼型の断面を有している。
動翼シュラウド41は、動翼本体40の径方向外側の端部に設けられている。動翼シュラウド41は、中心軸方向Daにおける寸法が、同中心軸方向Daにおける動翼本体40の寸法よりも大きく設定されている。
【0034】
ケーシング2の内周側であって、動翼シュラウド41と径方向Drで対向する領域には、動翼シュラウド41を収容するための動翼収容凹部20が形成されている。動翼収容凹部20は、ケーシング2の内周面2Sから径方向Dr外側に向かって窪み、中心軸Ac回りの周方向に連続する溝状をなしている。
【0035】
動翼収容凹部20には、複数(2つ)の動翼側フィン42が設けられている。これら動翼側フィン42は、径方向Dr内側に向かって延びる薄板状をなしている。動翼側フィン42の先端部と、動翼収容凹部20との間には、径方向Drに広がる間隙(クリアランス)が形成される。
【0036】
図1に示すように、静翼段6は、ケーシング2の内周面に、中心軸方向Daに沿って間隔をあけて、複数段が設けられている。各静翼段6は、各動翼段3の上流側に配置されている。各静翼段6は、中心軸Ac回りの周方向に間隔をあけて配列された複数の静翼7を有している。
【0037】
図2に示すように、静翼7は、静翼本体70と、静翼シュラウド71と、を備えている。
静翼本体70は、ケーシング2の内周面2Sから径方向Dr内側に向かって延びるよう設けられている。静翼本体70は、径方向Drから見て翼型の断面を有している。
静翼シュラウド71は、静翼本体70の径方向Dr内側の端部に取り付けられている。
【0038】
本実施形態では、静翼本体70と動翼本体40の径方向Dr寸法は互いに同一とされている。言い換えると、中心軸方向Daから見た場合、静翼本体70と動翼本体40とは互いに重なるように配列されている。
【0039】
回転軸1の径方向Dr外側を向く外周面1S上において、各動翼段3の上流側には、回転軸1の外周面1Sから径方向Dr内側に向かって窪み、中心軸Ac回りの周方向に連続する溝状の静翼収容凹部8が形成されている。この実施形態において、静翼収容凹部8は、中心軸方向Da下流側の底面83Aが、上流側の底面83Bよりも径方向Drの内側に位置するよう形成されている。
各静翼7の静翼シュラウド71は、静翼収容凹部8内に収容されている。
【0040】
静翼シュラウド71には、複数(2つ)の静翼側フィン72が設けられている。これらの静翼側フィン72は、いずれも静翼シュラウド71から径方向Dr内側に向かって延びる薄板状をなしている。静翼シュラウド71及び静翼側フィン72は、回転軸1と静翼7との間における蒸気の漏れを低減することを目的として設けられる。2つの静翼側フィン72のうち、中心軸方向Da上流側に位置する静翼側フィン72は底面83Bに対向し、下流側に位置する静翼側フィン72は底面83Aに対向している。これら静翼側フィン72と底面83A、83Bは、径方向Drに所定の間隙を隔てて対向している。
【0041】
このような蒸気タービン100は、突出部45Aと、シュラウド凹部75Aと、をさらに備える。
【0042】
突出部45Aは、プラットフォーム43の上流側端面43aの径方向Dr中間部に形成されている。上流側端面43aは、中心軸方向Daの上流側を向いて中心軸方向Daに直交するよう形成されている。突出部45Aは、プラットフォーム43の上流側端面43aから中心軸方向Da上流側に向かって突出するよう形成されている。
【0043】
この実施形態において、突出部45Aは、径方向Dr内側を向く側にガイド面45fを有している。ガイド面45fは、プラットフォーム43の上流側端面43a側の基端部45sから中心軸方向Da上流側に離間した先端部45tの全域にわたって、一定の曲率で径方向Dr内側に漸次湾曲して形成されている。また、この実施形態において、突出部45Aにおいて径方向Dr外側を向く外側面45hは、上流側端面43aに直交して中心軸方向Daと平行に形成されている。
【0044】
シュラウド凹部75Aは、静翼シュラウド71の下流側端面71aに形成されている。下流側端面71aは、中心軸方向Daの下流側を向いて中心軸方向Daに直交し、プラットフォーム43の上流側端面43aに対し、中心軸方向Daに間隙を隔てて対向するよう形成されている。
【0045】
シュラウド凹部75Aは、突出部45Aに対して中心軸方向Daで対向する位置に、下流側端面71aから中心軸方向Da上流側に向かって窪むように形成されている。この実施形態において、シュラウド凹部75Aは、径方向Dr内側の内側周壁面75aと径方向Dr外側の外側周壁面75bとが、それぞれ中心軸方向Daと平行に形成されている。シュラウド凹部75Aにおいて、中心軸方向Da上流側の上流壁面75cは、中心軸方向Daに直交して形成されている。
また、内側周壁面75aと静翼シュラウド71の径方向Drの内側を向く面との間の径方向Drの肉厚寸法h1は、外側周壁面75bと静翼シュラウド71の径方向Drの外側を向く面との間の径方向Drの肉厚寸法h2よりも大きくなっている。
【0046】
このシュラウド凹部75Aは、内側周壁面75aが突出部45Aのガイド面45fよりも径方向Dr内側に形成されている。シュラウド凹部75Aの外側周壁面75bは、突出部45Aの外側面45hよりも径方向Dr外側に形成されている。
【0047】
ここで、ケーシング2、静翼7、回転軸1、動翼4等は、蒸気タービン100の作動中に蒸気から伝わる熱によって中心軸方向Daに熱伸びする場合がある。さらに、ケーシング2及び静翼7と、回転軸1及び動翼4との間では、中心軸方向Daの熱伸び量が異なる場合が有る。
シュラウド凹部75Aは、回転軸1及び動翼4が、上記熱伸び量の違いによって、静翼7に対して中心軸方向Daに相対的に変位したとき、突出部45Aの少なくとも一部が、シュラウド凹部75A内に挿入可能となっている。
さらに、突出部45Aにおけるプラットフォーム43からの中心軸方向Daに沿った突出寸法L1は、シュラウド凹部75Aにおける中心軸方向Daに沿った窪み寸法L2以下となっている。これにより、回転軸1及び動翼4が、静翼7に対して中心軸方向Daに相対的に変位したとき、突出部45Aの全体が、シュラウド凹部75A内に挿入可能となっている。
【0048】
以上のように構成された蒸気タービン100の動作について
図1を参照して説明する。
蒸気タービン100を運転するに当たっては、まずボイラ等の蒸気供給源(図示省略)から供給された高温高圧の蒸気が、吸気口10を通じてケーシング2の内部に導入される。
ケーシング2内に導入された蒸気は、動翼4(動翼段3)、及び静翼7(静翼段6)に順次衝突する。これにより、回転軸1は回転エネルギーを得て、中心軸Ac回りに回転する。
回転軸1の回転運動は、軸端に連結された発電機等(図示省略)によって取り出される。
以上のサイクルが連続的に繰り返される。
【0049】
上流側から流れてきた蒸気は、静翼7と動翼4とを交互に経て、下流側に向かって流れることで、主流FMを形成する。この主流FMは、上記のように静翼7と動翼4とに順次衝突することで整流されるとともに、動翼4に対してエネルギーを与える。
【0050】
一方で、上流側から流れてきた蒸気のうち、主流FMを除く成分は、上記の静翼収容凹部8内に向かって流れることで、リーク流(漏れ流れ)FLを形成する。このリーク流FLの大部分は、静翼シュラウド71に設けられた静翼側フィン72によって阻止される。しかしながら、静翼側フィン72と静翼収容凹部8の底面83A,83Bとの間にはクリアランスが形成されていることから、リーク流FLの一部の成分が、クリアランスを通じて下流側の、静翼シュラウド71の下流側端面71aとプラットフォーム43の上流側端面43aとの間の空間Vcに流れ込む。
【0051】
空間Vc内に流れ込んだリーク流FLは、プラットフォーム43の上流側端面43aに沿って径方向Dr外側に流通した後、突出部45Aのガイド面45fに衝突する。ガイド面45fに衝突したリーク流FLは、ガイド面45fに沿って向きを変え、中心軸方向Daの下流側から上流側に向かいつつ、漸次径方向Dr内側に案内される。これにより、リーク流FLは、空間Vc内で渦Tを形成する。
【0052】
さらに、この渦Tの一部の成分は、渦Tから逸脱して、中心軸方向Daの上流側に流れ、突出部45Aに対向して形成されたシュラウド凹部75Aに流れ込む。リーク流FLは、シュラウド凹部75Aに流れ込むと、内側周壁面75a側で中心軸方向Da上流側に向かった後、上流壁面75c、外側周壁面75bに当たることで径方向Dr外側から中心軸方向Da下流側に向きを変え、中心軸方向Da下流側に流出する。
シュラウド凹部75Aから中心軸方向Da下流側に流出したリーク流FLは、空間Vcから径方向Dr外側に流れ出て主流FMに合流し、中心軸方向Da下流側に流れていく。
【0053】
上述したような蒸気タービン100及び動翼4によれば、プラットフォーム43から中心軸方向Da上流側に向かって突出する突出部45Aが、径方向Dr内側を向く側にガイド面45fを有している。このガイド面45fは、基端部45sから先端部45tにわたって径方向Dr内側に湾曲している。これにより、静翼シュラウド71と動翼4のプラットフォーム43と間隙を通じ、径方向Dr内側から外側に向かって流れるリーク流FLは、ガイド面45fに当たることによって、渦Tを生成する。渦Tが生成されることで、径方向Dr内側から外側に向かうリーク流FLの流れが散逸される。これにより、静翼シュラウド71と動翼4のプラットフォーム43の間隙から径方向Dr外側に流れ出るリーク流FLの勢いが弱まる。その結果、ケーシング2の内側で、中心軸方向Daに沿って静翼本体70と動翼本体40とを交互に経る蒸気の主流FMに、リーク流FLが合流するときの混合損失が低減される。
【0054】
また、静翼シュラウド71に、突出部45Aに対して中心軸方向Daで対向する位置に、シュラウド凹部75Aが形成されている。このような構成によれば、リーク流FLの一部は、突出部45Aに対向するシュラウド凹部75Aに流れ込む。リーク流FLは、シュラウド凹部75Aに流れ込むことで、その勢いがさらに弱まる。その結果、蒸気の主流FMにリーク流FLが合流するときの混合損失がさらに低減される。
このようにして、蒸気の主流FMにリーク流FLが合流するときの混合損失がさらに低減されることで、蒸気タービン100の性能向上を図ることが可能となる。
【0055】
また、蒸気の熱によって、回転軸1及び動翼4が、静翼7よりも中心軸方向Daに大きく熱伸びした場合、突出部45Aの少なくとも一部がシュラウド凹部75A内に挿入可能となっている。これによって、突出部45Aと静翼シュラウド71とが干渉することを抑制できる。
さらに、突出部45Aにおけるプラットフォーム43からの突出寸法L1は、シュラウド凹部75Aにおける中心軸方向Daに沿った窪み寸法L2以下であるので、例え、突出部45Aの全てがシュラウド凹部75A内に挿入される程、動翼4と静翼7とが相対変位しても、突出部45Aとシュラウド凹部75Aとが干渉することを抑制できる。
【0056】
(第二実施形態)
次に、本発明にかかる軸流回転機械、動翼部材の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と突出部45Bの構成のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
【0057】
図3は、本発明の第二実施形態に係る蒸気タービンの要部拡大図である。
図3に示すように、この実施形態における蒸気タービン100は、突出部45Bと、シュラウド凹部75Bと、をさらに備える。
【0058】
突出部45Bは、プラットフォーム43の上流側端面43aの径方向Dr中間部に形成されている。突出部45Bは、プラットフォーム43の上流側端面43aから中心軸方向Da上流側に向かって突出するよう形成されている。
この実施形態において、突出部45Bは、径方向Dr内側を向く側にガイド面45fを有している。ガイド面45fは、プラットフォーム43の上流側端面43aの基端部45sから中心軸方向Da上流側の先端部45tに向かって、径方向Dr内側に一定の曲率で漸次湾曲して形成されている。
【0059】
また、この実施形態において、突出部45Bは、径方向Dr外側を向く側に、中心軸方向Da上流側から下流側に向かって径方向Dr外側に漸次傾斜又は湾曲している外周側ガイド面45gを有している。
【0060】
シュラウド凹部75Bは、静翼シュラウド71の下流側端面71aに形成されている。シュラウド凹部75Bは、この下流側端面71aにおいて、突出部45Bに対して中心軸方向Daで対向する位置に、中心軸方向Da上流側に向かって窪むように形成されている。
【0061】
この実施形態において、シュラウド凹部75Bは、径方向Dr内側の内側周壁面75aは、中心軸Acと平行に形成されている。シュラウド凹部75Bにおいて、中心軸方向Da上流側の上流壁面75dは、中心軸方向Daに直交して形成されている。シュラウド凹部75Bは、径方向Dr外側に位置する外側周壁面75fが、中心軸方向Da上流側から下流側に向かって漸次径方向Dr外側に湾曲している。この外側周壁面75fは、突出部45Bの外周側ガイド面45gと略同じ曲率半径で形成するのが好ましい。
【0062】
シュラウド凹部75Bは、回転軸1及び動翼4が、静翼7に対して中心軸方向Daに相対的に変位したとき、突出部45Bの少なくとも一部が、シュラウド凹部75B内に挿入可能となっている。さらに、突出部45Bにおけるプラットフォーム43からの中心軸方向Daに沿った突出寸法L1は、シュラウド凹部75Bにおける中心軸方向Daに沿った窪み寸法L2以下となっている。これにより、回転軸1及び動翼4が、静翼7に対して中心軸方向Daに相対的に変位したとき、突出部45Bの全体が、シュラウド凹部75B内に挿入可能となっている。
【0063】
このような構成において、上流側から流れてきた蒸気は、静翼7と動翼4とを交互に経て、下流側に向かって流れることで、主流FMを形成する。
一方で、上流側から流れてきた蒸気のうち、主流FMを除く成分は、上記の静翼収容凹部8内に向かって流れることで、リーク流FLを形成する。リーク流FLの一部の成分が、静翼シュラウド71の下流側端面71aとプラットフォーム43の上流側端面43aとの間の空間Vcに流れ込む。
【0064】
空間Vc内に流れ込んだリーク流FLは、プラットフォーム43の上流側端面43aに沿って径方向Dr外側に流通した後、突出部45Bのガイド面45fに衝突する。ガイド面45fに衝突したリーク流FLは、ガイド面45fに沿って向きを変え、中心軸方向Daの下流側から上流側に向かいつつ、漸次径方向Dr内側に案内される。これにより、リーク流FLは、空間Vc内で渦Tを形成する。
【0065】
さらに、この渦Tの一部の成分は、渦Tから逸脱して、中心軸方向Daの上流側に流れ、突出部45Bに対向して形成されたシュラウド凹部75Bに流れ込む。リーク流FLは、シュラウド凹部75Bに流れ込むと、内側周壁面75a側で中心軸方向Da上流側に向かった後、上流壁面75d、外側周壁面75fに当たることで径方向Dr外側から中心軸方向Da下流側に向きを変え、中心軸方向Da下流側に流出する。
シュラウド凹部75Bから中心軸方向Da下流側に流出したリーク流FLは、突出部45Bの外周側ガイド面45gに沿って中心軸方向Da下流側に向かって径方向Dr外側に案内され、空間Vcから径方向Dr外側に流れ出て主流FMに合流する。
【0066】
上述したような蒸気タービン100及び動翼4によれば、上記第一実施形態と同様、リーク流FLがガイド面45fに当たることによって渦Tが生成され、径方向Dr内側から外側に向かうリーク流FLの流れが散逸される。これにより、静翼シュラウド71と動翼4のプラットフォーム43の間隙から径方向Dr外側に流れ出るリーク流FLの勢いが弱まる。また、リーク流FLは、シュラウド凹部75Bに流れ込むことで、その勢いがさらに弱まる。
このようにして、ケーシング2の内側で中心軸方向Daに沿って静翼本体70と動翼本体40とを交互に経る蒸気の主流FMに、リーク流FLが合流するときの混合損失が低減される。その結果、蒸気タービン100の性能向上を図ることが可能となる。
【0067】
また、シュラウド凹部75Bの外側周壁面75fと、突出部45Bの外周側ガイド面45gが、それぞれ、中心軸方向Da上流側から下流側に向かって径方向Dr外側に湾曲している。これにより、リーク流FLは、シュラウド凹部75Bの外側周壁面75f、突出部45Bの外周側ガイド面45gに沿って、中心軸方向Da上流側から下流側に向かって径方向Dr外側に漸次案内される。これによってリーク流FLが蒸気の主流FMに交差する角度が直角よりも小さくなる。その結果、蒸気の主流FMにリーク流FLが合流するときの混合損失がさらに低減される。
【0068】
(第二実施形態の変形例)
図4は、本発明の第二実施形態の変形例に係る蒸気タービンの要部拡大図である。
この
図4に示すように、突出部45Bの外周側ガイド面45g全体がプラットフォーム43の径方向Drの外側を向く面43dよりも径方向Drの内側に位置していてもよい。
【0069】
(第三実施形態)
次に、本発明にかかる軸流回転機械、動翼部材の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第一、第二実施形態と内周側突出部78、プラットフォーム凹部48を備える構成のみが異なるので、第一、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
【0070】
図5は、本発明の第三実施形態に係る蒸気タービンの要部拡大図である。
図5に示すように、この実施形態における蒸気タービン100は、上記第2実施形態で示した突出部45Bと、プラットフォーム凹部48とに加えて、内周側突出部78と、プラットフォーム凹部48、をさらに備える。
【0071】
内周側突出部78は、突出部45Bよりも径方向Dr内側に形成されている。内周側突出部78は、静翼シュラウド71の下流側端面71aから中心軸方向Da下流側に突出している。
この実施形態において、内周側突出部78は、径方向Dr内側を向く側にガイド面78fを有している。ガイド面78fは、静翼シュラウド71の下流側端面71aから中心軸方向Da下流側に向かって径方向Dr内側に一定の曲率で漸次湾曲して形成されている。また、この実施形態において、内周側突出部78は、径方向Dr外側を向く側に、中心軸方向Da下流側から上流側に向かって径方向Dr外側に湾曲している外周側ガイド面78gを有している。
【0072】
また、プラットフォーム凹部48は、プラットフォーム43において、内周側突出部78に対して中心軸方向Daで対向する位置に形成されている。プラットフォーム凹部48は、プラットフォーム43の上流側端面43aに対し、中心軸方向Da下流側に向かって窪むように形成されている。
【0073】
この実施形態において、プラットフォーム凹部48は、径方向Dr内側の内周壁面48aは、中心軸Acと平行に形成されている。プラットフォーム凹部48は、径方向Dr外側に位置する外側周壁面48fが、中心軸方向Da下流側から上流側に向かって径方向Dr外側に湾曲している。この外側周壁面48fは内周側突出部78の外周側ガイド面78gと略同じ曲率半径で形成するのが好ましい。
【0074】
プラットフォーム凹部48は、回転軸1及び動翼4が、静翼7に対して中心軸方向Daに相対的に変位したとき、内周側突出部78の少なくとも一部が、プラットフォーム凹部48内に挿入可能となっている。さらに、内周側突出部78は、回転軸1及び動翼4が、静翼7に対して中心軸方向Daに相対的に変位したとき、その全体が、プラットフォーム凹部48内に挿入可能となっている。
【0075】
このような構成において、空間Vc内に流れ込んだリーク流FLは、径方向Dr外側に流通した後、内周側突出部78のガイド面78fに衝突して向きを変え、渦T2を形成する。
【0076】
さらに、この渦T2の一部の成分は、渦T2から逸脱して、中心軸方向Daの下流側で内周側突出部78に対向するプラットフォーム凹部48に流れ込む。リーク流FLは、プラットフォーム凹部48に流れ込むと、内周壁面48a側で中心軸方向Da下流側に向かった後、外側周壁面48fに当たることで径方向Dr外側から中心軸方向Da上流側へと順次向きを変え、中心軸方向Da上流側に流出する。
プラットフォーム凹部48から中心軸方向Da上流側に流出したリーク流FLは、上記第二実施形態と同様、突出部45B、シュラウド凹部75Bを順次経て、空間Vcから径方向Dr外側に流れ出て主流FMに合流する。
【0077】
上述したような蒸気タービン100及び動翼4によれば、リーク流FLは、突出部45Bよりも径方向Dr内側で、内周側突出部78に当たり、プラットフォーム凹部48に流れ込む。これにより、径方向Dr内側から外側に向かうリーク流FLの流れが、さらに散逸される。
このように、空間Vcにおいて、径方向Dr内側から外側に向かって、内周側突出部78及びプラットフォーム凹部48、突出部45B及びシュラウド凹部75Bが、複数段に設けられることで、蒸気の主流FMにリーク流FLが合流するときの混合損失が、より一層低減される。その結果、蒸気タービン100の性能向上を図ることが可能となる。
【0078】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。即ち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、ガイド面45f,78f、外周側ガイド面45g,78g、外側周壁面48f,75fを湾曲面としたが、これらは平面状の傾斜面とすることも可能である。
【0079】
また、上記各実施形態およびその変形例では、軸流回転機械として蒸気タービン100を適用した例に基づいて説明した。しかしながら、軸流回転機械の態様は蒸気タービン100に限定されず、ガスタービンや航空機用のジェットエンジン等、他の装置を軸流回転機械として適用することが可能である。
【0080】
また、蒸気タービン100における動翼段3、及び静翼段6の数や、フィンの数等は上記実施形態によっては限定されず、設計や仕様に応じて適宜決定されてよい。
【0081】
また、各実施形態の構成は適宜組み合わせてよい。