特許第6858066号(P6858066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858066
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】食器洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/46 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   A47L15/46 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-83193(P2017-83193)
(22)【出願日】2017年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-175672(P2018-175672A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 紳一朗
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−183529(JP,A)
【文献】 特開2001−327454(JP,A)
【文献】 特開2008−212584(JP,A)
【文献】 特開2005−130979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L15/00−15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器類を収容する洗浄槽と、
前記洗浄槽に給水する給水路と、
前記給水路を開閉する開閉弁と、
前記洗浄槽に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに洗浄水を供給する送水ポンプと、
前記開閉弁及び前記送水ポンプの運転を制御する制御手段と、
前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水位の変動連続的に検出する水位検出手段と、
前記制御手段が前記送水ポンプの運転を停止させてから前記送水ポンプの運転を停止させた状態のまま前記水位検出手段が検出した前記水位の連続的な変動に基づいて、前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に泡が存在しているか否かを判定する泡判定手段とを備えたことを特徴とする食器洗浄装置。
【請求項2】
前記制御手段が前記送水ポンプの運転を停止させてから予め定められた時間内に、前記水位検出手段が検出した前記水位の変動の振幅が予め定められた範囲内に収束した場合、前記泡判定手段は、前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に泡が存在していると判定することを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄装置。
【請求項3】
前記制御手段が前記開閉弁を閉じた状態で前記送水ポンプの運転を停止させてから予め定められた時間内に、前記水位検出手段が検出した前記水位が予め定められた値を超えない場合、前記泡判定手段は、前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に泡が存在していると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の食器洗浄装置。
【請求項4】
前記泡判定手段が前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に泡が存在していると判定した場合、前記制御手段は、前記開閉弁を開ける、又は、前記洗浄槽から洗浄水を排水させることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の食器洗浄装置。
【請求項5】
前記水位検出手段が検出した前記水位の変動に基づいて、前記前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に存在する泡の減少速度を検出する泡速度検出手段を備え、
前記泡速度検出手段が検出した前記減少速度が予め定められた値を超える場合、前記制御手段は、前記開閉弁を開け、
前記泡速度検出手段が検出した前記減少速度が予め定められた値以下である場合、前記洗浄槽から洗浄水を排水させることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の食器洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食器洗浄装置においては、食器類を洗浄する洗浄水が泡立たない専用の洗浄剤を使用することが推奨されている。しかし、これに反して、使用者が誤って専用の洗浄剤ではなく一般的な中性洗浄剤を使用することがある。この場合、洗浄水が泡立ち、水位センサで測定した水位を超えた上方に泡が存在し、この泡の存在によって洗浄槽から水が溢れたと誤判定することがあった。また、この泡により、送水ポンプがエア噛みするなどの問題が起こることがあった。
【0003】
特許文献1には、洗浄槽内の洗浄水を循環させる循環経路内の洗浄水の光透過率を測定して、洗浄水中の気泡の発生量を検知する光センサを備え、洗浄水のエア噛みを防止することが可能な食器類洗い機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−143482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術を参照すれば、洗浄槽内の洗浄水に泡が存在しているか否かを検知できるかもしれない。しかしながら、この場合、水位を検知する水位センサの他に光センサを追加する必要がある。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、別個の検出装置を追加することなく、洗浄槽内の洗浄水に食器洗浄装置に悪影響を及ぼす程の泡が存在しているか否かを検知することが可能な食器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、食器類を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽に給水する給水路と、前記給水路を開閉する開閉弁と、前記洗浄槽に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに洗浄水を供給する送水ポンプと、前記開閉弁及び前記送水ポンプの運転を制御する制御手段と、前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水位の変動連続的に検出する水位検出手段と、前記制御手段が前記送水ポンプの運転を停止させてから前記送水ポンプの運転を停止させた状態のまま前記水位検出手段が検出した前記水位の連続的な変動に基づいて、前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に泡が存在しているか否かを判定する泡判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、洗浄槽内に貯留された洗浄水の水位の変動連続的に検出する水位検出手段を利用して検出した水位の連続的な変動に基づいて、洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に泡が存在しているか否かを判定することが可能となる。よって、特許文献1に開示された技術を参照した態様のように、光センサなどの別個の検出装置を必要としない。
【0009】
本発明において、例えば、前記制御手段が前記送水ポンプの運転を停止させてから予め定められた時間内に、前記水位検出手段が検出した前記水位の変動の振幅が予め定められた範囲内に収束した場合、前記泡判定手段は、前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に泡が存在していると判定すればよい。
【0010】
これは、洗浄槽の洗浄水の水面上に泡が存在している場合、泡の重みによって、洗浄槽の洗浄水の水面上に泡が存在していない場合と比較して、水位の変動の振幅が早く収束して振動が小さくなることを発明者が見出したことに基づく。
【0011】
また、本発明において、例えば、前記制御手段が前記開閉弁を閉じた状態で前記送水ポンプの運転を停止させてから予め定められた時間内に、前記水位検出手段が検出した前記水位が予め定められた値を超えない場合、前記泡判定手段は、前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に泡が存在していると判定すればよい。
【0012】
これは、送水ポンプの運転により洗浄槽の洗浄水の水面上に泡が存在している場合、洗浄水の一部が泡になることで、洗浄槽の洗浄水の水面上に泡が存在していない場合と比較して、水位検出手段が検出する水位の高さが低くなることを発明者が見出したことに基づく。
【0013】
また、本発明において、前記泡判定手段が前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に泡が存在していると判定した場合、前記制御手段は、前記開閉弁を開ける、又は、前記洗浄槽から洗浄水を排水させることが好ましい。
【0014】
この場合、開閉弁を開き洗浄槽内に水が供給させることにより、又は、洗浄槽内の洗浄水が排水されることにより、洗浄槽内の洗浄水の泡を早期に消すことを図ることが可能となる。
【0015】
例えば、前記水位検出手段が検出した前記水位の変動に基づいて、前記洗浄槽内に貯留された洗浄水の水面上に存在する泡の減少速度を検出する泡速度検出手段を備え、前記泡速度検出手段が検出した前記減少速度が予め定められた値を超える場合、前記制御手段は、前記開閉弁を開け、前記泡速度検出手段が検出した前記減少速度が予め定められた値以下である場合、前記洗浄槽から洗浄水を排水させればよい。
【0016】
これは、泡の減少速度が速いと洗浄水に含まれている洗剤の割合いが少ないので、水を供給させるだけで、洗浄水の泡を早期に消すことを図ることが可能となる。一方、泡の減少速度が遅いと洗浄水に含まれている洗剤の割合いが高いので、洗浄槽内の洗浄水を排水することにより、洗浄水の泡を早期に消すことを図ることが可能となることに基づく。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の食器洗浄機の概略構成図。
図2】本実施形態の制御部の機能的構成を示すブロック図。
図3】洗浄工程における動作を示すフローチャート。
図4】洗浄水に泡が存在する場合と存在しない場合における、送水ポンプの運転を停止した後の水位の変動を模式的に示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の食器洗浄機1(食器洗浄装置)は、図1に示すように、筐体2と、筐体2の内部に収容された洗浄槽3とを備えている。食器洗浄機1は、ビルトインタイプであり、筐体2がシステムキッチンに組み込まれた状態で設置される。
【0019】
洗浄槽3は、前面パネル4の取っ手部5を把持して筐体2から引き出すことができるようになっている。前面パネル4の取っ手部5の近傍には、操作スイッチ類6や運転状態を表するための表示器7等が設けられている。前面パネル4と洗浄槽3との間のスペースには、洗浄運転を制御する洗浄コントローラ8やブザー9が設けられている。表示器7及びブザー9は、必要に応じて本発明の報知手段として利用される。
【0020】
洗浄槽3は、上面が開放されており、筐体2内部に位置しているときには上面が蓋板部10によって閉塞される。蓋板部10はシール部材11を備えている。蓋板部10により洗浄槽3を閉塞したとき、シール部材11が洗浄槽3の上縁に密着して水密な閉塞状態を形成する。蓋板部10は筐体2の天面に設けられており、筐体2からの洗浄槽3の引き出し動作に伴って洗浄槽3から離反する。
【0021】
洗浄槽3は、筐体2から引き出されることにより開放された上面から食器類Wの出し入れが行われる。洗浄槽3の内部には、食器類Wを支持する食器かご12と、食器類Wに向かって洗浄水を噴出させる洗浄ノズル13とが設けられている。
【0022】
洗浄槽3の底部には、残菜フィルタ14を介して洗浄槽3内に連通する洗浄水の溜り部15が設けられている。洗浄槽3の底部下側には、洗浄・排水ポンプ16が設けられている。洗浄槽3の背面側には、洗浄槽3内の食器類Wを乾燥させるための乾燥用空気を導入する吸気ダクト17及び乾燥ファン18が設けられている。
【0023】
洗浄・排水ポンプ16は、正転作動時は溜り部15の洗浄水を吸引して洗浄ノズル13に洗浄水を圧送し、逆転作動時には溜り部15の洗浄水を残菜フィルタ14及び排水管20を介して排出する。また、洗浄槽3には、給水電磁弁21(給水弁)を備える給水管22が接続されている。
【0024】
洗浄ノズル13は、複数の噴出口を備えて水平方向に長手の第1ノズル部13aと、第1ノズル部13aの長手方向中央部に立設されて複数の噴出口を備える第2ノズル部13bとにより構成されている。
【0025】
給水管22からの給水が行われ、洗浄・排水ポンプ16から洗浄ノズル13に洗浄水が供給されると、第1ノズル部13aは洗浄水の噴出反力によって回転し、第2ノズル部13bは第1ノズル部13aと一体に回転する。このとき、回転する洗浄ノズル13から洗浄水が放射状に噴出され、食器類Wに当たって食器類Wの洗浄が行われる。
【0026】
洗浄が終了すると、洗浄・排水ポンプ16によって、洗浄槽3からの排水が行われ、その後、乾燥ファン18が駆動され、吸気ダクト17を通って洗浄槽3に送り込まれる乾燥用空気によって食器類Wの乾燥が行われる。
【0027】
また、洗浄槽3の内側には1対の電極24が設けられている。洗浄槽3が樹脂などの絶縁体から構成されている場合は、1対の電極24は、洗浄槽3の内側にそのまま固定されていればよい。また、一対の電極24は、洗浄槽3の外側や洗浄槽3を構成する壁面の内部に埋め込まれていてもよい。
【0028】
1対の電極24は、洗浄槽3の内側に垂直方向に延在した2枚の平板からなる電極が水平方向に所定の距離を離間して固定されている。一点鎖線で模式的に図1に示されているが、これら電極24には、それぞれ電線の一端が接続されており、これら電線の他端は静電容量検出回路25(静電容量検出手段)に接続されている。
【0029】
洗浄槽3内の洗浄水の水位に応じて、1対の電極24と洗浄水が接触する高さが変化し、これに応じて1対の電極間に存在する洗浄水の量と空気量との関係に基づいて、1対の電極24間の静電容量が変化する。これにより、洗浄槽3内の水位の変化を連続的に検出することが可能となる。
【0030】
洗浄コントローラ8は、図2に示すように、給水電磁弁21を制御する弁制御部26、洗浄・排水ポンプ16を制御するポンプ制御部27、乾燥ファン18を制御するファン制御部28、表示器7やブザー9を制御する報知制御部29、及び各種情報を記憶する記憶部30を機能として備えている。弁制御部26、ポンプ制御部27及びファン制御部28は、本発明の制御手段に相当する。
【0031】
さらに、洗浄コントローラ8には、機能として、水位検出部31(水位検出手段)、泡判定部32(泡判定手段)及び泡速度検出部33(泡速度検出手段)が設けられている。
【0032】
水位検出部31は、静電容量検出回路25が検出した静電容量に基づいて、記憶部30に予め記録されている静電容量と洗浄槽3内の洗浄水の水位との組み合わせを示すテーブルなどを参照して、洗浄槽3内の洗浄水の水位を検出する。
【0033】
泡判定部32は、水位検出部31が検出した水位の変動に基づいて、洗浄槽3内の洗浄水の水面上に泡が存在しているか否かを判定する。判定方法は後述する。
【0034】
泡速度検出部33は、水位検出部31が検出した水位の変動に基づいて、洗浄槽3内の洗浄水の泡の所定時間内における減少速度を検出する。
【0035】
次に、本実施形態の食器洗浄機1を用いた洗浄工程について図3を参照して説明する。
【0036】
給水工程が完了した後、STEP1において、洗浄コントローラ8は、ポンプ制御部27により洗浄・排水ポンプ16を運転して洗浄ノズル13に洗浄水を供給させる。洗浄ノズル13に洗浄水の供給が開始されると、洗浄ノズル13が回転しながら洗浄水を噴射する。この噴射により、洗浄槽3内の洗浄水の水位は、給水工程完了後の水位と比較して低下すると共に、洗浄・排水ポンプ16による送水の変動などのために上下に変動する(図4参照)。
【0037】
図4には、給水工程完了後の水位の変動が模式的に示されており、実線及び一点鎖線が洗浄水に泡が存在している場合を示し、破線が洗浄水に泡が存在しない場合を示している。なお、泡が存在している場合において、実線と一点鎖線とでは実線のほうが泡が多い場合を示している。
【0038】
その後、STEP2において、洗浄コントローラ8は、ポンプ制御部27により洗浄・排水ポンプ16を運転して停止させる。
【0039】
そして、STEP3において、泡判定部32は、洗浄・排水ポンプ16の運転を停止してから記憶部30に記憶されている予め定められた時間T1以内に、水位検出部31が検出する水位の振幅Aが記憶部30に記憶されている予め定められた振幅A1以内に収束するか否かを判定する。
【0040】
時間T1以内に水位の振幅Aが振幅A1以内に収束しない場合(STEP3:NO)、STEP4において、泡判定部32は、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在していないと判定する。この判定は、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在している場合、泡の重みによって、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在していない場合と比較して、水位の変動の振幅が早く収束して振動が小さくなることに基づく。
【0041】
一方、時間T0以内に水位の振幅Aが振幅A1以内に収束する場合(STEP3:YES)、STEP5に進む。
【0042】
STEP5において、泡判定部32は、洗浄・排水ポンプ16の運転を停止してから記憶部30に記憶されている予め定められた時間T2以内に、水位検出部31が検出する水位Hが記憶部30に記憶されている予め定められた水位H1を超えるか否かを判定する。
【0043】
時間T2以内に水位Hが水位H1を超える場合(STEP5:YES)、STEP4において、泡判定部32は、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在していないと判定する。この判定は、洗浄運転により、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在している場合、洗浄水の一部が泡となっていることで、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在していない場合と比較して、水位検出部31が検出する水位の高さが低くなることに基づく。
【0044】
一方、時間T2以内に水位Hが水位H1を超えない場合(STEP4:NO)、STEP6において、泡判定手段32は、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在していると判定する。
【0045】
泡が立たない専用の洗浄剤を用いることが推奨されているので、通常、洗浄水が泡立つことはない。しかし、使用者が誤って一般的な中性洗浄剤を使用することがある。この場合、洗浄水が泡立ち、水面上に泡が存在することになる。
【0046】
そこで、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在していると判定した場合、洗浄コントローラ8は、報知制御部29に指示して不適切な洗浄剤が使用された旨の報知を表示器7やブザー9にて行わせることが好ましい。これにより、使用者が再び誤った洗浄剤を使用しないように促すことが可能となる。
【0047】
そして、このような泡の存在によって洗浄槽3から水が溢れたと誤判定されることなどの不具合が生じることがあった。
【0048】
そこで、このような不具合を解消するために、STEP7以下の行程を行って、泡を消すことが好ましい。
【0049】
STEP7において、泡速度検出部33は、洗浄・排水ポンプ16を運転を停止してから記憶部30に記憶されている予め定められた時間T3以内における、水位検出部31が検出する水位の増加速度から泡の減少速度Vを検出する。
【0050】
STEP8において、泡速度検出部33が検出した泡の減少速度Vが記憶部30に記憶されている予め定められた泡の減少速度V1を超える否かを判定する。
【0051】
泡速度検出部33が検出した泡の減少速度Vが減少速度V1を超える場合(STEP8:YES)、STEP9において、洗浄コントローラ8は、弁制御部26により給水電磁弁21を開ける。
【0052】
これは、例えば図4の一点鎖線で示されるように、洗浄水における泡が少ないほど、泡の減少速度が速くなる。よって、泡の減少速度が速い場合は、洗浄水中の洗浄剤の割合いが少ないと推測されるので、給水電磁弁21を開けて洗浄槽3に水道水を追加するだけで、ほとんど泡を消すことが可能となるためである。なお、追加する水道水の量、ひいては給水電磁弁21の開度及び開状態の持続時間は、検出した泡の減少速度Vに応じて、適宜定めればよい。
【0053】
一方、泡速度検出部33が検出した泡の減少速度Vが減少速度V1以下である場合(STEP6:NO)、STEP10において、洗浄コントローラ8は、ポンプ制御部27により洗浄・排水ポンプ16の運転を開始させ、洗浄槽3内の洗浄水を排水させる。
【0054】
これは、例えば図4の実線で示されるように、泡の減少速度が遅い場合は、洗浄水中の洗浄剤の割合いが多いと推測されるので、水道水を追加しても泡は左程減少しないので、洗浄水を排水することにより、泡を消すことが好ましい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の食器洗浄装置1によれば、1対の電極24を用いて検出した水位の変動に基づいて、洗浄槽3内の洗浄水の水面上に泡が存在しているか否かを判定することが可能となる。よって、泡の存在を検出するために、上記特許文献1に開示された技術を参照した態様のように、光センサなどの別個の検出位置を追加する必要がない。
【0056】
また、1対の電極24を用いて洗浄槽3の水位を検出することができるので、従来のように、洗浄槽の貯水部と連通管により接続された水位検出槽に、洗浄槽3が所定の水位であることを検出するフロート式の水位センサなどを設ける必要がない。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、STEP3がYES、STEP5がNOである場合に、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在していると判定する場合について説明したが、判定精度が多少劣ってもよい場合には、STEP3がYESである場合に、洗浄槽3の洗浄水の水面上に泡が存在していると判定し、STEP5の判定を省略してもよい。
【0058】
また、1対の電極24を設ける場合について説明したが、複数対の電極を設けてもよい。これにより、1対の電極に不具合が発生しても、水位を検出することが可能となる。さらに、例えば、幅の相違する電極の対を設けることにより、検出される水位の精度の向上を図ることが可能となる。さらに、上下方向の範囲が相違する箇所に電極の対を設けることにより、水位の範囲に応じて参照する電極の対を相違させてもよい。また、単一の電極で静電容量の変動を検知する自己容量式を用いることも可能である。
【0059】
また、洗浄ポンプと排水ポンプとの双方の機能を有する洗浄・排水ポンプ16を備える場合について説明したが、洗浄ポンプと排水ポンプとを別個に構成してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…食器洗浄機(食器洗浄装置)、 2…筐体、 3…洗浄槽、 7…表示器、 8…洗浄コントローラ、 9…ブザー、 12…食器かご、 13…洗浄ノズル、 16…洗浄・排水ポンプ(排水ポンプ)、 17…吸気ダクト、 18…乾燥ファン、 20…排水管、 21…給水電磁弁(給水弁)、 22…給水管、 24…1対の電極、 25…静電容量検出回路(静電容量検出手段)、 26…弁制御部(制御手段)、 27…ポンプ制御部(制御手段)、 28…ファン制御部、 29…報知制御部、 30…記憶部、 31…水位検出部(水位検出手段)、 32…泡判定部(泡判定手段)、 33…泡速度検出部(泡速度検出手段)、 W…食器類。
図1
図2
図3
図4