(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2内面には、第1傾斜面と、第2傾斜面と、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面の間に配置された稜線と、を有し、前記稜線が前記中心軸から離れるにつれて裏側に向かって傾斜した複数の凸条が、前記中心軸に対して回転対称となるように配置されており、
前記全反射部で全反射した第2光線は、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面で順次反射した後に、前記第2透過部から前記光束制御部材の外部に出射される、
請求項1に記載の面光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る面光源装置および表示装置について、添付した図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する、発光装置が格子状に配置されている面光源装置について説明する。
【0015】
[実施の形態1]
(面光源装置の構成)
図1〜
図3は、本発明の実施の形態1に係る面光源装置100の構成を示す図である。
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る面光源装置100の平面図であり、
図1Bは、正面図である。
図1Aは、
図1Bに示されるA−A線の断面図であり、
図2Bは、
図1Aに示されるB−B線の断面図である。
図3は、面光源装置100の部分拡大断面図である。なお、
図3では、光束制御部材300の脚部を省略している。また、
図3では、面光源装置100のハッチングを省略している。
【0016】
図1A、B、
図2A、Bおよび
図3に示されるように、面光源装置100は、筐体110と、複数の発光装置200と、光拡散板(被照射面)120とを有する。本発明の面光源装置100は、液晶表示装置のバックライトなどに適用できる。また、
図1Bに示されるように、面光源装置100は、液晶パネルなどの表示部材(被照射部材)107(
図1Bにおいて、点線で示している)と組み合わせることで、表示装置100’としても使用できる。
【0017】
筐体110の底板112の内面は、拡散反射面として機能する。底板112上には、発光装置200が配置された基板210が所定の位置に配置されている。また、筐体110の天板114には、開口部が設けられている。光拡散板120は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、例えば約400mm×約700mmとすることができる。
【0018】
複数の発光装置200は、筐体110の底板112上の基板210に格子状に配列されている。ここで「格子状に配列」とは、単位格子が矩形や三角形などの多角形となるように配列されていることをいう。単位格子の例には、三角形の格子(三角格子)、長方形の格子、正方形の格子(正方格子)、多角形の格子を含む。本実施の形態では、複数の発光装置200は、正方格子状に配列されている。すなわち、本実施の形態では、複数の発光装置200は、第1の方向(
図2AにおけるX方向)の中心間距離および第1の方向に直交する第2の方向(
図2AにおけるY方向)の中心間距離がいずれも同じPとなるように配列されている。
【0019】
また、複数の発光装置200の中心間距離Pに対する基板210および光拡散板120の間隔Hの比は、適宜設定できる。複数の発光装置200の中心間距離Pに対する基板210および光拡散板120の間隔Hの比は、面光源装置100を薄型化する観点から、0.18以下であることが好ましい。例えば、複数の発光装置200の中心間距離Pが36mmの場合、基板210および光拡散板120の間隔Hは6mm(H/P=0.17)であり、複数の発光装置200の中心間距離Pが44mmの場合、基板210および光拡散板120の間隔Hは8mm(H/P=0.18)であり、複数の発光装置200の中心間距離Pが60mmの場合、基板210および光拡散板120の間隔Hは10mm(H/P=0.17)である。
【0020】
複数の発光装置200は、それぞれ発光素子220および光束制御部材300を有する。発光素子220は、面光源装置100の光源であり、基板210上に実装されている。発光素子220は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。発光素子220は、その発光中心(光軸OA)が光束制御部材300の中心軸CA上に位置するように配置されている。また、発光素子220は、その発光中心(光軸OA)が発光装置200の中心と一致するように配置されている(
図3参照)。ここで、「発光素子の光軸OA」とは、発光素子220からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。発光素子220は、第1の方向(
図2AにおけるX方向)の中心間距離および第1の方向に直交する第2の方向(
図2AにおけるY方向)の中心間距離が同じとなるように正方格子状に配列されている。すなわち、第1の方向および第2の方向における複数の発光素子の中心間距離は、いずれもPである。
【0021】
また、発光素子220の光軸方向における発光素子220の発光面の位置(高さ)は、適宜設定できる。発光素子220の光軸方向における発光素子220の発光面の位置(高さ)は、凹部305(
図4参照)の開口縁部と同じ位置であってもよいし、開口縁部より基板210側であってもよいし、開口縁部より光拡散板120側であってもよい。本実施の形態では、発光素子220の発光面は、光軸方向において、凹部305の開口縁部と同じ位置(高さ)に配置されている。
【0022】
光束制御部材300は、レンズであり、基板210上に固定されている。光束制御部材300は、発光素子220から出射された光の配光を制御し、当該光の進行方向を基板210の面方向に拡げる。光束制御部材300は、その中心軸CAが発光素子220の光軸OAと一致するように、発光素子220の上に配置されている(
図3参照)。なお、後述する光束制御部材300の入射面310および光制御面320は回転対称(円対称)であり、かつこの回転軸は発光素子220の光軸OAと一致する。この入射面310および光制御面320の回転軸を「光束制御部材の中心軸CA」という。
【0023】
光束制御部材300は、一体成形により形成することができる。光束制御部材300の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であれば適宜選択できる。光束制御部材300の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーン樹脂などの光透過性樹脂、またはガラスが含まれる。光束制御部材300の材料の屈折率は、特に限定されないが、光束制御部材300を大型化することなく後述の全反射部322に全反射機能を付与する観点から、1.55以上であることが好ましい。屈折率が1.55以上である材料の例には、ポリカーボネート、チオウレタン樹脂、ベース樹脂材料に高屈折率機能を付与するナノ粒子を分散させたナノコンポジット材料などのレンズに好適な透明材料が含まれる。すなわち、光束制御部材300は、ポリカーボネート製であることが好ましい。本実施の形態に係る面光源装置100は、光束制御部材300の構成に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材300の備えるべき特徴については、別途詳細に説明する。
【0024】
光拡散板120は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置200からの出射光を拡散させつつ透過させる。光拡散板120は、複数の発光装置200の上に基板210と略平行に配置されている。通常、光拡散板120は、液晶パネルなどの被照射部材とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散板120は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散板120の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散板120の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0025】
本発明に係る面光源装置100では、各発光素子220から出射された光は、光束制御部材300により光拡散板120の所定の照射領域を照らすように制御される。後述するように、光束制御部材300は、所定の照射領域を適切に照らすため、光拡散板120の内面は略均一に照らされる。各光束制御部材300から光拡散板120に到達した光は、拡散されつつ光拡散板120を透過する。その結果、本発明に係る面光源装置100は、面状の被照射部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0026】
(光束制御部材の構成)
図4は、本発明の実施の形態1に係る光束制御部材300を裏面側から見た斜視図である。
図5Aは、光束制御部材300の平面図であり、
図5Bは、底面図であり、
図5Cは、正面図であり、
図5Dは、
図5Aに示されるA−A線の断面図である。
【0027】
図4および
図5A〜Dに示されるように、光束制御部材300は、入射面310と、光制御面320と、裏面330と、環状溝340とを有する。また、光束制御部材300は、光束制御部材300の取り扱いを容易にするための鍔部350と、発光素子220から発せられる熱を外部に逃がすための間隙を形成するとともに、光束制御部材300を基板210に位置決めして固定するための脚部(図示省略)とを有していてもよい。
【0028】
入射面310は、発光素子220から出射された光のうち、大部分の光を、その光の進行方向を制御するとともに、光束制御部材300の内部に入射させる。入射面310は、裏側に向けて開口した凹部305の内面である。入射面310は、中心軸CA(光軸OA)と交わるように配置されている。入射面310は、中心軸CAを回転軸とした回転対称(本実施の形態では円対称)である。すなわち、凹部305は、光束制御部材300の中心軸CA(発光素子220の光軸OA)と交わるように裏面330の中央部に配置されている(
図3参照)。
【0029】
光制御面320は、光束制御部材300の表側(光拡散板120側)に配置されている。光制御面320は、光束制御部材300内に入射した光のうち、一部の光をその進行方向を制御しつつ外部に出射させ、他の一部の光を環状溝340に向けて全反射させる。光制御面320は、中心軸CAと交わり、中心軸CAを回転軸とした回転対称(本実施の形態では円対称)である。
【0030】
光制御面320は、第1透過部321と、全反射部322と、第2透過部323とを有する。
【0031】
第1透過部321は、中心軸CAと交わるように、中心軸CAを中心とする所定の範囲に配置されている。第1透過部321は、発光素子220の発光中心から光軸OAに対して小さい角度で出射された第1光線を、その進行方向を制御しつつ透過させる。第1透過部321の形状は、前述の機能を発揮できれば適宜設定できる。第1透過部321の形状は、平面であってもよいし、裏側に凸の曲面であってもよいし、表側に凸の曲面であってもよい。本実施の形態では、第1透過部321は、裏側に凸の曲面である。第1透過部321は、例えば発光素子220の発光中心から0°以上14°以下の角度で出射された第1光線を透過させる。
【0032】
全反射部322は、第1透過部321を取り囲むように第1透過部321に連続して配置されている。全反射部322は、少なくとも、発光素子220の発光中心から光軸OAに対して第1光線より大きい角度で出射された第2光線を環状溝340の第2内面342に向けて全反射させる。全反射部322は、発光素子220の発光中心以外の領域から出射された光も第2内面342に向けて全反射させることが好ましい。しかしながら、発光素子220の発光中心以外の領域から出射されて全反射部322に到達したすべての光が、第2内面342に向けて全反射される必要はない。したがって、全反射部322に到達した一部の光は、透過してもよいし、第2内面342以外の領域に向けて反射されてもよい。全反射部322の形状は、少なくとも、発光素子220の発光中心から出射されて全反射部322に到達した光が第2内面342に向けて全反射するように設計される。具体的には、発光素子220の発光中心から出射されて全反射部322に向かう光が、臨界角以上の角度で全反射部322に到達するように設計すればよい。本実施の形態では、全反射部322は、表側に凸の滑らかな曲面である。全反射部322の形状は、発光素子22の位置や、入射面310の形状、光束制御部材300の材料などを考慮して設計される。前述したように、光束制御部材300の材料の屈折率が高ければ、光束制御部材300を大型化することなく、発光素子220の発光中心から出射された光を第2内面342に向けて全反射させうる形状を全反射部322に付与することができる。全反射部322は、例えば発光素子220の発光中心から14°超46°以下の角度で出射された第2光線を全反射させる。また、本実施の形態では、全反射部322の表面は、光束制御部材300の外部に露出している。すなわち、本実施の形態では、全反射部322の表面には、反射膜などの反射部材は形成されていない。
【0033】
第2透過部323は、全反射部322を取り囲むように全反射部322に連続して配置されている。第2透過部323は、発光素子220の発光中心から光軸OAに対して第2光線より大きい角度で出射された第3光線と、全反射部322および環状溝340の第2内面342で順次反射した第2光線とを透過させる。第2透過部323の形状は、前述の機能を発揮できれば適宜設定できる。本実施の形態では、第2透過部323は、表側に凸の滑らかな曲面である。第2透過部323は、例えば発光素子220の発光中心から46°超の角度で出射された第3光線を透過させる。
【0034】
裏面330は、凹部305の開口縁部を取り囲むように裏側に配置された面である。裏面330の形状は、適宜設定できる。裏面330は、中心軸CAに垂直な面であってもよいし、中心軸CAから離れるにつれて、裏側に傾斜した傾斜面であってもよいし、中心軸CAから離れるにつれて、表側に傾斜した傾斜面であってもよい。また、裏面330は、滑らかな面であってもよいし、粗面化されていてもよい。本実施の形態では、裏面330は、中心軸CAに垂直な滑らかな平面である。
【0035】
環状溝340は、凹部305(入射面310)の開口縁部を取り囲むように裏面330に形成されている。環状溝340は、中心軸CAを軸とした回転対称である。環状溝340は、中心軸CA側に配置された第1内面341と、中心軸CAに対して第1内面341より離れて配置された第2内面342と、を含む。また、本実施の形態では、第2内面342側には複数の凸条343が配置されており、これらの凸条343の表面が第2内面342である。
【0036】
第1内面341は、中心軸CAと平行となるように配置されていてもよいし、中心軸CAから離れるにつれて表側に向かって傾斜していてもよい。本実施の形態では、第1内面341は、中心軸CAと平行である。
【0037】
第2内面342は、第1内面341を取り囲むように光束制御部材300の裏側に形成されている。第2内面342は、中心軸CAから離れるにつれて裏側に向かって傾斜している。
【0038】
裏面330における環状溝340の位置は、全反射部322で全反射した第2光線の少なくとも一部が第2内面342に到達し、第2透過部323に向けて反射されることができれば特に限定されない。環状溝340は、全反射部322で全反射した第2光線の大部分が到達する領域に配置されていることが好ましい。
【0039】
第2内面342(複数の凸条343)は、全反射部322で全反射した光線を第2透過部323に向けて内部反射させる。第2内面342(複数の凸条343)は、中心軸CAから離れるにつれて裏側に向うように傾斜している。また、各凸条343は、第1傾斜面344と、第2傾斜面345と、第1傾斜面344および第2傾斜面345の間に配置されており、中心軸CAから離れるにつれて、裏面側に向かう方向に傾斜した稜線346とを有している。凸条343の稜線346に垂直な断面形状は、三角形状、頂部にR面取を施した三角形状、半円形状、第1傾斜面344および第2傾斜面345の間に他の面を介した台形状などが含まれる。本実施の形態では、凸条343の稜線346に垂直な断面形状は、三角形状である。すなわち、本実施の形態では、第1傾斜面344および第2傾斜面は、稜線346で接続されている。各凸条343は、全反射プリズムのように機能する。すなわち、全反射部322で全反射した第2光線は、第1傾斜面344および第2傾斜面345で順次反射して第2透過部323に向かう。複数の凸条343は、中心軸CAに対して回転対称(凸条343の数をnとしたときn回対称)となるように配置されている。
【0040】
次に、面光源装置100の光路についてシミュレーションした。
図6Aは、本実施の形態に係る面光源装置100の中心軸CAを含む断面における光路のシミュレーション結果を示しており、
図6Bは、比較例1に係る面光源装置500の中心軸CAを含む断面における光路のシミュレーション結果を示している。
図6A、Bでは、発光素子220の発光中心から、光軸OAに対して0〜80°の範囲でそれぞれ2°ずつ異なる角度で出射された光線を示している。基板210および光拡散板120の間隔Hは、10mmである。また、比較例1に係る面光源装置500は、光束制御部材600の構成のみが本実施の形態に係る光束制御部材300と異なる。具体的には、比較例1に係る面光源装置500の光束制御部材600は、全反射部322の代わりに、第2光線を外部に透過させる透過部642を有する。また、
図6A、Bでは、光路を示すために、面光源装置100、500におけるハッチングを省略している。
【0041】
図6Aと
図6Bとを比較するとわかるように、本実施の形態に係る面光源装置100は、比較例1に係る面光源装置500と比較して、発光装置200の直上部に向かう光が少ないことが分かる。すなわち、発光装置200の直上部に明部が生じないことが分かる。 また、本実施の形態に係る面光源装置100は、比較例1に係る面光源装置500と比較して、発光素子220の発光中心から出射された光を、発光装置200(光束制御部材300)の中心軸CAからより離れた位置に到達させることができる。
【0042】
次に、光線の出射角度と、光線の光拡散板120における到達位置との関係についてシミュレーションした。また、比較例1、2に係る面光源装置500、700についても、同様にシミュレーションした。比較例2に係る面光源装置700は、光束制御部材800の構成のみが本発明に係る光束制御部材300と異なる。具体的には、比較例2に係る面光源装置700の光束制御部材800は、環状溝340を有しておらず、かつ裏面330が粗面化されたローレット形状に形成されている。
【0043】
図7A〜Dおよび
図8A〜Dは、本発明に係る面光源装置100の中心軸CAを含む断面における光路のシミュレーション結果を示しており、
図9A〜Dおよび
図10A〜Dは、比較例1に係る面光源装置500の中心軸CAを含む断面における光路のシミュレーション結果を示している。
図11A〜Dは、比較例2に係る面光源装置700の中心軸CAを含む断面における光路のシミュレーション結果を示している。
図7A、
図9Aおよび
図11Aは、出射角度が2〜10°の範囲の光路図であり、
図7B、
図9Bおよび
図11Bは、出射角度が10〜20°の範囲の光路図であり、
図7C、
図9Cおよび
図11Cは、出射角度が20〜30°の範囲の光路図であり、
図7D、
図9Dおよび
図11Cは、出射角度が30〜40°の範囲の光路図である。
図8Aおよび
図10Aは、出射角度が40〜50°の範囲の光路図であり、
図8Bおよび
図10Bは、出射角度が50〜60°の範囲の光路図であり、
図8Cおよび
図10Cは、出射角度が60〜70°の範囲の光路図であり、
図8Dおよび
図10Dは、出射角度が70〜80°の範囲の光路図である。また、
図7〜
図11では、光路を示すために、面光源装置100、500におけるハッチングを省略している。
【0044】
図7A、Bに示されるように、本実施の形態に係る面光源装置100では、発光素子220の発光中心から出射された出射角度の小さい第1光線は、入射面310で入射した後、第1透過部321で中心軸CAから離れる方向に向かうように制御されて、光束制御部材300の外部に出射される。そして、光束制御部材300から出射された光は、中心軸CAから比較的近い光拡散板120上の位置に到達する。
【0045】
図7B〜Dに示されるように、発光素子220の発光中心から第1光線より大きな角度で出射された第2光線は、入射面310で入射した後、全反射部322に到達する。第2光線は、全反射部322で環状溝340に向かって全反射され、さらに第1傾斜面344および第2傾斜面345で順次内部反射されて、第2透過部323から出射される。このとき、第2光線は、後述の比較例1に係る面光源装置500における第2光線よりも広い範囲において光拡散板120に到達する。
【0046】
図8A〜Dに示されるように、発光素子220の発光中心から第2光線より大きな角度で出射された第3光線は、入射面310で入射した後、第2透過部323で中心軸CAから離れる方向に向かうように制御されて、光束制御部材300の外部に出射される。そして、光束制御部材300から出射された光は、光拡散板120上の中心軸CAから遠い位置に到達する。
【0047】
一方、
図9A〜Dおよび
図10A〜Dに示されるように、比較例1に係る面光源装置500では、第1光線は、入射面310で入射し、第1透過部321で中心軸CAから離れる方向に向かうように制御されて、光束制御部材600の外部に出射される。第2光線は、透過部で中心軸CAからさらに離れる方向に向かうように制御されて、光束制御部材600の外部に出射される。第3光線は、第2透過部642で中心軸CAからさらに離れる方向に向かうように制御されて、光束制御部材600の外部に出射される。このように、比較例1に係る面光源装置500では、発光素子220から出射された光は、発光角度が大きくなるにつれて、中心軸から離れた位置に到達することがわかる。
【0048】
また、
図11A〜Dに示されるように、比較例2に係る面光源装置700では、第1光線は、入射面310で入射し、第1透過部321で中心軸CAから離れる方向に向かうように制御されて、光束制御部材800の外部に出射される。第2光線は、全反射部322で全反射して、裏面330に向かって進行する。裏面330に到達した第2光線のうち、一部の第2光線は、裏面330で内部反射して第2透過部323から光束制御部材800の上方に向かって出射される。なお、特に図示しないが、第3光線は、第2透過部323で中心軸CAからさらに離れる方向に向かうように制御されて、光束制御部材800の外部に出射される。このように、比較例2に係る面光源装置700では、環状溝340が形成されていないため、全反射部322で全反射した光線のうち、一部の光線が直上に向かってしまうことが分かる。
【0049】
次に、面光源装置100における光拡散板120上の輝度分布についてシミュレーションした。また、比較のため、比較例1にかかる面光源装置500についても調べた。本シミュレーションでは、発光素子220の発光中心から出射され、光束制御部材300、600の光制御面から出射された直射光と、直射光以外の散乱光と、直射光および散乱光を合わせた全体光とについて輝度分布を調べた。
【0050】
図12Aは、本実施の形態に係る面光源装置100における輝度分布を示すグラフであり、
図12Bは、比較例1に係る面光源装置500における輝度分布を示すグラフである。
図12A、Bの横軸は、中心軸CAからの距離であり、縦軸は輝度である。L1は、全体光の結果を示しており、L2は、直射光の結果を示しており、L3は、散乱光の結果を示している。
【0051】
前述したように、比較例1に係る面光源装置500では、発光素子220から出射され、入射面310で入射した光のうち、大部分の光は、光制御面から光束制御部材600の外部に出射される(
図6B参照)。光束制御部材600では、光軸OA近傍の光を拡げて発光素子220直上の輝度を抑制しようとしても、拡げられた光線は遠方まで届かず、光軸OAの近傍に輪帯状の明部を形成する。
図12Bの点線で囲まれた領域に示されるように、比較例1に係る面光源装置500(比較例1では、基板210および光拡散板120の間隔H=10mm)では、発光装置の光軸OAからの距離15mm付近において高い輝度を示していることからも明らかである。一方、本実施の形態に係る面光源装置100では、直射光による面光源装置上の輝度(光軸OAからの距離15mm付近における輝度)は、比較例1に係る面光源装置500よりも低いことがわかる。これは、本実施の形態に係る面光源装置100では、光束制御部材300が全反射部322を有しているため、発光装置200の上方に抜けて、光軸OAからの距離15mm付近へ到達する光が少なくなったためと考えられる(
図6A参照)。
【0052】
前述したように、H=10mmの場合には、光軸OAからの距離15mm付近に到達する光線によって明部が生じるが、基板210および光拡散板120の間隔Hが大きくなった場合には、被照射面が遠くなることにより照射範囲が広がり、明部が目立たなくなる。本発明は、光制御面における屈折によって限界まで光を拡げても、基板210および光拡散板120の間隔Hが小さいために、拡げられた光が特定位置に集中して到達し、光拡散板上に明部を生成してしまうような場合に有効である。すなわち、本発明では、特定位置に集中しやすい光を光制御面において全反射し、一度、光束制御部材の裏面に形成された環状溝の第2内面へ戻し、光拡散板上の特定位置に光が集中しないように第2内面において再度反射させることで、明部の生成を抑制できる。
【0053】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る発光装置200は、第2光線が全反射部322を透過せずに全反射部322で全反射され、環状溝340の第2内面342でさらに内部反射して、第2透過部323から外部に出射される。このように、本実施の形態に係る発光装置200は、従来の発光装置と比較して、発光装置200の上方に抜けてしまう光線を側方に向かうように制御できるため、発光装置の直上の明部の発生を抑制でき、より広範囲に光線を到達させることができる。したがって、本実施の形態に係る発光装置200を面光源装置100に適用することで、面光源装置100を薄型化したり、発光装置200の数を減らしたりできる。
【0054】
[実施の形態2]
(面光源装置の構成)
実施の形態2に係る面光源装置は、光束制御部材400の構成のみが実施の形態1の面光源装置100と異なる。そこで、光束制御部材400のみについて説明する。また、実施の形態1の光束制御部材300と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図13は、本発明の実施の形態2に係る面光源装置の光束制御部材400を裏面側から見た斜視図である。
図14Aは、光束制御部材400の平面図であり、
図14Bは、底面図であり、
図14Cは、正面図であり、
図14Dは、
図14Aに示されるA−A線の断面図である。
【0056】
実施の形態2に係る面光源装置の光束制御部材400は、入射面310と、光制御面320と、裏面330と、環状溝440とを有する。環状溝440は、第1内面341および第2内面442を有する。第2内面442には、複数の凸条343が形成されていない。すなわち、本実施の形態では、第2内面442は、円錐台の側面の形状に形成されている。
【0057】
また、特に図示しないが、実施の形態2に係る面光源装置における光路図は、実施の形態1に係る面光源装置100における光路図とほぼ同じであった。
【0058】
(効果)
実施の形態2に係る面光源装置は、実施の形態1と同様の効果を有する。