【実施例】
【0039】
以下、本発明の吸着促進剤の含有液、ニッケルコロイド触媒液、並びに無電解ニッケル又はニッケル合金メッキ液の調製を含む無電解ニッケル又はニッケル合金メッキ方法の実施例を述べるとともに、ニッケルコロイド触媒液の経時安定性試験例、上記実施例で得られた析出ニッケル(又はニッケル合金)皮膜の外観評価試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0040】
《無電解ニッケル及びニッケル合金メッキ方法の実施例》
冒述では、本発明のニッケルコロイド触媒液は基準発明(特開2016−056421号公報)を出発点としたことを述べたが、この基準発明に基づいて、可溶性ニッケル塩(A)と還元剤(B)とコロイド安定剤(C)を含有するニッケルコロイド触媒液を「基準例」とすることで、触媒液の経時安定性の見地から本発明の実施例の有効性を相対的に測ることにした。
従って、先ず、本発明の代表例として実施例1(下記の項目(1))を述べるとともに、実施例1との対比で上記基準発明に基づく基準例(下記の項目(0))を説明したうえで、
実施例2〜16及び参考例1〜2(項目(2)〜(18))を順次詳述する。
下記の
実施例2〜16のうち、
実施例2〜15は無電解ニッケルメッキ方法の実施例、
実施例16は無電解ニッケル−コバルト合金メッキ方法の実施例である。
尚、上記参考例1〜2は触媒液中の成分(C)と(D)の含有比率C/Dが本発明1の要件から上限又は下限側に外れる例である。
【0041】
上記実施例1は後述するように、予備工程としてエッチング処理をした後、吸着促進→触媒付与→活性化→無電解メッキの各工程を順次施した無電解ニッケルメッキ方法の実施例であり、吸着促進工程の吸着促進剤はカチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の混合物であり、触媒付与工程のコロイド触媒液は還元剤(B)に水素化ホウ素化合物、コロイド安定剤(C)にグルタル酸、合成系の水溶性ポリマー(D)にポリエチレンイミン(PEI)を夫々用いた例である。
以下の実施例2〜
13、16は上記実施例1を基本とした例、
実施例14〜15は
実施例8を基本とした例である。
先ず、
実施例2はコロイド安定剤(C)と合成系水溶性ポリマー(D)の含有モル比率C/Dを実施例1の比率より小さく設定した例、
実施例3はコロイド安定剤(C)を(実施例1の)グルタル酸からジカルボン酸に属するコハク酸に変更した例、
実施例4は同じく成分(C)をオキシカルボン酸に属するグリコール酸に変更した例、
実施例5は同じく成分(C)をアミノカルボン酸に属するグリシンに変更した例、
実施例6は同じく成分(C)を糖質に属するキシリトールに変更した例、
実施例7は同じくジカルボン酸に属するアジピン酸に変更した例である。
実施例8〜9は合成系水溶性ポリマー(D)をPEIからPEIのEO付加物(平均分子量が異なる)に夫々変更した例、
実施例10は同じくジアリルアミンポリマーに変更した例、
実施例11は同じくポリビニルピロリドンに変更した例、
実施例12は同じくポリビニルアルコールに変更した例、
実施例13は同じくジアリルアミンとアクリルアミドの共重合体に変更した例である。
実施例14は
実施例8を基本として可溶性ニッケル塩を変更した例、
実施例15は同じく還元剤を変更した例である。
尚、
上述したように、参考例1はコロイド安定剤(C)と合成系水溶性ポリマー(D)の含有モル比率C/D
が所定の適正範囲から上限側に外れた例、
参考例2は同じく含有モル比率C/D
が所定の適正範囲から下限側に外れた例である。
【0042】
また、上述のように、
実施例16は実施例1を基本として、無電解メッキ工程をニッケルメッキからニッケル−コバルト合金メッキに代替した例であり、エッチング処理をしてから、吸着促進→触媒付与→活性化→無電解メッキの各工程を順次経たもので、エッチング工程、吸着促進工程、触媒付与工程、活性化工程は上記実施例1を基本とする。
【0043】
一方、下記の比較例1〜4のうち、比較例1はコロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率C/Dが本発明の規定範囲より大きい例、比較例2は当該含有モル比率C/Dが本発明の規定範囲より小さい例である。
比較例3は水溶性ポリマー(D)が合成系ではない天然由来成分である例である。比較例4はコロイド安定剤(C)が本発明で規定された以外の成分、即ち、ポリアミン類に属するエチレンジアミンを用いた例である。
【0044】
(1)実施例1
本発明の無電解ニッケルメッキ方法は吸着促進→触媒付与→無電解メッキの各工程を順次施すことを基本とするが、本実施例1では、吸着促進工程の前に予めエッチング処理を付加するとともに、触媒付与工程と無電解メッキ工程の間に活性化処理を付加した。
従って、実施例1の無電解ニッケルメッキ方法は、エッチング→吸着促進→触媒付与→活性化→無電解メッキの各工程からなる。
即ち、先ず、予備処理として下記条件(p)でエッチング処理をし、次いで、条件(a)で吸着促進を行い、条件(b)で触媒付与を行い、条件(b-1)で活性化を行った後、条件(c)で無電解ニッケル−リンメッキを行った。
(p)エッチング処理工程
先ず、ABS樹脂基板(縦:45mm、横:50mm、板厚:3mm)をエッチング処理し、基板表面を粗面化して試料基板とした。
エッチング処理液の組成は次の通りである。
[エッチング処理液]
無水クロム酸 400g/L
98%硫酸 200g/L
[エッチング処理条件]
試料基板をエッチング処理液に68℃、10分の条件で浸漬し、純水で洗浄、乾燥した。
(a)吸着促進工程
次の組成で吸着促進剤の含有液を調製した。Mwは重量平均分子量である。
[吸着促進剤]
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体
(Mw:30,000)5g/L
ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル 1g/L
(b)触媒付与工程
ニッケル触媒液の調製については、先ず、ニッケル溶液と還元剤溶液を調製し、次いで、両溶液を混合してニッケルコロイド触媒液を調製した。
各液の調製条件は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:1,800) 0.01モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.01=30
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
pH4.0に調整した25℃のニッケル溶液に還元剤溶液を滴下して撹拌し、ニッケルコロイド触媒液を得た。
(b-1)活性化工程
[活性化溶液]
98%硫酸 5mL/L
(c)無電解ニッケルメッキ工程
次の組成で無電解ニッケル‐リンメッキ液を建浴した。また、当該メッキ液は希硫酸もしくは水酸化ナトリウムでpH調整した。
[無電解ニッケルメッキ液]
硫酸ニッケル六水和物(Ni2+として) 0.1モル/L
次亜リン酸ナトリウム1水和物 30g/L
コハク酸 25.0g/L
残余 純水
pH(20℃) 4.6
(d)無電解ニッケル‐リンメッキにおける全処理条件
本実施例1の無電解ニッケル‐リンメッキは工程(p)→(a)→(b)→(b-1)→(c)からなり、各工程の処理条件は次の通りである。
[エッチング条件]
試料基板を前記(p)のエッチング処理液に68℃、10分の条件で浸漬し、純水で洗浄した。
[吸着促進条件]
エッチング処理した試料基板を前記(a)の吸着促進剤の含有液に40℃、2分の条件で浸漬し、純水で洗浄した。
[触媒付与条件]
吸着促進処理した基板を、前記(b)のニッケルコロイド触媒液に25℃、10分の条件で浸漬し、純水で洗浄した。
[活性化条件]
次いで、基板を前記(b-1)の活性化溶液に25℃、5分の条件で浸漬し、純水で洗浄した。
[無電解ニッケルメッキ条件]
その後、上記(c)の無電解ニッケルメッキ液中に90℃、20分の条件で浸漬して無電解メッキを施し、試料基板上にニッケル‐リン皮膜を形成した後、純水で洗浄し、乾燥した。
【0045】
(0)基準例1
上記基準発明に基づいて、本発明の合成系水溶性ポリマー(D)は用いず、コロイド安定剤(C)(=グルタル酸)を触媒液に含有した例である。
即ち、触媒付与工程(b)では、可溶性ニッケル塩(A)と還元剤(B)とコロイド安定剤(C)を必須成分とするニッケルコロイド触媒液を用いており、上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、エッチング及び活性化を含めて、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調製は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0046】
(2)
参考例1(含有モル比率C/D
が適正範囲の上限を越える例)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.4モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:10,000) 0.0005モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.4/0.0005=800
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0047】
(3)
実施例2(含有モル比率C/Dを小さく設定)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:600) 0.08モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.08=3.75
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0048】
(4)
参考例2(含有モル比率C/D
が適正範囲の下限より低い例)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.0015モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:600) 0.08モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.0015/0.08=0.01875
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0049】
(5)
実施例3(コロイド安定剤の変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
コハク酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:1,800) 0.01モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.01=30
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0050】
(6)
実施例4(コロイド安定剤の変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グリコール酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:1,800) 0.01モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.01=30
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0051】
(7)
実施例5(コロイド安定剤の変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グリシン 0.3モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:1,800) 0.01モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.01=30
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0052】
(8)
実施例6(コロイド安定剤の変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
キシリトール 0.3モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:1,800) 0.01モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.01=30
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0053】
(9)
実施例7(コロイド安定剤の変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
アジピン酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:1,800) 0.01モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.01=30
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0054】
(10)
実施例8(水溶性ポリマーの変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミンEO付加物
(EO40モル、Mw:2,500) 0.02モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.02=15
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0055】
(11)
実施例9(水溶性ポリマーの変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミンEO付加物
(EO140モル、Mw:8,000)0.0375モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.0375=80
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0056】
(12)
実施例10(水溶性ポリマーの変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体
(Mw:8,500)0.0025モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.0025=120
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0057】
(13)
実施例11(水溶性ポリマーの変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ポリビニルピロリドン(Mw:1,800)0.00125モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.00125=240
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0058】
(14)
実施例12(水溶性ポリマーの変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ポリビニルアルコール(Mw:1,000)0.00125モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.00125=240
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0059】
(15)
実施例13(水溶性ポリマーの変更)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド
−アクリルアミド共重合体(Mw:10,000)0.003モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.003=100
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
【0060】
(16)
実施例14(ニッケル塩の変更)
上記
実施例8を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
塩化ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミンEO付加物
(EO40モル、Mw:2,500) 0.02モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.02=15
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例9に同じ。
【0061】
(17)
実施例15(還元剤の変更)
上記
実施例8を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミンEO付加物
(EO40モル、Mw:2,500) 0.02モル/L
[還元剤溶液]
ジメチルアミンボラン 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.02=15
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例9に同じ。
【0062】
(18)
実施例16
上記実施例1を基本として、無電解ニッケル−コバルト合金メッキ液を次の組成で調製した以外は、吸着促進剤及びニッケルコロイド触媒液の調製方法、並びに予備処理、吸着促進、触媒付与、無電解メッキの各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
(c)無電解ニッケル−コバルト合金メッキ液の調製
[無電解ニッケルメッキ液]
塩化ニッケル(Ni2+として) 0.025モル/L
塩化コバルト(Co2+として) 0.025モル/L
酒石酸ナトリウム 78g/L
塩酸ヒドラジン 68g/L
残余 純水
pH(20℃) 12.0
[メッキ条件]
メッキ温度:90℃
メッキ時間:20分
【0063】
(19)比較例1(コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率が、請求項1の規定範囲から上側に外れる例)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
即ち、当該比較例1では、コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率を本発明の規定範囲の上限を越えて設定した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:10,000) 0.0002モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.0002=1500
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
触媒液を調製した後、液は分解を始めたが、触媒液に浸漬した基板の一部には触媒核が付着したことから、次の無電解メッキ工程では基板のごく一部にメッキ皮膜が析出した。
【0064】
(20)比較例2(コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率が、請求項1の規定範囲から下側に外れる例)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
即ち、当該比較例2では、コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率が、請求項1の規定範囲から下側に外れる。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として0.1モル/L) 0.1モル/L
グルタル酸 0.0015モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:600) 0.2モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.0015/0.2=0.0075
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
触媒液を調製した後、液は分解を始めたが、触媒液に浸漬した基板の一部には触媒核が付着したことから、次の無電解メッキ工程では基板のごく一部にメッキ皮膜が析出した。
【0065】
(21)比較例3( 水溶性ポリマー(D)が合成系ではない天然由来である例)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
即ち、当該比較例3では、ニッケルコロイド触媒液に本発明で規定する合成系の水溶性ポリマー(D)に替えて、天然由来の水溶性ポリマー(ゼラチン)を含有した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
グルタル酸 0.3モル/L
ゼラチン(Mw:30,000) 0.0006モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.0006=500
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
但し、ニッケルコロイド粒子は生成したが、凝集・沈殿し、皮膜は析出しなかった。
【0066】
(22)比較例4(コロイド安定剤(C)がエチレンジアミンの例)
上記実施例1を基本として、ニッケルコロイド触媒液を次の組成で調製した以外は、ニッケルコロイド触媒液及び無電解ニッケルメッキ液の調製方法、並びに各工程の処理条件は実施例1と同じに設定した。
即ち、当該比較例4では、ニッケルコロイド触媒液に本発明で規定するコロイド安定剤(C)に替えて、ポリアミン類に属するエチレンジアミンを含有した。
(b)触媒付与工程
ニッケルコロイド触媒液の調整は次の通りである。
[ニッケル溶液]
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.1モル/L
エチレンジアミン 0.3モル/L
ポリエチレンイミン(Mw:1,800) 0.01モル/L
[還元剤溶液]
水素化ホウ素ナトリウム 0.25モル/L
[コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率]
C/D=0.3/0.01=30
[ニッケルコロイド触媒液の調製条件]
実施例1に同じ。
但し、ニッケルコロイド粒子は生成したが、凝集・沈殿し、皮膜は析出しなかった。
【0067】
《触媒液の経時安定性試験例》
そこで、上記実施例1〜
16、参考例1〜2並びに比較例1〜4で建浴した各ニッケルコロイド触媒液について、下記の基準でコロイド安定性の優劣を評価した。
◎:建浴後60日経過時点で沈殿、或いは分解が起こらなかった。
○:建浴後30日間沈殿、或いは分解が起こらなかった。
×:建浴後すぐに沈殿、或いは分解した。
【0068】
《無電解メッキにより析出したニッケル及びニッケル合金皮膜の外観評価試験例》
次いで、上記実施例1〜
16、参考例1〜2並びに比較例1〜4の各無電解メッキ方法で得られたニッケル又はニッケル合金の無電解皮膜について、下記の基準で皮膜外観の優劣を目視により評価した。
○:メッキ皮膜にムラが認められなかった。
△:メッキ皮膜に一部未析出(メッキ欠け)が認められた。
×:メッキ皮膜が析出しなかった。
尚、析出皮膜の「ムラ」は、皮膜の緻密性や平滑性などに周囲と異なる部分があると認められる。皮膜の「ムラ」は皮膜の均一性とは別の観点である。
【0069】
《ニッケルコロイド触媒液の経時安定性と皮膜外観についての試験結果》
下表は、上記コロイド触媒液の経時安定性と皮膜外観の評価試験の結果である。
経時安定性 皮膜外観 経時安定性 皮膜外観
基準例 ○ ○
実施例1 ◎ ○ 比較例1 × △
参考例1 ○ ○ 比較例2 × △
実施例2 ◎ ○ 比較例3 × ×
参考例2 ○ ○ 比較例4 × ×
実施例3 ◎ ○
実施例4 ◎ ○
実施例5 ◎ ○
実施例6 ◎ ○
実施例7 ◎ ○
実施例8 ◎ ○
実施例9 ◎ ○
実施例10 ◎ ○
実施例11 ◎ ○
実施例12 ◎ ○
実施例13 ◎ ○
実施例14 ◎ ○
実施例15 ◎ ○
実施例16 ◎ ○
【0070】
《触媒液の経時安定性とメッキ皮膜外観の総合評価》
ニッケルコロイド触媒液として本発明のコロイド安定剤(C)と合成系の水溶性ポリマー(D)の含有モル比率C/Dが規定範囲を越えた比較例1では、触媒液の分解が始まって経時安定性が損なわれ、無電解メッキした非導電性基板の一部にメッキ欠けが認められた。
また、上記含有モル比率C/Dが規定範囲より小さい比較例2でも、同様に触媒液の分解により経時安定性が損なわれ、無電解メッキした非導電性基板の一部にメッキ欠けが認められた。
一方、ニッケルコロイド触媒液として、コロイド安定剤(C)は本発明の要件を満たすが、本発明の合成系水溶性ポリマー(D)に替えて、天然系のポリマーであるゼラチンを用いた比較例3では触媒液の沈殿又は分解が生じて、もって触媒液との接触後に非導電性基板に無電解メッキを施してもニッケル皮膜の析出はなかった。
また、合成系の水溶性ポリマー(D)は本発明の要件を満たすが、本発明のコロイド安定剤(C)に替えて、規定外のポリアミン類(エチレンジアミン)を用いた比較例4では、やはり比較例3と同様に触媒液の経時安定性が損なわれて、非導電性基板に無電解メッキを施してもニッケル皮膜の析出はなかった。
これにより、本発明の触媒液を経時安定化させるには、コロイド安定剤(C)と合成系の水溶性ポリマー(D)の含有モル比率C/Dを規定範囲内に適正化することが必要であると判断できる。
また、コロイド安定剤(C)と合成系水溶性ポリマー(D)を組み合わせた本発明の触媒液において、上記合成系ポリマー(D)に替えて天然系ポリマーであるゼラチンを用いても、比較例3のように、コロイド触媒液の沈殿又は分解が起こり、無電解メッキに際してニッケル皮膜の析出はなかった。同じく、成分(C)〜(D)の組み合わせにおいて、コロイド安定剤(C)を規定外のポリアミン類に代替した比較例4でも、比較例3と同じく、コロイド触媒液の経時安定性が損なわれてニッケル皮膜の析出はなかった。
【0071】
これに対して、先ず、吸着促進の予備処理をした後、ニッケル塩と還元剤と所定のコロイド安定剤を含む触媒液で触媒付与処理をし、次いで無電解ニッケルメッキを施した冒述の基準発明に基づく基準例では、触媒液の経時安定性の評価は○であり、無電解メッキで析出するニッケル皮膜の評価は○であり、ムラがなく均一性に優れていた。
そして、吸着促進の予備処理をした後、上記基準例のコロイド安定剤に替えて所定の水溶性ポリマーを含む触媒液で触媒付与処理をし、無電解ニッケルメッキを施した
実施例1〜16では、触媒液の経時安定性の評価は
◎であり上記基準例より優位性があった。また、無電解メッキで析出するニッケル皮膜の評価は○であった。
これを詳細に見れば、
実施例1〜16では、コロイド安定剤(C)と合成系の水溶性ポリマー(D)の含有モル比率C/Dは、前述のように、
好ましい範囲(1〜250)に含まれるために◎の評価で
あった。これに対して、参考例1〜2では、含有モル比率C/Dが適正な範囲(0.1〜500)の上限及び下限から外れるため、○の評価になったものと推定される。
【0072】
そこで、比較例1〜4に対する
実施例1〜16の考察をまとめると次の通りである。
先ず、上記比較例1〜2では触媒液の沈殿又は分解が生じたことから、
実施例1〜16について、成分(C)と(D)の含有モル比率C/Dを適正範囲に調整することの重要性は自ずと明らかである。
また、
実施例1〜16を比較例3〜4に対比すると、ムラがなく均一性に優れたニッケル皮膜を得るには、天然系とは異なる合成系の水溶性ポリマーを選択する必要があるが、合成系ポリマーから任意に選択すれば良いというだけでは足りず、合成系ポリマー群の中からポリアミン類等ではない適正なポリマーを選択することの必要性が判断できる。
【0073】
以下、
実施例1〜16及び参考例1〜2について詳細に検討する。その場合、実施例1を基本として他の実施例の評価を対比的に説明する。
先ず、その基本の実施例1はカチオン系界面活性剤であるジアリルアミンポリマーの4級アンモニウム塩を含む吸着促進剤で非導電性基板を予備処理し、ニッケル塩に硫酸ニッケルを、還元剤に水素化ホウ素化合物を、コロイド安定剤にグルタル酸を、水溶性ポリマーにPEIを夫々選択した触媒液で触媒付与した後、無電解ニッケルメッキを施した例であるが、触媒液の経時安定性は良好で、建浴後60日経過しても沈殿が生じたり、分解することはなく、また、無電解メッキで得られたニッケル皮膜は均一で析出ムラも認められなかった。即ち、ニッケルの皮膜外観評価は基準例と同様であるが、コロイド触媒液の経時安定性は基準例に対して優位性が認められた。
同じく、コロイド安定剤(C)にコハク酸、グリコール酸、グリシン、キシリトール、アジピン酸を夫々選択し、水溶性ポリマー(D)にPEIを選択した
実施例3〜7、或いは、コロイド安定剤(C)にグルタル酸を選択し、水溶性ポリマー(D)にPEIのEO付加物を選択した
実施例8〜9では、触媒液の経時安定性と無電解メッキで得られたニッケル皮膜の評価は、共に実施例1と同水準であった。
これに対して、
参考例1〜2は共に水溶性ポリマー(D)にPEIを用い、コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)の含有モル比率C/D
が適正範囲の上限又は下限から外れた例であるが、コロイド触媒液の経時安定性は基準例と同様の評価であった。従って、上記含有モル比率C/Dを実施例1のように、より好適な範囲に調整すれば当該経時安定性を向上できることが判断できる。特に、
参考例2に示すように、水溶性ポリマー(D)がより好ましい含有量であり、且つ、コロイド安定剤(C)がごく少量であっても(従って、含有モル比率C/Dは
適正範囲から下限側に外れる)、ニッケル触媒液の経時安定性の評価が○である点は注目すべきである。
また、上記
参考例2との対比で
実施例2を見ると、含有モル比率C/Dが
好ましい範囲の下限付近(C/D=3.75)であつても、コロイド安定剤(C)と水溶性ポリマー(D)を共に好ましい含有量に設定すれば、コロイド触媒液の経時安定性は基準例より向上し(○→◎)、良好な皮膜外観を形勢可能な触媒液の性能をより長期に担保できることが分かる。
ちなみに、PEI又はPEIのEO付加物を水溶性ポリマーとした
実施例1〜9を見ると、コロイド安定剤(C)としてオキシカルボン酸に属するグルタル酸又はグリコール酸、ポリカルボン酸に属するコハク酸又はアジピン酸、アミノカルボン酸に属するグリシン、糖質に属するキシリトールを夫々選択しても、触媒液の経時安定性の評価は
◎であり、当該安定剤として同様の機能を果たすことが分かる。
【0074】
一方、実施例1を基本として、水溶性ポリマー(D)をジアリルアミンポリマー、PVP、PVA、ジアリルアミンとアクリルアミドの共重合体に夫々変更した
実施例10〜13、
実施例8を基本として、可溶性ニッケル塩、還元剤を変更した
実施例14〜15においても、触媒液の経時安定性と無電解メッキで得られたニッケル皮膜の評価は、共に実施例1又は
実施例8と同水準であった。
この場合、
実施例1〜13を見ると、水溶性ポリマー(D)としてPEI、PEIのEO付加物、ジアリルアミンポリマー、PVP、PVA、ジアリルアミンとアクリルアミドの共重合体を夫々選択しても、触媒液の経時安定性の
評価は◎であり、当該水溶性ポリマーとして同様の機能を果たすことが分かる。
また、上記水溶性ポリマー(D)に着目すると、
実施例2(含有量=0.08モル/L、Mw=600)、実施例1、
3〜7(含有量=0.01モル/L、Mw=1,800
)、実施例13(含有量=0.003モル/L、Mw=1万)などのように、重量平均分子量が低い水溶性ポリマーから高いものまで様々に選択しても、触媒液の経時安定性の評価は
◎であることから、本発明の水溶性ポリマーについては、重量平均分子量がある程度変化しても上記経時安定性に対して同様の機能を果たすことが分かる。
一方、実施例1を基本として、無電解メッキ工程をニッケル皮膜からニッケル−コバルト合金皮膜に変えた
実施例16では、触媒液の経時安定性は実施例1と同じ評価であり、無電解メッキで得られた皮膜についても、均一でムラがなく実施例1と同じ評価であった。