【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、特許請求の範囲によって定められる。
【0014】
実施例によると、本発明の態様に従ったツールを検知するための装置が提供され、当該装置は、
3D超音波画像に基づいてツールを検知するように適合された画像処理ユニットを備え、当該画像処理ユニットは、第1のツール検知処置を実施するように構成された第1のツール検知モジュールを備え
第1のツール検知処置は、
3D超音波画像から平面的セクションのセットを取得することと、
平面的セクションのセットのうちの1つの平面的セクションに存在するツール影領域を特定することと、
検知されたツール影領域に基づいて、3D画像内のツール平面セクションの場所を決定することとを含み、
ツール平面セクションは、3D画像内におけるツールの全長が存在する平面を表す。
【0015】
3D超音波撮像において、3D超音波撮像装置は、対象に向かって超音波放射線を出射し、対象の3Dボリュームを表す3Dボリュームデータセットを生み出すために対象によって反射された放射線を検知するように設けられる。このようにして、3D撮像装置は、3Dボリュームの画像を生み出す。
【0016】
画像処理ユニットは、3D画像のどの平面が、ツールの先端部を含むツールの全長を含む3Dボリュームの平面を表すかを決定するために、3D超音波撮像装置によって取得された3D画像を処理するように適合される。この平面はツール平面セクションと呼ばれる。第1のツール検知処置を実施することによって、ツール平面セクションは迅速に特定され、ツールの位置及び向きを効率的に及び確実に決定することを可能にする。ツール平面セクションの位置を検知することによって、ツールの長軸像を可視化することが可能になる。加えて、ツール平面セクションに対してツールの他の像を決定し得る。例えば、ツールの短軸を含む平面が特定され得、というのはこの平面はツール平面セクションに垂直な平面であるからである。更に、画像処理ユニットは、ツール平面セクションの位置を決定するために典型的な3D超音波画像を処理するので、3D超音波撮像システムの他のいかなる要素の修正も必要とすることなく、装置は典型的な3D超音波撮像システムに内蔵され得る。
【0017】
第1のツール検知モジュールは、ツールの影を表す3Dデータセットの領域に基づいて、ツール平面セクションの場所を特定する。このように、ツールの影が挿入角度にかかわらず特定可能であるので、ツールの挿入角度が大きい場合でもツールの場所が検知され得る。
【0018】
第1のツール検知モジュールは、3Dボリュームに入射する超音波放射線の送出方向に垂直な3Dボリュームのセクションを表す、3D超音波画像からの平面的セクションのセットを取得するように構成される。第1のツール検知モジュールは、ツールに入射する超音波放射線に対してツールの反対側で、ツールの下方に位置する平面的セクションを選択することによって、3D画像のこれらの平面的セクションのサブセットを選択する。
【0019】
第1のツール検知モジュールは、平面的セクションが選択された後、平面的セクションのうちの少なくとも1つにおいて暗領域を検知し、検知された暗領域からツール影領域を特定するように構成される。ツール影領域は、ツールの影に対応する暗領域である。
【0020】
第1のツール検知モジュールは、例えば、暗領域の大きさ、幅及び/又は形状を調べ、それをツールの影の期待される大きさ、幅及び/又は形状と比較することによって、暗領域がツールの影を表す見込みがあるか否かを決定するために、検知された暗領域を分析する。
【0021】
第1のツール検知モジュールは、ツール影領域の位置に基づいて、撮像された3Dボリューム内に存在するツールの全長又はツールの一部分を含む3Dボリュームデータセットの平面的セクションの位置を計算する。3Dボリュームデータのこのセクションが「ツール平面セクション」である。
【0022】
第1のツール検知モジュールは、複数の平面的セクションに存在する暗領域を検知し、これらの暗領域がツールの影に対応するか否かを決定することによって、複数のツール影領域を特定するように構成される。詳細には、暗領域がツール影に対応するなら、他の平面的セクションにおいて対応する暗セクションがある。このようにして、1つの平面的セクションからツールを誤って特定する恐れが回避される。ツール影が特定されると、その向きを特定するには1つの平面的セクションで十分である。
【0023】
第1のツール検知モジュールは、平面的セクションが任意の暗領域を備えるか否かを検知するために平面的セクションを処理する。検知された暗領域は、ツール影に関連を持たない暗領域を含む場合がある。そのため、暗領域のセットを全体的なツール影を形成するサブセットへと更に絞り込むために、異なる平面的セクションにおける検知された暗領域の相対位置が分析される。従って、第1のツール検知モジュールは、他の検知された暗領域の相対位置に基づいて、暗領域がツール影に対応するか否かを決定する。相互に最も一貫性のある暗領域のセットが、全体的なツール影を形成するツール影領域であるとして特定される。
【0024】
第1のツール検知モジュールは、複数のツール影領域又は平面的セクションのうちのただ1つにおけるツール影に基づいて、ツール平面セクションの向きを決定するように構成される。第1のツール検知ユニットは、例えばRANSAC(ランダムサンプルコンセンサス)を使用して、平面的セクションにおける暗領域が最も一貫性のある向きを決定することによって、平面がツール平面セクションであるか否かを決定する。
【0025】
装置は、第2のツール検知モジュールであって、
好ましくは強度及び/又は頻度をベースとするアルゴリズムを使用して、3D画像におけるツールの表現に基づいてツールを検知すること、
を含む、第2のツール検知処置を実施するように構成された第2のツール検知モジュールを更に備える。
【0026】
挿入角度が浅いとき、ツールは3D画像において大いに見ることができ、従って、ツールは3D画像から直接的に特定され得る。ツールは入射超音波放射線を画像センサに向かって強く反射し、従って、ツールの位置は3D画像において明領域として表され、これは適切なアルゴリズムを使用して検知され得る。浅い角度及び急角度におけるツール検知の機能を提供することによって、装置は広い挿入角度の範囲においてツールを検知するために使用され得、従って、多くの異なる用途に適している。
【0027】
第2のツール検知処置は、ツールと3D超音波撮像装置の超音波出射器の面との間の角度が小さい角度であるときにツールの位置を特定するために適しており、ツールは3D画像から直接的に特定され得る。直接的に検知できるほどにツールが見える挿入角度の範囲は、3D撮像装置の正確な配置に依存する。しかしながら、典型的な配置において、挿入角度が30°よりも大きいと、ツールは見える見込みがない。
【0028】
3D画像は、3Dボリュームデータセットであり、複数のボリューム要素を含む。第2のツール検知モジュールは、
3Dボリュームデータセットに対してガボール変換を実施することと、
3Dボリュームデータセットの各ボリューム要素について特徴ベクトルを求めることと、
複数の候補ツールボリューム要素を抽出するために、3Dデータセットの複数のボリューム要素を分類することと、
によって、第2のツール検知処置を実施するように構成される。
【0029】
このように、ニードルに対応する見込みがある3Dデータセットの領域が特定される。方向感知性スペクトル変換を使用することによって、検知方法はノイズに対する感受性が小さくなり、従って、より困難な状況においてもツールを検知することができる。第2のツール検知処置は、ツールに対応しないツールボリューム要素の候補を特定し、これらの要素を破棄することを更に含む。第2のツール検知モジュールは、ボリューム要素のサブセットに対してのみ分類を実施するように構成されてよい。例えば、処理を高速化するために、ツール検知モジュールは、一つおきのボリューム要素に対して分類を実施するように構成されてよい。
【0030】
装置は、
3D画像においてツールが見えるか否かを決定するように画像処理ユニットを制御し、
ツールが見えない場合、第1のツール検知処置を実施するように第1のツール検知ユニットを制御し、
ツールが見える場合、第2のツール検知処置を実施するように第2のツール検知ユニットを制御するように構成されたコントローラを更に備える。
【0031】
第1の及び第2のツール検知モジュールは、ツールの向きが小さな挿入角度であるか又は大きな挿入角度であるかを決定するように構成される。コントローラは、ツールの検知された向きに基づいて第1のツール検知処置及び/又は第2のツール検知処置を開始するように構成される。このように、ツール検知モジュールは、ツールの挿入角度に対して適切なツール検知処置を自動的に選択するように構成される。このことは、ツール平面セクションが素早く特定され得ることを可能にし、ツール平面セクションの迅速な場所の特定及びユーザに対するツールの迅速な可視化を可能にする。挿入角度が小さいとき、精度を増すために、両方のツール検知処置が使用されてよい。
【0032】
装置は、
超音波放射線を3Dボリュームに向けるように設けられた超音波出射器と、
3Dボリュームによって反射された超音波放射線を検知し、検知された超音波放射線に基づいて3D画像を生成するように適合された画像センサであって、3D画像を画像処理ユニットに通信するように構成される、画像センサと、
を更に備える。
【0033】
従って、装置は、少なくともツールの一部が含浸された3Dボリュームを撮像するための超音波ガイダンスシステムを提供する。超音波出射器は、超音波を撮像されるべき3Dボリュームに向け、画像センサは、3Dボリュームによって反射された超音波を検知し、取得されたデータセットを使用して3Dボリュームの画像を生み出す。次いで、これらの画像は、それらを処理して、迅速にツールの全長が示されている画像の平面的セクション(ツール平面セクション)の場所を特定する画像処理ユニットに送信される。
【0034】
装置は、超音波画像を表示するためのディスプレイユニットを更に備え、画像処理ユニットは、ツール平面セクションの画像をディスプレイユニットに通信するように構成される。3D画像におけるツール平面セクションの場所が画像処理ユニットによって特定されると、画像処理ユニットはツール平面セクションの画像をディスプレイユニットに送る。このようにして、ツール平面セクションは可視化され得、ガイダンスのために使用され得る。
【0035】
本発明の態様によると、超音波放射線を使用してツールを検知するための方法が提供され、方法は、
3Dボリュームデータセットを取得するステップと、
第1のツール検知処置を実施するステップとを有し、第1のツール検知処置は、
3Dボリュームデータセットの平面的セクションのセットを取得するステップであって、各平面的セクションは超音波放射線の送出方向に垂直な平面を表す、ステップと、
平面的セクションにおけるツール影領域を特定するステップと、
検知されたツール影領域に基づいて、3Dボリュームデータセット内のツール平面セクションの場所を決定するステップであって、ツール平面セクションはツールの全長が存在する平面を表す、ステップと、
を含む。
【0036】
この方法を実施することによって、ツールの全長を含む3D画像の平面は素早く特定され得、オペレータに対するツールの迅速な可視化を可能にする。また、この方法はノイズに対する感受性が小さく、従って、多様な状況においてツールの場所を検知する信頼性の高い手段を提供する。更に、この方法は、高ノイズ環境においてツールを検知するためにも使用され得る。
【0037】
この方法は、超音波画像の処理に関連し、医療専門家からのいかなる入力も必要とすることなく実施される。
【0038】
複数のツール影領域が特定され、ツール平面セクションの場所はツール影領域に基づいて計算される。
【0039】
複数のツール影領域を特定するステップは、平面的セクションに存在する暗領域を検知するステップと、暗領域がツールの影に対応するか否かを決定するステップとを含む。ツール影領域は、相互に一貫性のある暗領域のセットを見つけることによって特定される。ツール平面セクションは、平面に対して暗領域が最も一貫性をもって整列している平面の向きを特定することによって検知される。
【0040】
ツール平面セクションの位置は、平面的セクションのうちの1つ又は複数における暗領域の向きを決定することによって決定される。
【0041】
方法は、第1のツール検知処置を実施する前に、3D画像においてツールが見えるか否かを決定するステップと、ツールが見えない場合、第1のツール検知処置を実施するステップとを更に有する。
【0042】
本発明は、コンピュータ上で実行されたときに上に定められた方法を実施するように適合されたコード手段を備えるコンピュータプログラムも提供する。
【0043】
コンピュータプログラムを提供することによって、既存の画像処理ユニットの機能性は、3D超音波撮像のために使用される典型的な既存の機器のいずれも変更することなく、ツールを検知し、ツール平面セクションの場所を特定するように変更され得る。