(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態が示される添付図面を参照しながら、以下で本明細書における実施形態が詳細に説明される。しかし、本明細書で説明される実施形態は、多くの様々な形態で具現化され得、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されてはならない。図面の構成要素は、必ずしも互いに一定の縮尺で描かれているわけではない。全体を通して、同様の番号は同様の構成要素を表す。
【0025】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的とし、限定することは意図されない。本明細書で使用される場合、単数形の「1の(a)」、「1の(an)」、及び「前記(the)」は、文脈上そうでないことが明示されない限り、複数形も同様に含むことが意図される。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含む(including)」という用語は、本明細書で用いられるとき、記載される特徴、整数、ステップ、工程、要素部材、及び/又は構成要素の存在を明記するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、工程、要素部材、構成要素、及び/又はその集合の存在又は追加を除外しないことがさらに理解される。
【0026】
別段の定義がされない限り、本明細書で用いられる(技術用語及び科学用語を含む)すべての用語が、一般的に理解される意味と同じ意味をもつ。本明細書で用いられる用語は、本明細書の文脈と関連分野とにおけるそれらの用語の意味と一致する意味をもつと解釈されなければならず、本明細書でそのように明示的に定義されない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味に解釈されないことがさらに理解される。
【0027】
本技術は、本実施形態に従った、方法、装置(システム)、及び/又はコンピュータプログラム製品のブロック図及び/又はフローチャート図を参照しながら以下で説明される。ブロック図及び/又はフローチャート図のブロック、及び、ブロック図及び/又はフローチャート図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実行され得ることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、及び/又は他のプログラム可能データ処理装置の、プロセッサ、制御装置、又は制御ユニットに提供されて、機械を生成し得、それにより、命令が、コンピュータ及び/又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行されて、ブロック図及び/又はフローチャートの1つ又は複数のブロックにおいて指定される機能/処理を実行するための手段を生成する。
【0028】
本明細書における実施形態が、以下で図面を参照しながら説明される。
【0029】
最も一般的な原発肝腫瘍である肝細胞癌(HCC)は、全身療法に対する耐性が強いことで悪評が高く、また集中的な局所療法の後でも再発することが多い。HCCは、脈管形成、すなわち新しい毛細血管の成長に依存して、腫瘍に酸素と栄養物とを供給する。腫瘍脈管形成は、成長因子と呼ばれるタンパク質により刺激される。主な脈管形成刺激成長因子は、脈管内皮成長因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)と呼ばれる。最も悪性の腫瘍は、多量のVEGF及び他の成長因子を生成して、腫瘍のための専用血液供給路を生成する。腫瘍における新しい血管形成の特徴は、腫瘍の構造上及び機能上の異常性である。これが、低酸素分圧により特徴付けられる異常な腫瘍微小環境をもたらす。肝臓は、動脈血と静脈血との両方による灌流を受け、結果として生じる異常な微小環境が、より侵攻性の悪性腫瘍を選択する。腫瘍内血管の脈管分布及び形態変化は、腫瘍の悪化における様々な段階を反映する。
【0030】
脈管過多の特徴と病態生理学との間には強い相関があるので、HCCの血行動態と脈管形成とを理解することは、精密な像形成診断、治療、及び追跡調査のために重要である。多くの場合、腫瘍の成長中、腫瘍は低酸素状態になる。このような条件下では、低酸素誘導因子−1α(HIF−1α)は、低酸素応答エレメント及びHIF−1αに作用することによる、VEGF及びエリスロポエチンなどの脈管形成に関係した分子の転写活性を促進する。異形結節における門脈路の周囲の肝細胞領域は、肝洞様毛細血管化及び不対動脈を伴うものを含め、HIF−1αに対して強度に陽性であるのに対し、この分子は、周辺の肝臓においてわずかに発現されることが報告されている。より増加した発現パターンであるHIF−1αの細胞質の過剰発現及び核内発現が、HCCにおいてさらに観測されており、このことが、細胞質HIF−1αが、活性HCC細胞内の核内に動かされた可能性があり得ることを示唆する。HIF−1αは、VEGFなどの低酸素応答エレメントを内包する遺伝子の上向き制御に関与し、このことが、異形結節の門脈路の周囲の領域におけるHIF−1αの発現の増加が、VEGFとその受容体との発現の増加と、その後の、洞様毛細血管化と、異形結節、さらにはHCCにおける脈管形成における不対動脈の数の増加の原因であり得ることを示唆する。これらの発現は、結節の悪性の程度の上昇に伴って、結節全体内に徐々に広がる。CT、MR、又は超音波像形成システムを使用した肝動脈造影は、わずかに強調された高分化型の病巣を提供し、この部分は、周辺の高度異形結節における洞様毛細血管化及び不対動脈の発現よりも多くの発現を示す。このことは、多段階肝癌発生中における脈管形成の段階的な増加を示し、病巣における悪性で低分化型の組織の反復置換により、最終的には進行HCCに発達する。HCCへの進化中の結節内血行動態における逐次的な変化は、肝動脈及び門脈の既存の変性と、新脈管形成された動脈の段階的な増加とを含む。
【0031】
微小気泡超音波造影剤の進歩が、肝臓に関する従来のBモード及びドップラー超音波技術の限界のいくつかを解決しており、実質の微細脈管の表示を可能にする。造影超音波検査(CEUS:contrast−enhanced ultrasonography)モードは、組織からの線形超音波信号を打ち消して、微小気泡からの非線形応答を使用する。病巣の造影パターンは、造影CT及び造影磁気共鳴像形成と同様にして、ただしリアルタイムで、かつ音波検査者の完全な制御下で、すべての血管相(動脈優位相、門脈優位相、血管後期相、及び後血管相)の間に検査され得る。
【0032】
造影超音波(CEUS)は最近導入され、多くの状況で、特に、限局性肝病巣の検出及び特性評価で日常的な利用が推奨される。最近、CEUSの使用に関する指針が、患者の扱いを改善するために公開された。ヨーロッパ超音波医学会(EFSUMB:European Federation of Societies for Ultrasound in Medicine and Biology)指針は、将来期待される臨床試験の結果を含む包括的な文献調査に基づく。肝腫瘍の検出、肝腫瘍の特性評価(良性か悪性か)、局所アブレーション治療を監視すること、並びに、肝臓血管を像形成すること、及び、肝通過時間を測定すること、といった異なる目的のために、肝臓における造影剤の使用が可能である。
【0033】
超音波検査造影剤と造影特有像形成技術との発展により、CEUSは、限局性肝病巣の血流灌流を可視化する機能を大幅に改善した。微細流像形成(MFI:Micro−flow imaging)は、超音波法を使用することにより血管造影像形成を実現する。これは、低メカニカルインデックス(MI:mechanical index)CEUSと累積的な像形成技術とを使用して、高送信パワー超音波の放射によるフラッシング後に血管を示す新しい造影超音波検査法である。まず、高送信パワー超音波が、走査ボリューム内の微小気泡を破壊し、次に、低送信パワーにおける高調波像形成モードを使用することにより、走査ボリューム内への微小気泡の補充が観測される。高送信パワー超音波の放射直後の時点では、小血管内の微小気泡の数がまだ少ない。従って、従来の造影像形成では、小血管が可視化されない。最大ホールディング像は、これらの血管内における微小気泡の数が非常に少ない場合、又は、流れが非常に遅い場合でも、循環中の微小気泡を検出することにおいて従来の造影像より高感度であり、微細血管の可視化において非常に高効率である。従って、MFIの原理は、高送信パワーでのフラッシング直後、超音波検査システムが、最大ホールディング像処理を開始して、動く気泡の位置を高感度で追跡し、微細血管を表示することである。肝臓内に構築された微細血管は、最後に、洞様毛細血管内に流入する微小気泡により覆われる。
【0034】
HCCは、一般的には、血管過多腫瘍である。肝病巣の大部分は、動脈優位相において均一又は不均一な超高コントラストを示すが、腫瘍内血管は、対象とされないCEUSにより動脈優位相において常に示されるわけではない。MFIは、脈管構造を、高信頼度で詳細かつ明確に示した。微細脈管の変化は、HCCの病理的な差異に適切に相関したMFIによりレンダリングされた。
【0035】
熱アブレーションは、限局性結節疾患の安全かつ効果的な治療のための低侵襲像支援療法であり、主に、ラジオ波アブレーション(RFA)及びマイクロ波アブレーション(MWA:radiofrequency ablation)が挙げられる。コンピュータ支援熱アブレーション計画ツールは、3Dで腫瘍ボリュームと複合アブレーションとの妥当な重なり領域を幾何学的に分析する、時間効率の高い製品である。コンピュータモデリングの観点では、任意形状の計画対象ボリューム(PTV)の完全壊死率は、重要であるが、唯一の尺度というわけではない。例えば、PTVは、腫瘍ボリュームと腫瘍境界の周辺における5mm〜10mmのユーザー設定安全裕度との幾何学的組み合わせであり得る。適切な熱計画は、ユーザーが、副次的な損傷を最小化するのと同時に、最小数のアブレーションで大きな任意形状のPTVのカバー域を処置することを可能にする。限定としての手法ではないが、より一般的には、アブレーション数の推定値は、例えば、各位置における腫瘍の寸法及び形状、選択されたアブレーションプローブに対する推定アブレーション寸法、腫瘍部位に対する大きな血管の近さ、皮膚エントリーポイントを基準とした接近方向といった、いくつかの検討事項に基づく。大きな腫瘍に対する熱アブレーション治療は、場合によっては、任意形状の計画対象ボリュームにおいて完全なカバーには及ばないことに起因して、より高い局所再発率を示す。理想的な状況は、十分なアブレーションによりPTVのカバー率が100%であること、すなわち、未処理部位がまったくないことであるが、胆嚢、腸、血管排液系などの重要な解剖学的構造の損傷回避が考慮される場合は、残念ながら避けられないことがある。言い換えると、多パラメータトレードオフに起因して、複雑な治療条件において100%のアブレーションカバー率を達成することは非現実的である。
【0036】
加えて、a)大きな病巣に対して過度に多いアブレーションとそれに伴う針の軌跡とが、凝固異常を患う患者の合併症発生率を高めることと、b)適切な計画アルゴリズムがアブレーションカバー率と副次的な重要構造の損傷との間のトレードオフを実施しなければならないことと、c)コンピュータ支援計画が完全である場合もあるが、実際の針の軌跡は、人間による操作中に、計画された軌跡に対して常にバイアスを含むことと、にさらに起因して100%のアブレーションカバー率を達成することは実際には不可能である。従って、未処理部位、すなわち、自動計画工程又は現実の術中工程の結果における何らかの事態は避けられない。一般的に、対象部位のカバー率は約90%〜95%に設定され、その結果、5%〜10%が未処理部位の許容値となる。
【0037】
PTVの重なりを最大化する目的において、現在のコンピュータ支援計画アルゴリズムは、複合アブレーションの形態構造のみに基づく。複数回の反復中におけるアルゴリズム最適化のための制限は、ボクセル内のアブレーション未処理部位又は副次的な損傷の最小許容量である。アブレーション未処理部位が局所再発の可能性を伴うことは明らかである。再発は、低分化型の組織と相関が高い。未処理領域が高密度の腫瘍内脈管分布を伴う低分化型の組織をちょうど含有している場合、極めて危険な状況である。
【0038】
本発明において、本発明者らは、アブレーション未処理部位が微細血管構造を含む可能性の低い、複合アブレーションのより最適な領域を探索することにより、熱アブレーション計画を改善することを試みる。利点は、アブレーション未処理部位にかかわらず、再発が減ることである。
【0039】
典型的には、長尺の細長いプローブなどのアブレーション装置が、アブレーションされる腫瘍、病巣、又は他の組織内に挿入され、多くの場合に摂氏50度と考えられる、その中の細胞を殺すのに十分な温度まで周辺組織を加熱するため、プローブ先端が高いラジオ周波数を使用して加熱される。本出願は、主に、肝臓、腎臓、胸、肺、及び他の部位を含む多くの位置で使用され得るラジオ周波数(RF:radio frequency)アブレーション技術について説明するが、寒冷アブレーション、マイクロ波、及び他のアブレーション及び治療法が同様に計画され得ることが理解されると考えられる。
【0040】
アブレーション域は、典型的には、プローブ先端に相対して位置し、長球面形状又は楕円形状であり、球は、等しいa、b、c軸をもつ楕円であることに留意されたい。腫瘍が所与のプローブ寸法に対するアブレーション領域より大きいとき、執刀医は、2つ以上のプローブ位置を選択して、腫瘍塊全体をカバーするように重なる複数のアブレーションされた領域を生成する。典型的なアブレーション工程は、対象領域を規定することと、所望の位置にプローブを挿入することと、約15分間プローブに電力を印加してプローブ先端を昇温させることとを伴う。
【0041】
腫瘍の周囲に、腫瘍塊全体とバッファ領域(例えば、典型的には、約1センチメートル)とを内包する計画対象ボリューム(PTV)が規定される。これは、腫瘍の再発を減らすために、バッファ域内で観測される腫瘍細胞と顕微鏡で視認される大きさの腫瘍細胞とのすべてのアブレーションを確実なものとする。上述のとおり、いくつかの例示的な実施形態は、機械により実行される肝臓の超音波データの分析に基づいて、自動的又は半自動的にアブレーション領域が計画される機構の提供を可能にし得る。いくつかの場合において、データは、好ましくは、超音波などのリアルタイム像形成法により取得され得る。
【0042】
本明細書で説明される実施形態は、肝臓、又は腎臓、胸、肺のみに限定されないことに留意する必要があり、本明細書で説明される実施形態は、すべての種類のアブレーション計画に適用可能であることが当業者により理解されると考えられる。
【0043】
腫瘍に余裕を加えたものが、結果として得られるボリュームに含まれるように、ボリュームは、所望の距離にわたって「成長」させることができる。「腫瘍」という語は、本明細書において使用される場合、特に、最適化に関して使用されるときは、常に、「計画対象ボリューム」(PTV)を意味するとみなされ、PTVは、全体として完全にカバーするように意図された、特定の腫瘍に安全裕度を加えた範囲をカバーする。
【0044】
図1は、本明細書に記載される1つ又は複数の態様に従った、アブレーションされる対象領域をカバーするための1つ又は複数のアブレーション領域の決定を支援するためのシステムを示す。この例において、超音波システムは、コンピュータ制御される装置として具現化される。従って、例えば、超音波システムは、像形成部20とアブレーション部30とを含み得る。
【0045】
一実施形態におけるアブレーション部30は、RFアブレーションシステムであり、RFアブレーションシステムは、電源と、ラジオ周波生成器と、そこに動作可能に結合されたプローブと、などを含み、さらに、腫瘍塊内にプローブを挿入し、プローブ先端に対応する領域内で腫瘍細胞を殺すのに十分な温度(例えば、摂氏約50度)まで腫瘍塊を加熱することをしやすくする、他のあらゆる適切な構成要素を含む。
【0046】
像形成部20は、被術者の肝臓のデータを取得するように構成された像形成装置であり得る。体の外部に留まるが、体の様々な部位を通過する、及び/又は体の様々な部位で反射する超音波を測定する超音波プローブを使用してデータを取得することにより、収集可能なデータが非侵襲的に捕捉され得る。例示的な一実施形態において、像形成部20は、好ましくは、超音波などのリアルタイム像形成法として具現化され得るか、又は、リアルタイム像形成法を含み得る。特に、超音波は、比較的低コスト、低電力、移動可能な手法を提供し得る。しかし、像形成部20は、超音波のみに限定されない。
【0047】
像形成部20は、アブレーション計画器10にデータを提供し得、アブレーション計画器10は、アブレーション領域を計画するために使用され得るパラメトリックマップを生成するため、像形成部20により捕捉されたデータを受信及び処理するように構成され得る。いくつかの場合において、アブレーション計画器10は、像形成部20から直接、リアルタイムで(又は、ほぼリアルタイムで)データを受信し得る。しかし、他の場合において、像形成部20からのデータは、まず記憶され得、その後、アブレーション計画器10により分析される前に記憶装置から取得され得る。
【0048】
図1に示されるように、アブレーション計画器10は、本明細書で説明される例示的な実施形態に従って動作を実行するように構成可能なプロセッサ110を含み得るか、又は、プロセッサ110と通信し得る。従って、例えば、アブレーション計画器10による機能の少なくともいくつかは、プロセッサ110により実行され得るか、又は、プロセッサ110により命令を受け得る。プロセッサ110は、従って、ソフトウェアをホストするためのハードウェアを提供して、例示的な実施形態と一致する機械学習及び機械実行分析技術のためのシステムを構成し得る。アブレーション領域計画又はアブレーション領域計画の支援は、従って、プロセッサ110を使用して実現され得る。
【0049】
プロセッサ110は、本発明の例示的な一実施形態に従って、データ処理、制御機能の実行、及び/又は、他の処理及び管理サービスを実行するように構成され得る。いくつかの実施形態において、プロセッサ110は、チップ又はチップセットとして具現化され得る。言い換えると、プロセッサ110は、構造上の組み立て土台(例えば、基板)上に材料、構成要素、及び/又はワイヤを含む1つ又は複数の物理的なパッケージ(例えば、チップ)を備え得る。
【0050】
例示的な一実施形態において、プロセッサ110は、第2のインターフェース130と、いくつかの場合において、ユーザーインターフェース(UI)140と通信するか、又は、第2のインターフェース130と、いくつかの場合において、ユーザーインターフェース(UI)140とを制御し得るプロセッサ110とメモリ150との1つ又は複数のインスタンスを含み得る。従って、プロセッサ110は、本明細書で説明される工程を実行するように(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して)構成された回路チップ(例えば、集積回路チップ)として具現化され得る。
【0051】
ユーザーインターフェース140は、プロセッサ110と通信して、ユーザーインターフェース140におけるユーザー入力の指示を受信し得、及び/又は、ユーザーに聴覚的、視覚的、機械的、又は他の出力を提供し得る。従って、ユーザーインターフェース140は、例えば、表示装置、1つ又は複数のボタン又はキー(例えば、機能ボタン)、及び/又は他の入力/出力機構(例えば、キーボード、マイクロホン、スピーカー、カーソル、操縦桿、照明及び/又はその他のものなど)を含み得る。ユーザーインターフェース140は、2つ以上の独立したハードウェア部品として具現化され得る。ユーザーインターフェース140は、アブレーション計画器10により処理される(例えば、生のRFデータ又は生のRFデータを分析した結果を含む)データセットの識別情報又は特定の特性を示す情報を表示し得る。次に、規定の手法及び/又はアルゴリズムに従ったデータの分析のためプロセッサ110により実行される命令に基づいて、データセットの特性が処理され得、それに関係する情報がユーザーインターフェース140の表示装置に提示され得る。さらに、いくつかの場合において、ユーザーインターフェース140は、所与のデータセットの分析に基づいて生成される1つ又は複数の報告の選択のための選択肢を含み得る。
【0052】
第1のインターフェース110は、外部装置、すなわち、像形成部20、又は、アブレーション計画器10の内部機能部との通信を可能にするための1つ又は複数のインターフェース機構を含み得る。いくつかの場合において、第1のインターフェース110は、データをプロセッサ110と通信する装置から受信する、及び/又は、プロセッサ110と通信する装置に送信するように構成された、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより具現化された装置又は回路などのあらゆる手段であり得る。
【0053】
第2のインターフェース130もまた、他の外部装置、すなわち、像形成部20、又はアブレーション計画器10の内部機能部との通信を可能にするための1つ又は複数のインターフェース機構を含み得る。いくつかの場合において、第2のインターフェース130は、データをプロセッサ110と通信する装置から受信する、及び/又は、プロセッサ110と通信する装置に送信するように構成された、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより具現化された装置又は回路などのあらゆる手段であり得る。
【0054】
例示的な一実施形態において、メモリ150は、例えば、固定された、又は取り外し可能であり得る1つ又は複数の揮発性及び/又は不揮発性メモリなど、1つ又は複数の非一時的メモリ装置を含み得る。メモリ150は、本発明の例示的な実施形態に従った様々な機能をアブレーション計画器10が実行することを可能にするための、情報、データ、アプリケーション、命令などを記憶するように構成され得る。例えば、メモリ150は、プロセッサ110による処理のため入力データをバッファするように構成され得る。加えて、又は代替的に、メモリ150は、プロセッサ110による実行のため命令を記憶するように構成され得る。さらなる他の一代替例として、メモリ150は、例示的な実施形態の実施のために使用される、例えば、像形成部20から得られるデータ、又は電磁追跡システムからの従来のナビゲーション情報データ、及び/又はその他のものなどの様々なデータセットを記憶し得る1つ又は複数のデータベースを含み得る。メモリ150の内容の中で、アプリケーションは、各アプリケーションのそれぞれに関係した機能を実行するため、プロセッサ110による実行のために記憶され得る。いくつかの場合において、アプリケーションは、対象領域に対するパラメトリックマップを生成する、及び/又は、対象領域の内部における血管の脈管構造情報の観点から危険領域を識別すると共に、その中のデータを分析してアブレーションされる対象領域を決定するようにデータを分析するための分析ツールを利用するアブレーション計画器10の制御のための命令を含み得、パラメトリックマップ内の各値は、対象領域の対応するボクセルが1つ又は複数のアブレーション領域の内部に入ることの尺度を示す。いくつかの場合において、アプリケーションは、本明細書で説明されるように患者データの分析に関係した出力及び/又は報告を生成するための命令をさらに含み得る。
【0055】
プロセッサ110は、多くの異なるやり方で具現化され得る。例えば、プロセッサ110は、マイクロプロセッサ若しくは他の処理要素、コプロセッサ、制御装置、又は、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラム可能ゲートアレイ)などの集積回路を含む様々な他のコンピューティング装置若しくは処理装置の1つ又は複数などの様々な処理手段として具現化され得る。例示的な一実施形態において、プロセッサ110は、メモリ150に記憶された、又はプロセッサ110によりアクセス可能な命令を実行するように構成され得る。従って、ハードウェアにより構成されるか、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより構成されるかに関わらず、プロセッサ110は、本発明の例示的な実施形態に従った工程を実行することができるエンティティを表し(例えば、回路により物理的に具現化され)得、そのように構成される。従って、例えば、プロセッサ110がASIC、FPGAなどとして具現化されたとき、プロセッサ110は、本明細書で説明される工程を実行するため特別に構成されたハードウェアであり得る。代替的に、他の一例として、プロセッサ110が、ソフトウェア命令の実行体として具現化されるとき、命令は、本明細書で説明される工程を実行するようにプロセッサ110を特別に構成し得る。
【0056】
例示的な一実施形態において、プロセッサ110は、アブレーション計画器10として具現化されるか、アブレーション計画器10を含むか、又は、アブレーション計画器10を制御し得る。従って、いくつかの実施形態において、プロセッサ110は、プロセッサ110をそのように構成する命令又はアルゴリズムの実行に応答して、対応する機能を実行するようにアブレーション計画器10に指示することにより、アブレーション計画器10に関連して説明される工程の各々をもたらし得ると言える。
【0057】
例示的な一実施形態において、特定の患者の肝臓の超音波走査に関係して捕捉されたデータは、(例えば、メモリ150に)記憶され得るか、又は、アブレーション計画器10に直接伝達され得る。その後、データは、アブレーション計画器10により処理されて、プロセッサ110がリアルタイムで(又は、ほぼリアルタイムで)データを処理すること、又は、メモリからデータが引き出されながらデータを処理することを可能にし得る。
【0058】
一実施形態において、像形成部20は、超音波、CT、又はMRI(例えば、MFI像、造影ベース超音波像の一種)による場合もあり得る、対象領域の内部における血管の脈管構造情報を含む血管造影像などの、分析又は処理のためのデータを取得するように構成され、そのデータ、又はそのデータの分析結果は、アブレーションされる対象領域のための1つ又は複数のアブレーション領域の決定を支援するように機能する。
【0059】
例示的な一実施形態において、プロセッサ110は、データ受信器201と、パラメトリックマップ導出器202と、出力制御装置207とを含む。さらに、プロセッサ110は、
図2に示される位置決定器203と、危険領域識別器204と、評価器205と、指標導出器206とのうちの1つ又は複数をさらに含み得る。
【0060】
データ受信器201は、超音波、CT又はMRI(例えば、MFI像、造影ベース超音波像の一種)による場合もあり得る、対象領域の内部における血管の脈管構造情報を含む血管造影像などの、分析又は処理のためのデータを受信するように構成される。データ受信器201は、ユーザー入力などの他のデータを受信するようにさらに構成され得る。
【0061】
パラメトリックマップ導出器202は、取得された脈管構造情報に基づいて、対象領域に関するパラメトリックマップを導出するように構成され、パラメトリックマップ内の各値が、腫瘍内脈管分布制限の観点から対象領域の対応するボクセルが1つ又は複数のアブレーション領域の内部に入ることの尺度を示し、パラメトリックマップは、1つ又は複数のアブレーション領域の決定を支援するために使用される。対象領域が腫瘍である場合において、パラメトリックマップ内の値は、腫瘍内脈管分布特性を表し、従って、腫瘍内脈管分布特性(IVP:intratumoral vascularity property)とも呼ばれる。この尺度は、1つ若しくは複数のアブレーション領域の内部における、又は、1つ若しくは複数のアブレーション領域によりカバーされた対象領域の対応するボクセルに対する、血管密度や、例えば、血管の分岐、曲率などの形態を示すための構造の特徴などに関係した、全体的な望ましさを表す。当業者に知られているように、腫瘍の内部における血管の密度が高いほど、腫瘍の内部における血管の分岐が少ないか、又は、腫瘍の内部における血管がより直線であり、腫瘍の成長に関して血管の領域がより危険となる。従って、これらの領域のボクセルは、血管造影像から抽出された、血管密度、構造の特徴、形態、及び/又は他の特徴を示す他のパラメータから計算され、係数でそれぞれ重み付けされて、より大きな値を割り当てられる。このように、パラメトリックマップは、安全な未処理領域出力のための評価尺度における制限の1つとして支援し得る。
【0062】
パラメトリックマップは、ユーザーに示されて、ユーザーが腫瘍内血管を簡単に認識した後、手動でアブレーション領域を決定することに役立ち得ることに留意されたい。例えば、血管造影像データと従来のBモード像データとが地図的に一体に融合された表示器において、所望のアブレーション対象部位をユーザーが手動で設定することができる。これは、治療の妥当性をユーザーが視覚的に判断することを可能にし、従来のBモード像からの腫瘍の形態及び腫瘍周辺の構造分析と、血管造影像からの腫瘍内脈管分布特性との両方の観点から、計画された複合アブレーションの適用を可能にする。
【0063】
代替的に、パラメトリックマップは、1つ又は複数のアブレーション領域の位置を自動的に決定するプロセッサのための入力としてさらに作られ得る。位置決定器203は、導出されたパラメトリックマップを考慮して、1つ又は複数のアブレーション領域の位置を決定するように構成される。例えば、位置決定器203は、まず、3つの楕円などの3つの初期アブレーション領域を無作為に生成し、次に、3つの最適なアブレーション領域を繰り返し探索する。すなわち、アブレーション領域の数は固定され得る。代替的に、位置決定器203は、1つのアブレーション領域のみから始まり得、そのアブレーション領域がいずれかの点で制約に従うことができない場合、位置決定器203は、段階的にアブレーション領域の数を増やして、最適なアブレーション領域が満足のいく結果に達するまで、いくつかの最適なアブレーション領域を探索し得る。
【0064】
対応するアブレーション針が存在する限り、アブレーション領域の寸法のばらつきがさらに考慮され得ることに留意されたい。しかし、アブレーションプローブは非常に高価であるので、複数のプローブ寸法又は設定を使用することには制約があり、最小数のプローブを使用して組織塊をアブレーションすることを試みる方が好まれ、従って、通常は1つのアブレーションプローブのみが適用され、すなわち、1つのアブレーション領域の寸法は通常、固定される。
【0065】
ユーザーは、UI140を介していくつかの制約を入力して、位置決定器203が1つ又は複数のアブレーション領域の位置を決定することを補助し得ることに留意されたい。このようなユーザー入力は、処理のためデータ受信器201により受信され得る。例えば、ユーザーは、エントリーポイントの数、エントリーポイントの位置、アブレーション領域の総数、エントリーポイントごとのアブレーション領域の数などを規定し得る。その後、位置決定器203は、受信された少なくとも1つのユーザー入力を考慮して、1つ又は複数のアブレーション領域の位置を決定し得る。
【0066】
アブレーション領域の最適化は、いくつかの制限の観点からのアブレーション領域の評価を伴う。従来技術とは異なり、再発の危険性の低い未処理部位が追加的な制限となり、再発と脈管分布の特徴との間の緊密な関係に起因して、パラメトリックマップが、このような制限のために直接又は間接的に使用され得る。
【0067】
アブレーション領域の評価は、評価器205により実行され得、これについては後で説明される。
【0068】
危険領域識別器204は、パラメトリックマップと危険領域内に入るボクセルに関する閾値とに基づいて、対象領域内のアブレーション未処理部位に対する1つ又は複数の危険領域を識別するように構成され、1つ又は複数の危険領域は、1つ又は複数のアブレーション領域の決定を支援するように機能し、閾値は、パラメトリックマップと所定のアブレーションカバー率とに基づいて導出される。一実施形態において、上述のように、アブレーション未処理部位に対する1つ又は複数の危険領域を規定するため、血管造影像(MFI像など)の1つ又は複数の対象領域における血管重症度の定量化が各ボクセルに対して必要であり、例えば、血管密度、構造の特徴、形態の特徴などの1つ又は複数の像ベース脈管特徴変数により示される。このように、パラメトリックマップが導出される。危険領域と非危険領域との間の違いを決める基準は、ユーザーにより規定された未処理部位の許容値に適応した閾値t
rである。一実施形態によると、パラメトリックマップが導出された後、パラメトリックマップのすべての値(例えば、IVP値)が、
図6(a)に示されるように正規化されたヒストグラムの形式でレンダリングされる。ユーザーは、対象領域(例えば、計画対象ボリューム)の最小カバー率、すなわち最小カバーパーセントp
ptvを、例えば90%と指定し、すると、明らかなように、1−p
ptvにより、例えば、1−90%=10%により未処理部位の許容値が得られ、
図6(b)に示されるように、正規化されたヒストグラムから閾値t
rが導出され得、その場合、閾値t
rより小さな危険性の頻度の因子はわずか1−p
ptv、例えば10%であり、t
rは0.3である。その後、閾値t
rより小さな、アブレーション未処理部位に対するそれぞれの危険因子をもつボクセルは、これに対応して非危険領域と規定される。逆に、閾値t
r以上の、アブレーション未処理部位に対するそれぞれの危険因子をもつボクセルは、これに対応して危険領域と規定される。対象領域のパラメトリックマップは、従って、このような閾値により2値マップに変換され、非危険領域から危険領域を分離する。
【0069】
評価器205は、アブレーションカバー率又は副次的な損傷などの、導出されたパラメトリックマップ及び他の因子を、それらがユーザーにより手動で決定されたか、位置決定器203により自動的に決定されたかに関わらず考慮して、1つ又は複数のアブレーション領域を評価するように構成される。評価は、様々な制限を考慮して、様々なアルゴリズムを適用し得る。(コスト関数とも呼ばれる)評価尺度は、例えば、対応する重みで乗算した異なる制限の線形で正規化された組み合わせであり得る。本分野での制限は、通常、最小許容アブレーションカバー率(すなわち、対象領域の総ボリュームに対する1つ又は複数のアブレーション領域のボリューム)、対象領域付近の重要構造、副次的な損傷を含み、本発明において、アブレーション未処理部位と高い腫瘍内脈管分布内に埋もれた領域との間の重なりは、評価尺度における1つの追加的な制限としてボクセル内に組み込まれ、このことが、高血液供給領域に合流するアブレーション未処理部位を避けるときに不利益となる。大きな腫瘍を含む、又は、複雑な臨床状態であるいくつかの場合において、未処理部位が避けられない場合は、改善された計画アルゴリズムにより、再発しにくいアブレーション未処理部位を、脈管過多領域(
図5に示すB)ではなく、少脈管領域又は無脈管領域(
図5に示すA)内にもたらすことが可能である。
【0070】
一実施形態において、ユーザーが最小の所望のアブレーションカバー率、すなわち、対象領域(例えば、計画対象ボリューム)のカバーパーセントp
ptvを指定し、p
ptv値に達成するまで、順次増加するアブレーション数に対する解が算出される。最適化される実数値変数は、1つ又は複数のアブレーションの中心の座標である。3D空間におけるM回のアブレーションに対して、(3つの次元のそれぞれにおいて)最適化される3M個の実数値変数が存在する。本発明のいくつかの実施形態によると、1つ又は複数のアブレーション領域の決定は、
− 対象領域のうち1つ又は複数のアブレーション領域によりカバーされない部分(未処理領域とも呼ばれる)と、
− 1つ又は複数のアブレーション領域のうち対象領域によりカバーされない部分(対象領域の外側にあるアブレーション領域とも呼ばれ、副次的な損傷をもたらす)と、
− 1つ又は複数のアブレーション領域のうち所定の重要領域と重なる部分(すなわち、所定の重要領域のうち1つ又は複数のアブレーション領域に入る部分)と、
の1つ又は複数にさらに基づく。所定の重要領域は、アブレーションされないことが望ましい重要構造を含む領域を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数のアブレーション領域の決定は、未処理領域の寸法と、アブレーション領域のうち対象領域の外側にある部分の寸法と、所定の重要領域のうちアブレーション領域に入る部分の寸法との1つ又は複数にさらに基づく。
【0072】
一実施形態において、N
ptvが未処理領域のボクセルの数を表し、N
ivpが危険領域の内部における未処理領域のボクセルの数を表し、N
csが、重要領域の内部における1つ又は複数のアブレーション領域のボクセルの数を表し、N
cdが、対象領域内ではない1つ又は複数のアブレーション領域のボクセルの数を表すことにより、評価尺度又はいわゆる最小化するコスト関数は、次のように表され得る。
【0073】
【数1】
ここで、α、β、γは、それぞれ、N
ptv、N
ivp、及びN
csに関係した重みである。臨床的な状況の知見を使用することで、副次的な損傷(すなわち、対象領域の外側にあるアブレーションされるボクセル)と比較して、PTVカバー域の不足のため、及び重要構造内への穿刺のために、より高いコストをかけ、血管侵襲性領域などの危険領域内のアブレーション未処理部位に対して適度なコストをかけること、すなわちα>γ>β≧100を可能にする。
【0074】
位置決定器203が1つ又は複数のアブレーション領域の最終位置を最適化するために、評価尺度値が位置決定器203にフィードバックされ得ることに留意されたい。
【0075】
指標導出器206は、評価の結果から指標を導出するように構成される。指標は、単に評価尺度値であり得るか、又は、その値が属する評価尺度レベルであり得る。指標は、アブレーションカバー率と、他の重要組織への副次的な損傷の手がかりなどをさらに含み得る。
【0076】
出力制御装置207は、導出された指標を第3のユーザーインターフェースを介して出力するように構成される。
【0077】
図1及び
図2に示される構成要素は、独立した構成要素として示される。しかし、これは、機能が分離されることを示すにすぎない。それらの構成要素は、別々のハードウェア装置として提供され得る。しかし、他の構成が可能であり、例えば、指標導出器206と出力制御装置207とは、1つのユニットへと物理的に組み合わされ得る。いずれかの組み合わせ要素部材は、あらゆる適切な位置において、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアのいずれかの組み合わせにより実装され得る。例えば、別々に構成された、対象領域の内部における血管の脈管構造情報を受信するための1つのデータ受信器と、ユーザー入力を受信するための他のデータ受信器とが存在し得る。
【0078】
構成要素のいくつかは、機械により実行されたとき、説明される工程を機械に実施させる、機械、例えば、可読媒体内で具現化される、機械で実行可能な命令を構成し得る。加えて、いずれの構成要素も、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)などのハードウェアとして実装され得る。
【0079】
加えて、本明細書で説明される構成が例示としてのみ記載されることが理解されなければならない。他の構成及び構成要素(例えば、より多くのUI、より多くのデータ受信器など)が、示される構成及び構成要素に加えて、又は示される構成及び構成要素の代わりに使用され得、いくつかの構成要素が完全に省略され得る。
【0080】
それらの構成要素の間の機能及び協働関係が、
図3と
図4とを参照して詳細に説明される。
【0081】
図3及び
図4の各々は、例示的な一実施形態における、1つ又は複数のアブレーション領域を計画する方法のフローチャートを示す。各フローチャートの各ブロック、及び各フローチャートにおけるブロックの組み合わせは、1つ又は複数のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に関係した、ハードウェア、ファームウェア、プロセッサ、回路、及び/又は、1つ又は複数の他の装置などの様々な手段により実装され得ることが理解されると考えられる。例えば、説明される療法の1つ又は複数は、コンピュータプログラム命令により具現化され得る。この点で、上述の療法を具現化するコンピュータプログラム命令は、メモリにより記憶されて、プロセッサにより実行され得る。理解されるように、このようなコンピュータプログラム命令はいずれも、コンピュータ又は他のプログラム可能装置(例えば、ハードウェア)にロードされて機械を生成し得、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能装置で実行される命令が、フローチャートのブロックにおいて指定された機能を実行するための手段を生成する。これらのコンピュータプログラム命令は、さらに、特定の手法で機能するようにコンピュータ又は他のプログラム可能装置に指示し得るコンピュータ可読メモリに記憶され得、その結果、コンピュータ可読メモリに記憶された命令が、フローチャートのブロックにおいて指定された機能を実装した製品を生成する。さらに、コンピュータ又は他のプログラム可能装置で実行される命令がフローチャートのブロックにおいて指定された機能を実装するように、コンピュータプログラム命令が、コンピュータ又は他のプログラム可能装置にロードされて、一連の工程がコンピュータ又は他のプログラム可能装置において実行され、コンピュータにより実行される処理工程を生成することをもたらし得る。
【0082】
従って、フローチャートのブロックは、指定された機能を実行するための手段の組み合わせと、指定された機能を実行する工程の組み合わせとをサポートする。フローチャートの1つ又は複数のブロックと、フローチャートにおけるブロックの組み合わせとが、指定された機能を実行する専用ハードウェア型のコンピュータシステム又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせにより実装され得ることがさらに理解される。
【0083】
この点で、本発明の例示的な一実施形態に従った、1つ又は複数のアブレーション領域を計画する方法が
図3に示され、この方法により、1つ又は複数のアブレーション領域が手動でユーザーにより決定される。
図3に示す方法は、工程310を除いて完全に、又は、少なくとも部分的に、プロセッサ110により自動的に実行され得る(例えば、操作者との対話をせずに各ステップ又は一連のステップを開始する)。
【0084】
本方法は、工程302において、対象領域の内部における血管の脈管構造情報を受信することを含む。例示的な一実施形態において、この工程は、データ受信器201により実行される。脈管構造情報は、例えば、血管造影像の形態であり、超音波、CT、又はMRI(例えば、MFI像、及び造影ベース超音波像の一種)による場合もあり得る。
【0085】
本方法は、工程304において、取得された脈管構造情報に基づいて、対象領域に関するパラメトリックマップを導出することをさらに含む。例示的な一実施形態において、この工程は、パラメトリックマップ導出器202により実行される。このようなパラメトリックマップの定義は、
図2を参照して上記で説明されており、ここで再度説明することはしない。
【0086】
さらに、本方法は、工程306において、パラメトリックマップと危険領域内に入るボクセルに関する閾値とに基づいて、対象領域内のアブレーション未処理部位に対する、1つ又は複数の危険領域を識別することをさらに含み得る。例示的な一実施形態において、この工程は、危険領域識別器204により実行される。危険領域を識別する一実施形態は、
図2に示す危険領域識別器204に関連して上記で説明されており、ここで再度説明することはしない。
【0087】
その後、工程308において、パラメトリックマップは、危険領域に加えて、又は危険領域に代えて、表示装置内の表示器などのUI140を通してユーザーに示される。例示的な一実施形態において、この工程は、出力制御装置207により実行される。
【0088】
工程310において、このようなパラメトリックマップ又は危険領域は、腫瘍境界、腫瘍の周囲における重要構造などの他の情報と組み合わせて、ユーザーが1つ又は複数のアブレーション領域を決定することに役立つ。一般的に、ユーザーにより指定された1つ又は複数のアブレーション領域は、ユーザーの決定をユーザーが最適化することに役立つ評価を必要とする。工程312において、評価が実行され、この工程は、評価器205により実行される。1つ又は複数のアブレーション領域を評価の一実施形態は、
図2に示す評価器205に関連して上記で説明されており、ここで再度説明することはしない。
【0089】
工程314において、指標が評価の結果から導出され得、工程316において、UI140を介してユーザーにフィードバックされる。例示的な一実施形態において、工程314は、指標導出器206により実行され、工程316は、出力制御装置207により実行される。
【0090】
本発明の他の例示的な一実施形態に従った1つ又は複数のアブレーション領域を計画する方法が、
図4に示され、この方法において、1つ又は複数のアブレーション領域は、プロセッサ110により自動的に決定される。
図4に示す方法は、工程410を除いて完全に、又は、少なくとも部分的に、プロセッサ110により自動的に実行され得る(例えば、操作者との対話をせずに各ステップ又は一連のステップを開始する)。
【0091】
本方法は、工程402において、対象領域の内部における血管の脈管構造情報を受信することを含む。例示的な一実施形態において、この工程は、データ受信器201により実行される。脈管構造情報は、例えば、血管造影像の形態であり、超音波、CT、又はMRI(例えば、MFI像、及び造影ベース超音波像の一種)による場合もあり得る。
【0092】
本方法は、工程404において、取得された脈管構造情報に基づいて、対象領域に関するパラメトリックマップを導出することをさらに含む。例示的な一実施形態において、この工程は、パラメトリックマップ導出器202により実行される。このようなパラメトリックマップの定義は、
図2に関連して上記で説明されており、ここで再度説明することはしない。
【0093】
さらに、本方法は、工程406において、パラメトリックマップと危険領域内のボクセルに関する閾値とに基づいて、対象領域内のアブレーション未処理部位に対する、1つ又は複数の危険領域を識別することをさらに含み得る。例示的な一実施形態において、この工程は、危険領域識別器204により実行される。危険領域を識別する一実施形態は、
図2に示す危険領域識別器204に関連して上記で説明されており、ここで再度説明することはしない。
【0094】
さらに、工程408において、パラメトリックマップは、危険領域に加えて、又は危険領域に代えて、表示装置内の表示器などのUI140を通してユーザーに示され得る。例示的な一実施形態において、この工程は、出力制御装置207により実行される。しかし、中間結果を表示するこのような工程は、1つ又は複数のアブレーション領域がプロセッサ110により自動的に決定される方法において必ず必要とされるわけではない。
【0095】
さらに、工程410において、1つ又は複数のアブレーション領域の制約に関する1つ又は複数のユーザー入力が受信され得る。このようなユーザー入力は、エントリーポイントの数、エントリーポイントの位置、アブレーション領域の総数、エントリーポイントあたりのアブレーション領域の数など、のうちの1つ又は複数を規定し得る。その後、受信された少なくとも1つのユーザー入力を考慮して、1つ又は複数のアブレーション領域が決定される。
【0096】
プロセッサ110は、工程412において、腫瘍境界、腫瘍の周囲にある重要構造などの他の情報と組み合わせて、このようなパラメトリックマップ又は危険領域に基づいて、1つ又は複数の最適化されたアブレーション領域を決定する。一般的に、プロセッサ110により決定された1つ又は複数のアブレーション領域の最適化は、評価フィードバックを必要とし、評価フィードバックは、例示的な一実施形態において、評価器205により提供される。1つ又は複数のアブレーション領域を評価する一実施形態は、
図2に示す評価器205に関連して上記で説明されており、ここで再度説明することはしない。例示的な一実施形態において、工程412は、評価器205と組み合わせて、位置決定器203により実行される。
【0097】
指標は、工程414において、最終的に決定された1つ又は複数のアブレーション領域の評価の結果から導出され得、工程416において、UI140を介してユーザーに表示される。例示的な一実施形態において、工程414は、指標導出器206により実行され、工程416は、出力制御装置207により実行される。
【0098】
図7は、本明細書に記載される1つ又は複数の態様に従った、超音波データ捕捉中の像形成のフローチャートを示す。超音波システムにおける3種類の像形成モード、すなわち、従来のBモードと、従来の造影モード(CEUS)と、造影補充モードとが順次実行されて、アブレーションされる対象領域をカバーするための1つ又は複数のアブレーション領域の決定を支援するために使用される十分な補足情報を捕捉する。EM追跡されたフリーハンドスイープは、一実施形態に従った本発明者らの熱アブレーション計画が3Dソリューションであることを暗示する3次元データの再現を目的として、これらの3つの像形成モードにわたって同様に適応され、すべての捕捉された像にわたる空間変換は、EM追跡システムにより実質的に位置合わせされる。超音波データ捕捉中の像形成フローは、主に以下のステップを含む。
(1)ブロック702において、通常の高いMIを使用してBモードでスイープすることにより、アブレーション対象部位の周囲における解剖学的構造を取得する。特に、重要構造に対する副次的な損傷の危険性は、通常、その広い視界を利用してBモード像から評価される。
(2)ブロック704において、動脈優位相中にスイープする。一次腫瘍境界は、CEUS像におけるハイパーエコー発生性挙動に作用するボーラス注入(例えば、
図7に示す点「a」)後、CEUSの動脈優位相において非常に高感度である。この情報は、Bモード像における腫瘍境界と比べて腫瘍境界が非常に明解であるので、3D区分ツールを使用して、効果的な腫瘍識別をしやすくする。
(3)ブロック706において、補充モードでスイープする。本発明の一実施形態において最も重要な事項は、補充モードにおいて実現されるMFIデータ捕捉である。
図7に示す点「b」における急増の後、高MIパワーを使用したフラッシング後の目標血管の内部における単一気泡追跡により、MFI像において腫瘍内微細血管が視認可能である。計画の出力として腫瘍脈管分布を制御された未処理部位の利点は、MFI像における定量的な脈管分布の特徴に完全に依存するので、MFIは、本発明の実施形態において重要な役割を果たす。
【0099】
腫瘍境界は、適用可能な3D区分ツール、例えば、ユーザーとの対話における柔軟性をもつPhilips GeoBlendツールキットにより、容積測定CEUSデータにおいて輪郭をレンダリングされる。CEUSにおける3D腫瘍境界区分の一例は
図8(a)に示され、図中、区分された腫瘍境界はTBと表される。顕微鏡で視認される大きさの癌細胞を殺すために必要と考えられる、通常5mmから1cmの一様に拡張された安全裕度をもつ腫瘍境界は、計画対象ボリュームであり、
図8(a)においてPTVと表される。本明細書において、PTVは、腫瘍形状を指定するためだけでなく、腫瘍の内部における血管特性の定量化のため、捕捉されたMFI像においてROI(region of interest)(対象領域)を規定するためにも使用される。腫瘍内分析のためPTVにより規定されたROIの論理的根拠は、データ捕捉中の適切に構成されたEMベースの重ね合わせである。ROI識別のためMFIにマッピングされた腫瘍境界の一例が、
図8(b)に示される。
【0100】
図3のステップ304又は
図4のステップ404により得られるパラメトリックマップが、
図8(c)に示される。
図3のステップ306又は
図4のステップ406により得られる一様に拡張された安全裕度をもつ腫瘍境界に対する危険領域が、
図8(d)に示され、
図8(d)において「RR」と示され、図中、例えば、IVP値は、0.3より大きい。
【0101】
最後に、IVP危険領域を完全にカバーする複合アブレーションが
図9に示され、図中、「E.P.」はエントリーポイントであり、これに対応して、脈管形成の重症度が最小の領域内にのみ未処理部位が残る。
図9は、1つのエントリーポイントと5つの楕円形アブレーション領域とを示すが、エントリーポイントの数、及び、アブレーション領域の数と形状とがそれに限定されないことを当業者は理解すると考えられる。
【0102】
本明細書において実施形態が例示及び説明されるが、本技術の適切な範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形がなされ得ることと、その構成要素が均等なもので置換され得ることとが当業者により理解されると考えられる。加えて、その中心となる範囲から逸脱することなく、特定の状況と本明細書の教示とに適応するため多くの変形がなされ得る。従って、本実施形態が本技術を実施するために考慮されるベストモードとして開示される特定の実施形態に限定されず、本実施形態が付属の請求項の範囲に入るすべての実施形態を含むことが意図される。