(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フォークリフトのフォークの昇降と連動可能に設けられた撮像部により撮影された、位置決めマークが設けられたパレット又は前記パレット上に載置される載置物の撮影画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部より取得した前記撮影画像と、前記位置決めマークの外形と相似の外形を有する基準マークとが重畳された表示画像となる表示画像信号を生成する表示画像信号生成部と
を具備する情報処理装置。
フォークリフトのフォークの昇降と連動可能に設けられたカメラにより撮影された、位置決めマークが設けられたパレット又は前記パレット上に載置される載置物の撮影画像を取得し、
前記撮影画像と、前記位置決めマークの外形と相似の外形を有する基準マークとを重畳した表示画像となる表示画像信号を生成し、
前記表示画像における前記位置決めマーク及び前記基準マークの位置を検出し、
前記位置検出結果に基づいて、前記位置決めマークの中心と前記基準マークの中心との距離が所定の範囲内にあるか否かを判定し、
前記位置検出結果に基づいて、前記位置決めマークの外形と前記基準マークの外形との距離が所定の範囲内にあるか否かを判定する
情報処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るフォークリフトのフォークの位置決めについて説明する。尚、以下の図において、X、Y及びZ軸方向は相互に直交する3軸方向を示し、Z軸方向は高さ方向に相当する。
【0018】
本実施形態では、フォークリフトを用いて載置物としての荷物が載置された荷置きパレット(以下、単にパレットという。)にフォークを差してパレットを持ち上げることにより荷取り、荷置き作業が行われる。パレット又はパレットに載置される荷物には位置決めマークが所定の位置に貼り付けられる。フォークリフトには、フォークの昇降に連動して昇降するカメラが設けられる。
【0019】
本実施形態の情報処理装置では、カメラにより撮影された位置決めマークを含むパレット又は荷物の撮影画像が取得され、当該撮影画像と基準マークとが重畳された表示画像の表示画像信号が生成される。
【0020】
フォークリフトの運転者は、生成された表示画像が表示されたモニタを見ながら、フォークリフトを運転し、フォークの位置がパレットの差込み口に位置するように位置決めした後、フォークを差込口から挿入する。
【0021】
運転者は、モニタに表示される位置決めマークと基準マークとの位置関係を確認することにより、フォークと差込口との位置関係及びフォークのパレットへの差込み量を直感的に把握することが可能となっている。以下、詳細に説明する。
【0022】
以下において、パレットのフォーク差込領域にフォークが十分に挿入された状態を差込時におけるフォークの正位置と称する。フォークがパレット内に十分に挿入された状態とは、フォークが差し込まれ、パレットがフォークリフトにより持ち上げられて荷取り作業が行なわれる際に、パレット上に載置された荷が崩れることなく荷物をパレット上で保持可能な状態を確実に維持できる状態をいう。
【0023】
フォークが正位置にある状態では、典型的には、パレットの差込口が設けられる側面に対してフォークの延在方向がほぼ直交に位置し、かつ、パレットの差込口が設けられる側面をXZ面としたときに、一対のフォークのX軸方向における中央部とパレットのX軸方向における中央部とがほぼ一致し、かつ、フォークがパレット内に十分に挿入された状態となっている。
【0024】
差込時におけるフォークの正位置とは、パレットに対するXYZ方向におけるフォークの位置決めがなされ、フォークを差しこんで荷取り、荷置きの作業をするのに際し、パレット上の荷物の安定した配置状態を維持可能とすることができるフォークの最適な位置を指す。
【0025】
(第1実施形態)
図1はフォークリフトを用いた荷役作業の様子を示す概略側面図である。
図2は、パレット上に荷物が載置された様子を示す概略正面図である。
図3は、パレットにフォークが差し込まれた状態のパレットとフォークの位置関係を説明する概略平面図及び概略側面図を示す。
図4は、
図1に図示されるフォークリフトに搭載される情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【0026】
<パレットの構成>
パレット30は、載置物としての荷物40を載せるための荷役台である。
図1〜
図3に示すように、パレット30は、互いに離間して配置された一対の上板31と下板34と、上板31と下板34との間に設けられた4本の棒状のケタ33とを有する。上板31及び下板34はそれぞれ平面形状が矩形である。
【0027】
4本のケタ33は、互いに平行に離間して配置される。4本のケタ33のうち、2本のケタ33は矩形の上板31及び下板34それぞれの対向する2辺に沿って設けられる。他の2本は、上板31及び下板34の辺に沿って設けられた一対のケタ33により挟まれた領域に配置される。
【0028】
上板31、下板34及びケタ33によりパレット30には3つの空間領域が形成される。棒状のケタ33の長手方向をY軸としたとき、3つの空間領域はX軸方向に並んで位置する。この3つの空間領域のうち両側の2つの空間領域が、後述するフォーク16が差し込まれるフォーク差込領域となる。フォーク差込領域は、図面上Y軸方向に長手方向を有する直方体形状の空間である。上板31、下板34及びケタ33によりフォーク16の差込口32が形成される。
【0029】
パレット30の互いに対向する一対の側面37には、フォークリフト10のフォーク16が差し込まれる差込口32が設けられる。差込口32は、パレット30の互いに対向する一対の側面37にそれぞれ2つずつ配置される。荷役作業の際、荷物40が載置されたパレット30の差込口32が設けられる一側面37にフォークリフト10が対向配置され、フォークリフト10の一対のフォーク16が差込口32に挿入されて荷取り、荷置きの作業が行われる。
【0030】
パレット30又はパレット30上に載置される荷物40には、位置決めマーク50が設けられる。パレット30に位置決めマーク50設けられる場合は、差込口が設けられるパレット30の側面37に設けられる。
【0031】
一般にパレット30上に載置される荷物40は複数の略直方体状の荷が積み重なって構成され、1つのパレット30上に積載される全体の荷物40は略直方体状を有する。荷物40に位置決めマーク50が設けられる場合、荷物40の、差込口が設けられるパレット30の側面に沿った面に設けられる。
【0032】
通常、位置決めマーク50が設けられる荷物40の面は、パレット30の側面37よりも面積が広い。したがって、位置決めマーク50を荷物40側に設ける方が、パレット30の側面側に設ける場合と比較して、位置決めマーク50の大きさ等の設計範囲の自由度が大きく、カメラ22のレンズ選択範囲を広くすることができる。
本実施形態においては、荷物40に位置決めマーク50が設けられる場合を例にあげて説明する。
【0033】
位置決めマーク50は、例えばシール状に形成され、作業者により貼り付け可能に構成される。位置決めマーク50の配置範囲は、パレット30との位置関係、カメラ22の設置場所により、予め設定される。
【0034】
本実施形態においては、位置決めマーク50は円形状の外形を有する。位置決めマーク50に描かれる図柄は特に限定されない。後述する基準マーク60は、位置決めマーク50と相似の円形状の外形を有する。撮影画像に重畳される基準マーク60は、使用される位置決めマーク50と対応して予め準備され、情報処理装置70の図示しない記憶部に記憶されている。
【0035】
フォークリフト10とパレット30とが正位置にある状態で、後述するカメラ22が位置決めマーク50を撮像可能なように、位置決めマーク50の配置可能領域は決定される。位置決めマーク50は、この配置可能領域内に貼り付けられる。位置決めマーク50の貼り付け場所は、カメラ22とフォーク16との位置関係を基に決定される。
【0036】
カメラ22は、位置決めマーク50を含む荷物40の一部を撮影するように構成される。カメラ22には単眼カメラ、ステレオカメラを用いることができ、典型的には単眼カメラが用いられ、ステレオカメラを使用する場合と比較してコストを抑えることができる。
【0037】
カメラ22はフォーク16の昇降と連動して移動可能となっており、カメラ22とフォーク16との距離は変化せず固定されている。カメラ22の設置場所の詳細については後述するが、カメラ22は高さ方向(Z軸方向)においてフォーク16よりも上部に設置される。更に、カメラ22は、一対のフォークリフト10のX軸方向における中央部に設けられる。
【0038】
本実施形態においては、カメラ22は、一対のフォークリフト10のX軸方向における中央部に設けられるので、位置決めマーク50のX軸方向における配置可能領域は荷物40のX軸方向における中央部付近に決定される。作業者は、荷物40のX軸方向における中央部あたりに位置決めマーク50が位置するように配置すればよい。例えば、パレット30の側面37に形成される2つの差込口32は、側面37において、Z軸方向に沿った中心線を軸に線対称に設けられるので、2つの差込口32の中央部あたりを目安にしてX軸方向における中央部を決定することができる。
【0039】
更に、高さ方向(Z軸方向)における位置決めマーク50の配置可能領域は、カメラ22とフォーク16との距離を基に、パレット30の上面からの距離によって決定される。例えばカメラ22とフォーク16との距離との距離が30cmである場合、30cmである場合、パレット30の上面から20cm〜40cmの間に、位置決めマーク50が位置するように配置すればよい。このように、位置決めマーク50の配置可能領域は、カメラ22の位置によって決定される。尚、上記数値は一例であり、これに限定されない。
【0040】
<フォークリフトの構成>
図1に示すように、フォークリフト10は、運転席を備える車体1と、マスト15と、一対のフォーク16と、バックレスト18と、フォークレール(図示せず)と、撮像部としてのカメラ22と、情報処理装置70と、表示装置としてのモニタ21を具備する。
【0041】
フォーク16は、パレット等を持ち上げるのに用いられる。フォーク16は、一方向に延在して形成され、バックレスト18に固定される。
【0042】
バックレスト18は、フォーク16上に載置された荷物がマスト15の後方に落下するのを防ぐための荷受け枠である。バックレスト18は、フォーク16の延在方向に垂直な、高さ方向に沿った平面上に設けられる。
【0043】
フォークレールは、フォークが取り付けられるレールである。フォークレール上でスライドさせることで一対のフォークの間隔は調整可能となっている。フォークレールは、水平面と平行な面内で、フォーク16の延在方向に直交する方向に長手方向を有する。フォークレールは、バックレスト18の矩形状の外枠の向かい合う辺間に亘って設けられる。
【0044】
フォーク16が固定されたバックレスト18は、リフトチェーン(図示せず)により昇降可能に構成される。これによりフォーク16も昇降可能となっている。
【0045】
マスト15は、フォーク16を備えるバックレスト18を上下に昇降させるために必要なレールのような役割を有する。マスト15は運転者が運転席に乗車した際に運転者からみた前方となる車体1の前方に設けられる。
【0046】
撮像部としてのカメラ22は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のイメージセンサを有し、フォークリフト10の前方視野を撮像する。なお、撮像部22は典型的にはCCDカメラ等のビデオカメラである。
【0047】
カメラ22は、例えばフォークレール上に設けられ、X軸方向に沿った長手方向を有するフォークレールの中央部に設けられる。カメラ22は、高さ方向においてフォーク16よりも上部に設けられる。カメラ22はフォークレールに設けられる例に限られず、フォーク16と連動して昇降する位置に設けられていればよい。
【0048】
<情報処理装置の構成>
情報処理装置70は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のコンピュータに必要なハードウェアを有する。CPUが、ROMやHDDに格納されたプログラムをRAMにロードして実行することにより、後述する情報処理装置70の各ブロック動作が制御される。
【0049】
プログラムは、例えば種々の記憶媒体(内部メモリ)を介して情報処理装置70にインストールされる。あるいは、インターネット等を介してプログラムのインストールが実行されてもよい。
【0050】
情報処理装置70として、例えば、PC(Personal Computer)やタブレット端末等が用いられるが、他の任意のコンピュータが用いられてもよい。
【0051】
情報処理装置70は、画像取得部71と、表示画像信号生成部72と、円検出部73と、位置検出部74と、判定部75と、音声信号生成部76と、出力部77とを具備する。
【0052】
画像取得部71は、カメラ22により撮影された撮影画像を取得する。
【0053】
図5は、モニタ21に表示される表示画像例であって、位置決め時における位置決めマークと基準マークとの位置関係を説明する図である。フォーク16が差し込まれる差込口32が設けられる側面37をXZ面としたとき、
図5(A)は、XZ面におけるフォークの位置決めをする際にモニタ21に表示される表示画像の一例である。
図5(B)は、XZ面におけるフォークの位置決めが行われた様子を示す表示画像の一例である。
図5(C)は、フォーク16のパレット30への差込方向(Y軸方向)におけるフォークの位置決めをする際にモニタ21に表示される表示画像の一例である。
【0054】
表示画像信号生成部72は、モニタ21の表示部211に表示される表示画像の表示画像信号を生成する。表示画像信号生成部72は、画像取得部71で取得した撮影画像と基準マーク60とが重畳された表示画像となる表示画像信号を生成する。
【0055】
また、表示画像信号生成部72は、撮影画像と基準マーク60とが重畳された表示画像の位置決めマーク50の円形の輪郭50Bが強調表示された表示画像となる表示画像信号を生成することが可能に構成される。
図5(A)〜(C)に表示画像の一例を示す。位置決めマーク50の円形の輪郭50Bの強調表示は、後述する円検出部73にて円が検出されたときに実行される。
【0056】
また、表示画像信号生成部72は、撮影画像と基準マーク60とが重畳された表示画像に、位置決めマーク50の中心50Aと基準マーク60の中心60Aとを結ぶ線分55が更に重畳表示された表示画像となる表示画像信号を生成することが可能に構成される。
図5(A)に表示画像の一例を示す。線分55の表示は、後述する位置検出部74による検出結果を基に実行される。
【0057】
表示画像信号生成部72により生成された表示画像信号は、出力部77に送信される。本実施形態においては、位置決めマーク50及び基準マーク60のそれぞれの外形は円形状を有する。モニタ21上で位置決めマーク50の外形と基準マーク60の外形とがほぼ重なったときが、フォークの差込時におけるフォークの正位置となる。
【0058】
円検出部73は、カメラ22で撮影された撮影画像における位置決めマーク50の円形を検出する。円検出部73により撮影画像上に円が検出されると、その検出結果は表示画像信号生成部72に送信される。
【0059】
円検出部73にて位置決めマークの円形が検出されることにより、フォーク16が差し込まれる差込口32が配置されるパレット30の側面をXZ平面としたときに、フォーク16の延在方向がY軸方向とほぼ平行な位置関係となったとみなされる。尚、ここで、検知される円とは真円の他、ほぼ真円をも含む。
【0060】
例えば、差込口32が配置されるパレット30の側面37をXZ面としたときにパレット30の側面37におけるX軸方向に対して垂直ではなく斜めにフォーク16が差し込まれる場合、言い換えると、Y軸に対して角度を持った方向にフォーク16が差し込まれる場合、撮影画像中の位置決めマークの外形は真円ではない歪んだ円形状となる。
【0061】
このように、パレット30の側面37に対して垂直ではなく斜めにフォーク16が差し込まれる場合であっても、その状態でフォーク16がパレット30内に十分に差込可能で、フォーク16を差込んだ状態で荷取り及び荷置き作業で問題がない場合がある。このような荷役作業で問題のない範囲のパレット30の側面に対して斜めにフォーク16が差し込まれていても、その斜めの度合いが小さく荷役作業に影響のない場合が含まれるように、円検出部73は真円の他及びほぼ真円も円として検出するよう構成される。
【0062】
表示画像信号生成部72は、円検出部73の検出結果に基づき、撮影画像と基準マークとが重畳された表示画像のうち位置決めマークの円形の輪郭が強調表示された表示画像となる表示画像信号を生成する。
【0063】
強調表示では、モニタ21に表示される表示画像中、位置決めマーク50がどこにあるかがすぐに認識できるように、例えば輪郭50Bを着色して表示する。本実施形態においては、例えば位置決めマーク50の円形の輪郭50Bは赤色に着色されて表示され、基準マーク60の円形の輪郭は緑色で表示される。
【0064】
位置決めマーク50の円形の輪郭50Bが強調表示されることにより、運転者は、モニタ21を見ながら、フォークリフト10が荷物40に対して正対していることを直感的に把握することができる。
【0065】
尚、円形の輪郭の強調表示という報知方法に加えて、フォークリフト10が荷物40に対して正対している報知を文字で示して表示画像として表示してもよい。
【0066】
このように、位置決めマーク50及び基準マーク60それぞれの円形の輪郭が強調表示された表示画像がモニタ21に表示されることにより、運転手は位置決めマーク50と基準マーク60との位置関係を直感的に把握することができる。尚、強調表示時の着色の色はこれらに限定されず、位置決めマークが設けられるパレットや荷物の色によって、運転者が任意の色を選定できるようにしてもよい。また、強調表示は着色表示に限定されず、太線で強調する等してもよい。
【0067】
位置検出部74は、表示画像における基準マーク60及び位置決めマーク50の位置を検出し、基準マーク60と位置決めマーク50それぞれの中心の座標及び半径を検出する。検出結果は、表示画像信号生成部72及び判定部75に送信される。
【0068】
表示画像信号生成部72は、位置検出部74からの基準マーク60と位置決めマーク50それぞれの中心座標の検出結果に基づき、撮影画像と基準マーク60とが重畳された表示画像に、位置決めマーク50の中心50Aと基準マーク60の中心60Aとを結ぶ線分55が更に重畳表示された表示画像となる表示画像信号を生成する。中心間を結ぶ線分は例えば着色されたり、太線で強調される等して強調表示されてもよい。
【0069】
これにより、運転者は、線分55の長さ及び線分55の配置位置から、位置決めマーク50と基準マーク60との位置関係、延いては、差込口32とフォーク16の先端部16Aとの位置関係を直感的に把握することができる。そして、運転者は、モニタ21の表示部211に表示される表示画像を確認しながら、位置決めマーク50の中心50Aと基準マーク60の中心60Aとがほぼ一致するよう線分55の距離がより短くなるように、フォークリフト10を操作する。これにより、フォーク16のXZ面における位置決めが行われる。
【0070】
判定部75は、位置検出部74からの検出結果に基づき、基準マーク60と位置決めマーク50それぞれの中心間距離が所定の範囲であるか否かを判定する。更に、基準マーク60の半径値Rと位置決めマーク50の半径値rとの差であるR−rの値が所定の範囲であるか否かを判定する。判定結果は、表示画像信号生成部71及び音声信号生成部76に送信される。
【0071】
基準マーク60と位置決めマーク50それぞれの中心間距離が所定の範囲である場合、XZ面におけるフォーク16の先端と差込口32との位置決めがなされた状態である。
【0072】
基準マーク60の半径値Rと位置決めマーク50の半径値rとの差が所定の範囲である場合、フォーク16がパレット30内に正位置で差し込まれ、XYZ方向におけるフォーク16と差込み口32との位置決めがなされた状態である。
【0073】
音声信号生成部76は、判定部75から、基準マークの半径値Rと位置決めマークの半径値rとの差であるR−rの値が所定の範囲であるとの判定結果を受信すると、運転者に対して、フォーク16が正位置にある、すなわちフォーク16の位置決めが終了したことを報知するための音声を生成する。音声信号生成部76で生成された音声信号は出力部77に送信される。
【0074】
尚、音声信号生成部76は、フォーク16が正位置にあることを報知するための音声を生成する他、円検出部73にて円形が検出されたときに円が検出されたことを報知するための音声や基準マークと位置決めマークの中心間距離が所定の範囲であるか否かを報知するための音声を生成してもよい。
【0075】
また、表示画像信号生成部72は、判定部75からの基準マークと位置決めマークの中心間距離が所定の範囲であるという判定結果を基に、フォーク16の位置決めが終了したという報知が文字で表示された表示画像を生成してもよい。
【0076】
音声信号生成部76により生成された音声信号は、出力部77に送信される。出力部77は、表示画像信号及び音声信号をモニタ21に出力する。
【0077】
表示装置としてのモニタ21は、表示部211と音声出力部としてのスピーカ212を備える。モニタ21は、運転席に座る運転者が確認可能な位置に設けられる。
【0078】
表示部211は、カメラ22が撮像した重畳処理前の画像や、情報処理装置70から出力された表示画像信号を基にした表示画像を表示可能に構成される。表示部211は、例えば、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を用いた表示デバイスである。表示部211は、ユーザの操作を入力するための入力部を有する構成であってもよい。当該入力部としては、例えば、タッチパネルや、キーボード等の操作デバイスが採用される。
【0079】
スピーカ212は、情報処理装置70から出力された音声信号を基に音声を発する。このようにスピーカ79を設けることにより、運転者は視覚による支援情報に加え、聴覚からもフォーク16とパレット30との位置決めの支援情報を得ることができる。
【0080】
<位置決め方法>
次に、上述の情報処理装置70を用いた、フォークリフト10による荷取り時のフォーク16とパレット30の差込口32との位置決め方法について説明する。
図5は、モニタ21に表示される表示画像例であって、位置決め時における位置決めマークと基準マークとの位置関係を説明する図である。
図6は、上述の情報処理装置70を用いた撮影画像の画像処理に係る情報処理方法の一例を示すフロー図である。
図6は、円検出部73、位置検出部74、判定部76にかかわるフロー図となっている。
【0081】
以下、
図1、
図4、
図5及び
図6を参照しながら、情報処理装置70による表示画像の画像処理に係る情報処理方法の説明を交えて、フォーク16の位置決めのステップについて説明する。
【0082】
図1に示すように、フォークリフト10がパレット30の差込口32が設けられる側面37と対向するように配置されると、まず、運転者の操作により、フォーク16と持ち上げる対象のパレット30との高さ方向における位置がだいたい同じとなるようにパレット16が上昇される。
【0083】
次に、
図4に示すように、カメラ22により位置決めシール50を含む荷物40の一部が撮影される。情報処理装置70の画像取得部71により、カメラ22で取得された撮影画像が取得される。
【0084】
表示画像信号生成部72は、画像取得部71で取得された撮影画像と、基準マーク60とが重畳された表示画像となる表示画像信号を生成する。基準マーク60は使用する位置決めシール50と対応して予め準備されるものであり、表示画像上、位置決めシール50は常に同じ大きさに表示される。
【0085】
生成された表示画像信号は出力部77から表示装置21に送信される。表示装置21の表示部211には送信された表示画像信号に基づく表示画像が表示される。
【0086】
次に、
図6に示すように、円検出部73により撮影画像内の円検出が行なわれる(S101)。
図4に示すように、検出結果は表示画像信号生成部72に送信される。表示画像信号生成部72は、円検出部73にて円が検出されたとの結果を受信すると、撮影画像と基準マーク60とが重畳された表示画像中の位置決めマーク50の輪郭50Bが強調表示された表示画像の表示画像信号を生成する。本実施形態においては、位置決めマーク50の輪郭50Bは赤色に着色されて強調表示される。尚、円形の基準マーク60の輪郭は緑色に着色されて表示される。
【0087】
円検出部73にて位置決めマーク50の円形状が検出されることにより、フォーク16が差し込まれる差込口32が配置されるパレット30の側面をXZ平面としたときに、フォーク16の延在方向がパレット30におけるY軸方向とほぼ平行な位置関係となったとみなされ、フォークリフト10が荷物40の真正面に位置したとみなされる。
【0088】
円検出部73にて位置決めマーク50の円形が検出されるまでは、表示画像上、位置決めマーク50の輪郭50Bは強調表示されない。運転者は、表示装置21に表示される表示画像を見ながら表示される位置決めマーク50の輪郭50Bがほぼ真円となるように、フォークリフト10を操作し移動させる。そして、位置決めマーク50の輪郭50Bが強調表示されていることが表示部211上で確認されることにより、フォークリフト10が荷物40の真正面に位置したことが把握可能となる。
【0089】
次に、
図6に示すように、位置検出部74により、撮影画像と基準マーク60とが重畳された表示画像中の位置決めマーク50の輪郭50Bが強調表示された表示画像が用いられて、基準マーク60及び位置決めマーク50の位置が検出され、基準マーク60の中心60Aと位置決めマーク50の中心60Bそれぞれの座標と、基準マーク60と位置決めマーク50それぞれの半径値が検出される(S102)。
図4に示すように、検出結果は、表示画像信号生成部72及び判定部75に送信される。
【0090】
表示画像信号生成部72により、位置検出部74の検出結果を基に、撮影画像と基準マーク60とが重畳された表示画像の位置決めマーク50の輪郭50Bが強調表示され、更に基準マーク60の中心60Aと位置決めマーク50の中心50Aとを結ぶ線分55が表示された表示画像となる表示画像信号が生成される。
【0091】
生成された表示画像信号は、表示装置21に送信され、送信された表示画像信号を基に表示部211に表示画像が表示される。
図5(A)は表示画像の一例である。
図5(A)に示すように、表示部211には、撮影画像と基準マーク60とが重畳された表示画像の位置決めマークの輪郭50Bが強調表示され、更に基準マーク60の中心60Aと位置決めマーク50の中心50Aとを結ぶ線分55が重畳された表示画像が表示される。
【0092】
運転者は、表示部211に表示される表示画像を確認しながら、位置決めマークの中心50Aと基準マークの中心60Aとがほぼ一致するよう線分55の距離がより短くなるように、フォークリフト10を操作する。これにより、XZ面における位置決めが行われる。
【0093】
次に、
図6に示すように、判定部75により、位置検出部74からの検出結果を基に、位置決めマークの中心50Aと基準マークの中心60Aとの中心間距離が所定の範囲にあるか否かが判定される(S103)。S103でYesと判定されるとS104に進む。S103でNoと判定されるとS101に戻り、ステップが繰り返される。
図4に示すように、判定部75による判定結果は、表示画像信号生成部72及び音声信号生成部76に送信される。
【0094】
判定部75にて中心間距離が所定の範囲にあると判定されることにより、XZ平面におけるフォーク16の位置決めがなされたとみなされる。すなわち、フォーク16の延在方向がパレット30におけるY軸方向とほぼ平行な位置関係となり、かつ、フォーク16の先端16Aが差込口32と対向しているとみなされる。
【0095】
判定部75により中心間距離が所定の範囲にあると判定されると、表示画像信号生成部72により、線分55が強調表示される表示画像の表示画像信号が生成される。生成された表示画像信号は表示装置21に送信され、表示部211に表示される。線分55の強調表示は、例えば、中心間距離が所定の範囲にない場合とは異なる色に線分55が着色されて表示されることにより行われる。これにより、運転者は、線分55の色の変化を画像表示上で確認することにより、直感的にXZ平面におけるフォーク16の位置決めがなされたと認識することができる。
【0096】
図5(B)は、中心間距離が0であり、所定の範囲にあると判定されたときの表示画像の一例である。
図5(B)に示すように、位置決めマーク50の中心50Aと基準マーク60の中心60Aとが重なりあっている。このように中心が重なる場合、線分55は非表示となり、重なり合った中心50A及び中心60Aを表す点が表示される。
【0097】
また、判定部75により中心間距離が所定の範囲にあると判定されると、音声信号生成部76により、XZ面におけるフォーク16の位置決めがなされたことを報知する音声信号が生成される。生成された音声信号は表示装置21に送信され、スピーカから音声が出力される。
【0098】
運転者は、表示画像及び音声からXZ面におけるフォーク16の位置決めがなされたことを確認すると、位置決めマーク50と基準マーク60とが一致するように、フォークリフト10を操作する。すなわち、フォークリフト10は、パレット30のY軸方向に平行に移動するように操作される。これにより、フォーク16がパレット30内に差し込まれる。運転者は、位置決めマーク50と基準マーク60との位置関係を表示画像で確認することにより、フォーク16の差込量を直感的に把握することができる。
【0099】
判定部75にて基準マーク60の半径Rと位置決めマーク50の半径rとの差であるR−rの値が所定の範囲にあると判定されることにより、Y軸方向におけるフォーク16の位置決めがなされ、安全な荷取り作業に十分なフォーク16の差込量があるとみなされる。
【0100】
判定部75により半径Rと半径rとの差であるR−rの値が所定の範囲にあると判定されると、表示画像信号生成部72により、XYZ面におけるフォーク16の位置決めがなされた、すなわちフォーク16の位置決めが終了したことを報知する表示がなされた表示画像となる表示画像信号が生成される。生成された表示画像信号は表示装置21に送信され、表示部211に表示される。運転者は、表示部211に表示された位置決め終了報知を確認することにより、フォーク16の位置決めが終了したことを認識することができる。
【0101】
更に、判定部75により半径Rと半径rとの差であるR−rの値が所定の範囲にあると判定されると、音声信号生成部76により、XYZ面におけるフォーク16の位置決めがなされた、すなわちフォーク16が正位置に配置されフォーク16の位置決めが終了したことを報知する音声信号が生成される。生成された音声信号は表示装置21に送信され、スピーカから音声が出力される。運転者は、スピーカからの音声により、フォーク16の位置決めが終了したことを認識することができる。
【0102】
以上のように、本実施形態においては、位置決めマークが撮影された撮影画像と、位置決めマークと相似する基準マークとが重畳された表示画像を用いてフォークの位置決めが行われるので、表示画像上で位置決めマークと基準マークとがほぼ一致するようにフォークリフトを操作することにより、フォークの差込口に対する位置決めに加え、フォーク差込み量を表示画像により確認しながらフォークの差込方向における位置決めをも行うことができる。これにより、フォークのパレット内への差込みが不十分なことにより生じる荷崩れ等を防止することができ、安全な荷役作業が可能となる。
【0103】
本実施形態においては、位置決めマークの輪郭の円形が検出され輪郭が強調表示されることにより、フォークリフトと荷物とが正対し、フォークリフトがフォーク差込時に適した位置にいることが運転者に対して報知される支援が行われる。
【0104】
また、位置決めマークの中心と基準マークの中心とを結ぶ線分が表示されることにより、XZ面におけるフォークと差込口との位置決めの支援が運転者に対し行われる。
【0105】
また、位置決めマークの中心と基準マークの中心との距離が所定の範囲となった後、すなわちXZ面におけるフォークと差込口との位置決めが行われた後、フォークリフトがパレットに近づくように運転されることにより、Y軸方向におけるフォークの位置決めが行われる。パレットへのフォークの差込量は、それぞれ輪郭が強調表示された位置決めマークと基準マークそれぞれの半径値の差に反映される。表示画像に表示される基準マークの大きさは変化せず、位置決めマークの輪郭の大きさのみがパレットとカメラとの距離によって変化するので、位置決めマークの輪郭の大きさの変化と、位置決めマークと基準マークとの位置関係から、パレット内へのフォークの差込量を直感的に把握することができる。このように、撮影画像と基準マークとを重畳させた表示画像とすることにより、運転者に対してY軸方向におけるフォークの位置決めの支援が行われる。
【0106】
本実施形態は、特に、高所での荷役作業において有効である。高所での荷役作業は、目視でのフォークと差込口との正確な位置決めが困難であるため、上記実施形態のように位置決めマークと基準マークとを用いた位置決めは有効である。
【0107】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態においては、位置決めマークを1つ設けたが複数設けても良い。例えば
図7に示すように、4つの位置決めマーク51を、荷物40の、差込口32が設けられるパレット30の側面に沿った矩形状の面の四隅に設けても良い。
【0108】
この場合においても、上記実施形態と同様に、位置決めマーク51の円形を検知し、位置決めマーク及び基準マークそれぞれの中心座標及び半径を用いてフォークの位置決めを行う。このように複数の円形の位置決めマーク51を設けることにより、フォーク位置決め精度が向上する。
【0109】
(第3実施形態)
上述の実施形態においては、表示画像信号生成部は、撮影画像と、基準マーク60とを重畳する表示画像を生成していたが、基準マーク60に加え、フォーク差込み前の基準マーク85と、制限用の基準マーク90を更に撮影画像に重畳する表示画像を生成してもよい。尚、フォーク差込み前の基準マーク85、制限用の基準マーク90のいずれか一方を設けてもよい。
【0110】
上述の実施形態で説明したように、基準マーク60を用いることにより、フォークが差込口から差し込まれた以降のフォークのパレットへの差込量が十分か不十分であるかを把握することができる。
【0111】
フォーク差込前の基準マーク85は、基準マーク60と相似する円形の外形を有し、基準マーク60の中心と同じ位置に中心を有する。フォーク差込前の基準マーク85の半径は基準マーク60の半径よりも小さく、フォーク差込間の基準マーク85は、基準マーク60の内部に位置する。
【0112】
フォーク差込前の基準マーク85は、フォーク差込前のXZ面におけるフォークの位置決め時に用いられる。位置決めマーク50の輪郭がフォーク差込前の基準マーク85と重なるとき、フォーク16の先端がパレット30内に差し込まれる直前の状態であることを示す。
【0113】
フォーク差込前の基準マーク85内に位置決めマーク50の輪郭50Bが位置する状態で、位置決めマーク50の中心50Aと基準マーク60の中心60Aとの間の距離が所定の範囲になるように、フォークリフト10が運転されることにより、フォーク16の先端がパレット30に差し込まれていない状態でXZ面におけるフォークの位置決めを行なうことができる。従って、フォーク16の位置決め時にフォーク16の先端がパレット16や荷物40に衝突して荷崩れ等が生じることを防止できる。
【0114】
制限用の基準マーク90は、基準マーク60と相似する円形の外形を有し、基準マーク60の中心と同じ位置に中心を有する。制限用の基準マーク90の半径は基準マーク60の半径よりも大きい。制限用の基準マーク90は、基準マーク60を囲むように位置する。
【0115】
制限用の基準マーク90は、フォーク差込後のフォーク16の差込量の限界を示すものである。位置決めマーク50の輪郭50Bが制限用の基準マーク90よりも大きくなると、フォーク16が必要以上にパレット30に差込まれ、パレット30とフォークリフト10とが衝突してパレット30が破損する恐れが生じることを示す。
【0116】
このように、制限用の基準マーク90よりも位置決めマーク50が大きくならないようにフォークリフト10が運転されることにより、パレット30とフォークリフト10の衝突発生を防止し、パレット30の破損を防止することができる。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0118】
例えば上記実施形態では、情報処理装置70とカメラ22が別体的に設けられた構成であるが、これらが一体的に設けられていてもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、荷物に位置決めシールが設けられていたが、パレットの差込口が設けられる側面に位置決めシールが設けられても良い。パレットに位置決めシールが設けられる場合、カメラは一対のフォークとほぼ同じ高さに位置するように設置される。
【0120】
また、上記実施形態においては、1種類の大きさの位置決めシールを例にあげて説明したが、複数種類の大きさの位置決めシールを使用可能にしてもよい。この場合、大きさの異なる位置決めシール毎に、表示画像に表示される大きさが異なる基準マークが予め用意される。例えば大きさの違いによって異なる識別子を位置決めシールに印刷等により付与し、情報処理装置にて、撮影された位置決めシールの撮像画像からパターン認識等により識別子を判別して、それぞれの識別子に対応した基準マークが表示画像に表示されるように構成してもよい。
【0121】
さらに、上記実施形態においては、フォークリフト10は運転者の乗車が必要な有人移動体であるが、無人移動体であってもよい。無人移動体の場合、表示装置としてのモニタは、フォークリフトが走行する作業場と離れた別室に設けられる。作業者は、別室に設けられたモニタの表示画像を確認しながら、フォークリフトを遠隔操作することが可能となっている。