特許第6858075号(P6858075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6858075高周波合成装置、及びサイクロトロンシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6858075
(24)【登録日】2021年3月25日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】高周波合成装置、及びサイクロトロンシステム
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/60 20060101AFI20210405BHJP
   H05H 13/00 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   H03F3/60
   H05H13/00
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-101121(P2017-101121)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2018-196098(P2018-196098A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】戸内 豊
(72)【発明者】
【氏名】熊田 幸生
【審査官】 渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/032942(WO,A1)
【文献】 特開平02−196501(JP,A)
【文献】 特開昭58−201404(JP,A)
【文献】 特開2003−257700(JP,A)
【文献】 特開2014−038774(JP,A)
【文献】 特開昭54−060698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/60
H05H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源からの信号を増幅する複数の増幅器と、
複数の前記増幅器からの信号を合成する合成器と、を備え、
前記合成器は、
軸方向に延びる筒形状の外導体と、
前記外導体の内部において、前記軸方向に延びる内導体と、
前記内導体の一端側において当該内導体と対向する位置において、前記外導体の側壁から内部へ進入するように設けられ、対応する前記増幅器からの信号を前記内導体へ入力する複数の入力部と、
前記内導体の一端側において当該内導体と対向する位置において、前記外導体の端壁から内部へ進入するように設けられ、複数の前記入力部から前記内導体へ入力されて合成された信号を外部へ出力する出力部と、
前記内導体の他端側において前記外導体と前記内導体とを接続する短絡部と、を備え、
前記短絡部は、前記軸方向に移動可能であり、前記軸方向における前記内導体と前記外導体との接続位置を変更可能である、高周波合成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高周波合成装置と、
前記高周波合成装置から出力された高周波電力が入力され、前記高周波電力によって荷電粒子を加速して荷電粒子線を出射するサイクロトロンと、を備えるサイクロトロンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波合成装置、及びサイクロトロンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、例えば非特許文献1が知られている。非特許文献1(例えば非特許文献1中の図7)に記載された高周波合成装置は、TM010モードの共振器を利用して高周波の信号を合成している。この高周波合成装置は、円筒状の導体の側壁に対して、高周波の信号を入力する入力部が設けられている。入力部は、円筒状の導体の側壁に対し、周方向及び軸方向に複数設けられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】J.Jacob, J.-M.Mercier, M.Langlois, G.Gautier, “352.2MHz - 150KW SOLID STATEAMPLIFIERS AT THE ESRF”, Proceedings of IPAC2011, Spain
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の高周波合成装置では、例えば100MHz程度の低い周波帯の出力を得ようとした場合に、特性上の制約から円筒状の導体の径が大きくなる(例えば数m程度となる)という問題がある。更に、上述の方式による高周波合成装置では、信号の周波数を変えることができず、異なる周波数の信号を取り扱う場合は装置自体を変更しなくてはならないという問題もある。
【0005】
本発明は、装置の径が大きくなることを抑制し、且つ、信号の周波数を変更可能な高周波合成装置、及びサイクロトロンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る高周波合成装置は、高周波電源からの信号を増幅する複数の増幅器と、増幅器からの信号を合成する合成器と、を備え、合成器は、軸方向に延びる筒形状の外導体と、外導体の内部において、軸方向に延びる内導体と、内導体の一端側において当該内導体と対向する位置において、外導体の側壁から内部へ進入するように設けられ、対応する増幅器からの信号を内導体へ入力する複数の入力部と、内導体の一端側において当該内導体と対向する位置において、外導体の端壁から内部へ進入するように設けられ、複数の入力部から内導体へ入力されて合成された信号を外部へ出力する出力部と、内導体の他端側において外導体と内導体とを接続する短絡部と、を備え、短絡部は、軸方向に移動可能であり、軸方向における内導体と外導体との接続位置を変更可能である。
【0007】
本発明に係る高周波合成装置において、複数の増幅器からの信号を合成する合成器は、外導体、及び内導体を備えており、内導体の一端側に各増幅器からの信号を入力する複数の入力部と、複数の前記入力部から前記内導体へ入力されて合成された信号を外部へ出力する出力部と、を備えている。また、合成器は、内導体の他端側において外導体と内導体とを接続する短絡部を備えている。このような構成では、信号の共振周波数は、軸方向への内導体と外導体の長さ、及びそれに対して設けられた短絡部の軸方向における位置に基づいて決めることができる。そのため、低い周波数帯の信号を取り使う場合に、外導体及び内導体の径を大きくしなくともよい。また、短絡部は、軸方向に沿って移動可能であり、軸方向における内導体と外導体との接続位置を変更可能である。従って、短絡部の軸方向における位置を調整することで、信号の周波数を変更することができる。以上により、装置の径が大きくなることを抑制し、且つ、信号の周波数を変更可能となる。
【0008】
本発明に係るサイクロトロンシステムは、上述の高周波合成装置と、高周波合成装置から出力された高周波電力が入力され、高周波電力によって荷電粒子を加速して荷電粒子線を出射するサイクロトロンと、を備える。
【0009】
本発明に係るサイクロトロンシステムによれば、上述の高周波合成装置と同様の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置の径が大きくなることを抑制し、且つ、出力の周波数を変更可能な高周波合成装置、及びサイクロトロンシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のサイクロトロンシステムの概略構成図である。
図2】サイクロトロンの概略構成を示す斜視図である。
図3】合成器を軸方向から見た図である。
図4図3に示すIV−IV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態のサイクロトロンシステムの概略構成図である。図2は、サイクロトロンの概略構成を示す斜視図である。図1に示されるように、サイクロトロンシステム100は、サイクロトロン1と、高周波合成装置10と、を備えている。
【0014】
図1及び図2に示す様に、サイクロトロン1は、イオン源(不図示)から入射される荷電粒子を加速して、加速した荷電粒子線(ビーム)を出射する加速器である。荷電粒子としては、例えば水素イオン、炭素イオン、電子などが挙げられる。サイクロトロン1は、荷電粒子を通過させ加速するための平面視円形の加速空間2を備えている。ここでは、加速空間2が水平に延在するようにサイクロトロン1が設置されているものとする。以下の説明で「上」、「下」の概念を含む語を用いる場合には、図1に示す状態のサイクロトロン1の上下に対応するものとする。
【0015】
サイクロトロン1は、加速空間2の下方及び上方に設けられた磁極3を備えている。なお、加速空間2の上方の磁極3は図示を省略している。磁極3は、加速空間2に、鉛直方向の磁場を発生させる。
【0016】
サイクロトロン1は、平面視扇形のディ電極4を備えている。ディ電極4は、真空部5で画成された真空空間において、高周波電場を発生させる。ディ電極4は、周方向に貫通された空洞を有しており、当該空洞が上記の加速空間2の一部をなす。また、ディ電極4の周方向の端部と対向する位置にダミーディ電極6が設けられている。高周波合成装置10がカップリング部9(図1参照)を介してディ電極4に高周波の交流電力を付与することで、ディ電極4とダミーディ電極6は周方向の電場を加速空間2に発生させ、当該電場によって荷電粒子が加速される。加速空間2の略中央に導入された荷電粒子は、磁極3による磁場とディ電極4による電場との作用により、加速空間2内において水平な渦巻き状の周回軌道Kを描きながら加速される。加速された荷電粒子は、最終的には周回軌道Kの接線方向へ出射される。
【0017】
図1に示すように、高周波合成装置10は、高周波電源50からの信号を増幅する複数の増幅器11と、複数の増幅器11からの信号を合成する合成器12と、を備えている。高周波合成装置10は、多数の増幅器11で増幅した信号を合成することによって、大電力の出力を行う装置である。各増幅器11は、高周波電源50から引き出されて分岐した信号線13に接続され、高周波電源50からの信号の電圧又は電力を増幅する。また、各増幅器11は、信号線14を介して、合成器12の各入力部へ増幅した信号を出力する。なお、本実施形態では、合成する信号の数は8個(図3参照)であり、それに合わせて増幅器11は8個設けられる。しかし、合成する信号の数は特に限定されず、2つ以上であり、且つ、後述の合成器12に構造上設けることができる範囲内の数であれば特に限定されない。
【0018】
次に、図3及び図4を参照して、合成器12の構成について説明する。合成器12は、TEMモードの空洞共振器を合成器として用いることによって構成されている。合成器12の共振周波数は特に限定されないが、例えば100MHz程度の低い周波数であっても、装置の径を過度に大きくすることなく、取り扱うことができる。図3及び図4に示すように、合成器12は、外導体21と、内導体22と、複数の入力部23と、出力部24と、短絡部26と、を備えている。
【0019】
外導体21は、軸方向に延びる筒形状の部材である。外導体21は、同一断面形状にて中心軸CLに沿って延びる筒状の側壁31と、側壁31の一端側において、側壁31の開口部を塞ぐように設けられる端壁32と、を備える。なお、本実施形態では、側壁31の断面形状及び端壁32の形状は、合成する信号が8個であることに合わせて正八角形状に形成されている。ただし、側壁31の断面形状及び端壁32の形状は、合成する信号の数に合わせて適宜変更してもよく、円形などであってもよい。
【0020】
内導体22は、外導体21の内部において、外導体21の軸心に沿って延びる筒形状の部材である。内導体22は、同一断面形状にて中心軸CLに沿って延びる筒状の側壁33と、側壁33の一端側において、側壁33の開口部を塞ぐように設けられる端壁34と、を備える。なお、本実施形態では、側壁33の断面形状及び端壁34の形状は、合成する信号が8個であることに合わせて正八角形状に形成されている。ただし、側壁33の断面形状及び端壁34の形状は、合成する信号の数に合わせて適宜変更してもよく、円形などであってもよい。側壁33の中心軸CLと直交する方向における寸法は、外導体21の側壁31よりも小さい。従って、内導体22の側壁33は、外導体21の側壁31に対して内周側で対向するように配置される。また、端壁34は、側壁33の断面形状よりも中心軸CLと直交する方向における寸法が大きく、側壁31の断面形状よりも中心軸CLと直交する方向における寸法が小さい。従って、内導体22の側壁33は、外導体21の側壁31に対して内周側で対向するように配置される。また、端壁34は、端壁32から軸方向に離間した位置に配置されている。
【0021】
入力部23は、内導体22の一端側において当該内導体22と対向する位置において、外導体21の側壁31から内部へ進入するように設けられ、対応する増幅器11からの信号を内導体22へ入力する。入力部23は、増幅器11の数に応じて、中心軸CLまわりに等間隔に設けられる。本実施形態では、増幅器11は8個であり、外導体21の断面形状も正八角形であるため、側壁31の8つの面のそれぞれに対して、各入力部23が設けられる(図3参照)。本実施形態では、入力部23は、内導体22の端壁34と対向する位置に設けられる。入力部23は、外導体21の外部へ突出する端子部36と、端子部36から外導体21の内部へ延びる軸部37と、軸部37の先端で内導体22と対向する導電板38と、を備える。導電板38は、内導体22の端壁34の側面34aと対向している。これにより、導電板38と端壁34の側面34aとの間には、静電容量部C1が形成される。
【0022】
静電容量部C1の静電容量の大きさは、増幅器11から合成器12へ信号を効率良く入力可能となるように設定される。例えば、増幅器11からの信号線14と入力部23の端子部36との結合部を基準としたとき、当該結合部から見たときの増幅器11側のインピーダンス(一般的には50Ω伝送ラインが用いられるので、50Ωと考えてよい)と、結合部から見た時の合成器12側のインピーダンスとが、同じとなるように、静電容量部C1の静電容量の大きさが設定される。特に、本実施形態では増幅器11及び入力部23が複数個設けられているので、一つの入力部23における静電容量部C1の静電容量の大きさを設定する際は、他の入力部23の影響も考慮する。
【0023】
出力部24は、内導体22の一端側において当該内導体22と対向する位置において、外導体21の端壁32から内部へ進入するように設けられ、複数の入力部23から内導体22へ入力されて合成された信号を外部へ出力する。出力部24は、外導体21の端壁32の中心軸CL上に設けられる。出力部24は、外導体21の外部へ突出する端子部41と、端子部41から外導体21の内部へ延びる軸部42と、軸部42の先端で内導体22と対向する導電板43と、を備える。導電板43は、内導体22の端壁34の端面34bと対向している。これにより、導電板38と端壁34の端面34bとの間には、静電容量部C2が形成される。
【0024】
静電容量部C2の静電容量の大きさは、合成器12からサイクロトロン1へ信号を効率良く出力可能となるように設定される。例えば、合成器12からの信号線15と出力部24の端子部41との結合部を基準としたとき、当該結合部から見たときのサイクロトロン1側のインピーダンスと、結合部から見た時の合成器12側のインピーダンスとが、同じとなるように、静電容量部C2の静電容量の大きさが設定される。
【0025】
短絡部26は、内導体22の他端側において外導体21と内導体22とを接続する部材である。短絡部26は、内導体22及び外導体21の断面形状に対応した環状の板状部材である。短絡部26は、外導体21の側壁31、及び内導体22の側壁33とコンタクト部材46を介して接触している。短絡部26は、軸方向に移動可能であり、軸方向における内導体22と外導体21との接続位置を変更可能である。短絡部26には、外導体21の他端側から延びる操作部47が接続されている。操作部47は、短絡部26を軸方向に往復移動させる部材であり、外導体21の外部に設けられたアクチュエータ(不図示)と接続されている。あるいは、操作部47は、作業者の操作によって短絡部26を移動させてもよい。短絡部26の軸方向の位置を変更することで、合成器12の共振周波数を変更することができる。短絡部26を入力部23側に近い位置に配置するほど、共振周波数が高くなる。
【0026】
以上のような構成を有する高周波合成装置10の動作について説明する。複数の増幅器11から複数の入力部23に高周波の信号が入力されると、静電容量部C1でのカップリングにより高周波の信号が内導体22へ入力される。各入力部23から内導体22へ入力された高周波の信号は、当該内導体22にて合成される。内導体22で合成された高周波の信号は、静電容量部C2でのカップリングにより出力部24からサイクロトロン1へ出力される。
【0027】
ここで、内導体22は外導体21と短絡部26にて短絡されている。従って、外導体21に対する内導体22の電圧は、短絡部26の位置で0となり、短絡部26とは反対の端壁34側へ向かうにしたがって大きくなり、端壁34の位置にて最も大きくなる。TEMモードの高周波の信号のカップリングは、電圧が高い箇所にて行う必要があるため、入力部23は、内導体22の端壁34に対向する位置に設けられる。なお、外導体21に対する内導体22の電圧の大きさは、内導体22の径D1と外導体21の径D2との比に基づいて設定される。
【0028】
高周波合成装置10は、軸方向における信号の回路長を調整することで、信号の共振周波数を調整することができる。すなわち、高周波合成装置10は、短絡部26の軸方向における位置を調整することで、信号の回路長を調整できる。従って、低い周波数の信号、すなわち、波長の長い信号を取り扱う場合、外導体21及び内導体22の径を大きくする事に代えて、外導体21及び内導体22の軸方向の長さを大きくし、入力部23からの短絡部26の距離を大きくすればよい。具体的には、合成器12の共振周波数を100MHzとする場合、当該周波数の波長(λ)は300cmとなる。このとき、TEMモードの信号を扱う合成器12の回路長は「λ/4=75cm」とすればよい。図4に示す構成においては、例えば、コンデンサの容量を無視できる場合には、端壁32の内表面から短絡部26までの距離を回路長と見なしてよい。従って、当該回路長を確保できる程度に、外導体21及び内導体22の軸方向における全長を設定し、短絡部26の位置を微調整することによって、回路長を75cmにすればよい。一方、M010モードの共振器を利用して高周波の信号を合成する場合、特性上の制約から円筒状の導体の径を大きく(例えば共振周波数が100MHzの場合は径が数m程度となる)としなくてはならない。サイクロトロンシステム100の設置の都合上、合成器の径が大きくなることに比べて、軸方向の長さが長くなる方が、利便性が高い。よって、本実施形態の合成器12のように軸方向の長さを長くできる構造は、設置上の利便性が高い。
【0029】
本実施形態に係る高周波合成装置10、及びサイクロトロンシステム100の作用・効果について説明する。
【0030】
本実施形態に係る高周波合成装置10において、複数の増幅器11からの信号を合成する合成器12は、外導体21、及び内導体22を備えており、内導体22の一端側に各増幅器11からの信号を入力する複数の入力部23と、複数の入力部23から内導体22へ入力されて合成された信号を外部へ出力する出力部24と、を備えている。また、合成器12は、内導体22の他端側において外導体21と内導体22とを接続する短絡部26を備えている。このような構成では、信号の共振周波数は、軸方向への内導体22と外導体21の長さ、及びそれに対して設けられた短絡部26の軸方向における位置に基づいて決めることができる。そのため、低い周波数帯の信号を取り使う場合に、外導体21及び内導体22の径を大きくしなくともよい。また、短絡部26は、軸方向に沿って移動可能であり、軸方向における内導体22と外導体21との接続位置を変更可能である。従って、短絡部26の軸方向における位置を調整することで、信号の周波数を変更することができる。以上により、装置の径が大きくなることを抑制し、且つ、信号の周波数を変更可能となる。
【0031】
本実施形態に係るサイクロトロンシステム100は、上述の高周波合成装置10と、高周波合成装置10から出力された高周波電力が入力され、高周波電力によって荷電粒子を加速して荷電粒子線を出射するサイクロトロン1と、を備える。
【0032】
本実施形態に係るサイクロトロンシステム100によれば、上述の高周波合成装置10と同様の作用・効果を得ることができる。
【0033】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0034】
例えば、高周波合成装置の構成は図3及び図4に示すものに限定されず、各構成要素の配置や形状は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。
【0035】
また、高周波合成装置によって合成された高周波電力の出力先としてサイクロトロンを例示したが、他の対象物に使用してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…サイクロトロン、10…高周波合成装置、11…増幅器、12…合成器、21…外導体、22…内導体、23…入力部、24…出力部、26…短絡部、100…サイクロトロンシステム。
図1
図2
図3
図4